壊☆死兆学園   作:サバ缶みそ味

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 欲望だだっもれ(オイ
 黒タイツ派です…ハイ…


4. 腐敗と自由と暴力の真っただ中 ①

「冗談じゃないわ…!なんでこんな変なイベントをしなきゃいけないの!」

 

 放課後、私は寮の帰り道を歩きながら憤慨する。この学園の年間行事を確認していなかった自分にも非があるが、熾烈な代表選抜の試合の合間にそんなイベントを考える学園側の考えに憤りを感じている。そしてそんな私を後ろからニヤニヤしながらおちょくる鷹人にも苛立ちを感じている。

 

「ほらほら、そんなにしわを寄せてたらしわくちゃおばちゃんになっちまうぜ?」

「うるさいわね…!いきなりこんな事をやるなんて…知ってたら即やめてたわよ」

「嫌ならやめてもいいんじゃよ?」

 

 そのニヤニヤ顔が物凄くむかついたので私は思い切ってアッパーカットをお見舞いする。バトルロワイアルが始まったら即こいつからぶちのめしてやろうかしら…

 

「話によるとクラス内バトルロワイアルはリハク校長の思い付きみたいでござるよー」

 

 いらついている私の横からぬっと出てくるように西洋騎士の兜を被った生徒、宍戸梅軒が耳元で囁いた。気配もなくいきなり現れて私の耳元で声を掛けてくるものだから物凄く情けない声を上げて驚いてしまった。

 

「ちょ、ちょっと‼急に現れてこないでよ!驚くじゃないの‼」

 

「いやはー、面目ないでござるよー」

 

 へつらいの気持ちを込めた笑い声で謝るが絶対に反省していないだろう。いくら相手にしてもキリがないので私は率直にさっき言った事を確認する。

 

「で、あの校長の思い付きってどういうことよ?」

「どうやらラノベとか漫画を読んで、『あっ、これいいかも!』的なノリで思いついてこのクラス内バトルロワイアルを決行した‥‥とツイッターで自慢してたでござる」

「子供か!?」

 

 本当にこの学園の理事長はあんなので大丈夫なのだろうか。私の精神に不安と憤りがますますのしかかってくる。嗚呼、いち早くこの学園を去りたくなってきたわ…

 

「それで?梅軒さんは、私達を狙う宣言でもしてきたのかしら?」

「滅相もござらん。拙者はお友達は大事にする主義の故、そのような下衆なことはしないでござるよ」

 

 友達…この学園にそんな友情ごっこが通じるのかしら。それに彼のいう事も疑わしい。疑いの眼差しで睨む私をよそに鷹人はにこやかに梅軒へと近づく。

 

「そんなに疑ってやるなって。こいつは俺達に手を出さない、それは俺が保証するぜ」

「どうしたらそんな保証があるのかしら?あって間もない赤の他人のくせに」

「それはすぐに分かるさ‥‥なんたって俺達は」

 

「「タイツ好きだからさ!」」

「この変態共が…」

 

 ドヤッと握手をしてこちらを見てくる鷹人と梅軒。正直うざいしそんな嗜好で仲良くするなとこの変態共に制裁を入れてやりたい。

 

「ではでは、拙者はこれにてドロンいたす。朱音殿、今夜が最後の晩餐にならぬよう願ってるでござるよー」

 

 梅軒はニンジャみたいに手で印を結んで去ろうとする。お前は何処のサラリーマンだ。鬱陶しいそうにしている私の気を知らないで梅軒は呑気に手を振って去っていった。ひとまず面倒くさいのが去ったので私は一息つく。

 

「ったく、なにが最後の晩餐よ…勝手に人を殺すなっての」

「ねえねえ!その最後の晩餐は野菜炒めでいい?」

「あんたはすぐにのるな!」

 

 ノリノリで悪乗りする鷹人に私はうんざりする。決めた、こいつがまた私に変な事をしようとしたらバトルロワイアル開始直後にまっさきにこいつから狙おう。

 

___

 

 死兆学園というのは廃校寸前の学園の癖に土地が広い。魔導騎士制度のある学園のなかで恐らく一番だろう。北家四兄弟と南家五面がそれぞれの領地と称して縄張りを取ったのが原因だが、そのおかげで鍛錬には持って来いの場所が多いという。

