ハイスクールストラトス 風紀委員のインフィニット   作:グレン×グレン

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放課後のラグナロク 12

 

 ロキとの戦闘がホグニが割って入ったことで一瞬中断した隙に、兵藤一誠も織斑一夏も、また別の戦闘を即座にすることになった。

 

 兵藤一誠と相対するのは、鋼鉄の巨人。

 

 全身にミサイルポッドを取り付けたその機体は、明らかに異様な圧迫感を与えていた。

 

『悪いけど、最上級悪魔クラスとの戦闘データを取らせてもらうから』

 

「……え? 俺、下級悪魔だけど?」

 

 思わぬ発言にイッセーは聞き返すが、その返答に巨人の担い手はため息をついた。

 

『自分の実力も分かってないんだ。……経験があるけど、そういうのは治した方がいいと思う』

 

「いやいやいやいや。俺、ヴァーリと比べたらかなり弱いからね? 最上級とか言いすぎだって」

 

『歴代最強の白龍皇確定の人と比べるとか馬鹿なの? 比較対象はきちんと選んで』

 

 なんか説教が入った。

 

 しかも、なんというか実感がこもっている説教にイッセーはどうしたものかと思う。

 

 とりあえず、よくわからないが自分の実力は評価されているということなのだろうか?

 

 そう聞こうとした瞬間、ものすごい速度でメイスが襲い掛かった。

 

 それをとっさに受け止めるが、加速がついたメイスは巨人の膂力も強大であるため押し切られて弾き飛ばされる。

 

 イッセーはその体勢をあえて整えずに、砲撃を敢行する。

 

 声からすれば少女のようだから洋服崩壊は有効かもしれないが、あれはパワードスーツというよりロボットなのでおそらく効かないだろう。

 

 なら、膂力の差もあるため近接戦闘は厳禁。ある程度距離をとって戦闘をおこなうべきだ。

 

 そう判断したイッセーの攻撃だが、しかし相手の機体はそれを軽やかにかわす。

 

 そして、反撃といわんばかりに両肩両足のミサイルポッドから大量のミサイルが放たれる。

 

 おそらくすべてが放射線付与。下手をすれば核弾頭の可能性すらある。

 

 そんなものの直撃は、赤龍帝の鎧といえど大打撃を受けるだろう。ならばかわすか迎撃するかの二択。

 

 イッセーは迎撃を選択して、ドラゴンショットを発射する。

 

 対IS戦術を考慮した拡散砲撃を、最短距離を突き進んで放たれるミサイルが裂けれるわけがない―

 

『……甘いから』

 

 ―はずだった。

 

 ミサイルは一斉に不規則に動き出すと、大きく方向を変換してドラゴンショットから身をかわす。

 

 そして、一斉にイッセーへと包囲してから襲い掛かった。

 

 そして、そんな包囲戦術に対抗できるほどイッセーは高速起動に卓越してはいない。

 

 必然的に、いくつものミサイルが着弾する。

 

「うわぁああああ!!」

 

 衝撃に体を揺さぶられ、イッセーは悲鳴を上げる。

 

 幸いダメージはそこまで大きくないが、これを何回も喰らえばさすがにきつい。

 

「くそ! いったい何なんだよ今のミサイル!! セシリアと同じビットか!?」

 

 ならば自由に動いてもおかしくないが、ビットはイギリスの実験段階の兵器のはずだ。

 

 今の段階で敵対している人類統一同盟が使えるわけがないし、何より大量すぎる。

 

 おそらく別の何かだが、それを考えている暇もない。

 

 ゆえに、イッセーは別の対策をとることにする。

 

「広がれ俺の夢空間!」

 

 乳語翻訳(パイリンガル)

 

 乳と対話するという、頭のねじが三つか四つは外れているといってもいいイッセーの新技。

 

 とはいえ、その能力は間違いなく脅威の一つでもある。

 

 心を読む能力の持ち主は、必然的に戦闘において有利である。確実に行動を知るということは、それほどまでに戦闘にアドバンテージを産むのだ。

 

 しかも、厳密には相手の乳と会話をするという気が狂っているとしか思えないアプローチによる把握であるため、通常の読心術対策が全く通用しないというメリットすら持つ。

 

 洋服崩壊と合わせて、兵藤一誠の対女性戦術の根幹なのだが―

 

『こないで、変態!』

 

 いうが早いが、敵はスラスターを全開にして距離をとった。

 

 そして素早くライフルを構えると、さらに背中のレールガンまで展開して狙撃を敢行する。

 

「あ、ちょっと待って! それ射程外!!」

 

『敵の能力の射程から外れるのは戦術の基本!!』

 

 正論である。

 

 そして、正論は正しい論であるため有効といえば有効なのだ。

 

