破軍、武曲、貪狼…と北斗七星なら死兆星もあっていいじゃない(北斗脳
――死兆学園
東京都にある国際魔導騎士連盟の認可を受けた学園である。
開創して早々に七星剣舞祭の代表選抜で実力を重視した実戦選抜を最初に行った学園であり、破軍、武曲、貪狼、禄存の伐刀者と対等もしくはそれ以上の実力の伐刀者を輩出していた。
十年前、『北家四兄弟』と呼ばれたとある4兄弟の伐刀者と5つの名門『南家五面』と呼ばれた5人の伐刀者によってこの学園は様々な武勇伝を作り上げ名を轟かせた。
各々が競い、高みへと目指し、七星剣舞祭では常勝不敗。彼らがいる限り、七星剣舞祭は死兆学園のオンステージだった。しかし、死兆学園が輝いたの期間は短かった。
彼らが卒業し、この学園を去った途端に死兆学園は堕落への道を辿った。それは彼らが強すぎたというのも原因であった。七星剣舞祭では毎年最下位の成績を残して最弱の学園へと堕ち、更には七星剣舞祭にも出場できなくなるという事例もあった。
原因はその卒業していった彼らにあった。『北家四兄弟』と『南家五面』とは何度も衝突があり、中には勝手にルールを作ったりして学園内の派閥争いが起き学園内は大荒れ、そんな滅茶苦茶な彼らに影響され騎士としての道を外す者が出てきたりして学園内の風紀が乱れ、時はまさに世紀末と化していた。
そんな死兆学園の暴動に見兼ねて魔法騎士連盟からお叱りを受け数年間の出場停止を罰せられた。そしてその罰も解かれても尚、七星剣舞祭に出場できる伐刀者を輩出することができない日々が続き、そして廃校寸前へと至る。
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そんな崖っぷちの学園に私は入学してしまった。今も尚、どうしてこうなったと脳内で悲しみの向こうへを歌いながら死んだ魚のような眼で遠くを見つめている。
私は今この学園に入学する新入生、在校生である2,3年生の生徒達と共にこのだだっ広い学園ホールで行われている入学式に出ている。
私と同じような体格をしている女子生徒や、至って普通な体格をしている男子、そしてお前絶対高校生じゃないだろとツッコミを入れたい筋肉質な体格をしているもの等々、今年の新入生は上級生達の数より多い。まあ、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たると受験生の正面で爆弾発言した教員がいたから仕方ない。
北斗七星の下で蒼く輝く星、死兆星をエンブレムとした大きな校旗をバックに飾っているステージの演説台では最終面接にいた紺色のスーツを着た白髪のちょび髭のおっさんが台に上がっていた。
「え゛ー…う゛おっほん‼えっふん‼あっふん‼」
「校長、滑ってます」
マイクで喋る前にわざと咳き込んでいる校長の後ろで3m以上もありそうな体格をしている大男がボソッとツッコミを入れていた。それを聞いた校長はちょっと拗ねたのか面倒臭そうな面をしてマイクを握った。
「えー…新入生の皆さん入学おめでとう。この私が、死兆学園の理事長兼校長兼魔法省のお偉いさん、海野リハクである!」
理事長なのか校長なのかお偉いさんなのかはっきりしない海野リハクはしてやったりと満足気な笑みを見せる。私含め学園の全生徒が白々しい目で見ているのだが、リハク校長は目が節穴なのか気にしていないまま話を続けた。
「今年は私の想像以上の生徒が入学してきたことには正直おっかなびっくりだけど…先に行っておこう。わが校は廃校寸前だ。多分下手したら今年で廃校になってしまうだろう‥‥」
これまでずっと過去の栄光に縋り甘え続けていたツケだ。こればかりは弁解しようがない。だからこそ腑に落ちないところがある。何故今年の死兆学園にこれだけの数の生徒が入学してきたのだろうか。確かにこの学園は実戦選抜を行っていると聞くが、それならば破軍や武曲、貪狼といった名門に行けばいいはず。廃校寸前のこの学園に何のメリットも無い。
「魔法騎士連盟から、もし今年の七星剣舞祭に出場でき、好成績を残すことができればこの学園は存続できるとお告げがきた。だが、今のこの死兆星に他の学園と肩を並べることができるだろうか…答えは否!今も尚風紀が荒れている学園にできるはずがない‼」
確かにジープだったりバイクだったりで暴走したり、いつの時代だよとツッコミを入れたいトゲトゲしい肩パッドをつけた悪党みたいなモヒカンヘッドの男達もいたりする。どんな学園だよ。
「だからこそ‥‥私はある事を約束して世界中にいる強者を目指す伐刀者達を呼び集めた‼」
リハク校長はシーンと静寂のホール内にいる生徒達を見回し、息を大きく吸った。
「七星剣舞祭で見事優勝した者には願いを叶えてあげよう‼」
は?
