Fate/Grand order 人理の火、火継の薪 作:haruhime
オリジナル設定にオリジナル呪術が爆発するよ。
くだが戦える(初期士郎以下)ようになります。
嫌いな人はブラウザバックで!
責任はとれんぞ。
召喚を終えた俺たちは、火継の薪に与えられた一室にいる。
家具が一切ない部屋の中心に、篝火が焚かれている。
「暖かな火、この火は私が守りましょう。」
その火に手をかざす
立ち上がると、火継の薪に手をかざす。
火継の薪は既に、彼女に跪き、頭を垂れていた。
「お久しぶりです、火を継いだお方。」
「貴方は多くのソウルを失いました。」
「僅かなソウルを回収したようですが、お力を取り戻すには足りません。」
「消えかかるソウルのまま、戦い続けてはなりません。」
「どうか、私に助けさせてください。」
そういうと、彼女は両手を大きく広げる。
火継の薪からソウルの輝きが湧き出し、彼女の手に触れて火の粉となって戻っていく。
火の粉が収まると、火継の薪は立ち上がる。
「どうか、呪いをまとうお方。私は貴方のそばにいます、貴方の希望が尽きるまで……。」
祈るように手を組んだシャナロットの頭を、火継の薪がなでる。
「……痛いです!私は子供ではありません!」
鋼鉄で覆われた火継の薪の手を払おうとして、痛みに震えるシャナロット。
まぁ、ガントレットでなでられたら痛いよね。
あと、子供がガントレットを殴っても痛い。
【済まぬな、シャナロット。】
「さぁ、次はあなたの番ですよ、お兄さん!」
腕を組んで、むふーっ、と鼻息を抜くシャナロット。
やる気全開のお子様にしか見えなくてかわいらしい。
火継の薪の真似をして、彼女の前に跪き、首を垂れる。
舞い上がる火の粉の中、彼女の声が聞こえた。
「呪いと火を纏うお方。あなたの行く末には、闇が揺蕩っています。」
「大いなるソウルを集めなさい。」
「王達のソウルだけが、あなたの行く末を照らすでしょう。」
「最初の火を絶やさぬために、火継の道をお行きなさい。」
「私が貴方を支えましょう。貴方の心が折れぬ限り。」
その声を聴きながら、火の粉の舞う暗い場所に立っていた。
自分の目の前には、最初の火を枠にした画面が浮かんでいた。
そこに描かれていた文字を、幾つか弄る事ができるらしい。
これで自分を強化できるわけだな。
どうするべきか。
【主よ、今は持久力を高めるべきだ。】
ならオールインで。
火継の薪の声に、思わず許可を出してしまった。
瞬間、周りを廻っていた火の粉が俺の中に入っていく。
俺の体が作り変えられる。
最初の火に焼かれ、俺という存在が書き換えられる。
終わってみれば、あっけないものだった。
いつの間にか、周囲は火継の薪の部屋に戻っていた。
「お行きなさい、人の希望よ。貴方の道行きに、炎の導きのあらん事を。」
祈るように組んでいた手を解くと、シャナロットは少女に戻る。
「お疲れ様でした!体に変なところはありませんか?」
シャナロットの問いに、いろいろ動かしてみるが、何が変わったのかわからない。
【持久力を高めただけだからな、重いものを持っても動きが鈍らないといったところだろう。】
それは、強くなることとどう関係するのだろうか?
