ハイスクールストラトス 風紀委員のインフィニット 作:グレン×グレン
異形の力と科学の力が激突する中、その戦線は意外にも膠着状態に陥っていた。
なにせ、科学の力の最大の利点は意図的な生産が可能という点だ。
技術力と資源さえあれば、同様のものを大量生産することも理屈上では不可能ではない。
その最大の利点は、超国家組織であることを踏まえて人類統一同盟を優位にしていた。
純粋な科学力で作られたISもどきは、しかし揚力を使うことなく自在なVTOL性能を発揮する。
放つ攻撃は核融合炉を使用したエネルギー兵装。中央部の大口径荷電粒子砲はもちろんのこと、拡散衝撃砲による弾幕は下級中級では接近することもかなわない。
ならば上級で挑むのが得策か。
確かに上級悪魔は火力でも防御力でもISを超えている。ISもどきが相手なら機動力でも相手ができるはずで、実際それは可能である。
そう可能であると実証されている。今まさに戦うことで。
「さあ、かかって来い蝙蝠風情が!!」
「なめるなよ、翼も持たぬサルが!!」
空中で、上級悪魔とISがぶつかり合う。
機動力で優るとはいえ、火力と防御力で大きく劣るISに対し、上級悪魔は本気で迎撃をおこなうほかなかった。
そんな奇跡を起こす最大の要因は、彼らの保有する装備にある。
「おのれ! 聖なる装備を大量に用意するなど、いったいどうやればできるというのだ!!」
そう、彼らの装備はすべてが聖なるオーラを放っていた。
保有する装備は聖剣で、楯もまた同等の強度を持つ聖なる装備。
これでは上級悪魔といえど本気を出すレベルであり、またIS側がヒット&アウェイによる足止めに徹していることもあり、ガンシップの砲撃を邪魔できなかった。
そしてその隙を突いてガンシップは下級悪魔と中級悪魔を確実に一体ずつ戦闘不能にしており、明確な戦闘が成立していた。
「これが人類統一同盟の力だ!! いまだ製造速度は一日二けた程度ではあるが、我々は聖剣の量産を可能としている!!」
誇らしげにISを動かす戦士たちが笑う。
そう、それは間違いなく聖剣だった。
伝説の聖剣に比べれば質は低い。また、特殊能力の類などない切れ味を強化するだけの聖剣。
だがしかし、聖剣であるというだけで上級悪魔にとっては脅威だった。
むろん、聖剣である以上人を選ぶという欠点もまた解決していないが、しかしそれは別のアプローチで解決している。
「バルパー・ガリレイは貴様らと繋がっているということか! ふざけたことを!!」
歯ぎしりをしながら、悪魔の一人が絡繰りに気づいて声を上げる。
そう、バルパー・ガリレイは人口聖剣使いを生み出すことに成功した間違いなく天才。
所業は外道ではあるが、しかし彼の能力は間違いなく優秀なのだ。
「安心しろ。こちらも犠牲者は出していない。民間人を守るのが軍の務めである以上、民間人を殺すような真似はせんよ」
「ええい! そういうことか!!」
攻撃をしのぎながら、その悪魔は絡繰りを理解する。
おそらく、民間人から献血か何かの名目で聖剣因子を抽出し、それを移植することで人口聖剣使いを量産しているのだ。
摘出した後の人物を殺さないという判断をとっているのは人道的といえるだろうが、しかしそれを超国家組織でやられるとこうなるということだった。
ましてや、和平の代償として教会は人工聖剣使いの生産を終えている。ついでに言えばその手の技術において最大の権威はバルパーだ。
完全に後手に回っているとしか言いようがない。
「だが、ここには最上級悪魔タンニーン様をはじめとした実力者もそろっている。いかにISと聖剣の組み合わせといえど、勝てると思うなよ!!」
「確かに俺たちじゃ勝てないだろうな!!」
攻撃をぶつけ合いながら、お互いに罵倒を兼ねた言葉が飛び交う。
そんな中、IS乗りは不敵に笑った。
「だが、こっちにもすごい奴はいるんだぜ?」
「ぐぁあああああああ!?」
最上級悪魔の一人が、腹部を刺し貫かれて絶叫を上げる。
そしてその数秒後、圧倒的な聖なるオーラが彼を消滅させた。
「ぬぅうううう! ISがこれほどとはな!!」
タンニーンは自らの体を焼くISの攻撃をしのぎながら、歯ぎしりする。
これだけの兵器を軽視していた自分たち現政権の者たちを油断していたと自虐すらしていた。
とはいえ、それでも驚愕はするべきだろう。
何よりも、聖剣の量産と聖剣使いの量産がその凶悪性を底上げしている。
