【一応】艦隊これくしょんVSチャージマン研!【完結済?】 作:焼き鳥タレ派
キコ、キコ……
鎮守府の片隅にある小さな公園。ピンク色のおさげの艦娘が
寂しそうにブランコを漕いでいる。彼女はひとつため息をつく。
「はぁ……今日はなんの日?厄日だよー」
「よーし、あのでっかい金魚の口はオイラの秘密基地にするよ~」
「アハハ、待ってバリカン。私も入れてー!……あら?」
バリカンと公園に遊びに来ていたキャロンは、
一人暗い表情でブランコに乗る少女を見つけた。
「ねえバリカン、あの子元気がなさそうよ。誘って一緒に遊びましょうよ!」
「本当だ、行こうよキャロンちゃん!」
二人はブランコの少女に声をかけた。
「こんにちは。私キャロンっていうの。あなたお名前は?一人で遊んでるの?
私達と一緒に遊ばない?」
少女は一度顔を上げたが、また下を向いてしまう。
「ごめんねー。子日は今日、厄日なんだよー。
ううん、今日だけじゃない、明日も明後日もずっと……」
「どうしたの。何か悩み事でもあるの?」
子日は少しためらってから話しだした。
「子日は艦娘なんだけどね、一度も出撃したことがないの。
生まれてからすぐに砲だけ外されて、ずっと宿舎で出撃の日を待ってるの。
でも、もうそんな日は絶対に来ないんだよー」
そして素手になった左腕を見る。
「まぁ、どうしてなの?」
「提督が、駆逐艦は改二がたくさんいるから、普通の駆逐艦はもういいって。
せめて砲を返してって言ったら
“カロネード砲でも撃ってろ”って言われたんだよー……」
「ひどいわ、提督ったら!……そうだ、パパに相談してみましょう。
きっと何か力になってくれるわ!」
「そいつは名案だよ!なんたってパパはお医者さんですごく頭がいいからね!」
「なるほど、それでパパのところへ連れてきたんだね」
キャロンは子日をパパに会わせるため、泉一家にあてがわれた客室に連れてきた。
「はじめまして、子日だよ!」
「よろしく、子日君。キャロンから聞いたよ、何やら困っているそうじゃないか。
おじさんに話してみなさい」
子日はパパと握手をし、事情を説明した。パパは腕を組み目を閉じて考える。
「ううむ……確かにこの世界では当たり前のことなのかもしれないが、
少し提督は冷たすぎるな。よし、これについては私がなんとかしよう」
「本当!?パパ!」
「さすがはパパ、頼りになるでゲス」
「今日は子日、大安吉日の日―!」
「それで、具体的にはどうするの、パパ?」
気になった研が重要な点を質問した。パパはニヤリと笑って答えた。
「撃てば良いのさ、カロネード砲を」
その回答に一同がっかりする。
「やっぱり子日、災厄の日……」
「パパ、それはあんまりだよ。
カロネード砲って言ったら鉄球を撃ち出すだけの大昔の武器でしょ?
そんなのじゃ、まともに戦えないよ」
「まあ、そう早合点するもんじゃない。
ただのカロネード砲じゃあないぞ、とびきり強力に改造するのさ」
すると、パパは左脇のホルスターから銃型の装置を取り出した。
銃口から青白い炎が漏れている。
「これはガン細胞を消滅させる特殊光線アトスミヒだ。
パワーアップすれば生物はどろどろに溶けてしまう。
こいつを砲の内部に固定すれば、深海棲艦も焼き尽くせる強力な兵器になるだろう」
「そんなものを持っていたんだね、すごいよパパ!」
「ほら、さっそくカロネード砲を持ってきなさい。
私がボロの大砲を殺人光線銃に改造してあげよう」
「わかった!あれは重いから子日が自分で持ってくるよー!」
注)実際の艦これに「カロネード砲」という装備はありません。念のため。
……
………
「うんしょ、よいしょ……パパさん、持ってきたよー!」
「よし、そこに置きなさい」
「はーい!」
ドスン!……バキ
何やら嫌な音がしたが、皆聞かなかったことにして、パパは砲の改造を始めた。
トンテンカンテン、トンテンカンテン。
「よし出来たぞ、見た目はボロボロだが、
威力は戦艦の主砲にも引けを取らない特殊兵器だ」
「わーい!パパさんありがとう!」
「でも、あとの問題は提督が出撃させてくれるかだよね」
「大丈夫よきっと。これを見せれば子日ちゃんが頼りになるってわかってくれるわ!」
「よぉ~し、それじゃあみんなで執務室に突撃でゲス!」
左肩にアトスミヒ砲を担いだ子日を連れて、研達は執務室に向かった。
“素晴らしいよ泉さんどうにもならない駆逐艦を
強力な特殊攻撃艇に改造してくれるなんて、さっそく性能を試してみよう、
子日、君は今から一人でポイントPAC207の深海棲艦を皆殺しにしてくるんだ
失敗は許されない重要な任務だからね結果は戦死か勝利の二つにひとつだよ、
それじゃあがんばってねところで泉さん、さっき貴方の部屋から妙な音が”
バタン!
