ユーノ・スクライア外伝   作:重要大事

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第14話「霧が来る」

 ガキの頃に両親を亡くした俺は、唯一の身寄りだった京都のばあちゃんに引き取られ、以来俺はばあちゃんに育てられた。

 物心つく前から俺はユウレイが当たり前のように視えていた。程なく死神の力を使えるようになった。

 最初はこの力が何なのかよくわからなかった。だが、俺はガキの頃から強いヒーローに憧れていた。

 弱きを助け、強きをくじく、そんなヒーローになれたんだって俺は内心興奮した。

 

 でも現実はヒーローにとって生きづらくて仕方なかった。

 せっかく力を持ってても誰もその力を求めないし、使う機会もほとんどない。どんなに強い力を持っていたって使わなかったら宝の持ち腐れでしかない。

 高校を卒業した俺は住み慣れたばあちゃん家を離れ、この俺にしかできない事を・・・俺自身がヒーローになる為に旅を始めた。

 

 そして旅を初めて数年後。俺はようやく、出会えたんだ。

 俺が強烈に憧れなりたいと願い続けたヒーローでありながら、この俺をヒーローに仕立て上げてくれた人と――――――。

 

           ≡

 

新暦079年 5月1日

第1管理世界「ミッドチルダ」

 

 霧深い渓谷を疾走する人の影。

 白衣姿の研究員と思しき男性は脇目も振らず、一心不乱になって山の斜面を下る。

 全力疾走で、まるで何か得体の知れないものを恐れるかのように。兎にも角にも逃げる事に必死だった。

「わぁ!」

 だが、男性は足下を取られ蹴躓いてしまう。

 打ち付けた箇所を押さえながらおもむろに立ち上がろうとしたが、直ぐに腰が抜けてしまった。

 よく見ると、周りには自分と同じ白衣姿の研究員が何人も倒れている。首筋には節足動物のような足が付いた奇怪に蠢くタマネギのような寄生物質が取り付いていた。

 そして、研究員を追い詰めるものが急速に接近する。

 意志を持ったかの如く背後から近づく霧。霧によって辺り一帯の視界が覆われた途端、絶望に悲観した研究員は叫喚を発した。

 

「ああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

 

           ◇

 

5月3日―――

ミッドチルダ北東部 ハコステ山 一合目地点

 

 ヴィヴィオが通うSt(ザンクト).ヒルデ魔法学院の初等科クラスは、ハコステ山へ遠足に来ていた。

 これからロープウェーに乗り、山の頂上にある『宇宙観測センター』へ向かう予定となっており、子供達は今か今かとロープウェーに乗るのを楽しみにしていた。

「わたし、ロープウェー乗るのはじめて!」

「わたし!」

「あたしも!!」

 ヴィヴィオとコロナ、リオは初めて乗るロープウェーに興奮を覚える。

「ボクもミッドのは初めてだな。スプールスの別荘に滞在しているときは、ロープウェーで山脈を一望したもんだがねー」

 いつものようにちょっと鼻にかけた物言いで自慢したがるのは、ヴィヴィオのクラスメイトで裕福な家庭に育った少年、ミツオ・スドウ。

「へぇー、そうなんだ」

「ミツオのお家はお金持ちだもんね」

「まぁねー!」

 金持ちである事を誇らしげに感じるミツオだったが、この後、良い気分でいたところでバウラが余計な事を口にした。

「あれ? でもそれならヘリを丸ごとチャーターした方が景色も独り占めできるんじゃねえのか?」

「言われてみれば確かに・・・。」

「お金持ちの割にはロープウェーっていうのがちょっと庶民っぽい気が・・・」

「ば、バウラ!! そう言う余計な事は言わないでよね!!」

 

 数分後、いよいよロープウェーに乗り込んだヴィヴィオ達は、山の頂を目指すかたわらゴンドラ内から一望できる絶景を満喫していた。

「見て見て海が見えるよ!」

「クラナガンはどこだぁ?」

「さすがにここからじゃ見えないよ」

「記念に、この最新式の『魔導制御88倍付き一眼レフカメラ』で撮影しておーこおーっと!」

 と、持参したカメラの性能を誇示するような説明をするミツオ。

「うぉー!! すげーやこのカメラ! 余計な機能がついてねえから使いやすいなー!」

 対するバウラは、市販されているインスタントカメラで窓から臨む景色をやたらと撮りまくってミツオの神経を無意識に逆撫でした。

「きぃぃ~~~!!! バウラのくせにボクより目立つなんて~~~!!!」

 常に自分が一番でありたいという気持ちが強いミツオは、ここに来てバウラに妙な対抗心を燃やす。

 傍で見ていたヴィヴィオ達は、ただただ苦笑するばかりだった。

「あははは・・・・・・ミツオのあの性格は別に嫌いじゃないんだけど」

「聞いてて気持ちがいいものじゃないよね」

 順調に山頂へと進み続けるロープウェー。

 だが、次第に濃い霧が立ち始め、景色はたちまち見えなくなった。

「なんかすごい霧・・・」

「なんにも見えないねー」

 折角の絶景をもっと味わいたかったのに・・・と、落胆した矢先。ロープウェーが目的地である頂上へ到達した。

 ただ不思議な事にロープウェー乗り場には人っ子ひとりおらず、ゴンドラから降りたヴィヴィオ達は思わず面を食らった。

「あれ~?」

「先に降りた連中がいないぞ」

「係のおじさんもいない」

「気味が悪いねー」

「クリス、外からの通信は?」

 うさぎのぬいぐるみを模した愛機セイクリッド・ハートこと、クリスに通信可能か否かと問いかけるヴィヴィオ。

 すると、クリスは困った顔を浮かべ首を横に振った。

「えっ・・・圏外!?」

 山間部では電波障害が発生しやすいと言うことは授業などを通じて知っていたが、精巧に造られたデバイスでの連絡が一切取れないのは些か信じられなかった。

 不安に駆られながら、ヴィヴィオ達は一先ず人が近くにいないかどうか確かめる為、乗り場の外へ向かう。

 しかし、やはり人が居る様子は無く全体的に静まり返っていた。

 山全体も登る途中から立ち込めた深い霧の所為もあってか、より一層不気味に感じられた。

「やっぱり誰もいない」

「どうしようか?」

「あ、待って。ボクの最新型携帯デバイスで先生に連絡を取ってみるから!」

「さすがはミツオ! こんなときばかりは頼りになるぜ!!」

 褒め言葉として素直に受け取っていいものか、コロナは内心判断に迷う言葉に思えてならなかった。

 手持ちの携帯デバイスで連絡を取り続けるミツオ。しかし、次第に様子がおかしい事にリオが気付いてしまった。

「あれ? どうしたの?」

「ダメだ!! 雑音しか聞こえて来ない!!」

 全く電話が通じない状況にミツオは悲嘆し涙を流す。

 そのとき、立ち込めていた霧の流れが突如として変化し始めた。霧の流れが変わり始めた直後、ヴィヴィオに虫の知らせが届いた。

「何か来る・・・・・・」

 不気味なものが忍び寄ろうとしている事を本能的に察知する。

 恐怖に戦き、身構えるヴィヴィオ達。そして、次の瞬間――――――かつて経験した事の無い恐怖が子供達へと襲い掛かった。

「あ・・・あああああああああああああ!!!」

「「「きゃぁぁぁああああ!!」」」

「ママァァァアアアア――――――!!!」

 

           *

 

 同時刻―――。

 二日前よりハコステ山にある宇宙観測センターからの連絡が途絶えたと言う報告を受け、機動六課は直ちに調査の為、エリオと鬼太郎をハコステ山へと向かわせた。

 

           ≡

 

ハコステ山 三合目地点

 

「こちらライトニング3、依然宇宙観測センターからの応答はありません」

 車を運転するかたわら通信を行うエリオと、助手席に座る鬼太郎は段々と濃くなっていく霧に違和感を抱き始める。

(なんだ・・・・・・この霧は・・・・・・・・・?)

