もはや人間ですらない俺はどうすればいいでしょう! 作:アヴェストロ
突拍子もなく思いついたネタ作品になります。
容量悪いところもいくらかあるかと思いますが、温かい目で見守っていただけると幸いです。
憑依転生……。それは新たな可能性を受けかわいい子とキャッキャウフフの展開が待っている、いわゆる『強くなってニューゲーム』的なあれだ。
学校に遅刻しそうになって入っていると、十字路で可愛い子とぶつかってそこから始まるハートフルストーリーならどれだけうれしいことか。
万能の釜をめぐってのバトルロワイアルする冬〇市とか、悪魔やら天使やら堕天使やらが住んでいる駒〇町とか、コンビニから帰る途中で異世界の王都とか。
それなのならば、大当たりで主人公、またはサブキャラ。キャッキャウフフに一番近いルートだろう。3等賞ぐらいでも、まだモブキャラの系統でチャンスは(たぶん)あるだろうし、外れでもゴブリンとかでも『強くなってニューゲーム』で目標は緊急クエストが発令するレベルまで頑張ろうなんて思っちゃう。
でも今自分が置かれている状況は、そのどちらにも当てはまらないし、それ以前の問題だった。
俺の体、どうやら機械みたいです。でも、人造人間ならばまだ妥協できますよ。
でも、それがむちゃくちゃ大きかったらどう思います?
全長20mぐらいですよ?
その時に俺、確信したよ。
俺の憑依したのって、捨てられたMSなんじゃね? と。
俺を結論付けるかのように、自分の姿が全部見えるわけじゃないけれど、本来あるはずの左腕ないし、肩のフレームないし。むちゃくちゃバキバキいってるし。とどめにに俺は今どこかの砂漠に放り出されているんですから……。
割とマジでここどこです?
サハラ砂漠? それともゴビ砂漠?
それともどこかのコロニーの砂漠地帯?
目が覚めたらMSになっていてで砂漠に捨てられるとか斬新すぎぃ!
誰かー! 本当に助けてください。俺の胸のコクピット、開けておくんで。誰でもいいんで見つけてください。
操縦者居ないと俺は動けないんですから! 整備もろくにされていないから動くかどうかも不明だし、おまけに左腕ないし。バキバキいってるし。大事なことなのでもう一度言います。バキバキいってるし。
願うことならこれが夢だと思いたい……。
頼むから、誰か俺を見つけてくれ……!
* * *
日付が変わった。
さすがに1日じゃ誰も見つけてくれないか。
また、明日か。
1週間がたった。
砂漠はなんだかんだ言って広い。その中で見つけるのも大変だから。
明日は、誰か来る。
1か月がたった。
さすがに砂漠で1か月ほったらかしは精神的に堪える。
というかMSに精神という概念が存在してるのか?
1年がたった。
今になってようやく自分の体のことを少し理解できた。
俺の意識を潜らせるとMSのシステムにアクセスできるみたいだ!
でも、その前にこの何重にもかかっているプロテクトを破らないと……。
10年がたった。
ようやく、すべてのプロテクトを破りシステムに干渉することができた。
溢れんばかりの情報の処理にまた時間がかかりそうだ……。
20年たった
あー。これもだめか。
起動することは俺でもできることが発覚。
だが、起動はしても何度試しても動くことはない。自分の体だというのに……。
メインシステムに干渉することには成功している。
俺に搭載されている、2基のエイハブリアクターというものをエネルギー源として動いているらしいが、このエイハブリアクターに不具合はない。
ならばどこに問題があるんだ……。
30年たった。
そうか。そういうことだった。
メインシステムに干渉できたからと言って、俺が操縦者なしで動かせるわけではない。
阿頼耶識システムという、操縦者と俺いわゆるMSを直結させより人間的な動きを可能にできるらしい。
言ってしまえばエ〇ァみたいもんだろ。
そりゃ、俺一人で動くわけないか……。
あ、そういう言えば、このMSの名前は『バルバトス』っていうらしい。
もはやどうでもいい。
50年たった。
あー……こんなことなら体がMSになる前におっぱいに山ほど埋もれたかったなぁ……。
かわいい子いねぇのか。
誰も来ない。
100年たった。
何がうれしくて俺はこんな身体になってしまったのだろうか。
今思えば、父や母は元気だろうか。
今日も誰も来ない。
150年がたった。
身体のいたるところが錆びつきはじめた。
むしろ今まで、錆びつきが起こらなかったのが奇跡。
あとどれぐらい持つだろうか……。
というか最近、砂嵐みたいのが頻繁に起こるようになった。
200年たった。
何が原因で俺はこんな目にあっているのだろう。
特に目立った人生だったのは確かだ。
でも、MSになりたいなんて思ったことは一度もないぞ。
……人肌が恋しい。
今日も誰も来ない。
250年たった。
暇つぶしにただ延々と数学、物理学、化学、天文学をやり続けた。
それだけで1日が潰れることもあれば、なかったりもする。
そのせいもあってここに1機、理系MSが誕生したりもした。
……今まで敬遠してきた理系問題って割と楽しいんだな。
明日は解析学をやろう。
とうとう、300年たった。
俺の意識も半ばなくなりかけていた時だった。
なにか、音が聞こえる。
風の音じゃない! これはエンジン音だ!
ついに、俺を見つけてくれたのか!
ああ、助かった。もうこんなのは二度とごめんだ。
安堵したのも束の間だった。
トラックからいかにも人望の薄そうな、人間降りてきた。
そして俺を見るなりこう言い放った。
「ふん。これがガンダムフレームとやらの残骸か。大事なエイハブリアクターはまだあるんだろうな? それがなければ本当にただの鉄くずと同義だ」
この言葉に、俺は怒りを覚えた。
お前に何がわかる。
人目に付くことなく、それでも一縷の希望を持ち続け生きてきた俺が。
鉄くずだと?
ずいぶんなめたことを言ってくれる。
だが、俺も操縦者なしじゃ動けないし。関節部に至っては砂が入りすぎて動くことすらできない。
砂嵐のせいだな。
「まあ、いい。これが確認できただけでも儲けだ。いざとなればこいつを売っちまえばいいだけだ」
今ほど、動けない自分を呪ったことはない。
なんなんだこの言い草は。
翌日、俺は巨大なクレーンで台車のようなものに乗せられ、どこかへ運び込まれた。
おそらく、あの失礼極まりない人間の差し金だろうな。
そしてあいつの目的は俺のエイハブリアクター。そんであわよくうば俺のフレーム自体も売って自分の財を肥やそうって魂胆だろう。
なんとも浅ましく、卑しい奴だろうか。
この人間の部下だろうか。そいつらが俺の身体にエネルギーを吸収するためのラインを取り付け始めた。
…………俺は発電機じゃねーぞ。バカやろう。
でも、久しぶりに人に触れることができたのでよし。
これが、今までの顛末です。
長かった! 本当に長かった!
5億年ボタン並にきつかった。5億年ボタンはそれ以上に長いけど。
こうして、俺はしばらくの間。
あの人望薄そうな人間が経営してる会社の動力源として働くことになりました。
……こっちからシステム入り込んでぐちゃぐちゃにすんぞ。
そして俺は彼と出会う。
生涯の相棒、三日月・オーガスと。
最後までお読みいただきありがとうございます。
プロローグなので少し短めですが、この辺で切らせていただきます。
そうしないと区切りが悪いので……。
描写など、おかしなところがありましたら教えていただけると幸いです。
次回 #2 風邪気味の俺を酷使する気か
やっちまえ! ミカ!