ユーノ・スクライア外伝   作:重要大事

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第45話「破壊王キラム」

一か月前――

第1管理世界「ミッドチルダ」

ミッドチルダ中央南駐屯地内A73区画

機動六課 ミッドチルダ地上隊舎 アドバイザー室

 

スプールスでの任務を終えたキャロが、エカテリーナの魂が変質した宝玉を手に、アドバイザー室を訪れた。その手の中に収められた輝きは、不思議なほど静けさを宿しながらも、どこか神聖な威厳を感じさせる。

「それは君が持っているといい」

ユーノは柔らかな口調で告げる。その言葉にキャロは目を瞬かせた。

「私が?」

驚きに満ちた声で問い返す彼女の(てのひら)には、エカテリーナの変容した宝玉が確かな存在感を放っていた。ユーノはその姿を見つめ、微笑を浮かべながら続ける。

「エカテリーナの魂はキャロが救ったんだよ。彼女もきっと、君と一緒にいることを望んでいると思う」

その言葉には、エカテリーナの意志を汲み取るかのような確信があった。キャロはその意図を受け止め、短く息を整えると、静かに頷いた。

「――・・・わかりました」

その声には、竜召喚使としての責務と覚悟が宿る。彼女は意志を新たに、フリードやヴォルテールと共にエカテリーナを見守ることを誓った。

部屋を後にするキャロの背中を見送り、ユーノは窓の外へ視線を移す。沈みゆく夕陽が刻む柔らかな輪郭を見つめながら、彼は低く呟いた。

(ほどこ)せし情は人の為ならず、己が心の(なぐさ)めと知れ。(われ)人にかけし恵は忘れても、人の恩をば長く(わす)るな――・・・・・・どうか、彼女から受けた恩を失念しないでほしい。偉大なる氷龍帝よ」

祈りにも似た言葉は、彼自身の内側に響き、静かに空へと溶けていった。そして、この願いがのちに通じることとなるのは、まだ誰も知らぬ未来の話である。

 

           ≒

 

新歴079年 8月6日

第24管理外世界「パスタル」

時空管理局LS級艦船「ヴォルフラム」

 

ユーノ達と合流した恋次とルキアはヴォルフラムに帰還し、これまでの経緯を詳細に報告した。その中で、六課メンバーの関心は自然と彼らと同行していた現地人ウンパに向けられる。

「この子がそうなんですか?」

「あぁ。ウンパっつーんだと」

恋次が簡潔に説明する間も、ウンパは初めて目にする異質な空間と六課メンバーに圧倒されている様子だった。目を泳がせ、怯えたようにルキアの後ろに隠れるその姿は、幼さゆえの警戒心を顕著に映し出していた。

「はじめまして、私はフェイト。よろしくね」

「同じくキャロです」

子供好きなフェイトとキャロは微笑みながら身を屈めて挨拶をするが、ウンパは依然として緊張を解こうとはしない。ルキアの背中から離れず、その目にはまだ不安の色が残っていた。

「大丈夫だ、ウンパ。皆、お前たちのために戦ってくれる頼もしい仲間だ」

ルキアが柔らかい声で安心させるように言葉をかける。その響きに導かれるように、ウンパはおずおずと顔を出し、再び六課メンバーを見上げた。彼らの表情に敵意がないと察したのか、小さく頷いて見せる。

やがて、ウンパを交えた議論が始まる。ユーノは恋次とルキアから得た情報を元に、自らの考察を展開した。

「なるほど。レムリアの民が忌避する破壊の象徴、キラムという存在がAM体である可能性は極めて高いですね。そして僕らを襲った例の翼竜型モンスターや植物ですが・・・これまでの話を統括した上で、ひとつの仮説を立てました」

「なんだよ?」

恋次が身を乗り出して問いかける。ユーノは落ち着いた口調で、冷静に推論を続けた。

「動物から植物、虫に至るまであらゆる生物が何らかの形で類似の特性を示していたんです。この事実から、彼らは互いに類縁関係にあると推理できます」

「類縁? あのバケモノみんな同じ仲間だってことなのか!?」

恋次の驚きに満ちた声に、ユーノは頷き、さらなる根拠を挙げた。

「強い生命体の形質を模倣し、自らを生き残らせる戦略・・・・・・つまり『擬態』ですが、最早それすら通り越して、同質化しようとしています。おそらく地上の生物は、ことごとくある生物の軍門に下ったんです。その生物は、この世界における生態ピラミッドの頂点に君臨し、レムリアの民が最も恐れる存在と同じではないかと」

「それがキラム、ですか・・・・・・」

ルキアはおもむろにユーノの言葉を繋ぐ。その声に含まれる重みが、周囲の緊張感をさらに引き締めた。

「ええ。つまり、あのバケモノ達はキラムの配下に位置づけられる存在です。敢えて呼称するなら“セルヴァム”ってところですかね」

ユーノは冷静な声で、キラムの隷属者達に名称を与えた。

 

ビービービー!

その時、警報の音が艦内に響き渡る。

「なんだ!?」

「火事か? それとも泥棒か?」

冗談めかした鬼太郎の言葉に重なるように、管制室のモニターが点灯し、アルトの切迫した表情が映し出される。

『2時の方角より、大量の未確認反応を捕捉しました!』

映像が切り替わると、群れを成して飛来するセルヴァムの姿が映し出された。

「セルヴァムか!?」

「気持ち悪いくらい、うじゃうじゃいるんだけど・・・!」

浦太郎の率直な感想を遮るように、地響きが艦全体を震わせた。

「きゃ!」

「凄い揺れです!」

「今度は地震か!?」

振動が収まる間もなく、シャリオが通信を通じて告げる。

『違います! 波形チェック・・・この大きさ、このエネルギー量、AM-13です!』

その言葉に艦内の空気が一瞬にして張り詰めた。

「キラム・・・!!」

ウンパが恐怖に駆られたようにその名を呟き、次の瞬間、森の奥で木々をなぎ倒す音が響き渡る。ヴォルフラムのモニターに映し出されたのは、七つの首を持つ巨大なAM-13――巨大生物【キラム】の圧倒的な姿だった。

