ナニカサレタ男がFEifの世界で(ry 番外編   作:エーブリス

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なんかツイッターで何度か言ってた「クリスマス要素ほとんどないクリスマス回」を書きます。


ヒキコモリマス

街の広場のど真ん中にでかでかと居座るバルーンのサンタを見上げる。

…いいデカさだ、アレックスを倒す囮にしてやりたいくらいだ。

 

 

今年もとうとう終わりが近づいて来た。

ちょっと故郷に帰ってみりゃ、いつの間にか平成が終わって…なんだったかな、あそうだ、“令和”とかいう年号になってやがったりしてたんだ。

 

というか何なんだ令和って。

俺は次の年号は【ゾゴック】だと想定したんだ…酔った勢いでな。

 

―――え?酔えないだろって?

こんなとこ来る11年前の話だ。

 

―――え?その時は酒の飲める歳じゃねえだろって?

非行少年の些細な好奇心だ、忘れな。

 

 

センスのない名前は年相応ってことだ。

――――ただの黒歴史だっつの。

 

 

 

今日、ホントは白夜まで電車使って出向いて、態々ホルモン焼きを食いに行く予定だったが…急遽ウチにスミカが帰ってくるってんでね、こうして飽きるほど食った七面鳥を1匹分丸々買いに行ってその帰りっちゅうわけだ。

 

何?電車は馬車の間違いじゃないのか、って?

残念、国営で線路引いてるんです暗夜白夜。漂流技術の恩恵凄いね。

透魔は…立地的に無理だな、寧ろエレベーター立てた方が速いレベル。

 

 

…ホルモン焼きの(雀の涙みたいな)恨みで、スミカの大っ嫌いな鶏皮と砂肝も沢山買ってきたがな。酒の肴にさせてもらう…酔えないけどな。

 

 

 

実は2か月ぶりのスミカとの会話が待ちきれなくって、少し早歩きになった。

まあ…マトモに話してもらえるかは分からんがな、もう拗ねらせてる時期こそ過ぎたけれど臭い親父と話すのは死んでも御免だと言ってくるかも…そんな事言われた日には消臭剤で窒息死してやるわ死なねえけど。

 

明かりと装飾でやかましかった街を抜け出し、暗くて静けさのある道へと突入…この先を行けば、山奥と過疎った村と住宅街のせめぎ合いあたりにあるような閑散とした場所、そこに我が家がある。

 

 

あんまり閑散とし過ぎて、家の密度なんて銃身の歪んだマスケット銃を俺が8発撃った時よりも酷い。

ご近所と言えば、多少の坂を上がり下がりして橋を渡って……その後なんやかんやしてやっと寂れた家があるくらいなんだ。そして互いに顔を知っているかと言われれば…だめだ、唇の下のでっかいホクロしか思い出せねぇ…オ○ギリジョーかっての。

 

 

 

「…っと。

通り過ぎる所だった」

 

玄関前を通過して2歩3歩、足跡を辿るようにバックしてドア前まで戻る。

 

 

機械化・自動化が急速に進んでいくこの世界も、残念ながらこんな辺境見たいな場所じゃオートロックなんか拝めないどころか、ピンタンブラーもウェハータンブラーも更にはディスクタンブラーも…そしてなんとレバータンブラーですらもお目にかかる事が出来ず、使われてる施錠技術と言ったら、アンティークなスケルトンキーで開けるセキュリティボロクソのウォード錠である。

 

知ってるか?ウォード錠って対応してないスケルトンキーでも開けられたりするんだぜ?

大体ウォード錠の複雑性は芸術性に振り切ってるわけでセキュリティ性能は…――――。

 

 

っと、此処までにしておこう。

 

 

「ただいま。

でっかいの売ってたよ」

 

買ってきた七面鳥の肉を袋から取り出して、玄関まで迎えに来てくれたベルカに見せた。

 

「おかえり。

…ちょっと、大きすぎ。焼くのに時間がかかるわ…」

 

「あー…まあ、半分か4当分しよう、それで多分イケる」

 

「そうね…」

 

 

「…所で、スミカは?」

 

「さあ…?

