ハイスクールストラトス 風紀委員のインフィニット   作:グレン×グレン

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この章は全体的にちょっと短め。


体育館裏のホーリー 終

 

 

 

 

「ロマンチストにもほどがある!!」

 

 レヴィアは吐き捨てるように叫ぶと、遺跡の一部を魔力で吹き飛ばす。

 

 明らかに八つ当たりでしかない行動だが、しかしそうでもしなければ我慢できない。

 

「王の駒!? 全能力の圧倒的強化!? ああ確かにすごいだろう、すごいだろうけどねぇ!!」

 

 ギリッと歯ぎしりをしながら、レヴィアは今後の世界を憂う。

 

 強大な力。確かに手に入るなら普通に欲しがるものは数多いだろうし、それそのものがよりよくなるために必要なもののひとつであることは否はない。

 

 だが、精神の鍛練を前提としない強化は、同時に暴走を招きかねないのだ。

 

 その問題点を、ネバンは暴走する感情をぶつける相手を用意することで対処した。

 

 彼女は、中世ヨーロッパの植民地時代を宇宙に広げようとしているのだ。

 

 まさに悪魔の所業。現代の人間では本来あり得ない暴挙ともいえる。

 

「どうするレヴィア! 乗り込んで倒すか?」

 

 一夏はそう聞くが、しかしレヴィアは首を振る。

 

「無理だ。これだけのクーデター。真悪魔派の全戦力を投入している可能性がある。……一週間やそこらで奪還作戦を行うなんて不可能だ」

 

 そして、この展開は大きくこの戦況を動かしていた。

 

「リゼヴィムさまが、ついに立たれたぞ!!」

 

「みな、リゼヴィムさまのところに向かうんだ!!」

 

「そんな、真なるルシファーが……?」

 

「ああ、悪魔ってのは本来そうだったはずだ! 俺はいくぜ!!」

 

「まて!! ……だが、止めたところでどうすれば―」

 

 数多くの悪魔たちが、リゼヴィムとネバンの演説で心を動かしている。

 

 すでに現魔王側の戦線は瓦解しているといってよく、旧魔王派たちも自分たちも続かんと気勢を上げて帰還するために霧へと飛び込んでいた。

 

 この状況は明らかにまずい。

 

 悪魔側の勢力図が、ネバンとリゼヴィムにひっくり返されたといってもいい。

 

「……レヴィアさん。すでに、冥界の一部でも暴動じみた移動が発生しています。特に転生悪魔の四割が移動を開始していて、追撃する人材も不足しているといっていいと……」

 

 通信を受け継いだ蘭が告げる内容に、さらにレヴィア達は動揺する。

 

 多くの悪魔はその傲慢さゆえに転生悪魔を奴隷のようにこき使うものもいる。

 

 それにうっぷんがたまっていた者たちが、先ほどの宣言に惑わされて反乱を決意したのだ。

 

 不幸中の幸いは、かつて魔王の前ですら堂々とそうすると宣言したネバンが本当にそうすることだけは信じられるということか。

 

「いや、今はイッセー達の方が大変だって!」

 

 と、松田がふと我に返って声を出す。

 

 確かに、いまはディオドラと戦っているはずのイッセーたちの心配をするべきだった。

 

 どうせ、この事態は魔王ルシファーたちが直々に動くほどの非常事態だ。本来(まつりごと)に深入りすることを良しとしないレヴィアが、直接動いていいような事態ではない。

 

「それもそうだね。うん、そろそろつくから覚悟を決めた方がいいよ皆!」

 

 レヴィアはそう意識を切り替えると、そのまま遺跡へと突入しようとして―

 

―とある国の片隅に、おっぱいドラゴンすんでいた♪

 

 そんな歌が聞こえてきた。

 

「「「「「???」」」」」

 

 首をかしげて全員がそれでも走って向かうと、そこにはもうなんというかわけのわからない光景があった。

 

 なんか異形の姿になっているイッセーらしき赤い龍。

 

 そしてなぜかそこにいるヴァーリチーム。

 

 そしてグレモリー眷属の横にはイリナがおり、ラジカセをもってその音楽を流している。

 

 ??????????