「あれがキラムなのか?」

「探す手間が省けたってもんだぜ! にしても、デカすぎだろ!?」

恋次の驚愕をよそに、キラムは七つの咆哮を重ね、衝撃波を放つ。その影響でヴォルフラムの通信機器が次々と故障し、モニターに映る映像も乱れ、消えた。

「おい、どうしたんだ!?」

「何も映らないである、どういうことだ?」

『わかりません! あの咆哮音が起こった途端に・・・・・・』

困惑するアルトの声を受け、ユーノが冷静に解析結果を告げた。

「EMPだ! 強力な電磁パルスだよ。あのキラムが発する咆哮がそれを作りだしてる!」

「なるほど、まさに怪物の親玉と言ったところだな」

「ジャガンノート戦以来の厄介な敵になりそうだな」

その時だった。シャリオが別のセンサーから新たな警告を発した。

『大変です! 森の中から地上タイプのセルヴァムが多数行進して来ています!』

はやてが険しい表情で全員を見渡し、号令をかける。

「機動六課前線メンバー、戦闘配置や! セルヴァムの群れを殲滅し、AM-13を迎え撃つんや!」

「「「「「「「「「「了解(おう)(うん)(承知)!」」」」」」」」」」

緊張が一気に高まる中、ルキアが一歩前に出た。

「待ってくれ」

彼女の言葉に全員の視線が集まる。

「地上のセルヴァムは私に任せてほしい」

「ルキアさん!? ですが、あれだけの数を一人では・・・」

「無茶ですよ!」

ルキアは周囲の懸念を意に介さず、迷惑をかけたことへの責任感を込めて強く訴えた。

「初めての異世界任務で出鼻を挫かれ皆に迷惑をかけてしまった。ここらで汚名返上とさせてほしい」

その気迫に押されつつも、恋次が気遣うように言葉を投げかける。

「やれるのかよ? なんなら、俺が手伝ってやってもいいぜ」

その言葉を受けたルキアは、一瞬呆れたように溜息を吐き、毅然とした声で応じた。

「案ずるな。貴様の力を借りずとも対処できる。これでも霊王護神大戦で生き残った、現役の副隊長だからな」

「ルキ・・・ア・・・」

ウンパが不安げな顔でルキアを見上げた。彼女は彼の頭に優しく手を置き、穏やかな微笑みを浮かべた。

「大丈夫だ。お前達の生活を脅かす敵は我々が倒す」

そのままユーノに向き直り、出陣を求める。

「ユーノ殿。ハッチを開けてください」

「了解しました。ついでに、あなたの限定霊印の解除も行っておきます」

「はい、ありがございます!」

ルキアは深々と頭を下げ、開かれたハッチから地上へと降下した。彼女を見送る六課メンバーの中で、不安の声が漏れる。

「ルキアさん・・・だいじょうぶかな?」

「相手は未知の存在。やっぱりここは私も――」

「・・・止めとけ」

すると、フェイトの言葉を制したのは恋次だった。

「戦場での命の気遣いは戦士にとって侮辱だぜ」

「ですが!」

「あいつはお前らに護られる為に異世界へ来た訳じゃない。俺も含めてな」

「阿散井君・・・・・・」

恋次が発する言葉の響きが、戦場に立つ者の覚悟と信念を鮮烈に刻み込む。吉良の胸には、揺るぎなき信頼と誇り高き決意が、まるで鋼の刃のように鮮やかに映った。

「よく見てろよお前ら。現役の護廷十三隊上位席官の実力をな――」

 

しばらくして、ワーム型セルヴァムの前に立ったルキア。夥しい数のセルヴァムを前に、静かに斬魄刀を鞘から引き抜く。その一動作は、()いだ水面に一滴の波紋を広げるかの如く、戦場に凛然とした緊張感を与えた。

「お前達に恨みは無いが――異世界での任務、初陣を飾らせてもらおう」

言葉を放つや、ルキアは解号を静かに唱えた。

 

――「()え 『(そでの)白雪(しらゆき)』」――

 

口上の瞬間――刀身、鍔、柄に至る全てが純白の輝きに包まれ、その冷ややかな威容は戦場を一瞬にして支配した。柄頭から伸びる長い帯が風に揺れ、彼女の気迫をさらに際立たせる。

ヴォルフラムのモニター越しに映るその光景に、六課のメンバーは言葉を失う。始解した斬魄刀の神秘的な美しさは、彼らの視線を完全に捉えた。

「あれは!」

「ルキアさんの斬魄刀解放・・・!?」

「白くてキレイやわー」

その純白の刃は、美しさだけでなく、明確な威圧感をも兼ね備えていた。ユーノはその映像に目を凝らしつつ、脳内で事前に得た斬魄刀の情報を整理し始める。

(袖白雪――・・・氷雪系の斬魄刀にして、刃・鍔・柄に至るまで全てが純白。現在、尸魂界(ソウル・ソサエティ)において最も美しいと言われている。能力こそ同じ氷雪系最強の斬魄刀である十番隊・日番谷隊長の持つ『氷輪丸(ひょうりんまる)』には及ばないものの、かの霊王護神大戦で滅却師(クインシー)達の侵攻を食い止めたその実力、じっくり見させて頂きます)

 

数体のセルヴァムを目の当たりにし、ルキアは躊躇なく袖白雪の力を解放する。

(そめ)(まい)・『(つき)(しろ)』」

彼女が描いた円の中で天地は凍てつき、ワーム型セルヴァムの巨体は忽ち白銀の氷柱へと変わり果てた。その刹那、氷は細かな粒子となって崩れ去り、跡形もなく消失する。

「すごーい!! あいつら一瞬で凍らせちゃった!!」

「まだだ。あいつの力はこんなもんじゃねぇ」

スバルの驚嘆に対し、恋次は微かに口元を歪め、ルキアの実力の底知れなさを示唆した。夥しい数のセルヴァムが一斉に牙を剥き、襲い掛かってくる。

ルキアは瞬歩で華麗に間合いを外し、冷静に距離を取ると、四方の地に刀を突き立てた。

(つぎ)(まい)・『(はく)(れん)』」

凍気の奔流が雪崩のように敵を飲み込み、群れをなしていたセルヴァムは全て氷塊と化した。その壮絶な光景にモニター越しの六課メンバーも、ただ見入るばかりだった。

「あれだけの数を一人で・・・・・・」

「これがルキアさんの実力! 現役の副隊長の力!」

その確かな力に触れ、ユーノは僅かに表情を和らげると、周囲のメンバーに声をかけた。

「さぁ、彼女の実力はよく解かった筈だ。僕らはあっちの方を何とかしようか」

短く的確な指示を受け、六課のメンバーは翼竜型セルヴァムとAM-13ことキラムを討伐すべく動き出した。

 

パスタルの大地を支配する破壊の王。その名はキラム――この生物がいかにして誕生し、なぜこの星に君臨するようになったのか、詳細は一切の謎に包まれている。しかし、一つだけ確かなことがある。それは、この生物の存在がパスタルにおける生態系のヒエラルキーを根底から覆したという事実だ。全ての生物はこの巨躯に屈伏し、その隷属となることでのみ命を長らえることができた。

その規格外の存在に挑むべく、六課の前線メンバーはヴォルフラムから出撃、それぞれの配置についた。

まさに動く要塞そのもの――その堅牢な外殻と絶大な火力を備えたキラムを前に、阿散井恋次は思わずその場に立ち尽くす。見上げるだけで圧倒される巨体が、想像を絶する質量と威圧感を纏っている。

「近くで見るとさらにデカいな・・・・・・こいつ、動いているのか」

 彼の呟きは、チーム全体の心境を代弁しているかのようだった。誰もが心中で同じ疑念を抱いていたに違いない。目の前に聳え立つその巨体は、小高い丘にも匹敵する。そして確かに動いている――まるで一つの生物という概念すら超越した、動く大地のように。

過去に対峙したギリアンを素体とした魔導虚(ホロウロギア)【メノスグランデ・エンカルナシオン】、クラナガンと一体化した【ジャガンノート】。それらと肩を並べる、あるいは凌駕する規模の敵をどう攻略するべきか。死神である恋次ですら、目の前の存在を前にして内心の動揺を隠せない。

刹那、キラムの七つの首のうち一つが恋次を捉えた。

耳を切り裂く風の音。口が僅かに開かれ、内部から何かが爆ぜるような音が響き始める。

――マズい!

