壊☆死兆学園   作:サバ缶みそ味

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 バトル系学園モノって意外と難しいですね…(白目
 ゴリゴリでやっていきます…


3. 正気でいられない(マジで

「ほんっっっとサイテー」

 

 私は今日の夕飯であるレトルトカレーを食べながら私の隣でなんも詫びもなくレトルトカレーを食べている男を睨む。

 

「ジョークだよジョーク。同じルームメイトなんだからさ、多少の無礼講は目を瞑ってくれや」

「ジョークでも程があるわよ!」

 

 本当に冗談ではない。まさかのルームメイトが男でしかも出会い頭に人のスリーサイズを言ってくる変態とは。一体何をしでかしてくるかたまったもんじゃない。

 

「大丈夫だって、この学園は不純異性交遊とかいけないからやりはしねえよ‥‥ん?ちょっと待てよ。バレなきゃいいかもしれん‼」

「せいっ‼」

 

 いきなりとんでもない事を思いついたこの変態が実行する前に目潰しで先制。情けない声を上げてのた打ち回る男を私は彼から半径3mぐらい離れてジト目で睨む。

 

「明日にでもすぐに部屋を変えてもらうよう訴えてやろうかしら…」

「だーからそんな疚しいことはしねえって!もう少し胸があったら考えてたけど…」

「うっさい‼いちいち人のコンプレックスを抉って来るな!」

 

 早く明日が来ないか、寧ろ早く来てくれ。入学早々、こんなにも早くこの学園を去りたいと願ったことは無い。自分の貞操の危機を感じている私を察したのか男はため息をついて頭を掻く。

 

「わかったわかった。悪かった。追い出されたら困るしな」

「ホントかしら…変な事したら即追い出すわよ!」

「はいはい、わかったからそう睨むなって。頭でっかちだなぁ…だからお胸がないんじゃねえの?」

「やかましいわ‼今度胸のこと言ったらただじゃおかないわよ!?」

 

 本当に人が気にしている所を容赦なく言ってくる奴だと私はヒステリックになってプンスカと怒っていると、彼は反省してないのかニシシと笑う。

 

「いやー、マジで弄り甲斐があるなあんた。名前は?」

「貴方こそマジでむかつく奴ね‥‥黒鉄朱音よ。ふつう、先に名乗ってから名前を聞くのが礼儀じゃないの?」

「真面目だなぁ。こんなん相手を挑発する手だし、テンプレだし、そんなん気にしてたら面白ないぞ?」

 

 …変わった奴だ。私はカチンと来たがすぐに怒ればこいつの思うつぼだということで怒りを抑え、ふんと鼻で笑って一蹴させる。彼はまいいやと呟いて再びニシシと笑った。

 

「俺は飛騨鷹人(ひだたかと)ってんだ。3年間、よろしくな」

「…よろしく。くれぐれも気を付けてくださいね、鷹人さん?」

 

 私は警戒しながら拳を出してこつんと合わせる。こんな奴とはなれ合うつもりはない。今やる事はただ一つ、この学園で勝ち続け七星剣舞祭へ出る事だけだ。

 

「あ、風呂とかどうする?先に俺が入ると嫌そうだし、朱音が先だと俺が何かしてくるって警戒するだろうし…一緒に入るか?」

「入るか!?」

 

 私はこいつの顎に思い切りアッパーカットをお見舞いした。これだけはハッキリした。こいつには絶対に負けたくない。

 

___

 

 夜明けと共に目を覚ました私はむくりと起き上がる。昨日は本当に最悪だった。風呂は問題なかったが、いざ寝るとなると寝込みを襲ってくるんじゃないかとずっと警戒してなかなか眠れなかった。寝不足気味に欠伸をしてあいつが寝ている押し入れの方に視線を向ける。熟睡しているようで、襖越しから寝息が聞こえてくる。

 

 こっちの気も知らないで、呑気な奴だとため息をつく。だけどそんなに構う気は一切ない。私は寝間着を脱いで運動しやすい服装に着替え、冷蔵庫に入れておいたスポーツドリンクを取り出し、タオルと一緒にナップサックに入れていざ朝の鍛錬へ。

 

 走るたびに長い髪を後ろに結ったポニーテールが揺れる。毎朝、20㎞ほどの緩急をつけたランニングをし、筋トレを行う。一息ついて顔と体に流れている汗をタオルで拭いてスポーツドリンクを飲む。

