1話 火竜の帰還
ゼレフと和解し共にアクノロギアと戦い勝利と同時にこの世を去ってしまった。そう思い込んでいたナツは真っ白な空間に1人立っていた。
「ここどこだ?」
訳がわからないナツはその空間を歩き回る。すると突然一つの影が現れた。
「やあナツ」
目の前に現れたのはナツ自身の兄ゼレフ・ドラグニルだ。
「兄ちゃん...ここはどこなんだ?」
ナツは周りをキョロキョロしながらゼレフに聞く。
「もう、僕のことを兄と読んでくれるんだねナツ、ありがとう。」
そう言ってゼレフは頭を下げる。
「ギルドの仲間を傷つけた罪は重い。ホントなら兄ちゃんも倒さないと行けないけど...それを俺は出来ねぇ。どんなに腐っても家族の縁は切らねぇんだ。」
ナツの言葉を聞き、ゼレフは涙を流す。彼は長い時をナツの為に費やした。そして、魔法の理を侵したことによりアンクセラム神に呪いをかけられた。命を尊く思えば思うほど命を奪ってしまう恐ろしい呪いだ。そしてその呪いはそれだけでなく彼の命も不老不死という形で死ぬよりも辛いものを見せられてきたのだ。それでもナツのことを思っているゼレフにナツも考えたのだ。
「ナツ、ここはね世界の狭間っていう所なんだ。君は死んだけど死んでない。そういう魂がうろつく空間だよ。」
「その空間になんで俺と兄ちゃんがいるんだ?」
なにを言いたいのかさっぱり分からないナツはもどかしい様だ。
「まあ、簡潔に言うとね、君と僕は時を遡るんだ。」
「遡る?」
「もう1度アクノロギアを倒すために1から始めるんだ。つまり、僕達はX777年に行ってまた実力をつけてアクノロギアと戦うんだ。」
ゼレフのいっていることはこうだ。
1.X777年に時を遡る
2.今までと同じ行動をしながら今以上の実力をつける
3.アクノロギアを倒す
「なんか簡単すぎんな、ほんとに勝てんのか?」
「うん、僕とナツ、そしてイシュガルを代表とするギルド達がいれば必ず勝てる。ナツ、君はもうENDなんかじゃない。れっきとした人なんだ。だからもう君は悪魔か竜かで悩むことは無い。それじゃあそろそろ行こうか。僕はあっちの世界にいったら当分は会えないと思う。僕が残した負の遺産を回収に行かないと。」
ナツはうなづき、ゼレフが祈りをささげるように合掌をする、すると真っ白の空間は消え、真っ暗になった。
ナツの意識が朦朧とする中、ゼレフの声が聞こえる。
「あっちの世界に行くのはナツ、僕、そして4人の滅竜魔導士、そしてその属性を教わるドラゴンたちだ。姿は見えなくても君の中にイグニールはいる、会話もできるから困ったときは聞くといい。」
そして意識が暗転した。
X777年、ナツは意識がはっきりすると周りには草原が地平線の彼方まで広がっていた。
「ここは…イグニールがいなくなった時の場所…」
ナツはそのまま腕を見ると違和感を感じた。
手が小さくなっているのだ。慌てて水溜りに顔を映す。
「おお・・・」
ナツは少年に戻っていた。前回のような筋肉は無く細い筋肉が体を覆っている。
「ほんとに戻ってきたんだな。」
『そうだぞナツ。』
頭の中に声が聞こえる。
「この声…まさか!」
『心を落ち着かせるのだ。そしてゆっくりと目を閉じてみるのだ。』
「スー、ハー…」
ナツは目をゆっくりと閉じた。
目の前にはナツの育て親、炎竜王イグニールがいたのだ。
「と、とうちゃん…」
『久しぶりだなナツ。一年ぶりか?』
「ああ、イグニール。俺これからもっと強くなるぜ!俺達がアクノロギアを倒すから!だから俺!イグニールにずっとここで俺を見てほしいんだ!」
ナツははしゃぎながらイグニールに未来を語った。その光景を見てイグニールは優しくナツに微笑む。
『そうかそうか、分かった。俺はお前の中でずっと見守っておる、約束にひとつ魔法を教えてやろう。』
イグニールは腕に炎を流し、地面に思い切り叩きつける。するとナツの空間なのに大地のようなものが二つに分かれて火を噴いていた。
「すっげー!!流石イグニール!なんて魔法なんだ!?」
ナツは子供の目をしてキラキラとイグニールに聞く。
「これは炎竜王の崩刃という、お前が修行した炎竜王の崩拳と同じくらいの実力を必要とするがその分強いぞ、そしてこの技はまだ未完成だということもいっておこう。」
ナツは首をかしげながら未完成の意味を聞いた。
『この魔法は完成がそれぞれ違ってそれを完成させるのはお前なのだよ、この魔法は滅竜奥儀の元とでも思えばよい。』
「おう!分かった!見てろよ!俺がイグニールを超えるんだ!」
ナツは笑顔でイグニールに叫んだ。
『さて、そろそろ俺は眠りに着くとしよう。ナツ、これから先まだまだ足りないものが増えていく、そのときお前は俺を思い出すんだ。そうすれば俺はお前のためになんでもしてやろう。そして俺が何もできないときは家族と愛するものを頼るのだ。今のゼレフは昔の俺の友人であるお前の兄、ゼレフ・ドラグニルだ。黒魔導士なんかじゃあ無い。だからナツ、お前を大切に思っているもの達の為に強くなるんだぞ!』
イグニールの声が薄れていく。暫くしてナツは目を開け、フッと笑った。
「わーてるよ、イグニール。俺はギルドのため、兄ちゃんのために戦う。愛してる人ってのはわかんねーけど強くなるぜ!よーし!出発だー!」
ナツは大きく足を踏み出した走った。
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