ユーノ・スクライア外伝   作:重要大事

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第30話「(しし)()みて、ひとり・・・」

新歴079年 6月27日

第1管理世界「ミッドチルダ」

ミッドチルダ中央南駐屯地内A73区画

機動六課 ミッドチルダ地上隊舎 

 

「さぁーできたぞー」

ユーノは、完成したばかりのあるものを皆に披露した。部屋にいた一同は、その出来栄えに目を見張った。

「おお・・・」

「これが・・・そうなのか?」

眼前に現れたのは、シンプルながらも洗練されたデザインの『門』だった。まるで空間そのものに刻まれた切れ目のように、二本の鋭く輝くラインが縦に立ち、上部を横切る一筋の光がそれを繋いでいる。全体は鏡面のような光沢を持つ金属でできており、滑らかな曲線がどこにも見当たらないほど、直線的で無駄のない形状だった。

門の内側には、かすかに揺らめくエネルギーの波が感じられ、見る者にそこが別の次元へと繋がっていることを暗示している。門の周囲には特に装飾や余計な要素が一切なく、ただ存在するだけで異質な雰囲気を醸し出している。

「これが、恋次さん達死神が現世と尸魂界(ソウル・ソサティ)を行き来するために用いる専用ゲート・・・・・・『穿界門(せんかいもん)』と言います。本来は現世、もとい地球でしか使えないんですが、僕が開発した専用の装置を介する事でミッドと尸魂界(ソウル・ソサティ)との間を自由に行き来できます」

ユーノが自信満々に説明すると、恋次は感嘆の声を漏らした。

「そいつはありがてー。たまには向こうの空気を吸わねーとな。こっちに来てからどうも・・・うっへん! 痰が絡みやすくなっちまった。やっぱこっちの空気は汚れてるみてーだからな」

その言葉に、ヴィータが鋭く突っ込む。

「はっ、よく言うぜ。普段からゴミ溜めみてーな部屋で寝泊まりしてるだろうが」

「っ! るっせー! おめーは黙ってろ!」

そんな軽口を交わしながらも、場の雰囲気は和やかだ。

「ま。何にせよ、ユーノさんのお陰で一時的にでも尸魂界(ソウル・ソサティ)へ戻れることに安堵しています。京楽隊長にも報告しない事も山ほどありますし、他の隊の皆や檜佐木さん達にも会いたいし。あと・・・雛森君にも」

「私は実家の白鳥鉄工の経営が気になって仕方がない」

吉良が、しみじみと語る一方で、白鳥が仕事とは直接関係のない言葉を繋いだ。

「そこ気にするんですね白鳥さん・・・」

白鳥の発言に、ギンガは思わず微笑を漏らした。そんなやり取りが続いた後、ユーノがふと真剣な表情で恋次に声をかけた。

「ささ。前置きはこれくらいにして、恋次さん・・・そろそろ」

「おっしゃ!」

恋次はその言葉に応じ、斬魄刀を抜いて特注の穿界門の前に立った。彼が刀を空間に向かって突き刺すと、刀身は不思議な光景に飲み込まれ、直後に恋次は低く唱える。

解錠(かいじょう)!」

その言葉に従い、刀を右向きに回すと、穿界門が機能し始め、恋次の前には尸魂界(ソウル・ソサティ)とを繋ぐ門が現れた。襖を模したその門が現れた瞬間、場の一同は驚きと興味を隠せず、感嘆の声を上げた。

恋次は満足げに微笑みながら、仲間たちに向かって一時の別れを告げる。

「んじゃな。おまえら、二・三日留守にするけど寂しがるなよ」

続いて吉良が口を開いた。

「みんな、僕らが居ないあいだ・・・アンゴルモアが見つかったら、頼むよ」

そして、白鳥もまた、姿勢を正し、どこか誇らしげな表情を浮かべながら別れの言葉を口にした。

「では皆の衆。暫しの別れぞ」

三人は現れた地獄蝶に導かれ、静かに門の中へと消えていった。門が閉じると同時に、襖も消滅し、静けさが戻った。

「どんなところなんだろう、尸魂界(ソウル・ソサティ)って~。あたしも行ってみたいなー」

「無理よ。向こうは曲りなりも霊界なのよ。私たちは行けないわ」

スバルの無邪気な憧れを、ティアナが冷静に諫める。ユーノも、「その通り」と言って、補足するように口を開いた。

「人間はどうしても“因果の鎖”があるから尸魂界(ソウル・ソサティ)への侵入は不可能。そもそも向こうは100パーセント『霊子』で構成された世界だ。僕らが住む世界は『器子(きし)』と呼ばれる物質で出来ているから、構成要素の異なる世界へ行くことはできないんだ」

「あ~あ。なんか損した気分・・・」

スバルが落胆する様子を見て、エリオとキャロが声を揃えて彼女に同調する。

「仕方ないですよスバルさん。僕だって興味はありますし」

「気持ちはいっしょですよ」

その時、なのはが何かに気付き、ユーノに問いかけた。

「あれ? でもユーノ君って前に尸魂界(ソウル・ソサティ)に行って恋次さん達の上司の人と会ってるんだよ? だとしたらどうやって向こうとこっちの世界を行ったり来たりできるの?」

その質問に対し、ユーノは少し得意げに笑みを浮かべた。

「おやおやお忘れですかな、なのはくん? 僕は翡翠の魔導死神。一応恋次さん達と同じ、魂魄が因果の鎖を持たない死神の実体を持ってるんだ」

「な、なるほど・・・」

なのはは一応の理解を示すが、その概念はまだ完全には馴染まない様子だ。はやてが頭をひねりながら言葉を続けた。

「せやけどなんやろうな・・・・・・魂が死神化しているゆうんは、イマイチピンとこないなー」

「ま。それが普通の感覚だよ。おっといけない、もうこんな時間だ!」

やや焦った表情を浮かべ、ユーノは腕時計に目をやり、急いで身支度を整え始めた。

「ごめんみんな、僕これから大事な用事があるんだ。何かあったらすぐに連絡して!」

六課メンバーは、忙しなく動くユーノを見送り、やがて一段落がつき、はやてが全員に号令がかかる。

「さて、ほんなら私たちも業務に戻ろうか」

「「「「はい!」」」」

 

           *

 

同隊舎内 食堂フロア

 

昼時、皆で食事を取りながら、はやてがふと呟いた。

「そういえば、今日が何気に初めてやな・・・・・・」

「なにが?」

訝し気にフェイトが問いかける。はやては少し考え込むように間を置いてから続けた。

魔導虚(ホロウロギア)事件が始まって以来、恋次さんたち死神の人たちが来て、浦太郎さんと鬼太郎さん、鬼太郎さん、それにユーノくんがここに集まって事件を一緒に解決してきたやろ。言うなればユーノくんたちは魔導虚(ホロウロギア)事件の功労者さんや。その人たちが今日一遍に六課を離れるなんて・・・・・・」

その言葉に、フェイトは納得したように頷き、他のメンバーも静かに同意の声を上げた。

「確かに、そうですねー」

キャロがしみじみと返すと、リインは思い出したかのように口を開いた。

「浦太郎さんと鬼太郎さん、それに金太郎さんの三人も揃って今日から五日間の有給休暇中ですし・・・・・・」

「なんかあの二人、また何かやらかして金太郎に引きずられて行くの見かけたような気がするんだが」

アギトが軽く笑いながら、冗談半分に言葉を挟む。

「こう言うの久し振りですね」

「ああ。阿散井たちが来てからと言うのも、ここもすっかり騒々しくなったからな」

シャマルがクスッと微笑み、シグナムも、まるで騒々しさを恋しむと共に少し意地の悪い言葉を紡ぐ。

その言葉に、フェイトは軽く眉を上げて注意を促した。

「シグナム、恋次さん達が聞いたら怒りますよ」

シグナムが肩を竦めるのを見て、はやてがふと遠くを見るように呟いた。

「こういう時に変な事件が起こらないのが一番ええんやけど・・・」

そう言って、はやてはミニトマトを口に運ぼうとしたその瞬間――

 

ブーブーブー!

