ユーノ・スクライア外伝   作:重要大事

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第12話「Power to Protect」

新暦079年 4月25日

第1管理世界「ミッドチルダ」

ミッドチルダ中央南駐屯地内A73区画

機動六課 ミッドチルダ地上隊舎 総合司令室

 

魔導虚(ホロウロギア)の素体となった人達の証言を元に映像化したものです」

 機動六課技術顧問マリエルは、メインスクリーンに四人の重要人物を映し出す。

 主要前線メンバーが息を凝らして見る四人とは、スカリエッティ同様に軌道拘置所から脱獄を果たした三人の戦闘機人―――ウーノ、トーレ、クアットロ。

 そして、先の戦闘で初めて確認されたばかりの男性型戦闘機人ファイを加えた機人四天王だった。

「先のザックーム内部で目撃された戦闘機人―――通称“機人四天王”が人間を魔導虚(ホロウロギア)にするきっかけを作っていると見てまず間違いなさそうです」

「機人四天王とは・・・随分と御大層な呼び名だな」

 率直な感想を漏らす恋次と、隣のフェイトは苦い表情を浮かべ立ち尽くす。

 さらに映像が切り替わり、次に映し出されたのは人間を(ホロウ)の段階を経ずとも強制的に魔導虚(ホロウロギア)化を進行させる異形の生体兵器『幼生虚(ラーバ・ホロウ)』の全体図だった。

「この《幼生虚(ラーバ・ホロウ)》と呼ばれる物質を人間の体に融合させる事で魔導虚(ホロウロギア)化を行っているようです」

「今まで魔導虚(ホロウロギア)化した人々には共通点が見受けられます。何らかの形で潜在意識に強い憎しみや悲しみを抱いているんです。魔導虚(ホロウロギア)による破壊活動も、恐らくこう言った負の感情をベースとした行動原理に基づいていると思われます」

「憎しみや悲しみ、負の感情・・・?」

 キャロはそう呟きながら、これまでに魔導虚(ホロウロギア)となって暴れ回った人々の共通点を思い返してみた。

 最初にミッドチルダで確認された大型魔導虚(ホロウロギア)の素体となった元建設業者の男から始まり、死んだティアナの兄やアインハルトなどケースは十人十色。

 いずれも素質や肉体的、物質的な違いはあれども、皆心の(うち)に抱えた負の感情が燻っており、機人四天王は彼らのそうした感情を巧みに利用した。

「そして、魔導虚(ホロウロギア)となってしまった人々を死神の斬魄刀で浄化し元に戻す事ができる事は確認されています。その原理については・・・残念ながら我々の科学力をもってしても不明ですが、現段階では機動部隊による直接攻撃で魔導虚(ホロウロギア)を沈黙させ、死神が止めを刺す事でしか対処法がありません」

「となると、俺たちの責任は重大って事か」

「しかしこれだけの短期間でよくもここまでの詳細なデータを纏め上げたものだね」

 吉良が関心と驚きを宿した眼差しをなのは達へと向ける。

 すると、なのはとはやてはどこか自嘲した笑みを浮かべながら、潔く恋次達に正直な話をする。

「・・・ほとんどは翡翠の魔導死神さんの情報提供があっての事です。皮肉な事に管理局はこれまでに起きた魔導虚(ホロウロギア)事件の全てが後手に回っていました。恋次さん達がこの世界に来て、翡翠の魔導死神さんとの接触回数が増して、ようやく不透明だった部分が解り始めてきたんです」

「そやけど情報が有るのと無いのとじゃえらい違いやわ。昔、ユーノくんも言うとったからな・・・『知識や情報は幸せをもたらす強力な武器になる』って」

「・・・『しかし、情報は常に生ものである。情報は現場でとるべし。常に現場に立ち、現場の情報を直接掴むことを怠ってはならない』」

 不意に恋次の口から飛び出した発言。思わずなのは達が耳を(そばだ)てる。

 やがて、周りからの視線を一身に受ける恋次は腕組みをしつつ発言の意図について触れながら語り出す。

「前に翡翠の魔導死神に言われたことがあってな・・・世の中には俺らの常識の通用しない事が山ほどあるから、慢心したり偏見なんてものを持つと痛い目に遭うって。情報はあるに越したことは()えが、あまり鵜呑みにし過ぎねえ事だぜ」

「あ、はい・・・・・・。」

 妙に説得力のある恋次の言葉に一同はやや驚きながら頷いた。

 一方で、傍で話を聞いていた吉良と浦太郎、鬼太郎の三人は互いに顔を見合わせ、念話越しに呟いた。

(ま、実際痛い目に遭わされましたからね恋次さん・・・)

(店長にこれでもかってくらいボコボコにされてたもんなー)

(まさか阿散井くんの口から自らの失敗談を語る日が来るとはね。)

(ウルセーよ! 俺だってこんなセリフ言うキャラじゃ()えんだ! 元はと言えば全部あいつの所為なんだ! チキショー・・・今度会ったら絶対ぶちのめしてやるから覚悟していやがれッ!!)

 

           *

 

第97管理外世界「地球」

東京都 松前町 スクライア商店

 

「へ、へ・・・・・・っくしょん!!」

 夜も更けるスクライア商店の店先、店主ユーノは盛大なくしゃみをした。

 すると、ユーノの身を案じた金太郎がおもむろに話しかけてきた。

「おや? 店長・・・風邪ですか?」

「いやぁ。きっと赤髪で全身刺青だらけの悪人顔の人が僕のことを思い浮かべながら、『淫獣死ね!』とか言って悪罵(あくば)してるんだよ」

 的確なようで少し的外れ。しかし限りなくある特定人物の心情を言い当てたユーノの推理力はある種恐怖だった。

 金太郎は店の片づけをしながら真顔で「歪んだ被害妄想ですな・・・」と、ユーノには聞こえない声で呟いた。

「え? 金太郎何か言った?」

「いえッ! それはいけない」

 そう言うと、金太郎は眼鏡をキラリと光らせ、ユーノに進言する。

「風邪に効く良い薬があるのですが・・・」

「え・・・薬・・・?」

 どうしてだかは分からないが、果てしなく嫌な予感がしてならなかった。

 しばらくして、憂慮するユーノの元へ金太郎はトレイに乗った胃腸薬の様な薬とコップを差し出した。

 虫の知らせがしたユーノは、トレイに乗った薬箱の裏を第一に確かめ、やがて驚嘆の声を上げた。

「これ・・・2年前に期限切れじゃないか!?」

「熟成発酵しております」

「いやそうじゃないでしょ!!」

「はい、あぁ~~~ん!」

「あぁ~んって! ・・・いや、なになに!? ・・・ああ、ああああああああ!!!」

 

 鬼太郎と浦太郎不在の中、スクライア商店の夜はいつもと変わらず平和に過ぎて行くのだった―――・・・。

 

           *

 

ジェイル・スカリエッティ 地下アジト

 

「翡翠の魔導死神の手によって幼生虚(ラーバ・ホロウ)プラントは見事に破壊されてしまったか」

「申し訳ありませんドクター。今回の件は完全に我々の失態です」

 ザックームを制圧し、魔導虚(ホロウロギア)化に必要となる幼生虚(ラーバ・ホロウ)のプラント培養を目論んだ機人四天王だったが、計画を嗅ぎつけた翡翠の魔導死神こと―――ユーノの妨害に遭った事で計画は御破算となった。

