ハイスクールストラトス 風紀委員のインフィニット   作:グレン×グレン

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放課後のラグナロク 11

 

 敵ISの動きは、これまでのゴーストをより強化したものだった。

 

 カスタム・ウイングが、脚部が、両腕が、時にスラスターとなり時にブレードとなり時に砲撃となって戦闘をおこなう。

 

 その火力は中級悪魔の下の方といった具合だったが、しかし一応下級悪魔がほとんどであるグレモリー眷属にとっては等しく脅威。

 

 ギャスパーが停止しようとしても、速度が速すぎて狙いきれず、逆に分散した蝙蝠を撃ち落とそうとされるためうかつに動けない。

 

 そのためギャスパーは量産型のミドガルズオルムを相手にすることを強いられるが、こちらも数が多いためなかなか対応ができなかった。

 

「うわぁあああん!! 役立たずでごめんなさい!!」

 

「そんなことはないよ。一体止めてくれるだけでもだいぶ助かる」

 

 泣きながらミドガルズオルムを停止させるギャスパーに、祐斗は笑顔で告げる。

 

 なにせ、量産型ミドガルズオルムが敵なのは人類統一同盟も同じなのだ。

 

 動きが完全に止まっているというその好機を逃すはずもなく、人類統一同盟は攻撃をそちらに向けるしかない。

 

 それにより敵は確実に少しは分散している。

 

 それがなければ、負けても全くおかしくないのだ。

 

 だが、人類統一同盟にとってはロキたちも祐斗たちも敵であることに変わりはない。

 

 ゆえに、敵は躊躇なく祐斗たちにも襲い掛かってきた。

 

 そのうち、一機が特に厄介だった。

 

「さあ、行くよ!!」

 

 素早く散弾砲とサブマシンガンで動きを止めたかと思うと、気づけばナイフを片手に接近戦を仕掛けてくる。

 

 かと思えばいつの間にかスナイパーライフルで狙撃を仕掛けるなど、その動きは臨機応変。

 

 加えて、両足や両腕、さらには背中のビーム兵器も臨機応変に使用するその機体は、間違いなく強敵だった。

 

「……やっぱり、実戦で展開装甲は使えすぎて使いにくいね。シャロッコさんが言ってた通り、これは理論が先行しすぎだよ。篠ノ乃束はやっぱり研究者なだけだね」

 

 そう漏らしながら戦闘を続ける相手に対し、祐斗は何とか一瞬のスキをついて距離を詰める。

 

 そして、聖魔剣の一撃が持っていたライフルをたたき切った。

 

「もらった」

 

「甘いよ!!」

 

 だが、その視界が巨大なシールドで埋まる。

 

 粘度を中心に構成されたらしいそのシールドは、途中まで聖魔剣に切られるが、逆にその動きを止める。

 

 祐斗はそれを引き抜かず手放して新たに聖魔剣を創造するが、その時間をついてその機体はすでに距離をとっていた。

 

「……やるね。少なくとも朱乃さんやリアス部長じゃ、悪いけど倒せそうにない」

 

 仮にも最上級クラスの血縁者である二人に対して無礼かもしれない。しかも祐斗はその部下ともいえる立場なのだから、不敬だろう。

 

 だが、それは紛れもない事実。

 

 グレモリー眷属において、赤龍帝兵藤一誠と並ぶ頭一つとびぬけたエースが木場祐斗。

 

 聖魔剣とはそれだけのイレギュラーであり、そして当人の技量もグレモリー眷属ではずば抜けている。

 

 その祐斗が、持ち味である速度をもってしても翻弄されている。

 

 ISの性能が高いだけではない。これは明確に使い手の技量が高いからこそできる芸当だ。

 

「僕の名前は木場祐斗。できれば、君の名前も聞いておきたいね」

 

 応えてくれるとは思わないが、これだけの実力者なら名前を憶えておきたいと思った。

 

 そして、それに対して、そのIS乗りは笑顔を浮かべた。

 

「シャルロット・デュノアだよ。……一応、もともとはフランスの代表候補生で、いまは技術試験部隊ヒーローズのテストパイロットだね」

 

「覚えておくよ。正直、応えてくれるとは思わなかった」

 

 祐斗は偽らざる本音でその誠意に堪える。

 

 人類統一同盟は、正真正銘の軍人だ。

 

 そこに、騎士のような誇りが介在するとは思えなかった。名乗りに対して隙と判断して攻撃を仕掛けてくることすら覚悟していた。

 

 だが、シャルロットは苦笑をもってしてそれにこたえる。

 

「そういうのが大好きな人が多いから、ちょっと移ったのかもね。それに、ISは数年前まで競技だったんだからそういうのもやらされてたから」

 

「そうか、それはよかったよ」

 

 その言葉とともに、祐斗は聖魔剣を構える。

 

 天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)を参考にした、速度強化型の聖魔剣。

 

 それは、すなわち今のままでは速度ですらかなわないと祐斗が認めたことに他ならない。

 

「君ほどの戦士に会えたことは僥倖だ。約束すると、死ぬその時まで君の名前は忘れない!」

 

「ありがとう。すぐにそうなると思おうけど敬意は感じるよ!」

 

 次の瞬間、超高速度での戦闘が再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ミドガルズオルムは龍王である。

 

 すなわち、並の最上級悪魔すら上回るほどの力を秘めた強大な存在だ。

 

