ユーノ・スクライア外伝   作:重要大事

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前回のあらすじ

時空管理局本局にて、八神はやてを始めとする六課首脳部は、尸魂界(ソウル・ソサエティ)から来訪した護廷十三隊総隊長・京楽春水との会談に臨んでいた。
同じ頃――ユーノ・スクライアに死神の戦い方を指南した男、黒崎一護が機動六課に姿を現す。
一護とユーノが深い師弟の絆で結ばれている様子を目の当たりにしたなのはは、幼馴染であり恋人であるユーノに対して、これまで感じたことのない嫉妬の感情を密かに募らせていく。
そして数時間後――ミッド都心に突如【AM-05】が出現。迎撃に向かった機動六課メンバーだったが・・・・・・。


第33話「鬱結(後編)」

新暦079年 7月1日

次元空間 時空管理局本局 公共広場

 

「まさかミッド地上にAM体が出現するなんて・・・・・・」

AM体の出現報告が、会談中のはやて達のもとへも届いた。リンディは苦悶の表情を浮かべ、低く呟いた。

野点の落ち着いた雰囲気が、突然の緊急事態により一変し、場の空気が一層張り詰めたものになる。はやては、おもむろに毛氈(もうせん)から立ち上がる。

「リンディ統括官、現場が心配です。私はこれから直ぐにミッドへ向かいます」

はやての決意が、その言葉に滲み出ていた。リンディもすぐにクロノに視線を送り、指示を出す。

「ええ。そうしてちょうだい。クロノ、あなたもお願いするわ」

「了解しました」

クロノも冷静に頷き、その場から立ち上がる。全員が次の行動を見据え、緊張感を漂わせ始める中、リンディは京楽と七緒に向き直り、丁寧に(こうべ)を垂れる。

「京楽さん、伊勢さん、対談中にもかかわらず、本当に申し訳ありません」

「いえ。非常事態ということは理解致します」

「リンディさんが気に病むんじゃない。せっかくの美人が台無しさ」

 管理局に配慮する七緒の言葉に、京楽は一見おちゃらけた笑みを浮かべながらも、その瞳には冷静かつ鋭い光が潜んでいた。

「それにしても・・・・・・崩玉の欠片であるアンゴルモアを取り込んだ怪物っていうのが、君たちがいうところの『AM体』というものなんだよね?」

「はい、それが今、私たちが対処している脅威です」

リンディは説明しながらも、京楽の反応に一抹の不安を感じる。

だが、その次の瞬間――京楽の口元に不敵な笑みが浮かぶ。

「八神クン。対談を中断させたペナルティってわけじゃないけど・・・・・・どうかな、ボクも一緒に現場に連れてってもらえるかな?」

「「「「!?」」」」

その言葉が発せられた瞬間、場の空気が再び緊張した。

全員が息を呑み、驚愕の視線を京楽に向ける。護廷十三隊総隊長自らが現場へ向かう意志を示したことで、思わぬ展開に場は一層ざわめき立った。

 

           *

 

第1管理世界「ミッドチルダ」

ミッドチルダ市街地

 

陸士108部隊の局員たちが避難誘導を行う中、焦燥感が漂う現場は混乱の色を濃くしていた。

「みなさん、ここから先は危険です!」

「局員の指示に従って焦らずに避難してください!!」

その時、現場に到着したゲンヤ・ナカジマは、ラット・カルタス二等陸士に迎えられる。カルタスはピンと背筋を伸ばして啓礼を送る。

「ご苦労様です!」

「カルタス、避難誘導の進行状況は?」

「はっ、既に八割方完了しております!」

「例の未確認怪生物の方は?」

「ただ今、機動六課前線部隊が戦闘を展開中です!」

「そうか・・・・・・」

報告を受けると、ゲンヤは険しい表情を浮かべながら、遠くで鳴り響く魔力音や爆音に耳を傾ける。

魔導虚(ホロウロギア)事件からまだ日が経って間もないってのに、なんでこうも第一世界(ここ)は次々と事件の火種が降りかかりやがるんだ・・・・・・」

 

ゲンヤが愚痴を零している間にも、六課メンバーは巨大で狂暴なAM体と激しく対峙していた。

『どろどろの毒液で腐りなさい!!』

AM-05の猫・犬・土竜の六本の腕から、特殊な毒液が波の如く飛び出し、全方位に広がっていく。

「来るぞ!」

「全員退避だ!」

六課メンバーは飛び散るようにして毒の波を回避した。毒を避けた彼らはすかさず反撃に転じる。

「ストレイトバスター!」

「テートリヒシュラーク!」

なのはとヴィータが同時に攻撃を仕掛けるが、AM-05は毒のバリアを展開し、二人の攻撃を難なく防ぐ。しかし、その後すぐに不意を突いた攻撃が続く。

「咆えろ!! 蛇尾丸っ!!」

「打ち砕け、アックスオーガぁ!!」

恋次と金太郎の強烈な斬撃が、敵の手薄な背中の羽根を切り裂いた。

(イタ)っ!!! よくも、よくも私の身体に(きず)を・・・・・・!!!』

価値ある肉体を負傷させられたことで、さらに嫉妬の炎を燃やしたAM-05は、六本の腕を地面に突き刺し、毒の塔を出現させる。

『うおおおおおおおおおおおおお』

AM-05が怒りの唸り声を上げると、地面が不気味に振動し始め、次々に毒の塔が沸き立つように出現した。その毒塔は宛ら大地から湧き上がる猛毒の泉のように噴き出し、絶え間なく膨れ上がる。

「す・・・すごい! まるでダイマックスポケモンの技を受けてるみたいだよ!」

「あの、そのたとえ、よくわかりません・・・・・・」

率直な所感を呟く浦太郎だったが、キャロは彼の譬えが全く分からず、ただただ困惑するばかりだった。

直後、六課メンバーに向かって、荒れ狂う毒の奔流が押し寄せ、まるで波のように彼らを呑み込もうとする。

「来るぞ! 全員、退避しろ!」

猛毒の波は巨大な津波の如く膨れ上がり、容赦なく追い立てる。逃げ場のないほど広範囲に迫る毒液が、空気をも腐食させながら前進する様子は、六課メンバーに死を思わせた。

その場に立ち尽くすことは許されない。毒の波が押し寄せ、六課メンバーは即座に、広がる猛毒の爆風を何とか回避した。空間を圧迫するように広がるその波を避ける中、毒に浸食される地面が崩れ落ちていく。

しかし、ただ逃げ続けるわけにはいかない。間隙を見定めたフェイトは、鋭い視線を毒のタワーに向けた。

「はああああああああああああああ」

次々と発生する毒の柱を目にも止まらぬ速さで潜り抜け、迷いなく敵に突進する。雷光が闇を切り裂くかのように、一直線だった。

『ぐぅぅ・・・・・・』

ザンバーフォームの大電圧の剣撃がAM-05に炸裂し、麻痺を引き起こす。

「よし、今のうちだ! 畳みかけるぞ!」

その言葉が発せられた瞬間、全員が一斉に動いた。魔力の光が次々と閃き、彼らの技が怒濤のようにAM-05へと殺到する。ヴィータがグラーフアイゼンを振りかざし、力強いハンマーの一撃が敵の背に叩き込まれる。続けて、シグナムの炎剣が閃き、鞭のようにしなる剣閃がAM体の六本の腕を切り裂く。吉良の雷吼炮がその隙を突き、敵の周囲に電撃を放ち、麻痺させるように攻撃を加えた。