 ウーノ達はスカリエッティ指導で綿密な計画を練って行った一大プロジェクトゆえにその喪失感と悲壮感、雪辱は大きかった。

 しかし一方、スカリエッティは悲壮感をあまり顔に出していない。

 むしろ、計画が頓挫したにも関わらず、その表情は清々しく、笑ってさえいる様だった。

 いずれにせよ、このままではスカリエッティの面子を汚したままで後味が悪い。四人は直ちに名誉挽回のチャンスを得ようとする。

「この度の汚点は必ずや我ら機人四天王が取り戻してみせます。どうか、何卒チャンスを貰えないでしょうか?」

 猛省する機人四天王。トーレの掛け声とともに、ウーノとクアットロ、ファイもまた(ひざまず)き身を低くする。

「まぁそう畏まらなくてもいい。こうなる事も薄々は勘付いていたさ。彼は私と同等、あるいは私を唯一越える頭脳の持ち主だからね。私は嬉しいのだよ・・・・・・私と肩を並べられる存在がこの世にいる事が。ライバルがいるというのは実に心が(たぎ)るものだよ」

「確かに、翡翠の魔導死神は以前プーカを単独で殲滅した程の手練れ・・・それほどの力を持つ者が我々の計画に気付いていないという道理は無い」

「マギオンやレギオンについても早くに情報を有しているように思える。奴は一体どこから情報を仕入れているというのか?」

「ま、いずれ分かることだろう。それより・・・・・・君達が私の名誉を傷つけたという罪悪感に苛まれているのならば、一つだけ頼まれてもらおうかな。ちょうど新しい実験の趣向を思いついたところでね。その大役を―――クアットロ。君に任せたい」

「お安い御用ですわ~。このクアトッロに何なりと仰ってください、ドクター~!」

 

「それで・・・・・・ドクターはこのわたくしに何を申し付けてくれますの?」

 

           *

 

第1管理世界「ミッドチルダ」

ミッドチルダ東南 廃棄都市区画

 

 深夜未明―――。

 ミッドチルダのとある廃棄区画都市を闊歩する巨大な影があった。

 推定体長30メートルにも達する固い外殻に覆われた雄牛を彷彿とする(ホロウ)の仮面を纏った魔導虚(ホロウロギア)【ミーノトーロ】は、重低音を響かせながら、進路を真っ直ぐ住民区画へと目指し前進を続ける。

 魔導虚(ホロウロギア)の出現を察知した機動六課は、阿散井恋次を筆頭に、ティアナとエリオ、キャロ、浦太郎を現場へと派遣し、対処に当たっていた。

 廃棄都市に突如として現れた巨大な敵を追跡しながら、後衛の浦太郎とキャロがビルの屋上から水流魔法と飛竜フリードリヒによる遠距離攻撃を行う。

 間隙を突いて、ビルからビルへと飛び移り接近を試みたティアナが至近距離から銃撃を仕掛ける。

「はぁぁぁ!」

 愛機クロスミラージュから発砲される多重弾殻射撃魔法《バリアブルバレット》。

 だが、標的の外皮はそれすらも弾き返すほどぶ厚くビクともしない。浦太郎とキャロの支援攻撃も同様だった。

「ダメよ! こんな攻撃じゃ傷一つ付けられないわ」

 率直な感想を漏らすティアナ。だがそのとき、三人の目の前でミーノトーロは突如として進行を停止した。

「なに? どうしたのコイツ?」

「止まった?」

「なんかイヤな予感がします・・・」

「エリオと恋次さんは!?」

 ティアナが危惧する中、二人はミーノトーロ近くの物陰に隠れながら敵の動きを警戒し出方を伺っていた。

(・・・動作、完全に停止しています。攻撃しますか?)

(どうも様子が(くせ)え。油断するな)

 念話越しに警戒を強め攻撃を自制するようエリオに促す恋次。

 しかし、いつまで経っても動きを見せないでいる敵を見るうち、エリオは次第に痺れを切らし始めた。

 逡巡した末、このまま待機している時間が惜しいという若さゆえの拙速な結論に達し、エリオは意を決して飛び出した。

 直後、唐突に敵の目が赤く光るとともに固く閉ざされていた外殻が一気に外側へと解放された。

「ダメだ!」

 恋次の咄嗟の判断で、エリオは敵にぶつかる直前で回収され、そのまま撤退を余儀なくされた。

「ヤツから馬鹿デカい霊圧を感じた・・・ここは一旦退くぞ!」

 

「聞いたとおりだ。僕らも離脱するよ」

「「はい!」」

 恋次の賢明な判断を聞き入れ、浦太郎達も即時撤退を決め込む。

 五人が去った途端、ミーノトーロは空気を震わせるほどの咆哮を上げると、蓄積された膨大なエネルギーを爆発させた。

 猛烈な魔力爆発によって廃棄都市一帯が大火球に呑まれる。周囲の建造物を次々と消し飛ばし、夜の世界は突如発生した地上の太陽によって目映い光に包まれた。

 その様子を六課のモニターで観戦していた他の六課メンバーも終始唖然とした。

「なんちゅう・・・エネルギーや・・・!」

「こんな事がもし街中で起こったら・・・・・・」

 想像するだけで背筋がゾッとする。

 安全圏まで離れて同じ事象を目の当たりにした恋次達もまた、地上で起こっている巨大爆発を目の当たりに思わず冷や汗を掻く。

「フフフ・・・贈り物は楽しんでもらえたようですわね」

 このとき、空の上から彼らの戦いを秘かに眺めていたクアットロは、不敵に笑いながら独り言を呟く。

「この魔導虚(ホロウロギア)はドクターがあなた達の為にと特別に用意したモノ。この絶望を前に、貴女たちは耐えられるかしら?」

 

           ◇

 

4月26日―――

第1管理世界「ミッドチルダ」

首都クラナガン 区立中央スポーツセンター

 

 天気は快晴。高町ヴィヴィオが所属するチームナカジマのチームメイトは、休日いつもように集まって練習をしようとしていた。

 既にヴィヴィオを筆頭に、コロナ、バウラ、ミツオ、アインハルトが集合している。残るはリオだけである。

「ごめんなさーい!」

 しばらくして、ようやく最後のメンバーであるリオがかなり焦った様子で走って来た。

「あ、リオ!」

「おせーぞ。もうとっくに集合時間過ぎてるぜ」

「時間厳守は社会生活を営む上での基本だよね」

「ゴメン、ゴメン。朝ごはんいつもより多く食べ過ぎちゃって」

 いつもの調子であまり悪びれていない様にも見える中、ヴィヴィオは悲嘆に満ちた表情を浮かべながら彼女に呼びかけた。

「リオ・・・リオは大変なことをしてしまったよ」

「た・・・大変なこと?」

「今日の朝練習は、わたしたちチームナカジマの存続とこれからに関わる大事なものだったの!」

「えぇ――――!?」

「さあ悔い改め反省なさい。具体的には来週から始まるポッピンクリームアイスの限定ダブルをラージサイズでわたしたちにおごるのです!」

「ごめんなさ~~~い!!」

 ヴィヴィオからの通告に終始涙目を浮かべるリオ。

 傍ら話を聞いていた他のチームメイトは少し気の毒と思い、チームの最年長であるアインハルトがリオに優しく声をかける。

「リオさん、どうか本気にしないでください。ちょっとした冗談ですから」

「あぁ~、アインハルトさん、バラすの早いですよ~」

「えへへ~! よかった~!」

 冗談だと分かりリオはほっと胸を撫で下ろし安堵する。

 すると、集合するメンバーの元へコーチのノーヴェと休暇を利用してヴィヴィオ達の練習に参加する事となっていたなのはが揃ってやってきた。

「みんなー。おまたせー」

「うーし、全員そろってるな。今日はなのはさんが非番ってことで、特別コーチを付けてもらうことになったからな」

「ヴィヴィオのママです。今日はみんなが強くなっていけるように全力でサポートします」

「「「「「よろしくおねがいします!」」」」」

 現役の教導官を前に、ヴィヴィオ達は失礼の無い様にと気を配り、律儀に頭を深く垂らして挨拶をする。

「知ってると思うけど、うちのママの魔力弾はどれもこれも早くて固いから油断してると直ぐにノックアウトされちゃうからね!」

「それはヴィヴィオも同じだよ。かわいい娘だからってママは手を抜くつもりなんかないんだから」

 