それを聞いた私は口をあんぐりと開けて目を丸くして驚愕した。勿論、私だけじゃなくこのことを知らない生徒達の間でざわざわとざわめきだした。
「おいおい‥‥マジかよ‥‥!?」
「嘘…願いを叶えてくれるの!?」
「それって本当か…!?」
「ん?今願いを叶えるって言ったのか…?」
生徒達は驚きと喜びを隠せないままホール中をざわざわと騒ぎ立てる。生徒達の反応を見て満足しているのかニヤリと笑っているリハク校長は一度咳払いして静かにさせる。
「勿論、これは釣りでもなく嘘でもない。今現在、君達が欲しいと思っている物。地位や名声、金は勿論。今各々が抱えている熱い情熱を動かす原動力となっている本当に望んでいる事さえも、全て叶えてあげよう!」
本当に願いを叶えてくれるのだろうか、かなりの眉唾物だがリハク校長は絶対的な自信に満ち溢れている。私と同じようにそれでも疑いの眼差しをしている生徒もいることに気付いたリハク校長はニヤリと笑う。
「その証拠に今年、私は国際魔導騎士連盟日本支部の副支部長に就任し、更には倫理委員会、サザンクロスといったコネもある!」
それ言っても大丈夫なのかと、明らかにアウトだろと内心ツッコミを入れた。確かにサザンクロスはこの死兆学園の卒業生である『南家五面』の一人が経営し、七星剣舞祭のスポンサーでもある超大企業。それなりの影響力もある。
「そしてわが校は実戦選抜で実力があるのならば誰でも学園トップへと登り詰めることができる‼そして優勝したら願いが叶う‼優勝できなくても好成績だったら学校が存続して来年にチャレンジできる!新たな挑戦を受ける新入生も、腕を磨き続けてきた在校生達も誰もがこの舞台に立つことができる‼」
誰もがこの舞台に立つことができると聞いた私は、少し心打たれた。才能ばかりで全てが決まるわけじゃない。地に這いつくばってでも、血反吐を吐きながらも努力し続けいけばチャンスを掴み、登り詰めることができる。誰もがその高みへと行ける証明を欲しい。私は極めたい‥‥いつの間にか拳を強く握っていて手汗が出ていた。
「そう‼これは自分というものを見せることのできる最大のチャンス‼望みが欲しいのなら、戦い、極めていくのだ‼」
リハク校長の熱演に影響されたのか生徒達は声を高々に上げだす。
「金が欲しいか‼名声が欲しいか‼」
「「「「「おおおおおおっ‼」」」」」」
「屈辱を晴らしたいか‼誰かを見返してやりたいか‼」
「「「「「おおおおおっ‼」」」」」」
「私はナイスバディのお姫様系の美少女とイチャコラしたい‼」
「「「「「‥‥…」」」」」」」
先程まで盛り上がっていたホール内が急に冷めて嘘のように静まり返った。冷たい視線を集中砲火されているリハク校長は少し拗ねた様な面をしてポケットから煙草を取り出す。
「校長、ここは禁煙です」
またしても3mほどの身長があるだろう体格のでかい大男にこっそりとツッコミを入れられ、リハク校長は咳払いをした。
「おっほん‥‥じょ、ジョークだ。その代り!死兆学園の代表生となるため、それなりの実力を見せてもらう。最初に学年別で試合を行い、勝ち上がった者同士で戦い、最終的に勝ち続けた6名を代表生とする!」
再び熱弁しだすリハク校長は演説台をバンと叩いてドヤ顔をする。