敵の全身が傷つけられ、毒液が飛び散る。痛みに耐えかね、AM-05はその場で悶え始めた。だが、容赦はしない。ティアナも銃口を構え、連続して放たれる弾丸が敵の背中に突き刺さり、さらにダメージを重ねる。

『ぐあああああああああ!!! 痛い!! 痛い!! 痛い!!!』

AM-05が苦悶の叫びを上げ、その体が一瞬怯んだかのように揺れる。それでも攻撃の手を緩めることなく、なのはが全力で魔力を込め、レイジングハートより砲撃を放つ。それが敵の胸元に命中し、爆発が起こる。

『どうして・・・どうして私ばっかり・・・・・・こんな理不尽な目に遭うのよぉぉ!!!』

人生の悲哀を嘆いた絶叫を発した瞬間、AM-05の全身から不気味なオーラが放たれる。そのオーラに包まれると、麻痺していた体が瞬く間に回復し、嘗ての力を取り戻す。そして、その勢いで周囲の六課メンバーを強烈に吹き飛ばした。

「なに!?」

「麻痺状態を脱したのか?」

「なんだよ! マジでマックスレイドバトルみたいじゃねーかよ!」

奇しくも浦太郎と同じ感想を鬼太郎太が呟くかたわら、他のメンバーは本気を見せたAM-05の脅威に戦慄を隠せない。

『私の美しい肌をこんなに焦げつかせて・・・・・・しかも、こんなにも傷だらけにして・・・・・・あんたたち・・・・・・ぜっ――たいに! 許さないんだから!!!』

激しい怒りの炎を燃やすAM体に全員がすごむ。

激しい憤怒の炎をその瞳に宿し、空気が一層重く感じられる。六課メンバー全員が息を呑む中、AM-05の本体の口と、六本の腕にある動物の口が一斉に開き、毒の光線《ヴェノムカノン》を放つ。

『腐食しなさい!!!』

七つの口から繰り出された毒の砲撃は、圧倒的な猛威を振るった。咄嗟にバリアを張るなのは達だが、その毒は強力すぎた。

「きゃあ!」

「うあああ!?」

気が付くと、バリアは粉々に砕け散って飛散していた。

毒の雨が降り注ぎ、全員がその毒に浸食される。バリアジャケットや死覇装にダメージがじわじわと広がり、全員が鋭い痛みに苦しみ、湯気が体から立ち上る。

「く・・・・・・くそが!」

「バリアを溶かす毒って、どんな攻撃なんだよ!?」

『ふふふふ。どう? これが私のチカラ。少しは痛い目を見ることができたようだし、今すぐ私に従うなら、特別に許してあげてもいいわ』

「ふざけないでよ! 誰があんたみたいな毒女に・・・・・・!」

『毒女? 誰が毒女よぉぉ!!』

ティアナの言葉が火に油を注ぐ。赫怒に満ちたAM-05が六本の腕を振り下ろし、六課メンバーを激しく弾き飛ばす。メンバーは建物や地面に叩きつけられ、体がさらに痛みに苛まれる。

『ふん! 無様ったらないわ・・・・・・大した力もないくせに、私に歯向かうんじゃないわよ! 私が憎くて仕方ないんでしょう? それなら、その「力」で証明してみせなさい!』

「違う・・・・・・私達はあなたが憎いから倒したいんじゃない」

苦しみながらも、なのはがレイジングハートを支えに立ち上がる。その瞳には諦めの色は一切ない。

「私もみんなも、あなたを救いたいんです。今のあなたはアンゴルモアの影響で、本当の自分を見失っているだけ。どんな理由があってそんな姿になったのかは分からない。だけど管理局の一員として、ひとりの魔導師として、私がぜったいにあなたを助ける! 私は・・・・・・・・・負けない!!」

今一度、なのはは空中へ浮かび、レイジングハートを構え、強い意志を見せつける。不退転を宿した彼女の決意に、AM-05の嫉妬心は強く燃え上がった。

『なんなのよ・・・・・・どうして、そんなボロボロになってまで私を救おうとするの・・・・・・その哀れみを含んだ瞳が・・・・・・気に入らないわ!!!』

次の瞬間。怒りに満ちたAM-05は六本の腕のうち一本を素早く動かし、猛毒の針を弾丸のように放つ。その速度は凄まじく、まっすぐになのはの額へと飛んでいく。

「っ!」

なのはは一瞬、驚きに瞳を見開き、反射的に顔を背けようとするも、毒針は容赦なく額へ突き刺さった。鈍い痛みが走り、なのはは一瞬、全身が硬直した。

その瞳が微かに揺らぎ、何かを言おうとしたが、声は出なかった。視界がゆっくりとぼやけていく中、意識が遠のいていく感覚を感じた。

 

「なのは!!」

「なのはさん!!」

全員が驚愕し、目を見開いた。なのはは虚脱状態のまま、中空に漂い、沈黙がその場を包む。だが、その沈黙は一瞬のことだった。

「てめー!! なのはに何しやがるんだ!!」

怒髪天を衝いたヴィータが、グラーフアイゼンをラテーケンにして飛び掛かろうとしたその時、事態は一変する。突如バリアが張られたかと思えば、なんとAM体の前になのはが立ちはだかっていた。

「なのは!?」

「どうなってるの? なんでなのはさんがヴィータ副隊長の攻撃を!?」

その場の全員が状況を理解できずに困惑する中、なのはの視線がヴィータに向けられた。紫に染まったその瞳は、いつもの彼女ではなく、何か別の存在に支配されているかのようだった。彼女はレイジングハートの先端を迷いなくヴィータに向ける。

「な・・・・・・」

「エクセリオン・・・バスター」

次の刹那。何の躊躇いも無く、なのははエクセリオンバスターを発射した。

「ぐあああああああああああああああああ」

卒爾として放たれた魔力砲に、ヴィータは反応する間もなく、まともに直撃を受けて吹き飛ばされた。

「ヴィータ!!」

「ヴィータ副隊長!!」

事態が把握できず、混乱する一同。なのはの突然の凶行に驚く彼らの目の前で、AM-05はその光景を眺めながら、邪悪な笑みを浮かべた。

『ふふふ。さぁ、始めましょう。何よりも愉しい恐怖の舞踏会の開幕よ!!』

なのはは、AM-05によって打ち込まれた毒の影響で完全に意識を支配され、操り人形の如く動かされていた。そして、主人に回った毒は愛機にも影響を及ぼし、自律AIであるレイジングハートも、今や意思を持たぬ存在として戦場に立っていた。

「アクセルシューター・・・・・・ファイア」

やがて、複数のスフィアが展開され、高速で射出される。

「「「うわああああああ!」」」

次々と発射される正確無比なスフィアが、地上にいるギンガ、エリオ、キャロを直撃する。

「ギンガさん! エリオ! キャロ!」

「やめてください、なのはさん!! どうしてこんなことするんですか!?」

スバルの悲痛な叫びも、虚ろな目のなのはには届かない。彼女はスバルを見つめたまま、無情にもレイジングハートを向け、照準を定める。

「ブラスターⅠ ・・・・・・リミットリリース」

直後。無機質な声で何かを呟いたかと思うと、なのはの魔力が一気に高まり、圧倒的な力を発揮し始めた。

「! ブラスターモード!?」

「そんな・・・・・・あれはもう使わないって、言ってたのに・・・・・・!」

自ら封印したブラスターモードを使ってまで、目に映るものすべてを壊そうとするなのは。充填された魔力が杖の先端に集まり、強力な砲撃を放つ。

その封印の理由は、ユーノが開発したARカートリッジシステムが、ブラスターよりも効率的で安定した力を引き出せる上位互換であり、負担が少ないことにあった。それでもなお、今のなのはは、制御を失い、この危険な力を解放している。

