【一応】艦隊これくしょんVSチャージマン研!【完結済?】   作:焼き鳥タレ派

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第5話 恐怖!悪魔のパチンコ屋

艦娘宿舎裏。

今日の任務を終えた十数名の艦娘達がこっそりと集まっていた。

皆、何かの目的のために集まっているようだが、どこか目が虚ろで、

前を見ているようで見ていない。何かで頭が一杯になっているようだ。

 

「ねぇ、今日も行くんでしょう?」

 

「モチよ、あんなに楽しいこと他にないんだもの」

 

「よし決まりね急ぎましょう」

 

そして彼女達はぞろぞろと何処かへ出発した。

そんな彼女達の様子を、積み上げられた資材の影から窺う者がいた。研である。

 

「楽しいこと?一体なんだろう」

 

研は艦娘達に気づかれないよう尾行を開始した。歩くこと15分。

鎮守府の外れに軍事施設にふさわしくない、派手なネオンが輝く建物が見えた。

艦娘達は皆その中へ入っていく。

それを見た研も自動ドアをくぐって中に入ろうとした。だが、

 

「あー、駄目だよ君、ここは18歳未満は立入禁止なんだから」

 

制服を来た中年の店員に止められてしまった。彼が指差したところには

“18歳未満の入場お断り”と書かれたプレートが貼られていた。

 

「お願いです、知り合いに何かが起きてるんです!中に入らせてください!」

 

「駄目駄目、遊技場に子供は……ハッ!と、とにかく帰ってくれ。さぁ、さぁ!」

 

研は半ば強引に追い出されてしまった。

 

「怪しい……でもあの店員がいる限り、僕は中に入れない!」

 

結局その日研は後戻りするしかなかった。

 

「フッフッフッフッ……奴が子供である限り、この砦に侵入することはできない。

正義のヒーローとやらが、年齢制限を破ることなどできはしないのだからな!

ハハハハハ!!」

 

制服の中年は高笑いを上げた。

 

 

 

 

 

「……というわけで、今日の作戦は失敗だったんです、すみません提督」

 

「そうか……いや、君のせいじゃないありがとう」

 

いつも言いたいことだけ言って去ってしまう提督がやけに静かだ。

というか、服がボロボロで真っ白な軍服が見る影もない。

提督はある問題で泉一家を頼ってきた。

無残な姿で客室のソファに座る提督の姿は哀愁を帯びていた。

研はその問題で艦娘達の様子を探っていたのだが、

今日は例の店員に邪魔されてこれ以上の捜査ができなかった。

話は今日の昼過ぎに遡る。

 

 

 

 

“提督、折り入ってお願いがあるんですが……

来月分のお給金を前借りさせてもらえませんか?”

“なんだねまた君達かね一体これで何度目だと思っている

先月も給料を前借りしていたじゃないか君らは何にそんなに金を使っているんだ

とにかくこれ以上の前借りには応じられない全員持ち場に戻りたまえいいね”

 

そして、いつもどおりドアを閉めようとしたが、艦娘に足を挟まれた。

 

“お願いです来月には倍にして返しますから!”

“今日はCRウォーシップガンナーが釘甘設定なんです、絶対大当たりが来ます!”

“今度こそ、今度こそチューリップに叩き込んで見せます、お願いです!”

 

いつの間にか執務室に入り込んでいた艦娘達の目はまるで幽鬼のようであった。

 

“君達は一体何を言ってるんだ!釘甘だの大当たりだの何のことだ!”

“1万、いや、2万でいいんです!”

“ポケットよ、財布があるわ!”

 

なだれ込んだ勢いで提督に襲いかかる艦娘達。

 

“うわー!やめろ、やめたまえ君達!”

“ピストルだわ、質入れすれば5千円にはなるわよ!”

“この際なんでも剥ぎ取るのよ、後で返せば問題ない!”

 

ビリッ、バリッ、ガタガタ!

 

まともな思考能力を失っている艦娘達に提督がズタボロにされていく。

 

“やめろー!正気に戻るんだ!”

“やったー今日こそドル箱いっぱいにするわよ!”

“早く、みんなで山分けしましょう!”

