Fate/Grand order 人理の火、火継の薪   作:haruhime

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シリアスは死んだ!

オリジナル設定が蹂躙してくるので注意。

二日連続投稿だ、おらぁ!(再び原稿を叩き付ける音


Interlude ―縁召喚―

闇の中から帰還する。

 

焼け焦げたコンクリートと、血の跡が生々しい爆破の中。

 

奇妙なことに、俺とマシュは平場に倒れていた。

 

マシュが潰されていた塊は無く、その周囲はきれいにされていた。

 

何が起きたのか判らないが、少なくとも俺たちが生きていることは確かだ。

 

「立夏君!」

 

ドクターと救護スタッフが駆け寄ってくる。

 

マシュが、俺の手をもう一度握った。

 

まだ目は覚めていないらしい。

 

俺たちはストレッチャーに乗せられ、ダヴィンチちゃんとドクターによる精密検査を受けることになった。

 

今の俺は、無理なレイシフトによる体と意識のずれがあるらしい。道理でまともに体が動かないわけだ。

 

よって魔術によって、強制的に休眠させられることになるらしい。

 

大丈夫だろうか、眠っている間に、愉快型魔術礼装とか埋め込まれないだろうか?

 

「そんな事しないヨ?」

 

俺の目を見て言ってみろダヴィンチちゃん!

 

「ボクが見ているから、安心してくれ。」

 

ドクターではダヴィンチちゃんを止められるとは……。

 

「くそ、信用がないね!?」

 

「それはさておきだ、ご苦労さんだったね。」

 

「一度よく休むといい。」

 

「これから先はまだまだ長いよ?」

 

ダヴィンチちゃんの言葉に頷くと、急激に眠気が襲ってきた。

 

「やっぱり効くね、麻酔ガス。」

 

「魔術じゃなかったのかい!?」

 

「あのねぇロマニ、体と魂のずれがあるところに魔術なんて使うわけないだろ!」

 

そりゃそうだ。

 

起きたばかりなのに、また闇の中に沈んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

検査の結果は問題なかったらしい。

 

深い眠りにつけたからか、体が固まってはいるが、気分は爽快で疲労は抜けていた。

 

そして俺は、召喚を行うための施設にいる。

 

マシュと火継の薪、クラーナが一緒だ。

 

ちなみに、今日の火継の薪の格好は、ごく普通の騎士鎧である。

 

上級騎士一式と言っていたが、これまでの珍妙奇天烈系よりは普通の鎧だった。

 

目の前には、所長が、召喚サークルの上にあるマシュの盾に横たわっている。

 

爆破によってミンチみたいになっていたが、カルデアの総力を投入して修復したらしい。

 

はたから見れば、まるで眠っているようにしか見えない。

 

俺の手には、火継の薪から受け取った所長のソウルがある。

 

召喚の手順を援用し、所長の肉体にソウルを定着させるのが今回の目的だ。

 

電力から変換された魔力が、召喚サークルを満たす。

 

所長の胸に、ソウルを押し付けるようにすると、すんなりと中に入っていった。

 

柔らかい火が上がる。

 

満たされていた魔力は火の粉になって所長に吸い込まれた。

 

ブルリと体を震わせると、所長が目を覚ます。

 

その瞳の奥には、火継の輪(ダークリング)が燃えていた。

 

【新たな不死の誕生を寿ごう。】

 

火継の薪の言葉に、所長は身を震わせる。

 

【詳しい話は後だ、召喚を始めよう。】

 

まぁ、やってくるサーヴァントも含めて説明した方がいいだろう。

 

その言葉に、所長も不承不承ながら頷き、召喚サークルの外に出た。

 

さて、召喚をするわけだが、俺の手には聖晶石が20個、ダヴィンチちゃんからもらった黄金の札、呼符が2枚だ。

 

残念ながら触媒はない。

 

故に縁をたどって召喚することになるのだが、この場には火継の薪がいる。

 

多分一番強い縁は、どう考えても火継の薪だろう。

 

彼の知る英雄が呼ばれるのは、ほぼ間違いない。

 

誰が呼ばれることになるのか、不穏でしょうがないところはある。

 

最初に、呼符での召喚を行う。

 

召喚詠唱は以前に唱えたものではなく、教わった通りのもの。

 

呼び出されたのは、少なくとも俺たちの知る英雄だった。

 

「よう。サーヴァント・ランサー、召喚に応じ参上した。ま、気楽にやろうやマスター。」

 

青い装束に、呪いの朱槍と()()()()()()()()()()を携えた青年。

 

紅の瞳と精悍な顔立ち、鍛え抜かれた細身の肉体が持つ風格は、一流の戦士であることを如実に物語る。

 

「アサシンのサーヴァント、佐々木小次郎。ここに参上つかまつった。」

 

