Vampire and a magic girls / RE.   作:眼鏡花

4 / 22
 誤字は大丈夫……なはず。
 探し続けていたら予定より大分遅くなってしまいまして。
 ってか、戦闘描写が上手く書けないし続かない……鏡、どうすれば?
鏡「ガンバw」
 ……。気を引き締めなおして
 では、どうぞ。


Three

「眠りたまえ」

 

 練り上げておいた魔力を使い、背後に居る二人だけに魔術を掛ける。

 この手の魔術はどうしても苦手なため、イメージを固める為にフィンガースナップを鳴らす。パチンッと小気味良い音鳴らした直後、愛らしい泣き声はなりを潜め、代わりに規則正しい寝息が聞こえてくる。

 

「凍れ」

 

 残った魔力を元手に、足元から牙のように突き出る氷柱をイメージし、言葉を唱えれば、人間達に向けて氷柱の列が出来上がっていく。氷牙。そう呼べる代物がコンクリートから這い出るように形成されていく。

 その直線上に居た男二名は何が起こっているのか理解しきれていないような顔か、オブジェに気を取られていたのか。どちらにせよ氷牙の接近に気が付いた時は、既に手遅れだった。

 

「うわぁ―――ヴ、ア゙ッ!?」

「ブェッ!?」

 

 片方はその場で背中から串刺しにされ、状態を僅かに逸らした直後に頭を貫かれ、もう片方は無理に避けようとしたのか、頭、腹、右の腿を貫かれて絶命した。

 後、三人。

 

「う、うわぁあああああ!?」

 

 男の一人が錯乱し、その手に収まっている拳銃を乱射する。

 バンバンバン―――と、薬莢が転げ弾丸が飛来する。

 斜視というのはこういう時にとても厄介だ。幾つもの弾丸が倍の数来るように見えて避けづらい事この上ない。

 だから、私は避けなかった。

 

「水よ」

 

 私の背後に、虚空から水のカーテンが姿を現す。唯の水では無い。過剰なまでの水圧を掛けた物だ。形が歪もうとも、水圧が緩むことは無い。

 例えば、深海数千メートルの場所に地上にある物が行き成り放り込まれればまず圧砕されるか、潰れるか。どちらも同じか。そして、圧縮された分それだけ密度も高く、重さもあるのだ。

 だからだろう。幾つかの弾丸が私の体に穴を開けても、後ろのカーテンに穴を開けられる道理は無い。

 

「ヒ、ヒイイイイ!?」

 

 カチッ、カチッと拳銃から音が聞こえた。弾切れを起こしたようだ。その間にも私は傷を塞いでいく。男は恐怖で体を震わせ、私の目には薄着で大雪原に飛び込んだ大馬鹿者のように映った。

 

「もう終わりかね?」

「バ、化けも―――」

「ちっ」

 

 私を化け物と呼ぼうとした男は、気が付けば背後に回っていた黒髪の男に貫手で胸を抉られ、死んだ。

 その男と相対して気が付く。眼も赤くないし、髪の色も全く違うが、この男も夜月の民の関係者か。

 もう一人居た筈の男は、成程。血を殆ど吸われたらしく、死んだばかりだというのにミイラのようで、体温は既に失われている事だろう。

 

「おや、驚いた。まさか夜月の民が出て来るとは。至上派の者かね?」

「夜月の民? 古臭い。我ら夜の一族がそう呼ばれていたのは当の昔の話だ。……それにしてもこいつ等は使えないな。金も用意してやって、武器も揃えてやった。それに拘わらずこの体たらく。やはり、人間は人間か」

「その反応から、そうだと判断させてもらうよ」

 

 知らなかった。まさか、呼び名が変わっている等と考えた事など一度も無い。

 しかし、まさか夜月の民―――夜の一族の至上派が関わっていると為れば、おのずと見当は付く。

 

「合点がいったよ。君の目的は私の後ろに居る少女の片方。肯定派の者だからか、或いはその中でも重役の娘だからか。どちらにせよ、この場で殺そうという訳か。中々に馬鹿馬鹿しいね」

「人間が口出しするな。これは我々の問題だ。奇妙な事をしたようだが、吸血鬼に敵うとは思うなよ? 何なら、這い蹲って命乞いでもすれば半殺しですませてやろう」

「君の意見は尤もだ。だがね、それでは私は私に対して嘘吐きになってしまう。それだけは嫌なのだ。―――ああ、そうそう。それとだ。君は思い違いを二つ程しているようだ」

「何?」

 

 まさか、魔術の存在を知らないとは。夜月の民改め夜の一族は記憶操作の超能力か何かを使うことが出来る。ならば、目の前の男が魔術の存在を知らないのはおかしい。第一、一族内にも過去に居た筈なのだ。

 一族としては短命だっただろうが、それでも百近くまで生きた者が居たらしい。

 早く死んだが故に覚えて居る者が居なかった、なんて事は有るまい。

 まあ、それは良い。次いでだ。この男の思い上がりと思い込みを潰し、私は自らの思想を貫くとしよう。

 私には、肯定派と至上派の諍いというのは、心の底からどうでもいいのだから。

 

「一つ。私は人間では無い。一応ながら(・・・・・)君と同種にあたる存在だ。一つ。あまり、調子に乗るなよ―――若造が」

 

 一歩踏み込み、片手半剣を右手に持ち、二歩目を踏み込んで、左手で男の頭を捉える。そのまま抵抗される前に硬い壁へ投げつけ、鈍音が廃墟のビルに反響する。それがより一層鈍い音を際立てていた。

 