本能が即座に警鐘を鳴らした。防御や回避という考えを挟む間もなく、恋次は己の声を張り上げる。

「下がれおまえら!!! 今すぐにだッ!!!」

 声に反応するように、百戦錬磨の仲間たちは瞬時に散開。恋次自身も空を蹴り、咄嗟の回避行動を取る。その直後、キラムが咆哮を上げた。

その咆哮は、周囲の大気すら震わせ、目に見えない波動となって押し寄せる。まるで大気そのものが白く染まり、視界が瞬間的に奪われたかのようだった。

「っ・・・・・・!」

「目が・・・・・・!」

 刺すような眩しさが視覚を遮り、雷鳴にも似た轟音が辺りを縦横無尽に駆け巡る。その圧倒的な力に、恋次は自分がどこまで抗えるのか、冷静さを失いかける。

「っ、なんだ、今のは・・・・・・!」

「雷?」

絶縁体であるはずの大地にすら電流が走ったようだ。直撃していればどうなっていたか――その答えを想像するだけで、汗が背筋を伝う。

キラムは七つの首を振りかざし、次なる獲物を探しているかのようだった。その動きには知性と意思が垣間見える。各々の首が独立しているかに見えながら、全体として一つの生命体としての統制を見せていた。

「連携を取るしかないか・・・・・・」

恋次は吉良へ視線を送る。吉良は無言で首を振った。

(――だろうな。さすがの俺も、今回ばかりはスタンドアロンであれを斃すのは厳しいだろうな)

 キラムの巨体を見上げながら、恋次はその圧倒的な存在感に気負いそうになる。これまで幾多の戦場を潜り抜けてきた彼ですら、一瞬の躊躇いを生むほどだった。七つの首がそれぞれ独立した動きを見せながらも、一つの目標に向けて一糸乱れぬ統率を見せる。その姿はまるで生きた砦のようだ。

一方、吉良は斬魄刀「侘助」を握りしめながらキラムとの間合いを慎重に測っていた。始解の能力で相手の重さを倍増させる術は、これまで数多の戦闘で彼を勝利へと導いてきた。だが、この敵に対して同じ手が通用するとは限らない。

(あのキラムという怪物の装甲がどの程度か分からない。安易に近づいたとして、あの七つある首がどう反応するか・・・・・・)

吉良の脳裏には、一手の誤りが戦局全体を崩壊させる光景が一瞬で過ぎった。その時、彼の耳にフェイトの声が響いた。

「怯まないで下さい!」

 呆然と立ち尽くす吉良や恋次の横を、風を切るようにフェイトが滑空していく。彼女のバリアジャケットが鋭い速度で舞い、キラムとの距離を詰めていった。

「あの首は間違いなく連携を取っとる! 情報精査の隙を与えたらあかん、確実にこっちが圧されてまう!」

 リインとのユニゾンを完了させたはやてが叫び、全員に喝を入れる。

「たしかにな」恋次もその指摘に同意した。

自分達がいかに力を尽くそうと、これは「個」の戦いではない。全員が連携し、総力を挙げて挑まなければ、勝機は掴めない。六課メンバーだけでなく、スクライア商店の仲間達も動き始める。フェイトを援護すべく、それぞれが動き出した。

「奴は図体がデカい分、小回りが効かねえ! ということは、予備動作もデカい! 目を逸らすな!」

「はい!」

恋次の注意喚起が全員の士気を奮い立たせる。フェイトは即座にバリアジャケットを換装し、動きやすさを重視した軽装備に切り替えた。そのままキラムの懐に飛び込むべく一直線に突進を開始する。

キラムに隷属する翼竜型セルヴァムが、高速でフェイトを狙い接近してくる。彼らは王を護るための防衛ラインを形成し、フェイトの突撃を阻むつもりのようだった。

「フェイト隊長に少しでも時間を!」

「あの小煩いハエは僕らがぜんぶ撃ち落とすよ」

 なのはと浦太郎が飛行魔法を駆使してセルヴァムに接近し、援護砲撃を開始。翼竜型セルヴァムに向けて容赦なく魔力を放つ。

「クロスファイアー・・・シューット!!!」

「フリード、ブラストレイ! ファイアー!」

ティアナとキャロも協力して砲撃を加え、セルヴァムの数を減らしキラムの動作を少しでも妨害しようと努める。

キラムの動きは緩慢だったが、存在感は圧倒的だった。その巨体ゆえに「狙いを外す方が難しい」という現実が、かえって畏怖を掻き立てる。なのは達はフェイトの一撃に全てを託し、祈るように援護を続けた。

「今だよ、フェイトちゃん!」

「フェイトさん、頼みます!」

 フェイトはザンバーモードを全開にし、防御を捨ててキラムの首に飛び込んだ。その刃が装甲に深々と食い込み、さらなる力を加えることで確実に押し込んでいく。

(いける――このまま頭部を!)

刃が押し込まれる感覚に確信を持つフェイトだったが、不意に耳を劈くような悲鳴が聞こえた。

「フェイトちゃん!!」

その瞬間、別の首がしなりを上げ、フェイトに狙いを定めて放たれた攻撃が直撃。フェイトの体は宙を舞い、激しい衝撃で吹き飛ばされた。

「フェイトーっ!」

 間一髪でクロノが滑り込み、フェイトの身体を受け止める。その衝撃は、鍛え抜かれた彼の肉体にも容赦なく重みを与えた。後方へじりじりと押し戻されるほどの勢いだ。吹き飛ばされたフェイトがまともに衝撃を受けていれば、一体どうなっていたのか――考えるだけで身震いする思いだった。クロノが腕に抱えた彼女に声を掛けると、そこへシャマルが駆け寄った。

「フェイトちゃんは!?」

「脈はしっかりある。一時的に意識を失っているだけだろう」

「大丈夫です、すぐに治療を・・・・・・」

シャマルが癒しの手をフェイトに向けようとした瞬間、得体の知れない悪寒が彼女の背筋を駆け上がった。

キラムの視線。その複数の首が、確かにこちらを見据えている。まるで彼女の行為を監視し、判断しているかのようだった。

「ま、さか・・・・・・」

彼女の胸を冷やす戦慄。それは、敵がただの怪生物ではないと認識させるに十分だった。シャマルは自分の能力が戦局を左右することを知っていた――回復の要である自分が失われれば、被害は甚大なものとなるだろう。しかし、それを敵が理解しているとは。

 クロノも同じ感覚を共有したのか、鋭い声でシャマルに警告を発した。

「離れるぞ!」

 その声にハッと意識を戻すシャマル。だが、キラムは既に次の動作に移っていた。首の一つが大きく口を開き、攻撃の準備を整えている。その口元には閃光のようなエネルギーが収束し、空気がそこへ引き寄せられる感覚が全身を包んだ。

 次の瞬間、音すら置き去りにする強烈な熱線が放たれた。

 それは地面を抉り、森林を消し炭へと変える。焦げるような大気の臭いが漂い、轟音が周囲を飲み込む。クロノは瞬時にフェイトを脇に抱え、シャマルの腕を掴んでその場を離れようとした。だが、熱線の軌道を完全に外れることは叶わず、轟音が肌に直接響いてくるほどの至近距離だった。

「はあっ、はあっ」

 なんとか一撃を回避したが、キラムの首はまだ六本ある。次の首が動き出す様子が視界に映る。連携を取りつつ狙いを定める動きは、絶望的な脅威を物語っていた。

(――次は躱せない!)