 

無情にも一級警戒警報が突然鳴り響いた。全員が緊張感を持って立ち上がり、はやてはフォークに突き刺さったままのミニトマトを見つめ、口に運ぶのを止めた。

「はぁ・・・・・・ほんま、神さまっていじわるやなー」

はやては思わず溜息を漏らし、その場に漂う緊張感を一瞬和らげた。

 

           *

 

同隊舎内 総合司令室

 

急ぎ司令室へと集まり、六課前線メンバーは、発見されたアンゴルモアの詳細を確認するためにスクリーンへ目を向けた。

「第51管理世界『ヌナータク』よりアンゴルモア反応をキャッチしました」

シャリオが映像を映し出すと、そこには一面に広がる雪景色が映し出された。果てしなく続く白銀の世界が、冷たさを感じさせる。

「一面雪景色ですね」

「うひゃー見るからに寒そう」

「アンゴルモアはこの雪原の中にあるというわけですね」

メンバーがそれぞれ感想を述べる傍ら、クロノははやてに問いかけた。

「はやて、ユーノと連絡はついたか?」

はやては軽く溜息を吐き、通信機を見つめながら答える。

「ダメや。どうやら圏外にいるみたいやわ」

何度も通信を試みたが、応答はなかった。ユーノが映像通信の及ばない場所にいることは明白だった。

「ほんとなら、スクライアアドバイザーの意見を聞いておきたいところだけど・・・・・・ま。幸いにも見つかった付近にネメシスみたいな犯罪集団らしき反応はないみたいし・・・おし」

はやては決意を固めたように立ち上がり、周囲のメンバーに視線を送った。

「機動六課前線メンバー全員、これより直ちにヴォルフラムへ搭乗するんや!」

突然の提案に、スバルが驚きの声を上げた。

「え、全員ですか!?」

他のメンバーも一様にはやてを凝視する。そんな視線を軽く受け流しながら、はやては続けた。

「何かあってもイヤやし・・・バーゲンセールとアンゴルモアは早い事に越したことはあらへん」

「たとえがイマイチわからんぞ」

ピンとこない比喩に、クロノは少し困惑した表情を見せた。はやては軽く笑みを浮かべ、

「たまには、エイミィさんと一緒に買い物に付き合ったらええと思うよ」と言って、肩を竦めて返す。

「というわけで・・・各自、直ちに配置につくんや! 目標はヌナータク!」

「「「「了解!」」」」」

全員が声を揃え、即座に動き始めた。雪と氷で覆われた世界で、彼らの次なる任務が始まろうとしていた。

 

           *

 

第51管理世界「ヌナータク」

 

ヴォルフラムは次元移動を完了し、目的地へ到達した。操舵手のルキノが艦内放送で到着を報告する。

『ワープしました。ヌナータクの衛星軌道上です』

「ルキノ、ご苦労様」

なのはが彼女の労うと、スクリーンに映し出された世界を改めて確認する。

冷たい白銀の世界が、目の前に果てしなく広がっていた。空は淡い光に包まれ、降り積もる雪が世界全体を静寂で満たしている。樹木は凍てつき、時間そのものが止まったかのように、動かぬままその存在を主張している。冷たく澄んだ空気が肌を刺すたびに、心まで研ぎ澄まされるような感覚が広がり、自然の厳しさと美しさが共存するこの風景に、誰もが息を飲んだ。

「それにしても・・・・・・ほんとに雪しか見えませんね」

「でも、すごくきれいですよ」

その純白のパノラマに、多くの者が心を奪われる。静謐な美しさを湛え、ただ見つめるだけで心が洗われるようだった。

しかし、その圧倒的な静寂の中で、ほんの僅かな間を置き、決意を固めたはやては身を乗り出すと、冷静に指示を下した。

「直ぐに降下準備に入るんや。今回は広範囲さかい、全員一丸となって探すんや」

「え! はやても行くの!?」

「しかし・・・」

フェイトが驚きの声を上げた。シグナムも、心配そうに表情を曇らせる。二人の表情に気づいたはやては、柔らかな笑みを浮かべながら応える。

「みんなが寒い中がんばるのに、一人で温かい場所でぬくぬく待ちぼうけなんて・・・そない薄情なマネできへんって。上司たる者、たまには部下と同じ気持ちにならなあかん。視野と思考が狭まらんためにも」

そう語るはやての決意は固かったが、彼女はその決断をすぐに後悔することとなる。

 

「ううう・・・寒ぅぅぅ・・・!」

地上に降り立った瞬間、想像を超える()(かん)がはやてを襲った。体中の神経が冷たさに悲鳴を上げ、騎士甲冑に身を包んでいるはずの体は、まるで寒さを全く防げていないかのように震え続ける。見かねたメンバーは、すぐにはやての周りに集まり、心配そうに声をかけた。

「大丈夫ですか、八神司令?」

「やっぱり艦内へ戻った方が・・・」

「無理しなくていいよ」

はやては歯を食いしばり、笑顔を作りながら気丈に振る舞おうとしたが、その寒さには勝てなかった。

「ははは・・・これくらいどうってこと・・・・・・へ、へ、へっくしゅん!」

大きなくしゃみをした瞬間、彼女のやせ我慢が露呈し、スバルが小さく呟いた。

「あきらかにやせ我慢してるような」

「しっ! あんたは黙って!」

ティアナがすかさずスバルの口を手で覆い、咄嗟に制止する。

その場の緊張が少し緩んだところで、突然キャロとシャマルのデバイスに反応が現れた。

「! ケリュケイオンがアンゴルモア反応を捕らえました!」

「クラールヴィントにも。これ、移動してるわ。何かあるわね」

デバイスの反応を確認したシグナムが、素早く状況を判断し、冷静に指示を出す。

「ここは部隊を二手に分かれてこの山脈を迂回し、挟み撃ちにするコースをとる」

「「「「はい!」」」」」

全員が応じ、寒さに耐えながら素早く動き出す。はやても、その震える体を奮い立たせ、メンバーに向かって声を張り上げた。

「み、みんなも寒いとは思うけど・・・・・・何とか堪えるんや! ええか、あとで帰ってきたユーノくんや恋次さん達にええところ見せつけるんやで!」

「はやてちゃん・・・・・・見栄を張るのもいいけど」

「ホントに無理だけはしない方が」

はやてのやせ我慢を見かねたなのはとフェイトは、心配そうに顔を見合わせ、そっと彼女に忠告した。

 

