ユーノ・スクライア外伝   作:重要大事

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第36話「旅人 -ディケイド-」

新歴079年 6月26日

とある異世界 某研究施設

 

暗い夜、施設全体が激しい炎に包まれ、無数の警報が虚しく響き渡っていた。金属製のドアが歪み、内側から煙が立ち上る中、白い詰襟服を着た男が、血に染まった腕を押さえ、必死に逃げ惑う。彼が駆け抜ける廊下には、実験器具や奇妙な標本が無造作に散乱していた。

「ハァ、ハァ、ハァ、クソ・・・・・・」

息急きながら逃亡を企てる中、彼の視線の先には、炎の中で悠然と立ち尽くす黒い影。その影を見た瞬間、男の足は止まり、喉から絞り出すような声が漏れる。

「き・・・貴様・・・・・・たった一人で我々を追い詰めるとは・・・・・・何者だ?」

黒い影は、ゆっくりと手に持った剣を撫でながら、炎の光に浮かび上がるようにして答える。その声は冷たく、鋭い。

 

「俺は通りすがりの仮面ライダー。そして――――」

 

「“世界の破壊者”だ」

 

その言葉が響いた瞬間、施設の隅々にまで炎が広がり、男の背後で破裂音が鳴り響いた。実験器具の数々と、非合法的な実験が行われていたことを物語る書類が燃え上がり、その影は一層不気味な存在感を放った。

 

           ◇

 

7月12日――

第1管理世界「ミッドチルダ」

ミッドチルダ中央南駐屯地内A73区画

機動六課 ミッドチルダ地上隊舎 アドバイザー室

 

ユーノは六課の主要隊長陣に報告書の添削を施していた。静謐な空気の中、淡々とその筆は進み、彼の目が滑らかにページを追う。

「うん・・・なのはもフェイトも随分と読みやすい報告書になったね」

「「ありがとうユーノ(君)」」

二人の表情は安堵に満ちており、及第点を得たことに満足している様子が窺えた。

しかし、次の瞬間、ユーノは顔を上げ、微かな疑念を含んだ視線を恋次と鬼太郎に向ける。

「それに引き換え、恋次さんと鬼太郎は旧態依然のままなのはどうしてなのかな?」

「「・・・・・・」」

二人は気まずそうに目を逸らし、答えることを避けた。彼らの沈黙が意味するものは明白である。

やや緊張が緩んだ場に、軽口を挟む者がいた。

「いやー。相変わらず店長はデスクワークに厳しいよねー」

「まさかこのあたしが報告書でケチをつけられるとは思わなかったぜ」

「だがスクライアに添削してもらわなければ私達も見落としていた欠点に気づかなかった」

浦太郎やヴィータ、そしてシグナムもまた、彼の細やかな指摘に驚きを隠せない。彼らにとって、局入り後初めての精査であったのだ。

「伊達に十年、無限書庫で勤務してたわけじゃありません。それに論理的な文章スキルの作成は僕の職業柄必須なんです」

「お前の仕事って駄菓子屋だろう?」

恋次が真顔で問いかける。それに対して、ユーノは全力で否定する。

「考古学者です、本職は! 駄菓子屋は、副業なんです飽く迄も!」

室内の空気は次第に和やかになっていくが、フェイトの問いかけはその流れを一瞬、静止させた。

「でもユーノ・・・今みたいに忙しない状況で論文なんて書いてる暇あるの?」

なのはもまた、彼の近況に興味を示す。

「そういえば、最近遺跡発掘とかどうしてるの? オフシフトの日はいつもCW社で新型武装の開発に注力してるって話だし・・・」

「まぁ僕の事はいいじゃないか。そのうちやるからさ」

ユーノは、どこか軽い調子でその疑問を受け流した。だが、その態度になのははどうにも腑に落ちない様子だった。

「どうでもいいんだけどよ・・・なんつー書類の山だよ。これ全部に目通すのか?」

ヴィータが呆れたように、彼のデスクに(うずたか)く積まれた膨大な資料に目を向ける。その山積みの書類は、あまりに膨大で、到底一日では目を通せそうにない。

「あぁ、そこに置いてあるのは全部チェック済みのものだよ」

しかし直後、ユーノの言葉に驚愕が走った。

「え! まさか・・・・・・これ全部に目を通しちゃったわけ!?」

「まだ始業時間から二時間と経ってないっすよ店長!」

その驚くべき仕事の(はや)さに、室内にいる者たちは一様に驚きを隠せなかった。

そんな中、フェイトが一冊の書類に目を止める。

「あれ? これって・・・」

束になった書類の中から付箋の張ってあるものをいくつか手に取り、ページをめくる。その内容は、医学、科学、そして経済論文と多岐にわたっていた。

「ユーノ、これって全部畑違いのものじゃないの?」

おもむろに問い掛けるフェイトに、ユーノは淡々と答える。

「ネットで気になったことは目を通さないと気が済まなくてね。気づいたら百本近く朝まで読み耽ってることもあるよ」

彼の言葉は、その狂わしい程の探求心を物語っていたが、シグナムはその異常性に目を細めた。

「スクライア・・・毎朝これだけ膨大な数のアブストラクトを読むだけに飽き足らず、多岐に渡る業務をこなしているというのか?」

「アブストラクトではなく全部に目を通してますよ。まぁこれくらいの量こなせないで無限書庫の司書長はやっていられません。マルチタスクをフルに使えばみんなだって同じことができます」

「いや・・・できねーから」

恋次のあまりに直球な言葉に、なのは達は一斉に呆れる。ユーノの常軌を逸した感覚と彼らの現実との間には、埋めようのない隔たりが広がっているようだった。

 

           *

 

同隊舎 食堂ホール

 

昼休みの食堂は、どこか落ち着いた雰囲気に包まれていた。

「わたし未だに分からないんですけど・・・ユーノ先生はどういう方法で汎用性飛行魔法の理論を確立させ、それを実現することが出来たんですか? あれって何気に加重系魔法の三大難問って呼ばれているものですよね?」

その質問に、肉豆腐を食べていた恋次が無造作に返す。

「三大難問?」

シャリオはすかさず解説を始め、その声は静かに響いた。

「“重力制御型熱核融合炉の実現”と“慣性無限大化による疑似永久機関の実現”、それに“汎用的飛行魔法の実現”がそれです」

「意味わかるか恋次?」

「いや。まったく、さっぱり、わけわからん」

鬼太郎もまた恋次に同調し、二人は文字通り噴飯し、笑い出す。あまりに理解できない話題に、笑いが零れるのも無理はない。そのどこか哀れな様子に、周囲はどう反応すべきか一瞬躊躇いを見せた。

「あはは・・・・・・まぁ、ぶっちゃけルー子なんかものすごーく悔しがってたんよー。真っ先にわたしが実現可能にするはずだったのに先越されたーって!」

はやてが、ルーテシアの悔しがる姿を想像しながら楽しそうに語る中、ユーノは淡々と納豆をかき混ぜている。その無言の姿には、一点の曇りもなかった。

シャリオはさらに言葉を重ね、理論の難解さを解説する。彼女の語り口は、まるで精緻な糸を織り上げるようだ。

「魔法で飛行する為には――加速、減速、上昇、下降をするたびに新しい魔法を作動中の魔法に重ねがけしないとならない。必要になる事象干渉力はその度に増大していくので、重ねがけは精々十回が限度。この為、飛行魔法は先天的な大魔力保有者を除き汎用型飛行魔法の安定出力が必要とされる為、現実的に実現不可能な技術である。重ねがけが必要なら作動中の魔法をキャンセルしてから、新しい魔法を発動すればいいと思うんですけど・・・事後的に領域干渉を展開するみたいなものなんですし」