           *

 

同時刻―――

機動六課 ミッドチルダ地上隊舎 総合司令室

 

 その頃、昨夜出現した巨大魔導虚(ホロウロギア)『ミーノトーロ』に関する対策会議が六課首脳陣同士の間で開かれていた。

 誰しもが深刻そうに眉間に皺を寄せるとともに、メインスクリーンに映る陥没し、直径5キロにも達する巨大なクレーターと化した大地を見つめていた。

「とんでもない破壊力だな。廃棄された地区で助かった」

魔導虚(ホロウロギア)のその後の状況はどない感じや?」

「どうやらあの攻撃の後はエネルギーを充填する為に、眠りにつくみたいですね」

 はやてからの質問を受け、シャリオは現時点で分かっている事を即時データに反映させた。

「だったら今のうちにもう一度攻撃を・・・!」

「いえ。それはきっと無意味よ」

 マリエルはコンソールを叩くと、魔導虚(ホロウロギア)を分析して得られたデータとともに休眠状態にある現在のミーノトーロの映像を拡大した。

 先の戦闘の当時者が挙って目を凝らして見ると、ミーノトーロの身体は戦った当初よりも明らかに肌の色が落ちていた。いや、色が落ちたのではない。体全体が半透明化しているのである。

「身体が透けてる?」

「どういう事なんですか?」

「原理は不明だけど、どうやら身体の半分だけが()()()()()()()()()()らしいの」

「別位相?」

「要するに何をしても無駄ってことか」

 ミーノトーロの調査に出かけたスバル達の干渉を一切受け付けない映像を見るや、浦太郎は早くに展開を呼んで分かり易い言葉で状況を整理した。

「つまり・・・勝負は次にアレが活動を始めた時、ということになる」

「それまでに対策を考えなあかんと・・・」

 悶々としながら首脳陣は対抗策を講じる。かたわら、恋次は腕組みをし、モニター越しにミーノトーロを見ながら終始険しい顔を浮かべる。

(あの破壊力に、特異な休眠状態・・・こうも次から次へと新種の魔導虚(ホロウロギア)が生み出されていやがる。何故スカリエッティは魔導虚(ホロウロギア)を頻繁に・・・)

 

           *

 

第97管理外世界「地球」

東京都 松前町 スクライア商店

 

 新たな脅威に立ち向かおうとしている六課メンバー同様、ユーノは別の脅威を退ける為の戦いを続けていた。

「うぅぅ・・・・・・。」

 昨夜、金太郎より処方された風邪薬と称するものを半ば強引に服用させられた結果、服用からおよそ7時間後に効果が現れた。

 突如として激しい腹痛に見舞われたユーノは、朝から体内の毒素を廃そうとトイレに閉じこもっていた。

 

【挿絵表示】

 

「やはり・・・」

「やはりじゃないよ!! お前僕を殺す気か!!」

 こうなる事を知っていながらユーノに敢えて薬を処方させた金太郎は確信犯だった。

 トイレの中から猛抗議するユーノの言葉を右から左へと受け流し、金太郎は怪しげに眼鏡を光らせる。

「素晴らしきよく効く胃腸薬があるんですが・・・・・・ちょっと待っててください。裏庭から掘り返してきます」

「お前ぜったい僕を殺す気だろうぉ!! お願いだから何もしないでぇぇ―――!!!」

 

           *

 

午後12時01分―――

第1管理世界「ミッドチルダ」

首都クラナガン 区立中央スポーツセンター

 

「さてと・・・じゃーここらでお昼にしようか?」

「おまえら大丈夫か?」

「「「「「「だ、だいじょうぶ・・・・・・じゃない・・・です・・・」」」」」」

 現役の教導官、エース・オブ・エースである高町なのはによる指導は一言で言えばスパルタであった。

 やや息を切らしているなのはとは裏腹に、ヴィヴィオ達はかつて経験した事の無い激しいトレーニングに耐えきれず悉くがグロッキー。アインハルトは当初なのはを家庭的で優しいお母さんと認識していただけに、想像を絶するギャップを味わった。

 ノーヴェはコメントし辛い状況に立たされながら、どんな相手でも決して手抜きをしないなのはの一流の教育理念に改めて驚嘆した。

 

「「「「「「いっただきまーす!!」」」」」」

 待ちに待ったランチタイム。

 子供達はなのはが持参した特性の栄養補給メニューを頂くことにした。重箱にぎっしりと敷き詰められた彩り鮮やかなメニューの数々。ヴィヴィオ達は目をキラキラと輝かせ、空腹を満たす為に早速賞味する。

「あん・・・・・・ン―――これおいひぃ!!」

「本当だ、すごくおいしい!!」

「ヴィヴィオの母ちゃんの作った料理はうちの母ちゃんのとは比べものにならねえや!! 絶品だぜ!!」

「ありがとう。たくさん作って来たからどんどん食べてね」

 この日の為に朝4時起きして作ったんだよ! と、思わず胸を張るなのは。その仕草が少し子供っぽいと思いつつ、ヴィヴィオがふとした疑問をぶつけた。

「でもママ、こんなにのんびりしてていいの? 昨日だっていろいろあったって言ってたし・・・」

「んー、一応作戦待機中だからいつ呼び出しを食らってもおかしくはないんだけど、はやてちゃん・・・八神部隊長ができるだけそうならないよう配慮してくれるって気を遣ってくれたんだ」

「機動六課のお仕事って大変なんですね」

「誰かがやらなくちゃいけないことをやってるだけだから。ヴィヴィオやみんなも応援してくれてる。大変だなんて思わないよ」

 なのはは屈託ない笑顔を浮かべながら、ヴィヴィオ達にそう語りかけた。

 それを聞いたヴィヴィオ達は挙って顔を見合わせた。この笑顔の裏でなのはを始め、多くの魔導師や騎士が自分達の生活を脅かす敵と命を削る戦いを繰り広げている事を、彼らは曲がりなりにも理解していた。