 

そして狂った艦娘達は提督を放ったらかして意気揚々と引き上げていった。

 

 

 

 

 

「どうしてこんなことになってしまったのか……

1人や2人なら軍法会議でギロチン送りに出来るんだが、

十名を超える艦娘の中には我が艦隊の精鋭、戦艦や正規空母もいる。

彼女達を失うと深海棲艦との戦いに大きな支障を来す」

 

苦い記憶を思い出し、うなだれる提督。

 

「パパ、僕にも彼女達が言っている意味がわかりません。

一体皆さんは何のためにお金を集めていたんでしょう」

 

研の報告と提督の身に起きた出来事を整理したパパは、目を閉じて腕を組み考え込んだ。

待つこと数秒。

 

「……そうか、思い出したぞ」

 

「何か知ってるんですか、パパ?」

 

「20世紀から21世紀にかけて、法の網をすりぬけた

パチンコという賭博場が流行っていたんだ。

ギャンブル依存症を助長するとして22世紀に全面禁止になったんだが、

この世界に元々存在しなかったとすると……」

 

「黒幕はジュラル星人、ということですね!」

 

「その通り、研。どうにかして奴らの尻尾を掴むんだ」

 

「わかりました。でも……あの建物は18歳未満は立入禁止で手が出せないんです」

 

「ふふ、以前学んだことを忘れたのか?お前には頼れる仲間がいるだろう」

 

「そうか!龍田さんや天龍さんなら!」

 

 

 

 

 

──軽巡用宿舎 天龍の部屋

 

「ああいいぜ。オレも最近みんなの様子がおかしくなってることが気になってたんだ」

 

「ええ、まるでみんなの目に¥マークが浮かんでるようにギラギラしてて……」

 

研は龍田と天龍に協力を要請した。すると彼女達は快く引き受けてくれた。

 

「天龍さんたちは行ったことはないんですか?」

 

「ないね。あいつらは楽しんでるみたいだが、オレの血を滾らせるのは、

戦場での……フッ、砲火だけさ」

 

「今の変な間は気にしないで研君。とにかく私達は協力を惜しまないわ。

具体的に何をすればいいのかしら」

 

「中に入ってとにかくみなさんを説得してください。

僕は換金場にいるジュラル星人を叩き出して情報を吐かせます」

 

「換金場だぁ?」

 

「はい、父が言っていました!」

 

“いいか、研。パチンコ屋が法の網をすり抜けた手口はこうだ。

まず、大当たりを出して玉を儲けた客が、景品交換所で

ライターの石みたいな無価値なものと交換する。

客はそれを持って、同じ敷地内やすぐ隣にある換金所で

今の景品を”買い取ってもらう“という仕組みを取っていたんだ。

パチンコ屋と換金所は建前の上では無関係だから

実質賭博のパチンコが長年見過ごされてきたというわけなんだ”

 

「なるほどな、いつ、どの世界でもあくどいやつは悪知恵が働くもんだ」

 

「換金所なら僕も近づけます、お二人は潜入調査をお願いします!」

 

「わかったわ、あなたも気をつけてね」

 

 

 

 

 

──パチンコ屋裏 換金所

 

パチンコ屋の影に人一人が入れるような小さな小屋がある。

小屋には店員の手しか見えないほど小さな窓がある。そこに何者かが近づいてきた。

 

「おーい、“買い取り”頼むよー……」

 

「おめでとうございます、では景品を」

 

「ああ、これが景品だ……アルファガン!!」

 

小窓から銃を持った手が突っ込まれる。

 

「な、なんだ強盗か!?」

 

客の正体はチャージングゴーをしたチャージマン研だった。

 

「シラを切っても無駄だぞ!さぁ、パチンコ屋の秘密を吐け!

さもないとお前を灰にしてしまうぞ!」

 

「おのれチャージマン、卑怯な手を!」

 

「卑怯なのはお前達だ!よくも怪しい手で艦娘のみんなをギャンブル中毒にしたな!

さぁ、早く小屋から出るんだ、ゆっくりと!」

 

「く、くそう……」

 

 

 

 

 

──PACHINKOジュラール 店内

 

“まーもるも せーむるも くーろがーねのー”

 

軍艦行進曲が流れ、ジャラジャラと銀玉の流れる店内を龍田と天龍はうろついていた。

皆必死の形相でパチンコ台に向き合い、右手で銀玉を弾いている。

ルーレットが周りリーチが掛かると、顔が張り付くほど台を睨み、

外れると全身の力が抜けたように椅子にもたれる。どう見ても病気だった。

 

「……なあ龍田、これは早いとこなんとしないとマズいぜ。

研坊待ってる場合じゃねえ、いざとなったら力づくでも止めるぞ」

 

「そうね、まずは片っ端から声をかけてみましょう」

 

 

……

………

 

 

「ねえ貴女、この辺にしたほうがいいわ。もういくら使ったの?」

「うるさいわねえ、今良いところなんだから!まだ5万よ!」

「貴女お給金10万ちょっとじゃない、もう半分も使ってるのよ?目を覚まして!」

 

「おい、お前自分が何やってんのかわかってんのか?