すると、フェイトが話に割り込み、過去の実験についてのニュースを引き合いに出し、その顛末を語った。

「一昨年ヴァイゼンでシャーリーの考えと同じコンセプトの実験が行われているけど、結果は失敗してるね」

「理由は何ですか?」

シャリオが問うと、納豆をかき混ぜ終えたユーノが穏やかに答える。その声は静かながらも、どこか核心を突く鋭さを感じさせた。

「その実験は、基本的な考え方が間違っていたんだよ」

「え」

シャリオは一瞬、きょとんとした表情を見せた。ユーノはごはんに納豆を乗せ、再び淡々と説明を始める。

「魔法の情報体である魔法式は、魔法式に作用することはできない。それは領域干渉であっても同じなんだ」

彼の言葉と共に、口元に運ばれる納豆ご飯。もぐもぐと咀嚼(そしゃく)しながら、ユーノはさらに続けた。

「魔法そのものを直接消し去る術式でない限り、対抗魔法であってもこの原則の例外ではないんだよ」

「つまり・・・余分な魔法をかけちゃっていたということですか!?」と、シャリオが食い入るように問い質す。

「実験を企画したヴァイゼンの学者は、対抗魔法の性質を錯覚していたんじゃないかな? だから僕は、発動中の魔法の発動時点を正確にタイムレコーダーに記録させる方法を思いついた」

納豆ご飯を口に運び、味噌汁を啜るユーノ。その一連の動作は、どこかしら無駄がなく機械的だ。彼はその後、口元を拭いながら一同に問いかける。

「考えてもみてよ。マルチタスクでさえ今の時代デバイスで補完しているのが主流なのに、飛行魔法をわざわざ自分で処理する必要があると思うかい?」

ユーノの理路整然とした正鵠を突く説明に、皆は一様に脱帽するしかなかった。

 

ビー! ビー! ビー!

刹那。静かな食堂に、突如としてアラームが鳴り響いた。

《アンゴルモアエネルギー反応キャッチ! アンゴルモアエネルギー反応キャッチ! 前線メンバー各員、至急総合司令室へ集合せよ!》

その警報は、恰も事態の進展を告げるようにタイミングよく鳴り響き、食堂の静けさを一瞬で打ち破った。

 

           *

 

同隊舎 総合司令室

 

「新たなアンゴルモア反応が確認されたのは、第10管理外世界『オーダー』です」

アルトが、中央のモニターに映し出された異世界のデータに目を通す。そのスクリーンには、淡々とした文字と共に異世界の基本情報が並んでいた。

「文化レベルD、魔法文化無の世界・・・」

その言葉に続いて、アルトはさらに解説を加える。

「データ上ではのどかな田園風景が広がる世界みたいですけど」

「つまる話、ド田舎ってところか」

鬼太郎は、その説明に対し、短絡的な言い回しで返した。彼の大雑把な解釈に、全員は微かに眉を顰めたが、それを無視して次の指示が下された。

「とりあえず様子見がてら、今回はキャロと浦太郎さんに先行調査をお願いしようか」

「了解です!」

「ま。大船に乗ったつもりで任せてよ」

キャロは、迅速に敬礼し、任務を請け負う意欲を示す。一方、浦太郎は自信に満ちた笑みを浮かべながら軽く応じた。

「泥船の間違いねーのか?」

その瞬間、室内には微かな笑いが漂ったが、これも彼らの日常の一コマに過ぎなかった。

 

           *

 

第10管理外世界「オーダー」

 

現地に到着して早々――キャロと浦太郎は、目の前に広がる予想外の光景に言葉を失った。

「あのー・・・浦太郎さん、本当にここで合っているんですよね?」

キャロの問いに、浦太郎は一瞬考え込むように周囲を見渡し、困惑の色を隠せない。

「だと思うけど。聞いていた話とずいぶん違ってるね」

彼らが立つ場所は、田園風景とは程遠く、辺り一帯が重化学工業地帯に変貌していた。空は暗く澱み、煙と排気ガスが渦巻く中、環境汚染が深刻な様相を呈していた。

「げっほ、げっほ。なんだか空気もよくありませんね」

キャロが咳き込む中、浦太郎は空を見上げ、眉を顰める。

「急速な工業発展は自然環境を犠牲にするとは言うけど・・・・・・この劇的な変化は一体?」

「! 浦太郎さん、あれなんでしょうか?」

その時、キャロが目に留めたのは、遠くに聳える一際大きな建物だった。彼女は指を差し、浦太郎と共にその建物へ向かう。

二人は町の中心部へと移動し、その巨大な建物の前に辿り着いた。

「どうやら工場のようだね」

浦太郎は冷静に答えるが、その眼差しには疑念が浮かんでいる。

「何を作っているんでしょうか?」

そう問うキャロの背後に、ふと人の気配が現れる。振り返ると、そこには髭を蓄えた老人が立っていた。

「見かけない者だが、旅の者かね?」

「いえ。私たちはその・・・仕事で来ていまして。あなたは住民の方でしょうか?」

「ワシはこの村で医者を生業としているキュリオという者じゃよ」

「あの、つかぬ事は伺いますが・・・この工場は一体?」

キャロが尋ねると、キュリオは穏やかな表情のまま、少し意味深な笑みを浮かべて答えた。

「なんでも便利グッズを生産しているようじゃぞ。表向きは・・・な」

「表向き?」

含みを帯びたその言葉に浦太郎が敏感に反応し、眉を顰める。

「詳しい事情までは知らん。ワシが聞いた話じゃ・・・毎日毎日住民が昼夜交代で十二時間作業に当たっているということ。工場で作られた便利グッズは、住民が持ち帰って生活に役立てていること。それだけじゃ」

「しかしわからないなー。僕たちはここが長閑な田園風景が広がる場所と聞いてやってきたんだけど・・・・・・」

浦太郎の反応に対し、キュリオは悲嘆に満ちた声で応えた。

「昔の話じゃよ。いまはもうあのころとは違う」

その言葉には、過去への深い憂いと失望が滲んでいた。

「すべてはロンバルト重工がこの巨大ファクトリーを建て、『産業革命』を宣言した時から始まった――」

 

 

遡ること数か月前――

平穏な村に突如として現れた男。彼は村人達の前に立ち、拡声器越しに大袈裟に宣言を始めた。

「あー、始めまして住民のみなさん。わたくしはロンバルト重工代表取締役社長のベルナルド・ビラールと申します。明日からは畑仕事や魚釣り、洗濯などといった古臭い仕事をしなくて済むのです。サイレンと共に起きて遊べば、素晴らしい新世界が訪れるのでぇ――す!!」

その響き渡る声に、町の人々は興味津々に耳を傾けた。

「おもしろそうですな」

「ファクトリーという響きもいい。村興しにもなる!」

「あちらがユニフォームとなります。みなさん、どうぞご自由に」

ビラールは村人達にユニフォームを配り、群がるように集まる彼らの姿は、まるで餌を待つ子猫のようだった。

「あらまぁ! シャレてるじゃない!」

「婦人服もあるのねー」

村人の反応は上々だった。ビラールは得意気に宣伝を続ける。

「そちらすべて我がロンバルト重工特性のブランド物となっています」

「着るとどうなるんだ?」

「ファクトリーにタダでは入れて楽しく遊べます。そして!! 便利グッズがお持ち帰りいただけまーす!」

興奮を抑えきれない村人達に、ビラールはさらに声を張り上げた。

「車に洗濯機、トースター、お高くてなかなか手に入らなかった物がファクトリーで遊ぶだけでどれでも簡単に手に入れることができる! ファクトリーのオープンは明日! みなさん、楽しみにしていてくださーい!!」

 

 