程なくして、二手に分かれ移動を開始した。はやては守護騎士達と共に行動していたが、移動しながらも栗烈(りつれつ)たる寒さに耐えかねていた。

「ううう・・・・・・さっきから防寒機能がちーっとも役に立たへんな。ていうかここって何度なんや?」

気になって外気温を調べてみると、信じがたい数値が表示され、はやては思わず目を疑った。

「げっ! 氷点下50度!? なるほど無理もないか。せやけどこんな所にほんまにアンゴルモアあるんか・・・・・・! うぅ、風が体に染みる~!」

ただ少し風に煽られるだけで、突き刺すような痛みが全身を襲い、寒さが肌を貫いてくる。

「大丈夫ですか、主はやて?」

「無理すんなってはやて。風邪ひいちゃうよ」

「みんな心配症やな。私は『歩くロストロギア』の異名を持ってるんや。これくらいの寒さでへこたれたりなんか・・・」

強がるはやての傍らで、再び強風が吹き荒れた。突如として、はやては悲鳴をあげる。

「ひいいい!!!」

その声に、守護騎士たちは呆れと心配の入り混じった表情で溜息を吐いた。そのとき、なのはやフェイトから通信が入る。

『こちらライトニング1。そっちはどう?』

「今のところ問題ない。主以外はな」

『八神部隊長。限界だったらすぐに言いなよ』

「へ、平気平気! まだまだこれくらい!」と、はやてが返答している中、突然ヴィータが何かに気づいた。

「おい、なんだこれ?」

皆で確認すると、雪が一際多く盛られた場所に何かが埋まっているのが見えた。

「何か埋まってるようだな」

「掘り起こしてみようぜ」

恐る恐る雪を掘り起こすと、中から人の頭らしきものが見えた。

「ひ、人や!」

「大丈夫ですか? いま引っ張り出します!」

生き埋めになっていると思い、慌てて掘るスピードを上げる。

「しっかりして、一体どうしてこんな・・・ひゃあああ!!」

しかし、その姿を見たシャマルが突然、悲鳴を上げた。周りも戦々恐々する。掘り出された人物の体からは、(はらわた)が無残にも抉られていたのだ。

「これ、足跡じゃねーか?」

アギトが近くの雪の上に残された足跡を見つけ、息を呑む。それに気づいたシグナムが、落ち着いた声で分析した。

「ヒグマだ。ヒグマが食い残しをここに埋めたのだ」

「ヒグマだって?」

 その言葉に驚愕する一同だったが、はやては驚きつつ、過去に聞いた知識を思い出した。

「そういえば前にユーノくんから聞いたことある。ヒグマは食べきれない獲物は土をかぶせて土饅頭(どまんじゅう)いうものにするみたいや。それはつまり、『これは自分の物や』って意思表示なんや」

シャマルは、無惨な最期を迎えた遺体を手早く検死し、冷静に状況を伝えた。

「首が折れてる。悲鳴を上げる間も与えられず殺された様ね」

「にしてもヒグマに出くわすなんてツイてねーな」

アギトがぼやくが、シグナムは鋭い視線を向ける。

「言ってる場合か。これがここにあるという事は、近くにヒグマが居るという事なんだぞ」

「とにかく、ここに居るのはまずい。急いで違う場所に遺体を移さなあかん。ヒグマが戻ってきたら私たち・・・」

直後だった。背後から重く低い唸り声が、地の底から這い上がるように響き渡った。空気が震えるほどの圧力を伴い、全身を不気味な寒気が走る。

振り返ると、そこには圧倒的な存在感を放ちながら、巨大なヒグマが静かに、しかし確実に彼らへと迫っていた。

「で、出たぁああああ!!」

「逃げるんや!!」

ヒグマの出現に驚愕し、はやてたちは遺体を抱えたまま急いで逃げ出す。

しかし、ヒグマは想像を超える脚力で追いかけてきた。空を飛びながら移動しているはやて達も、その猛追に驚きを禁じ得ない。

「おいマジかよ! 飛行してるあたしらの後ろについてきてる!」

「ヒグマは時速60キロのトラックと並走し続けたっていう証言もあるくらいなんや・・・・・・!」

その言葉が終わるか否か、突如として大地が微かに揺れ、空気に異様な緊張感が走った。全員が不穏な気配に気づき、辺りを見回す。

耳を澄ますと、遠くから低く鈍い音が断続的に響いている。それは山の奥深くから這い寄るように近づいてくる、巨大な自然の力――。

「何の音だ!?」

目を向けた先で、山肌が崩れ、大量の雪が勢いを増しながら斜面を滑り落ちてきていた。目の前に迫りくる雪の壁が、一瞬で全てを飲み込もうとするかのように、凄まじい速さで押し寄せていた。

「あかん! 雪崩が起きる!」

次の瞬間――信じられないほどの速さで迫り来る雪は、はやて達を容赦なく飲み込んでいった。

「「「「うああああああああああ」」」

雪の海嘯(かいしょう)に飲まれた瞬間、はやてとの通信が途絶える。

「はやて!? どうしたの!」

「はやてちゃん、応答して!」

なのはとフェイトが懸命に呼びかけるが、返事はない。はやて達の反応が消えたことに、メンバー全員が凍りついた。

「なのはさん、八神司令達の反応が途絶えました!」

「まさか・・・・・・」

砂嵐のように映る画面を見つめ、一同は肝を冷やし、不安が深まっていった。

 

「うぅ・・・・・・ここは?」

雪崩に巻き込まれたはやてだったが、奇跡的に命を取り留めた。周囲を見渡すと、シグナム達の姿は見えず、彼女はひとり取り残されていた。

「シグナム! ヴィータ! シャマル! アギト! どこにおるんや?」

焦燥を孕んだ声は寒々しい雪原に吸い込まれ、虚しく反響するだけ。返事はどこからも聞こえてこない。胸の奥に孤独感がじわりと広がっていくのを感じながら、はやてはヴォルフラムとの通信を試みる。

「こちらはやて。ヴォルフラム、応答せよ」

しかし、応答はない。無線機からは微かなノイズだけが聞こえ、雪崩や極寒の影響で通信が断たれてしまったのだと悟る。

「通信機器もこの寒さでお釈迦になってしまったか」

深い溜息を吐き、はやては自分が完全に孤立していることを実感した。広大な雪原にぽつんとひとり取り残された状況が、次第に精神を追い詰めていく。

「それにしても・・・・・・極寒の地でひとりぼっちはさすがにきついな」

その時、背後から低く不気味な音が響いてきた。

はやては驚き、咄嗟に振り返ると、巨大なヒグマが静かに、しかし確実にこちらへと近づいていた。

「なっ・・・!」

鋭い眼光がまっすぐ彼女を捉え、次の瞬間――ヒグマは咆哮と共に襲いかかってきた。

「くっ」

その巨体が勢いよく迫る中、はやてはギリギリでその鋭い爪を避けることができた。しかし、足を滑らせてしまい、雪庇(せっぴ)から転落する。

「うわああああ」

落下する中、フローターを発動してなんとか体勢を立て直すが、ヒグマもまたすぐに追いかけてきた。その異常な速さには、はやての心拍がさらに高まっていく。

「はっ、はっ、速すぎるやろ」

獲物に執着する巨大な獣の猛威と執拗な追跡に、はやての体力は限界に近づいていた。息も荒く、体中が悲鳴を上げる。

「はっ。はっ。はっ・・・」

もう逃げ切れない――その思いが頭を過った瞬間、ヒグマの巨大な牙が彼女に迫った。

(あかん、食べられる・・・)

