Fate/Grand order 人理の火、火継の薪 作:haruhime
適当なルーン解釈と独自設定があるよ。
型月的な意味での魔術とは解釈が違うので気にしないでください。
打ち砕かれた南門を乗り越えると、灰と濁血と腐肉に塗れた瓦礫の町並みが広がっていた。
撃ち込まれた火薬樽と火炎弾によって、町並みは改めて焼き尽くされている。
足元には、元は人間か獣人だったであろう黒焼きが折り重なっていた。
丹念に焼かれたそれは、踏むだけでパラパラと崩れ落ちる。
それらを踏み越え、大通りに出た。
ここに詰めていたであろう部隊は、完全に姿を消していた。
目指すは、オルレアン中央にあるマルトロワ広場。
大聖堂から広場までの広大な面積を占有する巨大な塔があった。
最短ルートにして直線ルートでもあるロワイヤル通りを走る。
敵は一匹も出てこない。
マルトロワ広場に到着する。
多くの人々で賑わっていたであろう広場は、焼け焦げと血だけが広がっていた。
東にある巨大な塔を見上げる。その最上部から巨大な翼が広がる。
『来たぞ、ファフニールだ!他のサーヴァント反応全ても一緒だ!』
ドクターの言葉に、答えるだけの余裕がなかった。
飛翔した巨大な竜。
まさしく幻想の頂点たる、偉大な存在。
その圧力に、俺の魂が揺れる。
地面に降り立った巨大な竜は、こちらを睥睨する。
かの竜から、いくつものサーヴァントがおりてきた。
中央にいたのは、全体的に黒くなったジャンヌダルクだった。
「よくぞここまで来ました、とでも言えばいいかしら?」
「ジャンヌダルク!?」
『黒いな!?』
「軟弱そうで気に入らない声ね、焼き尽くしてやりたいわ。」
『どうしてこうもないがしろにされるんだ!?』
とてつもなく嫌そうな顔をして、吐き捨てる竜の魔女。
しかし、否定のしようがない。
「こんなところにのこのこと来たものね私。」
「どうしてこんなことを、などとは言いません。ここで終わらせるのです。」
白と黒のジャンヌが言い争う。
「つくづく忌々しい女!」
「サーヴァント達、連中を蹴散らしなさい!」
キャスターを含めた5騎のサーヴァントがこちらに駆けてくる。
対抗するように、こちらのサーヴァントも駆けだした。
「そして、私の切り札。二体の強大な竜を相手に、どこまで戦えるかしらねぇ?」
とてつもなく厭らしい表情をした竜の魔女が、指を鳴らす。
「来なさい!ヘルカイト!」
塔の陰から現れたのは、巨大な赤いワイバーン。
その強大さはファフニールにこそ劣るものの、明らかに強者だった。
「私とジークフリート殿が手早くファフニールを屠ります。」
ジークフリートとゲオルギウスがファフニール目掛けて突っ込んでいく。
ファフニールも、その姿を認めて臨戦態勢をとっていた。
【なれば私がヘルカイトを蹴散らす。】
【征くぞ、竜狩りだ!】
火継の薪は、その姿を変えていた。
黄金の獅子を象った重鎧に、巨大な穂先を持つ黄金重槍を持つその姿。
【象るは竜狩りオーンスタイン。神王に忠誠捧ぐ騎士長。】
【汝の勇名、威光、武功を我が手の内に。】
【―――《ソウルの具現化・
膨大なソウルが沸き立ち、黄金の雷に変わり迸る。
「ウオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
雷風が明けると、3m近い大きさまで巨大化していた。
周囲に放つ圧力が変わった。
『火継の薪のステータスが変化している!?』
「なんだこの雑魚は。」
突然暴言が吐き出される。しゃべれるのか!?
彼がこちらを向き、肩をすくめる。
「このような雑魚をマスターなどとは呼べんな。」
「小僧、今回はあの愚か者の顔に免じて協力してやろうではないか。」
そういうと、オーンスタインは黄金重槍を腰だめに構える。
「さぁ、地上の凡愚共。」
「原初の竜狩りを知るがよい。」
その動きは視認できなかった。
「岩のウロコを突き破る我が雷撃、味わうが良いわ!」
頭を狙った轟雷を纏う一刺し。
ヘルカイトはぎりぎりで反応できたのだろう、下ろしていた頭を持ち上げる。
そのまま右足に突き込まれた一撃は、視界を奪うほどの閃光と共に、膨大な雷撃を解き放った。
轟音にかき消されるように、ヘルカイトの悲鳴が響く。
オーンスタインの姿は、ヘルカイトのはるか後方にあった。
今の一瞬であそこまで駆け抜けたのか!