「村人はその謳い文句に乗って、次々とファクトリーへと向かった。それからというもの、この村もずいぶんと様変わりをしたものじゃ」

キュリオは、己の知る限りの情報を静かに語り終えた。その顔には、かつての村の姿への哀惜が浮かんでいる。

「怪しい臭いがする話だね」

浦太郎は眉根を寄せ、疑念を隠さない。

「ロンバルト重工・・・・・・どこかで聞いたことあるような・・・・・・」

「一度六課に問い合わせてみようか」

二人は、聞いた話を六課に報告することに決め、静かにその場を後にした。

 

           *

 

第1管理世界「ミッドチルダ」

機動六課 ミッドチルダ隊舎 総合司令室

 

「ロンバルト重工・・・・・・確かにそう言ってたんだね?」

ユーノが、通信越しにキャロと浦太郎に確認を取る。

『間違いありません』

『僕が言うのもなんだけど、かなり胡散臭い会社っぽいです』

二人の報告を受け、ルキノは迅速に検索結果から得た企業の概要をモニターに映し出し、説明を始める。

「ロンバルト重工で検索したところ、数年前に興ったばかりの新進気鋭の重工業メーカーです。船舶や航空機、さまざまなジャンルで売り出し中の重工業メーカーのようですが・・・・・・」

その説明に対し、ギンガが冷静に分析する。

「要するに、元々管理世界で興った企業が、管理外世界に無断進出していたってことですか?」

ルキノは頷きながら、さらなる情報を付け加える。

「ベルナルド・ビラール――ロンバルト重工を一代で築き上げた剛腕社長。取引先だけでも数百社以上はあります」

はやてはその報告を聞くや否や、すぐさま行動を起こした。

「シャーリー、直ぐに次元裁判所を通じてロンバルト工業への強制立ち入り捜査並びに社長の逮捕状を請求するんや!」

「了解です!」

はやては逮捕状の請求に着手する一方で、現地にいる二人に引き続き調査の指示を出す。

「キャロ。浦太郎さん。二人は引き続きファクトリーの実態調査を進めてもらってもよろしいですか? どうにもきな臭い雰囲気がします」

『了解しました』

『進展があったら直ぐに連絡するよ』

「頼むぜキャロ。ついでに亀公もな」

『って、なんで僕がついでなのさ!? 先輩に言われなくても僕はちゃんと仕事はきっちりするの!』

通信が切れた後、なのははユーノの難しそうな表情に気付いた。彼の眉間には深い皺が刻まれていた。

「ユーノ君。難しい顔してどうしたの?」

「ん~・・・ちょっと引っかかるんだよねー」

(ベルナルド・ビラール・・・・・・ビラール・・・?)

ユーノは頭の片隅で名前を反芻し、その響きにどこか引っかかるものを感じているが、具体的な記憶には至らない。思索を巡らせながらも、どこか腑に落ちない様子だった。

 

           *

 

第10管理世界「オーダー」

ロンバルト重工 ミラージュ・ファクトリー

 

浦太郎とキャロは、工場の実態を解明するため、潜入調査を開始した。

「キャロ・ル・ルシエ様と亀井浦太郎様、お待たせいたしました。こちらがファクトリーのユニフォームになります」

渡された制服を手に取ると、二人は思わず率直な感想を口にする。

「なんだか囚人服みたいですね」

「あまりオシャレな感じじゃないかなー」

ひとまず宛がわれた服に着替えると、黒煙が立ち上る工場の門を、他の参加者と共に潜った。中に入ると、女性スタッフが案内役を務め、彼らを誘導する。

「ようこそミラージュ・ファクトリーへ。初めて当施設をご利用される方々はこちらまでどうぞ」

工場の奥へ進む道中、二人は参加者の中に年端もいかない子供たちが混じっていることに気づく。

「子供もチラホラいますね」

「こんな巨大な工場で一体何を作っているんだろう?」

やがて、彼らの前に広がったのは、近代社会を象徴するオートメーション化された最新鋭の機械設備だった。村人達は、その光景に目を輝かせ、興奮気味に声を上げた。

「こりゃすげー!」

「想像以上だよ!」

「こんな凄い施設だとはビックリだぜ!」

その時、巨大モニターにロンバルト重工の社長、ビラールの顔が映し出され、彼が歓迎の言葉を述べる。

『ようこそミラージュ・ファクトリーへおいで下さいました。心から歓迎いたします』

「で。どう遊べばいいんですか?」

『まずはベルトコンベアの前に横一列に並んでください』

村人達は、この施設が娯楽施設だと信じて疑わない様子で、ビラールはその無知を巧みに利用する。

『手順は簡単。ネジを閉めたり、叩いたり。全員工具を持ってください。そしてネジを閉めるだけ。ゲームみたいなものです』

ビラールの指示に従い、村人達は工具を手に取り、ベルトコンベアから運ばれてくる機器部品に作業を始める。

「あぁ・・・ちょっと失敗したねー」

「わしもじゃー」

「これおもしろーい!」

「もっとしたーい!」

村人達は、自分達が何を作っているのか全く理解していない。彼らは、単にその行為自体を楽しんでいると錯覚しているのだ。浦太郎とキャロはその様子に疑いの目を向け、作業に加わらず様子を伺う。

「浦太郎さん・・・どう思いました?」

「好ましい光景とは言えないね」

すると、ビラールが二人の異質な存在に気付き、問いかける。

『そちらのお二人。どうかなさいましたか?』

二人はビラールに対して鋭い質問を投げかけた。

「あの・・・あんな小さな子供を工場で働かせることは違法ではないんですか?」

『働かせる? 遊んでいるだけですよ。みんな楽しそうにしているじゃないですか』

「しかし明らかに労働法に抵触しかねない状況じゃないかな・・・」

『ご安心を。我が社の方針にこの村の住民は元より、警察の方々も全面的に受け入れております。さぁさぁ、お二人も彼らと混じって楽しく遊びましょう!』

ビラールはしらを切り通し、二人は悩みながらも念話で相談する。

(どうしましょう・・・)

(逮捕するにしても、内部の実態を摑む必要がある以上は致し方ないね。僕たちもここは彼らと合わせよう)

二人は証拠集めの為、不本意ながらも怪しまれない程度に作業に加わることを決めた。ベルトコンベアから次々と運ばれてくる部品に、村人達は無心で手を動かしている。

「少し疲れるがおもしろいですー」

「次は何が始まるんですかなー」

村人達の愚直な楽しげな声が響く中、時間だけが刻々と過ぎ、やがて正午を迎える。

「ふぅー。お腹すきましたねー」

キャロは辺りを見回し、村人達の異変に気付いて浦太郎に声をかけた。

「あの浦太郎さん。なんだか周りの人たちの顔つきが・・・・・・」

浦太郎も同じように周囲を確認し、村人達の顔が無表情になっていることに気づく。

「やれやれ。モノに憑りつかれたみたい無表情になっている」

「大丈夫なんでしょうか?」

そう思っていた時だった。一人の村人が空腹を訴えた。

「あのすみませーん。お腹空いたんでランチに行っていいですか?」

『それはいけません。それでは能率が下がってしまいます』

「そんな! お昼休みもないんですか!?」と、思わずキャロが強く訴える。

『御心配には及びません。ランチは自動的に食べられるようになっています』

ビラールの言葉に続いて、工場の奥から現れたのは、自動で作業員に食事を補給するロボットだった。ロボットは、トウモロコシやスープといった簡素な食事を村人達に運び、口へと注ぎ込む。