 こうして自分達が安穏とした生活を送っていられるのも、日々機動六課が魔導虚(ホロウロギア)と言う脅威を退けているからだ。

 その事を改めて認識したヴィヴィオは意を決して、なのはに自分が食べていたおかずの卵焼きの一つを差し出した。

「ママ! これ食べて!」

「え? でも・・・」

「私のタコさんもあげます!」

「ボクのも食べてよ」

 ヴィヴィオに便乗したリオやミツオもおかずを差し出した。

 子供達の思わぬの優しさに触れたなのはは、一瞬目が潤み欠けたが、何とか踏みとどまって微笑し、「ありがとう」と返してからおかずを貰う事にした。

「あ~ん! ・・・・・・おいしい~! じゃあタコさんも! んん――!」

 なのはが笑うと、ヴィヴィオ達も自然と表情が綻んだ。

「あ、そうだ。今度の中間試験が終わったらチームナカジマや私の教え子たちも含めて異世界旅行でもしようよ。きっと楽しいよ」

「マジっすか!!」

「あの・・・私たちも行ってよろしいのでしょうか?」

 躊躇いがちに尋ねるアインハルトに、なのはは「もちろん♪ 来る者は拒まずだよ」と、満面の笑みで答えた。

「やったー!! ママー、ありがとー!」

「よーし・・・そうと決まったら中間試験までがんばって勉強だ! ミツオ、あとは頼むぜ!」

「バウラががんばるんだよ!!」

 

 ピピピ・・・。

 そのとき、機動六課からの緊急通信が入った。

 慌ててなのはがディスプレイを呼び出せば、真剣な眼差しのフェイトの顔が映し出された。

『なのは。非番のところ申し訳ないんだけど、緊急招集だからすぐに来て』

「え? 昨日の魔導虚(ホロウロギア)が動き出したの?」

『そのための対策会議』

「うん、分かった!」

 即答し、通信を切ったなのはは急いで身支度をする。

「ゴメンねみんな、呼び出し受けちゃったから私は行くね。ヴィヴィオも今度またちゃんとお返しするから!」

 支度を終えると、なのはは駆け足で建物を飛び出した。

 ヴィヴィオ達は彼女の背負っているものの重さを子供なりに理解するとともに、無事に戻って来られるよう精一杯の祈りを込めて見送った。

「ママー! ファイトー!」

「がんばってくださいね~!」

 

           *

 

機動六課 ミッドチルダ地上隊舎 総合司令室

 

「というわけで、魔導虚(ホロウロギア)が活動を再開した時にしか攻撃のチャンスが無いわけだが・・・奴の外装は非常に固く、散発的な攻撃では歯が立たない」

「そこで皆の意見を聞きたくて集まって貰ったんやけど・・・」

「意見・・・ですか」

 ミーノトーロへの有効打を決める方法について、周りから様々な意見を取り入れ、作戦に反映させようと考えた六課首脳陣。

 招集を受けたメンバーは自分なりに頭で必死で策を考える。

「壊すことが出来ないんだったらさ、もういっそのこと穴掘って埋めちゃうとか」

「おぁ、それだ!」

 アギトの提案に鬼太郎が同調した。

「でもそれだとかなり大きな穴が必要になりますね・・・」

「時間的にも技術的にも問題が有りすぎる」

「違うか~」

 リインとシグナムが冷静に考えた頭でアギトプランの無謀性を指摘。埋めたところで魔導虚(ホロウロギア)がまた地上に出ないという確証も得られない以上、このプランは呆気なく空中分解した。

「じゃあ大火力砲撃で一気にぶっ飛ばしちゃうのはどうでしょう!」

「おぉ、それだ!」

 今度はスバルの出した大胆な提案に再び鬼太郎は付和雷同するが、

「んな簡単に言うんじゃねえよ。もっと真面目に考えろ!」ヴィータの一喝により、これまた空中分解した。

「違うか~」

「あのね・・・先輩もちゃんと考えようよ」

「未知の魔導虚(ホロウロギア)だとしても戦うには情報が足りな過ぎる」

「確かに。存在自体が別次元って感じですよね」

「結局わからないことだらけじゃねーか! これじゃいくら話し合っても答えなんて出ねーよ!」

「そうですね。話し合うだけじゃ何も解決しません。今はまず行動を起こすべき時なのかもしれません」

「これまでだって何とかなったんだし、全員で力を合わせれば大丈夫だよ! ですよね、なのはさん?」

「そうだね。最初から諦めてちゃ何にも出来ないからね。こんなときこそ、機動六課の日頃のチームワークが試される時だよ」

(力を合わせればだと? あの・・・魔導虚(ホロウロギア)相手に?)

 周りから聞こえてくる楽観論的意見や根拠のないポジティブな発想に、恋次はこの上ない危機感を抱いた。

(俺が言えたことじゃねえが、あのバケモノ相手に力技だけで対抗しようっていうのかこいつらは・・・・・・くっ)

 ゴリ押し感が半端ない状況。恋次は思わず左手の甲を強く抓った。

「全く君たちときたら・・・・・・ルキノ、もう一度データを見せてくれるか?」

「はい。まだ分析の途中ですけど」

 クロノに言われ、ルキノは解析途中の映像をスクリーンに映し出す。

「前回の爆発時エネルギーが集中する弱点と思わしき箇所が頭部に確認されています。この額に皆の攻撃を集中させることが出来れば・・・」

「本当ですか?!」

「現段階では希望的観測だけどね」

 淡い期待を抱いたキャロに、アルトがそう捕捉した。

「とま。こちらも引き続き作業を続けるから、前線メンバーも頑張って・・・」

 

 ブーッ! ブーッ! ブーッ!

 

 刹那、第一警戒警報が司令室全体に鳴り響く。

 この場に居合わせた全員、ミーノトーロが活動を再開した事に冷汗を流した。

 

           *

 

ミッドチルダ東南 森林地帯

 

 休眠状態にあった巨大魔導虚(ホロウロギア)『ミーノトーロ』が活動を再開した。

 六課前線メンバーは総員総出で、ミーノトーロの殲滅に対処する為、各々が配置につき交戦(エンゲージ)のタイミングを見計らう。

『先程もお伝えした通り、まだ不明な部分が多過ぎます』

『絶対に無理は禁物やで』

 リインとはやての言葉を聞き入れ、作戦指揮を執るヴォルケンリッターの守護騎士にして将、シグナムは声高に演説。

「良いかみんな。装甲さえ破壊できれば後はいつもと同じ。魔導虚(ホロウロギア)は必ず倒せる!」

「それだけ聞いてると簡単そうなんだけどな・・・」

 アギトが懸念する一方、ゆっくりと進路を取って段々と距離を近づけるミーノトーロに気負うメンバー。

 すると、気後れするメンバーに司令室からクロノの激励が聞こえてきた。

『大丈夫だ! 君達なら必ずやれる! 僕はみんなを信じているからな!』

「クロノ・・・」

 義兄からの優しい言葉に、思わずしんみりするフェイト。

 だが、義妹とは裏腹に鬼太郎やヴィータの反応はやや冷ややかで辛辣だった。

『なーんか良くあるセリフだよな』

「え?」

『つーか上から目線でスッゲー癇に障るんだよ、クロノ・ハラオウン提督殿』

「いや・・・僕は本気で君達をだな・・・!」

 戸惑いを露わにするクロノ。周りはそれが少しおかしく、張りつめていた気持ちを少しだけ緩める事が出来た。

『でも! ありがとうございます、クロノ提督!』

『必ず成し遂げて見せます』

 期待に応えるという強い意志を見せたスバルとエリオ。

 やがて、シグナムは前に出ると、愛刀レヴァンティンを前方に見据えた標的へと突き立て作戦の開始を宣言する。

「行くぞ!」

 ついに機動六課総員による魔導虚(ホロウロギア)掃討作戦が開始された。

 このとき、自身のインヒューレントスキル【シルバーカーテン】で身を隠し、秘かに戦いの様子を見物していたクロットロは不敵に笑っていた。

「うふふふふ・・・さあ、始めましょうか」

 

