IS~舞い降りる黒き自由の翼~   作:zeke

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日本攻防戦 開幕

「一体、束は何を考えているんだ?IS学園のグラウンドに人を集めろと言って一方的にメールのみを送りつけ追って……」

IS学園のグラウンドに小さな人溜まりが出来ている。声の主はその人溜まりの中に居た。

キリッとしたつり目の黒髪の教師。篠ノ乃束の親友にして一夏の姉、織斑千冬だ。

彼女がIS学園グラウンドにいるのにも訳がある。

先ほど急に千冬の下に束から一通のメールが届いたのだ。内容は一夏救出の為に指定する場所に来ること。そして、指定した場所がIS学園のグラウンドだったのだ。

一夏救出と訊き、生徒も千冬が教室内ないし寮内で待機するように待機命令を出すも言う事を聞かず仕方なしに千冬と共に同伴する事を許可したのだ。

(だが、一夏の救出が出来るのならば……それに布仏姉妹もあそこから抜け出させれるなら)

等と千冬が物思いにふけっていると何処からか機械音が聞こえ始めた。

さながらジェット機とISの稼働音を合わせた様で違う音。それは千冬が今まで聞いた事の無い音だった。

(一体この音はなんだ!?)

千冬の周囲の生徒も不安の表情を出す生徒が続出していた。

「あ、あそこ!」

千冬の直ぐ傍にいた生徒の一人が空の東側を指差した。

千冬が生徒が指差す方向に視線を向けるとそこにはピンク色の戦艦と白をベースとした赤のラインがが特徴的の大きな戦艦が合った。

だが、千冬たちが驚いたのは戦艦の大きさではない。戦艦が浮いている事だ。

 

「う、浮いている!?戦艦が浮いている!?」

 

一人の生徒が全員が驚いている事を口に出して言う。

それらはゆっくりとIS学園の千冬たちが待機するグラウンドまで徐行のように移動すると千冬たちの上空で停止した。

そして、ゆっくりと高度を下げた。

千冬たちの頭から大体10Mぐらいの高さで戦艦は停止するとピンク色の戦艦から縄はしごが垂れ下がり一人の女性が縄ばしごを使って降りてきた。

女性はゆっくりと千冬に向かって歩く。

そして、千冬の前に立つと挨拶をし始めた。

 

「やあやあやあ、ちーちゃん。お待たせ~。皆のアイドル篠ノ乃束さん、ただいま登場だよ~」

 

女性―――篠ノ乃束は、千冬の前に立つとクルリとその場で一回転をして見せる。その所為で彼女が身にまとう不思議の国のアリスのアリスが来ているような衣装がふわりと広がる。が、暫くすると再び元に戻った。

 

「束!これは一体どう言う事だ!?」

 

「ん?何が??」

 

千冬のくぐもった声でする質問に束は興味の無さそうな口調で答える。

 

「この戦艦だ!浮いているではないか!?」

 

「浮いてるね~。でもさ、ちーちゃん。ちーちゃんも浮いている戦艦を見た事があるでしょう?」

 

「何?」

 

「いっ君が今所属しているファントム・ハーケンだっけ?あれもアトランティスとか言う要塞が浮いているし、連合軍とかいうのだって浮いている戦艦を作ったし。戦地で見たでしょう?あれらを」

 

束に言われて千冬は思い出す。戦地で見た巨大な要塞が浮上していた姿を。

 

「そうだな。そうだった」

 

「ほかの人に出来て私に出来ない通りなんて無いよ」

 

束の言葉に千冬は苦笑しながら答える。

 

「そうだな」

 

「ま、これでいっ君との約束を果たせそうだから良いけどね~」

 

束の言葉に千冬の眉はピクリと動いた。

 

「一夏との約束だと?」

 

「あ~、つい口が滑っちゃった。何でも無いよ。忘れてちーちゃん」

 

冷や汗が滝のようにだくだくと出て無意識のうちに一歩後退する束の頭を千冬は片手で掴み、力を入れ始める。

 

「言え。束、貴様一夏と何を約束している?」

 

「あはっ、ちーちゃんの久しぶりのアイアンクロー」

 

