東方陰陽玉   作:咏夢

5 / 41
結局同時進行して遅くなりました。暫くは此方に専念する……はず。

テストですか?聞かないで下さい…頭痛がしてくる。

字数少なくてスミマセン。頑張ります。


式符「飛翔晴明」

「……貴女の力は分かった。橙といい勝負をするくらいではあるみたいね。」

「あの、結局何が言いたいんですか?」

 

 藍姉の核心を突いた質問に、咏夢もブンブンと頷く。いかにも子供らしいその様子に、苦笑いを浮かべる文も、先を促すような目線を紫に向ける。

 

「そう急がなくても良いのに……。まぁ、いいでしょう。」

 

 教えてあげる、と浮かべた穏和な笑み。その奥には、やはり底知れぬ実力の気迫が、少し気を緩めれば襲ってくる。そんな気がした咏夢。

 

「貴女は……幻想郷に興味がある?」

「「「!!!」」」

「そ、それって……あやややや……」

 

 咏夢は、膝の上の手を固く握った。絞り出すように、震えた声で紡ぐ。

 

「……もし、許されるなら……私、は……」

 

八雲紫は辛かった。

 

声をかけることも出来ない。

小さく震える肩を、今すぐ抱きしめることも。

. . . . . . .

昔そうしていたようには、もうーー。

 

 大妖怪は、それでも厳粛な目付きを弱めなかった。彼女の言葉を、聞き漏らさぬように、と。

 

 まさにその時、小さくこぼれ落ちたのは、涙だけでは無かった。

 か細く、儚く、彼の瞬間とは違う、この声。

 

「会い、たい……」

「――ッ!!」

「……思い出せない……けど……私、は……」

 

 本当は気づいているのだ。

 心の奥底に眠った、眠らされた記憶が、今は隣にいない姉の在処を。

 術に阻まれ、それでも尚……求め続けている。

 

 紫は、自制心を必死に保ち続けた。彼女の本当の言葉を、せめて今は聞いてあげなくてはいけないのだ。

 

 咏夢は袖口で涙を拭い、それでも震える声で、伝えようとする。心の中に眠る記憶を、手繰り寄せていく。

 

「まだ、全部は分からない……。で、も……」

 

 出来ることなら、一切の規則を打ち破って、この子を楽にしてあげたい。だが、それは紫にとって、死すら意味する事なのだ。

 咏夢が小さく息を吸う。顔を上げる、真っ直ぐな瞳。

自身で決めたこの道を、歩み出す為の一歩。

 

「会わなきゃ、いけないんです……。幻想郷で……私は、決めたから……っ!」

「……そう、なのね。」

「紫さま?」

 

 近寄ってこようとする藍を、紫は片手で制した。これ以上、優しいコトバなどかけられては、泣き崩れる自信がある。と、自身で危惧していたのだ。というか事実だろう。

 

 目をカッと開いた紫は、まずは咏夢に向かって言った。

 

「貴女は、幻想郷に来なさい。運命はそう囁いている。」

 

 我ながら決まったてか今のは何か紅魔っぽかったかな、などという愚考を抱きながら、紫は藍姉へと向き直る。

 

「貴女は……藍姉、だったかしら。」

「は、はいっ。」

「……その力があれば、この村を任せる事は出来そうね。宜しく頼むわよ。」

「分かりました。」

 

 珍しく言い切った藍姉を、咏夢は頼もしく思った。

 紫と共に立ち上がる。いつの間にか両脇に立っていた二人の式、その間に何やら不気味なモノが。

 咏夢は思いっきり顔を引き吊らせて言った。

 

「え、えっと……。これ、は……?」

「あぁ。紫様と共に行動するならば、慣れておいた方が良いだろうな。」

 

 半ば笑いを含めた声で、藍がソレを眺めて言った。橙が少し背伸びをして――当人はそれが少し不満そうだったが――咏夢に一言囁いた。

 

 行こう、と。

 

 紫は微笑ましく思い、少し余興をすることにした。二人の肩に手をかけて、無邪気に言い放った。

 

「ちょっと貴女達、結界壊してみない?」

「はい?」

「ふぇ?」

 

「ほら。やっぱり自力で入った方が、良くないかしら?」

「……なるほど。」

「咏夢ぅ?!というか、何で私までやるんですか紫様!」

「良いじゃないの~。橙、何事も経験、よ♪」

「は、はい……。」

 

 主に言われては仕方ない、いやまぁ主の主だが。橙は渋々頷くと、両手を前に広げた。咏夢もそれに倣う。

 ニコニコしている紫と、少し心配そうな藍姉。その横で、自信有りげに見守る藍。背中に受ける個々の視線は、一人と一匹の力になる。

 

「"飛翔晴明"!!!」

「え!?えっと……

 

"飛翔晴明"!?」

 

「「「!!?」」」

 

 唐突なタイミングの橙に着いていけず、ついにはとっ散らかった咏夢は……

 

あろうことか、橙のスペルを宣言した。

 

 それが機能したのかは知らないが、白く淡い光を散らして、目の前が一瞬で開けた。

 

 

「……ようこそ、幻想郷へ。歓迎するわ、咏夢。」

 

 内心面白くて仕方ない紫が、そう告げた。

 博麗咏夢。前代未聞の幻想入りである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




わぁ……三人称って何だっけ(遠い目)。

ありがとうございました!
感想等お願いいたします!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。