もはや人間ですらない俺はどうすればいいでしょう!   作:アヴェストロ

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新年あけましておめでとうございます(いやいつの話やねん)
今回は思った以上に難産でした。
少しずつ執筆のペースを上げていければと思っています。
今更ではありますが、本年もよろしくお願いいたします。

前回のあらすじ

爺「やったぜ! バルバトスの整備終わったぜ!」
バル「しかしシステムの情報は見せんがなぁ!」
ミカ「アトラとクーデリアがバルバトスに乗りたいって――――」
バル「女の子には勝てなかったよ……」
筋肉「やっべぇ! しぬ」
バル「そんなことさせませーん!」


#10 約束は守ってもらうぜぇ~

暗い宇宙で盛大に飛び交っていた銃弾や火花は、1機のMSの介入により静寂に包まれた。

急に飛来した白いMS。

敵か味方かもわからなかった白いMS。

二本の角と翡翠のツインアイ。白く無骨なフォルムは戦士を彷彿とさせる何かがある。

白いMSの手に身の丈ほどの太刀を同じ仲間(デブリ)の乗るマン・ロディのコクピットに、正確無比に突き立てられる刃。

そいつは、刃を突き立ていたコクピットを凝視しながら伏せられていた顔が静かに上がる。

無機質な翡翠のツインアイは2機のマン・ロディに向けらる。

 

自然と背中に冷や汗がつたう。

 

相手に恐怖を抱かせるように設計された、悪魔の名を冠する白いMS。

 

 

名を―――――――バルバトス。

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

『あいつ、どこから出てきやがった』

 

『おい。嘘だろ……ペドロ……』

 

『ッッ!』

 

『お、おい! まて!』

 

1機のマン・ロディが仲間をやられたことによる怒りで、仲間の言葉を無視しマシンガンを斉射しながら接近。

先ほど仕留めたMSから太刀を引き抜きながら盾に起用する。

マシンガンから斉射された弾をすべて防ぎきった瞬間、MSのデブリを接近してくるMSに蹴りつける。

 

『なっ!』

 

デブリの衝撃が直に機体に伝わる。

衝撃により後方へ吹き飛ばされるが、その状況を見ていた仲間の1機が見方を受け止めてフォローに入る。

 

『落ち着けよ!』

 

仲間の一人は極めて冷静だった。

 

『でもペドロが!』

 

『だからこそだ! 落ち着いて、連携して俺たちで仇をとるんだ』

 

なだめるように今自分たちがすべきことを提示する。

今自分たちがやることは、あの白いMSをぶっ壊して味方……ペドロの仇をとることだ。

 

『ッッ……了解』

 

脚部のバーニアをふかし、標的を白いMSへ変更する。

仲間の仇を討つために。

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

バルバトスとグレイズ改は戦闘区域を離れながら通信を交わす。

 

「昭弘、大丈夫」

 

『ああ。なんとかな』

 

『三日月さん!』

 

「なんでタカキが?」

 

三日月が不思議そうにつぶやく。

それもそうだ。今までは自分たちよりも下の歳のまとめ役だったタカキが哨戒任務にでるとは思っていなかったからだ。

 

『昭弘さんと哨戒に出てたんです。俺が無理強いを言ったばっかりに……』

 

「少し黙ってて」

 

『『え?』』

 

昭弘とタカキが声をそろえて腑抜けた声が漏れる。

 

「ああ。今のはタカキのせいじゃないよ。気にしないで」

 

『は、はい』

 

タカキは自分たちではなかったら誰に言ったんだ。と思いながらもそんなことを考えないようにした。

というか、なにか考えてはいけないような気がしたからだ。

 

「それじゃあ、昭弘とタカキはイサリビに戻って。殿は俺がやる」

 

三日月が滑空砲を構え、敵へ向きなおろうとした時だ。

 

『いや、それよりも。あれはどうするんだよ……』

 