 クロノが必死に策を巡らせる中、突然ユーノが彼らの前に飛び込むようにして立ちはだかった。

「これ以上好きにさせない!」

「っ、待て! 早まるなユーノ!!」

 クロノの制止も間に合わず、キラムの放つ熱線が空間を裂く。熱波が空気を伝い、周囲に灼熱の気配を送り込む中、ユーノは両手を前に突き出し、三人の盾となるべく最高硬度の防御魔法を展開した。迫り来る熱線が防御壁に接触すると、激しい閃光と轟音があたりを包む。

「くっ・・・・・・」

 その厖大(ぼうだい)な質量の前に、ユーノの表情は苦悶に歪む。鉄壁と謳われる彼の防御は、攻撃の全てを受け止めるにはあまりにも過酷だった。

「無茶よ! いくらユーノ君でも持たないわ!」

 シャマルの冷静な分析は、ユーノの限界を明確に示していた。防御を張り続ける彼の手のひらには、血が滲み、滴り落ちていく。

「それでもやるんです僕は・・・・・・ボケッとするなクロノ・ハラオウン! 兄貴なら妹を守れよ・・・・・・!」

「っ!! 言われるまでも無い!」

ユーノは言葉の力でクロノを奮い立たせる。クロノは迷いを断ち切り、シャマルの手を離すと、新たに防御魔法を展開。二人の防御壁が熱線の猛威を辛うじて凌ぎ続けた。

「「ぐっ・・・・・・!!」

激しい衝撃音と共に、二人の魔力が熱線と拮抗する。しかし、キラムの攻撃はあまりに強大で、防御の継続は困難を極めた。

「・・・っ!」

 ユーノの防御壁に亀裂が走る音が響いた。次の瞬間、彼の姿が視界から消え、轟音と共に吹き飛ばされる。

「うわああああっ!」

「ユーノ!! っ、くそぉぉ!」

 クロノが悔しげに叫ぶが、追いかける暇さえ与えられない。シャマルとフェイトを守るため、彼は踏み留まらなければならなかった。ユーノの防御があったからこそ、熱線を辛うじて凌ぐことができたのだ。

しかし、これほどの防御を以てしても耐え切るのが精一杯。キラムの一撃は、骨も残さない威力を誇っていた。

「っ!!」

 その頃、ワーム型セルヴァムの討伐を完了したルキアは、戦場を遠目に捉えていた。キラムの熱線の威力を目の当たりにし、その脅威に息を呑む。

「なんという凄まじさだ・・・・・・よもやあのような化物が地上をのさばっているとは」

 ルキアは心中でその威容を憎悪しつつ、理解を深める。地下に潜らざるを得なかったレムリアの民の境遇。その理由がようやく解けた。

「急がねば・・・・・・!」

決意を新たにしたルキアは、ウンパとの約束を果たすべく仲間達との合流を急いだ。

 

「ユーノ君・・・・・・っ」

 一方、ユーノの様子を見て、なのは達は口を(つぐ)んでいた。あのユーノが、吹き飛ばされたのだ。これまで数々の困難を乗り越えてきた彼が、七つある首の一つに――ただそれだけで、ここまで追い詰められるとは。

その事実が、自然と彼らの間に重い空気を作り出していた。

「・・・・・・・・・大丈夫、ユーノ君は、大丈夫。フェイトちゃんも、大丈夫!」

 なのははレイジングハートを構え直し、自らを鼓舞するような声を絞り出した。その横で、はやてが一歩前に出る。

「そうやな」

短い同意を口にしながら、はやてはキラムを真正面から見据える。その巨体に圧されながらも、確かな決意を感じさせる視線だった。

「分かったことはひとつ。いかに翡翠の魔導死神と言えど、個人戦で望むのはあかんってことや」

〈はいです! あんなの反則もいいところですよ!〉

 リインも、はやての言葉に力強く同調する。

「もう一つ、キラムの攻撃を“受ける”のは命取りや」

 はやては全員を見渡しながら、静かだが鋭い口調で指示を出す。

「前線メンバー各員に告ぐ! まずは回避に専念するんや。近接隊はとにかく神経を研ぎ澄ませてもらわなあかん。近接戦闘が得意でも、回避に自信があらへんなら、無理せんでええよ!」

その一瞬の沈黙の間にも、彼女の指示は仲間達の胸に響き渡った。彼らの中で覚悟が静かに固まっていくのが見て取れるようだった。

「近づく分、どうしても視野が狭くなります。テスタロッサが真面に攻撃を受けたのもそれが原因でしょう」

 シグナムがはやての言葉を補足するように語る。巨体の敵に対して肉薄すれば、視界の外からの攻撃への対応が難しくなる。フェイトが一撃を浴びたのも、それが大きな理由だった。

本来ならば、全体を俯瞰(ふかん)し、仲間を支援できる存在が必要だが、その役割を担えるユーノは今、戦闘不能の状態だ。最早無いものを頼るわけにはいかない。頼れるのは、自らの知恵と勇気、そしてこれまでに築き上げた仲間との絆だけである。

「とにかく、今はできることからやらなあかん。機動六課の底力、見せる時やでー!」

「はやての言う通りだ! 近づくんならあたしがぶち抜く!」

 主の言葉に奮い立たされたヴィータが、強い決意を宿し先陣を切る。その姿に触発されたように、吉良、白鳥、鬼太郎も後に続く。

「いくぜアイゼン! 目の前にいるヤツ全員ぶっ潰すぞ!」

「あまり息み過ぎるでないぞ。どんな事態でも冷静さを忘れてはならぬ」

「君にそれを指摘される方が却って屈辱じゃないのかな?」

「同感だぜ!」

 軽口を叩ける余裕もそこまでだった。彼らの前に、キラムを守護する翼竜型セルヴァムが束になって襲いかかってくる。

四人は戦闘中も先ほどのはやての言葉を反芻し、冷静さを保ちながら動く。先ほどまでは手探りだった敵の特徴も、戦ううちに少しずつ見えてきた。相手を理解し、その隙を突いて潰す――戦いの基本中の基本だ。