たぶ、れっと…?っていうのをじっと見てる」

 

「ワロタ、久々に親の家来てまでソレかよ。

…まあちょっと顔見せてくる」

 

ま、ウチにはコンセント無ぇから充電は出来ねえぞって忠告してやるか。

 

七面鳥をベルカに預けて、リビングのソファーで寝転がるスミカを上から覗き込んだ。

…なぜかタブレットに随分と若い唐○充が映ってるんだが。

 

 

「よう、久々に家に来てそれか」

 

「おかえり父さん。

いいじゃん今いい所なんだから」

 

「ふーん、何見てんだ―?」

 

更に回り込んで、タブレットの画面を見れる所まで来たら…。

 

 

「見るなー」

 

ぐるり、と反対側を向かれて俺が見れるのはタブレットの裏側だけだった。

 

「ちぇっ。

けっちぃ娘だこと」

 

 

 

 […―――のギター聴いてみたい。]

 

だれだっけ、この女優。

まあいいや…もう今さっき出た名前で何を見てるか分かった。

 

チラッと、○橋充がフォークギターを掴むシーンだけが見えた。

…そろそろだな。

 

 

多少の物音の後、ギターの穏やかな演奏が始まった。

しばらくして、誰かと誰かが殴り合う物騒な物音がタブレットから響いた。

 

 

 

 

さて、こっから見せ場だな。

 

 [おい知ってるか、夢を持つとな時々すっごい切なくなるが、時々すっごい熱くなる……]

「おい知ってるか、夢を持つとな時々すっごい切なくなるが、時々すっごい熱くなる……」

 

「え?」

 

あ、スミカの奴、反応した。

やった…これだけで十分成し遂げた気持ちだ。

 

 

 […らしいぜ]

「…らしいぜ」

 

しっかしまあ、半田○人っていい感じの老け方したよね。

 

 

 [俺には夢が無い…でもな]

 

ここは言いそびれた。

ちょっとここら辺は記憶が曖昧な部分があってね。

 

けど次から完全に立て直せる。

 

 [夢を守る事は出来る]

「夢を守る事は出来る」

 

 

stand by…という電子音に合わせてエアーで携帯電話(ファイズフォン)を閉じる動作をして、その手を高く掲げる。

 

 

 [変身!]

 「変身!」

 

そしてベルトにフォンを装着する動作…その他諸々の動作も完璧だったと自負できる。

スミカは目をぱちくりさせ、タブレットの555と俺を目まぐるしく見比べていた。

 

 

「え、え…?

ちょっと!?なんで父さん知ってるの!?」

 

一旦再生を止めて、俺に落ち着きなく問いかけた。

 

「知ってて悪いか?

これでも8か9歳ぐらいの頃までは平成一期の主人公ライダーの変身ポーズ全部知ってたぜ?」

 

「ちょっ!なんで……って、あ、あー…そう、だった。

そう言えば…」

 

なんか一人で合点がいってるようだが…まあ遺伝だこういうの。

そして何かスッキリしたような顔で再び【仮面ライダー555】の再生を始めた。

 

画面にはアップで若い泉政行の顔が映っている。

 

 […夢って言うのは呪いと同じなんだ…!]

 

何だかんだ、ファイズはそんなに見てなかったがこのシーンは結構記憶に残る。

此処からの木場さんのシーンは特に、だ。

 

 

…んで、なんか俺も一緒に見るのを許されてる。

 

「もう、なんてか…555は誰も救われてないよなぁ」

 

「ネタバレは止めてよ?

まだ8話なんだから」

 

「気を付ける」

 

 

いつの間にかシーンは木場さんとオウルオルフェノクの戦闘シーンになっていた。

確かこのオウルオルフェノクは相当なクズだった気がするが…なんだったっけか?

 

 

 

 

 

 

 […ここまでだ]

 

ぼうっと見てたらギターの演奏が終わっていた。

最後の方、とても演奏が不安定だったが――――…あぁそうだ思い出した、あのフクロウのせいで手を怪我してたんだった。

 

 

 

…その後、バジンたんが思いっ切りFFを決めて乾にキレられる所は俺もスミカもニヤけた。

「思いっ切り巻き込んでるし」「ファイズ諸共沈め、ってか?」…見たいな感じで。

 

 

 

 

 

 

 

 

やがて木場さんもファイズも決着が付き、互いにカッコよく必殺(片方に疑問符)を決めてフィニッシュした。

その後、海堂がギターを投げ捨てる所でこの話は終わる。

 

…ていうかこのシーン結構あぶねえよな?