博打なんざ必ず胴元が勝つようにできてんだよ!ここで退いとけ!」

「何言ってるのよ、当たってる娘もいるわ!今確変中なの邪魔しないで!」

 

その後も天龍達は艦娘達に金の無駄遣いを止めるよう説得したが、

耳を貸す者はいなかった。

皆、回るルーレットに夢中でろくに話が頭に入っていなかった。

次こそは、次こそは当たると根拠もなく信じ切っている彼女達を、

言葉でパチンコ台から引き剥がすことは不可能だった。

 

 

 

 

 

その頃、バックヤードでは。

 

ジュラル星人達が沢山のモニターで、

店内の様子や各台の当たり率などのデータを監視していた。

 

「フフフ、9番台の客は完全に落ちたな。

台の中に仕込んだギャンブル依存症加速音波発生装置で、

パチンコなしでは生きられなくなった」

 

「他の連中も時間の問題だ。

フフフ、出す出さないなど、こちらのコンピューターで自由自在だというのに、

運次第で当たると思っているのだから哀れなものだ。おっと、16番が席を立ちそうだ。

派手なリーチを連発して引き止めるとするか。当然全てハズレだが」

 

「艦娘共が借金まみれになり、鎮守府が財政不安で潰れれば、

行き場を失った研達は我々が手を下さずとも行き倒れの目に遭うというわけだ。

魔王様の考えたデス・ルーレット作戦は達成間近だ!」

 

“ハハハハハ……”

 

ジュラル星人が笑い声を上げる。

 

 

──笑っているのも今のうちだ!

 

 

バックヤードに勇ましい声が響く。慌てて辺りを見回すジュラル星人達。

すると、そこには裏口から入ったチャージマン研がいた。

 

「馬鹿な、なぜここの場所がわかった!?」

 

「換金所のお前の仲間が全部喋ったよ!」

 

「畜生、仲間はどうした!」

 

「撃ったに決まっているだろう!

地球を蝕むジュラル星人は、1人も生かしてはおけないんだ!」

 

「くそう、こうなれば俺達でお前を始末する!」

 

ジュラル星人達は緑の眼球から抹茶色のビームを発射した。

しかし、研のヘルメットのバイザーがそれを防御。そして研も反撃に出る。

 

「アルファガン!」

 

「ギャーッ!!」

「うわあああ……」

 

裏でパチンコ台を操作していたジュラル星人を倒すと、研は急いで店内に飛び込んだ。

 

「天龍さん、龍田さん!」

 

「ああ、研坊!駄目だ、みんな完全にこれに取り憑かれてやがる!」

 

「こいつめ、よくも我々の計画の邪魔をしてくれたな!」

 

その時、ナイフを持った中年の店員が研に飛びかかってきた。

だが、腰だめ撃ちで放ったアルファガンの方が早かった。

 

「ぐあああ……」

 

中年男の消滅を確認した研は次の手を打った。

 

「皆さん、これを見てください!」

 

研は空いている台をアルファガンで撃つ。台はドロドロに溶けてなくなった。

 

“キャアアア!”

“何なのこれ!?”

 

「あなたたちはこれに操られていたんです!財布の中を見てください。それが現実です」

 

“あっ……”

“すっからかんじゃない……”

“こんなにつぎ込んだのに、何も残らないなんて……”

 

「みんな、目を覚ましてくれたみたいね。失ったものは多いけれど」

 

「これがギャンブルの恐ろしさ、ということなんですね」

 

 

 

 

 

“いやあ研君ありがとう助かったよそれに泉先生もありがとうございます

パチンコ依存症になった艦娘を記憶消去薬で治してくれて。

もうみんな以前のような慎ましやかな生活に戻ったよ、いやよかった本当によかった

やっぱり持つべきものは友だねじゃあ私は忙しいから失礼するよ”

 

バタン!

 

「研、今回もよくやったな。危うく私達は寝床を失うところだったというわけだ。

ハッハッハ」

 

「龍田さんたちの協力あってのことですよ。

しかし、ジュラル星人も、大昔の賭博場を兵器に改造するとは、敵もさるものですね」

 

「うん……」

 

「パチンコならおいらのワルサーのほうがずっと楽しいやい」

 

バリカンは玩具の銀玉鉄砲をポン、と撃った。

 

「アハハ、バリカン。パチンコはパチンコでも、玩具のパチンコじゃないんだよ」

 

ハハハハ…… フフフフ……

 

研の活躍によってまたしても地球の危機は去った。

しかしこれでジュラル星人が諦めたわけではない。

頑張れチャージマン研、負けるなチャージマン研!

 

 




パチンコについては付け焼き刃の知識のため、多少の間違いはお許し下さい。

パチンコは 適度に楽しむ 遊びです
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