 

「‥‥」

 

 この後はいつものように伐刀して特訓をするのだが、今も尚ぐっすりと熟睡しているであろう鷹人が気になって集中できない。私が出かけている間に人の下着を物色しているのではないだろうか、今の汗ばんだスポーツウェアの姿を見たら絶対いやらしい目で見てくるに違いない。

 

「…って、何を考えているのよ私は…‼」

 

 首を横に振って邪念を捨てる。これでは朝の特訓にもならない。集中するために私は再び走り込む。いちいち考えるな、黒鉄朱音。今はこの学園で戦い抜くことを考えるのだ。

 

 どれくらい走っただろうか。気が付けば寮の前、一点集中して往復して走ったのだろう。とりあえず私は集中できなかったと反省の意を込めた溜息をついて自分の部屋へと帰る。

 

 願わくばあの変態は寝たまんまであって欲しい。ただ只管願ってドアを開ける。部屋から焦げた臭いが漂っている。もしやと私は嫌な予感をしながらリビングへと足を進める。

 

「むー…うまくいかねえもんだな」

「‥‥あんた、何やってんの?」

 

 そこには可愛らしいひよこの絵が描かれたエプロンを身に着けた鷹人が苦笑いをしていた。彼の視線の先には皿にのせた焦げ焦げでベチャベチャの正方形の何かがあった。すぐ近くには荒々しく千切ったレタスをドカ盛りにしたサラダがあるので恐らく彼は朝食を作ろうとしていたのだろう。

 

「お?おかえりー。うむ…スパッツはそそりますなぁ!」

「うっさい。というかこの焦げた物体は何よ?」

「うん?フレンチトーストだけど?」

 

 お前は何を言っているんだという面で見つめてくる。どう見ても焦げた物体Xです、ありがとうございました。いかにも男のキッチンと言わんばかりの荒々しい料理だ。けれども一応人数分作ってくれたのは良しとしよう。

 

「かっこつけないで普通にトーストにしときなさいよ…朝御飯はちゃんと食べるから、シャワー浴びてくるから覗いてこないでよ?」

「はいはい、分かってるっての。あ、とりま風呂掃除と洗濯物はやっといたから」

 

 生活感あるのかないのかはっきりしない奴だ。けれども自分できますよオーラを出しているのはどういう事だろうか‥‥ん?ちょっと待て。さっきあいつは何て言った?

 

「…ねえ、さっき洗濯物はやったって言った?」

「あ?そうだけど?ちゃんと柔軟剤と洗剤を入れたし、しっかりと干して‥‥あっ」

 

 私の言っている意味を理解したのか鷹人はわざと私と目を合わさないように視線をそらした。私は笑顔でコキコキと手の骨を鳴らしながら近づく。

 

「み、見てねえし‼ぜ、ぜーんぜん見てねえし‼」

「へー…それならいいんだけど。で、正直なところの感想は?」

「いい香りがするんだから白いヒラヒラよりももっと大胆に黒のオトナチックなのがいいと思いま‥‥あっ」

「見てるし嗅いでるじゃねえかぁぁぁっ‼」

 

 私は助走をつけてドロップキックをお見舞いした。本当に此奴出て行ってくれないだろうか…

 

__

 

「なー、悪かったって。そろそろ機嫌を直してくれよぉ」

 

 絶対に反省してないような笑みを見せながらしつこく言ってくる鷹人を無視して一階の渡り廊下を歩きながら教室へ向かう。

 

「よし、じゃあこうしよう!ずっと俺ばっか見てたっていうのも不平等だし…俺の下着みる?」

「誰が見るか!?」

「えー、ヒフティ・ヒフティだと思ったんだがなぁ」

 

 どこが平等だというのか、そして誰得だというのか。全くもっていち早く追い出してやりたい。今日の放課後にでも理事長室へ行って訴えてやろうかと考えていると目的地である1年3組の教室へと着いた。教室は大学の講堂のように広く、長い机がずらりと並ぶ。清潔に見えるかと思えば教室の壁の至る所に落書きやら如何にも壊ちゃいましたと言わんばかりの修理した跡があったりした。そしてもう既にグループを作って談笑している者、ただ寡黙に椅子に座ってじっとしている者、この教室にいる生徒全員が伐刀者だ。

 

「おいおい、そんなに睨んでやるなって。友達百人できないぞ?」

 