「こりゃすごい! 働きながら食事ができるとは!」

「なかなかイケるぞ!」

明らかに異様な光景が繰り広げられているが、浦太郎とキャロには、その異常な状態が目に映る。

「どうして誰も疑いなくこの状況受け入れているの?」

「――モダン・タイムズ、だね」

「なんですかそれ?」

「近代化する世の中で、人が歯車のように工場で働かされる様子を皮肉った映画さ」

すると、次の瞬間――作業に集中しない浦太郎に、突然別の機械が現れ、電気ショックを与える棒を突きつけた。

「ぐあああああ!!」

「! 浦太郎さん!」

キャロは倒れた浦太郎に駆け寄り、その無事を確認しようとする。

「いきなり何をするんですか?!」

『これは失礼。能率が落ちると自動的にそちらにある機械が罰を与えるものとなっておりまして』

「なんだ・・・って!?」

電気ショックを受け、痺れる体でビラールを鋭く睨む浦太郎。

『素晴らしき産業革命の為にはできるだけ能率を落とさず昼夜問わずラインを動かし続ける必要があるのです。どうかご容赦を』

「ふざけないでください! こんな不法な長時間労働させおきながら能率を落とすな、だなんて・・・そんなのひどすぎます!」

『しかし現に彼らはこの遊びを楽しんでおりますゆえ』

「さっきから聞いていれば遊び遊びって・・・・・・最早これは遊びじゃない! ただの強制労働だろう!」

「みなさんも早くここを出ましょう。こんな場所で働いても碌な事になりませんよ!」

キャロが強く訴えかけるが、二人の予想に反し、村人達の反応は冷淡だった。

「せっかく楽しんでるのにー」

「ジャマしないでくれよ!」

「あたしたちはここで遊びたいの!」

「そうだそうだ! イヤなら出ていけってんだ!」

村人達にとっては、浦太郎達こそが異常な存在に見えていた。唖然とする浦太郎とキャロを余所に、工場の作業は止まることなく続いていった。

 

工場を後にした浦太郎とキャロは、稼働し続ける工場と、そこで働く人々の様子を遠巻きに見つめながら、茫然自失の状態に陥っていた。

「どうしようもないですね・・・」

「僕たちでは、彼らを救うことは一筋縄じゃいかないようだ」

それから数時間後、村人達が工場から出てきた。彼らは工場内で生産されたばかりの電化製品を誇らしげに持っている。

「ファクトリーで作ったものをもらったぜ」

「これは洗濯機だ」

「オレなんかトースターにジューサーだ!」

しばらくすると、工場から排出される黒煙に覆われた空から黒い雨が降り始めた。

「雨だ」

浦太郎は空を見上げ、降り注ぐ雨に対し、不安を隠せない。

「私達はどうしたらいんでしょうか」

二人は黒い雨に打たれながら、どうしようもない状況に打つ手がなく立ち尽くしていた。

「風邪をひかれる」

そんな彼らに傘を差し出したのは、町医者であるキュリオだった。

「キュリオさん・・・・・・」

「あなただけは彼らとは違うみたいですね」

キュリオは静かに頷きながら答える。

「だがムダじゃよ・・・いくら言ったところで彼らは耳を貸そうとはしない。真実を叫ぶ者は、常に僅かじゃ。大多数の人々には理解されない」

彼は、降り続ける黒い雨をじっと見つめながら呟く。

「ワシが心配なのはこの雨じゃ・・・・・・」

言われて二人は、地面にできた黒くドロッとした色合いの水溜りに目を向け、その異常な様相に息を飲んだ。

 

キュリオの厚意で診療所を借りた浦太郎とキャロは、そこで工場からの黒い雨を成分分析することにした。浦太郎が試験管を使い分析を進めると、黒い沈殿物がくっきりと浮かび上がる。

「浦太郎さん・・・!!」

「二酸化硫黄や窒素酸化物がすごい量だ。pH値も4を下回ってる・・・ここまでひどい『酸性雨』は見たことがない」

「これは大変なことですよ!」

矢も楯もたまらず、二人は部屋を飛び出し、外へ向かった。しかし、時既に遅し。

「「あ!」」

森の木々は酸性雨の影響で枯れ果て、緑は失われ、無残な姿を晒していた。キャロはその現実に膝を突き、悲痛な声を漏らす。

「春が訪れても生き物たちはいない・・・・・・“沈黙の春”です」

「生と死の妙薬・・・この村はもう手遅れだ」

 

「まだそうとは決まっていないぜ」

しかし、その時――不意に彼らの前に現れたのは、一人の青年だった。青年は、黒いスーツを身に纏い、首からマゼンタ色のトイカメラを提げている。その落ち着き払った表情には、どこか物事を超越したような雰囲気が漂っていた。彼は肩にかけたカメラをいじりながら、ゆったりとした口調で二人に話しかけた。

「誰ですか・・・あなたは?」

キャロが訝しげに問いかけると、青年はどこか余裕を感じさせる笑みを浮かべた。

門矢士(かどやつかさ)。通りすがりの旅人さ」

士はそのままトイカメラを手に、無関心な様子でこの町の様子を撮影し続ける。

「人間は自分達の生活をより豊かにする為に自然を犠牲にしてきた。やがて、その傲慢のツケを支払うときになってようやく自分達の行いを悔いる――そんな哀れな生き物だ。愚か者たちは痛い思いをしなければ理解できないんだ」

その冷たくもどこか達観したような言葉に、浦太郎は不快感を隠せず、挑発的な口調で返す。

「お高く止まったものだね」

しかし、士は全く動じる様子もなく、淡々とした様子で撮影を続ける。

「でも・・・・・・でもこのままでいいなんて、私にはできません! 今からでも手を尽くせば、この現状を変えられる筈です!」

キャロの決意に満ちた叫びが響く。彼女の目には、この状況をどうにかしようとする強い意志が込められている。浦太郎もまた、その言葉に応じるように表情を引き締めた。

「気持ちはわかるけどこればっかりは・・・・・・でも、あんなに酷くなってるのに誰も耳を貸さないのは、さすがにちょっと異様かもしれない」

士はそんな二人のやり取りを一瞥し、わずかに笑みを浮かべながら、再び語りかけた。

「この村が有毒物質で汚染されようがなんだろうが俺の知ったことじゃないが」

その言葉には冷酷さと同時に、どこか含みのあるニュアンスが感じられた。士はそのまま続ける。

「知りたくないか? あのファクトリーが便利グッズ以外で作ってるものの秘密を」

「「え」」

その問いかけに、キャロと浦太郎は驚きと興味が入り混じった表情を浮かべた。士の視線は冷静でありながらも、その奥には何かを見透かすような鋭さが宿っていた。

 

           *

 

第1管理世界「ミッドチルダ」

機動六課 ミッドチルダ隊舎 総合司令室

 

「やっぱりそうだ! どこかで見覚えある顔だと思ったら・・・・・・」

ユーノはメインモニターにビラールのデータを表示させ、その情報を六課メンバー全員に共有する。

「この男、二年前まで『ヴァンデイン・コーポレーション』の幹部だった」

その社名を聞いて、シグナムはすぐに反応する。

「ヴァンデイン・コーポレーションというと、かの有名な兵器メーカーだったな?」

シグナムが述べたその企業は、ミッドチルダを始め、主要な次元世界で多くの兵器を手がけてきた大企業として知られている。ユーノはさらに詳しく、ビラールがどのようにして今の会社を興すに至ったのか、その過程を順を追って説明した。

「ビラールは二年前、インサイダー疑惑が持ちかけられた事で解雇されている。そして奴が解雇された直後にある重要な機密データが社外へと持ち出された。無論、十中八九ビラールの仕業とみて間違いない」

