IS~舞い降りる黒き自由の翼~   作:zeke

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秋一

「「いっけええええええ!!!」」

 

【ミーティア】を装備した千冬と一夏は、マルチオンロックシステムを起動させる。

画面に映る戦場に出ている連合軍とファントム・ハーケンのISをロックオンさせ、【ミーティア】の全武装を発射させようとした。

 

だが、突如地響きが起こり海が荒れる。

 

「一体何なんだよ!」

一夏は声を荒げて周囲を見渡す。

 

「何!?ISが動かない!」

 

「一体どういう事なんですの!?」

 

「何!?どうなってんの!?」

 

オープンチャンネルから箒、セシリア、鈴の声が聞こえ視界に次々と戦場に出ているIS達が海に落ちていく様子が見える。

実際に一夏のIS【ギャラハット】も動かなくなっていくのが解った。

画面に表示されたシールドエネルギー残量が表示されなくなり、【ミーティア】に切り離されスラスターが起動しない状態ではるか上空から海面に落ちていくのが解る。

 

「一夏あああ!!!」

 

【ミーティア】を装備した【ジャスティス】を身に纏った千冬に【ギャラハット】を装備した状態で腕を掴まれ、何とか海に落ちていく事を免れるが視界には敵味方問わず海へと落ちていく事が確認できた。

 

「くっ、みんなぁ!!!」

 

「一夏、捕まっていろ。アークエンジェルに一時帰艦する。大丈夫だ、全員助ける!!」

 

空中から海に落ちていく3人を見ながら一夏は千冬に抱えられた状態でアークエンジェルに帰艦する。

 

「いっくん!」

 

アークエンジェルの格納庫に千冬に抱えられた状態で一夏が戻るといつの間にかアークエンジェルに帰艦した束が一夏のもとに走ってくる。

 

「いっくんの【ギャラハット】も動かない?」

 

束の問いに一夏は千冬から降りながら答える。

 

「ああ、【ギャラハット】がIS状態にならない」

 

「私の【ジャスティス】は動く。取りあえず海に落ちていった者達の救助に向かう」

 

千冬はそう言いながらカタパルトに両脚を乗せて射出され、海に落ちていった者たちを拾うためにアークエンジェルから出ていく。

千冬を見送った後、一夏は束に尋ねる。

 

「一体何が起きているんだ?」

 

「解らない。原因が解らないけど、幾つか考えられる。まず一つ、ISが起動しないように特殊なジャミングがかけられている」

 

束はそう言いながら指を一つ立てて説明する。

 

「でも、千冬姉……千冬の【ジャスティス】は動いているぞ?」

 

「そう。だから半分ぐらいの可能性で一つ目の可能性は否定される。だから二つ目、特殊なIS。主にちーちゃんが乗る【ジャスティス】のようなISには効かない対IS用兵器の攻撃を受けた」

 

そう言って束は、指をもう一本立てる。

 

「成程」

 

頷く一夏に束はさらに続ける。

 

「三つ目。ISが使えないようにシールドエネルギーを何らかの方法で奪われた」

 

『素晴らしい!流石天才 篠ノ乃 束博士。この状況で冷静な状況判断。答えに辿り着くとは……驚きを通り越して最早恐怖の対象だよ』

 

オープンチャンネルで聞こえてくる謎の声。声音から判断するに男性だと解るが、その声は普段から聞くような声に近かった。

 

「誰だ!このISを使えない状況を作り出したのはお前か!?」

 

怒鳴るようにオープンチャンネルで尋ねる一夏。

 

『ああ、そうだよ。織斑一夏君。君達が切り札を切ってきたからね。こちらもカードを使わせてもらったよ。一つ答えてあげよう。君たちがISを使えない理由、それはファントム・ハーケンの技術長であった亡き雪原 宗氏が作り出した。対IS用兵器ISC。インフィニット・ストラトス・キャンセラーによってISのエネルギー源であるシールドエネルギーに干渉し、ISのエネルギー供給をカットするんだ。エネルギーが供給されないISなんて単なるアクセサリーに過ぎないからね。人間も食料がなければ生きていけないのと同じだよ。今、僕の声が聞こえているということはオープンチャンネが使えるだけのエネルギーをISが蓄えているという事。しかし、IS状態にはできない。それだけのエネルギーが供給されていない』

 

「つまり、今、ISは冬眠状態にあるようなものという事ね」

 

