ハイスクールストラトス 風紀委員のインフィニット   作:グレン×グレン

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ついにオリジナルキャラクターもさらに増えます。

さあ、こっから三大勢力は、ひいてはあらゆる神話体系がハードモードだ!!


冥界合宿のヘルキャット 2

 

 そして、そんなこんなで冥界に戻ってきたレヴィア一行。

 

 湖でバカンスをしたりするなど、眷属はバカンスを満喫していたが、しかしそれだけでは済まないのが世の中だ。

 

「―ついに、この日が来てしまったか」

 

 心底いやそうな顔で、レヴィアはため息をついた。

 

「あの、レヴィアさん? そんなにいやなんですか?」

 

「そうなんですよ元浜先輩。レヴィアさん、自分の権力を誇示するのがすごく嫌らしくて」

 

 蘭が元浜に説明するぐらい、レヴィアは心底いやそうな顔をしていた。

 

「僕がレヴィアタンだからって理由だけで持ち上げてくる血統オンリー至高の貴族が何人いると思ってるんだい? そうでない人たちも持ち上げてくるし、割とめんどいとは思ってるよ」

 

「いや、レヴィアだって慈善事業をいくつもやってるんだから褒められたって当然だろ」

 

 一夏はそういうが、しかしレヴィアとしてはあまり喜べない。

 

「勝手に集まってくる金を処分するのも理由の一つだからね。何より古い貴族の当主にとって、下民なんて奴隷に毛が生えたようなもんだよ? 「レヴィア様は不思議なことにお金を使いますな」とか言われたら不機嫌にもなるさ」

 

「うっわぁ。なんかいろいろ腐ってんな。リアス先輩のお兄さんとかどうにかしてくれないのかよ」

 

 松田がそう感想を漏らすが、しかしそう簡単に行く話ではない。

 

「サーゼクスさまたちって、年齢だと若手だから発言力が思ったより高くないんです。・・・スキャンダルでも起きれば話は変わりますけど、そうなるとそれはそれで面倒ごとが起きるそうで」

 

「政治的空白期ってやつだな。人類統一同盟と戦争するかもって時にそんなことはできるわけないか」

 

 蘭の説明に元浜はうなづいた。

 

 じっさい、割といろんな神話体系と緊張状態である今の冥界にそんな余裕はないだろう。

 

 ましてやつい最近まで、三大勢力の戦争は続いていたのだ。そんな隙を見せている余裕はかけらもない。

 

「悪魔は寿命が長いし、入れ替わるのにあと数千年はかかるんだよねぇ。・・・かといって僕が大声を出して民衆を動かしたって、それは民衆の意見が反映されているとはいいがたいし」

 

 魔王レヴィアタンのお言葉に従って動いただけでは、それは結局今の状況と何ら変わりがない。

 

 民衆の意志なき民衆の革命など、何の意味もない笑い話。他神話勢力から失笑を買うだけだろう。

 

「ま、そういうわけだから上が何か言っても我慢してね? 特に一夏君はもめ事起こしたらお尻開発するから」

 

「・・・ひっ!?」

 

 思わず後ろをかばいながら後ずさる一夏に、いたずら小僧のような笑みを見せてから、レヴィアは扉を開け―

 

「・・・この下品な男が!」

 

「おっと! 処女くさい女は短気でいけねえな!」

 

 流れ魔力が顔面に直撃した。

 

「……なんでゼファードルがここにいるんだよ」

 

 攻撃とはまったく別の理由で頭が痛くなったレヴィアは、視線を隣に向ける。

 

 そこに、優雅なたたずまいでお茶を飲む少年がいた。

 

「これはこれはセーラさま。僕を覚えていますか?」

 

「たしかディオドラくんだっけ? ……この状況は一体なんなんだい?」

 

 レヴィアは最低限のあいさつをしながら状況を尋ねる。

 

 ディオドラと呼ばれた悪魔は、肩をすくめて二人の争いを見た。

 

「ゼファードルがシーグヴァイラに挑発したんですよ。処女臭いとか下品なことをね」

 

「……はあ。こういう小競り合いもまた良しとしてる上は度し難いよ」

 

 レヴィアは割って入るかどうか真剣に考えるが、しかしそれより早く動くものがいた。

 

「大公アガレスの娘、シーグヴァイラ。グラシャラボラスの凶児ゼファードル」

 

 そこにいたのは一人の筋骨隆々な男。

 

 紫の瞳を持った男が、二人を前に拳を鳴らしながら強い気を放っていた。

 

「いきなりだがこれは最後通告だ。……双方ともに矛を収めろ」

 

