ハイスクールストラトス 風紀委員のインフィニット 作:グレン×グレン
風紀委員としての仕事は割と忙しいところもあるが、それ以上にレヴィアは仕事ができる。
加えてカリスマ性あふれるレヴィアに仕えんと風紀委員に属したがる生徒も多く、それゆえに意外と仕事はすぐに終わるのが駒王学園の風紀委員だったりする。
そのため、生徒の悩み相談などを受け付ける機会も多かったりするのだ。
「それで? 今回のお悩みは何なのかな松田くん?」
とはいえ、眷属悪魔のお悩み相談を風紀委員室で受けるのは意外な話だったが。
「ああ、それがイッセーが木場のこと心配してるみたいなんですよレヴィアさん」
と、松田は出された紅茶を飲みながら、そういってくる。
「俺から見ててもアイツ最近ぼんやりしてて。ほら、球技大会でもやばかったでしょう?」
「そういえば、隙だらけだったよな」
資料を整理していた一夏もそれに同意した。
最近、リアスの眷属である木場祐斗の様子が明らかにおかしい。
ここ最近は球技大会の準備やそれに伴う警戒もあって、風紀委員としての仕事が多くて意識をまわしている余裕があまりなかった。
そのせいで見過ごしていたが、確かにこれは気になるところだ。
「そういえば、俺は木場のことあまり知らないな。・・・もともと教会の出身だったらしいけど」
「そうなんですか? でも、その割には信仰心が残ってるアーシア先輩とそんなに親しげに会話したりもしてませんよね?」
一夏が首を傾けて思い出した内容だが、蘭からしてみれば意外だろう。
教会出身の割には、同僚であるともいえるアーシアと教会についてしゃべったことは特になり。
それどころか、二人の記憶では祐斗は教会に敵意すら持っている節があった。
「別に、リアス先輩は教会の信徒を堕落させたりしそうなタイプじゃないし、何かあって追放されたとかそういうことじゃないのか?」
と、付き添いできた元浜が眼鏡をキランと輝かせる。
「アーシアちゃんだって、
「元浜さん、その眼鏡伊達じゃなかったんですね」
「酷いな蘭ちゃん!?」
眼鏡キャラらしい解説を行う元浜に、蘭がひどいことを言った。
本人としても悪気はないのだが、だからこそなおさらダメージが大きいことも世の中には一杯存在するのだ。
「まあ、木場くんはある意味アーシアちゃんよりひどいからね。・・・冥界にも転生悪魔を奴隷扱いする質の悪いのはいるけど、そういう意味では教会も同様ってわけさ」
レヴィアはそうため息をつくと、外を見る。
すでに天気は雨であり、このままだと大降りになりそうだ。
「何か知ってるのか、レヴィア?」
「僕の独断では言えないよ。それぐらいの内容だって思ってくれ」
一夏にそう答えてから、レヴィアは立ち上がると資料を集め始める。
「さて、とりあえず今日は早めに終わらせて変えるとしようか。木場くんに関しては、こんどリアスちゃんの許可を取ってから説明するよ」
しかし、そんな余裕は与えられなかった。
「あの、いったいなんで私まで参加してるんですか?」
「一夏くんをこんなところに連れ込みたいんだったらどうぞ? 僕は乱交大好きだから何の問題もないけど?」
そう答えながら服を脱ぐ二人は、ソーナの自宅に来ていた。
サウナすら存在するこの家に来るのは、レヴィアにとっても久しぶりだ。
「ええ、ここのサウナはなかなか気持ちいから好きだわ」
「そうねリアス。旧校舎を改造してサウナを作りたくなってきますわね」
リアスと朱乃も服を脱ぎながらそう答える。
しかしまあ、なんというか胸が大きい。
バイセクシャルのレヴィアは割と欲情し、蘭は自分のスタイルと比較して落ち込みそうになる。
「うぅ・・・。ま、まだ成長期ですし、これからですよね?」
「大丈夫大丈夫。蘭ちゃん年相応だから」
涙目の蘭をフォローしながら、レヴィアはそろそろ本題に入る。
「それで、ソーナちゃん? 今回何があったのかな?」
「ええ、いささか厄介なことになっているの」
サウナの中で、ソーナ・シトリーは真剣な表情を浮かべている。
「本日、私達に教会の戦士たちが接触を図ってきたわ」
「・・・それは、またタイミングの悪い」
レヴィアは額に手を当てる。
基本的に、教会の戦士たちは悪魔を嫌っている。
彼らは主のために生きそして死ぬことを是とする集団。必然的に、主がいさめる欲望を肯定してそれを楽しむ集団である悪魔を嫌っている。
正直に言って敵でしかないが、レヴィアは彼らに同情心を持っているところがある。
魔王直結の末裔である彼女だからこそ知りえた情報が、彼らのある意味無意味な行いに憐憫の情を抱かせるのだ。
「彼女たちは、この地の担当であるリアスと交渉したいといってきたわ」
「私達と交渉? 教会の信徒が?」
「珍しいですね。教会の信徒って悪魔相手だとかたくななのに」
リアスと蘭は首をかしげる。
特に最近、この陣営で教会と揉めた記憶はない、そして、協力して何かを成し遂げねばならないようなイレギュラーもまた存在しない。
そして、それはつまり―
「OK。一度人を雇って精査しよう。・・・これは何やらきな臭いことが起こりそうだね」
「話が早くて助かります。さすがはレヴィアね」
レヴィアが言うが早いかスマホを動かしてすでに一斉送信しているところを見て、ソーナは口元を緩めた。
優秀な友を持てるということは、なかなかに喜ばしいことだ。
「と、言いたいですがすでに調べ終えてます。どうもこの街で教会のエージェントが何人も殺されているようですね」
「遅いよ! うわ、取り消しのメール出しとかないと・・・」
だが、これではっきりした。
どうやらこの街、再びトラブルに巻き込まれているらしい。
「でもどうします? 私たちが殺したわけじゃないんですから、私達と教会以外にもそれができる勢力がこの街にいるってことですよね?」
「その通りです。おそらくは堕天使だと思われますが、しかしほかの神話勢力である可能性も捨てられないですね」
蘭の疑念はもっともだが、ソーナとしては慎重に行かざるを得ない。
なにせ、潜在的な敵までふくめれば、堕天使や教会だけを相手にしていればいいというものではない。
ギリシャ・北欧を代表とする神話勢力。レヴィアが元居た旧魔王派。
警戒に値する勢力は数多く、いつ何が起こってもなにもおかしくないのだ。
いわば世界規模での冷戦状態。すでに燃え盛っている第三次世界大戦ほどではないが、それでも非常に強大な敵であることには変わりなかった。
「これは、割とかなりやばい事態が起こるかもね・・・」
口調こそ茶化しているが、しかしレヴィアの表情は真剣そのものだった。
「蘭ちゃん、あの人に連絡を頼むよ。近くにいてくれればそれでいいから」
「わかりました。すぐに準備します」
蘭にすぐに指示を出しながら、レヴィアは窓の向こうにある星を眺める。
・・・次の日もこんな形で夜空を見上げられるのかどうか、ふと不安になった。