Vampire and a magic girls / RE.   作:眼鏡花

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 ああー……お腹の調子がすこぶる悪い……。気分も悪いし……夏風邪か? こうなったら蜂蜜コーヒーを飲むしか無い。
 昨日家族で行った人狼に(強制)参加させられ、気が付いたら勝っていて両親と妹に何考えてんのか読めないと畏怖されていました……泣いていいよね?orz
 そういえば、ふと思ったんですが他の作者の方も書く前にワードとかで筋道を立てているのでしょうか?
 眼花はそうしてます。
 それではどうぞ。

 あと、もうすぐテスト期間はいるんで更新できなくなる恐れあり。……書き貯め全放出にはまだ早いけど……仕方ないか?


Five

『……』

「私は視姦される趣味は無いのだ。言いたい事が在るのならば、その口で言ってくれ」

「幼い子が二人も居る中でそんな発言は控えて欲しいな」

「恭也、止して頂戴。ライネスさん、貴方も」

「……すまない」

「これは手厳しいね」

 

 冗談めかした発言は、月村家当主代理と名乗った月村忍―――の恋人である高町恭也によって疎められてしまった。殺気を乗せた視線と共にテーブルの上にある小太刀と思われる刀に手を伸ばしたところを忍君に止められていた。

 やれやれ、面倒な事になってきたな。ソファーに腰掛けたまま私はそう思わざるを得なかった。

 月村家のメイドが運転する―――これは後に知った事だ―――リムジンに乗り、そのまま月村家へと連れて行かれた。此処までは良かった。そして待ち受けていたのは、恭也君、アリサ君の父親であるデイビット君だった。

 アリサ君と車内で目を覚ましたすずか君は……私を見て怯えていた。それが原因で恭也君に危うく斬りかかられそうになった所で忍君が乱入。とりあえずソファーに腰掛けるように促され、今に至ると言う事だ。

 とても悲しい事に、子供が余計に苦手になってしまいそうだ。

 家内に入ってから気が付いたが中々に大きな豪奢な屋敷だ。このような家に住んでいると言うのに、夫妻は居らず忍君は自らを当主代理と呼称した。……この家を留守にしている、という事だろうか。

 「忍サん、『シかん』って何でスか?」「デ、デイビットさん!?」とアリサ君ことアリサ・バニングスの保護者であるデイビット・バニングスの問題発言にわたわたと慌てふためいてアリサ君が「すずか、『しかん』って?」「アリサちゃん!?」と似たようなやり取りをし始めた所で、恭也君が大きなわざとらしい咳込みでそれに終止符を打った。

 

「言った者が実行出来ていないのは問題があると思うぞ。デイビットさん、その意味は俺が後で教えますから、今後絶対に人前では言わないで下さいね? アリサちゃんは忍に後で確認を取るように」

「ご、ごめんなさい恭也」

「? わかりまシた」

「恭也さんが教えてくれないんですか?」

「……まあ、女の子に言い辛い話題とだけ。それはさて置き―――ライネスと言ったな」

 

 行き成り話を振られた。しかも、口調も先程の万人受けしそうなモノでは無く、もっと威圧的な印象を与える話し方だ。

 彼にとっては、此方の方が自然、素の状態なのだろうと考え「いかにも」とだけ返した。

 

「彼女達は俺の妹の友達だ。だから感謝はしている。だからこそ、初めの内に聞いておこうと思う。こう言っては何だが、お前は何の為に彼女達を助けた?」

「何の為に、か。真面目な(この手の)話で私は冗談虚言の類は言う心算は一切無い。一言で言うなら、そうだね。自己満足、それが相応しいのだろうよ」

「その言葉、嘘偽りは無いだろうな?」

「そう思ったのなら杭でも常備しておきたまえ」

「……なら良い」

 

 最愛の人が好きだったものを守る、私自身認めている自己満足と言えそれを疑われれば腹が立つ。

 この力は確かに破壊を行うのにはこれ以上無い程誂え向きである力だ。しかし、何かを守れる力かと聞かれればきっと私は、己以外の者を守るのは難しい、と答えるだろう。

 そういう力は、人間が持つべき力だ。隣人を愛せ、とは誰の言葉だったか。

 

