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夜の明けるのは静かだ。とても柔らかい光を、地平線から振り撒いていく。見慣れた……見慣れてしまった色の天井が、ぼんやりと目に入る。
「おはよう、優希。」
「!あ、あぁ……慧音か。」
「私以外に誰がいるというんだ?」
呆れたように笑う彼女の髪は、青みがかった綺麗な白で、朝の爽やかな空気にさらりと揺れた。何だかこれに慣れてはいけない気がして、優希は布団をささっと畳みにかかることで、目をどうにか逸らした。
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話は昨夜、咏夢達が人里を発ち、関係者も満足そうに散っていった後の話になる。路地裏からその様子を見ていた優希は、一つため息を吐いた。
「……おい、優希。そこにいるんだろう。」
「やっぱりか……バレてるとは思ってたけど。」
「早くそこから出てこい。」
呆れと怒りの混じった声で、生徒のように諭される。こうなれば、自分に発言権が無いことは分かっている。優希は、木箱を軽く乗り越えると、慧音は東よりの月に照らされて立っていた。
「無茶はするなと、言ったはずだ。」
「……してないよ。」
「嘘だ。……痕が残ってる。」
「あー……大した戦闘には、なってない。」
「首を絞められて、大した戦闘ではない、か?」
苦し紛れの言い訳に、より一層睨みを効かせる慧音を見て、優希はすっかり諦めた。今回はかなり怒っているようだ。さりげなく襟に手をやって、首もとを確かめるが、少しへこんでいるくらいだ。
ただ、人里にいる彼女にとっては、首もとに刻まれた赤く細い線が見慣れないもの。そして、死に一歩近づく印であると知っているものなのだ。
「……今日は、泊まっていくよ。」
「当たり前だ。」
少し声が震えている。少し申し訳なくて、あまり距離を詰められなかった。彼女の背中を見つめながら、今度
会うときまでに、できるだけ――少なくとも見た目は、戦った痕が残らないように、努力をしようと思った。
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「すまないな、今日は朝が早くて。」
「いやいや!こっちこそ、忙しいのにごめんな。」
はぐはぐと朝飯を頬張りながら、ふるふると首を横に振る。早急にここを出なくては、寺子屋の邪魔になってしまう。それだけはどうしても避けたい。
昨日の夜に外しておいた愛刀を腰に戻す。村で鍛練を重ねていた時からの相棒で、こちらに来てからもずっと世話になっている。
「それじゃ、あー、ありがとう。」
「気をつけろよ。」
「ああ。」
できる限りは、と胸の内で付け足してから、足早に扉から離れる。そういった話は聞かないが、あまり頻繁に出入りしていると思われては、慧音も都合が悪いだろうと考えている。優希はそのまま、行く当ても無く霧の湖の方へと歩いた。
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