「良いみんな、作戦通りにいくよ!」

『『『『『はい!』』』』』

「どんな敵が来たって決して慌てちゃダメ。素早く考えて素早く動く。毎日の訓練で積み重ねてきた事をやればいいだけだから」

 最前線のなのはが空の上からミーノトーロを牽制しつつ、スバル達フォワードメンバーをいつもの様に勇気づける。

 作戦が開始されると、ロングアーチでは戦いの様子を克明にモニタニング。静謐に見守った。

「始まりおったな・・・」

「皆さん・・・どうかご無事で・・・」

 

「エクセリオンバスターッ!」

 高威力のバスターを放つも、ミーノトーロの堅い装甲によって軌道を逸らされ容易に弾き返された。

「うらやああああああああああ」

 次に鬼太郎が豪快に斬りかかるが、炎を纏った烈火の刃すらも真面に通さない外殻は鬼太郎ごと後方へ吹っ飛ばす。

「かってぇぇぇ―――!」

 弾いた矢先、ミーノトーロが鬼太郎へ食い付きそうになった。

 一瞬肝が冷えた鬼太郎だが、食われそうになった直後、フェイトが颯爽と救出し、そのまま鬼太郎を抱えて離脱した。

「でやぁぁぁぁ!」

 ハンマーヘッドを巨大な角柱状のものに変形させたグラーフアイゼン・ギガントフォルムを用いてヴィータが弱点であるミーノトーロの頭部を狙い撃つ。

 だが、一回の打撃だけでは著しい効果は見られない。暖簾に腕押しの結果に、ヴィータは思わず舌打ちをする。

「フリード、ブラストレイ!」

「破道の三十三、蒼火墜!」

「クロスファイアー・・・シュ―――ト!!」

 キャロと吉良が火炎攻撃を仕掛け、繁みからティアナが魔力弾を放つが、悉くが固い外殻によって弾かれる始末。

「もう・・・ホントに硬いわね~!」

 ただただ体力を消費するだけの戦いに恋次は当初から抱いていた危惧をより一層強く抱き始める。

「ちっ。どう考えたって無謀だ・・・」

 

 その後も、スバルとギンガが進行を阻止せんと応戦するが、ミーノトーロが止まる気配は一切ない。

「コイツ止まりなさいよ!」

「やはり、長期戦になるわね・・・」

「皆の力を合わせれば、必ず道は開けます!」

 エリオの前向きな言葉をきっかけに、シグナムと浦太郎が同時に敵の懐へ飛び込んだ。

飛竜一閃(ひりゅういっせん)!」

「ソニックスピア!」

 攻撃を仕掛けた直後、ミーノトーロが唐突に咆哮を上げた。

 空気を震わせる咆哮に一瞬たじろぐメンバー。そのとき、ミーノトーロは尻尾部分を派手に動かし周囲の木々を薙ぎ倒すと、周りに集まった六課メンバーを払い除ける。

「「「きゃあああああ!!!」」」

「「「うわあああああ」」」

「ぐあああ」

 不意を突く尻尾攻撃にシグナムは面を食らった。

「これは・・・!」

 吃驚し一瞬の判断が遅れた彼女へと狙いを定める長い尾が真横から飛来する。

 刹那、間一髪のところで恋次が瞬歩で彼女を回収し、事無きを得る。

「大丈夫か?」

「す、すまない・・・」

 ほっとしたのも束の間、二人の元へ尻尾の脅威が襲い掛かった。

「みんなっ!」

「こんなものまであったなんて・・・」

 モニター画面から伝わる芳しくない戦況をモニターしていたロングアーチスタッフも想定外の事態に面を食らうばかりだった。

 

 先端は鋭く尖り、触手の様に伸縮自在の尻尾はまさに凶器そのもの。

 前線メンバーは破壊力抜群の攻撃を食らい、険しい顔で目の前の巨大な敵を見据える。

「ててて・・・こんなの聞いてないんだけど」

「でもやるしか・・・ないです」

 傷つきながらも再び攻撃を続行。なのはとティアナのダブル射撃が炸裂するが、ミーノトーロには全くの無意味だった。

「この牛ヤロウ・・・良くもあたしの一張羅を砂まみれにしてくれたなあ!」

「この眼鏡高かったのにレンズが割れちゃったじゃないか、どう責任をとってくれるのかなぁぁぁ!」

 ヴィータの打撃、浦太郎の水流を纏った槍撃(そうげき)も手応え無し。

「でやゃぁぁぁ!」

 エリオが頭上目掛けストラーダの先端を突き立て攻撃を仕掛ける。しかし敢え無く弾かれ地面に叩きつけられた。

「エリオ!」

 エリオのみを案じた直後、不意を突かれた浦太郎は触手によって吹っ飛ばされた。

「ぐあぁぁぁ!」

「亀公っ!」

 咄嗟に鬼太郎は飛ばされた浦太郎をキャッチする。

「縛道の三十七、『吊星(つりぼし)』!」

 吉良は二人の飛んで行く方角に合わせて、衝突時の衝撃を和らげる為に鬼道を発動させた。霊圧の床を真横に出現させ、5方向に霊圧を伸ばして木々に固定させ、吹き飛ばされる二人を見事に捕獲した。

「だいじょうぶか?」

「助かったよ・・・ありがと先輩。でも本当なら豊かなおっぱいのあるフェイトちゃんに助けてもらいたかったなー」

「てめぇ!! それが人に助けられた奴の言う台詞かよ!!」

 激昂する鬼太郎の気持ちも分かるが、ここは何とか堪えてもらい、吉良は二人に真摯に呼びかける。

「・・・何としてもこちらに気を取らせて前衛の援護をするしかない」

「ちっ。分かってるよ!」

 

           *

 

機動六課 ミッドチルダ地上隊舎 総合司令室

 

 戦況をモニタリング中のはやて、クロノ、リイン他ロングアーチ通信士一同は不測の事態に見舞われ苦戦を強いられる彼らのフォローを行うのに必死だった。

魔導虚(ホロウロギア)の進行速度が落ちてきている!」

「市街区域が迫っているけど・・・何とか持ち堪えられるやろうか」

 ピピピ・・・。

 不意に六課宛てに届いた映像通信。メインスクリーンに映された人物を見るなり、はやて達は鳩が豆鉄砲を食ったような顔を浮かべた。

『八神部隊長、状況はどうなっていますか?』

 あまりにも予想外の人物―――翡翠の魔導死神からの通信だった。

「翡翠の魔導死神さん!」

「どうやってここのセキュリティに入ったんだ!?」

『細かい事はどうでもいい。それより、こちらの質問に答えてもらえないか? 状況はどうなっている?』

 クロノから受ける問いを半ば強引に右から左へと受け流し、自らのイニシアティブを保持し続ける翡翠の魔導死神。

 彼から伝わるただならぬ圧に屈したはやて達は突然の事態に困惑しながらも、(つぶさ)に今の状況を報告する。

「依然、六課前線メンバーが応戦中です」

「みんなが頑張ってるお陰で足止めは出来ていますが・・・撃退にはもう少し時間が」

 すると、話を聞いた翡翠の魔導死神は低い声色のまま冷静に一つの英断を下した。

魔導虚(ホロウロギア)の進行方向にある住民区画の全住民に避難指示を出してほしい』

「翡翠の魔導死神さん!?」

「しかしそれは・・・!!」

『今回の魔導虚(ホロウロギア)は君達が遭遇した中で最も厄介な個体である事は間違いない。この対応が杞憂で終われば良いが、初期対応が一分遅れるだけでも命取りになる事も忘れないでほしい・・・』