 その気配にシーグヴァイラは気圧されるが、逆にゼファードルは詰め寄った。

 

「ああ? バアル家の無能ごときが―」

 

 そして、その顔面に拳が叩き込まれた。

 

 其のまま吹っ飛ばされたゼファードルは、壁を突き破ってその向こうへと消える。

 

「最後通告だといったはずだぞ」

 

 とくに気合を入れたわけでもなくそう答えるサイラオーグに、一夏は目を見開いた。

 

「……強い」

 

「まあ、彼が若手悪魔のナンバーワンとすら言われてるしね。ヴァーリ・ルシファーが相手でもいい勝負するんじゃないかな?」

 

 レヴィアはそう答えながら、ゼファードルの眷属をけん制するサイラオーグに近づいた。

 

「やあサイラオーグくん。久しぶり!」

 

「レヴィアじゃないか。お前も元気そうだな」

 

 特にかしこまることなく軽く挨拶するサイラオーグに、レヴィアは笑みをより明るくする。

 

「君はそういうタイプでうれしいよ。……お、リアスちゃんもいるじゃないか」

 

「数日ぶりね、レヴィア」

 

 リアスも笑顔を浮かべながら二人に近づき、そしてあきれた顔で周りを見渡す。

 

「本当に、いきなりこれじゃあ波乱万丈じゃない」

 

 心底あきれた声だったが、その声に返答したのは、サイラオーグでもレヴィアでもなかった。

 

「……良いことではないか。若者たちの喧嘩など、いい青春だろうに」

 

 そんな古風な口調を放ったのは、一人の少女だった。

 

 仮面をつけた悪魔たちを従えるのは、黒髪の幼女とも思える少女だった。

 

 その姿を認めて、レヴィアは心底いやそうな顔をする。

 

「やあ、ネバン・アスモデウス。……相変わらず偉そうだね」

 

「久しいなセーラ・レヴィアタン。……相変わらず何もせん小娘だな」

 

 二人は火花を散らす中、しかし決して先に手を出そうとはしない。

 

「……あの、部長? あの人は一体誰なんですか?」

 

 イッセーが恐る恐る尋ねると、リアスはため息をつきながらそれにこたえる。

 

「あの方はネバン・アスモデウス様。レヴィアとは別口でこちらに鞍替えしたアスモデウスの末裔の1人よ」

 

 リアスもわずかに気圧される中、レヴィアとネバンは静かににらみ合った。

 

 ……非常に緊迫した空気の中、ついに会合が始まろうとしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあ、仮にも上役たちが目の前にいるという状況下だったため、そこまで問題は起こっていない。

 

「今日はよく集まってくれた。次世代を担う若者たちの顔を改めて確認するために集まってもらったのだよ」

 

「まあ、早速やってくれたようですがね」

 

「かまわないでしょう。衝突の一つや二つもなしに関係を構築できるとは思いませんしな」

 

 貴族たちはそう告げ、そして話を進めていく。

 

 そして貴族たちの長い話が終わるころを見計らって、サーゼクスが笑みを浮かべた。

 

「……それはともかくとして、いま前に出た8人はいずれも家柄、実力ともに申し分ない次世代の代表だ。だからこそ、君たちには経験を積んで切磋琢磨してほしいと思っている」

 

「その経験というのは、いずれ我々も禍の団《カオス・ブリゲート》との戦に投入されると考えてよろしいでしょうか?」

 

 むしろそれを望んでいるかのごとき声色だったが、サーゼクスは静かに首を横に振った。

 

「それはわからない。だが、私個人としてはそれは避けたいというのが本音だ」

 

「なぜです? 若いとはいえ、我らは悪魔の上に立ち守る上級悪魔の一端を担っております。この年まで先人の方々からのご厚意を受けながら、何もしないというのは両親に反します」

 

「同感ですな」

 

 サイラオーグの不満の声に、ネバンもまた同意の声を上げる。

 

「我らは未熟とはいえ、それでも凡俗の悪魔をしのぐ実力をすでに持っております。その我らが先頭に立たずして、どうして民がついていくというのですか」

 

 二人の意見はある意味で正論だったが、しかしサーゼクスは諭すように言葉を続ける。

 

「サイラオーグ、そしてネバン。勇気は認めるがそれは無謀だ。何より、成長途中の君たちを戦場で失う未来を迎えさせたくないのだよ。君たちは、君たちが想像しているより尊い冥界の宝なのだ。ゆえに段階を踏んだ成長をしていってほしいのだよ」

 

「……わかりました」

 

「それが魔王様の御意向ならば、ここは引きましょう」

 

 二人はその言葉に引き下がるが、しかし納得できていないことは明白だった。

 

