皐月と提督とバーニングラブ×2   作:TS百合好きの名無し

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ケッコンカッコカリ(バーニングラブ×2)

 

 

 

 金剛たちに自らの正体を明かした俺は、あの後みんなでちょっとした宴会を開いた。途中で正座をさせられ、時雨たちに延々と俺がいない間どれだけ大変だったのかということを怒られた。その間、金剛がずっと俺の背中にくっついていたものだから足が死にかけた。皐月たちは傍観しているだけで助けてはくれなかった。榛名がずっと金剛を羨ましそうに見ていたが。

 

 

「……ケッコンカッコカリか。取り寄せたのはいいが渡しづらくなってきたな……うぅむ」

 

 

 執務室にて俺は眼前の机に乗る指輪の入った小箱を見ながら唸っていた。

 

 

「カッコカリといってもこんなの意識してしまうだろうが……」

 

 

 恥ずかしい。これはただの戦力強化だ。そう、戦力強化だ。決して結婚では──────

 

 

「どうしたの司令官?」

 

 

「うおっ!?」

 

 

 突然皐月が現れた。

 

 

「お、お前いつから……」

 

 

「今来たとことだよ。それってケッコンカッコカリの指輪?」

 

 

「ああ、そうだ」

 

 

「ふぅん……ねぇ、これってボクも練度が99になったら貰えるの?」

 

 

 皐月がそんなことを言い出した。

 

 

「えっ!?」

 

 

「強くなれるんでしょ?」

 

 

「そ、そうだが」

 

 

「指輪っていうのがよく分からないけど、少なくともボクは司令官となら嫌じゃないよ」

 

 

「へ、へぇ……」

 

 

(そ、そういうものなのか?しかし,皐月がこんなことを言い出すとは……)

 

 

「……ぷっ」

 

 

「な、何だ?」

 

 

「いやぁ、なんかものすごく意識しちゃっているようで可愛いなーって」

 

 

 いつの間にかニヤニヤとしていた皐月が言う。

 

 

「お前っ!からかったのか!?」

 

 

「……さぁてね?金剛さんを呼んで来てあげるよ」

 

 

「い、いや、まだ待ってく───」

 

 

 皐月は俺の言葉に耳を貸さず、さっさと出て行ってしまった。焦る俺の耳に少ししてドタドタという走る音が聞こえ始めた。

 

 

(いや待て早すぎる!どこかで待機してたのかあのバーニングラブは!?)

 

 

「テ・イ・ト・クゥーー!!」バアアンッ

 

 

「……」ビクッ

 

 

「皐月から聞きマシタ!ケッコンカッコカリの指輪が執務室にあったと!」

 

 

「ふ、ふぅん……」

 

 

 キラキラとした顔で彼女が言う。

 

 

「た、確かに用意したが、戦力強化のためとはいえこういったものは少し意識してしまってな……」

 

 

 くそ、顔が熱い。

 

 

「照れるテートクもprettyデス!」

 

 

「う、うるさいぞ!」

 

 

「テートク……」

 

 

 彼女の目が真剣なものになる。

 

 

「別に強制するつもりはありマセン。嫌なら嫌って言ってくれていいデス……」

 

 

 彼女が少し泣きそうな顔になる。

 

 

(ああもう!そんな顔をするな!)

 

 

 覚悟を決めて言うことにした。

 

 

「金剛、俺とケッコンしてくれ」

 

 

「……テートク、時間と場所もそうだケド、ムードとタイミングも忘れたらNoなんだからネ?」

 

 

「俺はそこまで気の利く男じゃないんでな。で、どうだ?受け取ってくれるのか?」

 

 

「受け取るに決まってマース!」

 

 

 机の上の小箱から指輪を取り出し、金剛の左手を取る。

 

 

「どこにつけるんだこれ……」

 

 

「もちろん薬指デス」

 

 

「……分かった」

 

 

「……テートクはどうして結婚指輪を薬指につけるか知っていマスか?」

 

 

 指輪をはめようとした時、彼女が突然そんなことを聞いてきた。指輪をはめようとした手が止まる。

 

 

「え?」

 

 

「両手を合わせて両手の中指を第二関節の部分で折り曲げてぴったり重ねてみてくだサイ」

 

 

 指輪を小箱に戻し、言われた通りに両手を動かす。

 

 

「お、おう」

 

 

「そこから中指をくっつけたまま、ほかの指を親指、人差し指、小指の順に離していきマス」

 

 

 順番通りに指を離していった。ついでにそのまま薬指も離そうと……

 

 

「あれ?」

 

 

 薬指の腹が離れない。

 

 

「……親指は両親、人差し指は兄弟(姉妹)、中指は自分、薬指はパートナー、小指はパートナーとの間にできる子どもを表していマス。

 

