時空を駆ける二人の神   作:シャイニングピッグEX

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久しぶりですぞ〜!
ごめんなさ〜い!
よっしゃやろう


魔法といえば…

デンライナーは次の世界へと向かって走っていた。

 

 「うんうん、歴史に異変が起きてる世界もどんどん減って来てるね」

 

 なのははレーダーを見ながら言った。

 

 「これも、ディケイドやウルトラマンX達が頑張ってくれてるからだね」

 

 「うむ。しかし、我らも頑張らねばならぬ。まだまだ気を緩めてはならんぞ」

 

 「ディアーチェ君の言う通りです。皆様、最後まで一つ残らず歴史を修正しましょう」

 

 オーナーの言葉に一同は強く頷いた。

 

 「そう言えば、幸太郎や侑斗はどうしたの?デネブやテディもこの事態に気付いてると思うんだけど」

 

 ウラタロスは一つの疑問を投げかけた。

 

 それもそうだ。彼らもデンライナーやゼロライナーと言った、時を越える電車がある。

 

 彼らも異変に気付き、電車で危機から逃れた筈だ。

 

 「アイツらの事だ。きっと無事だろ」

 

 「そりゃセンパイの言う通り、大丈夫だとは思うけどさ」

 

 「そんなら、とっくに歴史が変わる前の時間に戻って歴史を自分達で直しとるかもしれんしなぁ」

 

 「でも、デンライナーが出れたのは、何者かが出現させた穴を通って世界を脱出出来たんですよね?いっぺんに穴を開けられるのは厳しくないですか?」

 

 「それもそうか…」

 

 「で、でも、映司さんみたいな例もありますし、デンライナーみたいな脱出は出来なくても他の世界に飛ばされてる、と言うのも考えられませんか?」

 

 モモタロスが落胆したのを見て、百合は慌てて言った。

 

 「そうだな…その可能性に賭けるしかねえか。それはそれとしてオーナー、次の世界の情報は何かねえのか?」

 

 モモタロスは気を取り直し、オーナーの方を向いて聞いた。

 

 「次の世界は…おや、これまた珍しい世界ですね。世界が[ナシマホウ界]と[魔法界]の二つに分かれてしまっています」

 

 それを聞いて一同は首を傾げた。

 

 「魔法界とナシマホウ界?んだそりゃ」

 

 「行けば分かると思いますよ。それに、モモタロス君達も一度は魔法を目撃した事がある筈です」

 

 「魔法…んー、一人居たような…」

 

 デンライナーは線路を切り替え、別世界に繋がる穴に入っていった。

 

 

 

 『ルパッチ・マジック・タッチ・ゴー!ルパッチ・マジック・タッチ・ゴー!』

 

 「フィナーレだ」

 

 『キックストライク・プリーズ!』

 

 左手に嵌めた指輪をベルトにかざし、その音声と共に一人の赤い魔法使いは右足に赤い魔法陣を纏い、ロンダートで威力を増幅させ、空中反転をして高く飛び上がった。

 

 「ヨ、ヨクバール…!」

 

 「はぁっ!」

 

 『チョーイイネ!キックストライク!サイコー!』

 

 赤い魔法使いはファントムと呼ばれる魔物に飛び蹴りを食らわせ、ヨクバールファントムは断末魔と共に爆発した。

 

 「ふぃー。大丈夫か、お嬢ちゃん達」

 

 魔法使いはお揃いの制服を来た少女三人の元に歩み寄った。

 

 「まだ、みらいが…」

 

 「うぅ…リ、リコ…助けて…」

 

 「みらい!」

 

 みらいと呼ばれた少女の身体には紫色のヒビが入り、辛そうにリコと呼ばれた少女に手を伸ばした。

 

 「待ってろ、すぐ助けてやる。俺が最後の希望だ」

 

 そう言うと魔法使いはオレンジ色の石がハマった指輪をみらいの左手に嵌め、みらいの腕を掴んで自身のベルトにかざした。

 

 『エンゲージ・プリーズ』

 

 その音声が鳴ると共にみらいの身体の上に魔法陣が展開し、魔法使いはその中に飛び込んだ。

 

 魔法使いは紫色の空間を通ってアンダーワールドと呼ばれる世界に入った。

 

 アンダーワールドとは、その人物の最も印象に残っている風景を表した心の世界の事で、人によって変わり、その中に新たに生まれようとしているファントムが出現するのである。

 

 魔法使いは青空の中の桜並木の中に降り立った。

 

 「ここか…」

 

 その中では、みらいが箒に乗ったリコと出会う風景が映っていた。

 