しかし、その刹那、どこからともなく放たれた弓箭(きゅうせん)がヒグマの喉元に深々と突き刺さった。ヒグマは苦しそうに身をよじり、足元がふらついた。

(ダメや、食べられる・・・)

はやてが矢の飛んできた方に目をやると、そこには毛皮の帽子を被り、顔に裂傷の痕がいくつも走る男が立っていた。彼は無表情のまま、手に弓矢を構え、冷静に次の一手を準備している。

「あ、あなたは・・・」

「離れてな嬢ちゃん。トリカブトの根やアカエイの毒針を混ぜた即効性の毒矢だが・・・ヒグマなら10歩は動ける」

冷静な口調で状況を説明しながら、男はもう一度矢を放つ。鋭く飛び出した矢がヒグマに命中し、ついにその巨体は動かなくなった。

「大人しくおねんねしな」

 

ヒグマを仕留めた後、はやては自分を助けてくれた男に不安げに尋ねた。

「これ・・・死んだんですか?」

「逆立っていた体毛がねてるだろ。完全に昇天だよ」

男は一度ヒグマを見下ろし、淡々と答える。

その言葉に、はやては漸く安堵の溜息を漏らす。だが、ふとクマの鋭い爪に目をやり、その異様さに息を飲んだ。

「なんちゅう爪しとるんや。こんなのでひっかかれたらたまらんわ」

男は特に反応することなく、黙々とヒグマの死体に向かい、矢が刺さった周りにナイフを入れ始めた。動作は手慣れていて、無駄が一切ない。

「何してるんですか?」

はやてが訝しげに尋ねると、男は簡潔に説明した。

「毒矢が刺さったまわりの肉を取り除く。そうしないと毒が強いから肉も毛もダメになるんだ」

その言葉に、はやては黙って頷く。確かに、毒の影響でクマの肉が使えなくなるのは当然だろう。作業を続ける男が、ふと視線をはやてに向け、彼女の姿を一瞥した。

「それにしても嬢ちゃん、あんた・・・こんなところで何やってんだ? その出で立ちを見るに管理局の魔導師ってところか」

突然、正体を見抜かれたはやては驚いたが、すぐに落ち着き、きちんと礼を述べることにした。

「あ、はい! 魔導騎士の八神はやてです。この度は助けてくださってありがとうございます」

男は淡々と作業を続けながら、簡潔に自己紹介を返した。

「シモン・ヘイヤだ。よろしくな」

自己紹介もそこそこに、はやてとシモンは歩き出した。はやては移動しながら、これまでの経緯を簡単に説明する。

「なるほどな。ヒグマに出くわし、雪崩に遭い、一緒の仲間と逸れちまうわ・・・・・・そりゃツイてねーよな」

シモンの言葉に、はやては少し肩を竦めて笑う。

「みんな、無事なんやろうか。まぁ守護騎士リンクは生きてるようやし、とりあえずはだいじょうぶかと!」

はやての楽観的な言葉に、シモンは冷静な口調で釘を刺す。

「雪山はあんたが思ってるよりも残酷だぜ。甘く見ない方がいい。さっきみたいなマタカリプに命狙われたら魔導師だって無傷じゃすまねぇ」

「マタカリプ?」

「“穴持たず”つってな・・・冬ごもりし損なって気が荒くなったヒグマさ。あんたが言ってた土饅頭、おそらくそいつが残したもんだろうよ」

「どうしてそんなことが断言できるんですか?」

シモンは歩調を緩めることなく答える。

「冬ごもりの穴から出たばかりのヒグマは何も食べない。胃が縮んでからすぐに食えないんだ。だが、稀に体が大きすぎる故に穴に入れず冬眠できなかったヒグマが現れる。奴らの特徴は気性が荒く、餌への執着心が非常に強い。一度人を襲ったクマはもう人間を怖れない。人間はクマにとって格好の餌に過ぎないのさ。獲物を奪われたらどこまでも追いかけて取り戻そうとする」

その説明に、はやては背筋が凍るような思いに駆られた。そしてふと、彼女はシモンへ問いかける。

「そ、そないな危険な場所になんでシモンさんはいるんですか?」

シモンは歩みを止めず、瞳に決意を宿し――静かに答えた。

「俺はな、“死神”を殺しに来たんだ」

「死・・・神・・・?!」

その言葉の意味を測りかねるはやてを横目に、シモンは続ける。

「数日前、猟師を生業としている俺の下にある依頼が飛び込んだ。人食いヒグマを退治してほしいと。そいつはこの山に入り込んだ人間を次々と襲い、その命を貪った。聞けばもう10人以上食われたらしい」

「そんなに・・・!」

「最初に犠牲になった奴は頭に穴を開けられ即死。ある者は連れ去られたのち、木の根元で足だけ見つかった。俺も実際に被害に遭った家を訪れたが、そりゃもうこの世のものとも思えぬ地獄の光景だったよ。クマに食われた母親と子供の亡骸が床に転がってた。辺りは血の海だった」

シモンの冷静な口調とは対照的に、はやての顔は青ざめていった。

「これが“死神”の仕業じゃないと誰が言える? だからこそ、俺が仇を取ってやるのさ。これ以上奴の好きにさせてたまるかってんだ」

話を聞いた後、はやては居心地悪そうに顔をしかめた。

「まさか私らの知らない所で、そんな恐ろしい事件が起きていたなんて・・・・・・あ、もしかして私を襲ったあのクマが!」

「いや、ありゃ死神じゃね。俺が見たの体長は5メートルを超えるバケモノだ」

「5メートルって・・・・・・んなアホな。そないな怪物をシモンさん一人で退治できるんですか? 応援部隊とかはいないんですか?」

はやての問いに、シモンは少し笑みを浮かべることなく、淡々と答える。

「もちろん俺一人でこんなヤマ片付けられる訳もねー。最初は討伐隊を寄越したさ。俺たちは作戦を練り、氷橋(すがばし)の前でヤツを待ち構えた―――」

 

 

数日前、シモン達は「氷橋」凍結した川に丸太や枝などの木材をかけて骨組みを作り、その上を雪や氷で覆って凍らせ、固めて完成させた橋の上で標的を待ち構えていた。討伐隊はその場に潜み、息を潜めてその時を待っていた。

「見ろ! 来た! アイツだ!」

シモンの仲間が声を上げると、視界の向こうに巨大なヒグマの姿が現れた。

「全員撃ち方用意!」

討伐隊は一斉に銃口を向け、容赦なく銃弾を放った。ヒグマはその猛攻に怯んだように見えたが、討伐隊が期待していた致命傷を与えた手応えはなかった。巨体は退いていったものの、その瞳には確かな殺意が宿っていた。

翌朝、討伐隊は一気に仕留めようと、ヒグマの足跡を追って山へ入っていった。しかし、その判断が甘かったことに、彼らはまだ気づいていなかった。

「オイ、その道は危ねぇぞ。返り討ちに遭う」

シモンが警告を発したが、討伐隊のリーダーはそれを無視した。

「何を言う。今がチャンスだ。一気にカタをつける!」

――甘ぇ・・・その判断は甘ぇぞ!