 親指は簡単に外れマス。親元からいつかは離れ、自分の家庭を築く日が来マスから。

 人差し指も簡単に外れマス。兄弟もいつかは結婚して家庭を築く日が来マスから。

 小指も簡単に外れマス。自分たちの子どもも結婚して親元を離れる日が来マスから。

 ……でも、薬指は外れマセン。パートナーとは生涯一緒だから……」

 

 

 俺は黙ってそれを聞いていた。

 

 

「……」

 

 

「テートク、もう離れるのは嫌デス……」

 

 

「金剛……」

 

 

「これが()()()()であって()()ではないのは分かっていマス。デモ……」

 

 

 金剛がすがるような目で俺を見ていた。

 

 

(金剛はそこまで俺のことを……)

 

 

「ここまで想ってもらえると男としては嬉しいものだな」

 

 

「……」

 

 

「安心しろ。俺がお前たちから離れることはもうない。……左手を出せ」

 

 

「ハイ……」

 

 

 彼女の左手の薬指に指輪をはめる。彼女の顔を見るとまだ不安そうな顔をしていた。

 

 

「なあ、お前はどうして自分が相手にすがるような恋をしてしまうか分かるか?」

 

 

「え?」

 

 

「それは自分に自信がないからだ。相手に嫌われたくないからご機嫌を伺ったり、言いたいことを我慢する弱気な態度をとってしまう。だがな、俺がお前に対して一度でも嫌いだとか鬱陶しいだとか言ったり、お前を拒絶するような態度をとったことがあるか?」

 

 

「……ありマセン」

 

 

「俺はまだお前のことをそういう意味で好きなのかどうかは分からない。だが、お前に惹かれているのも確かだ。……忘れるな。俺はお前の好意に対してOKを出したから付き合うんだ。だから俺たちのどちらかが偉いなんてことはなく、いつでも対等なんだ」

 

 

「テートク……」

 

 

「もっと素直になれ。本音を隠すな。全部俺にぶつけてこい。本音を言わない自分を愛されてもお前は幸せになれない」

 

 

 俺が言い終えると同時に彼女は俺の胸へ飛び込んで来た。

 

 

「……一つだけワガママを言ってもいいデスか?」

 

 

「許可なんていらん」

 

 

「じゃあ……」

 

 

 瞬間、彼女に唇を奪われる。

 

 

「……!」

 

 

 触れるだけのキスだというのに、彼女はびくりと細い肩を跳ねさせ、こちらを上目遣いに見つめていた。

 

 

「……」

 

 

「……」

 

 

 ゆっくりと離れる。驚くほど柔らかな唇の感触が残っていた。

 

 

「キス……してもいいデスか?」

 

 

「……やってから言うなよ」

 

 

「……フフッ」

 

 

「あー……」

 

 

 自分は今どんな顔をしているんだろうか。とても見せられる顔ではないのは確かだ。

 

 

「好きデス」

 

 

 彼女が太陽のように明るい笑顔を浮かべていた。

 

 

「……」

 

 

 俺は思わずその笑顔に見惚れていた。今までの中で一番の笑顔だった。

 

 

「……もうすでに惚れているんだろうか?」

 

 

「……?」

 

 

 小さな呟きは彼女には聞こえなかったようだ。

 

 

 

 

 

 

 私───榛名は金剛お姉さまと提督のやり取りの一部始終を見ていました。

 

 

(胸が苦しいです……)

 

 

 お姉さまは本当に幸せそうに笑っています。それを見てしまうと榛名のこの思いは提督に打ち明けられません。お姉さまの恋はずっと昔から長く想い続けてきたもの……榛名とは比べものになりません。

 

 

(こんなにも辛いのなら恋なんて───)

 

 

「榛名。いるんでしょう?」

 

 

(えっ……)

 

 

 突然、お姉さまがこちらを見て言いました。

 

 

「出て来てくだサイ」

 

 

 お姉さまに言われ、榛名は執務室の扉を開けて中に入りました。

 

 

「榛名?い、いつからそこに……」

 

 

 提督が焦って言います。

 

 

「お姉さまが部屋に入ってすぐです……」

 

 

「つまり最初っから全部見られたのか……」

 

 

 提督が右手で顔を覆って天井を見上げました。

 

 

「ごめんなさい……」

 

 

「金剛は前から気付いてたのか?」

 

 

「ええ、でもワタシだけが告白するのはフェアじゃありマセンからそのままにしていました」

 

 

「ん?……え?どういうことだ?」

 

 

「……」

 

 

「ワタシはすでに榛名にここに来るまでの経緯は聞きマシタ。榛名が提督に惚れても仕方ないデス。いや、むしろ提督がこんなに想われるほどいい人なんだと思うと嬉しくさえ思いマス」

 

 

 お姉さまは笑顔でした。

 

 

「ええと、つまり?」

 

 

「榛名は提督のことが好きなんデス。ワタシと同じ意味で」

 

 

(ああ、提督の前で言われてしまいました……)

 

 

「……」

 

 

「お、お姉さま……」

 

 

「ワタシはもうテートクに十分な返事をもらいマシタ。次は榛名の番デス」

 

 

 そう言うとお姉さまは榛名に近付き、耳元でささやきました。

 

 

「……キスまでなら許しマス。頑張って」

 

 

 笑顔でウインクしてお姉さまが離れます。

 

 

「……本当にいいのですか?」

 

 

「残念ながらテートクはワタシ1人で支えられるほど小さい人じゃないので」

 

 

 笑顔のお姉さまを見て榛名は覚悟を決めました。ここまできたらもう逃げられません。

 

 

(は、榛名、全力で参ります!!)