 

 その一つが四兄弟の三男もといヘルメット助教授の銅像があるグランドのフェンスの先の森林、通称『やさぐれの森』。長男と次男にひたすら無視された三男がやさぐれて只管森の中にこもったことが由来、らしい。この森の奥でやさぐれた三男が家を建てたとかないとか。この森の広さ故、学生にとっては良き修行場になっているようだ。

 

「うひょー、やっぱ結構の数がいるなぁ」

「ギリギリ間に合った…出掛ける3分前にトイレに駆け込まないでよ」

 

 19時のグラウンドには新入生がわんさかと集まっていた。言われてみれば確かに1年生の数は多い。これだけの人数でちまちまと代表選抜の試合をやっていると間に合わないだろう。

 

「時間通りに全員集まったか…今年の新入生はまとものようだな。遅れた者は処罰するつもりだったが杞憂であったか」

「も~、委員長は厳しすぎるんですよぉ~。まだ入りたてなんですから大目に見るべきですよぉ」

 

 私達含め新入生達は一斉に厳しい事を言ってる声とどこかふんわりとした声の方へと振り返る。そこにはどこかの軍人のような黒と白の制服を着て、眼鏡をかけているが目つきの悪い真面目そうな男子生徒とほんとうにふんわりとした雰囲気が漂う銀髪の女子生徒がいた。

 

「全員注目‼これよりクラス内バトルロワイアルについて説明をする。ルールは一度しか言わない。心して聞くように!私はこの新入生オリエンテーションの指揮を任された、3年2組、風紀委員長の敦賀宗介だ」

 

 風紀委員。それを聞いた私はその風紀委員長を警戒した。言っての通り、この学園は3つの派閥に分かれて争いが起きている。ひとつはこの学園の手腕ともいえる生徒会執行部、次に風紀委員や体育委員、保健委員などが集まってできた委員連合、そしてこの学園の風紀を乱すと言われているヒャッハーな連中こと無法者集団である。その委員連合の一人、風紀委員長である敦賀という男は死兆学園序列2位の実力を持つB級ランクの騎士だ。

 

「はーい♪そして風紀委員の副委員長を務めます、オフィーリア・エルトライトです。あと処女です」

 

 まさかの突然の処女宣言に私を含めほとんど生徒がこけそうになったり驚いて思わず吹いてしまったりした。勿論、彼女の隣にいる風紀委員長も頭を抱えて呆れているようだ。

 

「…オフィーリア。いちいちそのような発言はしなくていい」

「?そうですか?私は処女ですのでいたって普通だと思うのですが?」

 

 自分を処女だという輩のどこが普通だというのか。というかそんなのでよく風紀委員になれたな。

 

「さて、少し脱線してしまったがこのオリエンテーションのルールを説明する。時間内にこの森の奥にあるやさぐれの本堂に辿り着けば合格、ただそれだけだ」

 

 物凄く簡潔にルールを説明する風紀委員長に一年生達はざわざわと動揺する。そんな簡単でいいのか、それではバトルロワイアルの意味がないのではと次々に呟く声が聞こえてきた。

 

「‥‥だが、制限時間は3時間。そして先着は各クラスで6名のみとする。時間内に辿り着けなかった者、6人目以降の者は今年の代表選抜は出れないと知れ」

 

 冷酷に告げた風紀委員長の言葉に更にざわめきだす。今年は6クラスあるので計36名のみしか合格できない。更には本堂は森の奥地にあるとされ全速力で駆けて行かないと間に合わない。

 

「そ、そんなのって理不尽じゃないか!代表生になって七星剣舞祭に優勝すれば願いを叶えてくれるっていったくせに‼」

「そうよ‼入っていきなりこんな意味わからないことやって不合格者にはこの一年、代表選抜に出れないとか詐欺じゃないの!」

 

 生徒の一人が文句を言うと連鎖するように生徒達が次々に文句を言い出す。喧しく響く罵声や苦情に敦賀宗介は一切動揺せず、寧ろゴミを見るような目つきで睨み返す。

 

