ハイスクールストラトス 風紀委員のインフィニット   作:グレン×グレン

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戦闘校舎のフェニックス 6

 

 そしてレーティングゲーム開始の時間となる。

 

 其の時、レヴィアは特別の観覧席に招待されていた。

 

 その観覧席に出るのは、ジオティクスを含めたリアスやライザーの親族。そして婚姻のセッティングを整えた機関の者たちだ。

 

 本来ならレヴィアといえど気軽に入れる場所ではないが、今回は一夏たち眷属を特別参加させている手前、参加を要望できた。

 

「それで、勝ち目はどれぐらいあります?」

 

「イッセー君をどれだけ温存できるか・・・だろうね」

 

 蘭の質問に、レヴィアは率直に答える。

 

 実際、真正面からライザーの限界を突破できる火力を出せるのはイッセーだけだろう。

 

 実際、イッセーの最大火力はすでに上級悪魔の上を超え、ライザーを一撃で大きく消耗させれるレベルにまで到達していた。

 

 当てることさえできれば、一撃で戦局をひっくり返すことすらできるだろう。一撃当てることさえできれば、一夏なら一人で追い込むこともできるかもしれない。

 

 そう、()()()ことが()()()のなら。

 

 それだけの倍化ともなれば相当の時間がかかるし、来るということも分かってしまう。ましてやライザーはルーキーとしては非常に優れており、それ位なら把握できるだろう。

 

 油断してわざと喰らうというヘマをしてくれると期待するのは、いくらなんでも都合が良すぎる。

 

「蘭ちゃんが参加できれば勝算もごっそり上がるんだけどね・・・」

 

「それがわかってるからダメだしされたんですよね・・・」

 

 はあ・・・と、二人は同時にため息をつく。

 

 グレイフィア自体は恋愛結婚であるから心情的には複雑だろうが、メイドの立場では妨害側に回らざるを得ない。

 

 そういう意味でも難点であり、どうしても初期段階においてはライザーに有利な状況に置くしかなかった。

 

 だが、それでも勝算はある。

 

 赤龍帝の力は想像以上だ。あれがあるから勝算は0から数割程度に上がっている。

 

 あとは、それを生かすことができるかどうか。

 

「ま、あとは頑張りなよリアスちゃん」

 

 そうつぶやきながら観戦室へと入ると、すぐに視線が集まって誉め言葉が襲い掛かった。

 

「いつもお美しいですなレヴィア様」

 

「このような場所で申し訳ありません」

 

「ささ、こちらの席へどうぞ」

 

 そう席を進めてくる悪魔に丁重に断ってから、レヴィアは真っ先に席を選んで座る。

 

「お久しぶりですねグレモリー卿」

 

「これはセーラ様。お久しぶりです」

 

 リアスの父親なだけあり、最低限の敬意は見せるがへりくだりはしないジオティクスがレヴィアは嫌いではない。

 

 なにせ、昔から家名だけでものを見られるのには辟易している。旧魔王派にいたっては末裔たちですらそれを良しとしているのだから救えない。

 

 ましてや、彼らは守るべき民たちを滅ぼしかねない最終戦争すら行おうとしているのだ。

 

 王の義務とは守ること。愛すべき臣民たちを、そして国を守ること。

 

 時として、臣民たちを切り捨てねば国を守れず、そしてくにを守れないことでより多くの臣民たちが苦しむこともある以上、苦渋の決断をするべき時もあるし、そういう冷酷さが必要な時もある。

 

 だが、それすら忘れ無意味な戦争を行うようなまねをし、さらにはそれゆえに民から見限られたことすら忘れた旧魔王血族に未練はない。

 

 未練がないからこそ、似たような側面を見せる旧家をレヴィアは好まない。

 

 そういう意味では、レヴィアはリベラル派に属するジオティクス・グレモリーには好感を持っていた。

 

 持っていたところでこれである。

 

「しかしグレモリー卿。親が子供とかわした約束を破るのはどうでしょうか。いや、リアスちゃんのわがままなのはわかるんですが、飲んだのは貴方でしょう?」

 

 なので、今回は容赦をせずにはっきりと攻め立てる。

 