『こちらフェイト。先ほど入った情報なんだけど・・・今日はヴィヴィオ達が遠足でこの山を訪れてて、数分前からセイクリッド・ハートの信号が途絶えた。何かが潜んでいる可能性は考えられるから、十分に注意して』

「了解です。」

 すると、フェイトの後で浦太郎が別な注意を促した。

「エリオ、先輩に気をつけた方がいいよ。昨日パチンコでまた負けたんだって♪」

 聞いた途端、怒りを覚えた鬼太郎はモニター画面にドアップで顔を映し激昂する。

『バカヤロウォ! なんでそう言うことこの場で話すんだよてめぇは!』

「良い歳にもなってもいつまでもギャンブルなんかやってるから悪いんだよ。これを機会にもっと賢い大人になった方が無難だよ、僕みたいにさ♪」

『ほざけ!! 俺はなぁ、てめぇみたいな顔だけイイだけの底なしもっこり男とは訳が違うんだよ! いいか、見とけ! てめぇよりも先にイイ女作って、俺と彼女の結婚式で“てんとう虫のサンバ”歌わせてやる!』

 浦太郎への煮え切らない怒りを露わに鬼太郎は通信を切った。

「「「ハハハハハ!!」」」

 切断直後、六課隊舎では恋次とヴィータ、浦太郎の三人があまりにおかしさに大笑いが止まらなかった。

「結婚式だぁ? あいつが? ないない!」

「あのガサツな男に限って結婚なんてあり得ねぇって!」

「だいたい先輩は恋愛のイロハはおろか、デリカシーの欠片すら無いんだよ。そんな人が女の子をモノにできる訳が無いって! やっぱ男はね、先ずお金! それに頭脳とルックスさ! この3Kが揃ってなきゃダメだって」

「あ、それ前に父さんから聞いた事あります。地球のバブル期・・・とかに流行ったって言う好意を持たれる男の人の条件ですよね?」

「せやけど浦太郎さんも古いなー。今は3Kやのーて『ジェントルマン』、『ギャップ』、『強引』をあわせた3Gが主流なんですよー」

「心配はいらないよ。僕はそれら世俗のあらゆる基準を遥かに凌駕しちゃってるから♪」

「いや・・・凌駕する事の意味が良く分からないんだけど」

 などと雑談をしていた折、それは起こった。

 

 ブーッ! ブーッ! ブーッ!

 

 突然の警報に目を見開くメンバー。

 すると、焦燥を露わにしたリインがはやてへ報告する。

「大変です! 鬼太郎さんとエリオからの通信が途絶えました!」

「なんやて!?」

「どうやら強力な電波障害が起こってるみたいです。ノイズしか入りません」

 

           *

 

ハコステ山 四合目地点

 

 現地で思わぬトラブルに見舞われたエリオと鬼太郎。

 到着して早々通信機器不良に陥り、直後には発生していた濃霧による影響で視界不良となった車は、移動中に木々に激突するという事故を起こした。

「ててて・・・なんだ? もう朝かよ?」

「冗談言ってないでどいてもらえませんか」

 鬼太郎にのしかかられる状態のエリオは身動きが取れずにいた。

 状況を整理する為、一旦車外へ出ると、ボンネットは見事に凹んでおりほぼ修理は不可能に近かかった。

 更に厄介な事に、発生している霧の中ではいかなる通信機器をまるで意味を成さず、六課との通信はおろか自身の位置把握さえままならなかった。

「どうだ?」

「ダメです。やっぱり通信できません」

「何がどうなっちまったんだよ。何もかもぜんぶ使用不能だなんて」

「何か強力な磁場に捕まったみたいですね」

「磁場? あ、それで宇宙観測センターとの連絡が・・・」

 通信障害の原因について何となく疑問に思っていた鬼太郎も、エリオの話を聞いてようやく合点が行った。

「それにしてもひどいな。ここら一帯荷電粒子が大量に拡散してる」

「おまえわかるのかよ?」

「これでも電気系統の魔法が使えるのである程度は。しかし困りましたね。この磁場の中ではGPSも全くの無意味です」

「だからってここに居たって埒が明かねえよ。こうなりゃ自力で何としても観測センターまで辿り着くしかねえな」

「ですがコンパスも何も無いんですよ?」

「バカヤロウ! これだから現代っ子は考えるって事をしねえんだ。この自然界にあるものをヒントに考えるんだよ!」

「考えるたって・・・なにをどうすれば?」

「確か観測センターがあるのは北だったよな?」

「そうですけど・・・」

 すると、鬼太郎は身に付けていたアナログの腕時計で短針を太陽の方角へと向けた。その方向と12時との間の方向を逆算し、方位を割り出す。

「あっちが南だから、観測センターはこっちだ」

「本当に合ってるんですか?」

「俺を信じろ! 荷物まとめたらとっとと出発するぞ!」

 一抹の不安を抱え、エリオは鬼太郎とともに観測センターを目指し歩いて出発した。

 

 宇宙観測センターがあるのはハコステ山の八合目、頂である1438メートルである。

 現在、二人がいるのはおよそ山の中腹当たり。ここから険しい獣道を進み、標高1000メートル付近までノンストップで進み続ける。

 先頭を歩く鬼太郎はぐいぐいとペースを上げて行く一方、エリオはやや息が上がり、歩くペースが徐々に減衰し始めた。

「は、は、は、鬼太郎さん・・・・・・ちょっと早くありませんか?」

「なんだよこれぐらいでへばってんじゃねえぞ。おまえそれでも自然保護隊のエースなのか? キャロにモテねえぞ」

「そこでキャロは関係ないじゃないですか/// とにかく、ちょっと休みませんか?」

「ったく・・・仕方ねえな。んじゃ5分だけだぞ」

 エリオの懇願を聞き入れ、鬼太郎は僅かな休憩時間を設ける事にした。

 勢いよく水分補給をするエリオを横目に、鬼太郎は持ち込んだ斬魄刀の波紋をなぞるように見つめる。

 すると、エリオが唐突に鬼太郎に質問をぶつけて来た。

「あの・・・・・・前から気になってたんですけど、鬼太郎さんって恋次さん達と違って正規の死神でもないのにどうして斬魄刀持ってるんですか?」

「俺にもよくわかんねぇんだよ。なんか気付いたら持ってたんだ」

「気付いたら持ってるもんなんですか?」

「細かい気にすんなよ。だいたい斬魄刀云々で言うなら、うちの店長だって正規の死神じゃないけど持ってるぜ」

「え?! 鬼太郎さんの上司の方も死神なんですか?」

「あぁ。しかも強さは怪物級だ。俺なんかとは比べ物にならねえ霊圧の持ち主でな、そのくせ『斬拳走鬼(ざんけんそうき)』揃った万能型なんだ」

「へぇー。すごい方なんですね・・・・・・今度紹介してもらっていいですか?」

「まぁ機会があったらな」

 このとき鬼太郎は敢えて言わなかった。

 店長であるユーノが既にエリオの知り合いであり、今最もホットな人物である『翡翠の魔導死神』の正体である事を。

 