「どんな情報が持ち出されたんですか?」

スバルが疑問を投げかけると、ユーノは静かにモニターにその内容を公開する。表示された瞬間、室内にいる全員が息を呑む。

「おいおい・・・こりゃ!?」

「まじかよ」

「ユーノ、これって――」

フェイトが険しい表情で尋ねると、ユーノもまた渋い表情を浮かべ、重々しく説明を始めた。

「実に厄介な話だよ。なにしろ奴が持ち出したのは、現在(いま)の魔導時代を根本から変えかねない危険な細菌兵器に関する記録だ」

その資料に記されていたのは、ビラールの手によって持ち出された、凶悪なウィルスに関する情報であった。

「『エクリプスウィルス』――使い方次第では世界を殺せるほどの猛毒さ」

その言葉に、室内の空気は一層重くなり、緊張が高まる。フェイトやシグナム、他の隊員達も、モニターに映し出された情報に目を凝らし、事態の深刻さを理解し始めていた。

 

           *

 

第10管理世界「オーダー」

ロンバルト重工 ミラージュ・ファクトリー

 

「あのー、この方法でほんとうにいいんですかね?」

キャロは不安げに士に問いかける。士は肩を竦め、軽い口調で答える。

「堂々と表門から入れるのに越したことはないが、生憎お前らは面が割れてるんだ」

士は淡々と答えながら、三人は周囲を警戒しつつ工場の奥へ進み、堅牢な扉の前に立つ。その扉を前に、キャロは唇を噛み締める。

「やはりそう簡単に秘密は教えてくれそうにありませんね」

「俺に任せろ」

士はおもむろに扉の前に立ち、懐から一枚のトランプ台の大きさのカードを取り出した。それを何の躊躇もなくカードリーダーに通す。

瞬間、ロックが解除され、扉がゆっくりと開かれる。これには浦太郎とキャロは思わず目を丸くした。

「すごーい」

「どうして・・・いったい何をしたんだ一体?」

士は肩越しに振り返り、軽く笑って言った。

「気にするな。大体いつも俺はこういう感じなんだ。先へ進むぞ」

こうして三人は秘密のラボラトリーに侵入することに成功した。そこで彼らが目にしたのは、想像を絶する光景だった。

「なんだここは?」

「まるで何かの研究施設のようですね・・・」

すると、士は「正解だ」と言って、冷静に答える。

「村人共が日夜あくせく働いて作ってる部品の多くは、この研究施設の設計や兵器開発の資金源として利用されている。言ってみれば此処こそロンバルト重工の心臓部だ」

「兵器開発ってことは・・・ロンバルト重工の本質は“死の商人”って事だね?」

浦太郎が確信を突く言葉を口にしたその時、キャロのケリュケイオンが強く反応し、警告を発する。

〈Proximity alert!(接近注意)!〉

「っ! 誰か来ます!」

咄嗟に物陰に隠れる三人。人影が立ち去った後、士は無造作に白衣を二着取り出し、「ほらよ」と言って、二人に手渡した。

「そんな格好でいるとすぐに正体がバレるぜ」

「あ、ありがとうございます」

「きみは本当に用意がいいんだね? 店長みたい・・・」

浦太郎は士の用意周到さに驚きながらも、白衣に身を包んだ。

 

その頃、ラボラトリー内部で侵入者の報告を受けたビラールは、苛立ちを隠し切れず、ワイングラスを傾ける。

「なに? ラボラトリーに」

『例の男を含む二名が侵入しました』

「私が行くまで監視を続けろ。外は出すな」

ビラールは苛立ちを露わにし、ワインを飲み干すと無造作にグラスを投げ捨てた。

「まったく以って不愉快だ! せっかくハーディスの目を欺き盗み出した研究を。あんな男やネズミ二匹に潰されてなるものか!」

彼は机上のアンゴルモアを手に取り、その怪しげな光に魅了されながら、悪意に満ちた笑みを浮かべる。

「この研究は何としても成功させてみせる。我が悲願を成就のために――」

 

浦太郎達は士と共に行動を続け、工場の奥にある秘密の研究施設へと足を踏み入れていた。

「えっと・・・士さん、でしたか? ここは一体何の施設なんですか?」

キャロが尋ねると、士はまるで何でもないことのように答える。

「ビラールのラボラトリー。最先端の遺伝子工学の研究施設だ」

「遺伝子工学?」

浦太郎とキャロは顔を見合わせる。士は淡々と続ける。

「クローン羊やバイオテクノロジーみたいなすげー技術を作り出せる。だが、こいつには結構やばい面もあってな・・・」

「どういうこと?」と、おもむろに問いかける浦太郎。

「細菌兵器や生物兵器の開発。それに遺伝子組み換えの人体実験」

「人体、実験?!」

キャロは驚愕の言葉に過剰に反応し、動揺を隠せない。

「中でもビラールが最も力を注いでるのが――こいつだ」

すると士は、ビラールが執念を燃やして研究しているエクリプスウィルスの実験部屋を指し示す。浦太郎とキャロはその光景に目を奪われた。

「これは一体・・・」

「そいつはエクリプスウィルスに感染した被験者サンプルの成れの果てだ。ビラールはエクリプスウィルスを使ってあるものを作り出そうとしている」

「あるもの?」

「エクリプスウィルスを他の人間に打ち込んだ強力な生体魔導兵器――【EC因子適合者(ドライバー)】を作り出し大量生産する。つまりは、それこそが奴の真のビジネスってわけだ」

「ビジネスだって?」

聞き捨てならない言葉に、浦太郎は疑念に満ちた声を上げる。

「軍隊にマフィア、テロ組織、はたまた警察。世界の国の四分の一は戦争してるんだ。需要は尽きないぜ」

「信じられません!」

「環境破壊だけに飽き足らず、裏でこんな恐ろしい研究をしていたなんて・・・・・・」

キャロは激昂し、浦太郎と共に驚愕と怒りを抑えきれない。

「一刻も早くこのことを六課に報告しましょう! ユーノ先生なら、もっと詳しく知っているかもしれません」

「ユーノだと?」

その時、キャロが口にした「ユーノ」という名前に士が反応する。

「おまえら・・・・・・あのフェレットの知り合いか?」

「え?」

「フェレット? という単語の意味はわかりませんが・・・。あなたはユーノ先生を知っているんですか?」

「説明してやってもいいが、その前にお客さんが来たようだ」

士がそう言った直後、ラボラトリーに侵入した浦太郎達を捕まえに、ビラールの送り込んだ部下がわらわらとやってきた。

「まずい!」

「早く逃げなきゃ!」

「慌てるなよ。どうせ逃げても無駄なんだ。ここはひとつ派手に暴れてやる」

士は不敵な笑みを浮かべながら、懐から数枚のカードを取り出し、発動させた。

 

「ネズミ一匹たりともここから逃がすな! 必ず息の根を止めるんだ!」

ビラールが無線で部下に指示を出していたその時、エレベーター内に突如として激しい振動が走った。

「なんだっ!?」

彼がエレベーターを降り立つと、目の前には爆発で炎上するラボラトリーの光景が広がっていた。

「キュクー!」

キャロの指示に従い、フリードが火炎弾を放ち、機材を次々に破壊している。士もまた、追手を振り切ろうとカードを次々に取り出し、投げ込むことで爆発を引き起こしている。

「フリード、それくらいでだいじょうぶ!」

「急ぐぞ!」

士は浦太郎とキャロを誘導しながら、混乱の中を駆け抜ける。二人も追撃を振り切ろうと必死だった。

「ふん・・・馬鹿め。私から逃げられると思うなよ。こういう時の為の秘策があるのだ」

ビラールは冷笑し、秘密兵器を投入する決断を下す。

 