 政略結婚は貴族である以上考慮しなければならない事情だ。それはレヴィアもとっくの昔に受け入れ、貴族の責務として果たそうとすらしている。だから そこは文句を言わない。

 

 言わないが、貴族として恥ずべきことをしたのは躊躇なく責めるのがレヴィアだった。

 

 当人もその自覚はあるのか、一瞬ジオティクスは視線をそらした。そして、そこに同意するのがさらに一人。

 

「全くですわ。娘の婚姻を勝手に取り進めるなんて、私は反対したんですよセーラ様」

 

 リアスの母親であるヴェネラナにまでそういわれ、ジオティクスはどっちに視線を向けても攻められるという地獄を味わった。

 

「・・・そこに関しては欲を向けすぎたかもしれないが、しかしだね・・・」

 

「わかってますよ、白龍皇のことでしょう?」

 

 さすがにいじめすぎるのもどうかと思い、レヴィアはため息交じりに同情意見を出した。

 

 娘に甘いというより親バカの気があるジオティクスが、これだけの無理強いをするのだ。理由があるとすればそれだとはレヴィアも思っていたのだ。

 

「白龍皇って、赤龍帝と対になるドラゴンですよね?」

 

「そうだよ。ウェールズの伝承における、赤い龍と白い龍。それが赤龍帝ドライグと白龍皇アルビオンだ」

 

 蘭がすぐに正解を行ったのをほほえましく思いながら、レヴィアがさらに補足する。

 

 赤龍帝と白龍皇は、かつて三大勢力の戦争のさい、彼らを巻き込んで喧嘩をぶちかましたことがきっかけで封印されたドラゴンだ。

 

 彼らは神器の贄となり、そしてその神器は13の神を滅ぼす神滅具(ロンギヌス)として恐れられている。

 

 そして、二天龍と呼ばれる彼らを宿した者は、その多くが人間に宿った状態でも宿敵として激戦を行い、多くの被害を生んできた。

 

 その赤龍帝を、よりにもよってリアスが眷属としてしまったのである。それは当時の戦争を知る親としては白龍皇がいつ襲ってこないか心配にもなるだろう。

 

 だが、リアスの勝気な性格では戻って来いといわれても戻るわけがない。むしろ赤龍帝であるイッセーを守るために、自ら率先して巻き込まれるだろう。

 

 だから、結婚を利用して呼び戻そう・・・というのが真の目論見だったわけだ。

 

「実際孫がいるとはいえ、悪魔は人間の貴族と違って数が少ない。・・・何かあってからでは遅いではないか」

 

「まあ、イッセーくんは僕の舎弟であった以上ある意味責任はあるわけですから、これ以上は強くは言えないですけどね・・・」

 

 なにせ、一年以上舎弟として風紀委員の仕事を手伝わせた挙句、その力に欠片も気づかなかったのだ。

 

 ある意味、レヴィアの落ち度が原因だともいえる。

 

「でもいいじゃないですか。それならリアス先輩を助けるのはレヴィアさんの義務ですよね?」

 

「そこを言われたら反論できないねぇ。ま、そういうわけで容赦なく鍛えた僕の下僕があなたのもくろみを阻止しちゃってもいいですか?」

 

 蘭に悪戯めいた笑みで促されて、レヴィアは苦笑しながらそう告げる。

 

 それに答えたのは、ジオティクスではなくフェニックス当主だった。

 

「かまいませんよセーラ様。そもそも、いまだ未覚醒の赤龍帝を眷属ごと倒せなければ、白龍皇が襲い掛かってきたときには話にならないわけだ。そして赤龍帝にしてもライザーを倒さなければ白龍皇を倒すなど不可能でしょう」

 

 仮にも息子に対して少し辛辣な意見を述べながら、フェニックス当主は笑みを浮かべる。

 

「息子は挫折の経験が足りない。そういう意味では、私としては負けても得をするゲームです。グレモリー卿には悪いが、私は気楽に見られますよ」

 

「これは手厳しい」

 

 ジオティクスは苦笑するが、しかし確かにそれなら安心できる。

 

 赤龍帝が白龍皇を倒すことができるのなら、レヴィアと組めば苦戦することもなく倒せるとわかっているのだ。

 