――ヤツは頭がいい。山の中の戦いでは向こうに分がある。奴はもう気付いていたのさ。風上にいる人間の群れの匂いを嗅ぎつけて、手ぐすね引いて待っていたんだ。

――俺は討伐隊とは別ルートでヤツを追った。そして、悲劇は起こった。

「「「ぐああああああ」」」

――悲鳴が聞こえ、俺が駆け付けたときには既に・・・討伐隊は全滅。ひとり残らず奴に喰い殺されていたんだ。

――ヤツは・・・・・・どこかへ去っていた。

――俺がもっと早く追いついていれば・・・・・・

だが、その時には既にヒグマは姿を消し、どこかへ去っていた。全てが終わった後の虚しさと、自らの無力さにシモンは苦悩していた。

 

 

「俺は何が何でもヤツを殺す。たとえ一人になっても、どこまでもヤツを追ってやる」

「シモンさん・・・・・・」

シモンの静かだが果てしない怒りを宿した言葉には、確固たる覚悟が感じられた。はやてはその強い意志に胸を打たれ、思わず彼の名を呼んだ。

やがて、シモンは冷静に周囲を見渡し、低い声で警告を発した。

「もうすぐ辺りは真っ暗になる。今夜は雲があって月が顔を出さない。だが死神からはこちらが見えてる」

その言葉には、まるで自然の脅威と死神に対する深い洞察が込められていた。シモンは鋭い目つきではやてを見つめ、一刻も早い避難を促す。

「嬢ちゃん、悪いことは言わねー。あんた一人だけでもこの山を下りろ」

「そんな! 私一人だけって・・・だいたいはぐれた仲間の事もあるし・・・今の話を聞いてシモンさんを置いていける訳ないですよ! 私も戦います! これでも立派な管理局所属の魔導騎士ですから」

はやての言葉には強い意志が込められていたが、シモンは冷徹に応じる。

「あんた、凶悪犯と野生動物を同じだと考えちゃいねぇか? もしそうだとしたら、そいつはとんだ勘違いだぜ」

シモンは一瞬はやてをじっと見つめ、正面から冷たく言い放つ。

「弱い奴は食われる」

その一言には、厳しい現実と冷酷な真実が詰まっていた。はやてはその言葉に戦慄し、背筋が凍るような思いに駆られる。

「悪いが俺はあんたを護って戦えるほど、強くはない。もしあんたが俺より弱いなら、今ここで・・・俺があんたを殺してもいいんだぜ」

シモンの言葉には優しさと怖さが入り混じり、彼の覚悟の重さが伝わってくる。一瞬、はやては言葉を失い、汗が浮かぶほどの緊張感が漂った。

しかし、彼女は口元に微かな笑みを浮かべ、静かに応じた。

「・・・・・・覚悟ならありますよ。私はとっくの昔から、死神と一緒に戦って来たんですから」

 

           *

 

時空管理局LS級艦船「ヴォルフラム」 艦内医務室

 

「ん・・・・・・ここは」

シグナムがゆっくりと目を開けると、目の前にはスバル達が集まっていた。彼女の覚醒に、キャロが安堵の表情を浮かべる。

「気が付いたんですね!」

「ここはヴォルフラムの中ですよ」

エリオの説明を聞きながら、シグナムは状況を思い出そうとする。

「我々は・・・どうしたんだ・・・」

「雪崩に巻き込まれたんです。幸い、生き埋めは免れたんです」

シグナムが記憶を整理する間もなく、ティアナは続けた。

「近くの川辺付近で倒れているところを私たちが見つけて、保護しました。ただ・・・八神部隊長が」

「!? 主はやては、どうした?」

シグナムははっとして飛び起き、はやての行方を問う。その声にはこの上ない焦りが滲んでいた。

「まだ見つかっていません。今、なのはさんとフェイトさんが全力で探しているんですが・・・・・・」

スバルが歯切れ悪く答えると、ギンガが続けた。

「八神司令の事ですから、そう簡単に死んだりなんかしないとは思うのですが」

「当り前だ!! 主はやては我々を残して死ぬはずがないだろう!!」

シグナムは怒りに満ちた声で叫び、興奮が抑えきれない様子だった。その圧に居合わせたフォワードメンバーは縮こまる。

「す、すみません!!」

「軽率でした!」

彼女の怒りに怯え、五人は即座に謝罪する。シグナムは再び冷静さを取り戻そうとするが、胸の中には焦燥感が渦巻いていた。

「く・・・・・・こうしてはおれん。私もすぐに救出へ向かわねば」

「ちょ、いくらなんでも無茶ですよ!」

「まだ動いちゃダメです!」

シグナムは無理に体を起こして出かけようとするが、その無謀とも言える行動にスバル達は制止を求めるが、それでもシグナムは振り払おうとする。

「放せ、お前たち! 私には主をお守りする責務がある。最後の夜天の王に仕えし騎士としての・・・私の使命だ!」

その気迫に、スバル達も一瞬たじろぐ。

「その使命感はご立派ですが――」

だが、そこに一人の人物が静かに歩み寄り、話しかけながら一滴の液体をシグナムの顔に垂らした。

直後。シグナムは即座に意識を失った。

「あなたの今の使命は自分の体を休めることです」

 スバル達が視線を向ければ、いつの間にかユーノが気絶したシグナムを抱えながら、その場に立ち尽くしていた。

「ユーノ先生!」

「来てくれたんですね」

スバル達は、ユーノの登場に驚きながらも、彼の存在に安堵の表情を浮かべる。

「クロノから連絡を受けて、急いで駆けつけてみれば・・・・・・どうにもきな臭い事になってしまったようだ」

すると、エリオがユーノの手の中にある目薬のような小瓶に目が入った。

「あの・・・それは? シグナム副隊長に何を?」

「『穿点(がてん)』と言ってね、死神が使う強力な麻酔薬の一種だよ。これはそれを元にした魔導師・騎士用のものだね」

ユーノは手際よくシグナムを眠らせると、すぐに出かける準備を始めた。

「僕も探しに行ってくるよ。雪山の夜は想像を絶する過酷な世界だからね」

 

           *

 

ヌターナク 雪山 深奥

 

日が沈み始め、辺りが暗闇に包まれていく中、はやてはシモンの指示に従い、大量の薪を集めていた。寒さが厳しくなるにつれ、彼女は集めた薪を手にしてシモンの元へ戻る。

「シモンさん、持ってきました」

「ああ。すまねぇ」

シモンは感謝の言葉を口にしながら、はやてが持ってきた薪を次々と篝火(かがりび)()べる。炎が勢いよく燃え上がり、周囲を明るく照らす。

「火があれば近づかないんですか?」

「いや、奴は火なんて怖がられねぇさ。この篝火の明かりで敵を撃つ。もっともっと薪が必要だ」

薪を追加しながら、シモンは先ほどのはやての言葉を思い返していた。

「しっかしあんたも酔狂な事を言うな。『死神』と戦って来たなんてよ」

「冗談に聞こえますか?」

「いや、あんたの目は嘘を吐いちゃいねぇってことは分かる。俺の知らない『死神』が居ても不思議じゃねぇ」

シモンの意外な言葉に、はやては少し驚いた。彼は彼女の言葉を信じていたのだ。

「嬢ちゃん・・・」

「はやてです」

「はやてさん、ここまで来たからには一蓮托生(いちれんたくしょう)だ。俺たちで死神を斃すしかねぇ」

「はい!」

はやての力強い返事が響く中、二人は再び薪を集め――決戦に備える。

 