「おいおい坊主、体力ってのは戦場で一番重要なもんだぞ?」
「然り、どれだけの技量があろうと、体力がなくあれば木偶であるからなぁ。」
ランサーとアサシンが言う。それもそうか。
【主には、私の持っている武具を装備し、戦い方を学んでもらう。】
「先輩は只の人間ですよ!?」
火継の薪の言葉に、マシュがかみつく。
【違うのだ未完の騎士よ、主は既に人を超える資格を得た。】
しかし、火継の薪は首を横に振りながら言う。
【鍛えぬくことで、私やクラーナの位置までたどり着くこともできるだろう。】
俺には資格があるのだと。
【その前に、サーヴァント相手でも一分は生き残れるようするがな。】
【我らの助けが来るまでに死なれては困るゆえに。】
それは、なかなかハードになりそうだ。
所長も僅かながら強化し、エスト瓶というのを一緒に受け取った。
篝火から汲んだ火が入っていて、飲めば怪我を癒してくれるらしい。
これを受け取った所で、ドクターからの連絡が入った。
『みんな、次の特異点を観測した。けれども安全に飛ぶことができるほどのデータがない。』
『数日はかかるだろうから、各人体調を万全にしつつ、準備を進めていてくれ。』
それを聞き、所長とマシュ、シャナロット、クラーナは親睦を深めるということで食堂に向かっていった。
男組は、訓練室に向かうことになる。
訓練室では、アサシンとランサーが本格的な手合わせをしていた。
訓練室では、霊子ダイブが義務付けられている。
故に、戦闘によって死亡しても、サーヴァントならば霊基復元により無傷で復帰できる。
マスターは魂が死ぬ可能性があるのでお勧めできないといわれたが。
彼らは死ぬことを前提とした死合いをしている。
一刺一刺が必殺の一撃である二槍の舞い。赤と緑の輝きが、敵対者の命を狙う。
対するは流麗にして不撓の大長刀の舞い。白き鋼の煌きが、敵対者の命を狙う。
うなる豪槍を剣士は躱し、躱し、躱し続ける。
反撃の斬線は鋭く、しかし受け止めらることはない。
防御の構えに沿うように、決して刃を立てることはない。
何しろ剣士の獲物は長さのわりに薄く細い。
壮絶な切れ味を想像させるが、西洋の剣などと比べて明らかに耐久性に難があった。
そして何より、武器の格の問題があった。
槍兵が振るうのは、ともに神代の魔獣から作られた正当な宝具である。
剣士の持つそれは、一般的な名刀ではあるモノの、ごく普通の人が鍛えたものでしかない。
内包する神秘の力が違いすぎるために、打ち合えば数合で砕け散ってしまうためである。
それでもなお、神話の英雄である槍兵の槍さばきに捉えられることのない剣士の技量は、恐るべきものである。
そんな二人の、壮絶な試合を横目に、俺は火継の薪によるコーディネートを受けていた。
【主が望むのは、呪術をベースにサーヴァントの戦闘を支援することであったな。】
「最終的にできればいい、というところだけどね。」
【主は技量と理力、記憶力はそれなりにあるようだったので、魔術師としての武具を用意した。】
褪せた赤色のフード、白を基調にしたフード付きの外套、甲に魔術的な印章をもつメダルが取り付けられた赤茶色の手袋、皮の脛当ての様なものが巻かれた灰色のズボン。
ロスリックの魔術師一式というらしい。
火継の薪によって最大限まで強化されており、並みの鉄鎧くらいの強度はあるという話だ。
【今の主が持てる武器としてはこれくらいだろう。】
取り出されたのは、いささか古びた、細身の剣。下級兵の直剣だ。合わせて白い竜の姿が描かれている縦に長い木製の盾。ウッドシールド。
一度ソウルとして取り込み、この身に纏うことを望む。
青白い光と共に、それらの装備が俺の身に付いていた。
防具の類は意外に重いが動きを阻害するものではなかった。
背中に回していた盾を令呪のある右手に、直剣を左手に持ち、防御の構えをとる。
直剣は手元に重心があるのか、重さもそれほどでもなく取り回しやすい。
盾も大きさの割には軽く感じた。
こんなに力があっただろうか。
数回素振りをしても、振り回されるような感覚がなかった。
剣の振り方というか、体の動かし方がわかるのはなぜだ。
【剣士であるセイバーのソウルを取り込んだな?あれの知識や経験の一部を取り込んでいるのだから、剣の一つや二つ振るえるようにもなる。】
そういうものか。
【必ず左手に呪術の火を宿せ。令呪を焼くかもしれんからな。】
そうだ、今度こそ呪術の使い方を教えてもらうぞ!
【急くな、当然教えよう。】
盾と剣をソウルに還元し、左手に呪術の火を宿す。
篝火で最初の呪術である火球を記憶し、すでに準備は万端だ。
【まず、呪術の火は味方と認識したものを焼かないことを肝に銘じよ。混沌の火の熱泥は別だが。】
【己の認識一つで、味方を焼きかねないが故に、その扱いには注意を払わねばならない。】
【まぁ、主ならば大丈夫だとは思うが。】
火継の薪が、割れた石碑のような盾を取り出す。
【この盾は炎からの万全の守りを保障する。人に向かって呪術を放つ練習と行こう。】
―――燃え盛れ、我が内なる火よ!《火球》
呪術の火から流れ出る言葉を紡ぎながら、ボールを投げるように火球を投擲する。
詠唱と共に呪術の火は燃え上がり、投げる直前には正しく火の玉となっていた。
放たれた火球は、それこそ野球の玉程度の速度で飛び、大盾の表面ではじける。
うまく当てることができたが、詠唱と投擲を両立させるのはかなり神経を使う。
それに、結構弾道が落ちる。射程は短いと思っておいた方がよさそうだ。
【練達した呪術の使い手に比べればまだまだだが、私に比べれば筋がいいな。】
そうなのか?