「ち、ここまで動きが鈍るか。」
「次は逃がさん。」
かなりの距離があるにもかかわらず、その声は届いた。
立ち上る殺気。俺に向けられたわけでもないのに、背に氷の槍を突き込まれたように感じた。
ヘルカイトは慌てて宙に飛び上がり、その目に怒りの火を灯した。
強者たる己が、高々人を相手に恐れた事実に、強い怒りを覚えていた。
鼓膜を劈く咆哮。
超低空で、爆撃するように突っ込んでくる。
大きく息を吸い込み、莫大な熱量をその体に蓄える。
『とんでもない量の魔力が収束してる、ブレスが来るぞ!』
「やかましいわ惰弱な賢者め!その程度言われずともわかっておるわ!」
ドクターの忠告に、オーンスタインが吠える。
「貴様ごとき下級竜にはもったいないが、慈悲をくれてやる。」
傲岸不遜を体現したような声色で、地上からヘルカイトを見下す。
黄金重槍を石畳に突き刺すと、無手にて投擲の構えをとった。
「我が王より与えられた、太陽の権能。」
槍を持たぬ左手にまばゆい雷光が宿る。
「万物を打ち砕く雷の槍。」
遍く照らす太陽の具現、万物を焼く雷光が、身の丈をはるかに超える巨大な槍を象る。
「天を駆け、大王の威光を謳え。」
大地を破砕する踏込。限界まで引き絞られた弓のように、込められた力を解き放つ。
「―――《太陽の光の槍》」
詠唱と同時に、彼の左手が霞み、大雷槍が打ち出された。
「GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ヘルカイトが、その身にため込んだ魔力をブレスとして吐き出す。
大飛竜の口から放たれた収束された深紅の業炎。
それこそ、城壁を焼き崩すほどの破壊力を秘めた火炎の奔流。
それを、オーンスタインが投げた光の巨槍が霧散させていく。
光の穂先に触れるそばから炎はちぎれ飛び、奔流は散っていく。
雷の豪槍はヘルカイトの口腔に飛び込むと、そのまま尾の先端まで貫通し飛び去った。
一瞬の空白。
わずかに残った雷光は膨れ上がり、爆音とともに轟雷へと変換された。
ヘルカイトは体幹から爆砕され、無数の肉片へと変わってしまう。
飛び去った雷槍は巨塔に突き立ち、その上半分を光爆と共に消し去る。
『すさまじいな、高位の対城宝具並みの火力だぞ!』
ダヴィンチちゃんが叫ぶ。
「王から下賜された至高の業を見てそれとはな。賢人よ、神と人の違いを弁えよ。この身が生前のものでさえあれば、この程度ですむものか。」
奇跡と呼ばれる一術式。その至高の業とはいえ、高位の対城宝具に匹敵する火力というわけだ。
そして、オーンスタインに言わせれば、この程度では真の力の一端にもならないと。
「さて、そこの小僧。」
彼は一瞬で俺の前に現れ、瞳をのぞき込んでくる。
黄金の獅子兜の奥に輝く、雷光を宿した黄金の瞳が俺を射抜いた。
「かの威光を目の当たりにして、なおその瞳に力を宿すか。」
「ふん、人にしては、多少なりとも見どころがあるというわけか。」
「よかろう、我が力の一端を預けてやろう。」
「その力を身に宿し、王の威光を遍く知らしめるが良い。」
彼の左手に宿った膨大な雷が、俺の体に叩き込まれる。
白雷が俺の体を駆け巡った。
しかし、そこに痛みはない。むしろ太陽に包まれたような温かさを感じた。
「太陽の雷を受け入れたな。」
「貴様は試練を超え、資格を示した。」
「太陽への信仰を捧げよ、天地を照らす火の威光を恐れよ。」
「その果てに、貴様は大王の忠勇な臣下として認められるであろう。」
「次に会う時までに、俺に認められるだけの力を得ておけ、さもなくば我が槍にかかって死ぬことになるからな。」
哄笑と共に、彼は黄金の雷となって消えた。
戦闘中だったはずなんだが。
『彼の反応がそちらの世界から消えている。けれど、カルデアに登録されている霊基は消えていないから、大丈夫だと思うけど……。』
『うお!?火継の薪かい!?』
『あー立夏君、彼はこちらの篝火に戻ってきている。心配せず、勝利してくれ。』
どうやら、彼はあちらに戻っているらしい。
ほかのみんなはどうなっているんだ。
「オラオラオラオラァ!」
「獣のごとき気迫、真に戦士であるな!」
クーフーリンと、白髪の槍使いヴラド三世。
縦横無尽に駆け回るクーフーリンが、二槍を自在に操り、かの吸血公の心臓を狙う。
