ファイアーエムブレムif ~Darkside~【本編完結】   作:コッコ

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過去

光に包まれたカムイ達が目を開いた時、そこはマフーとラクスの二人を相手にしていた古びた遺跡ではなく、綺麗に仕上がっているしっかりとした作りの神殿があった。

 

「こ、此処は・・・?」

 

「父さんは?それに遺跡が新しくなってる・・・?」

 

「どうなっているんだ・・・!?」

 

カムイ達は混乱しているとカムイは後ろから足音が聞こえてり替えるとそこにはマフーが歩いてきた。

 

「マフー!?」

 

カムイ達は一斉に身構えた時、マフーは何も見えていないかの様にカムイの所まで来ると、マフーは透き通る様にカムイを抜けて行った。

 

「え・・・?」

 

カムイは困惑していると遺跡があった場所にある神殿から一人の少年が現れた。

 

「お帰りなさいませ。マフー様」

 

「うむ・・・ご苦労様。試作品00。何事も無かったか?」

 

「はい。問題ありません」

 

マフーはそれを聞くと神殿の中に入って行き、試作品00と呼ばれた少年も中に入る。

カムイ達はその光景に戸惑っていると、マクベスが話す。

 

「成る程・・・まだ仮説ですがもしかしたら此処は過去の世界やもしれませんな」

 

「過去、ですか・・・?」

 

「はい。遺跡が新しくなり、マフーが此処で研究を行う・・・仮説であっても信憑性のある仮説です」

 

マクベスの言葉にカムイは確かに筋の通る話だと考えた。

 

「カムイ。もし、そうなら・・・ラクスがどうして敵対してしまったのか探れるかもしれないわ。彼らには私達の事は見えていないのは事実・・・確かめるなら今しかないわ」

 

アクアの提案にカムイは頷くと神殿の中へと足を踏み入れる。

 

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カムイ達が神殿の中へやって来るとマフーが試作品00を側に置いて一人、机に向かっていた。

カムイが側によろうとした時、マフーが突然立ち上がる。

 

「くそ!何故・・・何故目覚めん!研究の為に自ら不老不死になり、産み出した完璧な理論を駆使しても目覚めんとは・・・!」

 

マフーは癇癪を覚えながらそう叫び散らしていると、試作品00が話す。

 

「落ち着いてください。血圧が上がりますよ?」

 

「不老不死の私が一々、血圧を気にするか馬鹿者!」

 

マフーの怒鳴り声が響くも試作品00は無表情のまま微動だにしない。

カムイは二人の会話を聞くより、マフーの衝撃の秘密の方がインパクトがあった。

 

それは不老不死。

 

老いる事も死ぬ事もない人が誰にも願う願望の一つ。

マフーはその不老不死であり、カムイにとっては倒すべき相手の一人が不老不死とは夢にも思わなかった。

 

「マフーが不老不死・・・」

 

「厄介な事だわ。相手が不老不死なら攻撃が通っても倒すのは不可能・・・対抗策がない限りマフーとの戦いは無謀ね・・・」

 

アクアがそう言い終わった時、マフーは移動を始めた。

カムイ達も着いて行くと一つの大きな部屋へと辿り着き、中心に大きなガラスの入れ物があった。

 

その中に少年らしき物が入っており、ベルカはそれを見て目を見開いた。

 

「ら、ラクス・・・!?」

 

「何ですって!?」

 

「ベルカ。それは本当なの・・・?」

 

カミラがそう聞くとベルカは頷いて答える。

 

「・・・あの中にいるラクスは私のよく知る少年時代の姿。何で・・・」

 

ベルカは悲痛な顔をしてラクスを見ていた時、マフーはラクスの入っているガラスの入れ物を愛しそうに撫でる。

 

「もうすぐ完成だと言うのに・・・お前は何て寝坊助な兵器なんだ・・・なぁ、人工兵ラクス?」 

 

「人工兵?」

 

「それが、父さんが兵器と呼ばれた理由なのですか?」

 

人工兵と聞き慣れない言葉にカムイ達は困惑しているとマフーは資料を近くにあった土台に置いて部屋から立ち去って行く。

カムイは近づいて資料を目にするとそこにはこう書かれていた。

 

~人工兵 量産計画~

 

透魔王国の異変に伴い兵士不足を補うべく、人工的な人間を作り兵士とする。

 

その第一段階として試作品00を作るも戦闘能力は乏しく、司祭マフーの秘書として遣わされる。

 

研究は失敗続きであったが、もうすぐ完成に至ろうとされている。

 

その完成形態が"人工兵 ラクス"。

 

格段に戦闘能力と身体能力を上げた事で最強とも呼べるが、未だに目覚めず。

 

 

以上の事が書かれていた。

 

カムイはそれを読んで透魔王国がどれ程のタブーを犯していたのか、どれ程の闇を抱えていたのかと思い知った。

 

他の仲間も計画書を読んで顔を歪ませる。

 

「なんと言う事を・・・!人の命を何だと思っているのだ・・・!」

 

「兵士にする為だけに産み出される人工の人間。・・・反吐が出るな」

 

マークスとリョウマがそう吐き捨てると、アクアも計画書を読んで顔を歪ませた。

 

「この国が此処まで・・・!何でこんな・・・!」

 

「アクアさん・・・」

 

真実を重く受けとるアクアにカムイは心配する。

そして、カムイはガラスの入れ物の中にいるラクスを見てどうにかしたいと考えていたその時、ガラスの入れ物が突然割れ始め、中に入っていた水らしき物が出てくる。

 

「何ですか・・・!」

 

カムイは割れていくガラスの入れ物を見ていると、扉が勢いよく開かれてマフーが入ってきた。

 

「こ、これは・・・!まさか、目覚めか!」

 

マフーはそう言うと歓喜しながら近づいていく。

 

「・・・く、くく・・・ククク・・・あっはっはっはっはっ!遂に目覚めだ!!!最強の兵器が!!!!!あっはっはっはっはっ!!!!!!」

 

マフーは高らかに笑っていると、ガラスの入れ物は完全に割れ砕け、中にいたラクスが出てくるのをカムイ達はただ黙って見ている事しか出来なかった。


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