昭弘が明後日のほうを見て三日月へいう。

その方向には、ものすごい速さでこの領域を脱する1機のクタンがいた。

三日月たちが乗ってきた輸送用クタンである。もちろんそれには雪之丞が搭乗しているが、操縦もままならないまま明後日の方角へ飛んでいるのだ。

あの速さだ。身体にかかるGはかなりのものだ。ましてやつい最近までMW整備専門だった人間が、クタンに乗る事などまずない。

流石に同情してしまう。

 

「ああ。一応、戦闘区域からは離れていくし別にほっといても大丈夫だと思う」

 

『鬼かよ……』

 

三日月の雪之丞に対するあまりの塩対応に苦笑いがこぼれる昭弘。

 

『三日月さん! また来てる!』

 

後ろから追撃をかけるMSが2機、マシンガンを構えながら距離を詰めてくる。

 

「それじゃあ、行ってくる」

 

バルバトスは旋回して、後ろで追撃を掛けてくる敵を向かう。

その間にタカキの乗るMWを背にスラスターをふかし、母艦イサリビへ急ぐグレイズ改を見送ると足止めの為に2機のマン・ロディへと背のスラスターを噴かす。

前方に確認できるマン・ロディに狙いを定める。

 

「お前も機嫌よさそうだな……」

 

舌で乾いた唇をなめる。

自然と気分が高揚し、自然と操縦桿の握る力が強くなる。

今までとは違う、新しい装備と完璧にまで整備されバルバトス自身もご機嫌であることを伝える、好感度メーターらしきものが上昇している画面が表示される。

その画面をみた三日月はため息がこぼれるがそれ以上に、気分がよかった。

 

「んじゃ」

 

バーニアをより一層噴かす。

今まで以上の出力を体感しながら、滑空砲の狙いを定める。

 

「―――――いこうか」

 

滑空砲から一発の弾丸が放たれる。

 

 

第2ラウンドの開始である。

 

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バルバトスの放つ牽制射撃を難なく交わす2機のマン・ロディ。

そして相手の動きを制限するために、マシンガンを放つ。

 

『俺が行く!』

 

前に出ているマン・ロディに乗るヒューマンデブリのビトーが腰にマウントしているハンマーチョッパーを抜く。

片手にマシンガン、片手にハンマーチョッパーで中距離、近距離に対応できるよう仕掛けにかかる。

 

『援護頼む!』

 

『気をつけろよ!』

 

後ろで援護役になったマン・ロディにのる同じヒューマンデブリのアストンが仲間の身を案じながらも、相手に仕掛けにかかる。

腰の内部に装備されているクラッカーを手に取り、バルバトスに向け投擲。

投擲されたクラッカーにマシンガンを放ち、爆発させる。

すると、クラッカー内に仕込まれていた白い煙幕が辺りを包み込む。

視界が遮られ、白い煙幕の中を進むバルバトスを背後から奇襲をかける。

 

『背中ががら空きだぜー!!』

 

相手の死角からの奇襲。

とった―――――!

ビトーは確信をもってハンマーチョッパーを振り抜く―――。

が、その刃は虚空を切るだけだった。

 

『な……!?』

 

バルバトスはマン・ロディがハンマーチョッパーを振り抜くよりも先に身を反転、スラスターのエンジンを切りスウェーの要領で体を逸らして回避を行った。

一瞬の出来事を最低限の行動で回避したのだ。

ビトーの中での稚拙な作戦。

煙幕で視界を鈍らせ背後からの奇襲。

完璧だと思われた奇襲が失敗に終わったのだ。

そんな失敗したことよりも、ビトーが敵の反応速度に対する確信を一つ得る。

その確信を得た中で、ビトーの乗るマン・ロディはバルバトスによるオーバーヘッドで煙幕から蹴りだされる。

 

(間違いない。あのMSに乗っているやつは俺たちと同じ、阿頼耶識施術者だ)

 

一度強制的に距離を取られ、ターゲットをビトーの乗るマン・ロディから後方で援護していたアストンのマン・ロディへと移される。

滑空砲の長い銃身が向けられる。

 

(MSの武装にしては遠すぎる距離からの砲撃だ。あったとしても牽制射撃ぐらいだろう)

 

離れた距離からの砲撃と侮るなかれ。

世の中には例外というものが存在するのだから。

 

ダァン! ダァン!

