ハイスクールストラトス 風紀委員のインフィニット   作:グレン×グレン

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体育館裏のホーリー 3

 

 若手悪魔の次期当主たちに、眷属を含めてインタビューが行われるというイベントが起きた。

 

 前回の襲撃で落ち込んでいる冥界の雰囲気を盛り上げる一環ともなれば断るわけにはいかないので、レヴィアは眷属とともに素直に参加することにする。

 

 だが、その控室の空気は微妙に悪かった。

 

「あの野郎、マジで許せん! なあ元浜!!」

 

「ああ、まったくだ!! なあ織斑!!」

 

「同感だな! なんなんだあいつ! なあ蘭!」

 

「本当です! あれ絶対女の敵ですよ!! ねえ松田さん!!」

 

「……どうした、四人とも?」

 

 四者四様に怒りを見せている眷属仲間(同僚)を見て、千冬は何事かを首を傾げた。

 

「テレビでインタビューを受けるという時に、そんな調子ではレヴィアに恥をかかせるぞ? 愚痴なら聞いてやるから発散しろ」

 

「いやぁ、誠に申し訳ない千冬さん。……あのバカとっちめとけばよかったろうか」

 

 あまりの様子に普段より軟らかめに対応する千冬に謝りながらも、レヴィアもまた思い出すと機嫌が悪くなった。

 

 あのあと、ディオドラは眷属のトレードを申し出たのだ。

 

 狙いはもちろんアーシアだが、リアスは当然断った。

 

 そうしたら、こんどはディオドラは賭けを申し出たのだ。

 

 賭けの内容は次のレーティングゲームでの勝敗。もしディオドラが勝ったら、その時はアーシアを嫁にもらうという発言だった。

 

 この時点で女を者扱いしているような雰囲気が微妙にあり、その場にいた全員の機嫌が悪くなった。

 

「それで止めに入ったイッセー先輩になんていったと思います?」

 

「まあ大体予想がつくがな。下級悪魔ごときが無礼な……とかだろう」

 

 そう千冬もため息をつく。

 

「どうも悪魔はフランス革命前のフランス貴族のような傲慢さがあるようだな。レヴィアで慣れていると時々苦労するが、お前たちも大変だな」

 

「そうなんですよ申し訳ない。っていうかディオドラの奴どんだけアーシアちゃんにご執心なんだか」

 

 同じ上級悪魔として申し訳なく思い、レヴィアは一応頭を下げるがすぐに考えこむ。

 

「血統で個体差が大きく出てくるうえに、世代交代が長いからそういう感じでして」

 

「お前も苦労しているということか。今度何か奢ってやる」

 

「いや、千冬さんの給料、いまは僕が出してるんですけど」

 

 などと空気を緩い方向に弛緩させながら、レヴィアはと千冬はしかし懸念の表情を浮かべる。

 

 二人とも、少し気になることがあったのだ。

 

「ま、あまり気にしても意味ないし、リアス先輩たちなら勝てるだろ」

 

「まあ、赤龍帝の鎧を展開したイッセー先輩ならそう当たり負けしないとは思いますけど、ルール次第だと苦戦するかも……」

 

「ああ、レーティングゲームって最大火力とかに制限がかかるルールもいろいろあったからなぁ」

 

 と、会話が弾む中、レヴィアと千冬は少し距離を置くと小さな声で話し始めた。

 

「……少し気になるんだが、そのディオドラというのはそもそもなんで聖女がいるところで怪我をしていたんだ?」

 

「そこは気になりますね。普通、そんなことになったら冥界でも騒ぎになると思うんですが、調べても出てこなくて」

 

 常識的に考えて、上級悪魔の跡取りが管轄する土地と聖女が祭られている土地は距離が開けられているものだ。和平が結ばれてない状況ならなおさらだろう。

 

 そして、上級悪魔が聖女のいる土地で殺されかけたなどということになれば、それこそ開戦派が騒ぎ出してもおかしくない。

 

 にもかかわらずそれが起きてないということは、秘匿されたということである。

 

