「え?」
「なんでなんで?」
「神様だよ神様!」
「人の身でありながら神と友人になれるんだよ?」
俺のお断りが想定外だったのか自称神様の少女は焦っている。
「いや、いきなり来て友人って」
「しかも神って」
「そもそも1人で本読んでるのが好きだから友達欲しいわけじゃないし…」
そこまで矢継ぎ早に言うと俺は一端話すのをやめた。なぜなら目の前の神様が再び涙目になっているからだ。
「せっかく来たのに…」
鼻の頭は赤くなり、瞳は決壊寸前である…
神だというのに威厳というとのがまるで感じられない。
とにかく泣きださないように慎重に会話をしなければ
俺はそう考えつつ話を続けた。
「神様!私のような者ではなくもっと友人になるに相応しい方がいるのでは無いでしょうか!」
「神様が私のような普通の人間と友人なんて…神様ならやはり神様同士で仲良くした方がよろしいかと思います。」
その言葉を聞くと、少女の瞳から涙がポロポロと溢れ出てきてしまった。
少女は瞳から涙をこぼしながら
「私こんななりだし… 信仰もあんまされないし… 神力も弱くて… 」
「だからずっと友達いなくて… それでもやっぱり友達欲しくて… 」
「神様じゃ無理だったけど人間相手ならと思って…」
口調が最初の頃とは完全に変わっている。
どうやら言葉の選択を誤ったようだ…と少しだけ反省をする。
「んで、一生懸命資料で友達欲しがってそうなぼっちな人間を探して…」
「意を決して下界に降りて来たんだぞ!」
いつの間にか少女は泣きながらも怒っている。
いやこれは完全な八つ当たりである。
俺はもう面倒になり解放されたい思いもあったので
「わかった!わかったから!友達ね!今日から友達!」
と言ってしまった。
「友達!初めて!友達!」
少女は泣き止み笑いながらピョンピョンと跳ね大変御満悦の様子だ。
泣いたり怒ったり笑ったりと忙しい神様だ…
それはそうと眠気も限界に近いので解放してほしい。
「すいません神様、正直そろそろ寝たいのですが…」
少女は今度は笑顔で話す
「あーそういやお前睡眠の途中だったな。じゃあ山中… いやこれじゃなんか友人っぽくないな… タカシ!タカシおやすみ!お前もこれからはタメ口で良いぞ。友人なのだからな!」
俺はやっと眠れると思い
「はい…、おやすみ…」
とだけ返してまぶたを閉じた。
急速に薄れていく意識の中で神が何か喋っているようだったが何と言ったかまではわからなかった。
私は隆史が寝付いた事を確認すると天界から持ってきた日記に本日の出来事を記することにした。
卯月 弐拾壱日
今宵、余に初の友人が出来た。
人間であり、山中隆史という名の青年である。最初は友人になることを断ってきたが、少々会話を交わすとすぐに友人関係を築くことが出来た。
隆史も神である余と友人になれることを喜んでいるだろう。
少女は静かに筆を置くと微笑みながら
「タカシともっと仲良くなりたいなぁ…」
誰にも聞こえないよう小さな小さな声で一人呟いた。