今日は珍しく研がドアを閉めた。
「やったー!子日、とうとう出撃の日!」
「よかったわね、子日ちゃん!」
「やっぱりパパは凄いお医者さんでゲス!」
「はは、私は大したことはしとらんよ。さぁ、子日君。
今すぐ指定のポイントへ行って、君の力を発揮してくるんだ。
深海棲艦達を震え上がらせてやれ」
「はーい!子日、初陣の日!」
──ポイントPAC207
小さな島と岩礁しかない赤道近くの広い海で、深海棲艦の群れがうろついている。
今からLv1のまま彼女達に戦いを挑むことになるのだが、
新兵器を装備した子日の心に不安はなかった。
「待ってましたぁ!」
彼女の声に気づいた軽巡や重巡達が目を向けると、たった1隻で向かってくる駆逐艦が。
彼女達は主砲を子日に向ける。だが、先制攻撃を仕掛けた子日も
アトスミヒ砲を敵艦隊に発射する。
「大丈夫、狙いを付けて、この紐を引っ張って……子日アターック!」
ボワワワアアアァ!!
“mlkfgw!?”
改造したカロネード砲から凄まじい勢いでアトスミヒが放たれる。
子日は薙ぎ払うように深海棲艦を攻撃し、アストミヒを浴びた敵艦が、
灼熱の赤道直下のアイスクリームのごとくあっという間に溶けていく。
気づけば深海棲艦達は皆、気色の悪い液体となり、海面を漂うだけとなった。
「やった……やった、子日勝ったよー!」
嬉しさに何度もその場で飛び跳ねる子日。そして彼女の体に変化が訪れる。
「子日、強くなった気がする……!」
敵を殺したことで経験値を得た子日がレベルアップしたのだ。
体の内から湧き出る力に気分が高揚する子日。
さっそく皆に戦果を報告しようと彼女は鎮守府へ向かって駆け出した。
……だが、そんな子日を彼方の上空から付け狙う者が居た。
UFOに乗ったジュラル星人である。
「おい、あの光線銃の威力を見たか。
あれなら研の奴もヘルメットごとドロドロにできるぞ。奪っちまおうぜ」
「確かに物凄い兵器だ。だが、あれを食らったら俺達もただじゃ済まない。
どうやってぶん取ればいい?」
「う~ん……そうだ!」
「どうした、何か考えでもあるのか」
「以前アイアン星撤去のために開発したバスカル光線があるだろう。
あれを使えば遠くから艦娘ごと捕まえられる」
「なるほど。ついでに人質も手に入って一石二鳥だ。
では、今からレーザー砲をバスカル光線に換装」
「諸元入力も完了した。いつでも撃てる」
そしてジュラルUFOから黄色い波動を伴う帯状のレーザーが発射された。
チョワチョワチョワチョワ……
バスカル光線が子日を捕らえ、彼女を引っ張りだした。
「え!?何これ!いやああ!」
子日の抵抗も虚しく、巨大隕石を誘導するほどのエネルギー光線で縛られ、
彼女はUFOに連れ去られてしまった。
その頃。
「子日ちゃん、今頃頑張ってるわよね。きっと勝てるわ!」
キャロン達は客室で子日の帰りを待っていた。
「パパの作った最強兵器があるから完全勝利間違いなしだよ~」
「う、うう……」
子日の勝利を信じて待つキャロン達だが、研の様子がおかしい。
苦しそうに頭を抱えている。
「どうした研、具合でも悪いのか。どこか痛いなら私に見せなさい」
「違うんだパパ、頭のなかに誰かが呼びかけてくる……僕、外に行ってきます!」
バタン!
「ああ、どうしたの研坊!?」
研は外に飛び出して行った。バリカン達も慌てて追いかける。
外に出ると研が聴覚を研ぎ澄まし、更に耳に手を当て、何かを聞き取ろうとした。
「一体どうしたというんだ、研」
「パパ、静かに……」
……けてー
だれか……たす…てー!
「いけない、子日ちゃんが危ない!」
研は両腕をクロスし、空高くジャンプ。チャージングゴーを発動した。
──チャージ、ゴー!!
光の力でチャージマン研に変身した研は、スカイロッドを呼び出しすぐさま乗り込んだ。
「どどど、どこ行くのさ研坊!」
「子日ちゃんがジュラル星人に拐われた!」
「なんですって!お兄ちゃんお願い、必ず子日ちゃんを助けて!」
「もちろんさ!」
ビューッ!!
