ホウエンチャンプは世界を超える   作:惟神

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今回はちょっと短いです。

SM主人公の名前が2章の中盤でデフォルトネーム(名無しじゃない方)から変わっていたので編集しました。
(誤)ミツキ→(正)ミヅキ



立つ鳥跡を証拠隠滅出来なかったからネタバレだよ!

 

ミヅキ達のバトルロイヤルを観た後、僕達は共に空間研究所へと向かうことになった。勿論ククイ博士は正体(ロイヤルマスク)を隠し、関わりはしなかったけど観戦はしていたと言い訳をして。

 

そしてたどり着いた空間研究所では、バーネット博士の口から調査の現実を説明された。とはいえ結局大したことはわからなかったらしいが。そりゃあ1週間と少しでは厳しいよなと思いつつ、僕の方で手掛かりを見つけたことを報告する。

 

 

「手掛かり、ですって?私たちでさえ何も発見出来なかったのに……」

 

「アプローチの違いだな。あんた達は自分で研究しようとして、僕は知ってそうな人を探すことに努めたのだから」

 

「知ってそうな人を探す、ね。

なるほど、あなたがロイヤルドームに出入りしていたのは単に戦うためだけじゃなくて、アローラ全土から人が集まるあの場所で尋ねごとをするのも目的としていたのね」

 

 

関心した様子で話すバーネット博士に対し、僕は曖昧で意味深な笑みを見せることしか出来ない。正直なところ僕が尋ねた相手は誰もコスモッグ(ほしぐも)のことを知らなかったし、他の手掛かりもなかった。あのコートからメールが届かなければ完全に手詰まりだったと言っても良いだろう。言わないが。

 

 

「…………そうかも、な。

とはいえ、又聞きだから信憑性に欠ける上、アイツ(・・・)は定住してもいないのだから常にいる訳でもなく、その他条件をクリアしても、本当に見えるのか、役に立つ情報なのかはわからない訳だが」

 

「想定以上に不確定ね……。普通なら駄目だって言う所だけれど、でも、これまでにわかったことだってないも同然なのだから、とりあえずやってみる価値はあるかしら。

ところで、その手掛かりになりそうな人ってどんな方なの?」

 

 

バーネット博士は疑問の声を上げる。それはそうだろう。ここまで不安になる言葉を吐かれれば当然だ。立場が逆であれば僕もそう思う。

だが、これは研究者が好む理論的な話ではなく――むしろ超能力(オカルト)の分野へと分類される。それも、超能力の中でも飛びっきり(・・・・・)のものだ。

 

 

「――――じくうのさけび(・・・・・・・)って聞いたことがあるか?」

 

 

モノに触れることで、それに関係のある現在過去未来を見通す超能力。

それが、僕に伝えられた手掛かりだった。

 

 

 

***

 

 

 

あのメールにはこう書かれていた。

 

 

『時空を歪める"空"の探検家は密林にあり』

 

 

時空を歪める空の探検家――それが誰を指し示すのか、僕には心当たりがある。というか、これまで例として散々挙げていた。

 

探検家にして、じくうのさけびを持つ人間――ジュプトル使いのソラだ。

 

もちろん他の人物である可能性も否定はしない。だが、それだと特にこの世界で何かを成した訳でもない僕に態々あんな方法(・・・・・)でメールを送ったという点で疑問を抱いてしまうのだ。今になって思えば、あの空間と空間を接続するという移動方法はスケールが大きすぎて気付いてくれと言わんばかりのものだったのだし。

 

加えて、もし彼が僕の世界の彼と同一存在であるならば、数年前に消息を絶った理由はウルトラホールに巻き込まれたからだと結論付けられるし、知らない仲でもないから色々便利なんだが……それはそれとして。

 

 

「うぐ………なんで考え事してるのにそんな強いんですかユウキさん……」

 

「お前は指示が単調過ぎる。複雑な指示を出してもポケモンがついていけないと判断して単純な指示を出す所までは良いが、それがワンパターン過ぎて読まれやすいんだよ。ハウが羽休めを読んでアンコールしたようにな」