 それを破壊するかの様に紫色のヒビの中から空間を突き破って紫色の怪物が飛び出してきた。

 

 「スーパーヨクバァァール!」

 

 スーパーヨクバールファントムは雄叫びをあげながら魔法使いに迫ってきた。

 

 「随分荒々しい奴だな。頭を冷やしな」

 

 『ウォーター・プリーズ!スイー・スイー・スイー・スイー!』

 

 魔法使いは青い魔法陣を通り、黒い身体と赤い顔の姿から黒い身体と青い顔の姿に変わった。

 

 「さぁ、ショータイムだ」

 

 『コネクト・プリーズ』

 

 魔法使いは魔法陣からバイクを出し、すぐさまバイクに乗ってファントムから間合いを取った。

 

 『ドラゴライズ・プリーズ』

 

 「来い!ドラゴン!」

 

 魔法使いは体内から一匹の銀色の羽根と金色の身体に赤い瞳のドラゴンが出現し、ドラゴンはファントムに向かって体当たりをした。

 

 しかし、ファントムはものともせず、魔法使いに向かって走ってきていた。

 

 「流石、図体がデカイだけはあるな」

 

 魔法使いは余裕を見せながらソードガンでファントムに向けて銃撃を撃ち込んだ。

 

 銃弾はドラゴンに当たることなく、ファントムに全弾命中した。

 

 「ヨクバァァ…」

 

 「まあ、そう簡単に諦めるわけないよね」

 

 魔法使いは突き当たりの道を曲がり、そこでバイクとドラゴンを合体させて空に飛翔した。

 

 「行くぜ、ドラゴン」

 

 そして、魔法使いはドラゴンに乗りながらファントムの方に急旋回し、ファントムの腹部に突撃してファントムを持ち上げた。

 

 「ヨクバァァール!」

 

 「おいおい、まだ暴れ足りないのかよ」

 

 魔法使いはファントムが伸ばしてくる触手をソードガンで撃ち、触手を断ち切った。

 

 「フィナーレだ」

 

 その言葉と共にドラゴンはファントムを地面に激突させ、ドラゴンはもう一度空高く飛翔した。

 

 『キックストライク・プリーズ』

 

 魔法使いはドラゴンから飛び上がり、ドラゴンはバイクと共に合体変形し、飛び蹴りの体勢の魔法使いの右足に合体し、魔法使いの巨大な幻影をその身に纏い、立ち上がって迎え撃とうとしたファントムを貫きながら着地した。

 

 そして、魔法使いが立ち上がると同時にその後ろでファントムは爆発し、それと同時にみらいの身体の紫色のヒビも消滅した。

 

 魔法使いはみらいの中から脱出し、変身を解除して一人の青年に戻った。

 

 「よっと。ふぃー」

 

 「ありがとう、魔法使いさん」

 

 「ありがとう、みらいを助けてくれて」

 

 「本当にありがとう!」

 

 「ああ。こっちも、助けられて良かった」

 

 みらいはリコともう一人の少女の手を掴んで立ち上がり、青年は周りを見渡した。

 

 周りは学校の様な施設が並んでおり、校庭の中心にはマントと帽子を身につけ、長靴を履いて剣を持った猫の像が建てられていた。

 

 「はーちゃんも、リコもありがとね」

 

 「良いのよ。みらいが無事ならそれで」

 

 「でも本当にびっくりしたよね。魔法使いさんが来たかと思ったら急にみらいの身体ひび割れ出すんだもん。魔法使いさん、何か知らない?」

 

 三人の少女は青年の方を向いて言った。

 

 「うん、さっきの現象は俺が元いた世界での現象だな。本来なら、心の支えが無くなったりして絶望のどん底に落ちた人間だけに起きる現象なんだけど…お嬢ちゃん、最近何か嫌なことでもあったか?」

 

 青年は少女達の方を見下ろして言った。

 

 「最近…うーん、特に無いかなぁ」

 

 みらいは顎に手を添えて言った。

 

 「そっか。なら良いんだけど…」

 

 青年も顎に手を添えた。

 

 本来ならば絶望した人間だけがなる現象だが、今回はケースが違う。

 

 特に絶望する事も無いのならば、心の支えが無くなった、と言う訳でも無さそうだ。ならば一体…?