 

立て続けに二発の弾丸が放たれる。

放たれた弾丸は、アストンの乗るマン・ロディのコクピットに直撃。

 

『ぐっ! あいつ、この距離で!?』

 

立て続けにコクピットに二発の弾丸が直撃する。

当たらないと思っていた射撃で当ててきたのだ。

敵は阿頼耶識施術者か? そうだとしても、ここまで精密な射撃を行う敵などそう簡単にいるものではない。

阿頼耶識頼みでの射撃補正など、気休め程度にしかならない。

しかし敵は的確に自分の乗っているコクピットに当ててきているのだ。

なんなんだ、こいつは――――。

 

『気をつけろ』

 

仲間のビトーから注意を促す通信が入る。

 

『あいつは、俺たちと同じ阿頼耶識使いだ』

 

その事実にアストンは思わず歯噛みする。

そんなことはなんとなくわかっていた。

だが、それ以上におかしいのだ。

アストンの中で一つ確信をもって言いたいことがあった。

やっかいな敵に会ってしまった。と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*   *    *

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フハハハハ!

身体が軽い! 羽のように軽い!

そして俺が今使用している新たなる武装、太刀。

今まで使用してきたメイスとは打って変わり、質量で破壊するのではなく鋭さで切断しにいく武装だ。

ミー助には少々扱いにくい武装かもしれんが……まぁ、ミー助だし。何とかするだろ。

え? その太刀はどうしてるかって?

そりゃ使ってますとも。

いいMSっていうのはどんな不慣れな武装だろうと使いこなすのが絶対条件だからな。

それに、今までの鬼畜縛りプレイ地味たものに比べれば、武装のことは贅沢は言えない。

それ以上に大きい変化。

 

それは、俺の痛覚を除く感覚がそのままミー助にフィードバックされるようになったことだ。

ある意味これは、阿頼耶識の手術を三回も起こなったミー助にしかできない芸当だ。

阿頼耶識システムはMSと人を繋ぎ、MSを自分の身体のように動かすことができる。

しかしそれにも限度があり、誤差がある。

阿頼耶識のピアスから脳へ送る情報の上限があり、1つのピアスに送る情報量が増えるにつれ誤差が生じてくる。無理をして、上限以上の情報を送ろうとするとシステムがパイロットを保護するためのシステムが作動し機体自体が動かなくなるケースがある。

その限度と誤差を極限まで無くすにはどうすればよいか?

答えは至極単純。ピアスの数を増やし受け取れる情報量を増やせばいい。

しかし情報量を増やすうえでの大前提として、阿頼耶識の手術が必ずしも成功するとは限らない。それにそもそも人が耐えられる情報量ではない。ほかの奴がしても間違いなく卒倒する。

それをミー助は何事もないように操縦している。

 

ミー助に俺の感覚がフィードバックされることもあり、情報量は通常の阿頼耶識施術者の約3倍。

 

俺のメインシステムを介しての情報を瞬時にミー助に送ることが可能となったのだ。

 

そのせいもあって、使い慣れない武器だとしても、ご覧の通り!

 

敵さんのコクピットを寸違わずに貫いているから。

俺の感覚がまんまミー助に反映されている証拠だな。

 

『いやー見事に決まったホールインワン。超絶きもちぃー!』

 

「そうだね」

 

ミー助が珍しく同意するとは……俺は明日解体でもされるのか?