「な、なに!?」

逃亡する三人の前に、突如として人型の殺人兵器が姿を現した。その異様な存在感に、キャロは息を呑む。

「ひょっとして、こいつら・・・!」

「ビラールの差し金だな」

浦太郎が冷静に状況を分析し、士に確認する。その時、ビラールの嘲笑が響き渡った。

《ハハハハハハハ、侵入者諸君!》

三人は立ち止まり、耳障りなビラールの言葉に耳を澄ます。

《よくも巨額を投じた我が社のラボラトリーを破壊してくれた。この罪は非常に重い。君たちのような極貧に弁済を期待する事は出来ないので、死を持って償ってもらうぞ》

ビラールの言葉が終わると同時に、エクリプスウィルスとアンゴルモアのエネルギーが注入された凶暴な生命魔導融合兵器・レナトゥスの赤い瞳が鋭く光り始める。その体は異様に強化され、筋肉が金属のように硬質化していた。キャロのケリュケイオンが鋭く反応する。

「浦太郎さん! 彼らからアンゴルモア反応を感知しました!」

浦太郎はその瞳を見据え、隣にいる士に問いかけた。

「あのさ、念のために聞くけど・・・あれは君が言ってたエクリプスによる生体魔導兵器【EC因子適合者(ドライバー)】だと思う?」

士は険しい表情を浮かべ、冷静に答えた。

「いや。あれはEC因子適合者(ドライバー)じゃない。もっとタチの悪い・・・・・・おそらく、実験で人としての理性を奪われた検体をお前らが捜してるアンゴルモアの力で無理矢理強化し操っているんだろう」

「なんてひどいことを!」

「キュクー!」

士の説明に、キャロとフリードは悲しみと怒りを露にする。

次の瞬間、レナトゥスが不気味な奇声を上げ、その巨大な腕を振りかざして襲いかかってきた。

三人は全速力でその場から退避する。浦太郎は素早くフィッシャーマンを取り出し、周囲に水流を発生させた。

「ドルフィンドライブ!」

浦太郎が放つ強力な水流が波濤と化す。そうしてレナトゥスを押し流し、距離を稼ぐことに成功する。

「やるじゃないか」

「伊達に陸のエース・オブ・エースと言われてないものだからね」

士は微笑みを浮かべて称賛するが、浦太郎は真剣な表情で答える。

「浦太郎さん、士さん、新手が来ます!」

その時、キャロが再び警告を発する。

押し流されたレナトゥスとは別の個体が、彼らの行く手を阻む。再び姿を現したビラールが、その後ろで不敵な笑みを浮かべていた。

「ふふふ・・・飛んで火にいる夏の虫というヤツだ。その頑張りは称賛に値するが、相手が悪かった。潔く投降すれば命だけは助けてやろう。私は寛大な男なのだよ」

「誰がおまえなんかの言うことを信じるもんか」

「あなたのしていることは立派な次元犯罪です! 管理局機動六課の一員として、あなたを逮捕します!」

浦太郎が冷たい視線を投げかける一方で、キャロが毅然とした態度でビラールを糾弾し、投降を呼びかける。

その宣言に対し、ビラールは冷笑を浮かべ、容赦なく言い放った。

「それは無理な話だ。私は逮捕されるわけにはいかないのだ。エクリプスウィルスの謎を解き明かし、私を追放した愚かなヴァンデイン・コーポレーションの連中に目にものを見せてやるのだ!」

ビラールは声高に叫び、手にしたアンゴルモアの容器を掲げた。

「「アンゴルモア!!」」

(ほう・・・あれがそうか)

浦太郎達は驚愕し、警戒を強めるが、その隣で士は興味深げに目を細める。

「さぁ、ショータイムの時間だ!!」

アンゴルモアの妖艶な輝きがラボラトリー全体を包み込む。その光を浴びたレナトゥスの体は一層凶暴化し、筋肉が隆起してより異様な姿へと変貌する。

「なははははは!!! 見給え、これが私の力ぁ!! エクリプスウィルスの病化能力は人の肉体をも作り変えるのだよ!!」

その狂気に満ちた言葉を聞きながらも、士は冷静に、そして静かに口を開いた。

「・・・・・・言いたいことはそれだけか?」

それまで沈黙を守っていた彼の言葉は、静けさの中に鋭い刃のような鋭さがあった。

士はゆっくりとビラールを見据え、不敵な笑みを浮かべながら語りかける。

「お前は自分には力があると思い込んでるようだが、そもそもお前に力を持つ資格などない。大いなる力にはそれ相応の責任が伴う。責任を取れない人間は、遅かれ早かれ必ず力に呑まれ破滅する」

「だ、黙れ!! さっきから聞いていれば・・・・・・なんなのだ、貴様は!?」

 ビラールが苛立ちを露わにしながら問いかけると、士はゆっくりとマゼンタ色のバックル《ネオディケイドドライバー》を取り出し、腰に装着する。瞬間、左側に『ライドブッカー』と呼ばれる専用ツールが出現し、彼はそこから一枚のカードを取り出して構えた。

士は冷静なままマゼンダ色の戦士の姿が描かれたカードを掲げ、ビラールに向かって凛とした表情を向ける。

「通りすがりの“仮面ライダー”だ。覚えておけ!」

士は静かに、しかし確信を持った声で宣言すると、手にしたカードをバックルに装填する。

 

「――変身!!」

 

 

カードが装填されると同時に、バックルが鮮やかに光り出し、低く響く音声が放たれる。

〈KAMENRIDE:DECADE〉

 士の身体がマゼンタ色のエネルギーに包まれ、一瞬でその姿を変える。身体全体を覆うマゼンタを基調とした装甲と、緑の複眼が輝き、バーコードを思わせる仮面が特徴的なその姿――仮面ライダーディケイドが誕生する。

士が仮面ライダーに変身を遂げると、居合わせた全員がその姿に驚きを隠せなくなる。

「あれは・・・・・・!」

「ちょっとちょっと、何がどうなってるのさ!?」

ディケイドはライドブッカーを手に取ると、瞬時に走り出し、敵であるレナトゥス達に向かって突進する。

ライドブッカーがソード形態へと変化させ、力強く剣を振り下ろす。ディケイドの剣捌きは的確で、一体、また一体とレナトゥスの装甲を切り裂いていく。

その時、背後からレナトゥスの一体が剣を振り下ろそうと接近するのをキャロが見つけ、叫ぶ。

「士さん!!」

だが、ディケイドは振り向くことなく、ライドブッカーから素早くカードを取り出し、ディケイドライバーに装填する。

〈ATTACKRIDE:BLAST〉

 ソード形態が瞬時に銃形態へと変わり、ディケイドは迷いなくトリガーを引く。銃口から放たれた弾丸が次々とレナトゥスの体を貫き、肉体を傷つけた。その一撃により、攻撃を中断せざるを得なくなったレナトゥスは怯む。

「あのカードの入った箱・・・銃にも剣にもなるんだ」

「すごいです・・・!」

 エース級魔導師宛らに華麗に敵を制圧するディケイドの予想外の力に、浦太郎達は終始圧倒される。

「な、何をしているのだこの役立たず共!! たかがネズミ一匹、さっさと蹴散らせ!!」

ディケイドは徐々にレナトゥス達を追い詰めていくが、ビラールは露骨に苛立ち、激しくいきり立つ。

「ふん・・・力を持つ者と持たざる者。格の違いを見せてやる」

 そう言いながら、ディケイドは冷静に戦局を見極めると、ライドブッカーから新たなカードを取り出し、ネオディケイドライバーに装填した。

〈KAMEN RIDE:BUILD〉

バックルにカードがセットされると、レンズに別の並行世界で活躍する仮面ライダーを象徴するエンブレムが表示され、音声が力強く響く。

〈鋼のムーンサルト! ラビットタンク!〉

瞬時にディケイドの装甲が変化し、体が青と赤の二色に分かれた戦士――仮面ライダービルドの姿へと変わっていく。変身エフェクトが回転するギアのように展開し、そのエネルギーがディケイドの体に吸い込まれていくように収束する。装甲が一体化するたびに、ビルドのフォルムが完成していき、最終的にラビットタンクフォームが現れる。