 

 「あっ、そうだ、まだお兄さんのお名前聞いてなかった。私は朝比奈みらい。それで、こっちがリコで、こっちがことは。はーちゃんでいいよ」

 

 「リコです。宜しくお願いします」

 

 「花海ことはです。はーちゃんでいいよ!」

 

 「俺は操真晴人。宜しく。みらいちゃん、リコちゃん、はーちゃん」

 

 「うん、宜しくね、晴人さん」

 

 「ああ」

 

 晴人は三人と握手を交わした。

 

 「それで、こっちが…」

 

 「モフルンモフー!」

 

 みらいの後ろから小さな熊のぬいぐるみの様な妖精が晴人の前に飛び出した。

 

 「…ぬいぐるみが喋った!?」

 

 晴人は少し後ずさりながら言った。

 

 「ぬいぐるみじゃないモフ!モフルンだモフ!」

 

 「まあ、最初は誰だってそうなるわよね…」

 

 「それじゃあモフルン、宜しくな」

 

 「モフ!」

 

 晴人はモフルンとも握手を交わした。

 

 握手の後、リコは晴人の指輪に気が付いた。

 

 「晴人さん、その指輪は?」

 

 リコは晴人の指輪を見て言った。

 

 「これ?これは俺が魔法を使うための道具。見てな」

 

 『コネクト・プリーズ』

 

 晴人は自分の横に出来た魔法陣に手を入れ、五つのドーナツが入った袋を取り出した。

 

 「こんな感じ」

 

 そう言って晴人は中からプレーンシュガーを取り出し、残りの四つのドーナツを一つずつ四人に渡した。

 

 「晴人さん凄い!でも、私達も同じ事出来るんだよ」

 

 「へ?」

 

 晴人はドーナツをくわえながら少し目を見開いて声を出した。

 

 「キュアップ・ラパパ!イチゴメロンパンよ、出なさい!」

 

 リコは杖を使い、晴人の手元にイチゴメロンパンを出した。

 

 「おお。すげえな」

 

 晴人は少し笑いながらイチゴメロンパンを手に取った。

 

 一度プレーンシュガーを袋にしまい、メロンパンを一口かじってみた。

 

 …悪くない。

 

 「うん、美味しいよ、リコちゃん」

 

 晴人はリコの方に微笑んで言った。

 

 「それなら良かったわ」

 

 そして、晴人はまたドーナツを食べ始めた。

 

 「と、なるとみらいちゃんとはーちゃんも使えるのか?」

 

 「ええ。杖さえあればね」

 

 それを聞いて晴人は胸を撫で下ろした。

 

 「良かった。ファントムは魔力を使って生まれるやつだから、てっきり使えなくなっちゃったかと思ったよ」

 

 「うん、大丈夫。そのファントムってのも晴人さんがやっつけてくれたんでしょ?」

 

 「ああ。もう心配いらない」

 

 すると、空に穴が開き、線路が走ってきた。

 

 「ん?何だありゃ?線路?」

 

 「今度は何だろう?」

 

 そして、線路は晴人達の前に敷かれ、その上に電車が走ってきた。

 

 「電車が走ってきた!?」

 

 「何々!?魔法界を乗っ取りに来たの!?」

 

 そして、電車の中から四人のイマジンと三人の男性と四人の女性が降りてきた。

 

 「また変な所だなぁ…ん?」

 

 「あっ!お前ら!」

 

 晴人は永夢の元に駆け寄り、四人は晴人を慌てて追いかけた。

 

 「あっ、晴人さん!この間の節はありがとうございました」

 

 永夢は晴人に一礼した。

 

 「良いよ良いよ。俺はちょっとお節介なだけの魔法使いだからさ」

 

 そう言って晴人は静かに笑い、永夢も白い歯を見せて笑った。

 

 「よう、魔法使いさん」

 

 「おう、バイクのお兄さんじゃん」

 

 「魔法使いっていつも元気だよな、何か魔法でも使ってんのか?」

 

 「そんな便利な魔法なんてないよ」

 

 そう言って晴人と貴利矢は静かに笑った。

 

 「で、こっちは…」

 

 晴人はイマジン達の方を見た。

 

 「まさか知らねぇとは言わねえよな?何度も会ってんだからよ」

 

 イマジン達は期待しながら晴人を見た。

 

 「………誰だっけ?」

 

 晴人は首を傾げながら言い、イマジン達は一斉にコケた。

 

 「モモタロスだよ!忘れちまったのか!?」 

 

 「冗談だよ。久しぶりだな」

 

 「おう。相変わらず魔法使いやってんのか?」

 

 「まあな。そっちも相変わらず時間超えてるらしいな」

 

 「ああ。ただちょっとな…多分お前がこっちに来た理由も分かるかもな」

 

 モモタロス達は今起きている事態を説明した。

 

 「そういう事か…」

 

 「お前だけでも助かってて良かったぜ」

 