『ご名答です。博士。ISができる以前ファントム・ハーケンの技術長であった亡き雪原 宗氏は、かつて国の要請を受けて次世代型パワードスーツであるMSを作っていた。しかし、MSには欠陥があった。MSの命となるコアが使用者の命を奪うという欠点があった。雪原 宗氏は、この欠陥は必然であると考えた。命を賭けぬ者に国を守る資格はないと考えた。やがて、彼の思想はMS製作のチームを二つに分けるきっかけを作ってしまった。そして、篠ノ乃 束博士。あなたは、ハッキングによりその製作過程と秘密にしていた欠陥を見て、国に露見した。それにより国は手のひらを反すようにMS製作チームは解体し、国監視のもと倉持研究所の職員に成るか、国に消されるかの二つの選択肢を迫られた。織斑一夏君の両親も最初は、MSの作成チームだったんだよ。しかし、ファントム・ハーケンの技術長であった亡き雪原 宗氏は欠陥を直すと言いながらも直さず一夏君のご両親を騙した。結局、国に露見し糾弾された時にファントム・ハーケンの技術長であった亡き雪原 宗氏は、国の上層部。今の女尊断碑の社会風潮を作り、この前殺された女性議員達と結託し織斑一夏君のご両親に全ての罪を擦り付け、やがて国のエージェントによって乗っていた旅客機が飛行機事故を起こし、口封じを行った。そして、貴女はMSの製作過程をもとにISを生み出した。これが全ての始まりだったんですよ。やがてファントム・ハーケンの技術長であった亡き雪原 宗氏は、ISの出現により女尊断碑の社会風潮を作った女性議員に見放された。彼は貴女と貴女の作ったISというものの全てを憎んだ。やがてその憎しみは貴女の作ったISを全て使えさせなくするISC。インフィニット・ストラトス・キャンセラーを生み出した。だが、どうやらシールド・エネルギーに干渉するISCの効果を受け付けないISを作っていたようだね。偶然ではあろうが恐れ入るよ』

 

驚きの声を上げるが、男は更に続ける。

 

『だが、レクイエムのチャージは止まらないし、止めない。止めたければ浮上要塞アトランティス一階まで来るがいい』

 

それだけ言ってオープンチャンネルは切られる。

 

「クソッ!」

 

一夏は格納庫の壁を殴り、悔しそうに唇をかみしめる。

 

「いっくん。まだだよ!諦めるのはまだ早いよ!コアネットワークがまだ使える。それなら、いっくんの【ギャラハット】にISの戦闘経験値を譲渡し、第二形態に移行させれば動くかもしれない」

 

「そんな事が可能なのか?」

 

「ISは自己進化するんだよ。戦闘経験によって自己進化するようにISのコアを作ったんだ。第二形態に移行すれば、もしかしたらいっくんの【ギャラハット】が起動していなかったパンドラBOXが起動して動くかもしれない。でも、それは戦闘経験値が足りて第二形態に移行すればの話。でも、可能性の話だよ」

 

「だったら、やるしかないでしょう!!」

 

突然の第三者の声。

束と一夏が声の主の方向を見てみると救助から帰ってきた千冬の背に掴まっていた鈴が格納庫の地面に降りながら言った。

千冬の両腕にはセシリア、シャルロット、ラウラ、箒。

 

「少しでも可能性があるんなら、この状況を打破するためにその可能性に賭けるしかないでしょう!」

 

そう言いながら待機状態に成っているIS【甲龍】を束に渡す。

 

「博士、私の甲龍の経験値も使ってください」

 

「僕のも使ってください」

 

シャルロット・デュノアも【インパルス】と使っていた【ラファール・リヴァイヴ・カスタムII】を渡す。

 

「わたくしのもお使いになってください」

 

「私のも使ってくれ」

 

続けてセシリアとラウラが束にそれぞれ待機状態に成っている専用機を渡す。

 

「みんな……」

 

感動する一夏。

そんな一夏に箒が近づき、ドンと一夏の胸を殴るように叩く。

 

「男がめそめそするな!」

 

そして、一夏の胸を叩いた手を開いた。

 

「ほら、私のも分けてやる!」

 

そこには、箒の専用機【紅椿】が待機状態だった。

そして、一夏は箒から彼女の専用機【紅椿】を受け取る。

 

「ありがとう。皆」

 