 

 疑問符が、彼らの中で渦巻いていた。

 

「えっと、これどういうこと?」

 

 全員を代表してレヴィアが質問する。

 

 それに答えたのは、祐斗だった。

 

「ディオドラ達は何とか倒せたんですが、そのあと現れたシャルバ・ベルゼブブにアーシアさんが次元の狭間に転送されてしまったんです。それも、無に充てられて消えてしまったはずだという推測までつけられて」

 

 だが、視線をずらすとそこにはちゃんとアーシアがいる。

 

「俺がたまたま拾ったのさ。ちょうど次元の狭間で行動していたんでね」

 

 そっけなくヴァーリがそう告げる中、しかし変な歌が響いて集中できない。

 

「それで、イッセーくんは覇龍を衝動的に発動してしまったんです。シャルバはそれで倒せたのですが、いまだ覇龍が解けなくて」

 

「それで! イッセーくんを何とかするためにアザゼル先生からこの歌を届けられたの!」

 

 朱乃の説明を引き継いで、イリナがポーズをとってまで決めてくるが、しかし何が何だかわからない。

 

―おっぱいおっぱいおっぱいドラゴン、ばいーんぶるるんぼいんぼいん♪

 

「天使がこんな歌運んできていいんですか?」

 

 蘭が何とかひねり出すが、しかしそれはある意味問題ではないだろう。

 

 よく見ると、映し出されている映像には作詞:アザ☆ゼル・作曲:サーゼクス・ルシファー・ダンス振り付け:セラフォルー・レヴィアたんというある意味壮絶たるメンツがそろっている。

 

「……こんなことで、冥界の重鎮たちが出てくるのかよ」

 

「俺、少しネバンの気持ちがわかった気がする。真面目なやつだとこのノリにはついていけないよな」

 

 唖然とする元浜に続いて、一夏も頭痛をこらえる表情をしていた。

 

 しかしそれはそれとして、効果は確かにあったようだ。

 

 いつの間にかイッセーの鎧は一部が変化して、指先が出てきていた。

 

「さあリアス! 今ならいけるわ、あなたの乳首を押させるのよ!!」

 

「ええ!?」

 

 と、こんどは朱乃が気が狂ったとしか思えない言葉をリアスに告げた。

 

「な、なにを言っているの、朱乃!!」

 

「それはこちらのセリフよ! 今ここで必要なのはあなたの乳首に決まっているじゃない!!」

 

「「「………」」」

 

 生乳首というキーワードに、変態三人が無言になって玩味するが、いろんな意味でそんな状況でいいのだろうか?

 

「うぅ……おっぱい、おっぱい……」

 

 因みにイッセーはイッセーでゾンビと化している。

 

「……蘭、私は一夏さんを好きになってよかった気がする。冷静に対処できるもん」

 

「うん。私はあまり冷静になれないかな」

 

 年少組が半目で事態を静観する中、朱乃とリアスの言い合いは続く。

 

 ちなみに、いつの間にかヴァーリがイッセーを羽交い絞めにもしているがそれは何というかどうでもいい。

 

「いい、リアス。イッセー君は貴方の乳首を押して禁手にいたった、なら逆のこともできるはずよ」

 

 一理あるが明らかに頭の痛い論理に、全員が何となく微妙な空気となっていた。BGMもあれなのでなおさらだろう。

 

「一夏くんは決してそんなことにならないししてくれそうにないもの。正直うらやましいわ」

 

「「それはまともな人の対応です」」

 

 心底残念そうにする朱乃に、小猫と蘭からのツッコミが静かに響く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………ちなみに、効果は絶大だったことをここに表記しておく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかし、リゼヴィムは禍の団に与するとはな」

 

 心底いやそうな顔で、ヴァーリは宙をにらんでいやそうな顔をする。

 

「だったらぜひ投降してくれ。そして半永久的に封印されてくれ」

 

 レヴィアは辛辣な言葉をヴァーリにかけるが、しかしヴァーリもまた首を振る。

 

「そうもいかない。俺にも俺の夢があり、それをかなえるには禍の団は比較的都合がいい」

 

 ヴァーリは複雑な表情を浮かべるが、しかし静かに首を振る。

 