一方、暗がりの中で、なのはとフェイトは消息を絶ったはやての行方を追って方々を飛び回っていた。

「フェイトちゃん」

「なのは。もう夜だ。この闇じゃはやてを探せない」

フェイトの言葉に、なのはは一瞬不安な表情を浮かべる。

「はやてちゃん・・・無事だよね」

「だいじょうぶだよ。はやてならきっと・・・・・・」

そう思っていた時、二人の目に一際明るく、静かに立ち上る煙が映った。

「なんだろう、あの明かり?」

「あの煙・・・・・・もしかして」

なのははすぐに目を細め、フェイトと視線を合わせる。

「行こう、フェイトちゃん!」

「うん」

一縷の望みを抱き、二人は篝火の明かりが見える方角へ急いで飛び立った。

 

シモンが焚き火に薪を焼べながら、はやてに静かに語りかけた。

「知ってるか。ヒグマは一度人間を殺すと、罰として人間しか食えなくなるんだぜ」

「そうなんですか?」

はやては驚きの表情を浮かべる。シモンは続けて、無表情のまま事実を語る。

「山にはドングリや猿梨(こくわ)、ぶどう、蜂蜜・・・・・・美味いもんがたくさんある。けど、人を食ったヒグマは気付いちまうのさ。いかに人間が弱い生き物だってことを」

「たしかに、私達人間は野生動物から見たらか弱い生き物にしか見えへんのかもしれませんね」

「いいか。一晩中篝火を絶やすな。暗くちゃ戦えない。とにかく薪を拾え。朝になって明るくなればこちらにも分がある」

「わかりました!」

はやてが答えると、シモンは近くの木から樹皮を剥いで大量に持ってきた。

「それは?」

「こいつの皮は(やに)が多くて、長く燃えるから松明に使える」

「日が出るまであと12時間か。長期戦になりそうですね」

はやてが時刻を気にして口にした瞬間、辺りから微かな物音が響いた。シモンはすぐに反応し、背中に背負った銃剣を構える。

「誰だぁ!!」

威嚇を込めた鋭い声に、一瞬の静寂が訪れた後、木の陰から驚いた様子でなのはとフェイトが姿を現した。

「なのはちゃん! フェイトちゃん!」

安堵の声を上げるはやてに、シモンは一度ヒグマの気配が無いかを確認し、冷静に呟いた。

「死神じゃ・・・ないようだな。はやてさんのお仲間か?」

「はい! よう見つけてくれたな、二人ともー」

「こっちこそ随分探したんだよ。無事でよかった」

「シグナムさん達も全員救助したよ。命に別状はないから安心して」

フェイトが微笑みながら答えた。さらに、なのはも安心した様子で言葉を添える。

「そっか。ほんまよかった~」

はやては家族の無事を聞き、嬉し涙を浮かべた。だが、その再会の喜びも束の間、シモンは周囲に再び目を配り、警戒を怠らなかった。

「再会を喜んでることろすまないが、あんた達も薪を集めるのを手伝ってくれな・・・」

その卒爾、あたりに響く不気味な唸り声。巨体の影が暗闇の中から一切の音も気配も無く現れた。

「ガアアアアア!」

ついに、死神と呼ばれる人食いヒグマが姿を現したのだ。ヒグマはシモンとはやてが焼べた篝火を一瞬で吹き飛ばし、恐ろしい咆哮で威嚇する。

 

「うおおおお!」

シモンは銃剣を構え直し、身構えた。

「シモンさん!!」

はやての声が響く中、巨大なヒグマが次第に迫り、緊張が走った。

「なに、このヒグマ!?」

「大きすぎる! こんなの見た事ない!」

「死神だ!! くそ、もう来やがった!!」

フェイトとなのはが驚きの声をあげる傍ら、シモンは眉を顰め、焦燥感を押し殺し、銃剣の切っ先を鋭く突き出した。

「死ねぇええ!!!」

しかし、その切っ先はヒグマの皮膚を貫くどころか、まるで石にでも当たったかのように弾き返された。これには流石のシモンも唖然とした。

「まるで効いてねぇだと? なんなんだ、こいつは!?」

次の刹那。ヒグマが猛然と前脚を振り下ろし、シモンを勢いよく弾き飛ばした。

「ぐあああああああ」

シモンの体は木に激しく叩きつけられ、彼は呻き声を上げる。

「シモンさん!!」

はやてはすぐに駆け寄ろうとするが、死神がなおも迫ってくる。なのは、フェイト、はやては即座に迎撃態勢をとり、魔法で攻撃を開始した。

「はああああああ」

「クラウ・ソラス!」

「シュート!」

三人の魔法攻撃が次々と直撃するが、ヒグマには全く効果がない。巨体には傷一つ付かず、まるで生きた鉄壁のようだった。

「ほとんど無傷だなんて・・・」

「こんなことある?」

その瞬間、死神が大きく口を開け、咆哮をあげたかと思うと、口から炎を放射し、三人に襲いかかった。

「「「きゃああああああ」」」

「はやてさん!! クソッ!!」

シモンは呻きながらも立ち上がり、三人の安否を気にかけた。

「クマが火吹くなんてありかよ! こいつ、もはや動物とは別の何かだ!」

一方、はやてはなのはとフェイトの元へ駆け寄り、彼女達の負傷具合を確認した。

「なのはちゃん・・・フェイトちゃん・・・だいじょうぶか?」

「うぅ・・・・・・左腕が・・・・・・」

「こっちは脚を・・・・・・」

火炎放射の一撃で、なのはとフェイトはそれぞれ腕や脚を負傷し、戦線離脱を余儀なくされた。

「なんちゅうこっちゃ・・・動けるのは私だけ。せやけど、こっちも大した戦力にはならへん」

自嘲する暇もなく、暴戻(ぼうれい)なヒグマが再び襲いかかる。

「下にもぐってそいつの腹にしがみつけッ! 早く!」

シモンは焦り、怒鳴るように指示を飛ばした。

「うわあぁ」

はやては咄嗟にシモンの指示に従い、ヒグマの腹にしがみついて難を逃れた。だが、直後に周囲は暗闇に包まれ、全ての音が途絶えた。

(やられたか・・・)

シモンは暗闇の中、銃剣を構え、神経を研ぎ澄ます。

(暗くて何も見えないがおおよその位置は掴んでる。いくら火を吹く怪物だろうが、急所にあたらなくても毒が入れば時間はかかるが倒せるかもしれねぇ。気配を読んで確実に当てねーと)

シモンは毒入りの銃弾を込め、クマの気配を追いかけた。敵が突進してくる音を感じながら、その気配を冷静に辿る。

(突進してくるヤツから木が盾になるよう位置をとる。ヤツの速さなら次の一発を抜く前に距離を詰められるだろう)

その時、はやての声が再び響いた。

「うううう!! シモンさんっ!! 間違っても私を撃たったらダメや!!」

(はやてさん、まだやられて無いらしい)