 余りにも的を射た正論だった。翡翠の魔導死神の胸に鋭く刺さる言葉は、はやて達を突き動かすとともに、現在直面しているのが『自然災害』ではなく『防衛事態』である事を否が応でも痛感させられた。

 

《B302地区にお住まいの皆さんにお知らせします。先程、市街区域周辺において未確認の大型巨大生物の活動が確認されました》

 翡翠の魔導死神の指示の元、機動六課は魔導虚(ホロウロギア)の進行方向に住まう近隣住民の避難の為の放送を流した。

《現在、管理局機動六課が対応中です。住民の皆さんは管理局員の指示に従い、落ち着いて行動してください》

 日常の生活を安穏と過ごしていた人々は、真剣なトーンで呼びかける女性局員の放送を真摯に聞き入れる。

 

 暮れなずむ頃合い―――。

 依然として機動六課とミーノトーロによる戦いは続いていた。

 市街地への侵攻を食い止めようと応戦する六課前線メンバー。だが、有効な決定打を与えられない為にミーノトーロの進行速度は殆ど落ちていない。

 しかしそれでも長丁場に渡り、スタミナ切れも辞さず懸命に戦い続ける彼らの闘志は未だ燃え尽きていない。

 この状況にクアットロはやや面倒くさそうな顔を浮かべていた。

「さすがは機動六課。一筋縄ではいかないようですわねー。でもいい加減見飽きて来ましたわね・・・・・・では、これなら如何でしょう?」

 パチンと指を鳴らした直後、クアットロの出した信号を受信したミーノトーロの様子が一変。咆哮を上げるや、体を覆う外装を全て解放し、蓄えられたエネルギーを一気に放出しようとしていた。

「あれは!」

「まずい・・・逃げるわよ!」

 一度敵の技を見ていたキャロとティアナが身の危険を感じ、周りに撤退を促す。

 そんな中、なのはは空の上から負傷したスバルを抱えて逃げ遅れている恋次の姿をを発見した。

「スバル! 恋次さん!」

 見かねた吉良が二人の元へ向かい救出を試みようとした、次の瞬間―――。

 ミーノトーロの体全体が紫色に発光すると同時に、蓄積された膨大なエネルギーが瞬く間に解放された

「しまっ――」

 

 刹那、大地を轟く業炎と爆発が周囲のありとあらゆるものを吹き飛ばす。

「「「「わあああああああああ」」」」

 爆発の衝撃に次々と吹っ飛ばされるメンバー。

「くぅぅ・・・はっ!?」

 爆風を受けながら、恋次は目の前で起きている事を注視。自分達を護る為、吉良が無理を承知で断空を張って爆風と衝撃を押さえ込んでいた。

「う・・・うう・・・ッ」

「吉良!」

 しかし、爆発の威力は凄まじく、消耗した吉良の霊圧では完全に防ぎきる事は出来なかった。

「ぐああああっ!」

 断空に皹が吐いた直後、抑え切れなくなったエネルギーの余波を受け、吉良は恋次達の元へと吹き飛んだ。

 爆発が収まると、六課メンバーは予想外の出来事を目の当たりにし唖然とした。

 技の使用によって休眠状態になるはずのミーノトーロが活動を休止せず、依然として進行を続けていたのだ。

「そんな・・・この攻撃の後は眠りにつくはずじゃ?」

「恐らく爆発の規模からして・・・エネルギーをセーブしたのだろう」

「そんなの聞いてねえぞ・・・」

「スバル達は!?」

 フェイトが懸念する中、恋次達は埋もれた岩の間から辛うじて脱出を果たした。

「吉良、助かったぜ」

「いや・・・さすがに今のはちょっと危なかったね・・・」

「あははは・・・」

 互いの肩を借り合う吉良とスバルの体は既に満身創痍と化していた。

 

 同時刻―――。

 ロングアーチは、突如として信号が途絶えた状況に当惑していた。

「状況は!? みんな大丈夫かいな!!」

 はやては「NO SIGNAL」と表記された映像を見ながら、爆発に呑まれたメンバーの安否を第一に気遣った。

『スバルと吉良が負傷しました。至急ヘリの手配をお願いします」

「ッ! わかった・・・すぐ用意する!」

 シグナムからの一報に表情をハッとさせるはやて。クロノやシャリオ達も内心不安でいっぱいだった。

 深刻そうに眉間の皺を寄せ、はやてはこの芳しくない状況の説明をリインに求める。

「リイン、避難状況は?」

「幸い、住民の避難は無事完了しました。地下100メートルを要する避難用シェルターに入っているので周辺の安全は何とか確保できるでしょうが・・・」

「このまま侵攻を止められないと甚大な被害を被った市街区域の放棄は・・・避けられないわな」

「放棄!?」

 そのとき、なのはは偶然にもロングアーチから届く話を通信越しに聞いてしまった。

 市街地への侵攻を続ける魔導虚(ホロウロギア)を空の上から見つめながら、なのはは呆然とした表情を浮かべる。

「そんな・・・・・・放棄って・・・・・・」

 

 陽も落ち、辺りは夜となった。

 ミーノトーロはとうとう市街地へ侵入した。

 電線を破壊し、街の電気系統を完全に麻痺させる。それに伴い避難シェルターに身を寄せていた住民達も突然の停電に恐怖した。

「電気が!」

「もうおしまいじゃ!」

 このとき、偶然にも同じ避難シェルターに居合わせていたヴィヴィオやチームナカジマのメンバーは、絶望的状況に悲嘆の声を漏らす住民達を勇気づけようとする。

「だいじょうぶです。すぐに予備電源が作動するはずですので、どうか落ち着いてください」

「みなさん、最後まで希望を捨てないでください!」

 子供達の必死の呼びかけもあり、少しずつ恐怖を払拭させていく住民達。

 周りを奮い立たせるかたわら、ヴィヴィオは地上で魔導虚(ホロウロギア)と戦い続けているなのは達の勝利を切に祈るばかりだった。

「ママ・・・・・・がんばって」

 