 そんなこんなをしているとき、うめき声がわずかに聞こえた。

 

「う~ん……なんだ、一体?」

 

 頭を抱えながら、イッセーがゆっくりと起き上がる。

 

 そのとたんに、リアスやアーシアやゼノヴィアが一斉にイッセーに抱き着いた。

 

「うん一斉に抱き着いたなイッセーだけに」

 

「……十点ぐらいで」

 

「あらあら。一点ですわ」

 

「二点で」

 

「三人とも辛口評価だねぇ」

 

 愛してくれる女性から辛辣な評価を下され、一夏は静かに肩を落とす。

 

 まあそれはともかくとして、何とかこちらは潜り抜けたということか。

 

「それでヴァーリ? ここで決着をつけるかい?」

 

 レヴィアとしてそれでもかまわないと思っての発言だが、ヴァーリは静かに首を振った。

 

「いや、そもそもこちらとしては別の目的があってね。ほら、そろそろ見えるぞ?」

 

 そういいながらヴァーリは空を見上げ、そしてつられて見上げた全員の視界のさき、空間が裂けた。

 

 そこから浮かぶのは巨大なドラゴン。少なく見積もっても百メートルはあるであろう、

 

 その姿を見て、レヴィアは感嘆の声を上げる。

 

「驚いた。こんなところにグレートレッドが出てくるだなんて……」

 

「ぐ、グレートレッド?」

 

 首をかしげるイッセーに、ヴァーリは苦笑の笑みを浮かべる。

 

「もう少し勉強した方がいい。あれが、この世界最強の存在だ」

 

「その名もグレートレッド! 真なる赤龍神帝(アポカリュプス・ドラゴン)って言われてるんだぜぃ?」

 

 美猴がそういう中、一人の少女が其の場に現れた。

 

 黒と紫のドレスを身にまとった幼女ともいえる少女。

 

 だが、その場にいるだけで誰もがわかるほどに圧倒的な力を感じさせた。

 

「オーフィス。君も見に来たのか」

 

「我、久方ぶりに仇敵を見に来た」

 

 そう答える幼女―いな、オーフィスは、静かにグレートレッドを見ると指先を突き付ける。

 

「我、必ず静寂を手にする」

 

 それだけ言うと、オーフィスは音もなく姿を消した。

 

「……オーフィスの目的は、グレートレッドの抹殺かい?」

 

「ああ。次元の狭間に一人静寂を得たいといっていたよ」

 

 レヴィアの言葉に、ヴァーリはそういう。

 

「そして、俺もグレートレッドを倒したいという願いがある。それをなすことで『真なる白龍神皇』になることが俺の望みさ」

 

 そう告げると、ヴァーリの後ろにいた青年が剣を振り、次元に切り込みを作る。

 

「さて、それじゃあ俺たちも帰るとするか。……少し憂鬱だがな」

 

「おう! んじゃあな、おっぱいドラゴンにスイッチ姫!!」

 

「ちょっと猿! スイッチ姫って私のこと!?」

 

 美候の軽口にリアスは戦闘態勢をとるが、しかしヴァーリたちはかまわない。

 

 そしてそのままヴァーリ達が帰る中、レヴィアはやれやれと肩をすくめた。

 

「まあ、敵が一つ増えたうえにこっちは大問題だらけだけ……」

 

 それでも、一つだけいいことはある。

 

「この戦いは何とかしのげた。それは素直に喜ぼうか」

 

 戦いは続き、敵は強大になる。

 

 ましてやイッセーは覇龍の影響を心配するべきだろうし、一夏にとってもいいことではないだろう。

 

 だが、それでも生き残ることができた。

 

 今は、それを素直に喜ぼう。

 

 遅れながらも救援の部隊が駆けつける中、レヴィアはほっと一息をついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 禍の団の施設内で、ヴァーリはリゼヴィムと顔を合わせた。

 

「……まさか、貴様と同じ勢力につくことになるとはな」

 

「うっひょぉ敵意満々だぜヴァーリきゅん! アザゼルおじさんの指導は的確みたいだねぇ?」

 

 そう言っておちょくるリゼヴィムに、ヴァーリは心底憎悪にまみれた視線を送る。

 