シモンははやてがクマの腹にしがみついているのを確認し、冷静さを取り戻す。

「一か八か、丁か半か、YesかNoかだ」

直後。はやては必死に耐えながら、声を振り絞る。

「もうあかん!! 限界やぁぁ!! せやけど私だってこんなところでくたばるわけにはいかん!! 私は、生きるんや!!」

その時、雲が晴れ、満月が顔を出した。夜空に浮かぶ月光が辺りを照らし出し、その明るさは昼を欺くほどだった。

月明かりを頼りに、シモンは姿を現したヒグマに向かって銃弾を放った。毒入りの銃弾は頭部に命中したが、驚くべきことに、弾は弾かれてしまった。

「なに!!」

シモンは失念していた。ヒグマの頭蓋骨は分厚い装甲のようで、時には銃弾さえも弾き返す力を持っていることを。

「ちょ、待って・・・走らないで!」

はやてが叫ぶ間もなく、死神は興奮し、シモンに向かって突進を始めた。

「「はやてちゃん!」」

なのはとフェイトが声を張り上げた次の瞬間、ヒグマはシモンに体当たりし、彼を吹き飛ばした。

()て」

「シモンさん!!」

振り下ろされたはやてだが、その瞬間、死神がシモンを喰い殺そうと襲いかかろうとしたその時――

 

暗闇から鋭い風を切る音が響いた。突如として飛んできた人影が、鋭い剣を振り、死神の鼻先を斬りつけた。

「なに?」

驚きの声があがり、全員がその方向を見やる。そこに立っていたのは、斬魄刀を携えたユーノだった。

「ふぅー。どうにか間に合ったか」

「「ユーノ(君)!」

「もう遅いよー、ユーノくん!」

「ユーノ・・・・・・だと? ―――ふん。どうやら俺はまだツイてるみたいだな」

なのは達はユーノの登場に安堵しつつも、戦況の厳しさに緊張を隠せない。ユーノは、ヒグマの姿をした死神を牽制しながら冷静にその体内を探り、アンゴルモアの反応を捕らえた。

「体内にアンゴルモアを内包している。凶暴化と巨大化の原因はそれが原因だろう」

その刹那、ヒグアはユーノに向かって凄まじい咆哮を上げ、炎を吐き出した。

「おっと」

ユーノはすんでのところでそれを回避し、帽子を押さえながら冷や汗を浮かべる。

「やれやれ。火まで吹くことないでしょうに」

「おいアンタ! ユーノとか言ったか!?」

すると、参戦を果たしたユーノを見たシモンが語気強く呼びかける。

「え」

ユーノが声のした方を瞥見する。シモンはユーノの反応にかかわらず、捲し立てるように口を動かす。

「“G”からは話は聞いてる! 俺と協力してあいつを斃すぞ!」

「Gって・・・・・・まさかあなたは!」

「ユーノ君、危ない!」

なのはがユーノの危機を報せる。ユーノは咄嗟に死神の鋭い爪を躱し、シモンの傍に駆け寄った。

「まさかこんなところでうちの従業員の知り合いに会えるとは。それにしたって、あなた一体いくつなんですか? どう見てもアラフォーには見えないんですが」

「人のこと言えんのかよ。あんたも似たようなもんだろ」

冗談のようなやり取りが続く中、シモンは再び銃剣を握り直し、目の前の巨大なヒグマを睥睨(へいげい)した。

「アイツは俺がこの手で仕留める。あんたはサポートを頼む。10秒でいい、ヤツの動きを封じておけるか?」

「10秒ですか? そんなの熊手で枯葉を集めるより容易いです」

そう言うと、ユーノは冷静に、突進してくるクマに向かって魔法を発動させた。

「チェーンバインド×5!」

魔法陣から鎖が勢いよく飛び出すと、ヒグマを縛り上げ、その巨体を雁字搦めにした。ヒグマは怒りに満ちた咆哮を上げながらも、身動きが取れなくなる。

「その位置からだと心臓は脇の下です。肩甲骨に気を付けてしっかり狙ってください」

「ご教授どうも!!」

シモンは銃剣を構え、冷静に狙いを定める。彼の瞳には、確実に敵を仕留める為の鋭い集中力が宿っていた。

「お前はやり過ぎた・・・永遠に眠ってもらうぞ」

〈Variable Shoot〉

バリアブルシュートが死神の心臓へ正確に直撃し、ヒグマは苦しげな絶叫を上げて倒れ込んだ。

「やった!」

「シモンさん!!」

「まだだ!!」

だが、その時――死神は最後の力を振り絞り、血走った目でシモンに飛びかかった。

シモンは銃剣を再び突きつけながら、己を鼓舞するように、全力で叫んだ。

「殺してみろッ! 俺は不死身のシモン・ヘイヤだぁ!!」

全体重をかけた死神がシモンにのしかかるように倒れた。シモンは圧倒的な力で押し潰されながらも、抵抗の表情を崩さない。

一瞬の静寂が流れ、死神の体から大量の血液が流れ出した。次第にその巨体は縮小し、やがてアンゴルモアが体外に排出される。

「・・・・・・あの、ユーノくん」

はやてが心配そうに声をかけると、ユーノはすぐに事切れた死神の元へ歩み寄り、シモンの安否を確認する。

「生きてますか。シモン・ヘイヤさん」

「生きてる。やれやれまた生き残っちまったか」

シモンは倒れたヒグマの下敷きになりながらも、ゆっくりと顔を出した。はやて達は安堵の表情を浮かべる。

「日本という国の北海道地方にアイヌという先住民族がいます。その漁師も木の(くい)を地面に固定して、同じように覆いかぶさるヒグマの体重を利用しながら心臓を串刺しにすると文献で読んだことがあります。危険で捨て身の戦い方だ」

ヒグマの腹の下から出てくるシモンの勇猛さを称賛し、ユーノは微笑しながら丁寧に語りかける。

「さすがは“白狼(はくろう)”と称された事はある伝説のスナイパーです」

隊士て、シモンは少し不機嫌そうに顔をしかめた。

「そんな大昔の話なんざよしてくれ。今の俺はただの一介の猟師に過ぎねぇ」

 

           ◇

 

第1管理世界「ミッドチルダ」

機動六課 ミッドチルダ地上隊舎 

 

後日、ミッドに戻ってきた恋次達に、一同はヌターナクでの出来事を説明した。

「ほぉ。俺らが留守中に大変だったんだなー」

「凶暴な野生動物がアンゴルモアの力を取り込んだら、確かに怖いよね」

恋次と吉良の反応を受け、はやては息を吐きながら、今回の恐ろしい体験を今一度振り返る。

「せやけど、あんなにも死を間近に感じた事は無かったなー。ヒグマの恐ろしさを身をもって知ったわ」

「ヒグマじゃないよ」

すると、ユーノが静かに口を挟んだ。そして意外な事実が語られ始める。

「解剖してみてところ、あれはヒグマと灰色熊(グリズリー)の混血だった」

「それって・・・異種交配ですか?」

キャロが少し驚いた様子で問いかけると、ユーノはさらに話を続ける。

「ライオンのオスとトラのメスとの交配で【ライガー】と呼ばれる混血種が生まれることがある。今回のAM-03、敢えて名付けるなら“ビズリー”かな? しかしそうした交配は全て人の手を介して行われるものだと、長きに渡って考えられてきた。ところが最近になって、生息域が異なる種でありながら、野生の状態で混血が確認されるようになった。恐らく、あのクマもそのうちの一体だったんだ」