「私からも一つ聞きたい。というか確認したいのだが、その前にも一つ確認しなければ為らない事が在る」

「確認シなければ為らない事……でスか」

「その通りだ、デイビット君」

 

 そう言って私はこの場にいる全員と一度目を合せながら、今から聞く事において必ず確認しておかなければならない事を口にした。

 場合によっては―――特に、少女二人はこれまでの関係が瓦解してしまうかもしれないが、それはそれで一人がもう一人を看取らねば為らなくなる、いつか訪れる結末を軽く出来るのだと思って納得して貰う他無い。

 

「この場に居る全ての者は、夜月の民―――夜の一族がどういった存在か把握している。その解釈で相違無いか?」

『―――ッ』

『え?』

 

 その問いに息を詰まらせたのは忍君、恭也君、デイビット君。

 疑問の声を出したのは、アリサ君ともう一人、予想外と言えば予想外であるすずか君であった。

 

「これは驚いた。まさか一族の中で一族について知らぬ者が居るとは。いや、これも肯定派だからと思えば頷けるが、そうなると忍君達が知っているのは妙だ」

「ら、ライネスサん。ソれは……」

「お父さん、何か知ってるの?」

「ウッ……」

「お姉ちゃん、恭也さん……どういう事ですか」

「……え、えーと、ね」

「…………」

 

 娘、妹の問いに歯切れの悪い言葉を返すしかない二人。問いかけを黙殺するしかない一人。

 まあ、すずか君に次いで予想外だったデイビット君は流石に語りだすのは難しいだろう。この話は月村家に大きく関わるものだ。その説明を別の家の人間であるデイビット君が娘に話せないのは、仕方が無い事だろう。

 

「私から話しておくかね?」

「……私から話します。二人とも。―――よく、聞いてね」

 

 忍君が私に言い、自らの口で語りだした。

 辛そうな、話したくなさそうな心情を隠しきれないままに、夜の一族の事を。

 

「ここに居る私とすずかは夜の一族という吸血鬼なの」

「吸血……鬼?」

「う、嘘でしょ? 嘘だよね、お姉ちゃん」

「いいえ。だって、すずか。貴方は薄々気が付いている筈よ。アリサちゃんも……」

「気が付いている……?」

「何に、ですか?」

 

 冗談か何かかと思いたかったのだろう。事実、二人とも余りに飛躍した話に着いて行けていないが、忍君の発言に少々気になる事が在った。

 気が付いている事とは、何の事だろうか?

 

「そうね、例えば……体育の授業。同じ位の年頃の男の子より速く走れたりするでしょ?」

『……あ』

「その様子だと、心当たりが有るみたいね」

 

 ああ、そういう事か。

 確かにあれ位の年頃で、尚且つ見目麗しい少女である筈のすずか君が同い年の少年を追い抜くような疾走を行えば、嫌でも心当たりという物は出て来る。

 それを忍君は、無知な少女達に教えた。

 

「それに、今回の誘拐だってその事が関わっていない訳では無いのよ。それを減らず口の絶えないお兄さんが本当に危ない状態になる前に助けてくれた(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)からまだマシよ」

「まあ、大分過去に耳に挟んだ話だが、君達以上に惨く凄惨な目を見た人間は幾人か知っているね。銀の刃物で斬りつけられた痛みで転がっているだけで、吸血鬼でも何でも無かった老婆が火炙りに掛けられそのまま焼け死んだのを見ていた事もあったか。君達をあのまま放置していたなら……そうだね。集団強姦された後にでも殺されていただろう」

 

 補足をするなら、夜の一族には人間が吸血鬼に効くと思っている銀やにんにく、日光などは通用しない故に、私からすれば長生きする事が可能な人間の一種か、一応の同族程度の認識でしかないがね。

 私の言葉を聞いて、顔面蒼白でカタカタと震える二人。にしても、特にアリサ君の怯え方は何処か異常だった。いや、確かに直接的な被害を(こうむ)りかけたのは彼女だ。それにしても、あの怯え方はまるで元々の精神的外傷(トラウマ)をほじくり返されたような、そんな風に思えた。

 過去にも同じような目にあった事があるというのか?