内心焦っていると。敵さんがお仲間やられて怒ったのか、マシンガン斉射しながら接近してくる。

それをその辺を浮遊していたMSのデブリを盾代わりに使用し弾丸を防ぐ。

メインシステムからのメッセージが<MSは盾にするもの!>らしい。

まぁ、そのやり方を推奨したのが俺で実践したのがミー助。

どうせ死んでる奴だから盾に使おうが爆弾代わりに爆発させようが、俺たちの勝手だからな。

それもそれで、かわいそうなんで……。

 

『返してやるよ――――――蹴って』

 

MSのデブリを蹴飛ばし、敵さんと熱い抱擁?を交わす様はなんとも言えないよ。

敵さんに無理やり距離を取らせて、今のうちに我が母艦イサリビへ急ぐ。

イサリビへ戻る中で、仲間の身を案じたミー助がグレイズ改へと通信を繋げる。

 

「昭弘、大丈夫」

 

『ああ。なんとかな』

 

あの筋肉隆々のガチムチなら大丈夫だろ。

何でもかんでも筋肉で解決しそうだがな!

 

『三日月さん!』

 

ん?

慣れない声がコクピットに響く。

今通信してるのはグレイズ改だけ―――――と思ったがよくわからんMWからも通信が繋がってるよ。

 

誰だぁ、こいつは……。

メインシステムから割り出すか……。

音声より検索――――

検索完了。鉄華団、団員タカキ・ウノと声帯が一致。

 

………ああ。あの金髪少年か。

 

「なんでタカキが?」

 

『昭弘さんと哨戒に出てたんです。俺が無理強いを言ったばっかりに……』

 

自分にできることを考え、実践した結果だろうが結論として今。この場においてガチムチの足を引っ張ってるから仕方ないよなー。

まぁ、あれだよなー。仕事は増えるしなにかと敵さんは追いかけてくるし。社畜ルートはいまだ健在かー……。

アトラちゃんやクーデリアちゃんワンチャン、フミタンさんからの特別ボーナスでも出ないかなぁ~。

 

「少し黙ってて」

 

『『え?』』

 

隣の二人から腑抜けた声がコクピットに届く。

あー。はいはい。いつものスルースキルね。それにしてはいつになく手厳しいような……。

 

「ああ。今のはタカキのせいじゃないよ。気にしないで」

 

『は、はい』

 

いやいや、金髪君は気にしないかもしれんが俺は気にするぞ。

最近すんごく忙しかったから俺の癒しタイムが減っていく一方だよ。

ちくしょうめ! こんな問題ごとばかり起こるから、俺の癒しタイムがゴリゴリと減っているのだ。

涙無くしては語れない俺の社畜ルート。別名、生存ルートのないMS……。

 

………。

 

いかんいかん。そんな感傷に浸ってはいられない。

思い出せ、俺がこの社畜ルートを未だ果てずに進める理由。

木星圏で整備という名の公開処刑を受けた時、データーベースの開示するのを渋っている俺にこのような話を持ち掛けてきた。

 

 

 

―――――――――アトラちゃんとクーデリアちゃんが、俺のコクピットを見たがっている。と

 

 

 

アトラちゃんには悪いがこの際だからすっぱり言ってしまおう。

ロリ枠である。と。

そのロリ枠代表のアトラちゃん。

そしてお嬢様枠筆頭のクーデリアちゃん。

俺の中での癒し三大巨頭のうちの2人が、俺のコクピットに興味を持っているのだ。

つまり、合法的に男以外と触れ合うまたとないチャンス。

これをモノにせずとして、ガンダムフレームは名乗れんよ!

俺も先ほどのことと、整備が行き届き今までにないほどの力を振るうことができるのとでテンションマックス。

今ならなんでもできそうだ!

 

「それじゃあ、昭弘とタカキはイサリビに戻って。殿は俺がやる」

 

後ろから追いかけてくる敵との距離を計算しながら、滑空砲を再展開し敵へ向きなおろうとした時だ。

 

『いや、それよりも。あれはどうするんだよ……』

 

ガチムチから通信が俺を脱力させる。

その通信とは、恐ろしい速さで戦闘区域を離脱していく、俺を乗せてきたクタン三型改め快速くん2号。

なんで快速くん2号かだと?

そんなの速いからに決まっているだろ!

特急のほうが速そう。とか言うなよ。誰も思いつかない発想での命名(勝手に)だからな。

そんなことよりも、いやマジで恐ろしい速さで進んでるよ……。黒人、Gで死んでなきゃいいけど。

 

「ああ。一応、戦闘区域からは離れていくし別にほっといても大丈夫だと思う」

 

『鬼かよ……』

 

ミー助の黒人に対するあまりの塩対応にガチムチも声が引きつってるよ。

まぁどうでもいいけど!