「ハイペリオン・・・バスター」

無慈悲に放たれる砲撃は、真っ直ぐにスバル達を襲うが、横から吉良と鬼太郎が割り込んで、辛うじて砲撃を避けさせた。

「吉良さん! 鬼太郎さん!」

「ぼーっとしてるんじゃねえよ! 死にてーのか!?」

周囲の混乱が続く中、なのはは次々と魔法を放ち続ける。六課メンバーが懸命に防ごうとするが、なのはの力はそれ以上に増幅されていく。

「やめろぉぉ!!」

「やめるんだ、なのはちゃん!!」

恋次と浦太郎が、弾幕を搔い潜って咄嗟になのはの暴走を止めに飛び掛かる。だが、なのはは二人の反応を見越して、素早く回避した。

「スターダストフォール」

次の瞬間、彼女は空中から砲撃の雨を降らせる。

「ジークフリート、我に翼を!」

〈White Wing〉

「琴線斬 第六章 十五節『貪欲の家畜(ライブストック)』!!」

白鳥が展開した広域バリアで、飛行魔法を駆使してなんとか防ごうとするが、

「「「ぐあああああああ!」」」

なのはの殺傷設定された砲撃の威力は絶大で、三人は大きなダメージを受けた。

「恋次さん! 浦太郎さん! 白鳥さん!」

「なのは!! どうして――どうして仲間を傷つけることを!?」

フェイトが悲痛な叫びをあげるも、なのはが彼女の言葉に耳を傾けることはない。

「無駄です。今のなのは殿は完全に自我を失った状態。おそらくは、先ほど受けた敵の攻撃によって操られているのかと」

冷静に状況を分析し、金太郎は皆に説明する。なのはの異変に困惑する六課メンバー達は、どうすべきか思案する間もなく、彼女の行動に釘付けとなっていた。今のなのははに、以前の面影はどこにも残っていない。彼女の意思とは無関係に、その身体は敵の手先として動いているかのように見える。

『ふふふ。どうかしら? 私の毒を打ち込まれた相手は神経から伝わって、脳細胞を犯し、その中枢神経を完全に支配する。この女はもうあなたたちのお仲間じゃない。私のかわいいオモチャよ』

嘲笑を含んだ声が響く。AM-05の言葉はまるで勝ち誇ったかのようであり、操られたなのはを見下すように、六課メンバーに高らかに宣告する。

「オモチャ・・・・・・だと?」

訊いた瞬間、フェイトの堪忍袋の緒が切れた。

彼女はバルディッシュを握りしめ、親友であるなのはを玩弄した怒りに心火を燃やし、カートリッジをフルロードする。

「人の命を弄び、そのうえなのはの心も弄ぶなんて・・・・・・ぜったいに許さない!!」

猛禽の如く鋭い眼を血走らせたフェイトは、怒りを燃料にしたかのように超高速でAM-05に向かって突進する。その速度は、空気を切り裂くほどだった。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

ザンバーフォームを振りかぶり、親の仇とばかりに一撃で斬り伏せようとしたその瞬間――突然、目の前になのはが現れた。瞬時に発動したフラッシュムーブで、彼女はフェイトの進路を正確に読み切り、目の前に立ち塞がる。

「!! なのは・・・!?」

なのはの無機質な眼差しがフェイトを捉える。その瞳には、嘗ての温かさや友情の痕跡は一切なく、ただ操られた者特有の冷徹さだけが宿っていた。フェイトは瞬時に彼女を救いたい一心で攻撃を止めようとしたが、なのはは彼女の心の動きをも見透かすかのように素早く反応し、正確にザンバーを防ぐ。そして、攻撃を受け流すと、フェイトの隙を見逃すことなく、冷酷なまでに次の動きへと移行する。

「なのは・・・私はこんな形でなのはと戦いたくなんかない! お願いだから・・・元に戻って!」

フェイトは悲痛な表情で訴えかけるが、なのはは無情にもその願いを振り払い、無表情のままフェイトのザンバーを弾き飛ばす。動揺して隙だらけとなったフェイトに対し、冷徹にバインドを仕掛けると、瞬時に彼女を拘束した。

「っ! しまっ・・・」

近接を封じられたフェイトが焦る間もなく、なのはは強化されたバスターを放ち、彼女を吹き飛ばす。

「があああああああああ!」

激しい一撃を受けたフェイトは、アスファルトに叩きつけられ、痛みで動けないまま、朦朧とした意識の中でなのはが無情に次の砲撃を放とうとする姿を見上げる。

「なの・・・・・・は・・・・・・」

フェイトの体に再び迫り来る無慈悲な砲撃。しかしその瞬間、漆黒の影がフェイトの前に割って入り、砲撃を二つに切り裂いた。

「・・・っ!」

驚きで一瞬だけ表情を変えたなのはが見上げると、そこには卍解状態の一護が凛然と立ち、その背後には、倒れたフェイトを守るように介抱するユーノの姿があった。

 

「一護さん! それに、ユーノ先生・・・・・・!」

「た、助かった・・・・・・」

六課メンバーは一護達の到着に心から胸を撫で下ろす。だが一護は、眉間に皺を寄せ、なのはと対峙していた。なのはもまた、冷たく殺意と憎しみに満ちた視線を一護に向けている。

「・・・ったく。そんな()で見られてもな。別にこっちはお前に恨まれる憶えはないんだぜ」

一護は嘆息を吐きながら、後ろにいるユーノに言った。

「ユーノ。フェイトの回復は任せる。あいつの相手は俺がする」

「一護さん・・・・・・」

「心配すんな。俺は織姫一筋だ。お前と同じでな」

「! ぼ、僕はまだ・・・・・・彼女とはそういう間柄でもなんでもありませんよ・・・・・・」

ユーノは少し照れたように言う。それを聞いた一護は、口元を緩めた。

「ま、そうなる日が来るのが近いことを俺も織姫も切実に祈ってるんだが。その話はまた今度だ」

そう言うと、一護は中空へと舞い上がり、なのはと対峙する。

「ユーノ・・・・・・ありがとう・・・・・・」

「いや、こっちこそ来るのが遅れてごめん。すぐに楽にしてあげるから」

フェイトの治療を行いながら、ユーノは一護となのはの様子を静観していた。一護はなのはの斬魄刀を構え、変わり果てた彼女を冷静に観察する。

(なるほどな・・・・・・魔力が濁ってる、ていうのか? 詳しいことはわからねえが、確かなのは、今のなのはの魔力にはAM体(あいつ)が打ち込んだ不純な力が混ざってるってことか)

