ナニカサレタ男がFEifの世界で(ry 番外編 作:エーブリス
一年戦争を全てFEifのキャラに置き換え、尚且つ暗夜白夜にガンダムっぽい設定を僕自身の脳内で書き上げ、そして色んな戦闘を書いてみたってだけです。
さらに言うと、色んな世代(基本初代~UCまで)のMSがゴッチャになり、尚且つ物凄いハチャメチャなオリジナル改造が加えられている可能性もあります。
UC007X年、スペースコロニー国家暗夜王国は自国の資源不足解決の為、地上国家白夜王国への宣戦布告を決する。
それは後に『暗白戦争』と呼ばれる大戦の幕開けだった…
「遅えな。まさか情報部は場所間違えてるんじゃねえだろうな?」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
【宇宙要塞ブラックドラッケン】
この作業服の男は、モップ片手にサウナに居た。
今は稼働時間外で蒸し暑さとかは無く、ただ薄暗いだけの木造の部屋だ。
男の目的はただ一つ、掃除。
しかし彼は用務員にあらず、れっきとしたMSパイロットである。
この男――――――名をマーシレスは度重なる規則違反の処罰の末、現在【サウナ掃除計13年の罰】を課せられているのだ。
そして何よりも彼がこの要塞きってのエースパイロットであることから、人々は皆敬意と笑いとその他主に優しさの様なモノ含めて【サウナのエースパイロット】と呼ぶ
扱われ方としてはトイレの神様と同じだ。
現在サウナ掃除3年目、残り10年。
彼は今日も罰掃除をこなす。
「サ~メをな~ぐ~る~と~、な~んこつ~がひ・と・つ~…」
「ああ、マーシレス中尉?歌うのは構わないが掃除はサボっていないだろうね?」
「へ?あ、少佐。
はい、サボりは一切しておりませんぜ。
で、何ゆえこんなところに?まさか一汗かきにきたって訳じゃないでしょ。
少佐には専用のサウナありますからね」
「あのサウナはヴィヒタが無いからなぁ…
コホン。それはともかく中尉、君に辞令が下った。
これから地球に行きなさい」
突然の指令にマーシレスはしばし黙り込んだ。
「地球…具体的には」
「第08採掘基地だ、あのカミラ陛下が今指揮をとっておられる」
「08ねぇ…あそこは陛下がいるおかげで敵さんも血の気多くなってるとも言えますがね」
「それは無いだろう、少なくとも白夜にはその情報は漏れてないはずだ。
それと地球圏では機体が支給されるようだ、君のガブスレイとは当分お別れだな」
「あら、そりゃ寂しくなりますね。
オッゴじゃなきゃいいがな…」
「ははは、腐っても君はエースだ。そんな真似はされないだろう…安心したまえ」
腐っても…と、マーシレスは心で呟きながらため息をついた。
まあ仕方ない。ラジオ持ち込みに始まり、部下のハンブラビのコックピットに溢れんばかりのTE〇GAを仕込んだりと好き勝手やってきたのだ。
むしろそこまでして軽い処罰で済ませている少佐の懐深さに、この男は感謝すべきだ。
「では、マーシレス行ってまいりまーす」
「くれぐれも向こうで面倒起こさんでくれよ!」
こうして一人のエースパイロットが、重力戦線に降り立った。
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ナニカサレタ男一周年記念!
『(ナニカサレタ)FEifで一年戦争!!~作者最近ガンオペ始めました~』
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第08採掘基地、またの名をノースキャッスル。
つい先ほど宇宙より一機の小型輸送機が到着した。
「…懐かしいな、この重力の重み。そしてこの汚ったねえ空気」
長い長い滑走路にマーシレスは降り立った。
戦で汚染されているとは思えない、蒼い空を見上げながら彼は地球を一歩一歩踏みしめる。
その先には、彼を迎えに一人の男がいた。
「お待ちしていました、マーシレス中尉。曹長のデニムです」
デニムという小太りの中年がマーシレスに向けて敬礼を見せた。
彼はこの基地でもかなりのベテランパイロットだ。
「おう、ご苦労だったなテニム曹長」
「あ、あの…テニムではなくデニムです」
「おっとすまんね、名前覚えるのは昔っから苦手なんだよ。
所でテニス曹長、陛下の元へ案内してくれるか?