魔導虚(ホロウロギア)の侵攻、止まりません!!」

「このままの進行ペースでいけば、首都圏への突入まで猶予時間を1時間を切ります!」

「く・・・・・・倒せるんかいな、あれを?」

『倒してみせます』

 誰もが悲観的な言葉ばかりを紡いでいたそのとき、エース・オブ・エース―――高町なのはが通信越しに迷いの無い言葉を発した。

『絶対に・・・絶対に倒してみせます!』

「なのはちゃん・・・・・・」

 如何なる絶望をも希望へと変える存在―――誰もが認める不屈のエース・オブ・エースとしての素質をなのはは如何なく見せつける。

 通信を切り終え、なのはは侵攻する魔導虚(ホロウロギア)へ単身向かおうとする。

「おい、待つんだ!」

 そこへ恋次が飛び込み、なのはに制止を求めた。

「既に負傷者も出ている。街は放棄して、大人しく後退するべきだ」

 冷静に状況を鑑み賢明で現実的な判断を下そうとする恋次。しかし、なのはの考えは全くの真逆だった。

「・・・私は諦めません。私たちの大切な場所を見捨てたりなんか出来ないですよ」

「今はんなことを言っている場合じゃ! 「・・・それにですね、恋次さん」

 途中で言葉を遮り、なのはは恋次を凝視し一言添えた。

「私たち魔導師は・・・―――みんなの希望ですから」

「!」

 なのはの姿を見ていた折、恋次はその面影が十年来の戦友にして、尸魂界(ソウル・ソサエティ)の歴史にその名を刻む伝説の死神代行と重なった事に終始目を見開いた。

「だから最後の最後まで絶対に諦めません。不屈のエース・オブ・エースの名に懸けて、必ず勝ちます」

 力強く言い、なのははフライヤーフィンを羽ばたかせ、ミーノトーロの元へ単身飛んで行った。

 大空を翔るなのはの後姿をじっと見つめる恋次。

「彼女の良いところは決して折れない諦めの悪さなんですよ。今も昔も」

 と、そのとき―――不意を突いて隣から唐突に話しかけられた。

「うぉおおお!!」

 肝っ玉が縮む思いをした恋次は、全く気配を気付かれる事無くいつの間にか隣に立っていた翡翠の魔導死神を見て驚いた。

「び、ビックリしたぁ~! 急に湧いて出てくんじゃねえよ!」

「あれを見るとホッとする反面、不安にもなりますよ。良くも悪くも一途で真っ直ぐって言うのは見ていてあぶなかっしいですから」

「・・・確かに、ありゃ相当な頑固者だぜ。誰かが付いてねえと自制が利かなくなっちまう。まるで一護とそっくりだ」

「本質的なところはなのはも一護さんも同じです。そこに護りたいものがあるから頑張れる。一人でも多くの人を救いたい。山ほどの人を救いたい。そして、僕たちはそんな想いを持った人たちを傍で護りたい」

 恋次と顔を見合わせる翡翠の魔導死神。彼が何を言わんとしているのかを薄々感じ取った直後、恋次は溜息を突くなり頭を抱えた。

「・・・・・・ったくよ。これだから脳筋連中ってのは世話が焼けるんだ!」

 そう言いながらも、恋次はどこか嬉しそうな表情を浮かべていた。

 

 ミーノトーロの侵攻を水際で食い止めようと防衛ラインを構築する六課メンバー。だが、既に身も心も疲弊し戦闘の継続は限界に近づいていた。

「近付くことさえ出来ないなんて・・・」

「でも・・・何とかしないとこのままじゃ街が!」

 負けられない理由があるものの這い上がる事さえままならない。

 と、そのとき―――ミーノトーロの口がおもむろに開かれ、強大なエネルギーが集束され始めた。

「あれは・・・!」

「マズい、虚閃(セロ)だ!!」

 大虚(メノスグランデ)特有の霊圧を集束したエネルギーの塊・虚閃(セロ)を撃たれれば負けは確実。

 だがそのとき、絶体絶命の状況下、彼らと街の人々の生活を護る為に、エース・オブ・エースは勇猛果敢に立ち向かう。

「エクセリオンバスター!」

 バスターで魔導虚(ホロウロギア)の攻撃を辛うじて防ぎ、空中で大量の魔力スフィアを展開する。

「何が何でも街には近づけさせない!」

〈Load Cartridge〉

 ありったけのカートリッジを消費し、魔力の枯渇も辞さず徹底的に応戦。決して折れない心と彼女の雄姿に周りに居合わせた全員が魅了される。

 ミーノトーロは、ありとあらゆる手を講じるなのはの攻撃を受けてなお、鉄壁に近い防御力で耐える。

 反撃の隙を窺い、咆哮を上げ、俊敏な尾を振り回し射程に収めたなのはを攻撃する。

「きゃああああ」

 防御を張る間も無く、なのはは尻尾で叩き落とされた。

 そしてそのまま、ミーノトーロは地面へ叩き落としたなのはを巨大な足で踏み潰そうと行動を起こそうとする。

「なのはッ!!」

「やめろぉぉぉ!!」

 

「狒狒王蛇尾丸!! 狒骨大砲!!」

 次の瞬間、卍解を発動させた恋次がミーノトーロ目掛けて大威力砲撃を命中させ、これを退ける事に成功。なのはの窮地を見事に救った。

「なんだよありゃ!?」

「ヘビの・・・怪物・・・!」

 六課メンバーは恋次の卍解を未だに見た事が無かった。その為、不意を突く形で発動させた仰々しいまでの能力の変化に終始戸惑いを抱く。

 恋次の機転により九死に一生を得たなのはは、自分を助ける為に卍解を使った恋次に恐る恐る問いかける。

「恋次さん、今のは!?」

「へっ。切り札っていうのは最後までとっておくもんだぜ。そうだろう、翡翠の魔導死神?」

 その呼びかけに答えるように、恋次の横を通り過ぎた翡翠の魔導死神は狒骨大砲で怯んだミーノトーロの動きを封じ込める為の魔法を発動させる。

「ケイジングサークル!」

 巨大な敵すらも覆うことが出来る魔力による翡翠色のリングを展開。瞬く間にミーノトーロの動きを巨大な輪とチェーンバインドによって封じ込める。

「今だ! 全員でありたっけの力をアイツにぶち込むんだ!」

 翡翠の魔導死神が時間を稼いでいる間に、反撃の機を得たメンバーは最後の力を振り絞り、一斉攻撃に転じる。

 

「クロスファイアーシュート・フルバーストッ!!!」  「リボルバー・・・・・・ギムレット!!!」 

 

        「一閃必中(いっせんひっちゅう)!!! サンダーレイジ!!!」  「フリード、ブレストレイ!! ファイアッ!!!」

 

雷光一閃(らいこういっせん)・・・プラズマザンバー!!!」  「《火龍一閃》!!」  「ギガトンシュラ―――クッ!!!」

 

「ドルフィンドライブ!!!」   「俺の必殺技・・・パート2′!!」

 

        「狒牙絶咬(ひがぜっこう)!!」                  「ストライク・・・スターズ!!」

 

 最強最大の破壊力を秘めた各々の必殺技の応酬は壮観なものだった。

 大技が炸裂する事でミーノトーロの弱点である頭部額の仮面が少しずつ剥がされていく。

 しかし、それでも敵はしぶとく生き延び、尻尾を振り回して最後の最後まで抵抗し周りにあるものを手当たり次第に弾き飛ばす。

「きゃぁぁぁ!」

 射程圏内にいたなのはも弾かれてしまった。

 しかし、吹き飛ぶ位置を正確に捕捉した翡翠の魔導死神はなのはの手を握り締め、これを受け止めた。

「翡翠の魔導死神さん!」

「良いかい、チャンスは一回だ!」

 不思議と奇妙な心強さを感じられた。なのはは翡翠の魔導死神の言葉に同意する。

「・・・はい! お願いします!」

 ミーノトーロが咆哮を上げ、最後のエネルギー放射を実行に移そうとするのを見計らい、翡翠の魔導死神は自身の斬魄刀を通じてレイジングハートに霊力を注ぎ込み、そのままなのはは射出する。

「行くよ・・・はぁぁぁぁぁぁ!!」

 ロケット噴射の如く勢いよく飛んで行くなのは。

 標的を見据えレイジングハートの先端を突き立てると、なのはは自身に残された最後の切り札を発動させる。

「ブラスター2! A.C.Sドライバー、イグニッション!!」

 エクシードモードに搭載されたストライクフレームを全展開し、ブラスターによる自己強化によって加速突撃を最大限に発揮する。なのはにとって諸刃の剣とも言えるこの技だが、彼女は一切の躊躇なく使用した。