 機体が大型化しているがゆえに、射程距離も相当に長いのか、乳語翻訳の射程の外から確実かつ正確に狙ってくる。

 

 それだけでも優れた性能を発揮していることの証明であり、間違いなくイッセーは苦戦していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、織斑一夏もまた、戦闘をおこなっていた。

 

 敵は黒いゴースト系列。それを前に、一夏は攻撃をおこなおうとし―

 

「いや、ここまでだ」

 

 その瞬間、一夏は動きが止められた。

 

 まるで空中に固定されたかのように動きが鈍い。

 

 パワーアシストもトルクも強化されているがゆえに動けるが、しかしそれは明らかに鈍い。

 

「なんだ、コレ……っ!」

 

「我が停止結界の前には何物も無力……といいたいが、さすがは教官の弟といっておこうか」

 

 抵抗を可能とするその姿を見ながら、黒いISを身にまとった少女は感心する。

 

 そして、その言葉に一夏は疑念を浮かべる。

 

 教官の弟という言葉に、どういうことかと一夏は疑念を浮かべた。

 

 だが、すぐにあっさりと事情を把握する。

 

 第二回モンドグロッソ。一夏にとって人生が大きく一変したその日。千冬はドイツの助けを借りて一夏の居場所を知ることができた。

 

 それはある意味で手遅れで無意味なものだったが、しかしすぐに発見できたのは事実である。

 

 ゆえに、借りは返さなければならない。千冬はその判断の元、教官としてドイツに一年間派遣されたことがある。

 

 つまり、目の前の彼女は―

 

「お前、ドイツの人間か!」

 

「そうだ。技術試験部隊ヒーローズ所属、ラウラ・ボーデヴィッヒだ。かつては黒ウサギ隊という部隊の隊長をしていた時期もあったな」

 

 なんかすごい経歴が来た。

 

 ぱっとみ外見年齢は一夏とそう変わりない……どころか幼くすら見えるが、しかしそれでIS部隊のトップに就くなど異例というほかあるまい。

 

 そして、動きを大きく封じられている状態での戦闘は大きく苦戦を強いられる。

 

 真正面から性能を発揮することができれば、相手が半分遊んでいるとはいえ白龍皇とすら渡り合える不知火が、しかし大きく苦戦していた。

 

 それほどまでの束縛を受けながら、一夏はしかし戦闘を繰り広げる。

 

「千冬姉の教え子なら、なんで人類統一同盟に参加してる!! 千冬姉があいつらに何されたのかは知ってるだろう!!」

 

「冗談は口だけにしろ。私はドイツ軍人で、ドイツは人類統一同盟の一員だ。……軍人が命令に違反するものか!!」

 

 強化された剣と、雷撃をまとったブレードがぶつかり合い、火花を散らす。

 

 速度というIS最大の特性を大幅に殺されながらも、しかし一夏は善戦していた。

 

 それをなすのは、単純なパワーだ。

 

 神器によるISの強化は、パワーアシストにも作用する。

 

 その圧倒的な膂力が、近接戦闘ににおけるアドバンテージとなてラウラと渡り合っていた。

 

「技術試験機など欠陥品だらけと思っていたが、流石は教官の弟といっておこう!」

 

「そっちこそ、千冬姉の教え子なだけあってなかなかやるじゃねえか!!」

 

 とはいえ、このままだと千日手。

 

 何とかして、打開をする必要がある戦いの流れだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、箒とヴァーリの戦いもまた白熱していた。

 

「いいね! 俺の半減が効いていないとか最高だ!!」

 

「流石に、それの対策抜きに貴様とは戦えんからな」

 

 ヴァーリ相手に接近戦で攻撃を繰り返しながら、箒は冷静に相手を見極める。

 

 シャロッコからは「自分の欲求に素直な子供。その責任をあまり考慮しないあたりチンピラに近い」といわれていたが、しかしその戦闘能力はチンピラなどというレベルに収まらない。

 

 その圧倒的な力を、箒はたった一人で打ち合っていた。

 

 振るうのは二振りの刀。

 

 獅子を模した装飾の施された二つの刀は、ヴァーリの攻撃を弾き飛ばし、そして鎧を傷つける。

 

 さらにヴァーリが攻撃を放っても、謎の光が現れてその攻撃を受け止めるため効果を発揮しなかった。

 

「素晴らしい。やはり神器というのは侮れないな!!」

 

「だろうな! そして、勝つのは私だ!!」

 

 箒は裂帛の気合を入れ、双刀を振り下ろす。

 

 それを受け止めるヴァーリだが、次の瞬間にそれが起きる。

 

 箒の身にまとわれたISが、まるで意志を持っているかのように動き出す。

 