 だが、さすがのヴァーリもうかつには戦闘をおこなわない。

 

 それは一応味方だからという配慮ではない。当然肉親の情でもない。

 

 単純に、いま挑んでも勝ち目がないことを理解しているからだ。それほどまでに自分とリゼヴィムの相性は最悪といってもいい。

 

 それでも仲間たちの力を借りれば勝算はあるが、それも難しい。

 

 リゼヴィムの周囲には鋭い視線を向けて警戒する戦士たちが何人もいたからだ。

 

 その代表ともいえる、ネバンが侮蔑の視線を向けながら平然と口を開いた

 

「さて、一応我々は同じ禍の団の勢力同士だ。仲よくしろとは言わんが、足並みはそろえてほしいところだな」

 

「ふん。目先の欲望だけで動いているような貴様に何ができる?」

 

 お前も旧魔王派と同じだろう、とでも言わんばかりの痛烈な言葉をヴァーリは返すが、ネバンはかけらも動じない。

 

 それどころか、むしろ哀れみを浮かべてすらいた。

 

「ふむ、逆に聞くが、それ以下の君は一体何をもってしてそれが通用すると思っているのかね?」

 

「……なんだと?」

 

 殺意が大幅に膨れ上がるが、しかしネバンは動じない。

 

 そして、その理由を察して、ヴァーリは警戒心を大幅に向上させた。

 

 それはリゼヴィムというカードを持っていることからくる余裕ではない。そして、この場でヴァーリが仕掛けてこないと高をくくっているわけでもない。

 

 単純にヴァーリと一対一で戦っても勝ち目があると理解しているからの余裕だった。

 

 それを油断ではなく事実だと理解していたからこそ、ヴァーリは心から警戒しているのである。

 

「……ふむ、白龍皇の力に溺れただけの愚か者ではないようだ」

 

 そうかえすと、ネバンは身をひるがえしてリゼヴィムを伴ってすれ違う。

 

「だが、恩人である堕天使アザゼルの悲願を妨害した貴様は、リゼヴィムと大差ないということを自覚するといい」

 

「……っ!!」

 

 最後に痛烈な皮肉を残して。

 

「ヴァーリ、いいのかよあのままで」

 

「落ち着きなさい美猴。まともに勝負すればこちらもただではすみませんよ」

 

 美猴をアーサーがたしなめる中、ヴァーリは血がにじむほどにまで拳を握り締める。

 

「俺が、リゼヴィムと同等以下だと………っ」

 

 自身の中でも最大級の侮辱。だが、ネバンは挑発のつもりで言ったのではない。

 

 心からネバンは今のヴァーリとリゼヴィムが同レベルだと思ったから、そういっているのだ。

 

 そして、その言葉を受けてヴァーリの脳裏にレヴィアの酷評がよみがえる。

 

 レヴィアは、ヴァーリをチンピラと断じた。

 

 そしてあの時の目は間違いなく自分をカテレア達よりも下として侮蔑している目だった。

 

 もし、彼女がリゼヴィムやネバンを見るとき、自分より下としてみるだろうかと疑問に思う。

 

 ……その答えを、想定しながらもヴァーリは意図的に遮断した。

 




実は、総合力でいうのならばオリキャラである魔王血縁三人衆で一番化け物なのはネバン。現四大魔王でいうならばアジュカに匹敵する化け物です。

たぶん説明する機会に恵まれないところからすごさを言うのならば、ネバンがリゼヴィムを眷属にできたのは悪魔の駒のリミッターを自力で解除したため。つまり彼女の眷属はほぼ全員が変異の駒で転生しています。

くわえて魔王の血縁というものを最大限に生かしたとはいえ、かなり重要な情報を獲得できる諜報力も含めれば、現四大魔王の戦闘能力以外のところを補うことも不可能ではないチートです。自分、敵をチートにする傾向が強いので。

ついでに言うとわかる人にわかる説明でいえば、ザムジオタイプです。たぶん自分の作品、このタイプが高確率でオリキャラで出てくるでしょう。持論に一理あるけど問題がありすぎるってすごいインパクトがでかくて書きやすいです。……しいて違いを上げるなら、ギャグ適性が低め?
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