【一応】艦隊これくしょんVSチャージマン研!【完結済?】   作:焼き鳥タレ派

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第2話 龍田の輪っかをとりもどせ!

ブイで仕切られた広い海のエリア。ここは艦娘たちの演習場。

艦娘のみんなが練度を上げるために、別の鎮守府から派遣された艦娘チームと、

死ぬ寸前まで激しい撃ち合いを繰り広げるんだ。

対戦相手は馬鹿みたいに強い人達ばかりだから、勝っても負けても

たくさん経験値をもらえるんだよ。だから皆、経験値欲しさに

毎日頑張って負け戦を繰り返しているというわけなんだ。

ほら、今日も演習を終えた艦娘たちが戻ってきたよ。

 

 

 

演習を終えた天龍は補給を終え、相棒の龍田と宿舎に戻るところだった。

 

「う~ん、またかよ……」

 

彼女はしきりに目をこすっている。

 

「どうしたの、天龍ちゃん?」

 

「なんか最近目にゴミが入るっていうか、視界の端に変なもんが見えるんだよ。

髪の毛みたいなやつ」

 

「あらあら、いつからなの?」

 

「そうだな……研坊がここに来たときくらいから」

 

「医務室で目薬をもらった方がいいかもしれないわねぇ」

 

「明日も続くようならそうするぜ。じゃあ、オレはこっちの部屋だから。お疲れ」

 

「お疲れ様。ゆっくり休んでね」

 

龍田は天龍と別れ、自室に戻った。

そして、頭に浮かぶ輪を手に取り、テーブルの上の充電台に置いた。

 

「さあ、私もシャワーを浴びたら今日は休みましょう」

 

龍田はシャワーで汗を流し、その日は早めに床についた。

 

 

 

 

 

翌日。

 

食堂で朝食を取った研は、広場で食後の散歩をしていた。

 

「うまかったなぁ~やっぱり食べ放題形式の“キャー”ん!この悲鳴は!?」

 

突然彼の耳に飛び込んできた、かすかだが切迫した悲鳴。

声の方向を見ると艦娘の宿舎が。研は考えるより先に駆け出していた。

 

「ジュラル星人の襲撃かもしれない!いよおっし!」

 

 

 

軽巡用宿舎。1つだけ開けっ放しになっているドアがある。あそこだ、間違いない!

研は部屋の中に飛び込んだ。中にいた天龍と龍田が驚く。

 

「お、おい研坊!女の部屋に勝手に入ってくんな!」

 

「違うんだ!違うんだよ天龍さん!

僕は聞いたんです、この部屋で誰かが悲鳴を上げるのを!」

 

「あ~ごめんなさいね、それ私なの。

大したことじゃないんだけど、驚いてつい大きな声を出しちゃって……」

 

「一体何があったんですか?」

 

「実はね、大事なものを盗まれちゃったの……」

 

「大事な物?」

 

「そこの充電台に置いておいた私の装備。ほら、いつも頭に浮かべている輪よ。

昨日寝る前に置いておいたはずなのに、起きたらなくなっていたの。

電探や司令部との通信に使うからないと困るのよ……」

 

「ま、そういうこった。悪りいけど、一緒に探してくんねえか?」

 

「もちろんです。では、最後に見たのは……」

 

 

“フハハハ!!甘い、甘いぞチャージマン研!

我々の存在を忘れ、艦娘共とぬるま湯の平和にうつつを抜かすとは!”

 

 

突然、窓の外から機械的な輪を持ったジュラル星人が話しかけてきた。

 

「お前は……ジュラル星人!何のためにこんなことを!?」

 

“こいつを返してほしければ、真夜中の運動場に一人で来い!

仲間を連れてきたり、妙な小細工をしたら、この輪っかは粉々になるぞ!わかったか!”