完全にIS用に開発された量産聖剣の性能は、低くはあるが確かに聖剣。こと悪魔にとっては天敵といってもいい。
ましてやドラゴンであるために図体のでかいタンニーンは、比較的攻撃を喰らいやすい。
これが龍殺しの聖剣だったらと思うと、さすがにぞっとするほかなかった。
そして何より―。
「ISはあくまでパワードスーツ。……つまりは鎧のようなものだと思ったのだがな」
『それは正解。だけど、何にだって例外はある』
少女の声を響かせるのは、空を浮かぶ鉄の巨人。
あろうことか、15メートルはあるであろう鉄の巨人がタンニーンを一人で足止めしていた。
「流石にISのシールドエネルギーも尽きるかと思ったが、図体がでかい分残量も大きいようだな」
『当然。これは核融合炉を外付けしてある専用機だもん。プログラミングもしっかり組んでるから、そんな簡単にはやられないから』
少女はそう告げながら、その巨人を器用に操りタンニーンを足止めする。
その巨人の手に持たれているのは、巨大なマクアフィテル。
分厚い本体の側面には大量の聖剣が取り付けられており、まさに巨大な聖剣と化していた。
さらに両腕には巨大なレールガンが取り付けられており、これまた弾丸状に加工された聖剣を放っている。
当然それにかかるコストも時間も莫大であること考えれば、それほどまでにタンニーンを警戒していることがわかるというものだ。
「だが、新兵器のテストというのが気に食わんな!!」
そんないい加減な気持ちで、元龍王が倒されると思っては腹立たしい。
ゆえに、タンニーンは全力を出すことを誓う。
「いいだろう。ならばその兵器の限界というものを知るがいい!!」
『うん。もちろんそのつもりだよ』
そして、少女もまた譲らない。
『この第五世代型ISの方向性テスト、必ず成功させて見せる!!』
そう、彼女にも譲れない目的があるのだから。
そして、その戦闘は魔王たちですら苦戦を免れない状況だった。
「……話には、聞いていた」
サーゼクスの躰には裂傷が刻まれ、しかし血はあまり流れていない。
最初の出てくるであろう鮮血が、オーラによって消滅させられていたからだ。
そして、それを行ったISは目の前にいる。
「流石に、今の俺ではかすり傷が限界か。神や魔王すら殺せる神滅具の、それも最強の持ち主がこれでは笑えないな」
「いや、ここまで負傷したのは久しぶりだよ。誇るといい、君の実力はすでに最上級悪魔にも届いている」
そう心から賞賛し、そしてそれゆえに歯噛みするサーゼクスは、訪ねたいことを聞くことにする。
なにせ、彼はすでにレヴィアから事のあらましを聴いている。
ならば、それを確認するのはリアスを救ってくれた千冬に対する恩返しにもなるからだ。
「IS学園の襲撃部隊に、君もまた所属していたな?」
「ああ、俺は技術試験部隊に所属していたからね。ISと神器の連携運用テストのために参加していた」
堂々と、胸すら張って青年は答える。
「この世界を発展させる英雄ともあろうものが、その幕開けに参加しないわけがないだろう?」
「なるほど、確かに君たちが第三次世界大戦に勝利すれば、君はおそらく英雄となるだろう」
それはサーゼクスも認めるほかない。
事実、旧魔王派との戦いに勝利したサーゼクスは英雄と称されることもある。
しかし、もし負けていれば戦犯として蔑まれていただろう。
ゆえに、勝利すれば彼が英雄となることに否はない。
「だが、IS学園の生徒たちはまだ非戦闘員だ。……それを意図的に殺しに行った君たちを英雄と認めるのは、本意ではない」
その言葉とともに、サーゼクスは消滅の魔力を球状にして、大量に展開する。
千冬には悪いが、彼はここで倒せるものなら倒しておきたい。それほどまでその存在は驚異すぎる。
「最後に聞いておこう。……君の名前は」
「まだまだ答えよう。……技術試験部隊ヒーローズ所属の、曹操と名乗っている」
そして、最強の魔王と最強の神殺しは激突した。
すでに人類統一同盟は第五世代の模索中。
第五世代は現在試行錯誤中。とはいえ、今回の話で分かる通りこれまでのISとは異なるアプローチになる予定です。
そんでもってバルパーがやってくれました。
ぶっちゃけ聖剣使いの量産技術はこういう時破格。戦争なんて取れる手段をとるのが当たり前、とらないとか馬鹿なの死ぬの? というノリですね。人類統一同盟。
因みに人類統一同盟は本気で舐めプしてます。奴らの本気はこんなもんじゃありません