 

『三日月さん! また来てる!』

 

後ろから追いかけてくるMSが2機、追いつくためにスピードを上げて距離を縮めてくる。

 

「それじゃあ、行ってくる」

 

後ろで追撃を掛けてくる敵を向かう。

その間に金髪少年の乗るMWを背にスラスターをふかし、母艦イサリビへ急ぐグレイズ改を見送ると俺は足止めの為に2機のマン・ロディへと背のスラスターを噴かす。

前方に確認できる敵の姿をツインアイで捉え、目標を確認する。

 

「お前も機嫌よさそうだな……」

 

ミー助が不意に舌で乾いた唇なめながらいう。

当たり前だろ! これまでにないくらいに行き届いた整備、そしてこの後に待っているアトラちゃんとクーデリアちゃんとの約束。

テンション上がらずにいられますか!

という事で、以前暇つぶしに造った好感度メーターなるものをモニターに出し、メーターが上昇していく様をリアルタイムで映し出す。

その画面をみた三日月からため息が溢す。

しかしその表情は一瞬で切り替えられる。

 

「んじゃ」

 

『ああ』

 

背中のバーニアをより一層噴かす。

今まで以上の出力を体で実感しながら、滑空砲の狙いを牽制射撃ようにあえて甘く設定。

後で脅かす為の小さな秘策だよ。

準備も整ったことだし―――――――。

 

『「―――――いこうか」』

 

滑空砲から一発の弾丸が放たれる。

 

 

 

 

俺の癒しライフは誰にも邪魔はさせんぞ!

 

 

 

 

*  *  *

 

 

 

 

 

甘めに設定した牽制射撃を余裕で回避する敵のMS。

敵さんの2機のうち1機が腰の鉈みたいな武器に手をかけ、前に出てきた。

後ろの奴が支援射撃での行動を制限。前の奴が接近戦闘で敵を強襲を行う。

うんうん。典型的な攻め方だな。

後ろのMSが腰から何か取り出したぞ……あれは、クラッカー爆弾か。

そんなもの、当たらなければどうということはないというのに……。

そう思った俺は特に気にすることもなく、接近戦に備え滑空砲を収納し太刀に持ち替える。

後ろの敵さんは俺に撃ってくるのかと思えば、クラッカーめがけマシンガンを斉射。

クラッカーなので爆発するだけかと思いきや、クラッカー内部に煙幕が仕込まれていたらしく辺りを煙幕で覆われる。

視界が白一色になり、敵を見失うが索敵システムが2機の敵をしっかりと補足している。

 

「こんなのもあるのか」

 

古典的だが有効な手の一つだからなぁー。

実際に俺たちも火星で似たようなことしてるだろ。

 

「そうだっけ?」

 

戦闘中にもかかわらず何気ない会話を交わしながら煙幕の中を進む。

俺自身は敵がいつ来てもいいように全身の回路を研ぎ澄ます。

 

すると、背後から微弱なエイハブウェーブの流れを感じ取りその感覚をミー助にそのままフィードバックさせる。

そして案の定敵さんが鉈を横に一閃と振りぬくが―――――――――。

 

 

 

だからどうだというのだ?

 

ミー助はフィードバックされた情報で背中のスラスターのエンジンを切り、今までは使用すると腰部が壊れるかもしれないと、使用を避けてきたスウェーでの回避を楽に行う。

これには俺も感激を禁じえない。

今までの戦闘では避けていたスウェーでの回避も楽々できるし、何よりミー助が俺の操縦のコツをかなり掴んできている。

あれ……何気、俺とミー助って相性よいのでは?(今更)

 

 

―――――――――――いやいや! 俺が男とそんな関係になりたいなんて一切思ってねぇわ!