受け取った【紅椿】を握りしめながら感謝する一夏。

受け取った【紅椿】を束に渡すと束は懐からケーブルを6本取り出し、待機状態の一夏の【ギャラハット】に繋ぎ次々とシャル、鈴、箒、セシリア、ラウラの専用機に繋ぐ。

そして、最後に自身のIS【アカツキ】に繋ぐとドンドン作業していく。

ケーブルに繋がれたシャル、鈴、箒、セシリア、ラウラ、束のISから戦闘データである戦闘経験値が一気に繋がれたケーブルを通して一夏の【ギャラハット】に送り込まれた。

戦闘経験値が送り込まれた一夏の【ギャラハット】は待機状態から光を出して一夏の体を包み込む。

 

『第二形態にシフト。おめでとうございます』

 

その表示が視界に出されると共に一夏の体には、第二形態に移行した【ギャラハット】が纏われていた。

スマートかつ、武装が増えた一夏の【ギャラハット】。次第に発する光は弱くなり、消えると全員の視界に一夏の第二形態に移行した【ギャラハット】の姿が映る。

まず、膝からつま先にかけて【ビームブレード】が展開され、更に背中のバックパックから赤い粒子が飛び出していた。

一見、ごく僅かな変化だ。

だが、一夏の視界には【ドラグーン】に近接戦可能の文字と、束の【アカツキ】のバックパック【シラヌイ】の防御フィールドを形成する機能を備えており、まるで箒の【紅椿】の近接戦のデータを引き継いだ様な感じに成っていた。

また、【ドラグーン】の口径数も増えており、一基のドラグーンに【アカツキ】と同じく3つに増えており、より広い範囲に攻撃できるようになっていた。

シールドエネルギーは核燃料の使用によって∞になっており

 

「みんな、ありがとう。成功したみたいだ」

 

「勝ってきてよね。一夏」

 

シャルが一夏の胸を軽く叩く。

 

「ああ、必ず勝つ」

 

一夏はそう言うと踵を返しカタパルトに脚を乗せ、外に出る。

千冬もそのあとに続き、二人は再び戦場に出た。

 

アークエンジェルから戦場に出た一夏と千冬。

二人はスラスターを吹かし、浮上要塞アトランティスへと突入する。

浮上要塞アトランティスの入り口から入ると簪、本音、虚、楯無が待っていた。

 

「みんな、大丈夫か?」

 

「大丈夫よ。それよりも一夏君……」

 

楯無が言いづらそうにに口ずさむ。

 

「ISが使えないんだろう?皆はこれからアークエンジェルに連れて帰る。俺と千冬でアークエンジェルに連れて帰ってから、あの兵器を止めるために最下層に向かう」

 

「「「「それならば、私も!!」」」」

 

簪、楯無、本音、虚がそろって言うが一夏は厳しい表情を浮かべた。

 

「ダメだ!まだ起動できるISを持っているかもしれないんだ!皆を一緒に連れていくわけにはいかない!!」

 

「ならば、俺が連れて行こう」

 

不意に声がし、声のする方向を見るとスネークがヘリに乗って大声で喋っていた。

 

「全員、乗れ!今なら戦闘機もいないし、戦闘も再開していない。アークエンジェルに乗るならば今だ!!」

 

スネークの言葉に全員は無言となるが、楯無は

 

「行きましょう。私たちは今、何も出来ない。居ても足手まといなだけよ」

 

頷き、ヘリに乗り込もうと歩み始める。

簪、本音、虚も楯無の後に続き、ヘリの中に入り込む。

 

「それじゃあ、運ぶぞ。それと、織斑。いや、一夏。俺も後で加勢に向かう」

 

それだけ言い残すとヘリをアークエンジェルに向ける。

千冬と一夏は更に浮上要塞アトランティスの内部構造をマップで表示されているのを見ながら1階へと向かう。

突入した4階の廊下を渡っている最中、構成員がAK47やDP28軽機関銃を持ち、一夏や千冬に向かって銃を撃ってくる。

 

「くっ!エネルギーは減らないけれども銃弾が邪魔で前が見えねえ」

 

千冬の先頭を走る一夏はビームシールドを腕から展開し銃弾を遮る。

銃弾はビームシールドに当たり、バラバラと下に落ちていくがどんどん構成員は増えていく。

 

エレベーターが見えると一夏は更に加速し、エレベーターとの距離を一気に縮める。

そして、エレベーターの扉をビームサーベルで切り捨て強引に開けると中に飛び込んだ。

幸い、エレベーターの中身は一階上の5階に行っていたため落下するのに支障はなかった。

 