冷静に分析を進めていた一護だったが、不意に、なのはの様子が一変する。

「ううう・・・・・・うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

なのはは獣のように咆哮し、その怒りに伴い禍々しい魔力が全身から溢れ出す。

「なんだ!?」

思わず気負う一護だったが、その瞬間――なのはが怒りに任せて強力な砲撃を一護に向けた。一護は咄嗟にそれを回避し、彼女を挑発するように町の外へ誘導しようとする。

「こんな町中でポンポン撃つなよな。俺のことが気に食わないなら、いつでも相手になってやるから・・・・・・来いよ」

一護は、自身に注意を向けさせるかたわら高速移動でできるだけ距離を取る。なのはもそれに誘われるように飛翔し、得意の中長距離戦闘を展開する。

(ある程度の情報はユーノから聞いているし、こいつの戦い方についても前の魔導虚(ホロウロギア)との戦いで何となく知っていたが・・・・・・さすがに筋金入りだな。攻撃する隙すら作らせない気でいるわけだ)

一護となのはの戦いを見守る六課メンバー。その眼前で、黒と桜色の光が激しく交錯し、空間すら震わすほどの衝撃が絶え間なく響き渡る。二人の攻防は、超高速の閃光がぶつかり合うかのように目にも止まらぬ速さで繰り返され、互いの技の威力が衝突するたびに周囲の空間が爆ぜ、激しい爆風が吹き荒れる。

「一護君、苦戦してるね」

「伊達になのはも場数を踏んじゃいねぇーからな。けど――」

桜色の砲撃と黒い斬撃が何度も火花を散らし、地面は抉られ、空間が歪むほどの力が拮抗する。なのはは次々と砲撃を繰り出し、その攻撃が空を引き裂くように飛び、一護は瞬歩でギリギリまで回避し、時折、剣で防ぎながら距離を詰めていく。その圧倒的な力の応酬に、誰もが息を飲んで見守るしかなかった。

「ほおおおおおおおおおおお!」

「うおおおおおおおおおおお!」

桜色の砲撃が空を貫き、一護の黒い斬撃がそれを受け止める。二人は互いに隙を見せることなく、目の前の相手に全力でぶつかり続ける。その中で、一護が一瞬の好機を掴むと、背後を取る。

しかし、なのはも本能的に反応し、レイジングハートで即座に防御。杖と剣が交差し、火花を散らす。

なのはの目は血走り、怒りの炎が宿っていた。その瞳には、一護への憎悪がはっきりと現れていた。一護は冷静にその怒りの背後にある感情を感じ取りながら、彼女の動きに合わせ、反撃の機会を狙う。

しかし、次の瞬間――なのはは感情に突き動かされるかのように、圧倒的な砲撃で一護を吹き飛ばした。

「一護っ!!」

「一護さん!!」

一護は地面に叩きつけられ、陥没した地面に倒れ込むが、すぐにその場に起き上がる。上空のなのはを見上げ、眉を顰めた。

「・・・・・・ったく、なんつー馬鹿魔力だよ。にしても、俺ってそんなあいつに嫌われることしたか!?」

疑問に駆られていた折、フェイトの治療を終えたユーノが駆け寄り、問いかける。

「大丈夫ですか?」

「まぁな。つーか、お前の弟子、どんだけ容赦ねーんだよ!」

「すみません・・・・・・なのはは家族共々武闘派なもので・・・・・・」

「剣八よりはマシだぜ。それよりフェイトの方はいいのかよ」

「はい。直ぐに処置しましたので命に別状はありません。ここからは僕も戦います。一応はなのはに師と思われているものですから・・・・・・弟子の暴挙を止めるのまた、僕の責任です」

「たしかに、俺だけであいつを止めるのは難しいな。よくわからねーが、今のあいつは嫉妬っつーかなんつーか・・・・・・心の中の鬱屈した気持ちが爆発して怒りを制御できなくなってる、そんな感じがする。しかもそれは何故か俺に対してだけ向けてきやがる」

「さっきから嫌われている覚えがないとか何とかって言ってるの・・・・・・それのことですか?」

一護の言葉を聞き、改めて暴走するなのはを観察したユーノ。その様子から、ある一つの結論に辿り着く。

「・・・・・・。なるほどね。そういうことか」

「なんだ?」

「いえ、僕が鈍感で愚かだったって話です。彼女の気持ちに気づくのが遅かったから、あんなにも苦しい思いをさせてしまっている。恋人の心の機微をもっと気を配るべきだったんだ」

「ユーノ・・・・・・」

後悔の表情を浮かべるユーノを心配そうに見つめる一護。やがて、ユーノは決意を新たにして一護に向き直る。

「一護さん。二人で彼女を止めましょう」

「ああ――・・・」

二人でなのはに立ち向かう覚悟を決めた瞬間、なのはの嫉妬の炎がさらに燃え上がる。

「うううう・・・・・・ブラスターⅡ!!」

嫉妬心に唇を強く噛みしめ、血が滲むほどに感情を爆発させたなのはは、カートリッジを大量にロードし、過負荷を無視して魔力を限界まで高める。

「おい、あれって・・・!」

「自制心が効かなくなってるせいで、封印したブラスターモードを使ってるみたいですね」

冷静に語りながら、ユーノはその状況を自分のせいだと感じ、内心深く後悔しつつも、刀をさらに強く握りしめる。

「だああああああああああああああああああ」

怒りの咆哮を上げながら、なのははブラスターによって強化された砲撃の嵐を放つ。 二人は迫り来る砲撃を必死に回避するが、なのはは完全に我を忘れ、一護を中心に撃ち続ける。一護は瞬歩で何とか攻撃を避け続けるが、なのはの執拗な攻撃にさすがに文句を言いたくなる。

「待て待て待て! 俺ばっかり攻撃しねーで、少しはあいつも狙えよ!!」

「死ねぇええええええええええええ!!」

なのはの言葉に容赦の欠片もなく、ついには「死ね」とまで言われる始末。

しかし、砲撃が直撃しそうになったその瞬間、ユーノがすかさずラウンドシールドを展開し、一護を守る。

「!!」

なのはは、ユーノが一護を守った光景を目の当たりにして目を疑う。そして、その瞬間、自分を見つめるユーノの視線が心を突き刺し、感情が爆発する。

「んで・・・・・・なんで・・・・・・ユーノ君はその人を守るの・・・・・・!?」

嗚咽を押し殺し、胸の内をぶつけるなのは。ユーノは、砲撃を防いだ後、なのはに毅然とした態度で答える。

「一護さんは僕の命の恩人なんだ。君がこの人を気に入らない理由もわからなくもない。それでも、彼に自分の憎しみをぶつけるって言うなら、僕はそれを看過することも、許すこともできない」

「うぅぅ・・・・・・ユーノ君のバカアアアアアアアアアアアア!!!」

感情が溢れ出すなのはは、気づけば集束砲の体勢に入り、頭上に巨大な魔力の塊が次々と形成されていく。

「おいマジかよ! なのはの奴・・・!」

「スターライトをこんな街のど真ん中で撃つつもりなんじゃ!?」

「店長!! オレンジ頭!! 早くあれを止めてくれー!」

「言われなくても――」

「そのつもりだ!」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!! スターライト!!! ブレイカー!!!!」

なのはの放つ超特大の大魔法が街中に飛び交う中、右手を顔に翳しながら、一護は内心で切り札を使う決意をする。

(ったく。世話焼かせやがって――)