「ぐぅ!?」

「そうらっ!」

「くっ! 何、だ! その力は!?」

「それに答える義理は無いだろう、ね!」

 

 片手突きは転がるように躱されたが、そのまま横一閃。

 内壁にはひび割れた爪痕が残り、今度は髪の数本を飛ばしたようだが、その骨肉を断ち斬る事は未だ叶わない。

 再び薙いだ剣筋を手首と肘を曲げて軌道を突きの物へと変化させる。私の力により武器にも大きな負担が掛かってしまう。だが、私の武器はこの程度の無理で音を上げる程軟ではない。男はその変化に対応しきれていなかったが、致命傷は避けている辺りそれなりに出来るようだ。

 

「はっ!」

「ほう」

 

 それどころか、剣筋の合間を縫うように貫手を繰り出してくる。

 私の体は元々脆い。不死性に支えられているような物だから、言い換えてみれば体が頑丈である意味が無いのかもしれない。だとすれば、この細腕の何処から化け物らしい怪力が湧いているのか、心底疑問である。

 剣を袈裟切りに振り下す。男は剣の腹に手の甲を添え、剣筋を変えてしまう。もう片方の手で私の胸へ貫手を繰り出そうとした。

 が、しかしだ。

 

「甘いよ」

「むぐ!?」

 

 私が初撃をどのように行ったのか、君は忘れたと言うのかね?

 それよりも早く左手で捉えた男の頭をそのまま垂直に振り下す。そうなれば、必然的にその頭は床に叩きつけられる。

 一度とは言わず、二度、三度、四度と。男は抵抗しているようだが、叩き付ける度に私の掌を剥がそうとする掌は離れてしまう。

 腕を振り上げ、空へ放り投げる。力加減を少しばかり間違えてしまった。天井に叩きつけられた男は、天井を足場代わりに蹴って重力の恩賜を受け私に向けて落下してきた。

 

「ええい、遊んでやるのも此処までだ! 死ね!」

「誰に向けて言っているのかね? 餓鬼」

 

 一直線に私目掛けてダーツのように飛んでくる―――落ちてくる男。その顔は憤怒と激昂によってその顔に備えられていた冷静さを匂わせる部分は一切無くなっていた。

 しかし、あれは格闘家か何かの皮を被った真正の脳筋のようだ。あれだけ一直線に進んで来れば、避けられれば自らが傷を負うというのに。それだけ、何処に剣先を添えれば良いか分かれば(・・・・・・・・・・・・・・・・・)、待ち受けているのは自らの死だというのに。

 カッ、と頭部に剣先が突き刺さる音が聞こえ、ぶちぶちと千切れる音が続いた。最後に赤転がりながらペンキでもぶちまけたように血を広める首無し死体。それは固い壁に打つかって、ぐちゃっ、と蛙でも叩き付けたような音を鳴らして動きを止めた。

 飛んで火に入る夏の虫とは、正しくこの男の事を示すのだろう。

 剣を払う。頭部と共に着いた血がある程度は取れたが、無理があるようだ。二、三度払って、これ以上は無理かと諦め剣をしまう。

 

「リリース」

 

 魔術を解除すると、氷牙と水のカーテンは空気に溶けるように、始めから無かったかのように消えた。カーテンの向こう側には、やはり寝息を立てたまま、先程は気が付かなかったが目の周りを赤くした二人が眠っていた。

本当ならば我が二つ名の由縁を使いたかったのだが、私の中にある堪忍袋の緒が切れたのだろう。

 私はきっと、あれだ。幼い子供を私と彼女の子供にでも見立てているのかもしれない。そうすれば、先程の怒りにも納得できる。

 

「それにしても」

 

 二人を腕に抱えながら、思う。

 

「あの男の力が弱かったのは、本当に若さ故か?」

 

 昔であれば、民の者達はあのくらいの体格を持っていれば並の大男以上の力は発揮できただろう。だが、私が殺した男はそれよりも弱く感じた。

 血が薄まっている可能性は、至上派はまず在り得ない。自らの存在が頂点であると本気で考えているあの者達に限って、それはまず無い。

 或いは寝返ったか。それならば説明は出来る。だが、人間との間に生まれたダムピール(半吸血鬼)とでも呼べる者を、受け入れるかどうかと聞かれれば些か疑問だ。

 尤も、血が薄まるという事項そのものが私の偏見を含めた勘違いというのも否定できないがね。そう判断したのは、私が今抱えている内の一人、紫髪の少女の匂いがそうだったからという理由だけだから、大分判断材料が足りない。

 

「ふむ。……手見上げ、か。その線もある」

 

 例えば肯定派の者の中でも、それをまとめ上げる重役、もしくはその子妻の首をもって赴けば受け入れられない事も無いだろう。

 そして、態々人間を雇ってまでこのような行いをした、と。

 

「何と馬鹿馬鹿しい。ならば誘拐してすぐに至上派の元に連れて行けば良かった物を。死に損しただけではないか」

 

 思わずため息を吐いてしまう。呆れたものだ。

 階段をどんどん下りて行く。硬い靴底の音を鳴らしながら歩けば、必然的にその音が響く。

 死体の処理を忘れていたが、まあいい。いざと為れば紫髪の子の親族にでも押し付ければいい。一応助けたのだから、その位の我が儘は通用する事を願おう。

 そう思いながら、階段を下って行った。

 

 

 

 

 




・主人公は考えこんでは、斜め上へ直進する時がたまにあります。それ以上に確信めいた事を感付く事もありますが。



なんか知り合いに色々教わりつつ水のカーテン出したんですけど……無理有るよなあ……orz
誤字を修正しました。ア゛ーーー…
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。