 休憩を終え、二人は再び観測センターを目指して進路を取った。

 ちょうど六合目辺りを移動していた折、深い森を抜け、開けた景色が一望できる場所で一旦観測センターまでの距離を測り直す事にした。

「だいぶ歩いたと思うんですけど・・・本当にこの道で良かったんですか?」

「おっかしいな。俺の勘だともうとっくにセンターが見えてもいいはずだぜ」

 時刻は間もなく夕方の17時を回る。日没までに目的地へ到着したいというのが本音だが、位置情報が正確でない中での移動は困難を極めていた。

「ん」

 不意に、鬼太郎の目にある光景が飛び込んだ。

「あの・・・どうしました?」

「見ろ。村だ」

 幸運な事になだらかな大地に住居を構えた村々を発見した。

 二人は一度、村で観測センターの場所と距離を改めて聞く事で合意し、早速立ち寄ってみる事にした。

 ところが、村に入った際に彼らは異様で奇妙な現象に遭遇した。

 どこの家もつい先ほどまで人が居た気配を残しつつ、肝心の人間が一人も居ない。生活感を残したまま女子供問わず大量の村人が蒸発した。

「なんなんだよこりゃ?」

 怪訝に思いながら、鬼太郎は誰もいない家の中を見渡し、出しっぱなしになっていた水道の蛇口を一旦止める。

 家を出た直後、他の家を捜索していたエリオと合流する。

「鬼太郎さん!」

「どうだったそっちは?」

「誰もいませんね。でもどの家もついさっきまで人が居た形跡があるんですよ」

「まさか全員で山に芋掘りでもないだろう」

 などと冗談めかした事を口にした、そのとき。

「「うわあああ!!」」

 二人の前に全身が水浸しとなった少年、ミツオが突如として現れ、二人の目の前にぐったりと倒れ込んだ。

 何の前触れも無く現れた事に一瞬驚く二人だったが、直ぐにミツオの安否を気遣った。

「おい君、どうしたんだ!?」

「しっかしろ! 何があった小僧!?」

「きりが・・・きりが、くる・・・」

 譫言(うわごと)のようにそう呟きながら、ミツオは恐怖と寒さから体を小刻みに震わせた。

 

           *

 

午後16時57分―――

ハコステ山 近郊空域200メートル

 

 その頃、連絡の途絶えたエリオ達の救出へと向かったスターズおよびライトニング分隊は、ハコステ山に入山前からトラブルに見舞われていた。

「スターズ1からロングアーチへ。先に捜索へ向かったライトニング1との連絡も途絶えました。あの山全体に強力な電波障害が発生しているのか。もしくは・・・」

『・・・今は悲観的にならない方がええ。解析が済むまでそのまま待機や』

 話を聞いたはやては、険しい表情を浮かべながらそう言い、なのはも首肯し待機を決め込んだ。

 通信を終えると、なのははエリオ達もさること、遠足に出かけたまま行方が分からなくなった愛娘の安否もまた気がかりだった。

「ヴィヴィオたち・・・・・・だいじょうぶかな」

 

           *

 

午後17時02分―――

ハコステ山 六合目 村落群

 

 日も暮れ始め、一段と辺りは濃い霧が立ち込める。

 あのあと直ぐに気を失ったミツオが意識を取戻し、おぼろげな視界が開くと、真っ先に目に飛び込んだのは―――釣目でじっと顔を覗き込む鬼太郎だった。

「うわぁぁぁあああ!!! こ、殺さないでぇぇぇ!!!」

 ゴツンッ―――!