「彼らの癖や戦闘パターンは概ね理解した。全員いけるね?」

「「「おうよ(無論だ)(たりめーだ)!」」」

 仲間達の返事を受け、吉良は口元を緩めると、瞬歩で翼竜型セルヴァムに一気に接近し、その首を侘助の刃で切り払った。

残る三人も、それぞれの得意な戦法で次々に翼竜型セルヴァムを撃破していく。そして、キラム本体への接近を試みた。

直後、七つあるキラムの口から直射状に熱線が放たれ、ヴィータ達を迎え撃つ。

「狒狒王蛇尾丸!! 狒骨大砲!!」

「エクセリオンバスター!!」

恋次となのはが即座に砲撃技で応戦するが、その熱線の威力は凄まじく、完全に相殺することはできなかった。

「ダイナミックスストーム!」

咄嗟に金太郎が追加で技を放ち、辛うじて熱線の威力を相殺することに成功する。

「「リボルバー・・・シュ――トっ!!」」

「サンダーレイジ!!」

地上ではナカジマ姉妹がインファイト攻撃を放ち、エリオの電気系統魔法がキラムの足元に伝わる。それにより動きが僅かに鈍化した。

その間隙を突くように、ヴィータ、鬼太郎、白鳥が上空から次々に攻撃を畳みかける。

「ギガントシューラク!!」

「俺の必殺技!! パート2!!」

「ウィングカッター!!」

三人それぞれが全力で技を繰り出したが、キラムの硬質な装甲には傷一つ付かない。

そこに追い打ちをかけるように、別の首達が熱線を一斉に放つ。メンバー全員に焦燥が走る。

「〈火龍一閃〉!!」

シグナムとアギトが炎を纏った一撃を繰り出すが、刃はキラムに届くことなく弾かれてしまう。

「リイン!! 準備はええか!」

〈はいです!! ドカンと一発いきます!!〉

はやてはシュベルトクロイツを掲げ、呼吸を整えると、黒い重力の奔流をキラムに向けて放った。

「デアボリック・エミッション!」

広範囲攻撃による大ダメージを狙ったが、キラムの七つの首が同時に熱線を放ち、放たれた重力の塊は完全に消滅させられる。

「な・・・・・・んなアホな」

〈そんな・・・こんなのあり得ません!!〉

目の前の現実に言葉を失うはやてとリイン。

キラムの首同士の連携は驚くほど見事で、近接部隊の陣形が次第に崩されていく。怯んだ六課メンバーに、キラムは空と地上に熱線を放った。

「「「「「うわああああああ!!」」」」」

熱線の容赦ない攻撃により、多くの前線メンバーが大きなダメージを負い、満身創痍となる。その時、ルキアがようやく合流する。

「みんな!!」

彼女は焦りを見せながら駆け寄った。目に映ったのは、傷つき倒れそうな仲間達の姿。

「大丈夫か!?」

「ルキアさん・・・・・・早く逃げてください・・・・・・」

なのはの険しい表情に宿るのは、自分達を置いて逃げてほしいという切なる願いだった。しかし、これを聞いたルキアは忽ち声を荒らげる。

「莫迦者ッ! 仲間を置いて逃げるなど笑止千万! だが、敵の力が予想以上に強大なことは間違いない」

ルキアは冷静さを保ちながら、なおも威圧感を放つ巨大なキラムを見上げた。その影が全てを覆い尽くすかのように広がっている。

彼女は迷いのない手つきで、なのはの腕を華奢な自分の肩に回しかけ支えると、周囲の仲間達に毅然とした声を投げかけた。

「ここは一旦身を隠すぞ。自力で動ける者は私と共に来るんだ」

ルキアの言葉は皆の心にしっかりと届いた。傷を負いながらも、彼らは力を合わせて難を逃れるための行動を開始した。

 

戦線を離脱した前線メンバーは、ユーノを除き、この星に残された人類遺跡へと逃げ込んだ。風化が進んだ建物の中で、彼らは疲労困憊の体を一時的に休めつつ、お互いの安否を確認する。

「全員無事みたいだな」

「これが無事って言うのか?」

「生きてるだけマシだと思うけどね」

「もうダメかと思いました」

「メノスやジャガンノートとの戦いはどうにかなったから、今回も大丈夫だと思ったのは少々甘い考えだったみたいだな」

「あの巨体とパワー・・・それにあの首の連携は実に厄介だ」

「ユーノ先生とは未だに連絡もつきませんし。絶望的な状況です」

各々がキラムの脅威的な力を思い知り、自らの非力さを痛感する。その不甲斐なさに沈痛な表情を浮かべながらも、外からは執拗に探し回るキラムの鳴き声と、地響きのような足音が絶え間なく聞こえてきた。

「キラムが僕達を探してる!」

「くぅ。最期があのような怪物の餌になるなど到底承服しかねる!!」

全員が内心で強い拒絶を抱きつつ、光明の見えない状況にジレンマを募らせていた。

そんな中、なのはは沈黙を続けるルキアの様子に気づき、眉間に皺を寄せる彼女に恐る恐る声をかける。

「ルキアさん、さっきから黙ってどうしたんですか?」

声をかけられたルキアは、静かな沈黙を破り、低く呟いた。

「私は・・・・・・ウンパ達を助けたい」

彼女の発した言葉に、全員が耳を傾ける。ルキアは視線を浴びながらも、思いの丈を紡ぎ続けた。

「キラムが存在し続ける限り、レムリアの民はこれから先もずっとあの暗い地下での生活を余儀なくされる。こんなにも広々とした大自然をただ一匹の蹂躙者がのさばるがために、自由を奪われるのは忍びない」

その言葉には、ルキアの確固たる信念が滲み出ていた。それを聞いた恋次が口元を緩めながら、彼女の意見に同意する。

「――そうだな。あんなデカブツに大地を独り占めにされるのはおもしろくねーよな」

恋次に続くように、他のメンバーも次々と共感の意を示し、それまで沈んでいた心に活気が戻っていく。

「今までもこんな困難な状況はいくつもありました。それでも、私たちは力を合わせて乗り越えてきたんです」

「まぁ割とあぶねー状況も遭ったけど、どうにかなってるもんな! 俺たち次元世界でもかなりツイてる方だぜ」

「全員揃えばなんとかなる!」

「こんなところで腐っていても意味はない。我々はここに至るまであれに匹敵する敵を確かに斃してきたのだ。その経験値は間違いなくこの身に刻まれている。それを思い出すんだ」

シグナムが檄を飛ばし、メンバーの士気をさらに高める。

その時、意識を失っていたフェイトが微かに呻き声を上げ、クロノの膝元でゆっくりと顔を上げた。

「フェイトさん!」

「まだ無理をするな」

キャロの嬉々とした声と、クロノの案じる言葉が交差する中、フェイトは空元気を振りまいて答える。

「大丈夫だよクロノ。この程度の怪我で休んでなんて居られない」

「全員揃えばきっとなんとかなる!」

「最初は不意を突かれましたが・・・・・・」

「みんながいれば必ず成し遂げられる!」

 

「そのみんなに僕も入れてくれるかい?」

すると、士気を取り戻した彼らの耳に、待ちわびた声が届く。声の方を向くと、衣服こそ少し汚れているものの、ほぼ無傷のユーノが穏やかな笑みを浮かべて立っていた。

「ユーノ君!!!」

「おう、生きてたんっすね店長!!!」

「僕を誰だと思ってるの? 翡翠の魔導死神はあんな怪物に後れを取るわけにはいかないんだ」

軽口に見える言葉の裏には、どんな状況でも立ち上がるという強い意志が込められている。仲間達は彼の姿に驚きつつも、その強さに改めて心を奮い立たされた。

その直後、またしてもキラムの鳴き声と地響きが響いてくる。

「しつこく探してるな」

全員の顔に緊張が走る中、恋次がおもむろに立ち上がると、仲間達に視線を向けて問いかけた。

「いけるか、おまえら?」

「おうよ!!」

「体は人一倍丈夫ですから!!」

「そう、きっとなんとかなる。うんうん・・・・・・やってみせる!」

全員の心が再び一つに結びつき、決意を新たに立ち上がる。ユーノは真剣な表情を浮かべながら言葉を続けた。

「僕が全体を把握しながらみんなに指示を出す。七本の首があっても、動体は一つ。飛び込むべき懐は一つだ」

不覚を突かれた借りを返さんとユーノは決意を宿した表情を浮かべると共に、建物の隙間から大地を闊歩するキラムの影を捕らえる。

 