少佐にまず顔を合わせるよう言われてるんだ」
「カミラ中将のお部屋ですね、案内します。
あとデニムです」
デニムに連れられ、マーシレスは建物へ向かった。
「しかしまあ、有名な『緋爪の鴉』を生で見られるとは感激ですな。
こちらでも聞いてますぞ、クローをヒートナタに換装したガブスレイで敵艦隊を全滅させた…」
「やめろよ、恥ずかしい。
それにありゃあ無茶してクローをぶっ壊したから仕方なく試作MAのヒートナタを無理矢理くっつけただけだぜ。よく壊れなかったもんだと思ってるよ」
マーシレスが建物内に案内されてまず見たのは、3機のイフリートだった。
イフリートは性能の高さに比例して高いコストからエースパイロットに配備され、それぞれ違ったカスタムをされてる、いわば職人ご用達みたいな機体だ。
そんな高価なモノが3機…やはり国の王族がいるとあって、それに見合うエースパイロットがいるのだろう。
「あのイフリート…3機も」
「ああ、アレは中央がカミラ中将専用機。その左右が中将直属の部下の専用機です」
「陛下の?…装飾はされてないぜ?」
「中将は頻繫に自ら戦場へ飛び出すんですよ。
我々が何度止めても………」
デニムが掌で顔を覆った。
一体何が…ってか、ナニがあったのだろうか。
あまり過激な事でない事を願おう。
「とは言え、白夜も次期国王が格闘機で一個大隊を全滅させたとかいう話があるからな。
むしろ両国王家全員武闘派とかでも可笑しくねぇわ」
「ははは。それが本当だったら、もう王族だけでいいのではないですか?」
「だな。もう腕相撲で決着付けてくれ」
しばらく歩くと、水色の機体が現れた。
肩には魔王を思わせる大型の角、そして睨みつけるかのようなモノアイ。
「中尉の機体はこちらとなります」
「…グフカスタム。別に本家グフでもよかったんだぜ?」
「本家は整備士に拒否されちまいまして。
あの憎たらしいフィンガーバルカンは整備士泣かせで有名ですから」
「あー、なるほ。
所で可変機は無いのか?」
「一応メッサーラがありますが、アレは地球での運用を考えていませんからね」
「高重力下の木星での運用が前提だから地球でも十分行けると思うぞ。
まあ…問題は空気抵抗か。木星に空気あったかな?」
雑談の中で二人は更にグフカスタムへ近づき、その武装も見えてきた。
「うわ…なんかクッソでけえ棍棒持たされてんのなぁ。
グフだからって、こんなのドムじゃねえと…」
「ジェネレーターや駆動系を改造したので動きには一切問題はありませんよ。
因みにヒートロッドは本家のモノを使用しております」
「ソレ逆に整備性悪くならねえか?」
「そんな事ないわ。ウチにはグフのパーツがいっぱい余ってて使っても使い切れないくらいなの」
そんな疑問を投げかけた時だった。
後ろから妖艶な、女性の声が聞こえた。
「は!?ち、中将!態々いらしていたのですね!」
「ええ。輸送機の到着が遅れていると聞いて」
マーシレスは振り向いてまず、驚いた。
彼は今までカミラの姿など見たことは無かったが、今こうして生で見ていると必ず思う。
デカい(胸が)。
…っと、そんな思秋期真っ盛りな思考はさておき。
「…あ、申し遅れました殿下。」
暗夜王国第12宇宙基地ブラックドラッケン所属、マーシレス中尉、本日ただいまを経て一時的にカミラ殿下の指揮下に入ります」
「ええ、よろしく。貴方の話は聞いているわ。
それと『殿下』はやめて頂戴。階級で呼んでくれるかしら?」
「はっ、階級…ですか」
マーシレスはカミラの階級を知らず内心戸惑った。
だが、デニムが先ほどから『中将』と呼んでいた事を思い出した。
「了解しました、カミラ中将」
「そうそう、それでいいわ。
所で、早速で悪いけれど任務を一つ頼まれてくれる?」
「構いませんよ。して、内容は?」
「緊急…という訳ではないけれども、少し急いだほうがいいかもしれないわね。
防衛隊から連絡があったの、『複数の物凄く速い何かがこの基地に進軍している』と」
「なるほど、大体わかりました。
俺にはその敵部隊の足止めを、と」
「いいえ少し違うわ。
全員殺して頂戴、お残しはダメよ」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
すでに日が暮れようとする時刻。
元よりマーシレスが基地に着いたのは5時過ぎであったが。
「…で、グフカス一機で来るかわからん敵を待っているのか。
悲しいね、お前もそう思うだろ?」
コックピットの中、マーシレスはグフカスタムに語り掛けた。
それに応えるように、グフカスタムはモノアイの光を少し落としたようにも感じた。
それでも時は止まらない。
今は、そもそも『物凄く速い“何か”』と言わしめるソレが何なのか?という疑問が彼の頭を満たしていた。
一瞬白夜のジムライトアーマーなどの発展機かと思ったが、それならばモビルスーツという単語を使うハズだ。
という事はモビルアーマー、もしくはドラッツェ(それとカウントされるのならばサク)のような量産特化機や高機動型のボールだろうか
最もボールを高機動化したところで何になるんだろうか。
『中尉、調子はどう?』
「カミラ中将…ええ、ひm――――――異常はありません。
赤い地平線を見渡してもなーんにも見えやしませんぜ」
『あらそう。それは暇でしょうね…』
「(暇っていっちゃったよこの人。態々言い直したのに!)ええ。無礼な事をお聞きするようですが、情報は間違っちゃいないんですよね?