 あまりの心外な一言に鬼太郎は我慢ならず、ミツオに容赦ない拳骨を落とす。

「人の面拝んでその第一声は何だ!?」

「いたぁ~~~い///」

 二人のやり取りを見ていたエリオは苦笑しつつ、ミツオに詳しい事情を聞く事にした。

「えっと・・・確かヴィヴィオと同じクラスメイトのミツオ・スドウくん、だったよね? いったい何があったの?」

「・・・わからない。この山に登ろうとしていたら急に変な霧が出てきて」

「霧? 霧がどうしたんだ? つーかなんでずぶ濡れだったんだよ? 仲間は? まさかヴィヴィオ達を置き去りにしてきたんじゃねーだろうな」

「だったら何だよ!! それでボクを責めようって言うのかよ!?」

 矢継ぎ早に質問をされたミツオは、思わず大声で怒鳴り散らした。

「急にデケー声出すなよ。俺はただ・・・」

「知りたきゃ勝手に調べに行けばいいさ! それがあなた達の仕事なんだろ?」

「言われなくても行ってやるよ! 前に魔導虚(ホロウロギア)に取り込まれそうになった時に俺らが助けた恩をもう忘れやがって・・・てめえの親の顔が見てーよ!」

「ぼ、ボクのパパはすっごく偉い人なんだぞ! その気になればあんただって・・・!」

「へっ。上等だぜ。どんだけエラい奴か知らねえがな、この世でばあちゃんと店長以外俺に怖い物なんざねえ!」

 何故こんな時に些細な事で喧嘩をする必要があるのだろうと、内心呆れ果てるエリオは深い溜息を突く。

 ミツオに背を向け、一旦屋外へ出ようと鬼太郎が窓の方へ目を向けた―――そのとき。

「お、帰って来やがったぜ!」

 集団で失踪していたと思われた村人が挙って帰って来るのが見えた。

 急いで外へ出ると、鬼太郎はスクライア商店で鍛えてきた営業スマイルを見せ、人当たりの良さそうな態度で話しかける。

「いやぁ~、すみません勝手に上がり込んで。みなさんお揃いでタマネギ掘りに・・・」

 冗談半分で話しかけた折、鬼太郎は戻ってきた村人の異変を逸早く察した。

 まるでゾンビの如く皆虚ろな表情で、首筋にはタマネギを彷彿とする不気味に蠢く物が取り付いていた。

「なんだ・・・・・・?」

 老若男女問わず全員から漂う異様さと妙な殺気。

 ただならぬ雰囲気に警戒をしていた次の瞬間、突如として奇声を発した村人は包丁や斧、(なた)といった凶器を手にゆっくり近づいて来た。

 死の危険を感じた鬼太郎は慌てて家の中へ戻り、戸締りを強化するようエリオへ呼びかける。

「エリオ、戸閉めろ!」

「どうしたんですか?」

「いいから早く閉めるんだよ!」

 いつになく切羽詰った様子の鬼太郎を怪訝に見つめるエリオだったが、その直後、彼が何故慌てているのか理由を知った。

「な!」

 扉の隙間越しに見えた村人の狂気染みた行動を目の当たりにし、エリオもようやく事態の重さに気付く。

 家に入って来そうな村人を封じる為、慌てて戸を閉め背中で押さえ込む。

「一体何なんですこれ?!」

「俺に質問をするなぁー! あんなん分かるかー!」

 ドンドン・・・。ドンドン・・・。

 閉ざされた扉を手持ちの凶器で破壊しようとする村人達。

 封じ込むのも直ぐに限界を迎えると感じた鬼太郎は慌てて戸から離れる。

 村人が戸を突き破り始めた直後、外に充満していた例の霧が意志を持ったかのように屋内へ侵入を開始した。

「ひいいいい!!!」

 ミツオはここに来るまでに自分達を苦しめた霧が中へ入って来るや、恐怖のあまり体を膠着させる。

「なんだあれぇ!? とにかく逃げよう!」

 急いでエリオとミツオを連れ、鬼太郎は裏口から脱出する。

 すっかり日も暮れ辺りは闇に包まれる。村を離れた三人は、謎の霧と狂気を剥き出しにして襲い掛かる村人から逃れる為、森の中を一心不乱に走り続ける。

「みんなどうしちゃったんですか!?」

「知るかアホ!」

「アホって・・・!?」

 よりにもよって鬼太郎から「アホ」呼ばわりされるとはエリオ自身思ってもいなかった。

 だがそんな些細な事すら忘れさせるほどの恐怖が、暗闇に紛れて背後から急速に近づきつつあった。

「き・・・来たあああああ!」

 ミツオが悲鳴を上げたの機に、後ろを振り返るエリオと鬼太郎。

 すると、霧の中から蜘蛛の足のようなものが付いたタマネギ状の寄生生命体が数十匹と飛翔し襲い掛かって来た。

「ああああああ!! 来るなぁぁぁ!!」

 涙腺を崩壊させ、足下を躓いたミツオの腕に絡みつく寄生生物。

「ミツオくん!」

 咄嗟にエリオがミツオに巻きついたそれを取り除き事なきを得るが、頭上には同じ姿形の仲間がうじゃうじゃと集まっていた。

「うわっ! なんなんだこいつら!?」

 危機に直面したエリオはストラーダを起動しバリアジャケットを羽織る。

「気を付けろ! こいつらが村の連中の首に吸い付いてたんだ!」

 警戒を促しながら鬼太郎も斬魄刀を抜き、中空を舞っている無数の寄生生物をエリオと協力して斬り落とす。

 しかし、相手は小型ゆえにかなり俊敏性が高く、相当数で行動していた為、二人だけで対処するにはかなり分が悪い。

 倒した傍から仲間を次々と呼び出んで数を補充する。そんな未知なる敵を相手にするのは極めて効率が悪い。二人はミツオを守りながら、徒にエネルギーばかりを消耗する戦いに苦悶の表情を浮かべる。

「いくら倒してもキリが無いですよ!」

「馬鹿! こんなときにつまんねえダジャレ言ってる場合か! 逃げるぞ!」

 

 午後19時11分―――。

 謎の寄生生物を振り切った三人は、身を隠す事の出来る大きさの洞穴を発見。一時そこに身を潜めるとともに、出る機会を窺いながら状況を整理する。

「あいつら人間に憑りついて操ってやがる」

「微かですが、あの生物から魔導虚(ホロウロギア)出現時に確認される非物質粒子レギオンを検出しました。もしかすると、一連の騒動は魔導虚(ホロウロギア)の仕業だったのかもしれません」

「ちっ・・・。早くロングアーチにこのこと報せねえとヤバい事になるぞ!」

 洞穴の外を覗き込み、鬼太郎は松明の灯りで敵が近くにいないかを確かめる。

「ミツオくんはどうしますか?」

「この山はもう子供がいていい場所じゃねえ。エリオ、夜が明けたらそいつ連れて先に山を下りろ」

「じょ、冗談じゃないよ!! バウラ達を置いてボクだけ逃げろっていうの!? そんなことできるわけない!!」

「何いっちょ前な事ぬかしやがるんだてめぇは! だいたいヴィヴィオ達を置いて真っ先に逃げたのはどこのどいつだよ!?  ナマ言って無えでガキはガキらしく大人の言うことを聞いていやがれ!」

 鬼太郎の提案に猛反発するミツオと、その生意気な態度に業を煮やした鬼太郎もまた大声で怒鳴りつける。

「ぼ、ボクはあいつらに襲われたんだ! どこへ逃げたって絶対に追いつかれる!」

「じゃあどうすりゃいいんだよ!? お前は何がしたい!?」

「ボクは・・・・・・バウラ達を助けたい! ボク一人っきりでもぜったいに行く! 友だちを見捨てたりなんてやっぱり出来ないよ!」

「ミツオくん・・・」

「ったく。ああ言えばこう言やがって・・・・・・あとで泣きべそ掻いたって俺は知らねえからな!」

 

           *

 

ジェイル・スカリエッティ 地下アジト

 

「揃っているかね機人四天王諸君」

「全員おります」

 ファイの言葉がけ通り、スカリエッティの前には既にウーノを筆頭に、トーレ、クアットロら四人が自然と集合していた。

 まるで主からの招集の意図を組んだかのように―――。

 スカリエッティは早速今回の招集の理由であるハコステ山の魔導虚(ホロウロギア)について、携わった当時者から説明を聞くことにした。

「あの魔導虚(ホロウロギア)を育てたのはファイなのかい?」

「いかにもこのわたくしですドクター。あの魔導虚(ホロウロギア)・マグニアは人里離れた山奥の観測センターで日がな一日を過ごすひ弱な男でした」

 

           ≒

 

3日前―――

ハコステ山 宇宙観測センター

 

「じゃあエザキ教授、後始末よろしくお願いします」

「お疲れさまです」

「はい、おつかれさーん」

 あまり覇気のない返事をして、同僚の研究員を見送る一人の男。

 トシヤ・エザキ主任研究員(54)は、科学者ながら元・Sランクの凄腕魔導師だった。現在は加齢に伴う体力と魔力の衰えから第一線を退き、この宇宙観測センターで変哲のない日々を送っていた。

 深夜2時を過ぎた頃、研究に没頭していたエザキは、体の気だるさを感じつつ今の心境を率直に嘆いた。

「はぁ~・・・。年の所為かな、最近体がだるくてしかない。昔は体力にも魔力にも自信があったんだが・・・・・・」

「興味深い話だな」

 誰もいない研究室から自分以外の声がした事にエザキの背筋が凍りつく。

 振り返ると、そこには乾いた双眸でじっとこちらを凝視する機人四天王・ファイが立ち尽くしていた。

「な、なんだおまえは!? どっから入って・・・!!」

「俺から貴様へのプレゼントだ。これを使えば若かりし頃の力を取り戻せるぞ」

 幽霊にでも遭遇したかのようなリアクションを取る相手の反応に目もくれず、不敵に笑いながらファイは幼生虚(ラーバ・ホロウ)を一体取り出した。

「うぅ・・・・・・うわあぁぁぁああああ!!!」

 

           ≒

 

「そして魔導虚(ホロウロギア)は霧となった」

「周辺一帯に住まう生物から根こそぎ生命エネルギーを採取し、得られたエネルギーを幼生虚(ラーバ・ホロウ)プラント培養に流用すれば・・・」

「ふふふ・・・・・・いいね、ファイ。私たちの目的達成は案外近いかもしれない」

 

           ◇

 

5月4日―――

第1管理世界「ミッドチルダ」

ミッドチルダ北東部 ハコステ山 七合目地点

 

 夜が明け、三人はヴィヴィオ達の救出を念頭に宇宙観測センターまでの道のりを辿っていた。

「ねぇ、ほんとにこっちで合ってるんですか?」

「俺の勘を信じろ!」

 どうにもミツオは鬼太郎の勘が信じられないでいた。

 そのとき、ガサガサと物音がした途端、草陰に隠れていた一匹のヘビが真横から勢いよく飛び出した。

「あああああああ!!!」

 猛烈にビビるミツオ。鬼太郎は悲鳴を発したミツオに拳骨を下ろし叱咤する。

「バカヤロウ! ヘビくらいでデケー声あげんな! てめえそれでも男か?!」

「うぅぅ・・・・・・///」

 エリオは先んじて様子を探るが、やはり近くには誰もいない事を確認する。

「やっぱり誰もいませんね」

「思った通りこの村一帯全滅してやがんな。観測センターにでも行けば、通信設備が整ってるからそこで連絡が付くんだが・・・」

 