撮影って事抜きにしたら、下に人いたらどうすんだ?ってなる…。

 

 

 

「…で、クリスマス休暇中ずっと仮面ライダー見てる気か?」

 

「んー…それもいいけど、折角父さんと母さんに会いに来たんだしさ。

他の事もしようかな?」

 

「そっか」

 

「でも…もうちょっと見よっと。

母さんも一緒に見るかな?」

 

「アイツは…見ねぇだろ。

―――いや、龍騎は見るかな?」

 

「えー、龍騎なんか怖いじゃん。

ちょっと見ただけでやめた」

 

「は?龍騎見てねえのに555とか馬鹿にしてますん?「うっさい、オタクジジィ」ジジィじゃない父さんだ。それはともかく龍騎全部見なさい絶対面白いから、というか555の方が数十倍怖いってか辛いだろ」

 

「しらないし、もういいじゃんいいじゃん私の勝手で。

んなこと言ってると禿るよ」「禿ないから」

 

 

なんかヒートアップしているように見えるが、両者物凄く気の抜けた感じに喋っているの…というか何も考えずにしゃべっているので実際中身なんかない。

 

するとキッチンの方から聞きなれた足音が聞こえる。

 

 

「楽しそうね…二人共」

 

「まあね。

母さんも一緒に見ようよ」

 

「ハハッ、だから見ねぇって」

 

 

「そんなに言うなら…七面鳥焼き終わったら私も…」

 

「マ?そマ?

マジか?マジで?」

 

「マジだよ父さん。

…じゃあチキンの方も楽しみにしてるからー」

 

「ゆっくり、ね」

 

 

 

と、まあ…スミカは何処で知ったのか、仮面ライダーにお熱のようだ。

―――言わんほうがいいかな?コレ、大体小学校高学年向けだって。

 

こんだけ楽しそうに見てる所を水差すのもなんだし…言わなくていいか。

 

 

 

まあ、外が暗くて分かり辛いけどまだ昼頃だし…まだ長いかな。一日は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

因みにこの後、555の32話くらいでスミカが寝落ちしたので、勝手にZOとアマゾンズ見てたのは内緒である。

 

…と思ったら起きた時経歴見られてバレた、ちょっと怒られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆   ◆   ◆

 

   ◆   ◆

 

     ◆

 

 

 12月26日・日本 とある場所。

 

 

 

「あ、敵のトーン仕留め損ねた。

父さんイケる?」

 

「待って、まだゲージ溜まってないからサンボルで行くわ……あッくそっ……っとあぶねえ強化人間っていうハードウェアチート無かったら死んでたわ」

 

なんでこうなったんだ…何故嫁が寝てる前で娘とタイタンフォール2やってるんだ?

まあ成り行きなんですけどね。本当に意味の分からない成り行きである。

 

 

そして俺ちゃんのローニンがタイタンフォール。

 

「うっし死にかけのトーン発見…おら死ねっ死ねっ、はいッ処刑ドーン

…ってやべ、リージョンは不味いって」

 

「そこガステルミ撃つからどいて、巻き込むよ?」

 

「おいおいおい…」

 

バックしたままワープ発動して距離を置いて、そこにスミカのスコーチが燃焼ガスとファイアウォールのコンボでガンシールド発動中の敵リージョンをウェルダンにしてくれたおかげで隙が出来た。

 

更にフレイムコアの追い打ちがリージョンを襲う。

コアが露出したところでコッチも畳みかけたが、向こうがコア露出した瞬間自爆したおかげで処刑は逃した。

 

 

まあ、その後しっかりブレードでパイロットキルさせていただきましたけどね。

 

 

 

 

そんなクリスマス?でした。

ちゃんちゃん。




成り行きで時空間行き来する一家ェ。

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