 

 

島巡りを再開するまでの数時間、僕はミヅキへと軽い指導を行っていた。

バトルロイヤルでの敗北を経て彼女はより貪欲に強さを求めた。油断しないし過信しない。それは確かに成長と言えるのだろうが、それは弱者に対して強くなっただけである。自分以上の相手と戦うにはまだ地力が心許ない。

 

というか、今現在の彼女のスタイルは育成型トレーナーのそれである。強いポケモンを育て、スペックでゴリ押しする。育成力で負ければほぼ敗北確定。決して否定はしないんだが――ぶっちゃけ彼女にそれは向いていないのだ。

自分で望んでそうなったなら多少考慮はするが、ミヅキは多くのバトルを経験していたらいつの間にかレベルが上がってて、結果的に育成型モドキになってしまっただけだ。ただでさえ向いていないのに、その理由はあまりにもあんまりだろう。

 

だから格上の相手と戦うことで、判断力や指揮力、そして戦術眼を向上させようとしているわけだ。

流石に本来のパーティーだと蹂躙にしかならないから、島巡りの途中で捕獲して育成したポケモンを使って。

 

 

「やっぱり指示力かー。……もっと知識とか増やしておかないとなぁ」

 

「僕の場合は論文に片っ端から目を通して実践して確かめていたし、ある好敵手(ライバル)は幼少期からポケモン漬けだったな。テンセ・イシャ博士に至っては生まれる前からどんな博士でも知りえない異端の知識を持っていたと聞く。

最低限の知識――どのポケモンに何が向いているのかを知るのは必要なんだよ」

 

 

知識ばかりで経験が追いつかない者が一流となるのは不可能だ。だが、知識を学ぶことさえなく直感で戦うのならば、それは運ゲーと大差ない。

本当に強いトレーナーとなるならば、経験と理論のどちらも収める必要があるのだ。

それを聞いたミヅキは地面に倒れ伏し、疲れたような声を漏らす。

 

 

「うへぇ、頑張らないと。

…………うん、なら私は少しここで論文でも漁ることにします。専門ではないかもですけど、私が個人の力で調べるよりかは建設的ですし。何よりも、ハウ達にリベンジ果たさなきゃなので。

ユウキさんはもうすぐリーリエと一緒に島巡りを再開するんですよね?いつか必ず追いつくので、覚悟しててください」

 

 

そんな言葉を最後に残し、ミヅキはモンスターボールから出したジュナイパーに自分を引き摺らせて去っていく。

些か絞りすぎたためだろう、自分で立つ気力もないようだ。故にポケモンに任せるという合理的な――同時に極めてシュールな光景を見ながら、僕は小声で呟いた。

 

 

「…………当然期待しているさ。そのために育てているのだから」

 

 

 

***

 

 

 

「というわけで、次の目的地は密林――シェードジャングルだ。一応島巡りを続けながら一通り調べてみるが、最優先はそこになる。手掛かりが人である以上、そいつがいつまでも居続ける保証はないのだから」

 

「何が『というわけで』なのかはサッパリわからないですけど、類友だってことは察しが着きました。理解は出来ませんが受け入れます。なんだかんだでわたしたちのことを考えてくれてますし」

 

「ぴゅーい!」

 

 

リーリエの言葉と、それに呼応するようにバックから表れて話すコスモッグ。2人――正確には1人と1匹だが――のある意味での信頼の厚さを実感する。

特にリーリエは最初に比べてすっかり図太くなったものだ。あの時はこういった踏み込んだ会話を避けて一定以上の距離に踏み込まないようにしていた印象がある。だから僕は交流が浅い上、どうでも良い人物として見ていたのだが。それと比べると随分と成長したものだと実感する。今現在も、バックから顔を出したコスモッグ(ほしぐも)を完全に表れる前に再びバックの中へと突っ込んでいたのだし。

 

それにしても、類友……ねぇ。

 

 

「…………互いに引き寄せられているのは確かなんだろう。それは別に良いが、問題はそれを画策している奴がいるということだ。そいつの目的が見えない。心当たりこそあるものの、それも確実とは言えないし」

