俺―――織斑一夏は、現在寮から簪さんのラボに移動していた。
やはり白式のせいで簪さんの専用機を凍結させてしまったのだから許してもらいは、したが未完成のせいだろうか少し心苦しい。だが、今週中で終わりそうと言っていたからあと一息と言ったところなのだろう。しかし、簪さんはすごいな一人でISを組み立てようとするなんて。尊敬する女性の一人に分類するよ全く持って。まあ、一人目は千冬姉で、二人目は束さんだけどね。
とまあこんなことを思いつつ歩いていたのだが簪さんのラボに移動中の今、外の道のりに植えられている少し離れた木の陰から不穏な気配が漂っているのを感じた。
「誰だ!」
俺は、警戒を強めながらその木の陰に向かって言い放つ。
「ほう!気配を察せられるとは、なかなかの手練れだな」
そう言いながら出てきたのは、眼帯と鉢巻をしていていかにも屈強そうな男だった。強さで言うならスネークと同等かそれ以上と言った処だ。
「あんた何者だ?」
「ほう!相手の実力を測ることが出来るのか」
不審者は、面白そうに笑みを浮かべながらそう呟いた。
「俺の質問に答えろ!」
「分かったよ。俺の名は、そうだな大佐と呼ばれているからそう呼んでもらおう」
大佐と言う男は、上着のポケットから何かスイッチを取り出した。
「織斑一夏、私に下れ。このファントム・ハーケン所属の私の部下と成れ」
大佐は、そう言うが俺の心は決まっていた。
「断る。大体ファントム・ハーケンというのが何なのかすら知らないのに何であんたの部下にならなきゃいけないんだ!」
「これは、失礼した。断られても仕方ない。ファントム・ハーケンは、女尊男卑のこの世界をぶち壊すための秘密結社だ」
こうやって話してる間も隙を見せない大佐。それに手にあるあのスイッチが気になる。
「それで、何で俺と接触してきた?」
俺の質問に大佐は、先ほどより少し真剣な表情と成った。
「貴様は、男性にして唯一の希望ともいえる存在と成っている。それがこちら側に付けば」
「成程。注目が集まるし変えられるかもしれないと」
「そういう事だ。こちらには、世界を変えるだけの力と人員がある」
「だが、断る」
「そうか。だが、貴様に断ることが出来るかな? 」
「どういう事だ! 」
「もし貴様が断れば我々の同志が激怒して貴様と貴様の仲間を襲うかもしれない」
「その時は、俺が守る! 」
俺は、そう言うと大佐は不穏な笑みを浮かべた。
「確かにお前の周りに仲間が集まっていたり、激怒した同志が一人ならな」
!そういう事か!!
「ふふ、その表情だと気付いたようだな。これが此方からの交渉材料だ」
成程、そう来たか。だが、
「俺が皆を守って見せる! 」
絶対に守って見せる
「そうか。なら、今日の所は、引くとしよう。気が変わったら此処にメールをくれ」
大佐は、そう言うと懐からメモ用紙を取り出すと千切って俺に向かって渡してきた。
俺は、それを受け取る。
「言っておくがこれは、使い捨てのメールアドレスだ。これからハッキングなんてして身元を割り出そうとしたりしない事だ。それと私を着けてきたりしない事だな。これは、お前の為を思っての忠告だ」
大佐は、そう言うと俺の前から走って消えて行った。
「絶対に味方しない!多分あの手に握られていたのが起爆装置ならこのIS学園に爆弾が仕掛けられているってことだな。なら、俺が全部ぶっ壊してやる!」
俺は、そう言うとその場を後にした。目指すは、IS学園の校舎。だが、その前に簪さんのラボに行って手伝えない事を言わないと。
「先ずは、簪さんのラボに行くか」
俺は、そう言うと簪さんのラボに向かった。
◆ ○ ◆
私―――――大佐は、現在帰りのヘリで移動中だ。
私の手元にタブレット端末があり、それにターゲット織斑 一夏の今の様子が映し出されておりその様子を眺めている。
織斑一夏、彼さえこちらに来てくれたならどんなに我々の注目が集まるだろうか、注目が集まれば今まで日陰で生きてきた男子がどれほど生き方が変えられるだろうか。
彼にこちらが作った専用のISを渡せば更に注目が高まるのでは、ないだろうか?
