翌日一夏は目を覚ました。
「はぁ、誰も傷つかなかったからよかったかな」
コンコンというノック音が聞こえ
「ハイ、どうぞ開いてますよ」
と、一夏が答えると千冬が一夏の病室に入って来た。どうやら一番最初の来客は千冬の様だ
「一夏、具合はどうだ?」
「まあ、特に何もないみたいだから検査とかで3日間位は入院だってさ。千冬姉は怪我とかしてない?」
「ああ、私なら大丈夫だお前がかばってくれたおかげで怪我はない……一夏大事な話がある」
雰囲気がいつもと違う千冬に一夏は違和感を感じた。
「何かあったの???」
「実はだな、お前のIS白式が修理不可にまで壊れたんだ。」
「えっ、何で?」
一夏は突然、白式が修理不可まで壊れたという状況に思考が追い付けずにいた。
「最後に私を庇って無人機の攻撃を受けただろう?」
「ああ、そうだったな」
「実はあの時の攻撃で白式のコアに亀裂が生じたんだ。束に見てもらったのだが亀裂がコアの最深部の奥まで生じたためもう修理不可だということが判明した。一夏すまない私のために白式が修理不可になってしまって本当にすまない」
千冬は一夏にそう言うと頭を下げた。
「千冬姉、頭をあげてくれよ。確かに白式とは、別れなくちゃいけなく成ったけど、それでも千冬姉がこうして怪我なく生きていてくれている。大事なかけがえのない家族がこうして生きていてくれている。俺はこれだけで満足だよ」
一夏はそう言って千冬を抱きしめる。
「ありがとう一夏。しかし、情けないお姉ちゃんだよな私は」
「そんな事無いよ。千冬姉は何時だって俺にとって最高のお姉ちゃんだよ」
「そうか。ありがとな一夏」
千冬はそう言うと一夏の頬にキスをした。
「・・・・・へ」
予想外の事に思考が停止する一夏
「それじゃあな。一夏、早く退院しろよ!!」
そんな一夏を顔を赤くしてそそくさと帰る千冬。一夏は呆然としたまま千冬を見送った。そして、その後暫くして春花が箒達と一緒にお見舞いにやって来た。
未だに思考が停止したままの一夏を見た6人は
「一夏大丈夫?」
「一夏さん大丈夫ですの?」
「一夏大丈夫か?」
「嫁、大丈夫か?」
「お兄ちゃん大丈夫?」
と一夏を心配する。
一夏は6人に話しかけられた事により我に返ると
「ああ、大丈夫だよ」
と言ってごまかす。
「あんた起きてて問題ないわけ?」
「問題ないよ。ただ少し入院することに成るけどね」
「「「ええ~~~~~~~~~~~!?」」」
一夏の病室に五月蠅いと文句を言われそうなくらい高い6人の驚きの声が響き渡る。
「なんでどうして!!!!」
春花は興奮した様子で取り乱していた。
「春花、落ち着きなさい」
と言って一夏は春花を落ち着かせようとする。
「これが落ち着いていられる状況じゃないよ!!」
「そうだよ!一夏、入院なんて聞いて落ち着いてられないよ!!」
「そうですわよ!一夏さん、どういう事か説明して頂きますわよ!!」
「嫁~~~~!」
もう手が付けられない皆を見ながら一夏は今朝医師から話された事情を説明する。
「5日間くらい入院するだけだよ。単なる検査入院」
「しかしだな、5日間というのは結構長いな」
確かにとも言える箒の指摘に一夏以外の一同は頷く。
「仕方ないよ。俺の場合は特殊だから政府も大丈夫だという確証がほしいんだとさ」
「確かに一夏は特別だよね~。男で唯一ISが使えるから政府ももう大丈夫っていう保証もほしくなるよ」
「あ~~、こういう時にクラスが違うのが本当に悔しい私が一夏のクラスだったら加勢出来たのに!!」
と自分が一夏と違うクラスであることを嘆く鈴に春花が反応した。
「鈴さんはまだいいですよ学年が同じだから。私なんかお兄ちゃんと学年が違うから合同練習とかの可能性も無いんですよ!!!」
春花のことを聞いた鈴は
「ごめん」
と言って素直に謝った。
「まあまあ、その辺にしときなよ春花」
そんな二人のやり取りを見ていた一夏は春花を止める。
「はい」
と春花は素直に返事をした。
「今日は本当にありがとうな。わざわざお見舞いに来てくれて」
「家族なんだから当然だよ!」
「幼馴染なんだから当然よ!!」
「当たり前のことをしただけだ!」
「当然のことをしたまでですわ!!!」
「それじゃあね一夏!!」
「嫁また来るぞ」
と言って皆は帰って行った。
そんなみんなの様子を見た一夏は
「皆元気そうでよかった」
と自分の事よりも皆が元気で居る事に安心した。
「しかし、白式がもう無くなってしまったのか……考えれば、俺が弱いのが原因だよな。俺がもっと強ければ白式をもっと使いこなせていたら白式を失わずに済んだかもしれなかったんだし………俺はやっぱり弱いな福音の時も撃墜されて…いや、もっと前のあの頃から何も変わっちゃいなかった。モンドグロッソの時に誘拐され千冬姉が大会を放りだして助けてくれた時から何も変わっちゃいなかったんだな………結局、俺は皆に守られていたのか」
と一同が帰った後で気持ちが落ち込んでいた。
「外に出ようか」