 「ああ、俺は皆の最後の希望だからな。皆を置いて行ったのは悪いけど、その事件さえ解決すれば全て解決だろ?」

 

 「まあな」

 

 「そう言えば、晴人さんは何故ここに?」

 

 永夢は晴人の方を見て言った。

 

 「一か八かでコネクトの魔法を使ってみたら、何が何だか分かんない内にここに来ていたんだ」

 

 「ふーん…」

 

 「それで、そちらは?」

 

 晴人は零や百合、なのは達の方を見た。

 

 「ああ、こいつらはこの事態を収拾するために動いてるんだ。それで、俺達が必要だからって…どわっ!?」

 

 「操真晴人さんですよね!?一度会ってみたかったんです!」

 

 百合はモモタロスを押しのけ、目を輝かせながら晴人に迫った。

 

 「ああ。俺も有名になったもんだな」

 

 「あ、あの、サイン、貰えますか?」

 

 「ああ。構わないよ」

 

 百合はペンと色紙を渡し、晴人は自分のサインを書いて百合に返した。

 

 「ほら」

 

 「ありがとうございます!」

 

 「お姉さん、名前は?」

 

 「藤森百合です。それで、向こうの青いのが私の夫の零です」

 

 「青いの!?…まあいいや。宜しくお願いします晴人さん」

 

 「ああ、よろしくな零…ちゃん?」

 

 「あ、いや、男です」

 

 「ああ、分かった。改めてよろしくな、零」

 

 そう言って零と百合は晴人と握手を交わした。

 

 「んで、そちらのお姉さん達は?」

 

 晴人はなのは達の方を見た。

 

 「私達は時空管理局の機動六課です」

 

 「時空管理局…要するに世界を守る集団、って事で良い?」

 

 「そうです。魔法を使って、たくさんの人達を守ってるんです」

 

 「へぇ〜、そんな仕事だと忙しくて仕方ないでしょ」

 

 「まあなぁ。けれど、和解を優先しとるからな。そんなに力づく、って訳でもないんや」

 

 「なるほどな」

 

 「どや?魔法が使えるんやったら、こっちで働くのも悪くはないやろ?」

 

 「お誘いはありがたいけど、遠慮しとくよ。俺はただお節介な位が良いんだ」

 

 「そうか…ま、無理に入れても仕方あらへんしな。それで、晴人とか言っとったな。私は八神はやて。よろしゅうな」

 

 「ああ。よろしくな、はやてちゃん」

 

 「私は、高町なのはです。宜しくお願いします、晴人さん」

 

 「こちらこそ、宜しく」

 

 「私は、フェイト・T・ハラオウンです。宜しくお願いします」

 

 「ああ、宜しく」

 

 晴人はなのは、はやて、フェイトと握手を交わした。

 

 「それで、ここに異常は何か無いのか?いねえはずの奴がいる、とかよ」

 

 モモタロスは晴人の方を見て聞いた。

 

 「いや、特にそう言うのは無いな。さっき、みらいちゃんからファントムが生まれそうになったけど、なんとか倒したし、それ以外は何も無いよ」

 

 「そうか…ん?みらい?誰だそいつは」

 

 「この子さ。それでこの子達と妖精さんはみらいちゃんのお友達だ」

 

 晴人は後ろにいたみらい達を見て言った。

 

 「朝比奈みらいです」

 

 「リコです」

 

 「花海ことはです。はーちゃんでいいよ!」

 

 みらい達もイマジン達やなのは達と握手を交わした。

 

 「モフルンモフー!」

 

 「…ぬいぐるみが喋った!?」

 

 一同は声を合わせて言った。

 

 「もう二回目モフ…」

 

 「別にぬいぐるみがしゃべってもいいだろ?毎日楽しそうだ」

 

 晴人はそう言いながらモフルンを抱き抱えた。

 

 「私達が使える魔法とはまた別の魔法やろうし、ええなあ」

 

 それを聞いたみらいがはやて達の元に駆け寄った。

 

 「はやてさん達は私達とは違う魔法が使えるの!?」

 

 「え?ま、まあなぁ」

 

 「それって、今出来る?」

 

 「ま、まあ、出来んことはないけど、喜ばせられるかは分からんで?」

 

 「全然いいよ!見れるだけでもワクワクもんだぁ!」

 

 「それじゃあ、ちょっと待ってて…」

 

 みらいはワクワクしながらなのは達の方を見ていた。

 

 なのは達はデバイスを展開し、大きな杖のようなデバイスを構えた。

 

 「おおー!カッコイイ!」

 

 「まだまだ、これからよ。空の方を見ててね」

 

 「はいっ!」

 