 

宣戦布告を済ませたジュラル星人は、物凄いスピードで走り去っていった。

 

「あらあら……死にたいジュラルはあれかしら」

 

貼り付いた笑顔のままよく研がれた槍を手に取る龍田。だが、天龍がそれを止める。

 

「待て、待ってくれ龍田!」

 

「どうして~?」

 

「一番残酷にジュラル星人を殺せるのは研なんだよ!ここは専門家に任せるべきだ!」

 

「天龍ちゃん……まだワサビのこと根に持ってるのね。わかったわ、研君。

お願いするわ、あのジュラル星人を倒して私の円形電探を取り戻して!」

 

「わかりました、僕に任せてください!」

 

相手がジュラル星人とわかり、俄然張り切る研だった。

 

 

 

 

 

「だめだ、危険すぎる!相手はきっと大勢で寄ってたかってくるだろう!」

 

泉一家の客室。事の仔細を説明した研だが、父に猛反対を受けている。

 

「パパ、行かせてください。身近な人の助けを無視して、何がヒーローですか!」

 

「相手が決闘を真夜中に指定したのは、お前にチャージングゴーを使わせないためだ。

いくらお前がチャージマンでも、生身でジュラル星人と戦うのは無謀だ!

私が提督に連絡して断ってくる!」

 

「あなたは、異世界の存在なら、人間でなければ、

ジュラルの手に落ちてもいいと言うのですか!?」

 

「口が過ぎるぞ研!どうしても行くというのなら、私はお前を勘当する!」

 

「キャーッ!」

「ヒィー!パパ、それはいくらなんでも……」

 

激しい言い争いに発展し、キャロンとバリカンも冷たい緊張に震える。

 

「……では、仕方ありません。パパ、いえ、泉先生。僕は自分の正義を貫きます。

どうか、お元気で」

 

バタン!

 

研は去っていった。パパは拳を震わせ怒りと悲しみに耐えていた。

 

「馬鹿者……」

 

 

 

 

 

ザッ、ザッ、ザッ、ザッ……

 

草木も眠る丑三つ時。研は指定された運動場のグラウンドの土を踏みしめていた。

その時、運動場のメガホンからジュラル星人の声が響いてきた。

 

「クックック……よく来たなチャージマン研!この暗闇の中では手も足も出まい!」

 

「姿を現せ、ジュラル星人!」

 

「我々はとっくにここにいる!」

 

よく目を凝らすと、闇の中に奇怪な影が何体もいるのがわかる。

しかし、わかるのはそれだけで、相手の動きまでは読めなかった。

 

シャーッ!!

 

「ぐっ……!」

 

ジュラル星人の触手状の腕が研を殴った。後ろに吹っ飛ばされる研。

 

「くそっ、輪っかは……約束の輪っかはどこだ!」

 

「ここにある。とは言え、今のお前には見えんだろうがな、アハハハハ!!」

 

ビシィッ!バシィッ!

 

なおも容赦なくジュラル星人の腕が研を襲う。

くそっ、僕は、こんなところで死ぬのか……

平和を取り戻した地球を見ることもなく……!!

 

カッ、カァァッ!!

 

だが、その時、二筋の光がグラウンドを照らした。これは一体!?

 

「やっ、はじめまして研君。龍田のために頑張ってくれてありがとう!」

 

古鷹改二。左目の光る重巡洋艦。

彼女が装備している探照灯を点けたことでグラウンドの地形が照らし出される。

 

「後輩の頼みだ、来てやったぜ。さぁ、やっちまいな、卑怯な連中にはルール無用だ!」

 

加古改二。彼女は髪で左目は隠れていたが、やはり手持ちの探照灯で運動場を照らす。

2つの探照灯で完全に運動場は照らされ、全てのジュラル星人達は姿を表した。

 

「ちくしょう、こんなことは聞いていないぞ!」

 

「正義は悪には屈しないということだ!いくぞ──」

 

そして研が両腕をクロスし、空高く跳躍する。着地と同時に再び両手でポーズを決め、

 

 

──チャージ!ゴー!!