千冬も一夏の後を追うようにエレベータの中に飛び込み、銃弾は千冬が飛び込んだ後も4階からエレベーターに向けられたが、一夏と千冬の姿が確認できなくなると銃弾の嵐はやんだ。

 

一気にエレベーターで降りれる範囲である2階にたどり着くと扉を再びビームサーベルで斬り開け、2階に突入する。

 

「ここは……」

 

2階に入るとそこは、エネルギー供給施設だった。

 

部屋の中央に大きな原子炉があり、そこからエネルギーを供給する為の太いパイプが十数本繫がれている。

 

「ここがエネルギー供給場所だったのか?」

 

千冬は疑問を浮かべながらも一夏と共に原子炉に繋がっているパイプを全てビームサーベルで焼き切る。

斬ったパイプから熱い莫大な液体燃料が噴出し、どんどん溢れる。

 

「千冬、あれ!」

 

エレベーターの反対側に、壁と同じ色をした電子ロック扉を見つけると、一夏は指さしスラスターを吹かせ扉に向かってビームサーベルを横に一閃する。

 

電子ロック扉はビームサーベルの前では、無力に切り開かれ中には螺旋階段があった。

 

一夏と千冬は無言で頷きあい、液体燃料が飛び散る2階から1階に降りる。

階段を降りるとまたしても扉があり、ロックなどは特にされておらず逆に、半開きの状態だった。

 

一夏は扉を一気に開き中に入る。

千冬も一夏の後に続いてはいると、中には巨大なISが立っていた。

 

「ようこそ、織斑一夏君。そして、織斑千冬」

 

一夏と千冬がよく聞く声を発する目の前の巨大なISに乗った男性。

顔は全身装甲のため見えず、IS自体も一夏と千冬が乗っている【ジャスティス】や【ギャラハット】よりも2.5倍はあった。

 

「お前は何者だ!」

 

堪らず千冬が男に問いを投げかけると、突如男の顔を覆っていたヘッド部分が消え男の素顔が現れた。

 

「僕の名前は秋一。織斑秋一」

 

そこには、一夏と同じ顔をした秋一と名乗る人物の顔があった。

 

 

「なんで……何で俺と同じ顔なんだ?」

 

困惑する一夏を見て秋一は詰まらなそうに返答する。

 

「何だ、案外僕の父さんも頭が悪いんだね」

 

「父さん?」

 

「そうだよ。もういいや。折角だし、ここまで来た褒美に教えてあげるよ。僕が何者なのかをね」

 

そういって秋一は、一旦目を瞑り、再び開くと語りだす。

 

「僕は織斑一夏のクローンだよ。織斑千冬と織斑一夏。この二人が僕の両親だ。君達の両親が、IS適性が高かった事を16年前に知ったファントム・ハーケンの技術長であった亡き雪原 宗氏、僕のもう一人の父親。そして、彼が自分がISに乗れないことを知り、織斑一夏と織斑千冬の体細胞組織を十数年前に入手し僕という人形を作った。よりIS適性を高め、己の肉体同然に扱えるように遺伝子をいじり、体も薬漬けにした。まあ、その影響で僕は人よりも寿命が短いがね。僕の目的は織斑一夏の抹殺だ!それを達成することによって僕は僕でいられる!!このIMS(インフィニティー・モビル・スーツ)デストロイで織斑一夏。父さん!僕があんたに成るためにあんたを倒す!」

 

再び顔をISのヘッド部分が覆い隠し、秋一のIMS(インフィニティー・モビル・スーツ)の両指からビームが放たれ、一夏はビームシールドを展開して攻撃を防ぐ。

 

だが、秋一のIMS(インフィニティー・モビル・スーツ)デストロイの両指から放たれた10本のビームは勢いを増していく。

 

「このっ!!」

 

一夏は背中のバックパックの武装【ドラグーン】を展開すると秋一に目がけて攻撃させる。

 

【ドラグーン】のオールレンジ攻撃に秋一も腕から陽電子リフレクター発生器から【陽電子リフレクター】を発生させ、【ドラグーン】のオールレンジ攻撃を防ぎながら、胸部武装3連装大口径ビーム砲【スーパースキュラ】を一夏目がけて発射し、一夏は【ビームシールド】で防ぎながらもスラスターを吹かし、押し負けないようにする。

 