そうこうしている内に束の頭からゴキンと聞こえて来てはならない音が聞こえた。

束は、千冬のアイアンクローから脱出すると話し始めた。

 

「う~ん、本来なら話しちゃダメなんだけどまあ良いか。いっ君ここに居ないし」

 

決して目の前の千冬の背後に般若が見えるからでは無いのであろうと思いたい。

 

「いっ君はね、あそこに行く前に私に会いに来てくれてとある計画を私に話してくれたんだ~」

 

「一夏がお前にだと?」

 

「うん。いっ君はね、自分が時間稼ぎをするからその間にあいつ等に勝てるだけの戦力を作ってくれって私に言ったんだ~」

 

「!それでは一夏があそこに居るのは!?」

 

「単なる時間稼ぎ」

 

「な!?」

 

「ただし命を懸けた……ね」

 

「………」

 

「まあ、もうそれも終わりだけどね」

 

束はそう言うと手をパンパンと叩いて言う。

 

「さあさあ、戦地へ行く人は居る?身の安全は完璧じゃ無いけどある程度は保証するよ。何て言ったって束さんお手製の戦艦アークエンジェルとエターナルだからね」

 

「わ、私行くわ!」

 

一人の女子生徒が手を挙げてそう言うと次々と手が上がりついには全員手が上がった。

 

「私だって行くんだから!」

 

「私もよ!」

 

「虚さんにはお世話になっているし、この機会に恩返しすんだから」

 

「それじゃあ、艦に乗り込んで。アークエンジェルは20人。エターナルの方は残りの人が乗り込んでね。ちーちゃんはアークエンジェルの指揮をお願いね」

 

束はそういうとピンク色の戦艦、エターナルの縄ばしごを上って再び戦艦の中へと消えていった。

 

 

「ビックニュース!ビックニュースだよ!」

パタパタと手を動かしながら布仏本音はアトランティスの廊下を走っていた。

その遅い移動速度に走っていると表現していいのか分からない速度で本人は慌ただしく一夏の部屋へと向かう。一夏の支給された部屋が見えたと思ったら一夏の部屋から姉の虚が出て来て彼女は足を止めた。

 

「あ!お姉ちゃん」

 

「本音!静かにしなさい!!」

拳を握り締め如何にも今から拳骨しようとする体勢を見ると本音は大人しく従った。

 

「……はい」

 

「それで、何がビックニュースなの?」

 

「あっ、それはね~」

本音は虚に尋ねられて自身の服のポケットから小さなメモリースティックを取り出した。

「これを見て貰えば解ると思うんだけど、おりむーに頼まれていた事なんだ~」

 

「一夏さんに?」

 

「うん」

 

「……そう、分かったわ。ご苦労様。私の部屋で聞かせてくれる?」

 

「りょ~か~い」

本音は姉と共に姉の支給された部屋へと向かった。

 

「そう、そう言う事なのね」

虚が座る椅子のそばにはPCがついており小さなメモリースティックが刺されており、その画面には本音が集めた資料が映し出されていた

本音から全てを聞き終えた虚はやけに落ち着いていた。しかし、口調が何時にもまして迫力が増しており妹の本音は先程から部屋の隅でガタガタと震えている。

 

「本音?貴女どうしてそんな所で縮こまっているの?」

 

「な、何でも無いよお姉ちゃん!」

ろくに眼を合わせれず増々虚から謎の重圧感に押しつぶされそうに成る本音。

 

「……まあ、良いわ。それよりもこれからの事を考えなければいけないわね」

 

虚はそう言うと支給された部屋に設置されている椅子に腰かけ考える素振りを見せる。

(取り敢えず一夏さんが目覚めてからこれからについて話し合った方が良いわね。今の所身の危険は戦場以外は感じられないのだけれども、警戒は怠らない方が良いわよね。この事を私たちが知ったと成っては此処はどんな事をしでかすか分からないし。下手に刺激しないようにしないと……)

等と虚が思考をめぐらし考えていると

 

「ね、ちゃん。お姉ちゃん!」

 

本音に呼ばれており、ハッと意識を戻す。

「ど、どうしたの本音?」

 

「さっきから呼んでても返事が無かったんだもん。心配したよ~」

 

