グリモアの日常   作:心理定規@輝星

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殴り書き作品その1。

ただ、好きだから書くだけですので悪しからず


虎千代様と、寧々ちゃん

 私立グリモワール学園より

 

 

 ここに転校してきて月日が経ち、ある程度学園での生活に慣れてきた今日この頃。多くの生徒と(主に女子)関わりを持つようになり、夢のような青春時代を満喫していた。もちろん、霧の魔物たちとの戦いもあるので、普通の高校生のような青春とはいえないが、それでも僕にとってはかけがえの無いものばかりだ。

 

 魔力供給だけが取り柄の僕は、いつも誰かを前に立たせて、自分自身は影で見守るだけ。戦いにおいては何も活躍ができないため仕方が無いのだが、やはり何も出来ないというのは、かゆい場所に手が届かないようなもどかしさがある。何か手助けはできないだろうか。せめて、少女達が少しでもらく出来ないだろうか。

 

 そう考えた僕は現在、学園の生徒会室に来ていた。

 

 

 ちょくちょく生徒会のメンバーに呼ばれておじゃましたりしたことはあったが、今回僕は初めて自らの意思でここにきた。事務机の上に乱雑に積み重なる書類の束が、生徒会メンバーの忙しさを際立たせている。しかし、いつもと比べると人は少なく、どこか寂しい気持ちにもなる。

 

 「ふむ、お前が自分の意志で来るのも珍しいな、転校生。何か用事でもあったか?わざわざ薫子や聖奈もいない時に来るなんて。しかも……」

 

 生徒会室の一番奥にある大きな机は生徒会長の席。大手企業の社長が座っていそうな椅子に腰をかけているのは武田虎千代さんだ。学園最強の魔法使いとされ、多くの生徒達に慕われている存在。クエストを共にしたこともあったが、彼女の強さは魔法知識に乏しい僕にもはっきりわかるほどに恐ろしいものだった。まさしく、生きる災害。……良い意味でだ。

 

 紅茶のほんのりとした甘い香りが漂ってくる。おそらく僕がこの時間に来ることを告げていたので、茶を用意してくれていたのだろう。

 

 来客用の別席につき、ありがたく紅茶を頂いていると、虎千代さんは困ったように目線を横に投げた。そこにいるのは。

 

 

 「このお菓子美味しい!虎千代ちゃん、これもっと頂戴!」

 

 「この通り、さっきからずっとお菓子をねだられてばかりなのだが……学園長も急に押しかけてくるし、どうなっているのだ?」

 

 

 小さい体に見合わぬ量のクッキーを頬張りながら虎千代さんにお菓子を催促しているのは、この学園の長、犬川寧々だ。学園長と呼ぶにしてはあまりにも幼く、誰かが手助けしないといけないくらいには、まだ学園長としては完璧ではない女の子だ。年相応に無邪気で少しわがままなところもあるが、それが彼女の長所でもあるのだろう。いつも誰かを振り回してばかりな気もするが、気のせいだろう。うん。

 

 

 「学園長は僕が呼んだんですよ。実は、少し提案がありまして」

 

 「て、転校生が呼んだのか。仕事に手がつけられなくて大変だったのだが……っと、提案?」

 

 「はい。といっても、他の生徒会のメンバーには速攻で断られそうなので、2人に聞いてもらいたくて」

 

 

 紅茶を飲み干して一息付き、僕は対面に座る2人に向けて顔を上げて。至って真剣な顔つきで口を開いた。

 

 

 「この学園に、お昼寝の時間を作るべきではないでしょうか!」

 

 

 そう、僕ができることといえば、唯一無二と言ってもいいであろうこの顔の広さ!風紀委員にも生徒会にも関係を持っている僕だからこそできる、お偉い人に相談しよう!のコーナーだ。今日がその第1回である。

 

 僕が大声で告げた言葉に、すぐさま反応したのはお菓子大好き学園長だ。

 

 「……!ネネ、お昼寝大好き!」

 

 「そうでしょうそうでしょう!学園長はお昼寝大好きですよね!そうだろうと思った、だからわざわざここに呼んだんですよ!」

 

 予想以上の食いつき具合に、虎千代さんも深いため息を一つ。急に何を言い出すんだ、とでも言いたげなため息だ。

 

 しかーし、こちらには学園最強(違う意味で)と言ってもいいであろう、学園長の犬川寧々ちゃんがついているのだ!お昼寝大好きなことは既にしらべている!

 

 「……わざわざ他のメンバーがいない時に来たのは」

 

 「多分僕の意見を聞くことなく却下するだろうと思ったからですね、はい」

 

 「はぁ……急に何を言い出すのかと思えば。幼稚園でもあるまいに」

 

 「えー、ネネはいいと思うけどなぁ。虎千代ちゃんも、たまにはぐっすり寝たいなぁとか思わないの?」

 

 こめかみを押さえて再びため息をつく虎千代さんに、横から寧々ちゃんがサポートに入ってくれた。

 

 今が好機だ!

 

 

 「そう、多分みんな、クエストとかの疲労が積み重なって疲れてるはず。でも、仕事が忙しくて休みたくても休めない人も多いと思うんですよ。そこで、学校から直接、昼寝の時間を設けることで、みんながストレスなく休めるような時間を作れば、幸せになるのではないかと!」

 

 「……一理、ある、のか?いや、しかし……」

 

 「虎千代ちゃん、目の下にクマができてるよ、休まなきゃ!」

 

 「おおっとぉ!それはいけない、虎千代さんも女の子なんですから、きちんと休まないと!お肌のケアは大切に、ストレスが溜まると肌に良くないですよ!」

 

 

 僕と寧々ちゃんの強い押しに、徐々に虎千代さんが動揺を隠せなくなってきた。これは葛藤しているな。たしかに一理ある、しかし勝手に決めていいものでもない。生徒会長としてどうするべきなのか、と。

 

 ふはは、これはもう勝ったな、風呂入ってくる!

 

 「よーし、決定!ネネが許可とってくるね!」

 

 「し、しかし……いや、もういいだろう!たしかに私も、休みが欲しかったからな。つかさの相手をしてクタクタだし、少し寝たい気分だ。私が許可するから、布団でもなんでも買ってくるといい!」

 

 「いいの?わーい!虎千代ちゃんはわかってるね。ネネ、可愛いお布団がほしい!」

 

 「しゃおらぁ!女の子と睡眠タイムとか僕得すぎてマジやばいっすわ!!」

 

 ついに折れた生徒会長。もはやヤケクソ気味ではあったが、結果オーライ。そんなことで大丈夫かとは思ったが、全ての原因は僕なので、あえてそこはツッコまないでおこう。そのままの流れで三人で握手をまじわし、謎の一体感が生まれた。

 

 その、直後。

 

 

 

 「……なーにやってんですか、あんたさん達」

 

 

 冷たく突き刺さってくるような声に一斉に部屋の入口へと顔を向けると。

 

 額に青筋を浮かべた金髪ツインテールの少女、風紀委員委員長、水無月風子が、鬼の形相でそこに立っていた────

 

 

 

 

 

 結末として。

 

 

 

 

 

 「……ボクハムジツデス、ハイ」

 

 「学園長を利用して新しい制度を作ろうとしたくせに、何を言ってやがるんですかね?」

 

 

 

 僕だけが罪を背負うこととなり(当然だ)、懲罰房に放り込まれました。

 

 

 

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