こうしてキラムとの第二ラウンドが幕を開けようとしていた。

咆哮を上げるキラム。その轟音は、自らの優位性を誇示するかのように響き渡る。対する、六課メンバーは地上と空から一斉に接近を開始した。

ユーノは空から周囲の様子を見渡し、頃合いを見計らって念話で確認を取る。

「みんな、準備はいいかい?」

「「「「「「「「「「「「「うん(ああ)(おうよ)(はい)!」」」」」」」」」」」」」

「「「「「「「同じく(だ)(です)(である)」」」」」」」

迷いのない潔い返事が次々に返り、ユーノは口元を緩めながら深く頷いた。

「僕が捕縛魔法を打ち込むから、それぞれに分かれて首の撃破に専念するんだ!」

ユーノの言葉に従い、メンバー達は散開し、キラムの各首の気を引くべく移動を開始した。

やがて、ユーノはキラムの周囲を回り込み、力強く詠唱を始める。

「高く・星の道・夜の果て ホワイト・アルヴァが列をなす リーズ・リース、ライト・ライト 天を仰いでそこで終わり――マジック#68!! 『スパーナル・ジェイル』!!!」

詠唱が終わると、キラムの頭上に眩い光が差し込み、無数の光の槍が空中から降り注ぐ。それはキラムの体を取り囲むように格子を展開し、巨大な光輪で閉じ込めていった。

「初めて見る魔法です!」

「ったく、どんだけ手数あるんだよあいつは!?」

ミッド式ともベルカ式とも異なる未知の魔法が繰り出され、ユーノに対する皆の関心が自然と高まる。『スパーナル・ジェイル』――その術式は、魔法と称しながらも、上級鬼道にも匹敵する性質、精密さを要求される特異な力を秘めていた。

この惑星には、二つの外的要因が存在していた。一つは霧――キラムの影響を受けて変質した植物が発する花粉によるもので、ほぼ全ての機械類を無力化し、死神の霊圧知覚にも影響を及ぼす。もう一つは、キラム自身が発するEMP――AM体のキラムが直接生み出す圧倒的な干渉力を持つ力である。

霧は環境全体に作用する一方、EMPは局所的だが強力で、術者に直接影響を与える。しかし、ユーノの術式は、こうした外的干渉をものともせず、驚異的な精度で機能していた。それが彼の卓越した技量によるものか、特異な力に起因するものなのかは、未だ誰にも分からない。

「みんな、今のうちだ!!」

ユーノの言葉を合図に、全員がキラムの首に向けて攻撃を繰り出すべく動き始めた。

「フリード、ブラストレイ! ファイア!!」

キャロの指示でフリードが中央の首に火炎を放つ。しかし、捕縛された状態のキラムは、他の首を器用に動かし中央の首を防御する。

「狒骨大砲!!」

続けて恋次が攻撃を放つが、再び他の六本の首が連携して攻撃を防ぐ。

「あの首だ! あの中央の首がキラムの本体! 残りは首に見せかけた手足だったんだ!」

ユーノは僅か二回の行動でキラムの本体が中央の首であることを見抜き、それを皆に伝えた。メンバー全員の意志が固まり、目標が明確になる。

「おし・・・全員の力を合わせてあの首を獲るでぇー!!」

はやてが地上と空中の各メンバーに指示を出し、攻撃が一層激化する。キラムは弱点を見破られたことを察し、捕縛魔法を強引に破壊。荒々しい攻撃と不規則な熱線でメンバーたちを翻弄しようと試みた。

しかし、六課メンバーは二度と同じ轍を踏まない。集中力を高め、飛び交う熱線を巧みにかわしつつ、各首の注意を逸らし始める。

「ほらほら、鬼さんこっちらー」

「煽りにかけては私の右に出る者はいない!」

「そんなの自慢でも何でもねーよ!!」

全員が持てる力を惜しみなくキラムにぶつける。なのはは切り札であるARカートリッジを起動させ、正面からキラムの熱線と激突した。

〈AR set. Maximum Maser〉

「いくよレイジングハート。最大出力のエクセリオン・・・バスター!!!」

桜色の砲撃がキラムの熱線と激しくぶつかり合い、一進一退の攻防が繰り広げられる。それでもキラムの力がやや優勢であり、なのはは険しい表情で耐える。

〈Master!(マスター!)〉

「大丈夫だよ! 私もみんなも諦めない・・・・・・絶対に勝つんだ!!」

「そうだ。私たちはやれる!」

その言葉に呼応するように、ルキアは地上で袖白雪を用いてキラムの足元を凍結させ、時間を稼ぐ。仲間達もそれに続き、怒涛の攻撃を仕掛ける。

「ダイナミッククロス!」

「行くわよ、なのはさん直伝!! スターライト・・・ブレイカーぁぁぁ!!!」

「僕だってやってやる・・・一撃滅殺!! ディバインバスターぁぁぁ!!!」

「ならば僕だって!! スティンガーブレイド・エクスキューションシフト!!!」

一撃必殺の技が次々と繰り出され、キラムへの攻撃は激しさを増していく。やがて、キラムの動きは目に見えて鈍化していった。

エネルギーの消耗も厭わず、技の全てを叩き込む勢いで猛攻を続けた結果、キラムの動きには明らかな鈍りが生じていた。

「もう少しだ! このまま――」

絶好の好機を見逃すまいと、恋次が蛇尾丸を構えて次の手を打とうとする。しかし、キラムはしぶとく最後の抵抗を見せ、巨大な尻尾を勢いよく振り回した。

「「「「「「「「「「ぐああああああああああああ!」」」」」」」」」」

猛烈な反撃により、メンバー達は大きなダメージを受け、地面に倒れ込む者もいた。

「みんなー!  チクショウ・・・!」

ユーノは仲間の安否を気遣いながら、倒れた彼らを守るため単身でキラムに向かっていく。

その頃、フリードと共に地上へ落下したキャロは、土埃にまみれた顔を上げ、涙を浮かべながら震える声で呟いた。

「やっぱり・・・・・・私達じゃあれは倒せないの・・・・・・?」

争いを好まない彼女の性格が災いし、弱気な言葉が思わず口をついて出る。

 

――まだ諦めるのは早い――

 

不意に、キャロの頭の中に直接響く声が聞こえた。その声に導かれるように、彼女はおもむろに懐から光り輝く何かを取り出す。

「キャロ・・・?」

近くにいたエリオが心配そうに声をかける中、キャロの視線は手のひらに乗せた神々しく輝く宝玉に釘付けになる。その宝玉は、どこか懐かしい温もりと微かな振動をキャロの指先に伝えていた。

「エカテリーナ・・・・・・」

キャロの口から自然と名前が漏れる。スプールスでの任務を終えた際にユーノから託された言葉が、鮮やかに脳裏によみがえった。

 

――「エカテリーナの魂はキャロが救ったんだよ」――

――「きっと彼女も君と一緒にいることを望んでいると思う」――

 

