「おりむー!」
目の前で一夏がレックスの攻撃を生身で飲み込まれ、本音はストライクルージュのバックパックであるエールストライカーパックのスラスターを噴かせ一夏を攻撃したレックスに向かう。その手には【ビームサーベル】を持ち、一夏を攻撃したレックスに向かって斬りかかろうとする。
「待ちなさい、本音!」
そんな本音の肩を掴み虚が本音を制止する。
「離して!おりむーを、おリむーを!」
「あれを見なさい!!」
虚が指差す方向に本音が視線を向けるとそこには一夏をお姫様抱っこしている金色のISを身に纏った篠ノ乃束の姿と彼女の周囲を金色の【ドラグーン】が防御フィールドを形成している姿が目に映った。防御フィールドを形成した【ドラグーン】は攻撃を受け終わるとレックスに向かってオールレンジ攻撃を仕掛ける。
次々とレックスに向かい攻撃を仕掛けるドラグーン達。
レックスは回避しようとするも対応しきれずに攻撃を食らってしまう。
束は【ドラグーン】を回収し、背中のバックパック【シラヌイ】に収拾すると一夏を抱えたままスラスターを噴かせ移動する。
束が向かう方向に視線を向けるとそこにはピンク色の戦艦【エターナル】と赤と白の色が特徴の戦艦【アークエンジェル】がいつの間にか戦場まっただ中に居た。
本音と虚はお互いに顔を見合わせると無言で頷き自身のISのスラスターを噴かせ束の後を追う。
その様子を見たレックスは
「………」
無言で虚ろに成った目で見ると本音と虚の後を追いかける。
そして、【ヴァジュラビームサーベル】を抜き、どんどんと虚と本音との距離を詰めていく。
後もう少しで【ヴァジュラビームサーベル】の攻撃範囲と言う所でレックスに青い閃光が走る。
「おいきなさい!ブルー・ティアーズ!!」
声の主はセシリア・オルコット。彼女が乗るIS ブルー・ティアーズの背部に装備されている4機の射撃型特殊レーザービットがセシリアの声と共にレックスに向かっていき次々とレーザーを射出する。
レックスはブルー・ティアーズのオールレンジ攻撃を躱すも、回避の為に距離を取る。
「くう、ダメでしたか」
悔しそうな表情を浮かべるセシリア。
「……そう。なら、これはどう?行って、山嵐!」
簪の声と共にレックスに向かって48個のミサイルが放たれる。
セシリアのIS武装【ブルー・ティアーズ】と簪のIS武装【山嵐】のオールレンジ攻撃の混合攻撃。並大抵の人間では回避する事はままならない。レックスは回避できずに【山嵐】と【ブルーティアーズ】の攻撃の的となる。
簪とセシリアの集中砲火を食らったレックスを中心に大爆発が起き、黒い煙が発生する。
セシリアは【ブルー・ティアーズ】を回収するとついつい油断し持っていた六七口径特殊レーザーライフル【スターライトmkⅢ】の銃口をレックスからそらしてしまった。
「やりましたの?」
「……分からない」
簪の言葉と共に煙の中から凄いスピードでレックスが出て来てセシリアに向かって【ヴァジュラビームサーベル】を振るう。
「!」
セシリアはすぐさま回避に専念しようとスラスターを噴かせるが間に合わず【ヴァジュラビームサーベル】を食らってしまう。
「キャッ!」
悲鳴と共に背後へと攻撃を受けながらもスラスターを噴かせるセシリア。
「セシリア、退いて!」
声と共にシャルロットがセシリアの背後から現れてレックスに向かって六一口径アサルトカノン 【ガルム】を連射する。
レックスは背後に退きながらも回避し六一口径アサルトカノン 【ガルム】を撃ってくるシャルロットに対して【ビームガトリング】をお見舞いだと言わんばかりに連射する。
「!負けないよ」
シャルロットはスラスターを噴かせ高速でビームガトリングの回避しながらも六一口径アサルトカノン 【ガルム】を連射する。
「シャルロット、援護する」
シャルロットがレックスが身に纏うIS【セイバー】と撃ち合いをしている中、ラウラはレックスに向かって【大口径レールカノン】の照準を合わせると発射する。
レックスは【大口径レールカノン】が撃たれた後にラウラの方を向く。
レールカノンの砲弾が刻一刻とレックスとラウラとの距離を詰め自身に向かって迫り来ている。
そして、砲弾はレックスの目の前にまで来ていた。
「……」
レックスは虚ろな眼で迫りくる砲弾を見ると両手に持つ【ヴァジュラビームサーベル】で【大口径レールカノン】の砲弾を切り捨てる。