 ボフンと鷹人は私の頭に手を乗せてわしゃわしゃと撫でてくる。余計なお世話だと私はその手を払ってジト目で睨む。

 

「あらぁ?誰かと思えば腰抜けの朱音さんじゃなくて?」

 

 よくあるどこかの高飛車なお嬢様らしいねっとりとした声を聞いて私は更に面倒が増えたと眉間にしわを寄せて声のした方へ視線を向ける。同じ死兆学園の白と黒の制服を着た、淡い水色のドリルツインテのお嬢様系な女子生徒が取り巻きであろう女子生徒達と共に私をあざ笑う。

 

「…そちらこそお久しぶりですね、林崎美利さん」

 

 私はかつてある道場で一緒にいた門下生だった彼女に作り笑いで返す。こういうのはあまり相手にしない事に限る。適当に返して適当にあしらっておこう。

 

「‥‥驚きました。林崎さんもこの学園に入学していたのですね」

「それはそっくりそのまま返しますわ。道場で私達に惨敗してたった一週間で出て行った腰抜けの貴女がまさか入学していたことが驚きですわ」

 

「ただその道場が合わなかっただけじゃね?」

 

横やりを入れるように鷹人が割って入って尋ねるが美利さんはオホホホとほんとお嬢様系テンプレの如く笑う。

 

「ご存じなくて?黒鉄朱音さんは道場を転々としているようななのですが、どこも組手で全員に負けてすぐに道場を去っていくのですわ。黒鉄家の者のくせに腰抜けなんて恥ですわねぇ…ああ、分家だからなのかしら?」

「勝つことばかりだけではなく、敗れることにも意味があるわ‥‥それに、貴女こそこの廃校寸前の学園に来るなんて本当に腕に自信があるのですかねぇ?こういった取り巻きを作る事しかできないからここに流れ着いたのでは?」

 

 黒鉄家とかお家の事を言われてカチンときた私は目だけは笑わずににこやかに毒づく。美利さんもその周りの取り巻きの女の子達もジロリと睨んできた。私と美利さんはジリジリとお互いゆっくりと近づいてガンを飛ばし合う。いつでも伐刀できるように殺気を高めていく。

 

 

 

 

「まあまあ、折角のクラスメイトでござらんか。始まって早々、喧嘩はよくないでござるよ?」

 

 

 

 ふと水を差すような声が下から聞こえてきた。私と美利さんは声のする真下を見下ろす。

 

 

 

「いやはや、女の喧嘩というのはコワイでござるなぁー」

 

 真下には西洋騎士の兜をかぶって顔を隠している男子生徒が寝転がってこちらを見ていた。

 

 

「「きゃあああああああっ!?」」

 

 私と美利さんは悲鳴を上げて思い切ってそいつを踏みつける。兜をつけた生徒は起き上がってひらりと躱す。

 

「ほらほら、仲良くするのがいいでござるよ。あと眼福でございました」

 

「ちょっと貴方!?どういうつもりなのかしら!?」

 

 美利さんは睨みながら兜をつけた生徒へと憤慨する。どうして私が出会う男子生徒は変態しかいないのだろうか…。兜をつけた生徒は何の悪気もなくにこやかに笑う。

 

「申してあるではないか。ここでの喧嘩はよくないでござるよ?」

 

「おいおい、そいいうのは女の子にするもんじゃねえぞ?」

 

 鷹人が兜をつけた生徒にポンと肩を叩く。おい、あんたは人のこと言えないだろ。

 

「‥‥で、どうだった?」

「あそこのお嬢様系の彼女は年相応のくせにクマさんの絵が。それであちらの御仁は黒のタイツに白…そそるでゴザルなぁ」

「同志よ。でかした!」

 

 鷹人とそいつはゲスな笑い声をあげながらハイタッチをする。本当に変態しかいないのかここは。美利さんは今日のはクマさんの絵があることを看破されて顔真っ赤。クラスの全員が注目してしまっているから恥をかいたのは当然だろう。

 

「あなっ…あな…貴方という人は…‼」

「そうだ、申し遅れたでござるよ。拙者の名は宍戸梅軒と申すでござる」

 