研は全速力でポイントPAC207へ飛んでいった。
一方ジュラルUFOでは。
「たすけてー!誰か子日をたすけてー!」
「うるさい野郎だ、静かにしろい!」バシィ!
ジュラル星人の1人がタコ状の腕を床に叩きつけて脅す。
子日はアトスミヒ砲を取り上げられ、檻の中で囚われの身となっていた。
「さあ、痛い思いをしたくなかったら、この大砲の使い方を教えるんだ!」
「嫌よ!あなたジュラル星人ね!それは深海棲艦との戦いに必要なの、返して!
地球侵略になんか使わせないもん!」
「ならば仕方がない、少々痛い目にあってもらおうか」
ポチッ、ウィーン……
ジュラル星人がコンソールのボタンを押すと、
天井からドリルや丸鋸の付いたマニピュレーターが数本降りてきた。
それらが子日の顔のそばでいかにも苦痛を連想させる高音を立てる。
「この武器の秘密を吐くんだ、その顔を穴だらけにされたくなかったらな!」
「いやー、だれかー!」
いよいよ凶器の群れが子日に迫る。
ドリルが彼女の顔まであと1センチというところで異変が置きた。
船内に警報が鳴り響き、赤いランプが点灯する。
「おいパイロット、何が起きている!」
「研だ!研の野郎が追いかけてきた!」
「何だと!」
スカイロッドで太平洋を渡り、ようやくジュラル星人のUFOに追いついた研。
「やっぱりだ、子日ちゃんの悲鳴が聞こえる!彼女はあの中に!」
だが、研の存在に気づいたジュラルUFOが攻撃を開始した。
ハッチ周辺のビーム射出管からレーザーを何発も発射し、
スカイロッドを撃ち落とそうとする。ことごとく回避するが打開策が見つからない。
ちょうどジュラルUFOの真上を通った時、鉄の檻に入れられた子日の姿が見えた。
彼女は拷問を受ける寸前だ、どうする……!?
「仕方がない……えいっ!」
研はジュラルUFOを追い越しざま反転し、船首アルファガンを撃った。
見事に命中し、UFOは大爆発を起こした。
こうして、研はジュラル星人の企みを阻止し、殲滅することに成功した。
「おーい、子日ちゃーん!居たら返事をしておくれよー!」
研はガドロシューズで海上を駆けながら、UFOの残骸が散らばる海を捜索していた。
すると、どこからともなく規則的に何かを叩く音が聞こえてきた。
これは……モールス信号、SOSだ!
研が音の方向へ向かうと、倒れた子日が目を回しながら残骸同士を叩き合わせていた。
「今日はなんの日……爆発の日~」
「子日ちゃん、無事だったんだね!」
「あのね、子日捕まってたらね、いきなりドッカーンって……」
「無理に喋らないで、怪我をしているんだから。さあ、スカイロッドで戻ろう」
「子日ちゃん、無事でよかったわ!」
「キャロンちゃんも応援ありがとー!私、一気に10もレベルアップしちゃったの!」
抱き合って無事を喜び合うキャロンと子日。
「研、よくやったぞ。アトスミヒ砲はなくなってしまったが、
よく考えたら、あんな危険なものはない方がいいに決まってる。
しかし、よく囚われの子日を助け出せたな」
「スカイロッドから、あの子が鋼鉄の檻に入れられてるのが見えたんだ。
だから爆発にも耐えられると思ってアルファガンでUFOを撃った。
そしたら計算通り、彼女は無事海の上で助けを待っていたってことなんだよ」
「なかなかやるな~研坊」
「ただ、ひとつ気がかりなことが……」
「どうしたんだ、研。全て上手く行ったじゃないか」
「子日のこれからだよ。アトスミヒ砲がなくなった今、
また彼女が以前のように放って置かれてしまうんじゃないかと……」
「それなら心配ない。さっき提督が言っていたよ」
“子日のレベルが上がったって?それなら話は違ってくる。
第4艦隊が解放されたばかりだから彼女には遠征部隊に入ってもらうことにしよう、
うちの部隊はなぜか燃料が慢性的に不足しているから他の駆逐艦や軽巡洋艦達と
調達の任務についてもらうことにするよ、立ってる奴は親でも使えっていうだろう
ハッハッハ”
バタン!
「聞いたかい子日ちゃん!これからは君にも任務が与えられることになったよ!」
「本当!?やっぱり子日、大安の日―!」
「よかったわねぇ、子日ちゃん。これからはもう誰にも役立たずなんて言わせないわ」
アハハハ…… フフフ…… エヘヘヘ……
部屋に皆の皆の笑い声が響く。そうだ、こんな悲しみのない世界が僕の理想なんだ。
僕も頑張らなきゃ!研も笑顔を浮かべながらそんなことを考えていた。