 なにせ、神や魔王すら圧倒するといわれている二天龍も、神器に封印されている現状では倒しうる程度にまで下がっている。つまり神や魔王クラスがいれば、戦うことはできるのだ。

 

 そして、レヴィアはいずれ必ずその領域に到達するといわれている逸材だ。彼女が赤龍帝と手を組めば、勝率は大きく上がる。

 

 仮にも魔王の末裔を娘の護衛としてみるその意見にはいい顔をしない悪魔も多かったが、しかしそれならそれで都合がいい。

 

「なら大丈夫です。一夏さんもいますから!」

 

 蘭は顔を紅潮させてそう断言するぐらい勢いづいている。

 

 そんな蘭にたまらなくなり、レヴィアは顔を砲刷りさせた。

 

「うんうん。蘭ちゃんは一夏くんが絡むとさらに可愛くなるねぇ。・・・今夜食べせて痛い痛い痛い!?」

 

「レ・ヴィ・ア・さ・ん?」

 

「うんごめん悪かった悪かった悪かった!! 悪かったけどこの場ではわきまえて僕も悪かったから!? ああ、お構いなくみなさま僕ら流のスキンシップですから! ですから!!」

 

 プレッシャーをみなぎらせ、まったく別の意味で顔を赤くして頬をつねる上げる蘭にレヴィアは速攻で謝らざるを得ない。そして旧家の悪魔たちが蘭に危害を加えんと全力を出すのをとどめるのも忘れてはならない。

 

 間違いない。蘭はここまで計算に入れてお仕置きを発動させている。

 

「蘭ちゃん・・・恐ろしい子!」

 

「いい加減お仕置きも発展させないと何してくるかわからないですからね!」

 

 頬を膨らませながらそっぽを向く蘭に、レヴィアは苦笑するほかない。

 

「やれやれ。一夏くんも巻き込むつもりだったんだけどなぁ」

 

「そういう問題じゃないです。・・・あ、始まったみたいですよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これぞ必殺、洋服崩壊(ドレス・ブレイク)!!」

 

「「「きゃぁあああああ!?」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目の前で、衣服を粉砕するという技が発動していた。

 

「・・・レヴィアさん?」

 

「違うよ!? 僕そんなこと計画してないよ! でも後で頭下げて習得するけど!」

 

 もはやさっきの領域にすら到達している蘭の怒気におびえながら、レヴィアはしかし自分の無実を主張した。

 

 じっさい、責任があるなら効果的な特訓方法を編み出した朱乃である。レヴィアは全くかかわっていないので責任はない。

 

「しかし恐ろしい技ですな。どうも防護加護ごと破壊しているようだ」

 

「ええ、赤龍帝としての力はほとんど使っていないのにあれとは恐るべし・・・」

 

「たかが転生悪魔と侮っておりましたが、これはまた眼福な」

 

 意外と旧家の悪魔は戦慄していた。・・・一部本音が漏れていたが。

 

「レヴィアさん、習得したらお仕置きですからね」

 

「ちぇー」

 

 そして蘭はしっかりとレヴィアに釘を刺していおいた。

 

「あなた? しっかりと目を剥いておりませんでした?」

 

「むいてないからねヴェネラナ」

 

 そして夫妻もまた力関係がしっかりとわかる形を見せていた。

 

 そしてそんなことをしているうちに、イッセーと小猫は体育館から脱出した。

 

 そして、脱出した直後に朱乃の雷撃が体育館ごとライザーの眷属を吹き飛ばす。

 

「朱乃さん、火力在りますからね。直撃したら並の転生悪魔は一撃ですよ」

 

「よく言うよ。火力だけなら蘭ちゃんの方が上じゃないか」

 

 感心する蘭にレヴィアは苦笑を漏らす。

 

 じっさい、まともに戦えば蘭の方が勝率は高いだろう。それだけのポテンシャルを彼女は持っている。

 

 前代未聞の特性はそれだけのものがあるのだ。

 

 ゆえに参加できなかったが、これは意外と勝算が高い。

 

 この調子でいけば―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『二人とも!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その直後、二人を爆発が包み込んだ。

 

 

 

 

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