 その量産型ともなれば、並の上級悪魔に匹敵するほどの性能を持った正真正銘の怪物である。

 

 しかし、人類統一同盟はそれに対して一で優っているとはいえ互角に渡り合っていた。

 

 放たれる火炎を確実にかわし、そして放射性弾丸を叩き込む。

 

 そして懐にもぐりこんでヒット&アウェイで聖剣で敵を切り裂く。

 

 さらに、全身の装甲からビームの刃が飛び出て、その皮膚に傷をつけていた。

 

 それをなすのは、激戦の末に手に入れた最新技術。

 

 人類最高峰。それも、ごく一部を除いてほかを圧倒するだけの能力を持った存在。頭脳におけるグレートレッドやオーフィスとでもいうべき規格外の天才科学者篠ノ之束の開発した技術。

 

 第四世代技術、展開装甲。

 

 エネルギー発生装置を備えた装甲そのものが、ISの自己進化機能により変化して、様々な状況に対応する兵器となる最新技術。

 

 世界が第三世代機を実験している現時点において、それをガン無視するようなことを成し遂げるあまり、束は間違いなく超人だった。

 

 だが、それを動かす兵士たちの感想はかなり悪かった。

 

「おい! これやっぱり使いずらいぞ!!」

 

「ああ。どれを使えばいいのかわかりにくい!!」

 

 それは、研究者という立場ゆえに盲点か。

 

 それとも、超越した素質を持つが故の視点のずれか。

 

 展開装甲は万能()()()

 

 あまりに高い自由度に、使用者たちは逆に混乱寸前だった。

 

 それを成し遂げるこの機体、ゴースト2が少数しか生産されてないことも納得できる。

 

 これなら、武装をある程度選ぶことができるゴーストの方が使いやすい。

 

 所詮は人を人として見ることすらできていない狂人の兵器ということか。

 

 そう判断し、彼らはこの機体の感想をこう記すことにした。

 

 篠ノ之束は人間を見ていない。それの証明としか言いようがないISだった。

 

 この戦闘ののち、人類統一同盟は展開装甲をごく一部のみに限定した装備とすることを決断。そのごの開発系統を第五世代に一本化し研究を発展することになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 兵藤一誠及び織斑一夏と戦っていたロキだったが、背後から殺気を感じて防御魔法を展開する。

 

 そしてそれから一瞬遅れて、無名のはずの聖剣がその結界を突き破りかけた。

 

 それはあり得ないといっても過言ではない。

 

 ロキは北欧の神の中でも、間違いなく高位の存在だ。その戦闘能力はアースガルズの戦力の中でも有数。間違いなく上から数えて二桁には入る実力を秘めている。

 

 彼の魔法はまさに神の御業。最上級悪魔でも平均値では大きく引きはがし、一対一ならよほどのことがない限り後れを取ることはない。

 

 そんな自身の結界魔法は、デュランダルの一撃すら防ぎきってみせたのだ。

 

 それを、ただの量産型の聖剣で貫くなど異常以外の何物でもない。

 

「ふむ。これは驚いた。……だが、種はある程度見えてきたぞ?」

 

 いうが早いか、ロキは即座にカウンターで攻撃を放つ。

 

 それを剣の主であるホグニはかわしもせずに受け止めた。

 

 上級悪魔すらたやすく屠ることのできる魔法攻撃を幾重にも受け、しかし彼の体は軽傷しかない。

 

 その傷も、一瞬で治療されすぐに健在な体があらわになる。

 

 それを見て、ロキはなるほどといわんばかりに顎に手をやった。

 

「それが、準神滅具と呼ばれる神器(セイクリッド・ギア)聖騎士王の鞘(シース・キャメロット)か」

 

「その通り。所有者を死にくくすることなら何でもできる、神滅具に次ぐ神器の一つ」

 

 それは、神器の中でも極めて強大なもののひとつ。

 

 能力そのものは事実上の単一ながら、その出力ならば神滅具にすら次ぐといわれる究極の一。

 

 所有者を死ににくくするためなら、耐久力向上から再生能力強化までなんでも行う、最高クラスの神器だった。

 

 そして、その由来はアーサー王伝説に出てくるエクスカリバーの鞘。

 

 魔術師マーリンがエクスカリバーより価値があるといい、所有者を不死にするといわれた究極の守り。

 

 その担い手が、今ここに存在していた。

 

「ならばわかるだろう。これの禁手がどのようなものか」

 

「知っているとも。所有者の持つ剣をエクスカリバーへと変じさせる、聖騎士王の聖剣(ソード・オブ・エクスカリバー)だったな」

 

 そう、すでに彼の持つ剣はすべてがエクスカリバー。

 

 ゆえに、その性能は凡百の聖剣など歯牙にもかけない。

 

 本来のエクスカリバーの力を宿したその剣は、聖魔剣すら大きく引き離す最強格の聖剣だった。

 

「今の俺ならばアース神族(貴様たち)すら殺すことができる。そして、殺される理由はわかっているな?」

 

 当然貴様は知っているだろう。

 

 そう言外に込められた問いに、ロキは失笑を浮かべた。

 

「我らの栄光をうけ、英雄として選ばれた一族の末裔がそのような決断をするとは、実に残念だ」

 

「そうか。……ならば死ぬがいい!!」

 

 次の瞬間、激戦は再び再開された。

 

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