 

 

光の力が研に収束し、チャージマン研の装備一式が彼に装着される。

 

「あっ、チャ、あーっ!!」

 

変身した瞬間、研はアルファガンをクイックドローし、まずは一体目を射殺。

だが、明るくなった運動場には予想以上のジュラル星人が集まっていた。

 

「動くなチャージマン研!この輪っかがどうなってもいいのか!」

 

「くそっ、卑怯者!」

 

一体のジュラル星人が龍田の輪っかを持って研を挑発する、が

 

「ぎゃあああ!!」

 

次の瞬間、ジュラル星人の扇のど真ん中を鋭い槍が貫いていた。

 

「大事な艤装を汚い手で触らないで?」

 

「龍田さん……!」

 

槍が飛んできた方を見ると、高台に槍を投擲した龍田の姿が。

みんなが、みんなが力を貸してくれる!よぉっし!

 

「ビジュームベルト!」

 

研はジャンプし、ベルトのバックル内の装置を高速回転させた。

丸みを帯びた三角から竜巻が起こり、

運動場に群がっていたジュラル星人達を猛烈な力で巻き上げた。

 

“うわああああ!!”

 

「アルファガン!!」

 

その機を逃さず、得意の光線銃を連射し、次々と敵の数を減らしていく研。

 

「ちぃっ、退却でい!」

 

恐れをなした最後の1体が、輪っかを放り出して逃げていく。

すかさずスライディングして輪っかをキャッチした研は、

逃走するジュラル星人の背中を撃った。

 

「ぎゃああ……」

 

ジュラル星人は全滅。そして輪っかは研の手に。

戦場だったグラウンドに安堵の空気が流れる。

歩み寄ってきた龍田に研は輪っかを返した。

 

「龍田さん、あなたの輪っかです」

 

「研君、ありがとう……」

 

「いいえ、皆さんの力があったからです。僕一人ではどうにもならなかったでしょう。

僕はまだまだ未熟者ですよ」

 

 

「いいや、お前はもう一人前の戦士だ」

 

 

その時、思いがけず、もう聞くことはないと思っていた声が聞こえてきた。

 

「パパ……」

 

「研、よくやった。本当のヒーローとは一人で何でもできるスーパーマンじゃない。

仲間と力を合わせてどんな困難にもくじけない者のことだ。

お前にはもうこんなに沢山の仲間がいる。

お前が私の手から離れたことは間違いではなかったようだ。

では、さらばだチャージマン研。地球、いや、全世界の平和は、頼んだぞ……」

 

パパは振り返り、去っていく。

 

「研君、いいの……?」

 

龍田が研を案じるように声をかける。拳を握っていた研は思い切って声を上げた。

 

「パパ、待ってくださいパパ!僕は、あなたからまだ何も教わっていません!

医学の知識も、科学の知識も、そして戦士としての心構えも!

これからも、あなたの息子でいさせてください!」

 

「おお、研。お前を突き放した私を、父と呼んでくれるのか……!!」

 

研は父に駆け寄り、二人はひし、と抱きしめあった。いつまでも、いつまでも。

 

「はぁ~二人が仲直りできてよかったでゲス」

「本当、今回ばかりはヒヤヒヤしちゃったわ」

 

パパに付いてきていたキャロンとバリカンもホッとする。

 

「まぁ、よかったんじゃねえの?

龍田の輪っかも戻って、研も親父さんと仲直りで万事OKってことで」

 

「あら天龍ちゃんも来てたの?」

 

「一応様子を見に来たんだが、真っ暗でなんもできなかったよ、情けねえ。

おまけに……ああくそ、また髪の毛だ!!」

 

 

 

 

 

──翌朝 食堂

 

泉一家は食堂で朝食を取っていた。

今朝の献立はトースト、ゆで卵、サラダ、トマトジュース。

 

「ごちそうさま~」

 

一足先に食べ終えた研は席を立とうとする。

 

「待つんだ研、トマトジュースが残っているぞ」

 

「えぇ~勘弁してよパパ、トマトジュースは苦手なんだよ」

 

「だーめーだ。バランスの取れた栄養補給も戦士の義務だ」

 

「そんなぁ~」

 

ウフフ…… アハハ……

 

家族の団欒。それは戦士・チャージマン研の束の間の休息であった。

 

 

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