「確かにアホの校長はそんな事を言った。だが、それを実現するためにはそれ相応実力を持たなければならん。だからこそゴミとできる者を餞別するのだ。ここで敗れるのならただ実力がなかっただけ、次の機会に向けて磨けばいい。それができなければただのゴミだ」

 

「ふ‥‥ふざけるなぁぁぁっ‼」

 

 一人の男子生徒が刀型の固有霊装を伐刀したことを皮切りに何人かの生徒が伐刀して敦賀宗介へと駆けだしていった。

 

「委員長の悪い癖ですねー。人の機嫌を逆撫でするのは。ですが処女の私は一切動じません」

「悪い癖だとは自負している…だが、この程度で憤慨するとは、実力が知れるな」

 

 敦賀宗介はため息をついて襲い掛かってくる生徒達を養豚場の豚を見るような眼差しで見つめる。挑発に動かなかった生徒も私もあの静かに放っている殺気を見れば嫌でもわかる。あの男は半端なく強い。

 

「私に挑んで勝つというのなら、認めよう。ここで私が敗れのなら私に実力がなかった、ただそれだけだ‥‥だができればの話だがな」

 

 敦賀宗介はそう告げると静かに手をかざす。

 

「——裁け、断罪の冥槍(ロンギヌス・カース)

 

 敦賀宗介の片手には十字架に貼り付けにされた白い翼の天使を模した柄の短い斧槍が握られていた。ふらりと前倒れの態勢なった瞬間、一気に駆けだし襲いかかる生徒達を縫うように通り過ぎた。斧槍をぶんと振り下ろしたと同時にバタバタと敦賀宗介に襲い掛かっていた生徒達が次々に倒れていった。

 

「ふん、何事も実力があれば認められると思うな。認められたければ己が手で勝ち取るがいい」

 

 肉体的損傷をあたえる『実態形態者』とは違って、肉体的損傷を与えず精神にのみダメージを与える『幻想形態』とはいえ、敦賀宗介の剣捌きは速すぎる。圧倒的な実力差を見せられ文句を言っていた生徒達は冷や汗をかいて沈黙した。

 

「さて確認するが3時間以内に36名の生徒がたどり着かなければ意味がないのだが、この大人数では辿り着くもままないだろう…意味が分かるな?」

 

 鋭く冷たい視線に私もごくりと生唾を飲む。この人数ではごった返してどこぞのマラソン大会みたいにただだらだらと走るようなことになるだろう。選ばれた者のみだけがたどり着くにはやはり‥‥

 

「察しの通り、戦って潰し合わなければたどり着かん。使用する霊装は幻想形態のみ。だが個人で戦うのもよし、集団で狩るのもよし、その辺りは各自で考えてやるがいい」

 

 たった一人でひたすら走っても、誰かと組んでライバルを倒しても、グループを作って集団で戦ってもよしの細かいルールは一切無用の正真正銘のバトルロワイアルだ。もうすでに代表選抜は始まっているということである。

 

「以上で説明は終わりだ。合図は出さん、さっさと目的地へと駆けろ。それが嫌なら私達に挑み勝てばいい」

 

 ぶっきらぼうに説明が終わり、新入生オリエンテーションが開始される。そんな雑でいいのか風紀委員。と、私が内心ツッコミを入れている間にフェンスを乗り越えて駆け出す者もいれば、伐刀して風紀委員長と副委員長へ襲い掛かろうとする者がいた。

 

「‥‥なかなかさっさと動かない者が多いな。オフィーリア、喝を入れてやれ」

「はーい♪処女的には初めからこれをした方がいいと思ってました——捧げよ、機械仕掛けの天罰(ウルスラ)

 

 光と天使の羽根が舞い上がり、オフィーリアの片手に大きな天使の翼を模した機械仕掛けの弓が発現される。オフィーリアはにこにこしながらその弓を空の方へと向けた。

 

「おい、朱音。そんなとこで突っ立ってないで急ぐぞ」

「ちょ、あんた‼まだいたの!?」

 

 オフィーリアの固有霊装をじっと見ていた私の横で鷹人がいきなり声を掛けてきた。此奴の事だから私をほっといて先に行ったかと思っていたので思わず驚いてしまった。だが鷹人はそんな私の文句に耳を傾けていないようだ。

