東方陰陽玉   作:咏夢

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書いちゃった☆

違います、サボってないです。頑張ってます。
女の子のイチャラブがテンプレになるのが悪い。

……テスト2週間前()


夢符「二重結界」

日はいつの間にか昇り、真上とまではいかないものの、かなり時間が過ぎていた。

咏夢は、すっかり寛いでいる文をつついて訊ねた。

 

「そういえば……文さんは何でここに?」

「そうそう、これを渡しに来たんですよ~。」

「あ、新聞ですか?」

「はい、今回もパッとしたネタはありませんけどねぇ。」

 

新聞を広げた咏夢は、素朴な疑問を口にした。

 

「この、紫って人。誰ですか?」

「そういえば咏夢には言ってませんでしたね。紫さんの存在を……」

「え、そんなに凄いんですか?!」

「そりゃあ、もう……ぎゃあああ!?」

 

文が唐突に叫ぶ。咏夢は指差された背後をバッと振り向いた。そこには、何も無かった。

 

藍姉が首を傾げて、文を見つめる。

 

「文さん……どうしたんですか?」

「あわわわわ……!」

「何だか物凄い慌ててるんだけど……。咏夢ちゃん?」

 

勘繰るように空を見つめる咏夢は、いつにも増して真剣だった。やがて低く呼び掛ける。

 

「……誰か、居るでしょ。」

「あら、意外と鋭いのね。"成り損い"にしては、よくやるじゃないの。」

 

「ぎゃああああああ!!!」

「え、えぇっ!?な、何。何この人!」

「あらぁ。酷いわ、二人とも。この子はともかく、貴女は……」

「ひゃあっ!」

「会ったこともあるでしょうに……。ふふっ。」

 

頬に手を添えられた文が思いきり飛び上がる。いきなりの登場に藍姉も動けない。

 

「さて……こんにちは、村巫女。」

「……現惣村へようこそ。八雲紫さん。」

「そこまで見抜いているのね。あぁ、思い出したというべき?」

「……何を言っているの?」

「貴女には余計な事よ。」

 

重苦しい雰囲気。

文が目を回して倒れるような、尋常じゃない重圧感。

 

「……怖い顔ねぇ。もっと楽にして良いのに。」

 

雰囲気を覆すそれは、意外にも当事者から発せられた。

咏夢含む三人は、数秒の間の後、呆けた声を上げた。

 

「あら?……大丈夫かしら、この子達。」

「だから驚かし過ぎだって、言いましたよね?私。」

「それはそうだけど……博麗を名乗るくらいだもの。大丈夫かなぁー、と思って」

「……。」

 

冷たい視線を向ける、紫の式――藍は、気づいているだろうか。

 

彼女が忽然と現れた事によって、三人が本当に倒れんばかりなのを。

その頭を柔らかく撫で、状況を悪化させているのが、自分の式だということを。

 

結局、微妙な雰囲気は、三人がそそくさと一時退場する事でリセットされた。

 

―――――――

 

「えーと……こんにちは?」

「えぇ。こんにちは。」

 

咏夢はいまいち空気が掴めず、紫に軽く頭を下げる。

紫も挨拶を返すが、やはり沈黙が生まれる。

見かねた藍は、呆れたように紫を諭した。

 

「紫様。此所に何をしに来たのか、お忘れですか?」

「え、えーっと……あ。」

「では、どうぞ。」

 

いかにも幼い問答の後、紫が口を開く。

キョトンとした表情の咏夢に、にこりと笑って言った。

 

「橙と闘ってみない?」

「ちぇ、ちぇん?あ、その子ですか?」

「そうよ。私の式の式。」

「へぇ~……はい?え、何で?」

 

腑に落ちない様子の咏夢。それもそのはずだ。

用件を思い出した人から出てくるような台詞では、本来無い。いやまあ、人では無いが。

 

「腕試しをしてみない、と言っているのよ。"博麗の成り損い"の実力が如何ほどなのか。」

「っ!……へぇ?」

「え、咏夢ちゃん……。」

「大丈夫。絶対、負けない。」

「(ダメだこれは……。)」

 

すっかり挑発に乗っかってしまった咏夢に気づき、ため息を吐く藍姉と文。

満足そうな紫と、いまいち話に付いていけない藍。

無垢な表情の橙は、耳をぴょこぴょこさせていた。

 

――――――

 

「それじゃあ範囲はこの結界内、飛行はもちろんOKよ。スペルは一枚だけね。……あーゆーれでぃー?」

「……っ。」

「?」

 

「誰か反応してよぉ……スタート!」

 

咏夢が素早く宙に飛び上がった。橙の方に目線を戻すと、どうだろう。此方の様子をただ眺めているだけだ。

チャンスと飛び込んでいく咏夢を見て、結界の外の藍が口角を上げた。

 

「せいやっ!……わあぁ!?」

「結界に突っ込んで来るなんて……やっぱりバカなのね。」

「~っ!」

 

咏夢は完全にキレた。思考回路を出来る限り簡潔にすると、

 

何だアイツ本当にウザいこんな猫被り初めて見た絶対潰して幼い声なんて出せないようにしてやるんだからな見てろよ猫!

 

といった感じだ。何かもう橙が不憫になってくるレベルだ。かといって咏夢も、この戦いに負けてはいけないと感じているのだ。

 

「はぁっ!」

「!……このくらい!」

 

咏夢が札を投げつけていく。所々検討違いな方へ飛んでいくのを、橙は嘲笑いながら避けていく。

 

暫くして咏夢は札を止めた。つい上がった息を整え、今度は橙が前へと進む。

この時、咏夢の目線は、橙の足元を見据えていた。手には一枚の札を挟んでいる。

笑いを含んだ声で、橙が尋ねる。

 

「何してるの?」

「……。」

「ねぇ、何して」

「此所だああぁぁぁっ!!!」

「!!?」

 

咏夢がそう叫ぶと、今まで投げ損じた……いや、配置していた札が一斉に光る。少し多く霊力を使って、透明化していた札が橙を縛り付けた。

 

かといって、まだ未熟な咏夢には結界を保ちながら闘う等という芸当は出来ない。

既に誰もが気づいている事実を橙が小さく笑う。

しかし、咏夢に焦りの色は無かった。

 

結界特有の光が、二人を照らし出す。橙の笑みが怪訝な表情に変わる、咏夢が不敵に笑みを浮かべる。

 

また、誰かが指し示す。

行くべき道を、札の軌道を。

彼女に教えてもらった結界、彼女が唱えていたスペル。

その彼女に会うために……

 

勝つ、絶対に。

 

「"二重結界"ッ!!!」

「"飛翔晴明"――ッ!」

 

スペルがぶつかって、弾ける。

幻想郷では見ることのほとんど無い現象だが、スペルが相殺したのだ。

 

二人は爆発に巻き込まれ、背中をぶつけ合った。

どちらからともなく笑いだす。

 

一組のライバルが出来た瞬間は、光に呑み込まれていった。

 

 

 

 

 




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