 すると、マグニア出現時に見られた意志を持つ霧が、鬼太郎達の気配を感じ取ってどっと押し寄せてきた。

「やべえ! エリオ、逃げろ!」

「でも!」

「早く行けって! ロングアーチにこの事連絡するんだよ!」

「うわぁぁあああ!! き、来たよぉぉ!!」

 迫るくる霧。

 エリオが下山道を直走る一方、鬼太郎とミツオは途中で道を遮られてしまい、下山困難な状況に陥った。

 こうなったからには仕方ない。鬼太郎はミツオを連れて観測センターまで行くことを決意する。

「おい、ガキ! 背中でギャーギャー喚くんじゃねえぞ!」

「う、うん・・・」

「おし・・・行くぜ行くぜ行くぜぇ!!」

 ミツオを背負い、鬼太郎は意を決して霧に背を向け全力疾走する。

 

 鬼太郎から任を預かったエリオは、ハコステ山からの下山を試みる。

 しかし、霧は若き騎士を執拗にじわじわと追い詰め逃げ道を完全に封じる。

 やがて道はなくなり、エリオは吊り橋の両端から迫る霧とそこから出現するマグニアによって挟み撃ちにされた。

「くそっ・・・」

 退路を断たれ、エリオは苦い顔を浮かべる。

 ストラーダを構えマグニアによる攻撃を牽制していた次の瞬間、一体のマグニアが不意にエリオの首筋へと吸い付いた。

「うわあ!」

 吸い付いたマグニアを取ろうともがくエリオ。その際、足場の不安定な吊り橋でバランスを崩し、運悪く川へ身を投げる様に転落した。

「うわあああああああああ」

 川へ転落したエリオはそのまま気を失った。

 一方、首に吸い付いたマグニアの様相が一変。寄生体から霧の姿へと状態を変化させ、何かに怯えるが如くエリオから早々に離れて行った。

 

「見てみて!」

 霧の追っ手から逃れていた折、鬼太郎は背負っていたミツオに唐突に呼び止められた。

「なんだよ!?」

「あれ!」

 ミツオが指差す方へ視線を向ける。

「ん?!」

 鬼太郎が目にした先に、一際霧が色濃く立っている場所が存在した。それこそがハコステ山一帯を覆う霧の発生源であったのだ。

 

           *

 

ハコステ山 五合目地点

 

 川へ身を投げ出し気を失ったエリオだったが、辛うじて彼は一命を取り留めた。

 しかし、自分で泳いで岸まで這い上がるだけの余力は残っていなかった。何者かの働きかけによって、九死に一生を得たエリオがおもむろに目を開けると、眼前には自分をじっと見つめる人影がいた。

「フェイトさん? それとも・・・・・・」

「少しの間辛抱していてるんだ」

 声色から判断するのにそれは男性の物だった。よく見ると、格好は全体的に緑と黒を基調としたもので、何より素顔を仮面で覆っていた。

 この特徴に合致するのはエリオが知るに一人しか思い浮かばない。

 エリオを救出した人物―――翡翠の魔導死神は優しい声でエリオを気遣った後、霧のように体を霧散させその場から姿を消した。

 ゆっくりと体を上げ、エリオは消えた相手を探すように辺りを隈なく確認した。

「あれは翡翠の魔導死神さん・・・・・・どうしてここに?」

 

 その頃、鬼太郎とミツオは霧の発生源へと近づき様子を探っていた。

 高所から窺える若干鈍く光る岩のような巨大物体。その近くには無数の寄生体が浮遊していた。

「あれが霧の発生源か」

「見て!」

 ミツオが霧の発生源の近くで群がる人々を発見した。

 村の住民の殆どが集まっているばかりか、遠足で逸れてしまったヴィヴィオや他の生徒達も挙って集まり、全員がマグニアに寄生させられていた。

 血色を失い歩くゾンビと化したヴィヴィオ達は、生気を失った虚ろな表情を浮かべる。

 さらに、吸い付いたマグニアを通じて青白い光・エクトプラズムが飛び出したと思えば、鈍く光る岩へと吸収されていくのを目撃した。

「みんなで何やってんのあれ?」

「あの野郎人間の生命エネルギーを食ってやがるのか?」

 鬼太郎の読み通り、マグニアは寄生した人間から生命エネルギーを奪い、それを養分としていた。

 生命エネルギーを奪われた人間はどんどん顔色が悪くなり、ミツオは老若男女問わず皆ゾンビと化している光景がただただ恐ろしかった。

「ね、ねえ・・・! 早くあの変な生き物やっつけてよ!」

「無暗に攻撃したら返り討ちだ。せめてあいつの弱点がわからねえことには・・・」

「水だよ!」

「水だと?」

「だってあの霧・・・川から逃げてたもん」

「おまえ、川の中に逃げて助かったのか?」

 鬼太郎はずっと疑問に思っていた。何故こんなひ弱で男気の無い子供があの魔導虚(ホロウロギア)から生き延びる事が出来たのか。

 その答えが分かった直後、二人の生命エネルギーを感知したマグニアの寄生体が不意に飛んで来た。

「あああああ!!」

 マグニアに戦くミツオ。鬼太郎は急いで逃げる彼を連れて発生源から離れる。

「来るよ早く!!」

「チキショウ!」

 逃げても逃げてもマグニアはどこまでも追ってくる。

 鬼太郎は飛んでくる寄生体を烈火の炎で撃ち落としては逃げ、撃ち落としては逃げるを繰り返し、脱兎のごとく疾駆する。

 しかし、敵は数に物を言わせて容赦なく襲い掛かってくる。いつまでも終わる事の無い鬼ごっこにミツオの体力も限界に近かった。

「ダメだぁ~! もう限界っ!」

「諦めんな! エリオが必ず救援を連れてくる!」

 一途に信じて走り続けること数分。鬼太郎達は思わぬところで地獄で仏の状況に出くわした。当初の目的だった宇宙観測センターが目の前に現れたのだ。

「しめた! 観測センターだ!」

 走れなくなったミツオの手を引っ張り、鬼太郎は体力を振り絞って建物を目指す。

「こっちだこっち!」

 急速に迫りくる霧と寄生体から逃れようと二人は無我夢中で走る。

 そして、何とか建物の中へ避難する事に成功。ようやく二人は安堵の溜息を突く事が出来た。

「ふぅ~助かったぜ・・・」

 改めて中を隅々まで確かめたところ、建物内は不気味なくらい静まり返っており、中から人の声はおろか気配すら感じられなかった。

「誰もいねえ。ここも奴らに襲われたんだ」

「そんなー!」

「チキショウ。どうすりゃいいんだ」

 

           *

 

 同時刻―――。

 電波障害の原因究明に難航していた機動六課は、翡翠の魔導死神からもたらされた情報を照らし合わせる事で、およそ17時間ぶりにハコステ山における詳細な情報を知る事に成功した。

 

           ≡

 

第1管理世界「ミッドチルダ」

ミッドチルダ中央南駐屯地内A73区画

機動六課 ミッドチルダ地上隊舎 総合司令室

 