「考え事を少し、ね」

 

「考え事?」

 

「ええ、考え事を。兎に角、明日一夏さんが目覚めたら話し合いましょう」

 

翌日、一夏の支給された部屋に3人の人影があった。

部屋の主である一夏と本音と虚の3人だ。

 

「やはり何かしらの裏があったか」

 

一夏は、本音から昨日虚が聞いた報告を聞くとそう呟いて視線を本音からPCの画面に戻す。

PCにはメモリースティックがささっており、PCの画面にはファントム・ハーケンの実験研究所がどの様な実験を行っていたかの事細かな詳細が画像と共に映し出されており、一夏達と同じ位やもしくは年下の子供達が新たに作られた薬物の投与による人体への影響の実験動物にされる様子や薬物に適合できなかった子供が処分される映像が映し出されていた。

 

「一夏さん」

 

一夏の傍にそっと寄り添う虚。

その表情は少しばかり不安の表情を浮かべている。

 

「ああ、そうだな。これからの事だが……様子みだ」

 

一夏はそう言いながらPCの前に設置されているイスに深く腰を掛ける。

 

「おりむー、様子みなの?」

 

本音はベッドで寝ころびながら言う。

 

「ああ。あいつ等、レックス達を放っては置けない。助けれるなら助けたい」

 

「……解りました。それではそれらも含めて色々と脱出の手配をしておきます」

 

「虚!……それは要らない。否、お前と本音だけの用意をしておいてくれ」

 

「一夏さんは?」

 

「俺は――脱出しない」

 

「どうしてですか!?」

 

「下手に全員が脱出すればどうなるか解らない。お前たちが全員脱出して安全なのを確認したら俺も脱出する。お前達は【全員戦闘準備せよ。各員戦闘配備。アトランティスはただ今日本に向かっているが連合軍と遭遇した。専用機持ちは全員出撃。敵の生死は問わない。連合軍を確実に撃破せよ】……行こう」

一夏はそう言うと椅子から立ち上がり部屋を出て行った。

本音はベッドから体を起こすと立ち上がり、虚もその様子を確認し終えると本音と共に部屋を出た。

 

カタパルトから出た一夏はエクスカリバーレイザー対艦刀を連結させた状態で左手に持ち、右手には高エネルギービームライフルを持ち、バックパックはフォースシルエットの状態で出撃した。

一夏が周囲を見渡すとアトランティス前方に連合軍のIS部隊が防衛線をはるかのように並んでいた。

連合軍のIS部隊は一夏を見るとISを出撃させ攻撃を始める。

連合軍のIS部隊の殆どは打鉄だ。

だが、その手に持たれているのはビームライフルには威力が劣るが一夏達のISに有効な攻撃を与えるビームガン。IS部隊は一列に並ぶと一斉に一夏目掛けて射撃を行う。

 

IS部隊の持つビームガンから緑の閃光が一夏に目掛けて一斉に放たれる。

一夏は背中のフォースシルエットのスラスターを一気に吹かせ僅かに瞬間加速(イグニッション・ブースト)を上空へと上昇しビームガンの攻撃を回避する。

そして、自身の間合いに入ると左手に持つエクスカリバーレイザー対艦刀をIS部隊に目掛けて分投げた。

投げられたエクスカリバーレイザー対艦刀は巨大なブーメランと成り、次々とIS部隊を襲う。

エクスカリバーレイザー対艦は、次々とIS部隊を襲い撃墜する。

IS部隊の何名かもエクスカリバーレイザー対艦刀を回避するも一夏が右手に持つ高エネルギービームライフルを放たれシールドエネルギーを削られる。

 

「クッ!」

 

何発か当たりながら一夏から放たれるビームライフルの攻撃を避けるも苦虫を噛み潰したかの様な表情と成るIS部隊。だが、そんな彼女らの後ろからエクスカリバーレイザー対艦刀がブーメランの如く弧を描くように一夏の許に戻る為にその軌道上に障害と成るIS部隊を構う事無く斬りつける。

 

「きゃあ!」

 