「何より、いまは和平によってできた繋がりを重要視するというのが冥界の方針だ。三大勢力の和平をきっかけとして、ほかの神話勢力とも和議を結ぶことで禍の団との戦いのための準備をしたい。……特に、ISコアに秘められた秘密を解き明かさねば人類統一同盟に対抗できないというのが我々の推論でもある」

 

「……お言葉ですが、ISはそれほどの脅威なのですか?」

 

 ディオドラがサーゼクスにそう尋ねる。

 

 当然といえば当然だ。ISはそこまで脅威になりえないというのが現異形世界の共通認識である。

 

 じっさい、ISの携行火器の火力で中級以上の悪魔を屠ることは困難だ。そして上級クラスの存在の数はISを歯牙にもかけないほどの数が存在する。そのうえそこから上の戦闘能力は天井知らずに上昇していくのだ。

 

 その前情報からすればその判断は当然であり、しかしそれはまた過去の話でもあった。

 

「否。優れた実力者が聖剣を保有するなどした場合、ISの戦闘能力は三大勢力の最上級すら妥当する。……皮肉にも、コカビエルの一件がそれを証明しているのだよ」

 

「さすがにあれは千冬さんが強すぎるだけですので。あの人条件がそろえば生身でIS足止めできる人ですので」

 

 ブリュンヒルデクラスの使い手は滅多にいないとレヴィアが一応言葉を告げるが、しかし理論上可能であることが証明されただけで十分すぎる。

 

 なにせ、人類統一同盟は幹部に魔王の末裔がいる。

 

 彼の協力があれば、相応の装備を集めることも可能だろう。そこを警戒すればこの警戒も当然である。

 

「あのようなロボットといえないものにそれほどの脅威になる可能性があるだなんて……」

 

 シーグヴァイラがなぜか嘆きながらそう漏らすが、しかしそれが現実だ。

 

 ましてや、アザゼルが知る束の反応から推測すれば、ISコアにはかなり特殊な秘密が秘められている可能性すらある。もしそうだとするならば、これまでとは人間社会とのかかわり方を変えることすら考えるべきなのだ。

 

「そのような非常に政治的に困難な状況で、その未来を担う君たちを消費させることは本意ではないのだ。どうかそれを理解してほしい」

 

 サーゼクスはそういって笑みを浮かべると、そして言葉をつづけた。

 

「では最後に、君たちの夢や目標を聞かせてもらえるかな?」

 

 その言葉に真っ先に答えたのはサイラオーグだった。

 

「魔王になることが、俺の夢です」

 

 ためらいなく答えるその姿に、上役たちも嘆息を漏らす。

 

「大王家から魔王が出るなど前代未聞だな」

 

「民が必要と感じれば、そうなるでしょう」

 

 若手悪魔ナンバーワンにして大王家の第一位継承者としての自負がこもったその言葉は、どことなく説得力を感じさせる。

 

「私の夢は、冥界をよりよくするための慈善事業を発展させることです」

 

 続けて放たれるレヴィアの言葉に、上役たちはどうにも微妙な表情を浮かべる。

 

 たかが下級悪魔にそこまでしてやる必要があるのか? という感想が見え見えだった。

 

 だが、レヴィアは全く意に介さない。

 

「民は王族の宝。その宝を手入れするのは魔王レヴィアタンの末裔として義務だとすら考えております。否、貴族のたしなみといってもいいでしょう」

 

 暗に今の上役たちを非難する言葉すら告げるが、上役たちはあえて反論はしない。

 

 その対応に失望すらしながら、レヴィアは後ろに下がった。

 

 ちらりと後ろに視線を向けながらレヴィアは苦笑を浮かべると、一夏と蘭は同情の視線を向けた。

 

「私は、グレモリー家の次期当主として、ゲームのタイトルを複数確保することを目指します」

 

 リアスの言葉には強い決心があり、そしてリアスの眷属たちはその決意に感化されてか気合を入れなおしているのがすぐにわかった。

 

 そして、リアスに続いてソーナもまた一歩前に踏み出した。

 

「……私の夢は、正しい意味で誰もが通えるレーティングゲームの学び舎を作ることです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この場において大半のものが察知できていなかったことだった。

 

 この言葉ではなく、この言葉からくる波乱が冥界の混乱を助長する幕開けになってしまうということを。

 




ネバン・アスモデウスはシャロッコに並ぶ本作のキーキャラクターの一人になります。

……四大魔王の末裔って、設定としてすごいからすごい書きやすいんですよ。ルシファーだけヴァーリとリゼヴィムの二人が出るってずるいもんね!!
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