「……何かありそうだな。レヴィア、調べておいた方がいいと思うぞ?」

 

「了解しました。人を雇って調べてみますよ」

 

 二人はそう結論付けると、警戒心を一段上昇させる。

 

 なにせ、いまは準戦争状態といってもいい緊張状態である。

 

 少しぐらい警戒しすぎる程度でちょうどいい状態だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それはともかくとして、世の中は特に面白くできているものである。

 

「ふ、ふふっははっははふぅ……っ!」

 

「レヴィアさん! レヴィアさんしっかりしてください!!」

 

 鼻血を出して倒れ伏すレヴィアを抱きかかえながら、蘭が狼狽する。

 

 どうしてこうなったのかと蘭は考えるが、しかしそんなものなど決まりきっている。

 

「ああもう! だからそんな恰好したらだめって言ったんです!!」

 

 ……リアスたちがコスプレでゲームをしていた。

 

「あらあら。やっぱり裸よりもこういうののほうが刺激が強い時があるのねぇ」

 

 そんなおっとりと告げながらも、朱乃の表情はどSだった。

 

 レヴィアを性的にいじめることに、何かしらの興奮を抱いていることは間違いない。彼女は女性相手でも結構からかう時はからかうのだ。

 

 因みに、そんな彼女の恰好は巫女服ではあるが、太もも全開で胸元も申し訳程度に隠しているだけだった。

 

「どうですか一夏くん? 私、似合います?」

 

「に、似合ってるけど隠してください!!」

 

 一夏は速攻で視線を逸らすが、そこには同じ格好をした小猫がいて意味がなかった。

 

「似合いますか? にゃん♪」

 

「に、似合ってるから着替えろ小猫!!」

 

 前門の朱乃後門の小猫という状況に、一夏割とどぎまぎしていた。

 

「だ、大体嫁入り前の女がそんな格好したらいけないですよ朱乃さん! 小猫もそんなキャラじゃないだろう!?」

 

「あらあら、観られても構わないと思ったからこうしているのですわ。ねえ、小猫ちゃん?」

 

「はい。一夏さんにならみられてかまいません」

 

 そういいながらすり寄ってくる二人を、蘭が強引に引きはがす。

 

「落ち着いてください二人とも!! イッセー先輩帰ってきますよ!!」

 

「あらあら、見られても減るものじゃありませんわよ」

 

「いや、女の尊厳が減りますよ」

 

 一夏はまじめな表情で発言するが、朱乃は答えず再び抱き着いてくる。

 

「一夏くんは男の基準でものを見すぎですわ。私の尊厳はそんなことじゃ減りませんわよ?」

 

「へーりーまーすー!!」

 

「あ、イッセー先輩がかえってきました」

 

 小猫はそういうなり即座に上着を羽織って服を隠す。

 

「あらあら、どうせならイッセーくんにも見せてあげたらどうですか? 喜びますわよ?」

 

「嫁入り前の女性が付き合ってもない男の前でそんなことしたらだめです!! ほら上着貸しますから来てください!!」

 

 動じない朱乃に一夏は強引に自分の上着を着せるが、それがよくなかった。

 

「ただいま戻りまし……た……」

 

 リビングに入ってきたイッセーの視界に、そんな五人の様子が映る。

 

 興奮のあまり鼻血を出して気絶したレヴィア。

 

 顔を真っ赤にして涙目にすらなっている蘭。

 

 そして、露出度の高い服を着ていたせいで、上着誤字だと裸に上着という印象を与えてしまう小猫と朱乃。

 

 とどめに自分の上着を脱いでいる一夏。

 

 数秒で誤解した。

 

「……畜生抜け駆けされたぁああああああああ!!!」

 

「違います! 違いますから落ち着いてくださいイッセー先輩!!」

 

 号泣しながら走り出すイッセーを蘭は追いかけるが、そしてイッセーが逃げ込んだ先ではさらにド級の事態が勃発していた。

 

「あ、イッセーさん」

 

「イッセー、帰ってきたのね? ……似合うかしら?」

 