 ハコステ山全体を覆う強力な電波障害を克明に表した図。

 山を取り囲む周囲5キロ圏内がマグニアが生み出す特殊な霧に包まれ、あらゆる電子機器や衛星からの通信、魔力通信を完全に遮断していた。

「・・・ほんなら、ハコステ山がこの状態言んか?」

「衛星からの画像をデジタル処理しました。霧が発生している地点では全周波数域の通信は勿論、赤外線、Xスキャナ、念話すらも通りません」

「道理でエリオ達やフェイト隊長からの連絡が途絶えたわけです。翡翠の魔導死神さんからの情報提供が無ければ気づきませんでした!」

 直ちに行動を起こすべく、はやては各小隊ごとに指示を通達。

「シャーリー、待機中のスターズをハコステ山へ向かわせるんや」

「はい!」

「恋次さん達は直ちに陸路でハコステ山に急行して下さい」

「よし来た! 行くぜ吉良!」

「ああ。」

 

           *

 

ミッドチルダ北東部 ハコステ山 宇宙観測センター

 

 翡翠の魔導死神の助力を借りた機動六課が本格的に動き出した頃、鬼太郎は管制室で通信設備を動かそうと慣れないシステムを操るのに孤軍奮闘していた。

「チキショウ! どこのシステムも止まってやがる! どうやったら動くんだよ!?」

 そんな鬼太郎を横目に、ミツオはどこか諦観に満ちた顔を浮かべながら、唐突に語り始めた。

「・・・昔読んだ小説にね、こんなのがあったんだ。スーパーマーケットにたくさんの人間が閉じ込められるの。外には得体の知れない霧。みんな次々と、その中の怪物にやられていくんだ」

「悪趣味な小説だな! で、主人公は最後どうなんだよ?」

「・・・忘れた。でも確か、世界は滅亡するんだ」

「いいや、俺らの世界は滅びたりなんかしねえ!」

「どうして? 何でそんな事が言えるの?」

 根拠も無い事をミツオは無暗に信じる性質ではなかった。

 気になって問い質すミツオに、鬼太郎は自信に満ちた表情で断言する。

「この俺がいるからだ!」

 思わず面を喰らう一言に言葉を失いかけた。

 しかし、何の根拠の無い筈の言葉なのに不思議とミツオは力強さと、安心感を抱く事が出来た。

 と、そのとき―――通気口からマグニアの霧がゆっくりと侵入を開始していたのにミツオは気が付いた。

「鬼太郎さん!」

 烈火を手に護るように前に出た鬼太郎は、弱腰のミツオを勇気づけるとする。

「いいか、諦めたらそこで試合終了なんだよ!」

「なにそれ!?」

「スラムダンクっつう漫画の受け売りだ! いいかミツオ、男なら最後の最後まで諦めるな! どんなに惨めな目に合おうと生き残ったらそれだけでカッコいいんだよ!」

「ほんとに?」

「ウソだと思うなら最後まで俺を信じろ! 行くぜ!」

 ミツオを連れて管制室を飛び出し狭い廊下を疾駆する。二人は自分達を追ってくる霧から懸命に逃れようとする。

「止まんなよ! 早く行け!」

 全力で階段を駆け下りる。最後の最後まで絶望的な状況でも足掻き続けようとする。

「ぐああ!」

 だがそのとき、マグニアの寄生体が鬼太郎の首に吸い付いた。

「!」

 後ろを振り返ると、鬼太郎が苦しそうに(うずくま)っていた。

「鬼太郎さん!」

 ミツオは慌てて駆け寄り安否を気遣う。

「先に逃げろ!」

「イヤだ! 一緒に逃げる!」

「たまには言う事聞け!」

 すると、鬼太郎の首にも不気味に蠢く寄生種が現れた。

 それを見た途端、ミツオは目を見開き驚くも、勇気を出して鬼太郎の首元のシャツを剥がし取り除こうとする。

「バカ、何してやがる・・・。」

「諦めたらそこで試合終了なんでしょ。鬼太郎さんがそう言ったんだ!」

「! はっ・・・そうだったな・・・」

 ―――まさか一番勇気の無い子供に勇気づけられるとは、俺も焼きが回ったな・・・。

 内心自嘲しながらも、ミツオの手を借りた鬼太郎は、辛うじて自我を保ち最後の意地を見せた。

「人間なめんじゃねえぞぉぉー!! オオオオオオオオオオオオオ!!!」

 霊力を極限まで解放させ、自らの意志で首に吸い付いた寄生体を取り外すと、霊圧で焼き焦がしたそれを壁に向かって投げつけた。

「やった! やったよ!」

 敵を退けた事に達成感を抱くミツオ。

 しかし、一難去ってまた一難。再び霧が押し寄せ別の寄生体が迫ってくる。

 険しい表情を浮かべる鬼太郎だったが、そのとき、咄嗟に天井を見た際に閃いた。

「そうだ! 水だ!」

 スプリンクラーを見て、これしかいと判断。マグニアを一網打尽にする為、鬼太郎は烈火の炎をスプリンクラー目掛けて放つ。

「おらぁぁぁ!」

 炎の直撃を受けたスプリンクラーが破壊され、勢いよく水が吹き出した。

 それを受けた途端、水に弱い性質のマグニアは青菜に塩とばかりに勢いを失い、ボッという音を立てて床に落下。そのまま萎縮しながら活動を停止した。

 

 ドドーン! ドカーン!

 

 建物の外から聞こえた轟音。

 慌てて建物の外へと出るとき、鬼太郎とミツオが目撃したのは―――

「あれは・・・!」

 陸路で山を切り開いた恋次が狒狒王蛇尾丸を解放し、かたわら吉良や浦太郎、スターズとフェイトら顔馴染みが集まっていた。

『先輩、大丈夫!?』

「懐かしい声~~~!! おせーんだよてめえら!!」

「わりーな。解析に手間取っちまったんだよ」

『エリオは一緒じゃねぇのか? あいつは先に山を下っ・・・・・・まさか・・・・・・チキショウ!!』

「早合点はするな。心配いらぬ。翡翠の魔導死神に助けられたそうだ」

「店ちょ・・・じゃなくて翡翠の魔導死神がか! なら安心だぜ。それよりあの光る岩を攻撃しろ! あれが霧のエネルギー源なんだ!」

『わかった』

 鬼太郎の言葉を受けた恋次達が、いざ霧のエネルギー源である光る岩へ攻撃を加えようとした―――次の瞬間。

 散在していた霧がエネルギー源を護るかの様に一カ所に集まり始め巨大な姿を構築。ゴツゴツとした無数のタマネギ状の表皮と、胸に孔を開けた魔導虚(ホロウロギア)・マグニアがその本性を露わにした。

「何なのアレ!?」

「あれが霧の正体だ」

 