 

「心当たりはあるんですね……。

もしかするとこれってサポート役が厄介事を引っ張ってくるという通常とは異なった新しいパターンなのではないでしょうか」

 

「――――ふっ」

 

 

肯定こそしなかったものの、明確な否定もしない。それが僕の内心を何よりも物語っていた。

 

しいて何か言うことがあるとすれば、むしろ僕は巻き込まれた立場だという事だ。とはいえそれはリーリエに直接の関係はなく、巻き込まれた僕にさらに巻き込まれた側の彼女からすると同じようなものなのだろう。自分のメリットにもなると受け入れている辺りに大物の片鱗を感じる。

 

そう、僕だって巻き込まれた側なのだ。あの壮大な移動方法を披露した正体隠す気ゼロの空間を統べる神――パルキアに。

大方僕がウルトラホール経由で異世界から転移してきたということで、自分の空間(領分)に手を出されたと思い込んで観測し始めたんだろう。そして今僕と、ソラと思われる人間が比較的近い位置にいるということで、バックにいるこの世界のコウキ的立ち位置のトレーナーが、「どうせ2人に会わなきゃいけないんだから同時に行こう!」なんて横着してこうなったんじゃないかと読んでいるのだが。

 

なお僕の世界のコウキが会いに来る可能性は皆無同然な模様。

 

 

「えっ、来ないんですか!?」

 

「神同士の領分があるんだよ。ポケモン勝負に拘らなければ僕の知る限り最強は絶対にアイツなんだが――だからこそ枷も多い。下手に動けないのさ」

 

 

そもそも会う必要があるのなら転移前にそれとなく話されている。彼は未来を見るというカンニングが出来るのだかし。所謂邪気眼系厨二病が言う所の『瞳』を、アイツは持っているのだから。

 

 

「領分、ですか。

………いえ、それよりも!あのユウキさんが、自分よりも強いと認めたんですか!?」

 

 

いやだって、

 

 

「時間逆行で幼少期の頃の自分を殺される。空間操作で世界そのものから隔離されて衰弱死する。無限に等しい反物質を叩き込まれて跡形もなく消滅する。感情を始め心そのものを叩き潰されて生き人形になる。世界そのものに自分は存在しないという記録を創造されていなかったことにされる。

 

――――なあ、どの末路が望みだ?」

 

「ごめんなさいわたしが間違えていました」

 

 

早急に前言を撤回するリーリエ。気持ちはわかる。だが、これがアイツが本当に一切の容赦を捨てて全力で殺しに来た場合の具体例だ。ぶっちゃけ勝てない。スケールが違いすぎる。僕の手持ちにしたって海を干上がらせたり、大陸を沈めたり、隕石を破壊したり、などは出来るが、概念的に殺しに来られるともうどうしようもない。

 

もしコウキを除く全図鑑所有者(主人公)がいたとしても無理だ。時を停止されて1人ずつ処理されるのがオチだろう。負けそうなら巻き戻してやり直すだろうし。絶対勝つ未来なんてものを創造されたらどう足掻いても勝てやしない。前に種の強さが必ずしも勝利に繋がることはないと言ったが、ここまで離されるともうどうしようもない。

 

だがまあ、本人があくまで戦闘者(トレーナー)である以上そんな仮定は無意味なのだが。第一やたらと力を振りかざす者を神が選ぶとは思えない。タクシー?あれは例外だ。

 

だから――きっとこのメールを届けたことにも何らかの意味があるのだろう。

僕はそっとため息を着き、カキの試練は早急にクリアしてダイジェスト風にしようと決意した。

 

 




という訳で、時空どころか次元を超えて一生懸命伏字にしていた少女達の苦労が台無しになる上、前話で証拠隠滅し切れなかったためにサプライズがネタバレするだけの話でした。なお話の進展がグダグダになった模様。
この展開が少女達の気に触ったら時間遡行(編集)する可能性が…………ねーな。
シンオウの伝説は魔境を超えて神境(文字通りの意味で)。はっきりわかんだね。

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