自分自身に逆切れし、その腹いせとばかりに奇襲に失敗して呆けている敵さんをオーバーヘッドキックで煙幕から蹴りだす。

そして俺自身も煙幕から脱出。

滑空砲を展開し、先ほどよりも離れた場所でマシンガンを構えている敵さんに滑空砲の狙い瞬時に定めると、すぐさまその情報がミー助に反映されそれに従いミー助が立て続けにトリガーを引く。

先ほどの甘々の牽制射撃とは違い、精密に計算された射撃コース。

敵さんも余裕で構えているが……その考えが甘いんだなぁ。

 

俺が直接計算したんだぞ! 外れるわけがないだろ!

そしてそれが言うとおりになる。

 

計算されたコースはそのまま軌道に乗り、敵のコクピットに連続で直撃する。

これにはミー助さんも驚きの表情。

 

ふふーん! 見たか、正義の一撃!(何言ってんだ俺)

 

さてさて、ある程度敵の足を止めたからガチムチのほうへ行こうか。

 

 

 

その瞬間。俺のリアクターが跳ね上がるような感覚に見舞われる。

 

……?

なんだ、この感じ。

今まで感じたこともないような感覚に俺自身が戸惑いを隠せない。

その感覚がそのままミー助にフィードバックされる。

 

「……バルバトス?」

 

―――――いや、なんでもない。

新しく3つのエイハブウェーブを確認した。

2つはさっきの敵さんと同じ周波数だ。

もう1つは……感じたことのない周波数だな。

でもなんだろうな。

この周波数……。身に覚えのある感じだ。

 

 

 

 

例えるなら……

 

そう。大昔に生き別れた兄弟と再会した。って感じだ。

 

そんな今まで感じることのなかった感覚に戸惑いを覚えながら、新たに出現した敵に向かい背部のスラスターを噴かす。

 

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

結果から言おう。

 

今回の戦闘においての戦闘データは非常にいいものだった。

俺にとっても、ミー助にとってもだ。

今回の戦闘データを基準に戦闘プログラムを組むことにしよう。

そのほうが俺のとっても非常に都合のいいことになるからな。

そして、敵さんのMSの中にガチムチの弟がいたことだ。

別にそれはどうでもいい。

敵は敵だ。それがガチムチの弟であろうと、俺に切っ先を向けるのであれば容赦はしない。

即、壊す。

それと、先の戦闘で俺の感じた戸惑いが現実となり現れたのだ。

現在、相対している深い緑のカラーリングが施された重装甲MS。見た目がガマガエルみたいにデブなMS。

こいつが放つエイハブウェーブ俺と非常に類似していたこと。

俺と似ているということは、言えることは1つある。

 

少なからず、あいつは俺と同じガンダムフレームであるという事だった。

 

重装甲であるが故に精密な射撃など意味をなさなず、威力が売りの滑空砲がまるで効いていなかった。

ならば近距離で! と接近して滑空砲を放とうとしたが、見た目に反して素早く回避され軽くショックを受けた。

太刀を使用しての攻撃も大して意味をなさなかった。

ミー助の奴、太刀をメイスと同じ要領で使うから敵の装甲に刃が弾かれるは弾かれるはで大変だったぜ。

システムの戦術マニュアルを提示して反撃に移ろうとしたら、最近鉄華団と兄弟盃とやらを交わしたタービンズ方からの援軍が来てガマガエルとその取り巻きは撤退していった。

 

んで、俺もイサリビへ戻るとあの金髪少年がなんか大怪我を負って運び込まれた格納庫内がパニック状態になっていると、見たことのない金髪美人が登場した。

そして来たかと思うや否やで、金髪少年の傷の具合を判断し的確な指示をガキどもに送っていた。

その指示を聞いたガキどもがあれやこれやで慌ただしく準備を始める。

 

ほぅ。アトラちゃんのロリ枠やクーデリアちゃんのお嬢様枠にも属さず、かと言ってフミタンさんのようなクール枠にも当てはまらない、全く新しいタイプの女性だ。

言うでなれば、頼れるお姉さん系だな。

 

決めた。

 

ただいまの時刻をもって、癒し三巨頭から癒し四天王に名を改める!