「一気に終わらせてやる!」

 凶悪な姿となって現れた霧の化身。

 構えを取った恋次は、狒狒王蛇尾丸の口腔内に圧縮した霊圧を標的マグニア目掛けて豪快に放つ。

「狒骨大砲!!」

 放たれる真紅のレーザー砲。対するマグニアは帯電したミスト状のエネルギービームを口から放出、飛んでくる恋次の一撃とぶつけ相殺させた。

 一人の力では倒すのは困難と判断したなのはとフェイト、浦太郎の三人が別角度からマグニアに狙いを定め、必殺の一撃を放つ。

「エクセリオン・・・バスタ―――ッ!!」

「ジェット・・・! スマッシャ―――ッ!!」

「一撃滅殺!! ディバイン・・・・・・バスタ―――ぁぁ!!」

 三方向からの高威力砲撃をその身に受けながら、マグニアは丸み帯びた体を上手く利用しダメージの殆ど受け流す。

「退がれ!  魔導虚(ホロウロギア)との距離を取るんだ!」

 一旦後退し、恋次達は体勢を立て直す事にした。

 すると、マグニアは光る岩に蓄えた生体エネルギーを利用し、背中にある突起から体へ吸収、パワーアップを図る。

「ヴィヴィオ達から吸い取ったエネルギーを!」

「あのタマネギ野郎・・・てめえの好きにはさせねえぞ」

 業を煮やした鬼太郎は迎撃の為、マグニアの元へと飛んで行った。

「来いよ! 焼きタマネギにしてやる!」

 解放した烈火を手に威勢のいい声でマグニアを威嚇する。

 その気になったマグニアが鋭い爪で切りかかる。瞬歩で避けた鬼太郎は動きが鈍重な敵の背後から炎を纏った一撃で斬りかかる。

「つらあああああ」

 しかし、ぶよぶよとした突起物に遮られ炎はおろか斬撃すら真面に通らない。

「なに!?」

 マグニアは驚愕する鬼太郎の隙を突き、鋭い爪で叩き落とす。

「先輩!」

「今助けるぜ!」

 恋次達も直ぐに鬼太郎の援護へと回り、再びマグニアへの攻撃を再開した。

 

「ストライクスターズ!!」 「狒骨大砲!!」 「ドルフィンドライブ!」 「紫電一閃!」

 

「俺の必殺技・・・パート4!!」     「ハーケンセイバー!」

 

 様々な技を駆使しマグニアを攻撃するも、独特の体組織と無限にエネルギーを吸収し回復と能力強化を図る敵の策略の前には暖簾に腕押し状態だ。

「なのはさん達の攻撃がまるで効いてない!」

「光る岩だよ! あの岩から無限の生体エネルギーを吸い取ってるんだ!」

「ではそれを破壊すれば!」

 ミツオからマグニア攻略のカギを聞かされ、ティアナとキャロ、吉良の三人はなのは達が敵の気を引きつけている間に急いで光る岩のある場所へと向かう。

「あれだよ!」

 ミツオに誘導され、三人は崖下でぽつんと存在感を主張する光る岩を発見する。

 早速岩の破壊を試みようとティアナとキャロが魔力弾を、吉良も鬼道をいくつか撃ってみるが、岩は皹はおろかビクともしない。

「ダメ! 効果ないわ」

「やっぱり普通の攻撃ではダメなんでしょうか」

「だが、アレを破壊しない限りは」

 吉良の危惧した通り、マグニアは光る岩から無限のエネルギーを即時抽出し続けている。魔力と霊力の枯渇に苦しむなのは達を嘲笑うかの如く、決して枯渇する事の無いエネルギーを存分に使う事が出来るのだ。

「「「「「ぐあああああ」」」」」

 帯電ミストの直撃を受けても辛うじて意識を保つなのは達。

 しかし、体力もじわりじわりと削り取られ、決定打を与えられない状況は極めて分が悪い事は間違いない。心身ともに疲労はピークに達しようとしていた。

「フェイトさん達が・・・!」

「一体どうすればいいの?!」

 絶体絶命のピンチ。打つ手は無いのかと―――諦めた欠けた、そのとき。

 

「お困りのようだね」

 唐突に空の上からそれは聞こえてきた。

 ティアナ達が声に反応して頭上を仰ぎ見れば、満を持した様にその姿を現した翡翠の魔導死神が中空に静止していた。

「翡翠の魔導死神さん!!」

「あれを壊すなら僕に任せてよ。ちょうど新しく組んだ鬼道の威力がどれほどのものか試してみたいところでね」

 右手を天に翳すように掲げると、翡翠の魔導死神はおもむろに自身が組んだ鬼道を使うに必要な呪言を唱える。

「君臨者よ 血肉の仮面・万象(ばんしょう)羽搏(はばた)き・ヒトの名を冠す者よ 太陽より遣わされし気高き炎帝 憤怒のままに鬼神の如く吼え狂え」

 手先に集まる霊気。発生した高密度の霊エネルギーは鬼神の顔を模した超高熱の塊へと変貌する。

「―――破道の七十三・改変『焔獄鬼(えんごくき)』」

 次の瞬間、圧縮・押し固めた超高熱を帯びそれをマグニアのエネルギー供給源である光る岩目掛けて勢いよく飛ばす。

 鬼の顔を模した炎の塊は、岩に激突するや大爆発。岩は粉々に吹き飛んだ。

 これによってマグニアへ供給される無限のエネルギー源は完全に断たれ、マグニア自身も驚愕を露わにする。

「エネルギー源が絶たれた! 今がチャンスだ!」

「「「「「はい(ああ)!」」」」」

「おっしゃー! クライマックスに決めるぜ!」

 エネルギー源を絶たれた事で、マグニアは自暴自棄を起こした様にむやみやたらと攻撃を繰り出す。

 なのはとフェイトは飛んでくる帯電ミストを強固な防御壁を張って防ぐ。

 その直後に恋次とシグナム、浦太郎の三人で標的マグニアへの一斉攻撃を仕掛ける。

「狒狒王蛇尾丸ぅぅ!!」

陣風(じんぷう)!!」

「ブリザードスピアヘッド!」

 今迄のように攻撃をされたそばから回復される心配は無い。マグニアは急速に削り取られる体力と蓄積されるダメージの大きさに追い詰められていく。

 そして、この戦いに終止符を打つべく―――鬼太郎が満身創痍のマグニアへ止めの一撃を加えようとする。

「秘かに温めてた必殺技・・・パート4!」

 烈火の刀身に霊圧のすべてを注ぎ込む。

 渦を巻いて切先に集まる炎。鬼太郎は鋭い斬撃と熱波を同時に食らわせ相手を絶命させる大技―――『苛烈閃(かれつせん)』がマグニア目掛けて放った。

 刹那、業火に包まれたマグニアは断末魔の叫びを上げて大爆発。全身が木端微塵に吹き飛んだ。

「やったぁ!!」

 鬼太郎の勝利にミツオはこの上も無い喜びを示した。

 勝利を見届けた翡翠の魔導死神も秘かに安堵し、静かにその場を立ち去った。

 

 マグニアが倒された事で、素体となった研究員エザキと、寄生された人々は後遺症を発症する事無く無事解放された。

 ヴィヴィオ達が救助に携わったなのは達に感謝の意を述べるかたわら、鬼太郎と四六時中行動を共にしていたミツオは律儀に鬼太郎への感謝を示す。

「ボクを最後まで守ってくれてありがとうございます!」

「あぁ。お前もよくがんばったな。男なんだからピーピー泣いてねえでもっと強くなれ。みんなを守れるヒーローになるんだよ」

 と、背中を押す助言をする鬼太郎。

 すると、ミツオはおもむろに次のような事を語り出す。

「実はボクさ・・・とりたて格闘技に興味があったわけじゃないんだ。バウラに無理矢理誘われて仕方なくって感じでさ。だから正直自分がなんでこんな痛い思いをしてまでがんばる必要があるんだろうってずっと思ってた・・・・・・だけど、鬼太郎さんのお陰でボクにも目標が出来たよ! ボクもいつか、鬼太郎さんみたいな強いヒーローになりたい!!」