ふと、そんな考えが頭の中をよぎった。
いや、それは良い案かもしれない。彼の専用機が我々から作られれば世間からの注目も集まり、世界の男性は、我々を支持する。この女尊男卑の世界を生きてきた男性ならば、殆どが必ず我々を支持するようになる。
他のこの女尊男卑を変えようとした団体がIS運営委員会の鷹派に睨まれて解散しただろうか。いくら訴えても力がなければ意味がない。力がなければこの世は、変えられない。
ファントム・ハーケンのスポンサーは、大富豪の男性たちだ。彼らによってファントム・ハーケンは、創立された。彼らにとってこの女尊男卑の世界は、耐え難いのだろう。
女尊男卑の社会に影響された馬鹿な内閣女性議員達が彼らに莫大な税金をかけたりしているらしい。
まあ、馬鹿な内閣女性議員から見れば、ただのATM程度にしか見ていないのだろう。
この影響は、世界のいたるところでも見られる。道端で行き成り知らない女性が荷物を持ちなさい等命令してきたりする。断れば、訴えられ裁判員が男であっても政府からの目を気にして有罪になったりする。男には、何の原因もない。だが、荷物を持たなかったというだけで有罪になる始末なのだ。こんな理不尽があって良いのだろうか?その答えは、否である。合って良い筈がない。誰しも変えたいと思っただろう。だが、世界は女性はそれを許さない。今の方が彼女らにとって都合がよいのである。男は、黙ってロボットのように働いては、稼いだ金を女に渡せばよい。最悪そういう考えの女性が一人や二人いるのだろう。しかし、冗談ではない。そんな人を人とも思ってない考えなど糞喰らえである。そんな考えに賛成しては、いずれ世界は二つに割れ男と女での世界大戦が起きるだろう。女は、ISを使用し男の敗北は、確定だろう。そうなれば男は、ただの生きた屍となるだろう。それだけは、避けねばならない。
「やはり、あいつのISを作らすか」
私は、そう呟くとポケットから携帯電話を取り出した。
「私だ技術長」
『おお、大佐か』
「すまないがISをもう一機作ってくれないか? 」
『何かあったのかえ? 』
「織斑一夏の専用機を作っておいてほしい」
『分かった。しかし、またどうしたのじゃ? 』
「織斑一夏がこちら側に付くかもしれない。今日、織斑一夏と話してきた」
『それは、どうじゃろうな』
「何故そう思うのですか? 」
『こちら側に付くということは、下手をすれば彼の姉 織斑千冬と戦うという事じゃ』
「成程。『家族と戦えることが彼は、出来るか?』と言いたいのですか?」
『左様』
「彼がこの世界を変えたいと思っているならば、造作もないことでしょう」
それに、彼が守りたいものがあるならこちら側に付くと心の中で私は、付け足す。
『まあ、織斑一夏の専用機は作っておくわい。無駄にならないことを願うのじゃ』
「そうですね」
『大佐お主のISじゃがおそらく5日後に出来ると思うぞい』
「ずいぶんと速いですね」
『コアの解析が面倒であっただけでIS自体は、面倒でないからのー』
「成程。では、あれの作成は、10日後という事でしょうか?」
『そういう事じゃ。早めに終わらそうと思う』
「分かりました。こちらも彼が付く様出来るだけの事は、しましょう」
私は、そう言うと通話を終了した。
「大佐そろそろ着きます」
部下の報告を受け私は、立ち上がる。
丁度、ファントム・ハーケンのスポンサーの屋敷に到着したようだ。
「それでは、定期連絡と行こうか」
私は、そういうとヘリコプターの扉に手をかけ扉を開き外に出た。