その瞬間、一護の顔に(ホロウ)の仮面が出現した。

「なんだ・・・ありゃ!?」

「あれって、(ホロウ)の仮面・・・? なんで一護さんが!?」

「これには色々あるんだ。ただこれだけは言える――魔王の怒りを止める為にあいつも本気を出さざるを得ないってことだよ」

(ホロウ)化した一護に驚く六課のメンバーだが、恋次は長年の戦友が体に負荷がかかる(ホロウ)化を発動してまでなのはを止めようとする姿に感慨深げな表情を見せる。

霊圧が急上昇した一護は、飛んでくるスターライトに向けて月牙を放つ。

「月牙――天衝!!!」

渾身の月牙がスターライトに衝突し、徐々にその威力を相殺していく。風穴が開くと、すかさずユーノに叫ぶ。

「行けぇえええ!! ユーノぉぉ!!」

「はい!」

スターライトに空いた風穴を通して、ユーノはまっすぐ頭上へと飛び上がり、なのはへ向かう。魔力により衣服がボロボロになりながらも、彼は構わず進み続け、なのはと正面で向かい合った。

「なのは!」

「こ・・・・・・来ないでよぉぉぉ!!!」

涙目を浮かべながら峻拒するなのはは、殺傷力の高い砲弾を至近距離で浴びせる。爆炎が起こり、誰もがユーノの安否を心配するが――。

「あ! あれを見て!」

爆炎が晴れると、ユーノは身を挺してなのはの攻撃を受け止め、彼女を優しく抱きしめていた。

「ごめん、なのは。僕は君の気持ちに正面から向き合っていなかった・・・・・・まさか、君がここまで思い詰めていたなんて」

満身創痍になりながら、ユーノはなのはをしっかりと抱きしめ、優しく言葉を紡ぐ。

「なのはが悲しい気持ちも、許せない気持ちも、僕は多分全部はわかってあげられない。僕はなのはじゃないからね。ただ、これだけはわかってほしいんだ」

双眸に涙を溜めたままだんまりとなったなのはに、ユーノは静かに語りかけた。ユーノは優しく語り掛ける。

「あのとき先に手を差し伸べたのは君だった――なのは。九歳の頃、ジュエルシードの封印に失敗してボロボロになって・・・・・・助けを求めていた僕の声に君が答えてくれた。ずっと一人だった僕の心をなのはが温めてくれた。そんな君だから、みんなが好いてくれる。僕はそれが嬉しいんだ。何に変えても僕はその手を・・・もう離せなくなった」

「・・・・・・・・・」

「もし――なのはの幸せの一番が、僕であると君が許してくれるのなら、僕もまたそれを心から嬉しく思う。嫉妬に苦しむほど僕を想っていてくれたなのはを僕は何がなんでも助ける。あのとき君が僕に手を差し伸べてくれたように、今度は僕がどんな状況でも必ず君に手を差し出すから。今も、これからも先ずっと・・・・・・たとえ君が僕の手を必要としていなくても、僕を殺したいほど憎むことがあっても。僕は、何が何でも高町なのはを見捨てない」

――そう、君はまるで太陽に似ていた。

「だから・・・・・・もう、これ以上悲しい気持ちでみんなを傷つけちゃダメだよ」

そう言うと、ユーノは一瞬躊躇うように息を飲んだが、次の瞬間、決意を込めた眼差しでなのはを見つめると、彼女の唇にそっと自身の唇を重ねた。

触れるか触れないかの繊細なキス。直後、なのはの瞳が揺れ、遠ざかっていた自我がゆっくりと戻ってくる。まるで、彼の温もりが心の奥底に閉じ込められた彼女の感情をそっと解き放つように。なのはは驚きと戸惑いを隠せず、息を詰めたままユーノを見上げた。

「ユーノ・・・くん・・・・・・?」

「うん。よかった、いつものなのはに戻ってくれた」

なのはは、自分が我に返ったことを理解し、自身の唇に手を当て生暖かい感触を思い出し、途端に赤面する。

「えっと・・・・・・今、もしかして・・・・・・?!」

なのはは顔を赤らめ、どこか困惑した表情でユーノを見つめる。その問いかけに、ユーノも目を逸らし、焦ったように返す。

「あ、えっと・・・・・・その・・・・・・」

互いに気まずい沈黙が流れる中、六課のメンバーは、二人のあまりのいちゃつきぶりに思わず呆れていた。

「うわぁ~、マジかよ、あいつ」

「いくらなんでも一目憚らなさすぎだって、店長」

「あの・・・! わ、私・・・・・・何も見てませんので!」

男性陣は萎えた様子で、女性陣は必死に照れ隠しをしている。

すると、その場の空気を一変させるように、突然、AM-05体が激昂した声を響かせる。

『ふざけるんじゃないわよおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』

怒りが頂点に達したAM-05体は、七本の腕を振りかざし、ユーノとなのはに襲い掛かろうとする。

しかし、その攻撃は全て一護の神速の斬撃によって断たれる。

「悪りぃな。どうやらオメーの目には毒だったようだな。けどよ――俺としては、ようやく奥手なバカ弟子がやっと先に進めたのが、嬉しくてたまらねえんだ!!」

嬉々とした表情を浮かべ、一護は天鎖斬月を十字に交差させながら天高く振り上げ、霊圧を溜め込む。そして、その力を一気に解放して振り下ろす。

「月牙――十字衝ぉぉぉ!!!」

『いやあああああああああああああああああああああああああ』

渾身の月牙十字衝がAM-05を直撃し、凄まじい力で押し込まれ、沈黙する。

戦いが終わり、道路の真ん中に湯気が立ち込め、敵は完全に動きを止めていた。

 

一護が勝利を収め、ユーノはなのはを優しく抱きかかえながら地上へと降りてくる。「なのはさん!」

「大丈夫ですか?」

前線メンバーが彼女の元へ駆け寄り、心配そうに尋ねる。

「私は大丈夫だよ。それより・・・・・・本当にごめんなさい!! 私のせいでみんなにひどいことを!!」

操られていたとはいえ、なのはは深々と頭を下げ、謝罪の言葉を口にする。

「なのはのせいじゃないよ。敵に操られていたなら、仕方ないよ」

「ま。いつもの数十倍パンチが効いていたのは確かだが、あれでどうにかなるあたしやアイゼンじゃないねー」

フェイトやヴィータの優しい言葉に、なのはは涙を浮かべ、感謝の気持ちを伝える。

そして、ユーノに対しても顔を向け、感謝と謝罪の言葉を述べようとする。

「ユーノ君もこんなボロボロになってまで助けてくれて・・・・・・あれ?」

なのはは一瞬目を疑った。ユーノの服はボロボロのままだが、彼の体には戦いの傷跡が一切残っていなかったのだ。

「えっと・・・・・・ユーノ君、傷が・・・・・・?」

「あぁ。さっき治療したんだ」

「治療したって・・・・・・だって、降りる前までは!?」

「・・・・・・・・・」

信じがたいほどの速度で傷が癒えたユーノの姿に、なのはは疑念を抱く。その隣りで一護は渋い顔をしてユーノを見つめていた。

 