 曇りの無い羨望を含んだ眼差しを向けられた。

 直後、鬼太郎の脳裏に昔の光景が蘇る。今よりも若い頃―――ミツオと同じような台詞を現在の雇い主・ユーノに言った事があった。

 そのとき、ユーノが自分へと向けてくれた言葉を鬼太郎はそのまま使うことにした。

「・・・はっ。バカヤロウ。『ヒーロー』はなりたくてなるんじゃねえ。他人を本気で思いやり、実行する勇気を持ったとき、人は誰でも『ヒーロー』になれるんだ!」

「それも誰かの受け売り?」

「あぁ。駄菓子屋を営むある優男からのな」

 不敵に笑う鬼太郎。ミツオも合点がいった様子ではにかんだ。

「何やってんだよミツオ! 早く来いよー!」

 ちょうどバウラ達に呼ばれ、ミツオも仲間の元へ行こうとする。だがその際、ふと立ち止まって鬼太郎へと振り返る。

「あっ、あの小説のラスト思い出したんだ」

「やっぱり世界が滅亡して終わりなのか?」

 問いかける鬼太郎にミツオは首を横に振った。

「本当はね・・・・・・希望を持った男とその息子が、遠い地平を目指すんだ。そして・・・。」

「そして?」

「―――霧が晴れるんだ!」

 満面の笑みで鬼太郎へ答えると、ミツオはバウラ達の元へ走って行った。

「ねえ先輩、あの子と何があったの?」

「別に。なんでもねえよ」

 二人の間で起こった事が秘かに気になる浦太郎。

 鬼太郎はミツオのこれからに大きな期待を寄せるとともに、少しでもあの子が憧れるヒーローの模範になっていけるように、自身も精進に励む事を誓った。

 

 

 

 

 

 

教えて、ユーノ先生!

 

ユ「今日は鬼太郎の斬魄刀についてだ♪」

「鬼太郎の斬魄刀の名前は『烈火』。“熾きやがれ”の解号で、身の丈を超える赤い大刀に変化する」

「見た目もさること能力は炎熱系の斬魄刀。様々な火炎を駆使した技を用いる事ができる。鬼太郎曰く結構な霊力を消費する大食いで、大技を使った後はいつもよりも数倍食べないと体がもたないらしい」

 と、説明をした直後。鬼太郎がユーノの元へと飛んできた。

鬼「見ましたか見ましたか店長!! 今日の俺、いつもの数段にも増してカッコよかったでしょう!!」

ユ「そうだね。カッコよかったと思うよ」

鬼「だいたい世間は顔がイイだの、ちょっと勉強ができる奴ばっかりチヤホヤしやがって。男はやっぱし男気で勝負するもんだぜ。俺は何が何でも亀よりも先にいい女作って結婚してみせますよ!」

ユ「すごい張り切ってるね・・・ちなみに、もし結婚するなら鬼太郎はどんな女性が好みなんだい?」

鬼「そうっすね・・・・・・まず、間違いなくあり得ねえタイプは決まってるんすよ。なのはみたいな色んな意味で危ねーのはまず女として見ることなんて出来ねえしな!」

 これが失言となってしまった。

 言った直後、ただならぬ霊圧の乱れを感じ取った鬼太郎が恐る恐るユーノへと顔を向けたとき、彼は笑いながら怒りを露わにしていた。

ユ「はははは♪ 鬼太郎くん・・・・・・僕の前でなのはを侮辱するとはいつになく肝が据わってるじゃないか♪」

鬼「ちちちちち違うんですよ店長!! 今のはほんのちょっとした誤解で・・・そう!! 言葉の綾って奴っすよ!!」

ユ「たとえ誰だろうと、僕の恩人で大事な大事ななのはを蔑む奴は容赦しない・・・・・・さぁ、頭を冷やす準備はいいかな?」

鬼「待ってください!! 俺はまだ死にたくねーっすよ!! あぁ・・・・・ああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

黒崎先生の1分でわかる心療内科

 

織「みなさんこんにちは、黒崎医院看護師兼一護くんの妻、黒崎織姫でーす! このコーナーでは身近な病気に関してとても優しく温かく解説していくコーナーです」

一「つーかなんだよこのコーナー? 確かに俺医者だけどよ、あんまし専門外な事は・・・」

織「だいじょうぶだよあなた自信持って♪ では、早速本日のテーマを紹介します。本日のテーマは『ED』です!」

一「いきなり色んな意味でハードルの高けーな!? まじで俺が説明しなきゃならねえのか!?」

 困惑する一護。織姫が機体の眼差しを向けて一護をじっと見つめる。

 躊躇った末、一護は諦めのついた様子で溜息を突き、やがて『ED』について語り始める。

一「・・・じゃ、じゃあ説明するぞ。EDっていうのは、『Erectile Dysfunction』の略で、日本語では勃起障害の事だ。この病気の原因は主に二種類に分けられる。一つは糖尿病などを原因とした身体性のもの。もう一つは心因性のもの。実は最近は後者の方が増加傾向にあるんだ。実際の患者の声を聞くと、普段は何の問題も無く勃起するのに、誰かと性行為をするときだけ勃起しないって言うのが大半なんだ」

織「なるほど。そういう精神的なインポテンツ患者が何本も増えてるんだね・・・」

一「()()ってなんだよ!! つーかインポテンツって言う言葉臆面も無く使うの止せよ!! こっちが逆に恥ずかしいわ!!」

織「で、どうして増えてるのかな?」

一「簡単に言うと自信が無くなってきてるってところだな。仕事や生活で疲れてる中、性行為を上手くしなきゃっていう強い緊張、そのプレッシャーで益々出来なくなっちまう訳だ。それにもうひとつ気になる理由として・・・患者は普段の興奮材料の殆どを二次元のイラストで補ってるらしいんだ」

織「え!?」

 衝撃の事実に言葉を失う織姫。しかし、これは紛れもない事実なのだ。

一「まぁこんな感じな訳だが・・・俺からアドバイスできるとしたら、たまには三次元でも興奮してみろって事くらいだな。少しずつ現実に近い状況で刷り込みを行えば、ストレスや不安も減ってくるだろうぜ」

織「なるほど、よくわかりました♪ あ、ちなみに興奮材料が一次元や四次元の場合、どうしたらいいのかな?」

一「それはそれで問題だけどな・・・・・・」

 問題が多すぎる方はメンタルヘ! 次回もあるかな?!




次回予告

ユ「800年前の古代ベルカ時代に名を轟かせた聖王が納められし棺・聖王の聖櫃(セイクリッド・アーク)が聖王教会へと運び込まれた」
「しかし、時同じくして起こる猟奇的な連続変死事件。長きに渡る封印が解かれ今、最強最悪の聖王が蘇る―――」
「次回、ユーノ・スクライア外伝・・・『聖王の聖櫃(セイクリッド・アーク)』。恋次さんの中に封じられた力も一緒に解放されちゃうぞー♪」






登場魔導虚
マグニア
宇宙観測センターに勤務する主任研究員トシヤ・エザキが幼生虚との融合によって誕生した魔導虚。
節足動物のような足が付いた奇怪に蠢くタマネギのような姿の小型活動体となり人々に寄生して操り、無限に生体エネルギーを吸収する。これらの小型活動体及び霧は水に弱く、水に濡れると溶ける。口から電撃を含む霧「ミスティングスパーク」を吐き、また両手の爪を使った攻撃も得意としている。体表は通常の砲撃や斬魄刀の刃も通じない。分身である光る岩から生体エネルギーを補給している限り活動が可能。
最終的に光る岩を破壊されて弱体化し、最後は鬼太郎の苛烈閃で倒される。マグニアが倒された後、寄生された人々とエザキは元に戻った。
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