補給してるとも考えづらい」
『大丈夫よ、複数の目撃情報が―――――――――――――――――――――
…何?…わかったわ。少し席を外すわ、中尉』
「え?あ、はい。
…とうとう話し相手がいなくなった」
そしてまた一人と一機になった。
待ち伏せと言えば、例の宙域の奴らはどうやって時間を潰しているのだろうか?
まあどうせファーストストライクでもスナック感覚で齧りながら、アダルト映画でも見てるんだろうな…と、彼は想像した。
ついでに「肝臓病にでもなっちまえ」と、暇潰しの道具のないマーシレスは想像上の宙域の兵士達へ中指を立てたことも加えておく。
「もうそろそろ暗くなりそうだ。
ドラッケンじゃこの頃はサウナにいたろうな…」
沈みゆく太陽を見ながら、しばしの間黄昏た。
そんな時だった、暗くなりつつある地平線から黒い物体が飛び出した。
「あ!?何だ今の…なんか黒いゴキブリみてえな――――――ハッ!!!!!」
マーシレスは直感で迫る危機のような、殺意を感じた。
あまりにも説明しがたい直感だ…けれども確信できる自身が彼にあった。
直感の赴くままに左手のガトリングシールドを掃射した。
…すると何と撃破の手ごたえがあったのだ。
見えたのは黒色の、ゴキブリにザリガニの腕を付けたようなMAか何かの群れ。
「まずい…!中将!…は居ねえのか今ッ!!」
報告を断念し、薄暗がりの中での戦闘が本格的に始まった。
ガトリングシールドと使い捨て前提で持ってきたザクマシンガンをトリガー引きっぱなしで謎の襲撃者を蹴散らした。
弾幕をかいくぐり接近したMAは、グフカスタムの脚でペシャン公…もといぺしゃんこに踏み潰した。
「ああもう!ビームライフルが欲しい!フェダーインライフルもってこい!
グフカスじゃジェネレーター出力足りないだぁ?知るか!欲しいんだよ俺が!」
苛立ちで絶叫する内、ついにザクマシンガンの弾が切れた。
「とうとう弾切れかザクマシンガン。
攻め時だな…んじゃ、このデカブツで吹っ飛ばしてやらあ!!!」
背中に納刀された鉄塊…ソードメイスを引き抜き、MAの群れ目掛けて駆けた。
ガトリングシールドを四方八方に掃射しながらソードメイスをぶん回し、MAをかち上げ叩き付け薙ぎ払い貫いた。
ソードメイスが一時的に手元を離れてからは、ヒートロッドで群がる敵を切り裂く。
「あぶねえ…本家使用でよかったぜ、ヒートロッド」
『中尉、敵の正体が…』
「中将ォ!今それどころじゃねえ!!!
ゴキの群れが殺しに来てんだ!悪夢だぜこりゃ!」
『ゴキ…大きな鳥みたいな白いのは?』
「大きな鳥なんていませんぜ!居たらとっくに撃ち落としてらあ!」
突然の無線に対応しながら、ガトリングシールドやソードメイスそしてヒートロッドを巧みに操り着々と数を減らす。
「くぉらああああ、!?チィ…!!ガトリングシールドも寿命か!