「いやー。見事な連携作戦だったねー」

すると、拍手の音と共に、現場に現れたのは京楽と七緒だった。

「「「京楽(さん)(隊長)!」」」

「伊勢副隊長も、どうしてこちらに!?」

「んー、ちょっと八神クンにお願いしてもらってね。ボクも興味があったんだよ。阿散井君たちが普段どんな世界で任務に当たっているのか」

「どうやらみんな無事みたいやな。にしても、なのは隊長もどえらい目に合った・・・・・・ん?!」

しかし直後、はやてが異変に気付く。倒したはずのAM-05が微かに(うごめ)き、巨体を起き上がらせたのだ。

「おい、こいつ!」

「あの攻撃を受けてなお、まだ立ち上がるのか!?」

『コロス・・・絶対に、殺スゥゥゥ!!!』

怨嗟の念を唱えながら、AM-05はクレーターから飛び出し、京楽の方向へ突進してくる。

「「京楽(隊長)さん!!」」

焦りの声を上げるはやてと七緒。しかし、京楽は一切動じず、(すず)やかな仕草で笠を深くかぶり、左手でAM-05の暴力的な一撃を受け止めた。

「「「「な・・・!」」」」

「「「「え!?」」」」

誰もが驚愕の声を上げる中、京楽の姿は微動だにしない。彼は片手でその凄まじい攻撃を抑え込みながら、軽く嘆息し、冗談めかした口調で口を開く。

「――やれやれ。異世界とはいえ、モテる男ってのも辛いねぇ」

だが、その冗談の裏には冷静な計算と余裕が垣間見えた。掌から伝わるAM-05の力を、まるで重さを測るかのように分析する京楽の瞳は、一瞬の曇りもない。

「これが噂に聞くアンゴルモアの力というヤツか・・・・・・たしかに、この力は危険だね」

声は落ち着いているが、その言葉には敵の本質を見抜いた者の深い洞察が籠っていた。そう言い終えると、京楽は脇差を抜き放ち、風の如く二本の斬魄刀を振るう。(あたか)も時間が止まったかのように、刹那のうちにAM-05は斬り伏せられていた。

『そんな・・・・・・馬鹿・・・な・・・・・・』

AM-05も、信じられないという表情を浮かべながら崩れ落ちる。

瞬く間に倒されたその巨体は、徐々に元の女性の姿へと戻り、体外からアンゴルモアが排出されていく。

「ウソ・・・でしょ・・・」

「無傷・・・いや、それどころか・・・あの一瞬で・・・」

六課のメンバーは、ただその場で唖然とし、言葉を失った。彼らが理解するまでに時間を要するほど、京楽の斬撃は次元が異なっていた。

「あれで・・・恋次と同じように力を八割抑えてるって・・・・・・なにかの冗談だろ!?」

驚愕と戸惑いの声を上げるヴィータに対して、シグナムは呆然としながらも、冷静に呟いた。

「冗談ではない。あれこそ我々とは住む世界が異なる強者の器なのだ。彼だけじゃない。黒崎然り、スクライア然り――」

彼女の声には羨望を超え、どこか諦めの色さえ帯びていた。彼らの圧倒的な力を目の当たりにしたシグナムは、ただ遠くからその存在を見つめるしかなかった。

 

           *

 

AM-05が機動六課の活躍によって討伐される中、その戦いの模様を冷徹に観察し、密かに警戒する者たちがいた。

彼らは、嘗てのJS事件で壊滅した管理局最高評議会に代わり、密かに結成された後継組織。だが、その全貌は謎に包まれ、世に知られている情報は極めて限られていた。

現在までに判明しているのは、メンバーには管理局にとどまらず、世界的な影響力を誇る有力者や著名人が含まれているという事実。そして彼らは、次元世界の重大な問題や、政治・経済・社会に関する重要事項を主なテーマに、完全非公開の秘密会議を開いている。

その名は【インペリアル・クラブ】―――自らを「影の世界政府」と称し、次元世界の未来を握る者たち。次元世界の行く末を、その暗黒の議論で決定せんとしていた。

 

           ≡

 

次元空間 時空管理局内部某所

 

インペリアル・クラブの者たちが、密かに集まり、極秘の会議を執り行っていた。

この暗闇の中で語られる言葉は、先ほどのミッドでのAM体騒動、そして機動六課の鎮圧劇に対するものであった。

しかし、彼らの口をつく言葉は、表向きの賞賛や感謝とは程遠い、己の立場や利益に根ざしたものばかりだ。

魔導虚(ホロウロギア)の脅威がようやく鎮まったかと思えば、またしても、アンゴルモア絡みで新たな騒擾(そうじょう)か。まったく、ミッド地上は話題に事欠かんよ」

「話題が尽きんと言えば、機動六課の活躍・・・・・・いや、それ以上にこの男だな」

参加者の一人がリモコンを操作し、モニターに映し出されたのはユーノ・スクライアだった。

全員の視線が、冷ややかな光を宿したまま、その映像に注がれる。

「ユーノ・スクライア・・・・・・一介の考古学者風情が、今では“翡翠の魔導死神”となり、(あまつさ)え天才魔工技師“アニュラス・ジェイド”その人だとはな」

「次元世界の秩序を揺るがしかねない危険因子めが」

「機動六課とは、どういう繋がりなのか?」

「調査によれば、部隊長の八神はやてとは幼少期からの友人で、高町なのは一尉には魔法を教えた経緯があるようだ」

「それはまた・・・・・・実に興味深いな」

「とはいえ、穏やかな話ではない。無限書庫を現在の形に大成したばかりか、我らにとって未知の存在である死神とやらも、事実上奴の軍門に下っている」

会議室の空気が、さらに重苦しさを増していく。次に発せられた言葉は、誰もが避けたいものだった。

「嘗ての【ヴェーダの内戦】で武勲を立てた、熊谷金太郎元名誉元帥。稀少な水流魔法スキルを揃えた、亀井浦太郎元一等陸佐。報告によれば、奴が個人的に営んでいる店の従業員として発動しているとか・・・・・・俄かには信じ難いがな」

「巧妙な手口よ。機動六課という我々としても手を出しづらい場所を根城にして、急速に勢力を拡大している。おまけに、奴の手には“禁断の手帳(カルネ・デファンデュ)”の写しがある。このままでは、いつぞやの『非道の徒(イリーガル)』の如く、我々も奴に抹消されるやも知れぬぞ」

全員の顔に、恐怖と焦燥が浮かぶ。だが、一人が冷静に口を開いた。

「いや、焦るべきではない。我々の背後には、次元世界の有力者たちが控えている。まずは、彼らの動きを見極めるべきだ。我々が思い描く世界を築き上げるべく、より影響力のある人材を選出せねば」

「だが、それだけは不十分だ。何よりも危急すべきは、ユーノ・スクライアという人間離れした力を持った一人の個人である」

「世界の均衡と秩序を守る為には、あの男が持つ力はあまりにも大きすぎる。いずれは排除せねばならぬが、果たしてどうすべきか・・・・・・?」

「悪魔を殺すには、こちらも悪魔をぶつけるか」

「まさか・・・・・・」

「無論、本意ではない。ただ、こちらも持ちうる手札から最高のカードを選び抜かねば――到底実現などできぬ」

誰もが沈黙し、次元世界の未来を握りしめようとする暗黒の計画を練り始めた。

 

「扱いあぐねる不確定要素を排除し、世界とそこに住まう生命を我々の意に従わせる。それこそが、組織たる我々の理念なのだ」

 

 

 

 

 

 

短編:「焼き肉の焼き方」

 

新暦078年 某月某日

第97管理外世界「地球」

日本 松前町 スクライア商店

 

ある日の夜7時――。

スクライア商店が一日の営業を終え、静けさが戻った頃、ユーノがメンバーに外食の提案をした。

「どうだろう。今夜はみんなで焼肉にでも行こうと思うんだけど?」

「行きま――す!!」

「いいですな店長。是非参りましょう」

浦太郎と金太郎はユーノの提案に満面の笑みで快諾した。

「そういうわけだ、鬼太郎。今夜はお前の好きな肉だよ」

「よっしゃ~~~っ!! 店長のおごりで焼肉だ~~~っ!!」

無論、焼肉の誘いを断る鬼太郎ではない。こうして、その日の夕飯は焼肉に決定した。

 

           *

 

松前町 某焼き肉チェーン店

 

焼き肉屋に着いた四人は、談笑しながら注文した肉が来るのを待っていた。

「・・・だそうなんですよ」

「へぇ~、そうなんだ~」

「それはびっくりだねぇ~」

鬼太郎は、京都の実家を出て以来、久しぶりの焼肉を楽しもうと内心胸を躍らせる。

(へへへ。何年ぶりの焼き肉だろうな。今日はたらふく食うぞ!)