 そこには、朱乃と同様の恰好をしたアーシアと、悪魔を模した露出度の高い恰好をしたリアスがいた。

 

 数秒後………

 

「ぐふぁ」

 

「イッセー先輩しっかりしてください!! 誰か、輸血してください!!」

 

 今日もまた、兵藤邸は賑やかである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてリアスとディオドラの決戦日、レヴィア達もまた、応援のためにオカルト研究部室に集まっていた。

 

「……気合入ってるな、皆」

 

「当然だろ織斑。……アーシアはあんな奴に渡さない!!」

 

 一夏に答えるイッセーの表情がすべてを物語っているだろう。

 

 それほどまでに、グレモリー眷属はディオドラに怒りを燃やしていた。

 

「私たちのアーシアに手を出そうという気が起きないように、徹底的に叩き潰さないとね」

 

「そうだねゼノヴィア。僕も全力を出すよ」

 

 やる気を出しているゼノヴィアと祐斗の隣で、蘭は朱乃や小猫と話していた。

 

「あんな人なんかに負けないでくださいよ! 応援してますから!!」

 

「うふふ。ディオドラ・アスタロトは私がびりびりとしてあげますわ」

 

「私の分も残してください、朱乃さん」

 

 そのやる気十分な光景を見ながら、レヴィアは苦笑する。

 

「なかなかやる気満々だね。ま、当然といえば当然か」

 

「ええそうよ。ディオドラには、私達を愚弄した罪深さをいやというほど味合わせてあげないといけないもの」

 

 茶化すレヴィアにリアスは真剣な表情で答える。

 

 それほどまでに、アーシアのトレードは腹立たしいものだということだった。

 

「うわぁ、殺す気と書いてやる気と読む感じだな、オイ」

 

「ディオドラにはちょっとだけ同情するな」

 

 松田と元浜も口ではそういうことを言っているが、しかし表情は気合が入っている。

 

 決してレーティングゲームに参加するわけではないが、しかし応援に気合を入れているのは明白だった。

 

「じゃあ、行ってくるわね」

 

 そんなリアスのことばとともに、グレモリー眷属は全員が転移する。

 

 それを見送りながら、蘭は不安げな表情を浮かべた。

 

「レーティングゲーム、大丈夫でしょうか? グレモリー眷属は力技主体で特訓してるから、火力を制限されるとカモになりそうなんですけど」

 

 その不安は確かに当然だった。

 

 グレモリー眷属の特訓は、基本的に強大な力を発動させることを重視している。

 

 レーティングゲームだけではなくのちの実践も考慮しているからこそであるが、ゆえに力を抑えて手加減することはあまり主眼に置かれていない。

 

 こと、イッセーの場合は圧倒的な出力を発揮する禁手を覚醒させることが主眼だった。必然的に手加減の修練など積んでいない。

 

 もし、そんなルール更生でゲームが行われたとするならば、万が一の可能性も考慮に入れないといけない。

 

 そんな不安げな表情を浮かべる蘭に、レヴィアは安心させるように手を置いた。

 

「大丈夫。一応僕が魔王様にこっそり相談しておいたから、そんな一方的に不利になるようなルールにはならないよ」

 

 レヴィアはそういうと、こんどは魔方陣を展開する。

 

「さあ、VIPルームに行くよ。そこで僕たちも応援しないとね」

 

「ああ、そうだな」

 

 その言葉に、一夏もうなづいてそれに続く。

 

 だが、魔方陣に入る一瞬前に、少しだけ立ち止まるとレヴィアに振り向いた。

 

「……なあ、レヴィア」

 

「なんだい?」

 

 言いたいことはわかっている。とでも言いたげにレヴィアは微笑み、それをみて一夏もまたほほ笑んだ。

 

「もしイッセー達が負けたら、俺はディオドラに決闘申し込むからな」

 

「OKOK。その時はレヴィアタンの末裔の名において了承するよ」

 

 本当に仲間思いだなぁと、レヴィアは苦笑しながらもうなづいた。

 

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