そして、腹部武装【カリドゥース】を撃ち、相殺する。

 

そこから一気に加速し、秋一のIMS(インフィニティー・モビル・スーツ)【デストロイ】の横に回り込むと近接戦を仕掛ける。

ビームサーベルで斬りつけるも秋一は、腕から陽電子リフレクター発生器から【陽電子リフレクター】を発生し攻撃を防ぐが、さらに一夏は新しい武装膝からつま先にかけて【ビームブレード】を発生させて、横腹を回し蹴りの要領で蹴りつける。

 

「甘いよ!」

 

だが、秋一ももう片方の腕から陽電子リフレクター発生器から【陽電子リフレクター】を発生させ、一夏の連撃を防ぐと背部のフライトユニットに円周上に計20門内蔵されるビーム砲【熱プラズマ複合砲 ネフェルテム503】を発射し、ぐるりとその場で一回転する。

 

【熱プラズマ複合砲 ネフェルテム503】の20本のビームは、一夏だけでなく千冬にも降りかかり、千冬も持っていた【ラミネートアンチビームシールド】で攻撃を防ぎながら【ファトゥム-00】のスラスターを吹かせ、一気にデストロイとの距離を詰めると【ビームサーベル】で斬りかかる。

 

秋一は、向かってくる千冬に対し回し蹴りを行う。

 

【ラミネートアンチビームシールド】で攻撃を防ぐも千冬はその凄まじい威力に耐え切れず大きく仰け反ってしまう。

腕も攻撃を防いだ衝撃で麻痺しており、ろくに防御できないそんな状況で極太の秋一の廻し蹴りを直撃すれば骨折しても可笑しくない。

 

「やめろぉぉぉぉぉ!!」

 

一夏が千冬と秋一の間に入り、【ビームシールド】を展開した状態で秋一の回し蹴りを防ぐ。

一夏は、攻撃を防ぎながら踏ん張り仰け反らない様に踏ん張る。

 

そして、そのまま【ビームシールド】を発生させたまま秋一の回し蹴りをした足を滑らせるように懐に入る。

その手に【ビームサーベル】を持ち、秋一を斬りつける。

 

が、【ビームサーベル】の剣先は秋一の【デストロイ】に当たる事は無く腕から【陽電子リフレクター】を発生させて攻撃を防ぎ、そして一夏の【ビームサーベル】を掴んでいる腕を掴むとそのまま上にあげ、一気に地面に振り落す。

 

「やらせない!」

 

一夏を地面に叩きつける寸前、千冬が一夏を叩きつけようとする秋一の腕にめがけて【ビームブーメラン】を投げ、秋一は驚いて一夏を掴んでいた手を放してしまう。

 

「今だ!」

 

秋一に掴まれた拍子に落としてしまった【ビームサーベル】の代わりに【ドラグーン】を一基展開し、その【ドラグーン】を掴むと、片手で逆立ちをした状態で【ビームサーベル】と同じように【ドラグーン】から緑色のビームを発生させながら秋一の【デストロイ】に向かって下段から上段にかけて【デストロイ】のボディーを切り裂く。

 

一夏の攻撃で胸部武装の【スーパースキュラ】は3連装の内の中央が使えなくなった。

 

「織斑一夏あああああああああ!!!」

 

激怒した秋一は、そのまま両腕のアームユニットを発射して一夏を掴もうとする。

 

「千冬、今だ!」

 

「ああ!!」

 

それを好機と見た一夏は千冬は

 

「「ハイマットフルバースト」」

 

一斉にマルチロックオンシステムによる両者の全射撃武装を【デストロイ】目掛けて発射させ、一斉射撃の集中砲火を浴びせる。

 

「うわああああああ!!!」

 

一夏と千冬のハイマットフルバーストを食らった秋一の【デストロイ】は、全ての武装が大破し戦闘継続が困難なためIMS(インフィニティー・モビル・スーツ)状態を強制解除して秋一を強制射出する。

強制解除された秋一は、地面に寝転がった状態で一夏と千冬を見る。

 

「どうして!僕がどうして倒されたんだ!!僕は最高傑作品のはずなのに!両親の遺伝子だって、ほら。遺伝子だって遺伝子をいじって。体だって調整されて作られたのに……どうして!?」

 

ついには涙を流しながら千冬と一夏に問い詰める。

その問いに一夏と千冬はお互いに顔を合わせた後、ふっと笑いながら答える。

 