 

「お待たせしました」

しばらくして、女性店員が大皿に盛られた肉を両手で運んできた。

「カルビ4人前、ロース4人前です。こちらがタン塩4人前。野菜の盛り合わせです」

ついに役者が揃った。ここからが、血沸き肉踊る宴の幕開けだ。

「それでは、不束ながら私が焼く担当を致します。こちらのトングは肉を焼く用と致します。もうひとつのトングは裏返し用に使います。焼き上がりましたら自分の箸で取って頂きますよう願います」

金太郎が自ら手を挙げ、堂々とトングを手に取る。

「へぇ・・・二つのトングを肉を焼く用と裏返し用で使い分けるんだ」

「金ちゃんもなかなかこだわるよね」

「なんだっていい。とっとと肉を焼いてくれよ、こっちは腹減ってんだからな」

「かしこまりました。まずは・・・」

金太郎は、おもむろに野菜の盛り合わせからとうもろこしを掴み上げ、網の真ん中に配置した。

「時間のかかるトウモロコシを真ん中に乗せます」

「なるほど。理にかなってるね」

「焼くのは金ちゃんに任せてましょうか店長」

ユーノと浦太郎は、金太郎に任せておけば安心だと判断した。

「それではいよいよ肉を・・・」

肉が網の上に乗せられる瞬間、鬼太郎の心に不穏な影が差した。

(何んだと~~~っ!?)

その光景に目を疑った。網の中央に鎮座する四つのトウモロコシ。その周囲を囲むように、タレで味付けされたカルビとロースが配置されている。鬼太郎の心に波紋が広がった。

(おいおいどういうことだよ!? なんでタレのカルビとロースからいった!? まずはこういう場合味の薄いタン塩からだろう!!)

鬼太郎は、味の濃い肉が先に焼かれることで、次に焼くタン塩にその味が移ってしまうのを恐れた。

(いや、けどな・・・これは俺の勝手なこだわりだ。決して他人に強要していいものじゃない・・・・・・)

大人の対応を見せる鬼太郎は、表立って指摘はしなかった。しかし、もやもやは別のところにも残っていた。

(四人だからカルビを四枚乗せたのはまぁわかるが・・・なんでロースは三枚だけなんだ!! もう少し詰めたら置けるだろうに!! チキショウ・・・どうにも気になる!!)

細かいことが気になると、次々に目についてしまう。そんな自分にイライラしながらも、鬼太郎は心の中で葛藤を抱え続けた。

 

「そうなんですよ! あのときはびっくりしてしまいました」

「アハハ!! 何その話!」

「それは傑作だね~」

心乱れる鬼太郎を横目に、ユーノたちは焼き上がりを待ちながら、楽しい会話に花を咲かせていた。

(むう・・・みんなはこんなに楽しそうなのに・・・こんな細かいことを気にしているのは俺だけだ)

今夜は数年振りの焼肉、本来なら楽しいひとときのはずだった。鬼太郎も、それを心から望んでいたのに、焼き方へのこだわりがそれを邪魔をしている。愚の骨頂であり、そんな自分に無性に腹が立っていた。

(小せぇぞ桃谷鬼太郎!! みんなでワイワイ食べるのも焼肉の醍醐味だろう!!)

自分に言い聞かせながら、もやもやを押し殺そうと拳を握りしめた。

そうこうしているうち、肉が「じゅわっ」と音を立て、片面部分が焼き上がりを告げた。

(そろそろ普通なら裏返すタイミング・・・だが、俺は敢えて長めに置いて裏返したあとはさっとあぶる程度で食べるのが好きなんだ。だからこの肉はまだだ!)

だが鬼太郎の思いも虚しく、金太郎は当たり前のようにトングを手に取り、当たり前の如く肉を裏返してしまった。

(あああ~~~っ!! 普通に裏返しやがったコイツ~~~っ!! もっと焼きたかったのに~~~っ!!)

 

そこから、さらに数分後――。

「そろそろいいですな」

焼き上がった肉を、金太郎は順々に取り分け始めた。

「店長どうぞ」

「うん、ありがとう」

「鬼太郎も食べるといい」

そう言って、金太郎によって焼き上がったカルビとロースが鬼太郎の皿に盛られる。

(うわわわわ~~~っ!! 皿に取らないでほしかった~~~っ!!)

鬼太郎は内心苦々しく思うと共に、皿の上の肉を凝視する。

「おいしいねこの肉♪」

「まったくですな」

(網から直接タレにつけて熱々で食べるのが好きなのに~っ!! 自分で取りたかったのに~~~っ!!)

周りの楽しそうな様子に、鬼太郎の悔しさはますます膨らんでいく。鬼太郎は食べられる喜び以上に自分好みに焼いてほしかったという悔しさが勝ってしまい、肉を食べた気になることが出来なかった。

すっきりしない気持ちに駆られながらも、カルビとロースを消費したことで満を持してタン塩が投入される。

(やっとタン塩か・・・)

待望のタン塩が網の上に乗せられた。

だが、肉を人数分網の上に乗せた直後――金太郎は焼き上がりを待たず、ネギを直に肉の上に乗せた。

(おいおい馬鹿か熊公~~~っ!! ネギを乗せるのは裏返してからだろう!! これじゃあ裏返す時に全部落ちちまう)

またしても、鬼太郎はもやもやした気持ちになる。彼の中でタン塩は数ある肉の中で上位に入る部位。それをこのような無粋極まりない焼き方をされることは勘弁ならない事態だった。

(いや、けどこいつにも何か考えがあるのかも・・・)

少なくとも、金太郎は商店メンバーの年長者である。無策なまま肉を焼いているはずがないという一縷の望みを託して推移を見守る。

(そろそろ裏返すタイミング・・・)

いよいよ裏返す時が来た。固唾を飲んで見守る鬼太郎。と、次の瞬間――

金太郎は一変の迷いも無くタン塩を豪快に裏返し、ネギが無残に落ちていった。

(って何のためらいもなく大胆に裏返したぞ~~~っ!! ネギが全部落っこちやがった~~~!!)

