灼熱の卓球男 作:お酢
そうです。 灼熱スイッチです。
「へぇ…」
中学女子卓球総体の予選リーグ、そこで波乱が起こった。
「うそ… 凰堂学園が… 負けた?」
対するは全くの無名校。 誰も、この会場にいる誰もが予想だにしなかった事態だ。
実際、俺もトトカルチョがあれば凰堂学園に入れただろう。
「凰堂一強は終了か…」
起こる、始まるぞ! 群雄割拠の覇権争いが!
♤♠︎♤
「ふわぁ…」
「人の顔面に向けて大欠伸かますんじゃねえよ。」
俺の目の前にいるのは、幼馴染の後手キルカだ。 馬鹿でずぼらだが女子卓球部の主将。
「いやぁ、最近卓球できなくてねぇ…」
「関係ねえよ。」
こいつは最近足を痛めて、部活に全く顔を出していない。
確か、新入部員が入ってきてから一度もだったはずだ。
「もうちょいで治んだろ?」
「うん、 1週間もすればー。」
撫で肩のせいでダランと傾いて肩を露出させる制服を治すこともせず、また欠伸をする。
「どうでもいいけど制服直せや。 目のやり場にこまんだよ。」
「おやー? 私の体で興奮してるー?」
「お前の貧相な胸見て興奮するわけがねえだろうが。 どっちかっつうと大宗の方が…」
「呼んだ?」
「ゲッ。」
歩きながら話す俺たちの後ろから声をかけてきたのは、同級生の大宗夢音だ。
でかい、胸が。 因みにこいつは卓球部の副部長だ。
「あ、ムネムネ、今薺がー。」
「okキルカ、俺が悪かった。 小さいのも素敵だな!」
さすがに本人にバレるのは不味い…
あ、薺っていうのは俺の名前だ。 上矢薺がフルネーム。
女みたいな名前だがきちんと男だぜ?
「あ、悪い、俺このあと仕事なんだわ。」
「生徒会長は多忙だねー。」
「ああ、休みまくりの部長と違ってな。」
「頑張ってね。」
「おう、ありがとう大宗。」
「扱い違すぎない!?」
「気のせいだろ?」
二人と別れて生徒会室に向かう。
さて、今日の仕事は中央会議の内容の編集だったか…
♧♣︎♧
「んで、その転入生がランキング1位に?」
「うん。 正確にはあがりちゃんと1位争いをしてるんだけど、確かに強いよ。」
「へえ、あがりがねぇ…」
あがりは俺の妹だ。
昔から両親に「1番を目指せ!」だの言われて、人の注目を常に浴びてなけりゃ気が済まねえようなやつだ。
卓球部に所属していて、キルカを除いたら部内で一、二番に強い。
「それにフォアサイドも使ってスマッシュを打ったのよ?」
「…成る程。 その転入生のお陰でか?」
「そうだね。」
「俄然興味が湧いてきたな… 今日あたりにでも聞いてみよう。」
俺自身は随分前に怪我で卓球をやめたが、それでも妹がやっていることに興味はある。
面白そうだ。