「「そりゃあ、お前が私(俺)達の息子だからな」」

 

「息子?僕が?俺が?私が?……あなた達の、息子?」

 

「ああ、だってそうだろ?俺と千冬姉……千冬が両親なんだからよ!」

 

「父さん、母さん……うわああああああああ」

 

自分を認めて貰えた秋一は涙した。

今まで涙を流さず、培養液に浸っていた分の十数年間分の涙を流し、一夏と千冬もISを解除し、そんな秋一を抱きしめる。

二人に抱かれ、二人の胸で泣く秋一。

 

しかし、突如一夏と千冬を突き飛ばした。

その反動で尻餅をつく。

 

「ごめんね。父さん、母さん。ありがとう。僕を認めてくれて、息子だって言ってくれて」

 

涙を流しながら、しかし嬉しそうに笑顔で言う秋一。

そんな彼が懐からタッチパネルのついた操作機器を取り出すと、タッチパネルに触れる。

 

「でもね、だからこそ二人の未来の為にこの世界を変えなければいけない」

 

不意に一夏は、IS【ギャラハット】を呼び出し秋一との距離を詰める。

 

「だから、さようならだ」

 

涙を流し、笑顔でそう秋一が言うとタッチパネルを押すように触れた。

 

一夏は秋一からタッチパネルの操作機器をひったくると、その表示を見る。

そこには、連合軍司令部にレクイエム発射カウントダウンの表示と浮上要塞アトランティスの自爆プログラム。

そして、解除不可能の文字が表示されていた。

 

 

「秋一、お前!」

 

一夏は、タッチパネルの操作機器を放り棄て、秋一の胸ぐらを掴む。

 

「二人は逃げて。この事件の全ては僕の所為にすると良い。あなた達にあえて良かった」

 

そう笑顔で一夏と千冬に言う。

 

「っ~~~~~」

 

一夏は秋一の胸倉を掴んだまま、千冬に放り投げる。

千冬は、秋一をキャッチすると一夏に視線を向けると、そこには

 

「フルバースト!!!」

 

【ギャラハット】の全射撃武装を浮上要塞アトランティス一階の壁に一斉射撃の集中砲火する一夏の姿があった。

一夏のフルバーストは、浮上要塞アトランティス一階の壁をやすやすとぶち破り、壁に完全に穴を開けた。

 

「千冬、ここから秋一を連れて出るんだ!」

 

「だが、一夏。お前は!?」

 

「俺は浮上要塞アトランティスに居た人達を連れて脱出すr」

 

会話の最中に突然浮上要塞アトランティスが爆発音と共に揺れ始めた。

揺れはどんどん酷くなり、爆発音も徐々に大きく成っていく。

 

そんな中、秋一が一夏に言う。

 

「大丈夫だよ。浮上要塞アトランティスの職員は全て非常時の際脱出用ポッドに乗るし、治療室にいる人も全員専用の脱出ポッドに強制的に入り込むように成ってる。脱出ポッドに乗り込めない人なんて……あ!」

 

何か思い出した秋一の肩を掴み凄い剣幕で一夏は秋一に問う。

 

「どうした!?いるのか?」

 

「ああ、一人いる。大佐だ。僕があのタッチパネル式の操作機器を手に入れる時に、大佐とバトルして奪ったんだ。確か大佐は負傷してそれで、「それで何処にいる!?」戦った場所は5階 指令頭だよ」

 

「5階か、解った。千冬、すぐに離脱してくれ!俺は父さんを迎えに行く!」

 

「解った。必ず帰って来いよ」

 

「ああ、約束だ」

 

千冬はそれを聞いて一夏が開けた壁の穴を【ジャスティス】をまとった状態で潜り、外に出る。

その様子を尻目に、一夏はスラスターを吹かせ1階から2階にかけての螺旋階段を駆け上がり、加速に加速を重ねながら2階からエレベーターまでの道のりを一気に駆けた。

その途中、爆発音が壁からし、壁が爆発によって一部剥がれ外から空気が侵入する。

 

「まだだ」

 

エレベーターに入り、一気に2階から5階まで上昇しようとすると3階を通過した時、不意に下から爆発音がし、下を見ると炎がドンドン上昇してくるのが分かった。

 

「まだだ!まだ加速できる!!」

 

加速に加速、更に加速し5階まで行こうとしたとき、一夏を邪魔する障害物があった。

人を乗せるエレベーターそのものだ。

今まで一夏と千冬が通っていたのはエレベーターの通り道。

 