その言葉がどれほどの重みを持っていたのか――キャロはこの瞬間、強く実感していた。不思議そうに宝玉を見つめていると、突如としてそれが一際強く輝きを放つ。

「きゃああ!」

「なんだ、この光は!?」

眩い光に全員が困惑する中、エリオはキャロの肩を支え、事態を見守る。やがて光が収まり、その先には驚くべき姿が現れる。

そこに立っていたのは、魂だけの存在と化したかつての氷龍帝エカテリーナだった。

《キャロ・・・――》

「エカテリーナ・・・・・・あなたなの?」

「あのドラゴン・・・・・・前にスプールスに現れた、AM体!?」

「いえ。あれは氷龍帝エカテリーナ、その魂です」

ティアナの疑問にエリオが訂正しつつ、キャロとエカテリーナの会話をじっと見守る。

《キャロよ・・・・・・私に、そなたとその仲間の命を護らせてほしい》

そう告げたエカテリーナは全身を輝かせると、徐々に姿を変え、聖職者が持つような荘厳な権杖(けんじょう)へと変化する。

キャロは目を見開きながらその権杖を握りしめた。その中にはエカテリーナの意志が確かに感じられた。

「エカテリーナ・・・・・・私と一緒に戦おう!」

決意を固めたキャロは、頭に浮かぶイメージをそのまま言霊に乗せて詠唱する。

「悲しみをも凍てつかせる氷の龍よ、その魂を我が前に顕現せよ――氷龍帝エカテリーナ!!」

手にした杖、【氷龍帝の権杖(フュージョンライズ・ジェーズル)】を天高く掲げながら詠唱する。その杖は、力強い輝きと共に新たな力を解き放とうとしていた。

すると、その瞬間に権杖が眩いばかりの光を先端に埋め込まれた宝玉から放出。エカテリーナの魂が実体化する。

《さぁキャロよ。今こそ我が魂を器に白銀の飛竜の力を合わせる時だ》

エカテリーナの言葉にキャロが頷くと、権杖を高らかに掲げ、さらなる詠唱を続ける。

「アルザスが竜召喚士キャロ・ル・ルシエと氷龍帝の権杖(フュージョンライズ・ジェーズル)の名のもとに。我が竜フリードリヒと氷龍帝エカテリーナの魂を一つに束ねん!」

「“竜魂融合(りゅうこんゆうごう)”!」

 

詠唱によって、フリードは光を放ちながら球体状に変化し、エカテリーナと共に空へと舞い上がった。二つの魂は溶け合い、新たな存在へと生まれ変わる。

「フ・・・フリードとエカテリーナが・・・」

「合体・・・してる・・・!?」

その場にいた全員が目を疑う光景に息を呑む中、キャロは新たに誕生した竜の名を高らかに告げた。

 

「来よ、合体飛竜ハイメ――!!」

 

光が徐々に収まると、全員の前には氷龍帝エカテリーナとフリードリヒの魂が融合した新たな姿が現れる。白い体色とフサフサした質感を持つその身体は、フリードリヒに酷似しながらも、華奢で精悍なシルエットを備えていた。右半身には冷気に覆われた氷の結晶が形成され、エカテリーナの氷の翼はプロテクター状に変化して両肩を覆う。その尾部はジェットエンジンのように進化し、赤く発光する左半身からはコード状のエネルギーが伸び、肩と尾部を繋いでいる。その存在はまさに自然の摂理を超越していた。

「合体飛竜・・・っ」

「こりゃぶっ魂消たぜ!」

ユーノ以外の全員が神々しいその姿に見とれる中、キラムは危険を察したのか、奇声を上げて全身を震わせる。ハッと我に返ったメンバーが攻撃態勢を整えようとするも、ハイメがその前に立ち塞がった。

《皆の者下がっておれ――こやつは私が相手をする》

その声には絶対的な威厳が宿っていた。ハイメは静かに詠唱を始める。

《大地に蔓延る悪しきものよ、我が力の前にひれ伏せ》

続けてキャロも巫女としてその意志に応え、共鳴するように言霊を紡ぐ。

永久(とわ)に嘆け。氷河と業火にその身を滅ぼさん――コキュートスフレア!!!」

詠唱が終わると、ハイメの全身が氷と炎に包まれ、その魔力が凄まじい勢いでキラムに向かって放たれる。その力は、キラムの全ての首から放たれた熱線をも上回り、頑強な身体を冷気と業火で包み込んだ。

凍てつく冷気と焼き尽くす炎の圧倒的な威力に耐えきれず、キラムはのた打ち回りながら悲鳴を上げる。徐々にその体は凍りつき、業火に焼かれ、悲痛な鳴き声と共にアンゴルモアを放出しながら粒子状に分解されていった。こうして、長らく地上を脅かしてきた破壊王の姿は完全に消滅した。

戦いの終息と共に、フリードとの融合を解除したエカテリーナは、キャロを優しく見下ろしながら静かに語りかけた。

《私の役目はこれで終わりのようだ――また、戦いの際はともに戦おう・・・・・・我が心の友よ》

その言葉を最後に、エカテリーナの姿は光となり、権杖に埋め込まれた宝玉の中へと消えた。役目を終えた杖は待機状態であるペンダントへと戻り、キャロはそれを愛おしそうに握りしめる。

「ありがとうエカテリーナ。私やみんなを守ってくれて」

 

凄絶を極めた戦いが終わり、静寂が訪れたその瞬間――生存者達は勝利の実感を胸に抱きながらも、どこか物憂げな空気が漂っていた。

やがてヴォルフラムから一人の子供が降り立つ。レムリア人の少年・ウンパだ。その小さな体は、恐怖と安堵が入り交じるように震えていたが、瞳には確かに輝きが宿っていた。

「レン・・・ジ・・・ルキ・・・ア、ありがとう・・・」

感謝の言葉は拙くも、ウンパの中から湧き上がる純粋な思いが伝わるものだった。

「あぁ。お前らの生活を脅かす敵はもうどこにもいねー」

恋次は膝をつき、ウンパの目線に合わせるようにして力強く言葉をかけた。その声は、未来への希望を示すように穏やかで温かかった。

「これからは自由に暮らせるぞ」

ルキアもウンパの肩に優しく手を置き、その小さな背中を支えるように微笑む。彼女の言葉は、ウンパにとって生涯忘れることのない救いの約束となった。

その瞬間、少年の頬に緊張の名残が崩れ、初めて心からの笑顔が浮かぶ。

一方で、なのははキラムとの戦いを振り返りながら、どこか腑に落ちない思いを抱いていた。

「結局、あれは一体何だったのかな?」

彼女の問いは、目の前に訪れた平和の陰に潜む真実を探ろうとするものだった。

「死せる定めの儚き者が、身の程を忘れ栄華を謳う時、祖は天を揺るがし、地を砕き、摂理の怒りを知らし得る必定たる滅びの具現・・・」

「え」

ユーノは抽象的な言葉で答えたが、その声色にはどこか哀愁が漂っていた。なのはは思わず彼を見つめる。その表情には、何かを伝えたいが全てを語り尽くせない葛藤が見え隠れしていた。

ユーノは封印されたアンゴルモアが納められたケースをそっと抱え直し、静かに語り始めた。

「憶測だけど、あれは驕れる者への制裁の鉄槌。自らを万物の霊長とまでした種族には、必ずや摂理の復讐者が訪れる。たとえどれだけ優れた文明を築き上げたとしても、自然を舐めた種族の末路は決まっている」

彼の言葉には、キラムの存在が単なる敵ではなく、自然が持つ摂理の一端である可能性を示唆していた。

なのははふと目線を移し、恋次とルキアに囲まれたウンパの姿を見つめた。彼らの笑顔が、この星に新たな希望の光をもたらしていることを感じ取る。しかし同時に、その希望が絶え間ない努力なしには続かないことも理解していた。

「レムニアの人達が同じ過ちを繰り返さないといいけど」

なのはの呟きには、安堵と不安が混ざり合っていた。

「それは――神のみぞ知ることだね」

ユーノは静かに応じた。その言葉には、未来を託す者としての祈りと、人間の限界を知る者の諦観が入り交じっていた。

 

 

 

 

 

 

教えて、ユーノ先生!

