ハイスクールストラトス 風紀委員のインフィニット 作:グレン×グレン
イッセーは、目の前で爆発が起きるのを感じた。
そして、その爆発が真正面で切り裂かれるとの感じた。
「え、な、な、なんだぁ!?」
あまりの突然の事態に反応できなかったが、しかしイッセーはすぐに見る。
自分たちと同じ制服を身にまとい、そして一振りの装飾の施された長剣を持つ少年の姿が、そこにはあった。
「あ、織斑先輩・・・」
「大丈夫だったか、小猫ちゃん」
そういってにやりと笑った一夏は、そのまま長剣を下手人へと突き付ける。
「横から不意打ちとか、卑怯だなアンタ」
「あら、レーティングゲームでは常套手段ですよ?」
そういって、ドレスに身を包んだ妖艶な雰囲気の女性が空に浮かぶ。
ライザー・フェニックスの眷属悪魔。その中でも最強の女王の立ち位置に立つ
「味方が数人倒されようと、その隙を突いてより多くの敵を倒せればこちらが有利。それなのに気づかれて防がれるとは屈辱ですね」
「残心って言葉があってな! 勝った直後こそ気を付けるもんなんだよ」
そう言い放つ一夏は、後ろを振り向くことなく二人に声を張り上げる。
「ここは俺に任せろ! 二人は先に行くんだ!!」
「あらあら、それは困りますわね」
そこにさらに現れるのは姫島朱乃。
体中から雷をバチバチと鳴らしながら、朱乃は微笑を浮かべて一夏の前に出る。
「女王は女王同士で相手をしますわ。皆さんは先に行ってください。小猫ちゃんと一夏くんはアーシアちゃんのところで回復するのが先ですわよ? ダメージ、割と入っているでしょう?」
朱乃が見抜いた通り、余波を吹き飛ばしたからといって爆発の影響は少なからず残っていた。
位置が離れていたためにダメージがないイッセーとは違い、少なくないダメージを刻まれている。
「わかりました。でも、回復が終わったらまず朱乃さんを助けに行きますからね」
「・・・イッセー先輩。すいませんが先に行っていてください」
「お、おう! わかったぜ!!」
「・・・よし! でかした一夏くん!!」
「一夏さん、かっこいい・・・」
喝采を上げるレヴィアに、とろけた声を出す蘭。
だが、その気持ちもわかるといわんばかりのファインプレーだ。
間一髪のタイミングで割って入り、敵の攻撃を迎撃。どこかの物語の主人公のような活躍である。
「誇らしいですよね、レヴィアさん。あれも全部、レヴィアさんを守るために特訓したからなんですよ?」
「ふむ、それは何というか、うれしいというか後ろめたいというか・・・」
主・・・というより親友を守るため、一夏は全力で己を鍛え上げた。
女尊男卑とISの組み合わせが出ている状況では、鍛えたところで守れないと別の方法で支えるやり方を模索していた一夏だが、悪魔になったことで状況は一変した。
なにせ、鍛えればISを超えるほどの戦闘能力を得れるようになるのだ。
内心では男は女を守るものという古臭い理屈を持っている節のある一夏にとって、これはまさに水を得た魚も同義だ。
だからこそ、徹底的におのれを鍛え上げた。
すでに彼の戦闘能力は、その気になれば並の上級悪魔となら渡り合えるレベルにまで高まっているだろう。
その彼が、戦車の駒で強化されているのにもかかわらずダメージを殺しきれなかった当たり敵の戦力も強大だが、しかしかなりの戦いになるはずだ。
これならあるいはと、そう感じさせるほどにはいい出だしだった。
「ほほう、ライザー殿の圧勝かと思いましたが、意外ですな」
「しかしそれで婚姻が流れては貴族の在り方としてはいささか不満ですな」
「いいではないですか。セーラさま直々のご判断なのですから、それは良しとしましょう」
「ですな。少し手助けをしたていどで逆転されるなら、それはライザー氏が情けないだけでしょう」
後ろで貴族たちが会話する内容を聴きながら、レヴィアはしかし少し暗い気持ちになった。
セーラ・レヴィアタンの判断ならば、良しとする。
旧家にとって家紋からくる権威は非常に大きいものだ。
当然旧魔王派はそれが根幹となっている。そして、意外なことに新魔王派も割とそれが大きいのだ。
考えてみれば当然だろう。二つを分けているのはあの時点での戦争継続と戦争中断。他にも些細な事柄はあったかもしれないが、基本的にはそれが原因だ。
別に保守派と革新派の対立でも何でもない。そう見えるのは、トップに据えられた四大魔王が全員革新派であるがゆえに誤解に過ぎない。
じっさいには旧魔王派にも負けず劣らずの保守派があつまっており、それが冥界の発展を妨げている部類もあった。
とはいえ、革新派もまた革新が速すぎて民がついていけていない側面もある。だからこそ、旧家が足を引っ張っている現状はある意味好都合でもある。
レヴィアは心情的には革新派だが、保守派の気持ちもわかるのだ。急激に環境を変化させた自分だからこそ、それが苦しいものだということもよくわかる。
だが、レヴィアはその政治の在り方に極力首を突っ込まない方針を固めていた。
もし自分が堂々と考えを主張すれば、その影響力は莫大なものになるだろう。
そうなれば、きっと民は考えることをやめてしまう。ただレヴィアの影響力に目を焼かれ、それしか見えなくなってしまうものが大量に出てくる恐れがあった。現政権側の真なる魔王の末裔とはそういうものだ。
だからこそ、レヴィアは今まで大きく政治的に動かないようにしてきた。
領地経営すら、大まかな意向を伝えた後現地の役人に丸投げしている。冥界のインタビューに関しても、上から圧力をかけさせてもらってでもどちらかを褒めるのならその欠点もいうなどして、バランス調整に努めてきた。
いずれは日本の天皇家のように、君臨すれども統治せずの立ち位置を確保できればとも思うのだが、しかし悪魔達はレヴィアに政治に参加してもらいたいらしい。
どうしたものかと考えていると、しかし試合は大きく動いていた。
木場と合流したイッセーたちが、残りの試合メンバーと戦闘を繰り広げている。
そして、イッセーが木場にタッチしたかと思うと、木場の神器が増幅され、周りを一網打尽にしたのだ。
「なるほど、赤龍帝は倍加した力を譲渡すると聞きましたが、あれですか」
「恐るべきは神滅具。リアス・グレモリーもなかなか強大な戦力を獲得することに成功したものだ」
感心しながらも、しょせんは龍だよりと揶揄するような言葉も届く。
だが、これで戦力は大きく減った。
それを機に、イッセーたちは小猫とも合流してライザーを討ちに本校舎へと向かう。
そして、地獄が始まった。