一夏はエレベーターを底から思いっきり叩いて返事を待つ。

下からはどんどんと炎が一夏との距離を詰めている。

 

返事がないのを確認すると、一夏は残りの【ビームサーベル】を抜刀しながら居合い切りの要領で障害物となっているエレベーターを真っ二つに切る。

真っ二つに斬られたエレベーターは、そのまま真下に落ちていき炎に飲み込まれた。

5階の扉が見え、扉を斬り捨て廊下に出るとそのまま廊下を捜索する。

 

「あ、居た!父さん!!」

 

見え難い、エレベーターから指令頭に向かう途中の廊下には幾つもの部屋があり、その部屋を扉を切り捨てながら捜索すると5つ目の部屋に大佐は居た。

部屋の扉は半開きに成っており、部屋の前の廊下には僅かながら血痕が残っていた。

 

一夏は部屋に入ると大佐を抱きかかえる。

抱きかかえられた大佐は、目を開けるも失血により意識がもうろうとしていた。

 

「一夏か。すまなかった」

 

「あんたには、言いたい事が沢山あるんだ!こんな所で死なれちゃ困るんだよ!」

 

「そうか」

 

「あんた、記憶があったのか?」

 

「ああ。数年前に記憶が戻った。裏切った技術長を殺し、女尊断碑の社会風潮を作った女性議員を殺したのも俺だ」

 

「そうか。話は後で聞く!とっとと、脱出するぞ」

 

「俺は置いていけ。そして、全て俺の所為にして事件を片付ければ良い」

 

そういう大佐、自分の父親に一夏は、

 

「寝言を言うんなら寝てろ」

 

手とうを首にあて意識を刈り取る。

 

「んしょ」

 

脱出しようと辺りを見回した時、部屋には煙が充満し炎が四方八方塞いでいた。

 

「クッソ!」

 

苛立ちを覚え、すぐさま【マルチロックオンシステム】を起動させ、大佐を床に置き、バックパック武装の【ドラグーン】10基、腹部武装の【カリドゥース】1門、腰部武装の【レール砲】2門、バックパック武装の【プラズマ砲】2門、【ビームライフル】2門を両手に持ち、炎の壁を壁ごと【フルバースト】で撃ち払い、一掃した。

 

そして、大佐を抱えたままの状態で浮上要塞アトランティスから脱出する。

 

浮上要塞アトランティスを脱出して5秒後、アトランティスは空中で爆発した。

 

「どうやらお迎えが来たみたいだ」

 

そう言って不敵に笑う一夏の前方には、スネークがヘリを飛ばして迎えに来ていた。

一夏は更に加速し、ヘリの扉を開け大佐をヘリの中に入れるとヘリの扉を閉め、自分だけヘリに乗らなかった。

 

「一夏、どうした?」

 

「悪い、スネーク。最後の仕事が残ってっから」

 

「おい、一夏!」

 

一夏はそれだけ言うと西を目指した。

 

浮上要塞アトランティスが爆発し、消えてから西に150KM先にある連合軍本部。

一夏はそこに目指して駆けていた。

 

一夏の視界には連合軍本部までのレクイエム発射までのカウントダウンが表示されていた。

つまり、残りの時間でレクイエムの破壊。

もしくは、連合軍本部まで行って最大出力で放つレクイエムを防ぎきらなければいけない。

 

「くそ!速く、もっと速く!!」

 

加速に加速、更にまた加速に加速を重ね、何回目の加速になるか解らない加速をするも、一夏が連合軍本部にたどり着くまでの間に残りの時間で辿り着く事は不可能だった。

 

「クソッ!ダメなのか?出来ないのかよ!!」

 

残りのタイムリミットで不可能だと諦めそうになった時、不意に位一夏の頭に語り掛ける声が

 

『よう、一夏』

 

『随分絶望的な状況だな』

 

ジャッカルとジョーカーだ。

 

『そんなお前にプレゼントだ』

 

「プレゼント?」

 

ジャッカルの言葉に訝しげに問う一夏。

 

『おうよ!』

 

『お前さんを少ない残り時間で連合軍まで送り届けるっつ~プレゼントだ』

 

「本当にそんな事が出来るのか!?」

 

『ああ。俺達はお前に感謝してるんだぜ』

 

『ああ、そうだ。俺達は感謝している。お前を介して色々な物を見れた』

 