「はぁぁぁぁぁぁぁ!」

 全力全開。迷いの無い一点集中攻撃がミーノトーロの弱点である頭部を貫いた。

 一瞬の沈黙が流れた末、ミーノトーロの仮面が完全に破壊され、敵は霊子の粒子となって消滅した。

「や、やったあ・・・」

「さすがね」

 六課司令室でモニター中のはやて達、共に前線に出ていたメンバーは、長きに渡って抗い続けた敵との戦いに終止符が撃たれた事を理解。

 直後、緊張の糸が切れた事により全身の力がたちまち抜け落ちた。

「あの光は―――」

「ママ達だよ。機動六課のメンバーがやったんだよ!」

 避難シェルターにいたヴィヴィオ達も、ようやく落ち着きを取り戻した街の様子をモニターで眺めながら、なのは達の勝利を確信した。

 

「やりましたね、翡翠の魔導死神さん!」

 翡翠の魔導死神の肩を借りながら、なのはは苦労の末に敵を倒し街を護ったという達成感に満ちた表情を浮かべる。

「ああ・・・・・・本当によくやったよ」

 彼女の労をねぎらい、翡翠の魔導死神もそのような言葉を紡ぐ。

 このとき、なのはは翡翠の魔導死神から不思議と懐かしい心地よさを感じていた。四年前に失踪した嘗ての魔法の師・ユーノの面影と同じものを。

(ユーノ・・・くん・・・・・・?)

 居るはずの無い師が目の前に居るような感覚に終始戸惑い、なのはは目を大きく見開き唖然とした。

 

 戦いが終わり、なのはは無事にヴィヴィオの元へ行くことが出来た。

「ママー!!」

「ヴィヴィオ!!」

 再会を果たす二人は固く抱き合い、その温もりを感じ合う。

「無事で良かった!!」

「にゃはは。エース・オブ・エースの名は伊達じゃないんだよー。ママはどんな敵が相手だって絶対に負けないんだから」

 微笑ましい光景にほっと一息を突く六課メンバー。

 すると、先ほどまで居たはずの翡翠の魔導死神がいつの間にか居なくなっている事に周りは不思議がった。

「あれ? 翡翠の魔導死神の奴いなくなっちまったのか」

「ふむ・・・助けてもらった礼をしたかったのだがな」

「んなものいらねえよ。あいつには」

 恋次はそう言いながら不敵に笑みを浮かべる。

 やがて、平和が取り戻されたミッドの夜空に煌々と光り輝く星空を仰ぎ見ながら、物思いにふける。

(おいルキア、こっちの世界の星も・・・悪くねえぞ)

 

 

 

 

 

 

教えて、シャマル先生♡

 

シャ「はーい、みんなー。いい子にしてたかしら? 私はヴォルケンリッターの参謀・湖の騎士のシャマル。機動六課では医務官を務めているわ。さて、今日はこの私・・・シャマル先生がみんなの質問に答えてあ・げ・る♪」

 突然の事態に周りが困惑する中、ザフィーラがこのコーナーに関する疑問を呈した。

ザ「シャマル・・・何故急にこんな事を?」

 すると、シャマルは不気味な笑みを浮かべ、やがて次のような事を語った。

シャ「この物語が始まってもう12話も経っているというのに・・・・・・私の出番が一向に回ってこないのは絶対におかしいじゃない!! だからこそ、少しでも出番を増やす為にはこういうコーナーで登場しとかないといけないのよ!!」

ザ「身も蓋も無い話だが・・・・・・確かに、我も含めて登場回数の少なさは胸に刺さるものがあるな」

シャ「でしょでしょ! ザフィーラだってもっと出番ほしいわよね。だからね、今日からこのコーナーを通じてみんなにもっと私たちの事を知ってもらいましょうってわけ♪ さーてと、記念すべき第一回目のテーマは・・・」

 と、張り切った矢先。突然辺りが真っ暗となる。

シャ「ちょっと何!? 急に暗くなって何も見えないんですけど!! 誰か灯りをつけてちょうだい!!」

 パニックに陥るシャマルと冷静なザフィーラ。

 すると、暗がりの中で彼らが載ったステージごと台車が動き始める。

シャ「えええ!? ちょっと・・・!! いったいどこへ連れて行く気よ!? わたしまだ名前しか紹介してないんですけど―――!!!」

ザ「うむ・・・・・・解せぬ!」

 内心ザフィーラも不服そうにしながら暗がりの中に消えて行った。

 やがて、明かりがつくと、ユーノが額に汗を浮かべながらその場に立っていた。

ユ「やれやれ・・・・・・油断も隙も無いんだから。人のコーナー勝手に乗っ取んないでほしいものだよ」

 

 

 

魔導師図鑑ハイパー!

 

 ミーノトーロとの戦いの後、忽然と姿を消した翡翠の魔導死神こと、ユーノ・スクライアがあの後どこへ消えたのかと言うと・・・・・・

ユ「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 彼は公衆トイレで一人唸り声を発していた。

ユ「だあああああああああああああああああああ!!! 全身から汗が噴き出るうううううう!!!」

 昨日服用した風邪薬と、今朝方金太郎に飲まされた胃腸薬と称する毒を摂取した事で腹を下した。

ユ「ぬおおおおおおおおおおおおおお!!!! 何かが生まれそうな勢いで体の力が抜けるうううううう!!!」

 猛烈な腹痛が戦いが終わったのと同時に突如として襲ってきた。

ユーノは周りに悟られない様に離脱すると、真っ先にトイレへと駆け込み、孤独な戦いに身を投じていた。

「き、金太郎のヤツっ!!! この借りは千倍、いや百万倍にして返してやるからなぁぁ!!! 覚えてろよぉぉぉ!!!」




次回予告

ティ「機人四天王トーレの手にかかって魔導虚(ホロウロギア)へと変貌したスバル」
ギ「スバル・・・・・・たとえあなたがどんな姿になったとしても、あなたは必ず救って見せる!!」
ユ「次回、ユーノ・スクライア外伝・・・『やさしい拳』。今、姉妹の絆が試される!」






登場魔導虚
ミーノトーロ
ミッドチルダ廃棄都市区画に突如として出現した新種の魔導虚。
これまで発見された個体とは異なり、幼生虚によって変異したものではなく、スカリエッティに個人によって生み出された完全なオリジナルである。
雄牛を彷彿とさせる仮面と強固な外殻に覆われている。動きは鈍重だが、並みの攻撃を決して寄せ付けない防御力を有している。また、外殻は鎧としての機能だけでなく、体内に蓄えられた膨大なエネルギーを封印する為の役割を果たしており、それを一度に解放する事で周囲の物を一重に吹き飛ばす技「パラダイスロスト」を発動する事が出来る。それ以外の攻撃手段として、伸縮自在の尻尾を縦横無尽に振り回す「ヘブンズブロー」を得意とする。エネルギー解放後は一定時間の休眠が必要であり、その間の攻撃は一切の干渉を受けない。パワーをセーブする事で休眠する事無く活動を継続する事が可能となる。
六課メンバーと壮絶な死闘を繰り広げ、一時は彼らを追い詰め市街地への侵入を果たすが、翡翠の魔導死神の加勢によって士気を取り戻した六課メンバー総出の攻撃を受け、最後はなのはの渾身の一撃によって倒され消滅した。
名前の由来は、ギリシア神話に登場する牛頭人身の怪物「ミノタウロス」と、イタリア語で「雄牛」を意味する「toro」から。
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