腐っても野良犬以下でも一応エースパイロットだ俺は!意地ってもんがあるんだ、黒光りするボディに焼き付けてぶっ壊れろ!!!」
近接オンリーになっても勢いは衰えなかった。
「畜生!!ここにきて動作不良か、動きが鈍くなった!
もっと速く動いてくれよ!なあ!」
『そんな…これ以上は無理よ、撤退して!』
「右もゴキ左もゴキ前も後ろもゴキ!どう下がれってんだ!
ここまで来たらもう何処にも逃げ場はない!」
エースの名に恥じぬ獅子奮迅っぶりを見せるマーシレス。
それに勝利の女神が応じたのか、MAの数は少しづつ減っている。
あと10匹!あと9匹!
「消えろ!不快害虫!」
あと8!7!6!
「うぉおおおおおおおお!!!!」
5!4! 3! 2! ………ッ!!
最後の一匹。
それは突如現れた影に潰された。
「はッ!?」
その影――――――MSは、マーシレスのグフカスタムよりも更に大きな棍棒を担いでいた。
MSの形は、まるで悪魔の様に要所要所が角のようになっており………そして何よりもその色だ。
暗夜にとって、最も忌むべきMSの色。
彼にとってもそれは最も狩るべき存在。
ガンダムだ。
「白夜の…ガンダム…!!!
中将!白夜の機体を確認した!!!!
ガンダムだ!ガンダムが現れた!今すぐ戦闘を開始する!!!」
『ガンダム!?…やれるわね?』
「さあな。もしかすると今日が鴉の命日かもしれません。
俺は死に場所を見つけました、それでは…」
『待ってくれ!僕は貴方と戦うつもりはない!!!』
「!?」
突然の無線にマーシレスは内心驚いた。
「…おい、ガンダム。冗談キツイぜ」
『信じてくれ、今はそれどころじゃないんだ!!!』
「あっそ………なら安心しな、少なくとも…南極条約があるから、よッ!!!」
『そんな…!』
ガンダム…いや、ガンダムバルバトスとグフカスタムの戦闘が始まった。
おそらく機体の性能差は比べるまでもない…だが、
「性能差だけが、戦力差じゃねえって教えてやるぜ!坊や!」
『待ってくれ……ッ!!』
「来いよ!戦い方を教えてやる、腰抜け!」
中身次第でそれも変わる。
世間知らずの甘ちゃんと、殺る気に満ち溢れたエースでは性能差など関係ないだろう。
遂にガンダムバルバトスがグフの脚に掬われ、背中から転げ落ちた。
仰向けのガンダムに、グフカスタムのソードメイスの刃先が向けられる。
「じゃあな。アンタにもガンダムにも恨みはねえが、コレ戦争なのよね…」
そしてコックピットに、刃先というギロチンが落とされ…
『待って、中尉。
ガンダムのパイロットは生け捕りにして、お願い』
その前に、カミラが止めた。
「…わかりました。
という訳だ、安心しな。臭い飯は保証してくれるってさ」
処刑を免れたガンダムのパイロットは、ソードメイスの代わりにヒートロッドの電撃が落ちた。
その直後、暗夜の増援が駆け付けた。
□ □ □ □ □ □
第08採掘基地
「ご苦労様、マーシレス中尉。
噂以上の活躍ね。初めての機体をあそこまで使いこなすなんて…」
「いえ、自分ただのグフは操縦経験があるんです。
ヒートロッドの仕様が同じだったのは救いでした」
休憩スペースで、マーシレスは自分のケガ(と言っても軽い出血程度だが)を手当てしながらカミラと話した。
「そう…
所で一つ、言う事があるの。
グフカスタムに整備不良も目立った故障も見当たらなかったわ」
「バカな…でもあの時は本当に動きの鈍さを感じました。
まるで急についてこれなくなったような――――――まさか…」
「まだ確信が得られた訳ではないハズよ。
もしそうなら、また別の機体を用意するわ」
「ああ…宇宙に戻ってもガブスレイとは永遠のお別れか。
まあ、もし俺がそうだったとしても機体の当てはありますね…」
マーシレスの先には、ボロボロになったガンダムバルバトスが窓越しに見えていた。
続く。
あんまり長くし過ぎたんで分けました。
次回、サイコミュ兵器登場。
さらにWガンダム勢もいくつか登場します。
とにかく、遅れてスミマセンデシタ。