【クラーナはあれで主の何十倍もの年月を呪術に捧げている、あれと比べれば大抵の術者が卵扱いだ。】
【それに私は、静止した的に当てることすらおぼつかなかったのだから、それと比べて筋がいいというのも当然だ。】
火継の薪は何でもできる人だと思っていたよ。
【長い年月をかければ、無能でも二流に手が届く。それだけだ。】
なら
【練習あるのみということだ。火の扱いは、親和すれば自由度が増す。】
火継の薪は大盾とは反対の手に、呪術の火を灯す。俺の火とは比べ物にならない力が凝縮された火だった。
【盲目の賢者よ、標的としてデーモンを頼む。】
『冬木の悪魔でいいんだね?了解。』
管制室からドクターがプログラムを操作し、デーモンが召喚される。
あくまでもカルデアの技術で再現された存在でしかない。
しかし、その存在感や密集した筋肉、牙や爪、吹き出す威圧感は、かつて出会った本物と遜色ない。
人間など、腕の一振りで肉塊に変えるだろうデーモンを前に、火継の薪はその手を体の前に伸ばした。
―――《混沌の奔流》
放たれたのは、直線状に収束した熱泥。
糸のように細い深紅の熱流束が、陽炎を纏い、瞬時に射程内の空間を焼く。
仮想標的として出現したデーモンに命中すると、混沌の熱泥がこびりついていく。
強靭な外皮が弾け、肉が溶け落ち、骨まで燃える。
瞬く間にデーモンは融け、熱泥だけが残った。
『それなり以上の強度にしたはずなんだけどね、まさか一撃とは。』
【これもまた新たな呪術。火を従えれば、この程度はたやすい。】
【しかし、今の主にはそれはできん。まずは人型の敵に当てる練習からだ。】
【盲目の賢者よ、かの地にいた骨人を一体、剣を持たせてくれ。】
『了解、出現させるよ。さっき計測した数値から、当たれば一撃で倒せる程度の強度でね。』
ドクターの声と共に、俺から10mほど離れた位置に、ぼろ布を纏ったスケルトンが一体出現した。
【では主よ、まずは火球を当てるところから始めよう。】
火継の薪の掛け声に、大きく腕を振りかぶり。
【動かせ。】
『了解。』
投げつけた火球は、スケルトンに容易く躱されてしまう。
余計な肉がないからなのか、軽快な動きで迫るスケルトン。
もう一度投げつける。
躱される。
もう一度投げつける。
跳躍で躱され、大上段からの切り下しが来る。
飛び込むように右手に回避。
立ち上がり、振り返って、もう一度投げつけようとしたところで、目の前に錆びた刃を振り上げたスケルトンが。
金属音。
スケルトンは手首から先を失っていた。
火継の薪が投げナイフで守ってくれたらしい。
【ふむ、まぁ、ほぼ新兵であることを考えれば、まあ落第ギリギリといったところか。】
ずいぶんと手厳しい評価だ。。
【呪術の使い手としては良い、初心者とは思えぬ詠唱速度と精度であった。】
【しかし、立ち回りに問題がある。】
まず、呪術を連打したのがダメ。一撃をかわされたら、相手の攻撃をかわし、隙を突かなくてはいけない。
なぜ盾を使わないのか。盾で受ければ、相手の武器の大きさからして、弾くことができたはず。その隙を突ければよかった。
一撃をかわしたからと言って、状況を確認せず反撃しようとしたのが良くない。もう一を回避すれば、カウンター気味な一撃を受けることがなかった。
この三点を中心に、こってりと絞られた。
その後、動かない棒立ちのスケルトンを火葬することで、当たれば一撃で倒せることを自覚し、盾を構えたスケルトンに連続で火球を投げ、爆発と炎までは防げないことを確認し、走り回るスケルトンを火球で爆破した。
最後に、盾を装備した動くスケルトンを撃破できるまで訓練を繰り返し、呪術の訓練を終了することになった。
【今日のところは、ここまでとしよう。明日は武器を使った身の守り方だ。】
緊張がほぐれた瞬間に、心拍と息が上がる。緊張していたらしい。
達成感がすごい。呪術を実際に使い、魔術とは比べ物にならない破壊力に興奮していることを自覚した。
高揚しているが、体は鉛のように重い。
いつも以上の運動量に、疲労がたまっているらしい。
今日はゆっくりと眠れそうだ。
ああ、灰のお方、いえ、火継の王よ。
なぜここにおられるのですか?
まぁ、私に会いに?
……不思議な人。
どうぞ、気が済むまで、ここでお話ししましょう。
ええ、満足しています。
ここは暖かいですから。