これから頼むぞ、名前も知らない美人さん!

 

………ふぅ。

 

いい目の保養になった。

新しいファイルを作っておかないと。

あ、今度ミー助にあの人の名前を聞いておこう。

 

いやー自分の癒しが増えるっていいことだね~。

 

……いや! 俺は目先の甘美に惑わされはせん!

ともやもやの精神体でかぶりを振り辺りを見回す。

 

って、もう格納庫に誰もいないし!

さっきまでいたお情け整備部隊は全員、金髪少年の身を案じてメディカルルームへ行ったし、ミー助はミー助でどっか行ったし……。

待てど暮らせど、誰も来ない。

ついさっきようやくお情け整備部隊が来たと思えば、金髪少年が目を覚ましたとかで全員メディカルルームとやらへ行きやがったよ。

誰もいない薄暗い格納庫に2機。

といっても隣のグレイズ改と情報を共有できるわけではないので、実質はここにいるのは1機だけだ。

はぁー。誰か来るまで今回の戦闘データの情報処理と敵さんの分析にかかろうとした時だ。

格納庫の扉がスライドし、誰かが入ってくる。

 

誰だよ。約束を守られずに裏切られたMSが今はお仕事中なんです。

分かったらどっか行け。

 

って、阿頼耶識を繋いでないから聞こえるわけないか。

と一人で納得していると、先ほど入ってきた人物がわかった。

ミー助だ。

 

「………」

 

いや、急にきてなに?

そんな無言で見つめられても困るんですけど。

 

「……ハッチ空いてる?」

 

いや、ロック掛けたまんまだ。

何するか知らないが……。

ガコン。とコクピットのハッチを開ける。

そしていつものようにコクピットに入り、シートに座って阿頼耶識を接続する。

 

「目に悪いから電源入れてよ」

 

お前……MSをGoo〇leと勘違いしてないか?

まぁつけるけど。

って、お前でもそんなの気にするのかよ。

 

「うん。アトラがうるさいから」

 

ところでミー助さん。あの約束、どうなりました?

 

「ああ。今回はそのことで来たんだ」

 

え!? マジで!?

いつくるの! 日にちは! いつ!?

 

「なんでも、うちがどこかの海賊に喧嘩売られたらしいんだ」

 

ミー助さんがいつものポーカーフェイスで語りだす。

そんなのどうでもいいわ。それよりも聞きたいのはアトラちゃんとクーデリアちゃんの件だよ!

 

「オルガが言うには、ありったけの金とMS。それにクーデリアとアトラ、それにフミタンをあの海賊に渡せば見逃してやる。って言ってた」

 

 

 

 

 

は?

 

 

 

ごめん。俺の集音機300年物だから調子悪いみたい。

もう1回言ってくれ。

 

「オルガが言うには、ありったけの金とMS。それにクーデリアとアトラ、それにフミタンをあの海賊に渡せば見逃してやる。って言ってた」

 

一字一句そのまんま言ってくれてありがとう。

……つまり、その海賊は俺から癒し四天王の3人を寄越せ。と言っているんだな?

 

「うん。でも、そのまま大人しく渡すわけがないだろう?」

 

渡すも何も、そもそもその渡すような相手はいなかったんだよ。

 

「……つまり?」

 

何言ってんだ? みたいな顔はやめろ。

つまり。その海賊とやらをぶっ潰すだけだ。

二度と海賊として再起できないように、徹底的に。

 

「わかった。それじゃあ、頼んだ」

 

ああ、任せろ!

ミー助は阿頼耶識の接続を切り、薄暗い格納庫から出ていった。

……あれ? 俺、うまいことなんか言いくるめられてね?

 




最後までお読みいただきありがとうございました。

身体の調子も少しずつ良くなってきているはず! 血を吐きながら(流石に血は吐いてませんけど)執筆のペースを上げていけたらな、と思います。
ん? 昌弘? ……誰だっけ(すっとぼけ)


次回 #11 言った筈だ。徹底的に壊すと

言ったからには実行する。お約束だろ?
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