「でもユーノ君、どうして生息域が違う種同士の混血が生まれるようになったのかな?」

なのはの疑問に、ユーノは少し考え込んだ後、答えた。

「はっきりした事はわからないけど、劇的な環境の変化によって生息域が減少した結果、種の存続の為に生き残りを懸けて本来交わるはずのない種同士が交配したんだと思う」

「じゃあ、あのクマは・・・・・・」

「ただ生きるのに必死だったんだよ。あの厳しい環境の中で生きていく為に」

ユーノの話を聞いた瞬間、全員が何となく切なさを感じた。生きるために戦い、交わることのない種が交配しながらも、ただ生き抜こうとするその姿に心が揺さぶられたのだ。

その静かな空気を変えようと、はやてがクマを仕留めたシモンについて尋ねた。

「そ、そういえばユーノくんは・・・・・・シモンさんの事を知ってたんか?」

ユーノは「まぁね」と口にしてから、軽く微笑みながら答える。

「もっと詳しい人間がいるけど、今頃はどこぞの山奥で修験道の行に励んでる頃だろうね」

 

           *

 

第97管理外世界「地球」

日本 奈良県 大峰山

 

その頃、険阻な山で修行に明け暮れる一行がいた。金太郎に連れられ、滝行に挑んでいるのは鬼太郎と浦太郎だった。

「へ、へ、へっくしょん!!」

冷たい滝に打たれながら、鬼太郎はくしゃみをし、文句を言う。

「チキショー。なんだって俺らがこんな目に遭わねーとならないんだ!」

「時代錯誤もいいところだよ! ただの拷問だってば!」

隣で同じく滝に打たれている浦太郎も、苦しそうな声をあげる。

「精神が乱れているぞ。日頃だらけ切った貴様たちの根性を今こそ叩き直してやろう。さぁ、この滝の如く身を清廉潔白にするのだ」

金太郎が滝の前で威厳たっぷりに言い放つが、鬼太郎と浦太郎は心身共に限界だった。

「「もういやだ~~~!!!」」

二人の絶叫が山間に木霊するが、修行はまだ終わりを迎えそうにはなかった。

 

 

 

 

 

 

教えて、ユーノ先生!

 

ユ「今日は、ヒグマについてだ♪」

「ホッキョクグマと並びクマ科では最大の体長を誇るヒグマは、温帯からツンドラ気候の地域にまで広く分布している」

「北海道のアイヌ人は、ヒグマやエゾタヌキなど狩猟の対象となる生き物を、『神が人間のために肉と毛皮を土産に持ち、この世に現れた姿』と解釈していた。その中でも特にヒグマをキムンカムイ(山の神)として崇めたほどだ」

は「いやー。今回はほんま危なかったわ。あんな間近でクマを見たのもそやけど、下手らしたら頭から食べられてたんやからな!」」

ユ「ま、今回は運が良かったけど一人で冬山で遭難して生き残るなんて事はかなり稀な話だからね」

は「あぁそう言えば・・・・・・クマのお肉ってどうなんやろう。ユーノくん、なんや急にクマ肉が食べて見たくなったわ! ちょう用立てしてくれへんか?」

ユ「無茶言うな・・・・・・そんなスーパーで買って来られるようなものじゃないんだよ」

軽率なノリで懇願するはやての言動にユーノはたじたじだった。

 

 

 

魔導師図鑑ハイパー!

 

ユ「さぁみんな、クマの肉は無理だったけど代わりに馬の肉が手に入ったから桜鍋にしたよ♪」

ユーノは独自ルートで強いられた新鮮な馬の肉を使った桜鍋を六課メンバーに振舞う。

ユ「卵はよく混ぜるんだよ。さぁそろそろ食べごろだ。ご賞味あれ―」

な「いただきまーす! あん・・・・・・ん~、美味しい!」

は「ハグハグハグ。うんほんま、これはなかなか」

ス「ウマのお肉って初めて食べたんですけど、意外と癖がないんですね」

桜鍋の評価は上々。ユーノは安堵の笑みを浮かべる。

恋「くぅ~~~うめぇ! あっさりした馬肉にコクのある味噌との相性が抜群だな。味噌の分量も完璧だな。味噌ダレが最高に効いてる」

特に恋次には高評価だったらしく、顔に似合わない食レポを饒舌。

 すると、ユーノは馬肉を気に入っている恋次にある者を進める事にした。

ユ「いや~、恋次さんがそんなに気に入ってくれるとは思わなかったですよ。だったら、これも食べてみてはいかがですか?」

そう言うと、ユーノが取り出したのは・・・・・・想像を絶するものだった。

ユ「じゃじゃーん♪ ウマの脳みそです! 新鮮で精が付きますよ♪」

恋「い、いや・・・・・・そりゃ流石にいいや・・・・・・」

いくら恋次でも、ウマの脳みそを食うだけの度胸は持ち合わせていなかった。

周りも、できれば食べたくないと思った。たとえそれがイベントの罰ゲームであったとしても。




登場人物
シモン・ヘイヤ
声:小林親弘
第51管理世界「ヌナータク」ではやてが出会った狩人の男。ロシア帽を思わせる毛皮の帽子にマフラー、顔を縦横断する裂傷痕が特徴の40代の男。しかし、外見は年齢以上に若々しく、はやては年齢を聞いて驚愕して大騒ぎしていた。一人称は「俺」。
弓矢の名手にして狩猟の腕も高くヌナータクの気候や動植物に精通し、作中、同行者であるはやてに教授している。「死神」と呼ばれるブリズリー(ヒグマトグリズリーとの混血)によってもたらされた獣害事件を解決する為、討伐隊と共に行動を起こすが、道中AM-04と化したブリズリーによって討伐隊は全滅。以後、シモンはたった一人で「死神」を追って何日も山の中を歩いていた。
戦闘力は高いが、不意打ちを食らったり圧倒的な戦闘力を持つ野生動物などと戦ったりする状況も多いため、頻繁に負傷する。仲間からは度々心配されているが、本人は全く気にしていない。
その正体は、管理局でかつて“白狼(はくろう)”と怖れられた魔導師で伝説のスナイパー。
名前の由来は、“白い死神”と呼ばれ、恐れられたフィンランドの軍人「シモ・ヘイヘ」から。
登場AM体
AM-04
ヌターナクの雪山に生息するヒグマとグリズリーの混血種(ビズリー)とアンゴルモアが融合して誕生したアンゴルモアモンスター。
素体であるビズリー自体かなり気性が荒い上に、元々冬ごもり出来ずにいた穴持たずあったが、アンゴルモアと融合する事でさらに体は肥大化、凶暴性も比例して増した事でヌターナクで類を見ない最悪の獣害事件を引き起こし、シモンからはその残虐非道な行いから「死神」と呼ばれた。
巨体にも関わらず俊敏な動きが可能であり、さらには口から火を噴くなどAM体として申し分ない能力を秘めている。最後はユーノと共闘したシモンの捨て身の戦法により息の根を仕留められた。
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