気分転換のため外に出た一夏は病院の庭に向かった。
「欲しいな力が・・・筋トレでも始めるかいやでもそれじゃあ遅いし・・・・」
一夏は病院の庭の芝生の上に寝っころがるとそう呟いた。
「何だ、君は力が欲しいのかい?」
「ああ、力が欲しいってあんた一体誰だ?」
突然の声に一夏は返事をするが声の方向を向くと男が立っており、一夏は上半身を起こす。
「ああ、これは失礼。紳士として名乗り遅れたことお詫びするよ我が名はそうだなスネークとでも名乗っておこうか。とあるお邸につかえている執事だ」
執事服の男はそう言って自己紹介をした。一夏はスネークという男の方を見たまま男に尋ねる。
「それで、何で俺に話しかけてきたんだ?」
「ああ、昔の自分と似ていたからだ。我も昔は、それこそ今の君と同じ位の時に力を欲していた。君に訊きたい。何故力を欲するのかね織斑一夏君?」
「!?何であんたが俺の名前を知っているんだよ!!」
突然自分の名前を言われた一夏は男を警戒するとすぐさま立ち上がった。
「そりゃあ、男で唯一ISを使えるって事で有名だろうが!テレビとか新聞でも載っていた」
「あっ、そっか」
「理解してもらえたかね」
「ああ」
「それで答えを聞いてないんだが」
「俺は昔、姉に守られた。そしてこの前も色々あったが力が無かった為周りを悲しませた。昨日少しゴタゴタが有り姉が襲われたが姉を守れた。やっと姉に届いたと思った。しかし、力が無いせいで、もしくは力をうまく使えなかったせいでISを力を相棒を失った……」
一夏は無人機の事は言わずに大まかな事のみを執事服の目の前にいる男に伝えた。
「それで君は悔んでいるのか?」
「姉を守れたことに後悔はしてない大切な家族だ相棒を失ってしまったが後悔はしていない」
「ならば何故そんなに考えている?考える事がなかろう。君は家族を守った結果としてISは失ってしまったかもしれないが家族は生きているのだろう?何を悩む。何を迷う」
「確かに姉を守れた。でも、俺に力があれば……もう少しISを相棒を使いこなしていれば相棒を失わずに済んだかもしれない。それを後悔している」
「矛盾しているな。後悔していないと言っておきながら後悔している……まあ、思う存分に悩め。それが青春だ」
スネークはそう言うと腕を組み、しばし考えた様子だったが
「なあ、織斑一夏、力が欲しいか?」
と一夏に尋ねた。
「当たり前だろう!さっきも言っただろう!!」
一夏は訳もなく目の前の男スネークに怒鳴ってしまった。
「そうか…そうだな。織斑一夏、俺についてくるか?俺に着いてきたら力をつけてやる」
突然のスネークの提案に一夏の表情はパアアアアと効果音が出るくらい輝いた。
「本当か!!」
「ああ本当だ。IS関連は無理だが、ISは本来パワードスーツだからな力をつけることでISにも反映されると思うのだが」
「確かに」
「もし我に着いてくるならば翌日の正午にまたここに来い。荷物はいらない一晩だけ考えてこい」
「分かった」
「着いてくるならちゃんと学校を休む手続きをしとけよ」
「了解」
こうして一夏はスネークと別れた
病室に戻った一夏はスネークに言われた事を考えていた。
「さて、どうしたものか。力は欲しいが今日初めて会った奴だし、安全かどうかの確証が欲しいが………まあ、良いか。えっとー、皆に手紙と千冬姉宛の手紙に休学届を入れていれば大丈夫かな」
そして、一夏は千冬に向けて休学の事を手紙で書き記して身の回りの整理整頓やベッドの上を綺麗に直す。
翌日正午、病院の庭に約束通りスネークは居た。スネークは自分に向かってくる人物を見ると話しかける。
「やはり来たか」
「まあな。力が手に入るならば一緒に行くさ」
「まあ、お前が来る事は分かりきっていたがな」
「なぜだ?」
「お前のその眼だよ織斑一夏」
「俺の眼だと?」
「力を求めた頃の俺の眼と全く一緒なんだよ。例えどんな危険が伴っていても構わない。力が欲しいと思っているそんな眼だ」
「寸分違わない」
「だろうよ。さあ行こうか」
「しかし、何処に行くんだ?」
「着いてからのお楽しみさ」
そう言うとスネークは庭から出て病院の駐車場に向かって移動し駐車してある一台の黒い車に乗り、一夏もスネークを追いかけるように駐車場に向かった。
「速く乗れ。移動手段を途中変えなければいけないからな」
「ああ分かった」
一夏はスネークに催促され車に乗ると車は発進した。車は暫く走ると空港に着いた。
「さて乗り換えるぞ!その前に織斑一夏お前これを飲んでおけ」
そう言って一夏はペットボトルを渡された
「分かった」
一夏は素直に飲むと倒れてしまった。
倒れた拍子で持っていたペットボトルが落ちて中身が出て車の座席が濡れる。
「何を入れた!!」
一夏は自由がきかない体でスネークを睨み付ける様に見るとそう言ってスネークに尋ねる。
「お前のペットボトルに睡眠薬を入れた。お前にこれらを渡しておく。まあ、中身は後でみな」
そう言うとリュックをつけられ一夏はヘリに乗せられそこで意識を手放すのだった。