 みらいは言われた通り空の方を向いた。

 

 「ディバイーン…シューター!」

 

 「フォトン…ランサー!」

 

 「ブリューナク!」

 

 三人は同時に五発の魔弾を撃ち、お互いの弾を衝突させてスパークさせ、カラフルな花火を打ち上げた。

 

 「おおおー!すごいすごーい!」

 

 みらいは目を更に輝かせて大興奮しながら言った。

 

 「喜んでもらえて良かった」

 

 三人はデバイスをしまった。

 

 「そう言えば晴人さん、さっき、みらいちゃんがファントムを生み出しそうになったって言ってましたよね?」

 

 「ああ、それがどうした?」

 

 「ファントムが生まれてしまったら元の人間はどうなるんですか?」

 

 「…元の人間は死んで、その体をファントムが肉体を活動用の身体にするんだ。ま、中に入って倒しちゃえばなんにもならないんだけどな」

 

 「アンダーワールドですよね!」

 

 百合は目を輝かせながら言った。

 

 「よく知ってるね?俺と同じ魔法使い?」

 

 「い、いえ、その、テレビで見てたというかなんと言うか…」

 

 「?ま、よく分かんないけど、俺の事を知ってるならいいや」

 

 晴人は笑いながら言った。

 

 「アンダーワールドって?」

 

 零は首を傾げながら聞いた。

 

 「アンダーワールドって言うのは、その人の一番大切な思い出を映し出した世界の事なんだ。それは、人によってそれぞれ違う。時々、同じ事もあるんだけどね」

 

 「へぇ〜…」

 

 「僕達イマジンみたいにその人の思い出を通って過去に行く訳じゃなくて、ファントムはその思い出の風景を壊して、外に出てくる。それを防ぐのがウィザードの役目って訳」

 

 ウラタロスが簡潔に説明した。

 

 「説明ありがとな、ウラタロス」

 

 「どういたしまして」

 

 「ねえ、みらいのアンダーワールドってどんなんだったの?」

 

 リコはみらいの後ろから肩を掴みながら晴人に聞いた。

 

 「ちょ、ちょっとリコ!」

 

 みらいはリコの方を向いて恥ずかしそうに言った。

 

 「いいじゃない。聞かせなさいよ」

 

 「みらいちゃんのアンダーワールドは…」

 

 「は、晴人さん!」

 

 「みらいちゃんがリコちゃんと初めて会った時の風景だったよ。桜の木の下で会ったんだろ?」

 

 「えっ…」

 

 リコは顔を赤くした。

 

 「だ、だから言ったじゃん…」

 

 「み、みらいあの時のことまだ覚えてたの!?」

 

 「だ、だってそりゃあ忘れられない大切な思い出だし…」

 

 「…ううん、いいわよ。私もちゃんと覚えてるし、みらいが忘れてなくて良かったわ」

 

 「リコ…!」

 

 そう言ってみらいとリコは抱き合った。

 

 「コホン、で、これからどうするん?ここの異変は終わったの?」

 

 「みらいちゃんのファントムも潰したし、それ以外の反応も感じない。終わったみたいだな」

 

 「ちっ、俺達が来た意味ねえじゃねえか」

 

 「まあまあ、何かあったら大変やし」

 

 「そうだよ。それに、何かあってもいいようにモモタロス君はここに残る?」

 

 「ちゃんとプリンも出してあげるよ!」

 

 「え?ど、どうしよっかな…じゃねえよ!俺がプリンなんかで釣られると思ってんのか!」

 

 「うん」

 

 残りのイマジン達が同時に頷いた。

 

 「てめえらも頷くんじゃねぇ!…で、ウィザード、お前はこれからどうするんだ?」

 

 「俺はもう少しこの世界で調査を続けるよ。それが終わったらみらいちゃん達とナシマホウ界に行ってみる」

 

 「そうか…気を付けろよ!」

 

 「ありがとな、モモタロス」

 

 「へっ、いいってことよ」

 

 そう言ってモモタロス達はデンライナーに乗り込んだ。

 

 「またねー!なのはさーん!」

 

 「じゃあね、みらいちゃん」

 

 そして、デンライナーは空に穴を開け、その中に入って行った。

 

 「なんだかすぐ行っちゃったね」

 

 「本当、なんだったのかしら。…ん?また?」

 

 晴人達の前に、別の方向からデンライナーが走ってきた。

 

 そして、デンライナーは晴人達の前で止まり、ドアが開いた。

 

 「お前…!」




今回はここまでです。

いやー、長い!そして怪獣達の出番!!!!!!

次回がいつになるか分かりませんが気長にお待ちください

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