「姿が変わった!」

「どうなってるんでしょう?」

キャロと浦太郎が驚愕する中、士はビルドの姿になったまま、落ち着いた様子で周囲を見渡し、手に専用武器『ドリルクラッシャー』を握る。

ビラールが驚愕の表情を浮かべる中、ディケイドビルドはドリルクラッシャーを起動させ、敵のレナトゥスに対して勢いよく突進した。ドリル部分が激しく回転し、火花を散らしながら敵の装甲を破壊する。

次々とレナトゥス達に打撃を加え、間隙を突いて必殺技の準備を進める。ライドブッカーにもう一枚のカードを装填する。

〈FINAL ATTACK RIDE BUI、BUI、BUI、BUILD〉

カードが起動されると、ディケイドビルドはドリルクラッシャーを地面に突き刺し、ドリルの力で地面を深く掘り進む。

刹那、地面から飛び上がり、猛烈な勢いで跳躍するディケイドビルドは、右脚にエネルギーを集中させ、放物線を描くように空中で加速。ドリルの先端にライダーキックのエネルギーが集まり、レナトゥス達をまとめて貫いた。

「な、なんだこの力は!?」

レナトゥス達はディケイドビルドの圧倒的なパワーに倒され、ビラールは言葉を失う。

「ば・・・バカな・・・!! 私の芸術品が・・・貴様ら下等な人間になど・・・!!」

「もう諦めろ。お前に勝ち目はない」

冷ややかに言い放ち、ビルドの姿から再びディケイドの姿に戻る。その間に浦太郎とキャロ、そしてフリードがビラールに視線を向け、次の行動に備える。

「ふふ・・・ふははははははは!! まだだ!! 貴様らを生かして帰すつもりなど元よりない!! 私と共に地獄へ道連れだぁ!!」

すると自棄になったビラールが懐から取り出したのは、何かの起動スイッチの様なものだった。彼がボタンを押そうとするその瞬間、背後の巨大モニターには、宇宙空間に浮かぶ衛星兵器の姿が映し出された。

「あれは・・・!」

「何をするつもりなんだ?」

ビラールは狂ったように笑い、起動スイッチを見せつける。

「はははは、驚いたか。これは忌まわしきヴァンデイン・コーポレーションを解雇された際にエクリプスと共に持ち出した衛星兵器《ZEAL(ジール)》だ!! この起動スイッチを押せば、宇宙より死の雨が降り注ぐ!!」

「そ、そんな・・・!」

「馬鹿な真似をやめるんだ!」

キャロと浦太郎の間に緊張が走る中、ディケイドは冷静に対峙しながら、ライドブッカーの刀身を軽く指でなぞり、決意を込めて言う。

「自棄を起こす前に俺がそのスイッチをぶっ壊す」

「もう遅い!! 死ねぇぇ!!」

ビラールは士の行動を待たずに、起動スイッチを力強く押し込んだ。

しかし、衛星兵器は反応せず、モニターには静止したままの映像が映っているだけだった。焦りと困惑がビラールの顔に浮かぶ。

「な、なぜだ!? なぜ作動しない!!」

「プログラムを改変しているからね。そのスイッチは最早何の役にも立たない飾りだよ」

その時、足音が静かに響き、六課のメンバーが現れる。先頭にはユーノが立ち、冷静な面持ちでビラールを見つめている。

「「店長(ユーノ先生)!!」」

「ほう・・・・・・」

キャロと浦太郎が喜びの声を上げ、ディケイドもユーノの登場を確認すると、ライドブッカーを静かに納める。

「馬鹿な、プログラムを改変しただと!? そんなことがこの短時間に出来る訳が――」

「それが出来るからここにいるんだけどね。僭越ながら、天才魔工技師【アニュラス・ジェイド】の二つ名を持っているんだ」

ユーノは冷静に告げた後、なのは達がビラールに向かって進む。

「ベルナルド・ビラール、次元法違反の容疑で逮捕します!」

ビラールは抵抗する間もなく、なのは達に拘束され、そのまま敢え無く逮捕された。彼の野望は呆気ない幕引きを迎えることとなった。

 

戦いが終結し、ビラールは拘束され、彼が持ち込んだアンゴルモアも無事に回収されることとなった。工場の取り壊しも決定し、村は元の姿を取り戻す準備が進んでいく。

浦太郎とキャロは、現地で助けてくれたキュリオに別れの挨拶をしながら、今後のことについて尋ねる。

「キュリオさん。これからどうしますか?」

「これまで通りじゃよ。ワシはワシにできることでこの村が良くなるように努める」

浦太郎は工場での便利な生活に慣れてしまった村人達が、元の生活に戻ることが容易でないことを懸念している。

「とはいえ、便利な生活に慣れた人間がそう簡単に元の生活に戻れるって言う保証もありませんが・・・・・・」

キュリオは柔和な表情を浮かべ、静かに答える。

「たしかに、最初は不便さを感じるかもしれぬな。だが・・・ワシらは元々無いものは無いものと割り切って、それでも不便さを楽しんで生きておったのじゃ。それもまた直に慣れる」

その言葉に、浦太郎とキャロ、そしてフリードも微笑み、前向きな気持ちで別れを告げる。

 

士は一方で、現地に駆けつけたユーノと数年ぶりの再会を果たす。

「やはりあなたでしたか。士さん」

「あぁ。久しぶりだな」

その様子を傍で見守るなのは達も、士とユーノの関係に気づく。

「ユーノ先生の知り合い・・・なんでしょうか?」

「みたいだよ。私たちも詳しくはわからないけど」

ユーノは士と積もる話をしながら、彼の旅のことを尋ねる。

「相変わらずいろんな世界を旅しているようですね」

「おまえとは『グゼッツ』の一件以来だな」

「ええ・・・・・・あのときはいろいろ大変でしたね。ま、そういう面倒ごとに好むと好まざるとに関わらず、あなたは自ら関わっていくんでしょうけど」

「おまえにだけは言われたくねーよ。とりあえず、ここでの俺の役目は果たした。先に行かせてもらうぜ」

一切の未練など無さそうに背を向け、士がこの世界から立ち去ろうとしたその時、ユーノが問いかける。

「まだ旅を続けるんですか?」

「俺たちはいつでも旅の途中だ。またどこかで出会ったら――そんときは一緒に戦おう。翡翠の魔導死神」

言うと、士は灰色のカーテンの向こう側へと歩き出し、去っていく前にふと立ち止まり、ユーノにカードを数枚投げ渡す。

「ユーノ」

ユーノは投擲された五枚のカードをまじまじと見つめる。

「行き掛けの駄賃だ。どう使うかはお前で決めろ」

ユーノは少し驚いた表情を見せるが、士の真剣な眼差しを受け、頷く。

「それと――」

さらに士はもう一言、意味深な言葉を残す。

「自分を追い込み過ぎるな。今のおまえは、空になった器に無理矢理やるべきことを入れてどうにか正気を保ってる感じだからな」

「士さん・・・・・・」

それを聞いたユーノは少し考え込むような表情を浮かべるが、士は微笑み、背を向けながら手を振り、灰色のカーテンの向こう側へと消えていく。

やがて浦太郎とキャロがユーノに近づき、問いかける。

「店長。彼はいったい何者なんですか?」

「仮面ライダー、と言っていましたけど?」

彼はカードをしばし見つめた後、穏やかな微笑みを浮かべて言葉を紡ぐ。

「あの人はね、時に人は彼を“悪魔”や“破壊者”と呼ぶが、僕は敢えてこう言いたい」

 

「“英雄(ヒーロー)”と――」

 