 

 

 

 

 

 

(一体これはどういうことだ?榛名が俺を好き?金剛はそれを許す?)

 

 

 現在、俺は混乱していた。

 

 

「ほら、行くのデスよ榛名。ガツンと攻めるのデス!」

 

 

「お、おい金剛……」

 

 

「テートクはワタシに素直になれと言いマシタ。なら、榛名の素直な気持ちも聞いてあげてくだサイ」

 

 

「し、しかし……」

 

 

「ええい!こんな美少女に好かれて何が不満なんデスか!」

 

 

「二股だろ……」

 

 

「ワタシは納得してるからいいんデス」

 

 

「て、提督……」

 

 

 とりあえず榛名の話を聞くべきだろうと思い、俺は榛名の方を向いた。

 

 

「うっ……」

 

 

 そこには顔をほのかに赤くし、潤んだ瞳でこちらを見上げてくる大和撫子がいた。思わず見とれてしまう。

 

 

「好きです提督。榛名はあなたを愛しています!」

 

 

 彼女が決して小さくはない声で言う。

 

 

「……ああ、ありがとう。お前のこともきちんと見るようにするよ」

 

 

「し、失礼します」

 

 

 榛名にも唇を奪われる。彼女は目を必死に瞑っており、とても甘いキスだった。

 

 

「ぷはあ……」

 

 

「……大丈夫か?」

 

 

「は、榛名は大丈夫でしゅっ!!」

 

 

 彼女たちと立て続けにキスさせられた俺は……

 

 

(榛名は意外と積極的なんだな)

 

 

 もはや悟りを開き始めていた。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「えー、では金剛さんのケッコンカッコカリと金剛さんと榛名ちゃんの提督への告白成功を祝し、私たちからささやかなお祝いの会を開きました。さあ、乾杯いたしましょう!……乾杯!!」

 

 

 何故か夕食の席にてちょっとしたお祝いの会が開かれていた。お酒を片手に飛龍が司会をしている。

 

 

「飛龍……お前はただお酒が飲みたいだけなんじゃないのか?」

 

 

「ちょっ!?そんなことないですって!」

 

 

「どうかな……」

 

 

「私だって2人が羨ましいんですから!」

 

 

 突然飛龍が俺の頬にキスをする。

 

 

「お前にこういうことをされると新鮮だな」

 

 

「あれ?全然動揺してないよこの人!?こっちは結構勇気を出したのに!」

 

 

「なんかもう吹っ切れた」

 

 

「爆発しろ!!」

 

 

「爆発するのです」

 

 

 外野がひどいが何か忘れている気がする。

 

 

(お酒……お酒?……榛名!)

 

 

「今の榛名に酒はダメだ!」

 

 

「え?」

 

 

「てぇとくぅ~、ばぁにんぐらぁぶ!」ガバッ

 

 

「待つデス榛名!ワタシもバァーニングラァァブ!!」ガバッ

 

 

「うおわぁぁっ!?」

 

 

「あー、バーニングラブが2人になりましたね(笑)」

 

 

「笑ってる場合じゃない!」

 

 

「では、バーニングラブ×2とごゆっくり……」ススス

 

 

 俺に抱き付く榛名と金剛を放置して飛龍が逃げて行った。

 

 

「ま、待て!」

 

 

「えへへ~」スリスリ

 

 

「むにゅ……」ギュウウ

 

 

(金剛型サンドだこれ!?くそっ!煩悩退散煩悩退散。彼女たちを襲ってはいけないんだ!……柔らかい柔らかい柔らかい!!とにかくいい匂いが!!)

 

 

 俺は自分が22歳の健全な若者だということを思い出していた。

 

 

「司令官」

 

 

 声をかけてきたのは皐月だった。

 

 

「さ、皐月!ちょっと手を貸してくれ!」

 

 

 皐月は天使の微笑みで

 

 

「避妊はちゃんとしなきゃダメだよ?」

 

 

「おい待て!誰に教わったんだそんなの!お前は俺の心のオアシスだったのに!飛龍か!?飛龍なのか!?オイコラ飛龍戻って来い!!」

 

 

 

 結局、騒ぎは夜遅くまで続いた。

 

 

 

 

 

 





正妻は糖分の塊ですね……

金剛姉妹最高。

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