対してヴラド三世は恐るべき膂力でもって、信じられない槍の挙動を可能にし、神速の槍捌きに対応していた。
二色の煌きがヴラド三世の身を削っていく。
無数の傷が刻まれ、瞬間的に治癒される。
その繰り返しの果てに、無数の治癒しきらない傷が残っていく。
「その緑の魔槍、我が呪いすら無力化するとはな。」
「おうよ、アンタを屠るには十分だろ?」
神速の打ち合い。
「王たる我が身を傷つけた礼だ、受け取るがいい。」
血杭が大地を割り、駆けるクーフーリンを捕えようとする。
数十の杭が突き上がり、その杭からまた杭が突きだす。
高速で繰り返されるそのサイクルに加え、ヴラド三世自身の槍がクーフーリンを襲う。
クーフーリンは魔力を放つ月光蝶の角をもって杭を打ち砕く。
砕かれた杭は再生することなく、その中に宿した魔力を奪い取られ、無力化された。
追撃で放たれたヴラド三世の剛力を宿した重撃を、深紅の槍が突き返す。
その反動を生かし、ヴラド三世から大きく距離をとった。
「何たる宝具、我が血杭すら食らうか。」
「は、こいつは俺のものじゃねぇが、使い勝手が良くて困るぜ。」
クーフーリンが踏み込む。
ヴラド三世の視界から消え去り、次に現れたのは彼の頭上。
「とりあえず死ねや。」
振り下ろされる死の棘。
「
巨人の力を借り受け、筋力値を瞬間的に跳ね上げるルーンを月光蝶の角を介して空間に刻む。
発動したルーンの効果により、上昇した筋力値は《《A++》》。
狂化により高まったヴラド三世の筋力ですら、この一撃を食い止めることは能わない。
ほぼ全てのサーヴァントに対して有効な一撃。
「それでもなお、この吸血鬼には届かぬ。」
その一撃を両手で食い止める。
その身は瞬間的に粉砕され、即座に修復された。
槍は折られ、その腕の長さが半分になり、頭から股までを一文字に切り裂かれた。
「捧げよその血、その命を」
それでも無辜の怪物として生かされ、血涙を流し凶相を見せたヴラド三世の宝具。
「血に塗れた我が人生をここに捧げようぞ。―――
噴出した血肉を核に、これまでとは比べ物にならないほどの血杭が現れる。
クーフーリンは散弾のように放たれていた血肉から、無数の血杭に飲み込まれた。
血杭が肉に食い込むのを感じたヴラド三世のは、更なる必殺を期した。
全身の血液からの、血杭の生成。
あの男ですら深手を負った、ヴラド三世にとっての最高奥義。
「ぐうぅ、目が覚めたぜ、久々になぁ!」
その奥義を、光の神子は力業と根性で打ち破る。
全身から生えた血杭を、自分の腹に月光蝶の角を突きさすことで処理し、大けがについては自前の戦闘続行で対処。
その身に直接、ルーンが刻まれる。それは複数のルーンを組み合わせた新しい力ある文字。
いくつものルーンを解釈し、ヴラド三世の血肉を用いて生み出された血杭の縁を辿り、ゲイ・ボルクが齎す血杭の死を呪いとして、死を確実に伝播させる最悪の類感魔術。
その手から落ちた赤槍が、彼の足と血杭に支えられる。
―――
血杭を僅かに貫いた赤槍が、無数の鏃に分かれる。
血杭が鏃となり、その連鎖は瞬く間に終わった。
「串刺し公の死としては、まぁ、ましな方であろう。」
かの吸血公は、無数の鏃に撃ち抜かれ、その心臓を完全に破壊されていた。
「アンタの武は本物だった。」
血杭と槍の怪我から、膨大な血を失いつつ
「く、くくく。」
「かの英雄にそう言われるとは、我が誉れとしよう。」
血に塗れた
消える寸前の彼の体から、青白い光がクーフーリンの体に流れ込む。
「こいつがソウルってやつか。」
自分に何かが取り込まれる感覚に、妙な怖気が走る。
これまでに経験のない感覚だった。
「何が変わったとも思えねぇが、ま、ほかの奴の様子でも見に行くかね。」
空間にいくつものルーンを刻み込み、失血を止め、傷口を仮初の体で塞ぐことで、行動できるようにした。
卓越したルーン使いとしての実力を何気なく示しつつ、アルスターの大英雄は二槍を携えて歩き出す。
ルーンによる強化に、瞬間強化での上昇量向上とかは公式設定にないはず。
アルスターの大英雄として、命を捨てない程度の命がけのラインが頭おかしいことを書きたかった。
ルーンの万能性が高すぎでどう制限を駆ければいいかわからない問題が。