その言葉と共に、彼の手には五枚のライダーカードが輝いていた。

 

           *

 

第1管理世界「ミッドチルダ」

ヴァンデイン・コーポレーション 第四工場島

 

「御宅が解雇した人間が秘密裏にエクリプスウィルスに関するデータを盗み出していたとは意外ですね。それとも、初めからこうなる事を予期していたんですか・・・・・・ハーディス・ヴァンデイン専務」

白い詰襟制服を纏った男、加頭順が冷静な声で問いかける。彼の抑揚のない喋り方には、まるで感情の欠片も見えない。

「やだなー。私はあなたが思うほど計算高く立ち回ってるわけじゃない。データを盗み出されたのは完全に私の失敗だよ。だが、その失敗のお陰で思わぬ成果を得られた。『エクリプス』の研究が我が社にとって重要な項目である事は間違いないのだから」

ハーディスは、爽やかな笑みを浮かべると、さりげなく銃剣型のアイテム――レプリカのディバイダーを手に取り、ソファーに腰を下ろしながら流暢に語りながら軽く振るう。その動作には、どこか優雅さと余裕が漂っていた。

「次代を担うクリーンエネルギー、新時代の灯火になりうる可能性を秘めているんだ。その運用ノウハウはなんとしても手に入れてみせる。うまくやれば特許と機密独占でどれだけ会社の利益になるか――おっと。あなた方にとってもでしたね。加頭さん」

ハーディスは微笑を浮かべ、相手の目をしっかりと捉えながら言葉を続けた。

「ええ。くれぐれも我々のことを蔑ろにしないでいただきますよう願います。一円の利益にもならないビジネスに死に金を投資をするほど馬鹿気たことはありません。くれぐれも失望させないでください」

加頭は冷淡な口調で釘を刺すように言い、微動だにしない瞳でハーディスを見据えた。

 

 

 

 

 

 

参照・参考文献

原作:都築真紀 作画:緋賀ゆかり『魔法戦記リリカルなのはForce 4巻』 (角川書店・2011年)

 

用語解説

※1 アブストラクト=学術論文や科学論文において要約部分のことを指す。

 

 

 

教えて、ユーノ先生!

 

ユ「今日は仮面ライダーディケイドについてだよ♪」

「ディケイドとはラテン語で10を意味し、英語では10年間を表す」

「今回、このディケイドに変身した門矢士さんは、僕とはちょっとした仲でね・・・たまに連絡を取り合って情報交換したりしてるんだ♪」

「本編を見ていれば分かったと思うけど、基本誰に対してもため口で高飛車な性格だけど、クロノと違って根は凄くいい人だから僕も嫌いじゃないんだ♪」

 と、そのとき。聞き捨てならないと言わんばかりにクロノが飛び出してきた。

ク「おい!! その言い方だと、君は僕が大嫌いと言ってるように聞こえるんだが!?」

ユ「イヤだな♪ 大嫌いだなんて思ってもいないよ・・・・・・死ぬほど嫌いなんだよ♪」

ク「貴様ぁぁ!!!! もう我慢の限界だ!!!! 僕の怒りはマックスだ!!」

思わず激怒したクロノはデュランダルを起動させ、ユーノ目掛けて魔力弾を放つ。

ユーノは、飛んでくる魔力弾を華麗に避けながらクロノの攻撃をあしらう。

ユ「ほらほら、こっちだこっち♪ ここまでおいて中年腹黒男♪」

ク「待て貴様ぁ!!! 今日という今日は絶対に許さないからな!!!」

士「何だかんだ言っても・・・お前らって仲良しだよな・・・」

 と、二人の関係を見ていた士は皆が言わんとしている事を代弁した。

 

 

 

魔導師図鑑ハイパー!

 

白鳥が機動六課で働き始めて間もない頃のとある日の日常――

白「おや?」

 辿り着いたのは給湯室。どうやら行きたい部屋を間違えたらしい白鳥にギンガがクスクスと笑う。

ギ「白鳥さん。ここは給湯室ですよ」

白「うむ、そうか・・・すまない。間違えてしまったようだ」

 二人は歩きながら他愛ない話をする。

白「どうにも慣れんな。まだどこに何があるか把握し切れん」

ギ「仕方ないですよ。尸魂界(ソウル・ソサエティ)とミッドとじゃ、勝手も違いますから」

恋「全くだぜ」。

すると、そんな二人の前に恋次が不意に現れた。

恋「いやー・・・俺もさっき迷っちまってな。入り込んだ場所が女子寮の更衣室だったんだ・・・そしたらそこにシグナムが居てよ」

 その際、恋次はこの世のものとも思えない罰をシグナムから受けた。

結果として、顔面崩壊寸でのところまで殴り倒され、痣だらけになってしまった。

恋「いや~~~ほんと死ぬかと思ったぜ!!」

 笑っている恋次だったが、それを見ている二人は冷や汗をかく。

恋「あ? どうしたんだよ?」

ギ「い、いえ・・・」

白「阿散井隊長は単に・・・馬鹿なのではないか?」




登場人物
ベルナルド・ビラール
声:石井康嗣
新興の重工業メーカー・ロンバルト重工の社長。オーダーの地に「ミラージュ・ファクトリー」という巨大工場を建設し実質上オーダーを支配していた。無知な村人を言葉巧みに洗脳し、表向きは便利グッズを作るという名目で働かせる一方、工場の裏側に秘密裏に造られたラボラトリーでは、クローン技術などの最新鋭バイオテクノロジーを利用した生物兵器で荒稼ぎを目論む死の商人。
元々はヴァンデイン・コーポレーションの幹部だったが、インサイダー疑惑で解雇された。その際にエクリプスウィルスと衛星兵器ZEALに関するデータを持ち出しており、ラボラトリーでは持ち出したエクリプスウィルスを独自研究し、いつどこで手に入れたかは不明だがアンゴルモアの力を利用する事で人造兵器レナトゥスの製造に成功。万が一、工場内の情報が外部に漏れ出てしまった時に備えてZEALを軌道上に配置しておくなど用意周到な面も覗かせる。
ラボラトリーに侵入してきた、浦太郎とキャロ、士を抹殺すべくレナトゥスを使い排除へ乗り出すが、仮面ライダーディケイドに変身した士と浦太郎達のコンビネーションに次第に圧倒されてしまう。その後、勝ち目がないと踏んで衛星兵器ZEALで自分ごと浦太郎達を殺そうとするが、ユーノによりZEALの攻撃プログラムを改変されていたため、攻撃は失敗に終わり、駆けつけた六課メンバーによって逮捕される。
キュリオ
声:長嶝高士
村で唯一の診療所を経営する老医者。
村一番の知識人で人柄も誠実なため村人からも慕われるが、ロンバルト重工の進出によって環境破壊を招く結果となってしまった事態を内心悔やんでいる。



登場AM体
レナトゥス/AM-08
ベルナルド・ビラールによって造り出された生命魔導融合兵器であり、アンゴルモアモンスター。
元々はロンバルト重工人体覚醒部の研究員だったが、ビラールのために、自分で自分の身体を改造した。理性は失っており、ビラールの命令のみに従っている。ヴァンデイン・コーポレーションから持ち出したエクリプスウィルスが持つ「病化」の特性をアンゴルモアのエネルギーを注入する事で強化されており、そのお陰で重火器による攻撃を受けてもビクともしない強靭な筋力と関節を増殖することで、腕を伸ばせる。浦太郎達を始末すべく襲撃をしたが、仮面ライダーディケイドビルドフォームに変身した士の攻撃受けて敗北する。
名前の由来は、「生まれ変わる、再生する (reborn)」を意味する("natos"は生まれるの意)、ラテン語が起源の名前から。
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