十字に切られた【大口径レールカノン】の砲弾は4つの破片となりレックスを避けるかの様に軌道を変えるとレックスの上下左右に飛んでいき爆発を起こす。
「な!?」
ラウラは驚いた。
避ける事もなく【大口径レールカノン】の砲弾を切り裂いたのだ。避けるのならばまだ解る。
だが、【大口径レールカノン】の砲弾をまるで虫を潰すがの如く眉一つ動かさず十字に切り裂いたのだ。
ラウラは自身が持つ常識を全てひっくり返された感覚に陥った。
そして直感が告げる。
――――この者は化け物だ。自分には手に余る存在だ。
砲弾を切り捨てる出来る化け物のような存在はラウラの知る限りこの世に二人しか居なかった。
織斑一夏と織斑千冬。
自分の憧れであり目標でもあった千冬と次元が違うほど強くなった一夏。
この二人だけだった。
目の前にいるレックスはこの二人と同じ次元に居る気がした。
「だが」
それでも
「私は」
相手との差が歴然でも
「負けない!」
ラウラの眼に闘志の炎が宿る。
無人の荒野を歩き陽炎の如く揺らめく様に近づくレックス。
【ヴァジュラビームサーベル】を手にしたまま虚ろな瞳でラウラに近づく。
気が付けばレックスはラウラに【ヴァジュラビームサーベル】の刃が届くまでの距離に居た。
そして、レックスは【ヴァジュラビームサーベル】でラウラを斬りつける。
相手を殴るにしても初心者が殴る時には肩が動き攻撃が来る事が解る予備動作がある。
だが、レックスがラウラを斬りつけた時にはその予備動作が無かった。
「!」
ラウラが気付いた時には斬りつけられ大きく後ろに仰け反った後だった。
ラウラは現役軍人だ。戦闘は他の代表候補性よりも大きく抜き出ている。
だが、そんなラウラでも赤子の手を捻るがの如く一撃を入れられた。
大きく後ろに仰け反りながらもラウラは手をレックスに向けるとAICを発動させる。
ラウラがAICを発動した事によりレックスは身に纏う【セイバー】共々動きを封じられた。
普通なら封じられ動かなくなるのだが
「!動いているだと!?」
ラウラの前方には僅かながら動くレックスの姿が。
「クッ!」
ラウラは【大口径レールカノン】の銃口をレックスに向け発射する。
そんなラウラの様子を見たセシリアとシャルロットも
「援護しますわ!」
「援護するよ!」
【ブルーティアーズ】と六七口径特殊レーザーライフル【スターライトmkⅢ】、六一口径アサルトカノン 【ガルム】の照準をレックスに向け一斉射撃を仕掛ける。
簪とセシリアの【山嵐】と【ブルーティアーズ】の集中砲火、そしてラウラとシャルロット、セシリアの【大口径レールカノン】と六一口径アサルトカノン 【ガルム】、【ブルーティアーズ】と六七口径特殊レーザーライフル【スターライトmkⅢ】の一斉射撃。普通のISならば確実にシールドエネルギーがゼロに成るほどの威力。
攻撃を食らい、レックスが身に纏うIS【セイバー】を中心に黒い煙が舞う。
ラウラはスラスターを噴かせ後ろに移動すると黒い煙が舞う中【セイバー】を確認しようとハイパーセンサーを通して見るも何も確認できない。
「やったか」
安堵し、溜息を吐くラウラ。
並みのIS成らばこの攻撃を食らって無事では済まない。
ラウラの顔が勝利を確信した喜びの表情と成った時、攻撃で生じた中から【セイバー】がスラスターを噴かせ加速しながら現れラウラの首を掴んだ。
ラウラはそのまま【セイバー】を纏うレックスに押され後ろへと流される。
徐々にレックスがラウラの首を締め始めたことにラウラは驚きを隠せない。
(拙い!)
そう思うと【プラズマ手刀】と【ワイヤーブレード】を【セイバー】を纏うレックスに向ける。
ラウラから繰り出される【プラズマ手刀】と【ワイヤーブレード】のオールレンジ攻撃をレックスは片手でラウラの首を掴み、スラスターを噴かせラウラを押しながら、空いているもう片方の手で【ヴァジュラビームサーベル】を抜くと【ワイヤーブレード】のワイヤーを切り捨て【プラズマ手刀】をいなす。
「な!これでも!?」
目の前の化け物に驚くラウラ。
首を絞める力が強くなりラウラの意識が薄れようとした時、不意にラウラの首を絞めていたレックスの手の力が緩んだ。
それによりラウラは呼吸を取り戻す。
ラウラの首からレックスの手が離れレックスの視線の先は爆発音と共に黒煙が上がる浮上要塞アトランティスに向けられていた。
そして、ラウラの事など相手にする必要がないと言わんばかり踵を返してスラスターを噴かせ加速移動でアトランティスへと向かうのだった。