 

ル「今日は私の斬魄刀『袖白雪』についてだ!」

「舞え、『袖白雪』の口上と供に全てが純白の斬魄刀へと姿を変える」

「“月白”は円形状のドームの中のものを凍りつかせ、氷解させる。“白漣”は文字通り波のような氷雪を相手に食らわせるものだ。いやーどれも実に美しいなー」

と、自画自賛しているルキアの前にユーノが現れる。

ユ「ちょっと、ちょっと! 駄目ですよルキアさん、人のコーナー勝手に盗ったりしたら・・・」

ル「これは申し訳ありません、ユーノ殿。つい出来心でして。まぁーでも見てくだされこの私の袖白雪を! 一護の腹黒い刀とは訳が違いますぞ! ははははははは!!!」

 一護の斬月を腹黒いと一蹴し、高笑いを浮かべるルキア。

 ユーノは離れた場所まで移動すると、ルキアには聞こえない声で待機していた一護に呟いた。

ユ「まぁ正直、ルキアさんも結構腹黒い感じがするんですが・・・・・・」

一「あいつはああいう奴なんだ・・・」

 

 

 

魔導師図鑑ハイパー!

 

 朽木ルキアが加わり、ミッドチルダ滞在の死神は四人となった。それを祝して、恋次主宰の下で居酒屋で飲み会が開かれた。

死神勢「かんぱーい!」

 比較的死神受けのいい純和風の居酒屋を探し出し、四人は祝いの酒を酌み交わす。

恋「まー、なんだかんだ四人になったわけだ。イッチョ頼むぜルキア!」

吉「君がいると阿散井君の監視が強まって、正直僕の負担が減って助かるよ」

白「それにむさい男ばかりに華麗な一輪の花があるだけで、仕事へのモチベーションも上がるというものである」

恋「テメーは口だけ一丁前で、日がな一日コーヒーばっかり飲んでるくせによ」

 などと他愛もない話で盛り上がっていると、不意にルキアが思い出したように恋次に言う。

ル「そうだ恋次。貴様兄さまに変なことを言ったそうだな?」

恋「朽木隊長に? 変なことって・・・俺、最近あの人と仕事もプライベートもあんま話してねぇーんだけどな・・・・・・」

 身に覚えのないルキアの問いかけに困惑する恋次。ルキアは溜息を吐くと、おもむろに語り出す。

ル「まったく覚えていないようだな。数か月前、突然貴様から兄さまの伝令神機に電話があって、何の脈絡も貴様はこう言ったんだ。『俺はお前を愛してるぞ!! 何十年、何百年、いや何千年経っても俺はお前を愛してる――!!!!』と」

恋「げっ!!」

 聞いた瞬間、魔導虚(ホロウロギア)事件が解決した折に自身が犯したとんでもないしくじりの記憶が鮮明に蘇った。

ル「以来、兄さまは早くお前に会いたいとしきりに言っておってな。毎晩毎晩千本桜の手入れをしながら、お前の帰りを待ちわびている」

恋「がぁ・・・・・・・・・」

 途轍もなく嫌な話を聞かされた瞬間、恋次は酒の味も解らなくなるほどの恐怖を抱き前進が真っ白に染まる。

 これには吉良も白鳥も同情の言葉すらかける事は出来なかった。




登場人物
ウンパ
声:堀江瞬
パスタルの原住民族レムニアの少年。年齢は不明。
ワーム型セルヴァムに追われた恋次とルキアと遭遇し、当初は仲間達と共に捕縛するも、彼らが危害を加える人間ではない事を理解し解放。興味を持ったルキア達に積極的に関わろうとし、テレパシーではなく言語を用いたコミュニケーションを取って二人と交友を結ぶ。種族に対する警戒心が強いゆえに、当初は六課メンバーに対してもなかなか心を開こうとはしなかった。しかし、危険を恐れず自分達の為にキラムに立ち向かうルキアや六課メンバーに対して、徐々に心を開くようになる。



登場AM体
キラム/AM-13
七本の頭部を持つ巨大な植物を起源とした超進化生命体であり、アンゴルモアモンスター。
ギリアンに匹敵するほどの巨体と意思疎通の取れる七本の頭部のうち、六本はダミーであり、中央の頭部が本体である。桁外れの高周波電磁パルスを咆哮に乗せて放つ事で、あらゆる電子機器は意味を成さなくなる。
攻撃手段として、口から放つ高加速荷電粒子ビーム「熱線」があり、頑強なユーノの防御魔法をも貫くどころか大地をも抉り、ユニゾン状態のはやてが放つデアボリック・エミッションさえも相殺させる。
元々の姿が当初どのようなものだったかは不明だが、圧倒的な力の前に一度は六課メンバーを退けるも、合体飛竜ハイメの「コキュートスフレア」で撃破された。
名前の由来はコンゴ民主共和国の山岳地帯に暮らすニャンガ族に伝わる森の怪物「キリム」から。
セルヴァム
第24管理外世界「パスタル」に生息する現住生物。キラムの亜種にあたり、金属に極めて酷似した構造、獰猛な性格が特徴。ワーム型と翼を持つ翼竜型の2種類が存在する。
翼竜型
全長は十数メートル、翼長は10メートルほど。首と尻尾は長く伸び、体表は青みがかっており、頭部に複数の赤い眼球と鋭い牙を持つ。ヴォルフラムの装甲を破壊する攻撃力を持ち、空戦魔導師のスピードと比較すると機動性は互角で敏捷性はなのは達を上回る。数頭の群れで行動する習性がある。
ワーム型
表面はゴツゴツした鎧のような皮膚で覆われ、丸い口には無数の牙が生える。全長約6.5メートル。毒性のある霧が停滞するすり鉢状の窪地や土手に巣穴を作って生息する。周囲から伸びる触手状の根を用いて獲物に襲いかかる。



登場ドラゴン
合体飛竜ハイメ
フリードリヒの遺伝子と力を取り込んだエカテリーナの新形態。顔・両翼・両腕・尾部が、フリードリヒと酷似した白い体色・フサフサした質感のものへと変化しており、より華奢なシルエットとなっている。そして右半身の所々が、通常形態同様冷気によって凍りついており、エカテリーナが本来持つ氷の翼は、両肩を覆うプロテクター状へと変化している。尾部はジェットエンジンのようになっており、ここから周囲一帯のもの全てを燃やし尽くせる規模の炎を吹き上げ、周囲の天気を変えてしまうほどの膨大な熱量を発生させる事ができる。氷に覆われていない左房・左翼・尾部が赤く発光すると共に、両肩のプロテクターから赤いコード状のエネルギーが発生し、これにより両肩と尾部が接続される。
名前の由来はアングロ・サクソンの叙事詩『ベーオウルフ』などドイツの伝説に登場するゲルマンの英雄から。
技「コキュートスフレア」
ハイメの専用技。すべてを凍らせる激しい冷気で相手を包み込み、灼熱の炎で内部から焼き尽くす。
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