「?ジャッカル?ジョーカー?」

 

普段の二人とは違った雰囲気に一夏は、不安を感じた。

 

『一夏、どうして【ギャラハット】に俺らのような擬似人格があるかと疑問に感じた事がなかったか?』

 

『それは、なあ。枷なんだよ。人がISという身に余る代物を使う時、ISが乗り手に相応しいか選ぶための枷なんだ』

 

『過ぎた力は身を滅ぼす。だからこそ擬似人格は全てのISに取り付けられた枷』

 

『『今、我らは織斑一夏を主と認めよう』』

 

「ジャッカル!?ジョーカー!?」

 

『じゃあな相棒』

 

『救え英雄』

 

そう言って二人の疑似人格が消えていくのを一夏は感じた。

それと同時に画面に更なる文字が映し出された。

 

『第三形態に移行』

 

『最終形態に移行しました』

 

一夏は眼に涙を溜めながら、加速する。

先ほどまでとは比べ物にならないスピードを一回の加速で感じ、加速に加速を重ね、更に加速する。

 

そして、遂にはレクイエムのカウントダウンがゼロに表示されると同時に一夏は連合本部の頭上に到着した。

雲を分け巨大な青白い光がゆっくりと連合軍本部に降り注ぐ。

 

一夏はそれに

 

「ハアッ!!」

 

【ドラグーン】を展開し【シラヌイ】と同じ防御フィールドを自身に展開させ、連合軍本部に直撃する盾と成った。

 

そして、最終形態に移行した【ギャラハット】のスラスターを吹かせ、レクイエムの光線を押し返し進む。

 

光線が半分くらいの距離に縮まったとき【ドラグーン】の【シラヌイ】と同じ防御フィールドに亀裂が生じ、どんどんと亀裂が広がっていった。

 

「拙い!」

 

すぐさま腕の【ビームシールド】を最大出力で形成し、【ドラグーン】の【シラヌイ】と同じ防御フィールドの崩壊に備える。

 

やがて防御フィールドが崩壊し強烈で強大な熱線が一夏を襲うが【ビームシールド】で防ぐが、その強烈な威力によって押されてしまう。

 

「まだだ!まだやれる筈だ!俺とお前なら、やれるんだ!!」

 

そう叫んだ時、突如画面に表示されるものがあった。

 

TRANS-AM

 

そう真っ赤な文字で表示されると一夏は迷わずに叫んだ。

 

「トランザム!!」

 

すると、腕の【ビームシールド】が先程よりも倍以上に大きくなり、バックパックの羽からは赤い粒子が飛んで、【ギャラハット】の機体は黒くなるも、何故か赤い粒子が機体を包み込む。

そして、何よりもレクイエム発射によって半分ほどで遮る事しか出来なかったのだが、今は進めるようになっていた。

 

【ビームシールド】を形成した状態で勢いよくレクイエム本体までどんどん進む一夏。

 

機体も熱を帯び始め、熱く感じながらもどんどんレクイエム本体までの距離を進める。

そして、守り始めて何十分経っただろうか。

もしくは、数十分かもしれない長い長い時を感じながらも、ついにはレクイエムを発射している宇宙のレクイエム本体まで辿り着くと【マルチロックオンシステム】を起動する。

 

その時、突然一夏はギャラハットから強制解除され、地球へと引っ張られる。

 

ギャラハットは、自分で腹部武装【カリドゥース】1門と腰部武装【レール砲】2門更にはバックパックの残り武装【プラズマ砲】2門を一斉射撃した。

集中砲火による攻撃でレクイエムは沈黙し、【ギャラハット】の至る所から爆発と炎を上げるのを一夏は見ながら自分の体から力が抜けていくのを感じ取った。

 

(ああ、無茶を重ねた反動か)

 

浮上要塞アトランティスから一気に数百キロ離れた連合軍本部までの間に重ねた無茶苦茶な加速。その加速はGを超え、連続の加速により一夏の体に蓄積し、一人でレクイエムの攻撃を防ぐという無茶。

今まで意識を失わなかったのが奇跡としか言いようがなかった。

 

そして、レクイエムが沈黙し、【ギャラハット】は自らの爆発するのを知っていたのか、一夏を強制排出して炎上した。

 

一夏は疲労と酸欠不足から薄れゆく意識の中で燃える【ギャラハット】を見た。

 

今まで一緒に戦ってくれた相棒の最後を確かに見た

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