紫を基調とした羽織袴に、とんでもない長刀を背負った青髪の伊達男。

 

飄々とした口調と雰囲気の中に、実力者の片鱗を隠し持っている。

 

「あん?てめぇも呼ばれたのか、アサシン。」

 

「貴殿も呼ばれるとはな、ランサー。」

 

その二人は、互いに知り合いだったらしい。

 

ちょっと剣呑な雰囲気が漏れたが、再戦の誓いをしつつ、壁際によって行く。

 

 

 

 

 

 

さぁ、次の召喚だ。

 

火継の薪が、その身の内から、古びた羽を取り出し、盾に置いた。

 

【主よ、その石をを全て捧げよ。】

 

「なぜ。」

 

【そうしなくては、足りないのだ。】

 

「ならそうしよう。」

 

火継の薪が必要というのならば、それを受け入れるべきだろう。

 

何より、自分自身もそう思う。

 

この数ならば、内にある()が求める何かを呼び出すことができるはずだ。

 

盾の上に、こんもりと石を盛る。

 

詠唱はいつか知った火の招請。

 

聖晶石は熔け、火の柱が生まれる。

 

爆光と共に、一つの影が浮かび上がった。

 

幻の炎熱の中から現れたのは、緑衣を纏う幼い少女。

 

片目を隠す皮の眼帯をした、赤髪の娘だった。

 

盾から降り、俺の前に立つ少女。

 

その瞳が俺を射抜く。

 

思わず、跪く。

 

「サーヴァント緑衣の巡礼(Emerald Herald)、火守の定めに従い、篝火の守手として現界しました。」

 

「我が主よ、偉大なるソウルをお求めください。」

 

「かの王のごとく、世界を救うものでありたいのならば。」

 

祈りを捧げ、謳う様に。

 

そう、俺に告げた。

 

「貴女の言葉の通りに。」

 

誓いの言葉を返す。

 

この身はすでに、世界に捧げたものなれば。

 

「……こ、ここはどこですか?」

 

突然、先ほどまでの超然とした雰囲気を霧散させ、普通の少女が現れる。

 

彼女は大きな瞳に涙を浮かべながら、あちらこちらに視線を送る。

 

なんとも、普通の少女にしか見えなかった。かわいい。

 

「騎士様!」

 

火継の薪を見つけると、とたんに笑みを浮かべて抱き着く。

 

「どういうことよ!?」

 

所長がついに切れる。

 

それもそうだろう、あれだけの聖晶石を使って呼び出したのが、普通の少女では、あまりにも割に合わない。

 

「ぴぃ!?」

 

所長の怒声に、火継の薪の後ろに隠れる少女。

 

涙目でプルプル震えている。かわいい。

 

「先輩。」

 

マシュがあきれた表情でこちらを見ていた。いかんいかん。

 

ちょっと所長っぽい感じがするせいか、かわいらしく見えるらしい。

 

……まてよ、あんなちっちゃい子に似ている所長はつまり。

 

「―――所長はお子様?」

 

「何ですって!?」

 

すさまじい剣幕がこちらに向いた。

 

自爆したか。

 

とんでもなく語彙の豊富な罵倒を受けることになった。

 

 

 

バーサーカーと化した所長が、ドクターとダヴィンチちゃんのとりなしのかいあって落ち着いたころ、火継の薪が口を開く。

 

【この娘は、火守女という存在だ。】

 

火継の薪曰く、不死のための篝火を維持し、ソウルを用いて肉体とソウルの器を鍛えることができる唯一の存在である。

 

彼女のような火守女なしでは、あっという間に不死は亡者になり果てる。

 

不死と化した所長や、俺を鍛えるために、火守女を呼ぶ必要があったということだった。

 

彼女たちは、その身の内に人間性を蓄えているがゆえに、通常のサーヴァントでは到底足りないほどの容量が必要だったということだ。

 

それなら確かに、彼女を呼ぶ必要があった。

 

彼女がいなければ所長は今度こそ死んでいただろう。

 

何より。

 

俺のソウルを鍛えなくては、呪術が使えないからな!

 

「私の名前は、シャナロットといいます!よろしくお願いします!」

 

火継の薪に促され、前に出て自己紹介をしてくれた。

 

「よろしく、シャナロット。」

 

手を差し出すと、笑みを浮かべて握手してくれた。

 

「はい!お兄さん!」

 

お兄さん、か。グッとくるよね?

 

「先輩?」

 

マシュがもはや蔑んだ目を向けてくる。

 

何だかまずい扉を開きそう。

 

 




緑衣の巡礼

触媒召喚で呼ばれた。

霊基が満たされていないため、火継の薪に救われた当初の姿で現界している。

致命的なまでに戦闘能力に欠けているため、カルデアからは出られない。

カルデアの一室にある篝火を守る火守女。
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