 宍戸梅軒…それを聞いた私はジト目で睨む。かの剣豪、宮本武蔵と戦ったとされる鎖鎌の使い手と同じ名前だが、間違いなくそれは偽名だろう。もしくは彼の固有霊装は鎖鎌かもしれない。しかし名前を名乗っても美利さんは顔を真っ赤にして話を聞いている状況ではなかった。取り巻き達も必死に美利さんを宥めさせているようだが下手したら伐刀して襲い掛かってくるかもしれない。周りの生徒達も盛り上がっているし誰一人として止めようとしない。

 

「こらーっ‼もうチャイムは鳴っているぞ‼席に着けーっ!」

 

 鶴の一声か空気を読めない一声か、教室に入学式にいた青い地味そうな教員が怒鳴りながら入ってきた。場も白けたようで生徒達は渋々と席に着く。美利さんも落ち着いたようで私達を睨みつて踵を返した。

 

「ふん…まあせいぜい腰抜けらしくいなさいな」

「そちらこそ、もし試合でお会いする時はよろしくお願いしますね」

 

「いやー…お嬢様系ってどうしてこう気が短いイメージなお方が多いのかねぇ」

「プライドが高いのでござるよ。メインヒロインだったらツンデレキャラにジョブチェンジでござる」

 

 ほんとこの変態共は‥‥!私はこいつらにゲンコツを入れてやろうか拳を震わすが一応耐えた。

 

「それではお二方、ご無事でござったらまたお会いしましょう」

 

 梅軒は手を振って一番後ろの席へと向かって行った。というよりも、『ご無事でござったら』とはどういう事?

放課後に怒り狂った美利さんから逃れることかしら?そんな意味深な言葉に疑問を持っていた私に察したのか鷹人は不思議そうに私を見つめた。

 

「朱音、お前この学園の年間行事を確認しなかったのか?」

 

 …年間行事?正直私は試合に出る事だけを考えてこの学園の年間行事とか全く興味がなかった。知ったとしてもどうでもいい。私は鷹人の言葉を無視して席に着く。

 

 ようやくホームルームが始まり、青い地味そうな教員は学園の事を説明しだす。ちなみに青い地味そうな教員の名前は風間・ヒューイというそうだ。なんだか芸能人みたいだがひたすら腕に描かれている青い星のタトゥーをアピールしてくる。あと学園のルールとか、ヒューイ先生の自慢話とかあったが正直本当にどうでもいい。

 

「…と、いう訳で学園の代表選抜試合は来週の月曜日から開始する!試合の日程や相手は前日に各自の生徒手帳に送信するから要チェックするように‼」

 

 どれくらい時間が経ったか、私は明日の特訓のメニューやこの変態をどうしてやろうか考えながら教師の話には耳を傾けずにいた。ようやく終わりの雰囲気が見えているようだ。今日はこの一時間しか授業はやらないようで、終わったら直ぐにでも理事長に直談判か、自主練でもしておこう。

 

「ふむ…少し早いがこれで授業を終了する。というわけで、これから行う新入生オリエンテーションの説明をするぞ」

 

 はい?私は思わず目を見開いてしまった。そんなのがあったの?全くもって面倒だ…これも聞き流しておこうか…

 

 

「新入生オリエンテーションの内容は‥‥はいこちら‼『クラス内バトルロワイアル』!」

 

 ヒューイ先生の後ろにあるスクリーンにデカデカと『☆クラス内バトルロワイアル☆』という文字が出て、ヒューイ先生だけが盛り上がっていた。私は驚きの連続でずっと目を見開いて言葉が出なかった。

 

「これまでは無人島サバイバルだったり、24時間マラソンいたって普通だったが…今年は新入生が多いため、普通に代表選抜してたら七星剣舞祭に間に合わない!と、いう訳でクラス内でも選抜を行うことにした」

 

 どれも至って普通ではないとツッコミを入れたいがそれどころではない。要はリハク校長のトンデモ発言でこんなにも集まってしまった生徒を篩にかけ、より実力のある者だけを代表選抜に出すつもりだろう。

 

「新入生はこのオリエンテーションで勝ち抜いた者だけ代表選抜に出場できる。詳しいルールについては現地で説明する。今夜19時にヘルメット助教授の像へ集合すること!」

 

「‥‥鷹人、貴方これ知ってたの?」

「ウン知ってた」

 

 鷹人はにこやかに即答した。私はどうしてこうなったと頭を抱える。本当になんでこんな学園に入ってしまったのだろうか…




 お嬢様系のキャラって主人公の最初の敵になるイメージが多い…金髪だったりツインテールだったりドリルだったりするとより一層。


 だがそれがいい
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