「戦わなければ生き残れない‼」
「校長、一生懸命に考えたと思いますがそれ滑ってます」
「うっさいバーカ!」
再び身長が3mほどあるだろう体格のでかい教員にこっそりと言われ、ついにリハク校長は拗ねてしまった。本当にこの人が校長で大丈夫なのだろうか、この学園で本当にやっていけるのだろうかと不安になってきた。
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ようやく入学式が終わり、クラス分けが行われた。私は1年3組に配属される。今日は入学式で終わり、学校は明日からだそうだ。
この学園の生徒は寮に住むことになっており、二人若しくは四人で共にする。まだ肌寒くても桜が満開に咲いている通学路を大きなキャリーケースを引きながら歩き、寮へ向かった。
「はあ‥‥本当にここでやっていけるのかしら…」
私は大きくため息をついた。本当だったら破軍学園に入学して、一輝と再会を果たすはずだったのに。そう憂いていた私はふと気づく。
――再会して、その後はどうするのか。
勝負を挑むのか?それとも仲良くなるか?一緒に鍛えていくか?というよりも、彼は私の事を覚えているのだろうか。私なんか眼中にないかもしれない。今まで蔑ろにしてきたことから拒んでくるのかもしれない。というか、今の私に――彼と並ぶ、そんな実力があるのだろうか
「‥‥いいえ。今はそんなネガティブな事を考えている場合じゃないわ」
今はそれどころじゃない。私は首を横に振って、不安を投げ捨てる。今はこのいかれた学園で勝ち続けなければならない。そうすればきっと叶うはずだ‥‥
気が付けば目的地である学生寮へと到着していた。自分の名前が書かれた表札とカードキーを確認する。私の部屋は3階の5号室。階段を上って目的の部屋へと足を進めていく。閉まっているドアをカードキーでロック解除してドアを開ける。玄関には靴もなく、清掃員が綺麗にしてくれたのだろう、真新しい部屋の匂いがした。
リビングへと進み辺りを見回す。部屋の広さと二段ベッドからして二人部屋となっているが、一緒に住むであろう同級生の姿は見当たらない。道に迷っているか、それとも明日に来るのだろうかと考えながらキャリーケースを開けて荷物の整理をした。
「いよいよ‥‥始まるのね」
高鳴る胸と緊張して震える体。不安と希望を抱きながら肌着をしまおうと押し入れを開けた。
「‥‥いやー、どんな子が来るかなと思ったら…鈍色ロングヘヤーのミニスカガール。スッキュッボンッってのが残念だぜ。まあ下着は白ならまあ良し、か」
「」
押し入れを開けたら、そこにはダークグリーンの髪をした自分より体格も大きく身長もある、機嫌の悪い野良猫の様な目つきをした男子生徒がどこぞの未来から来た青狸のように押し入れで寛いでいた。私はポカンとして動けないでいたが、その男子は私の持っている肌着と私を交互と見つめる。
「うーむ‥‥77、58、77‼」
「ぎゃあああああああっ‼」
出会って数秒で私のスリーサイズを見抜いたこいつの顔面に恐怖と怒りの鉄拳を叩き込んだ。恐らく私の悲鳴は寮全体に響いただろう‥‥最悪のスタートである。
ここで男主人公の登場…どんなキャラにしていくか、絶賛迷い中(オイ
とりあえずフリーダムにしていこうと思います…