唖然失笑。いとも容易く期待を裏切る金太郎の暴挙に鬼太郎は開いた口が塞がらなかった。

「ほう~っ!! ホントかそれはぁ~!!」

「ホント! ホント! ねぇ、店長!」

「ハハハ! 僕は知らないよ」

鬼太郎の気持ちなど露ほども知らないユーノ達は楽しく語らいながら、焼く肉を楽しんでいた。

しばらくして、網の上には色とりどりの野菜が配置された。

(こ・・・今度は網いっぱいに野菜が・・・野菜タイム!? 野菜しか食べちゃいけない時間なのか!?)

一切の肉が排除された。焼き肉の醍醐味を損なう目の前の光景に、鬼太郎はただただ目を奪われる。

(くっ。こうなったら自分で焼くしかねぇ!!)

最早人任せになど出来ない。自分の食べたいものは自分で確保する――そんな当たり前の事にようやく気づいた鬼太郎は、ついに自らの手で肉を焼く決意を固めた。

「おい熊。俺に裏返し用のトングをくれ」

「承知した」

まずは道具を押収する。裏返し用のトングを受け取った鬼太郎は、これでようやく自分の好きなように焼けるという安心感を抱いた。

(よし! これで自分の好みに焼ける!! 初めからこうしときゃよかったんだ)

そして、全員分の肉を焼くかたわら自分が食べる分の肉に気を配る。

(みんなのは普通のタイミングで裏返して。自分のだけは長めに焼いてから裏返す。そしてあぶる程度で・・・)

もうこれで誰にも邪魔はされない――そう思っていた瞬間、思わぬ横槍が入る。

「鬼太郎。こっち側の肉がもう焼けてるよ」

なんという事だろうか。悪意のない優しさで、ユーノが先に焼き上がったカルビを取ったのだ。

「はいどうぞ」

そしてそのまま、鬼太郎の皿に置いた。

「どれ私もひとつ」

便乗した金太郎も同様に焼き上がったロースを取り分ける。

(えっ!? 店長、それに熊もそれは違う肉・・・)

望んでいない気づかいに、鬼太郎は酷く困惑する。

「じゃあそっち側のは僕がもらうよ先輩」

そして、浦太郎が、鬼太郎が丹精込めて育て上げた肉をまんまと口に運んだ。

(亀~~~っ!!)

獲物を取り上げられたことに動揺する鬼太郎。そして目の前で、浦太郎がその獲物を頬張る。

「う~ん♪ 先輩の焼いたお肉、かなりイケるよ」

(それは俺の育てた俺好みの焼き具合の肉が~~~っ!! 俺の肉を返せ~~~っ!!)

 

結局、数年振りの焼肉にもかかわらず、鬼太郎の腹も心も満たされることはなかった。

 

 

 

 

 

 

おわり

 

 

 

教えて、ユーノ先生!

 

ユ「今日は(ホロウ)化についてだ♪」

(ホロウ)化というのは、死神の魂魄強化手段の一つだ。これを会得すると、死神の魂魄に(ホロウ)の能力が付加され絶大な力を得る」

「しかしそれを成し得るのは一筋縄じゃいかない。死神の中でもとりわけ強い魂魄を持つ一部の者が、内在闘争と呼ばれる自身の中に生まれ出でた(ホロウ)との戦いの末に勝利、その力を長時間持続させる訓練を積まないといけない」

「一護さんの場合は出生が少し特殊だったけど、やった事は他の人たちと同じ。ちなみに、(ホロウ)化を会得した元死神の集団を『仮面の軍勢(ヴァイザード)』と呼ぶんだ」

 すると、説明を終えた直後に(ホロウ)化を数年ぶりに披露した一護が険しい顔つきで歩み寄ってきた。

一「あぁ~あ、久しぶりに(ホロウ)化したから顔の皺が余計に寄っちまったぜ」

ユ「いや、それは元からだったんじゃないですか?」

一「あんな、俺だってがんばって若作りしてるんだぜ。この前、受診に来た小さい女の子に顔見られた瞬間ぎゃんぎゃん泣かれて以来、織姫の美容グッズ使って必死で顔の皺伸ばしてのに・・・・・・またこれで振り出しじゃねーかよ!」

 話を聞くと、ユーノは頭の中で一護が美顔ローラーを使って皺を伸ばしたり、美容パックを使っている一護を安易に想像。

ユ「ぷっ!」

 思わず、失笑してしまうユーノに一護は露骨に青筋を立てる。

一「人の気も知らずに笑うんじゃねーよ!!!」

 

 

 

魔導師図鑑ハイパー!

 

 AM-05との戦闘の翌日、St(ザンクト).ヒルデ魔法学院にて――

ヴィ「おはよう~・・・」

 登校した直後から、高町ヴィヴィオはげっそりとした表情を浮かべていた。

 心配になったクラスメイトのコロナ、リオらが近づき話しかける。

リ「ヴィヴィオ、どうしたの?」

コ「いつもの元気がないけど、何が悪い事でもあったの?」

 すると、ヴィヴィオは机に突っ伏した様子で今朝がたの出来事をおもむろに語る。

ヴィ「実は今朝からママの機嫌がものすごーく良くて・・・」

 登校前、いつものように朝起きてリビングへ降りていくと、ヴィヴィオの目の前にとても朝から食べきれない量の朝食がテーブルの上に所狭しと並んでいた。

 さすがのヴィヴィオも思わず引いてしまったが、それを作った当人こと――なのははいつになくニコニコした様子だった。

ヴィ「ま、ママ・・・・・・昨日なにか良い事でもあったの?」

な「あ、分かる♪ 実は・・・・・・とーっても良い事があったんだけど、ちょと恥ずかしくて言えないなー♪」

 普段にも増して乙女チックな母親の様子を見て、ヴィヴィオは一瞬でユーノとの間で進展があった事を悟ると共に、その影響が今朝の朝食に反映されている事を理解した。

ヴィ「あはは・・・・・・えーっと、作ってくれたのは嬉しいんだけど、私でもこれだけの量を食べるのはちょっと」

な「えー? せっかくママが心を込めて作ったのにー食べてくれないのヴィヴィオー?」

ヴィ「食べないとは言ってないけど、一度に食べきれる量じゃないというか・・・・・・」

 小学生には荷が重い食事量だった事は明白だった。

 しかし、母親が丹精込めて作った料理を無碍にすることも難しく、ヴィヴィオは必死の覚悟で何とか食らいついた。

ヴィ「ってなことがあってさ・・・・・・お昼のお弁当も持たされたけど、当分何も食べたくないんだ」

 ヴィヴィオもヴィヴィオなりに苦労しているのだと、コロナ達は挙って同情した。




登場AM体
AM-05
声:豊口めぐみ
高望みが原因で婚期を逃したとある女性を宿主としたアンゴルモアモンスター。
人魚をベースに、猫・犬・土竜の六本腕、背中に蜻蛉の羽、長髪の一本一本が毒蛇の外見の美女。毒を操る事に長け、嫉妬が原動力となっている。異常な耐久力と合わせて、他者の幸福な姿や攻撃を受ける度にパワーアップする。
更に毒を注入することで他者の中枢神経を支配し、自分とほぼ同等の存在「疑似AM体」にして意のままに操ることが可能。このとき生まれた疑似AM体も、本体の「嫉妬で強化」の特性を受け継ぐ。
その多様な毒攻撃と特性で六課メンバーを苦しめ、一時期はなのはを眷属にして優勢を誇っていたが、ユーノによるなのはの説得。一護の月牙十字衝を受けてダウン。それでも立ち上がったが、最後は京楽の一太刀により呆気ない最期を迎えた。
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