東方陰陽玉   作:咏夢

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 長らくお待たせしました。約半年のブランク?です。

 読み専やってたので、文等不慣れですが、あったかーく……春の陽気のごとくあったかーく見守ってくださると幸いです。


特訓「その一・力について」

「ええと。それじゃあ、まず何が知りたい?」

「えっ?」

「俺は、君に何を教えればいいんだ?」

 

 咏夢は、そうかと小さく呟いて、必死に考えた。優希はそれを新鮮な気分で見ている。年下と話すだなんて、一体いつぶりか。少なくとも、幻想入りしてからは機会が無かったように思える。

 

「……じゃあ、まずは霊力について知りたいです。」

「そうか。って言っても、俺もその辺りはあまり詳しい訳じゃないけど。」

「いえ、お願いします!」

「あ、ああ。」

 

 優希は若干圧され気味だが、咳払いを一つすると、隣に座る咏夢に向かって、ゆっくりと説明を始めた。

 

「君が普段使っているのは、霊力なんだな?」

「は、はい。多分。」

「霊力っていうのは、人間なら誰しも持ってる力で、一番馴染みやすいって事らしい。これは受け売りだが、霊の力って言うくらいだから、霊力は空気中にも存在する。それを、どれだけ自分の力に変えられるかが重要になってくる。」

 

 蒼い瞳があまりにも真剣に見つめてくるので、彼は湖の広がるさざ波に視線を向けながら、さらに力について語る。その横顔は少しぎこちない。

 

「それで、空気中には他にも、魔力やら、場合によっては色々な力が溢れてる。人間に扱えるのは、そのごく一部ってわけだ。だから咏夢が強くなるには、まず、霊力の扱い方について、もう一度見直す必要がある。……と思う。」

「なるほど……?霊力の、扱い方。」

 

 咏夢がそう繰り返すと、優希は表情を崩して優しく笑う。

 

「まあ、俺もまだまだ修行中だから。あんまり具体的な事は言えないんだけど……。それに、刀ばっかりで技が無いって、よく叱られるしさ。」

「そんなことないです!優希さんが戦ってるの、すっごく格好いいですよっ!」

 

 咏夢はわあっと明るく言った。包みをいそいそと開けて、中に入っていた和菓子の一つをつまみ上げた彼女にふと、優希は問いかけた。

 

「そういえば、咏夢は今、どうやって霊力を使ってるんだ?」

「えっと~……そうですね。例えば……」

 

 咏夢は、数ヵ月前の村での戦闘を思いだし、優希に一つ一つ例を挙げていった。自分は巫女だから札を使う事が多いことや、それに霊力を込めること。結界を張るためにも、霊力を使うこと。一番使いやすいのは、棒状の武器で、それにも霊力を纏わせて、物理的に強化している(はずである)こと。

 それに対して、霊力弾の扱いやコントロールは不得手であること。スペルカードは博麗の受け売りで、成功例も少ない……否、少なすぎること。

 

「そうか……ありがとう、教えてくれて。俺も少し、刀だけに頼りすぎているかなって、君を見て思ったんだ。」

「?、そうなんですか。すごく強かったのになぁ。」

「じゃ、じゃあ。咏夢は、その、スペルカードが苦手なんだな?」

「はいっ。練習はしてるんですけど、なかなか……。」

 

 しゅんとする咏夢。しばらく考えた優希は、よしっと声を上げて、湖のほとりに立ち上がった。咏夢を見下ろす形で、彼は指を立てる。

 

「君に必要な特訓は、どうやら二つみたいだな。」

「二つ?」

「ああ。さっそく明日から始めていこう。悪いけど、今日はこれで。」

「あっ、いえ!ありがとうございました~!」

 

 咏夢はぱっと笑って、人里へ歩き出した優希に大きく手を振り続けた。小さくなっていく彼の背中に、嬉しそうな笑顔で、ずっとずっと。ちらりと振り返った彼は、その仕草に思わずつられて笑みを浮かべて、ふわりと手を上げた。

 

 彼らの時間は、まだ動き出したばかりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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