エクスカリバーレイザー対艦刀は一夏の許に戻ると一夏はそれを手にして量子変換をする。

エクスカリバーレイザー対艦刀によって斬りつけられたIS部隊は次々と全滅していった。

真っ逆さまに海に落ちていくIS部隊の目に映ったのは巨大な不定要塞の姿と一夏の身に纏うインパルスの後ろ姿。そして、冷たい感触がし、海へと落ちて行った。

★                    ☆                 ★

 

僕の存在意義は―――

あの人が死んだ。だが、あの人の憎しみによって僕は生まれた。

もう一人の父は僕の憎むべき対象。殺す殺す殺す。

僕の目的である存在意義は―――

 

織斑一夏(あの人)を殺す事だ。それこそが僕が作られた存在意義。あの人も、あの人を取り巻く環境も全て全て全て!破壊し、全てを壊し、殺す。そこに善悪なんて無い。ISC(インフィニット・ストラトス・キャンセラー)の制御スイッチであるパンドラの箱も手に入れた。後はこのアトランティスを掌握する制御コントロールを手に入れれば、僕は勝ったも同然。何処にある!あの忌々しい幸せそうな顔をする織斑一夏(あの人)を絶望に叩き込む鍵は何処にあるんだ!?

それさえ手に入れば織斑一夏(あの人)の居場所も壊す事ができるのに!

ジェネシスも手に入れる事が出来るのに、何処にあるんだ!

………今はその時では無いのか?どちらにせよ僕は勝つんだ織斑一夏(あの人)に。あの人から全てを奪い殺し、絶望の淵へと叩き込むんだ。

待っててね父さん。いずれ貴方を殺すよ。

 

★☆★

 

インパルスはアトランティスを護衛するがの如く暫くアトランティスと共に日本に向けて移動していた。

一夏の前方に懐かしい日本の姿がハイパーセンサー越しではあるが見え、一夏は何とも言えない懐かしい感覚に襲われる。

そして、その前方に見える連合軍の旗印を掲げた戦艦と連合軍のIS部隊。

一夏は睨みつけるように連合軍を見ていると一夏の周囲にいつの間にかレックスやホー、オーム、ライガ、本音や虚達が集まっていた。だが、重症だったロウの姿は見当たらない。

一夏は視線をライガ達から連合軍の戦艦に向けるとそこにはIS部隊を展開させる姿があった。

 

『どうやら向こうは、やる気満々の様だな』

 

ライガはオープンチャンネルでそう呟く。

まあ、何処をどう見ても単なるお喋りをしましょうと言う雰囲気では無い。

それに、連合軍のIS部隊には見た事のある人物が何名かいた。

アビス、ゲイルストライクの操縦者の姿のほかに、撃墜させたはずのハイぺリオンガンダムの操縦者とネブラブリッツの操縦者の姿も見える。

ハイパーセンサー越しではあるがライガ達の方を見ると青筋を浮かべているのはきっとライガ達の気のせいであろう。

 

『どうやら通せんぼをしたいみたいだねあの人達は』

 

オープンチャンネルでそう呟く一夏に

 

『邪魔なら……ぶっ殺せば良いのさ!』

レックスは、そう言うとセイバーのスラスターを噴かせ両手にヴァジュラビームサーベルを持った状態で連合軍に突っ込んでいった。

 

『チッ!あの馬鹿め!!』

 

レックスの行動にオームは毒を吐きながらもネオザクのスラスターを噴かせ後を追う。

 

『あ、おい!……ああ、もう!』

 

一夏はそんな二人を見て呼び止めようと試みるも二人を呼び止める事は出来ず、二人を追う様にフォースインパルスのスラスターを噴かせて二人を追い始める。

 

『行っちゃったね~』

 

『行きましょう。本音』

 

本音と虚も一夏を追うかのようにバックパックのエールストライカーパックのスラスターを噴かせ一夏の後を追う如く前方の連合軍の陣形に突っ込んで行った。

 

『こりゃあ』

 

『俺らも行くしかないな』

他の全員が突撃して行った事に呆れる様子を浮かべるホーとライガ。

二人は若干半笑いの表情と成りながらもスラスターを噴かせ遅れながらも連合軍に突っ込んで行く。

こうして日本での連合軍とファントム・ハーケンの開戦の幕が切って落とされた。

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