そんな私を睨み付けてくる三人の年長者(若造)

 いや、事実を事実として伝えたまでだったのだが、何処か悪い点でも在ったのだろうか。首を傾げていると忍君が言葉を出した。

 

「アリサちゃん。貴方には選択肢があるわ」

「何、ですか」

「これまでの記憶……いえ、違う。言い方が悪かったわ。今まで過ごしてきた記憶の中から『すずかと()が吸血鬼である』という記憶だけを消す事が出来る」

「!」

「……え?」

「記憶を消しても、これまでと同じように過ごせる。どうかしら?」

 

 忍君の言葉に肩を震わせたすずか君に、呆けた顔を晒すアリサ君。

 最後の方は暗に『記憶を消して貰いたい』という忍君の本音に聞こえてしまったのは私の考え過ぎだろうか?

 すずか君が俯き、アリサ君も俯いた。

 そこには明確な差異がある。小さな掌を諦めたように握っているか、己を奮い立たせるように握りしめているか。結局は握っている事に変わりないが、意味は全く異なっていた。

 

「アリサ……」

「ねえ、アリサちゃん。私の事は、気にしなくて良いよ。こんな(・・・)記憶無くなっても、友達で居られる事には変わりないから……」

「―――……るな」

 

 すずか君が言ったその一言。諦めの念を多大に含んだそれは―――アリサ君の逆鱗に触れた。

 我慢の限界を超えさせたようだ。

 

「―――ふっざけるなぁ! すずか! アンタは私を何だと思っているの! 私は友達の秘密一つ隠し通せない口軽な女な訳が無いでしょ!?」

「…………ア、リサちゃん?」

「いい、すずか! 皆、友達であっても親であっても、言いたくないような秘密は絶対に抱えてる。私だってそうよ!」

 

 すずか君の両肩を強く握り、顔を逸らさせないよう顔を見て大声で語りかける。

 すずか君は、どこか虚ろに見えた目に光が再び宿ったように見える。人形が人間になったかのようだ。

 隠し事をまくし立てたアリサ君は一息に言い切ったせいか呼吸を荒げ、それでも肩を掴む手を放さない。

 

「ハァー、ハァー…………すずか。逆に、アンタは、そんな私の事を嫌いになったり、しないの?」

「……す、する、訳ないよ!」

 

 アリサ君に抱き着き泣くすずか君。アリサ君も泣いていた。

 ああ、やはり彼女は人の子だ。私のような自らを見失うような弱い存在ではない! 化け物(吸血鬼)と知っていながらに受け入れたこの子を、心強き者と呼ばずして何と呼ぶというのだ!

 

 泣き止み、目元だけでなく我々に見られていたという羞恥心に耐え切れず顔をも赤くした二人を中心に、私が落とした(言った)爆弾(地雷)の影響は無くなっていた。

 

「では、私の質問に話を戻させてもらっても?」

「ああ。構わない」

「では……」

 

 これはこれで奇異の目で見られる可能性は有るが、確認して置いて損は無い筈だ。それに、私の事は別段話しても大した痛手には為り得ない。

 さて。

 

「忍君。ちょっとした力試しをしたいのだが、構わないかね?」

「……はい?」

 




どうでもいいような補足コーナー
主人公の台詞について。
・杭……吸血鬼は杭で心臓を打たれると死ぬ。暗に『嘘だと思うならいつでも殺せるようにしてかまわない』と言っていた。

・アリサの秘密……伏線。いまさらながら賛否両論の可能性が否定できない。むしろ絶対そうなる。

・~君……ライネスの最愛の人と当時の友人、奴と呼ばれる人ら以外にゃ必ず付く。ある種の区別。

 今回こそ誤字脱字が有りませんように……。
 前書きでまさかの誤字。
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