 それらはヴァーリを包み込むと、そのまま拘束して動きを止める。

 

 そして、その一瞬の時間をついて、ISスーツとカスタム・ウイングだけの姿となった箒は中途なく刀を突き出した。

 

 確実に殺すつもりの勢いで放たれた一撃。その威力も上級悪魔の領域を超える。最上級悪魔であったとしても、当たり所が悪ければ致命傷になるだろう。

 

 だが、その攻撃をヴァーリは鎧で受け止めた。

 

 否、鎧だけではない。

 

 極小に展開された魔方陣による結界が、その一撃を完全に受け止めていた。

 

「……面白いな」

 

 ギリギリのところで命をつなぎながら、ヴァーリはとても面白そうに自分を拘束しているものを見る。

 

 ヴァーリを拘束する液体は、ほんのわずかに箒のISと繋がっていた。

 

 そう、それが意味することは一つ。

 

「ナノマシンを含めた液状金属で構成され、それを操作する第三世代武装を搭載したISか。さすがは実験部隊だ」

 

「ああそうだ。これがアマルガム・レオーネの力」

 

 箒はそういいながら、さらに機体を変化させる。

 

 力押しで無理やり拘束を突破されるより早く変化させ、いくつもの鞭と変化させてヴァーリに連続で攻撃を叩き込んだ。

 

 それらのすべてを弾き飛ばすことはできず、ヴァーリは何度か攻撃を喰らう。

 

 面白い。ヴァーリは素直に称賛した。

 

 ダメージはほとんどないとはいえ、割と本気を出している自分を相手に、ここまで攻撃を充てれるものはそうはいない。

 

 これがIS。これが篠ノ之束。これがシャロッコ・ベルゼブブ。これが人間。

 

 単純に威力はあるが、剣の使い手との模擬戦には事欠かないため比較的対処ができる二刀よりも、はるかにこのISの方が楽しめる戦いだった。

 

「ああ、面白いぞ人類統一同盟! 君たちと敵対するのも選択肢としてはありだったかな?」

 

「……下衆が。敵と味方の判断基準すらあいまいか!!」

 

 心からの嫌悪感とともに振るわれる攻撃を、ヴァーリも渾身の力を持って受け止める。

 

 そして、力比べになるその時、箒は心からの侮蔑の視線をヴァーリに向けた。

 

「仮にも敵味方はしっかりと区別できる分、リゼヴィムの方がまだましだな。世代を重ねるごとに劣化していくにもほどがあるぞ、ルシファー!!」

 

「……俺を、この白龍皇をリゼヴィムごときより下に見るか?」

 

 高揚していたテンションが一気に下がる。

 

 この世で一番嫌いな相手より人として下といわれ、ヴァーリは本気で怒りを込めた一撃を放った。

 

 それをたやすく受け流し、箒は蔑みの視線を向ける。

 

「養父を裏切ってまでテロリストに入ったかと思えば仕事はろくにせず、しかもこのような戦いで我々ではなくグレモリー眷属に助力を要請するなど、恥知らずにもほどがある。厚顔無恥め、リゼヴィムですら協力する相手は選ぶぞ?」

 

 心底本気で箒は答え、そして二刀を構える。

 

「……来るがいい、獅子の一閃(レグルス・ネクロ)の禁手、獅子の双刀(レグルス・ネクロ・ツインセイバー)の餌食にしてくれる」

 

「いいだろう。ならばこの俺の、白龍皇の真の力を見せてやろう!!」

 

 最低の男より下扱いされて、ヴァーリは本心から怒りの感情を放つ。

 

 そしてそのまま空間ごと半減を試みようとして―

 

「―チィッ!!」

 

 とっさに、箒が後退する。

 

 それを逃げとみてヴァーリは追撃しようとし―

 

「―よし。でかしたぞ、我が子よ」

 

 真後ろから、フェンリルにかみつかれた。

 




まあ、大型機の使用者は大体予想できた方も多いでしょう。さて、彼女は誰とフラグを立てるのかはまだナイショです。


ヨーロッパの多くが人類統一同盟側ということで、予想している方も結構いたであろうラウラの敵対。実際、一夏と激突させるのにはうってつけの人物なので、何らかの形で敵対させたかった。

一夏にとっては越えるべき壁。果たしてどうなることかお楽しみに。


箒が持っているのは準神滅具です。能力的には文字通り獅子王の戦斧の劣化版になります。

とはいえ、其の破壊力は禁手にいたっていることもあって絶大。ヴァーリといえど楽には勝たせてくれません。

また、高性能の第三世代機を保有していることもあって強敵です。科学的な機能を持った平気で、かつ近接戦闘能力を大幅に向上させることを想定した結果生まれた機体でもあります。
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