 

「さっさとしねえと‥‥巻き込まれるぞ」

「ひゃあっ!?ちょ、いきなり姫抱っこしないでよ!?というか巻き込まれるって何!?」

 

 いきなり私を姫抱っこして駆け出すし、彼のいう事が気になるしもう何が何だかとてんやわんや。その一方で、オフィーリアは襲い掛かろうとする生徒達には一切気にもせずにいた。

 

「いきますよー♪『天使の裁き(ディバインジャッジメント)』~♪」

 

 機械仕掛けの弓から立った一本の光の弓矢が空高く放たれた。その光の弓矢がカッと光り出した瞬間、空から先ほどの弓矢よりも遥かに巨大な光の柱が降り注ぎだした。風紀委員の二人に襲い掛かろうとしていた生徒達も、もたもたとしている生徒達も次々に降り注いでくる光の柱に巻き込まれていった。案の定、阿鼻叫喚になり、生徒達は必死になって巻き込まれないように駆けだしていった。

 

「皆さん、元気に頑張ってくださいねー!処女の加護がありますよーにっ‥‥ところで、委員長。こんなに派手にやらかしていいんですか?」

「構わん。アホの校長の思い付きを鵜吞みにして風紀委員に押し付けた生徒会執行部に文句を言え」

 

___

 

「ふー、危なかったな。下手したらみんなお陀仏になっちまってたな」

「風紀委員もやること滅茶苦茶よ‥‥って、いつまで私の胸を触ってんの‼」

「ぶべらっ!?」

 

 鷹人は私を姫抱っこして駆け、どさくさに紛れてさり気なく私の胸を鷲掴みしていた。私は思い切りこの変態の顔面を殴る。

 

「まずはやっぱりあんたから仕留めておこうかしら‥‥」

「待て待て待て‼俺だって必死だったんだから仕方ないだろ!仮に俺を倒したとしてもこの森を切り抜けていけるか?」

 

 ふと私は気づいて辺りを見回す。辺りは木に囲まれた森の中、気を緩めてしまったら目的地にたどり着くことなくこの森をさまよう事になるだろう。

 

「…一つ聞くけど、あんたはこの先どこへ進めばいいかわかるの?」

「もちもち。ちゃーんと方角を確認したし、梅軒から場所をメールで教えてもらったし」

 

 いつの間にメールを交わすほどの仲になっているんだこの変態共は。すでにクラス内バトルロワイアルは始まっているし、鷹人を相手にしてたら時間の無駄かもしれない。

 

「それに、一人よりも二人いた方がいいだろ?」

 

 ニヤニヤとする鷹人に私は眉をひそめる。なれ合うつもりは無いが、たった一人で森の中とは生まれたばかりの小鹿がたった一頭だけで猛獣のいる森の中を歩いていると同然。いつどこで誰が襲い掛かって来るか分からない。私はじっと鷹人を見つめる。

 

「…あんたは背後から私を襲うつもりはある?」

「何言ってんだ、一緒に住んでる奴を襲うバカはいねえよ。あ、覗きはするけど」

 

 最後の一言は余計だ。相手の固有霊装を見て危険を察する程の実力があるならまだ頼りになるが、彼がどれくらい強いのかまだ分からない。

 

「…愚問かもしれないけど、あんたは強いの?」

「めちゃんこ強いぜ?俺と組むなら戦艦に乗った気分でいれるぞ」

 

 何処からそんな自信が湧くのだろうか。これほど豪語するのなら多少は任せてもいいかもしれない‥‥もしもの時はすぐに切り捨てるけど。

 

「じゃあ…案内してもらうわ。鷹人、よろしくね」

「任せとけ!思った以上の触り心地だったからな、触らせて貰った分の働きはちゃーんとするぜ!」

「やっぱり故意じゃねえかぁぁぁっ‼」

 

 私は思い切りジャーマンスープレックスをお見舞いした。本当に幸先が不安である。





 ここで風紀委員登場。ヒャッハーな無法者達を徹底的に断罪していきます。委員長は真面目系ドS眼鏡
 副委員長は2年。ふんわりおしとやか天然に…できたらいいなぁ
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