こんな噂を聞いたことがあるだろうか?
第四真祖。十二の天災に等しい眷獣を従える、世界最強の吸血鬼。またの名を、
本来ならば、世界に公認されし真祖は三人。
彼らは一国の軍隊に等しき力を持ち、それぞれの領地を持つ。
しかし第四真祖は自らの領地を持たず、血族すらもいない。
孤高にして、冷酷非情の吸血鬼。
そして吸血鬼、獣人などの魔族の保護、管理を目的とした魔族特区、絃神島。
そこに第四真祖がいると。
「ここが絃神島……暑いな」
飛行機から一人の少年が降り立った。
少年は、
白銀の髪、水晶のような瞳を持つ容姿抜群のイケメン君。
「お前が九頭か。思っていたよりも、乳臭いガキだな」
レイの目の前に突然現れた少女、南宮那月。常夏の島にも関わらず、黒色のゴシックドレスを身に纏う見た目幼女の合法ロリである。
そして見た目によらず、凄腕の攻魔官でもある。
「……空隙の魔女か。貴様だけには言われたくない言葉だな、小娘よ」
「フン。まあ、貴様から見れば大抵の人間は小僧、小娘だろうな」
普段ならば、小娘扱いをされれば怒るのだが。レイに小娘呼ばわりをされても、ピクリとも反応をしない。
その理由は、レイが長い時を生きる人間で。今や彼以上の老齢となれば、三人の真祖たちだけだろう。
しかしレイは、吸血鬼などではない。
それなのに永遠にも等しい時を生きる理由。
それはレイが、造られた人間だからだ。
現代にも、錬金術などを駆使して
しかし人工生命体といえど、
レイの正体。それは咎神カインが作った、最後にして最強の存在。力は天部の作り上げた第四真祖をも凌駕し、相手には抵抗の意欲すら沸かさせない。
「……それで、わざわざこの私を呼び出した理由は?つまらん理由ならば、この島ごと貴様を沈めるがな」
レイからは、一切の魔力が感じられない。それでも放たれる殺気は、数々の視線を潜り抜けてきた那月ですら感じたことのないほどのもの。
冗談ではなく、本気。彼の力ならば、那月を島ごと沈めることは可能だろう。
恐らくは、那月の本体が存在する異空間すらも。纏めて消すことが。
「……焔光の宴」
那月の放った言葉。それに激しく反応をして、レイは顔を喜びに染め上げた。
「ククッ――小娘。それはどこで手に入れた話だ?」
「……さあな。とにかく、近日中にも宴は開かれる。私からは、余計なことに手を出しかねない教え子の守りを依頼したい」
かつてレイの主と友になり、そして殺した。
二つの殺神兵器が交わり、今物語は進む。