ホウエンチャンプは世界を超える   作:惟神

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10/11、ガブリアスに竜舞使わせていた部分を修正しました。

前書き

炎のZクリスタル、ゲットだぜ!

「過程は!?略し過ぎてませんか!?」




毒が入ってなくとも不味いメシはそれだけで毒

「僕は約束を守る男だと自負している」

 

要約(ダイジェスト)し過ぎて結論だけしか言ってないじゃないですか!少なすぎます!他の地方と比べてちょっとイケメンなアローラのやまおとこさん達から全力で抗議されますよ!?」

 

「…………確かに、ホウエンを始め他の地方のやまおとこは異様に太っているが…………それは良い。仮に抗議してくるというのならば鎮圧する。数を相手にするのも経験値になるだろうさ」

 

「ダメだこの人歪みない……」

 

 

次の予定が詰まっているため、カキの試練を早々に突破した僕達は、試練の場にして例のコートから渡されたメールに記載されていた場所――シェードジャングルへと足を運んでいた。勿論リーリエもセットである。彼女を試練の場に付れてきてもいいものかと初めは疑問に思ったものの、何も言ってこないので流すことにした。

 

試練として本来入場するべきだろう場所で1人挑戦者を待ちわびているマオの姿を遠目に見ながら、僕はバックから山のようなモンスターボールを出し、一気に解放する。

それは僕がこの世界に来てから捕まえて育てたポケモンだ。総数は凡そ42。それも、すべてが育成限界(Lv.100)天才(6V)である。もっとも、個体値に関してはだいたい全部が凄い特訓によるものではあるが――戦ってみると誤差はないためスルーする。

 

 

「人探しだ。幸いここは試練の場で普通の人間がいることは滅多にないからな、存分に行動できる」

 

 

果たして例のコートから渡されたメールに記された人物とは誰なのか。そもそも本当にいるのか。

どちらにしても、人間が1組――ここでリーリエから目を離すと迷子になって行方不明になるため――で探すには限度がある。だからこその(ポケモン)海戦術。倒されでもすれば数が減ってしまうとはいえ、そもそもこの地方は平均レベルが決して高くはない。もしそんな手法を取ってくれたら万々歳だ。自分はここにいるという事を何よりも雄弁に物語っているのだから。

 

42匹という通常のトレーナー7人分のポケモンを使って捜索を開始させたものの、広大なジャングルを隅々まで探すためには時間がかかる。故に僕は暇潰しとしてマオの試練に望むのだった。

 

 

 

***

 

 

 

「カンタイぶりだな、キャプテン・マオ」

 

「まいど!シェードジャングルへようこそ!さっそくだけど、試練にチャレンジしてもらいます!」

 

 

マオの試練を要約すると、主ポケモンを呼び出すための調理(マオスペシャル)に必要な材料を集めてきてほしいとのことだった。

 

必要な数は4つ。

マゴのみ、ちいさなキノコ、ふっかつそう、きせきのタネ。

この組み合わせからはロクな料理が生まれないと脳裏で経験が警報(アラート)を鳴らしているが、食べるのは僕ではないのだ。努めて無視することにし、素材を探すため、バックからメガネを取り出した。

 

 

「珍しいですね、ユウキさんが眼鏡をかけるのって。何か理由があるのですか?」

 

「ああ。これはみとおしメガネと言って、周囲にある道具やポケモンの位置がわかる超高性能な道具だ。先ほどマオが見えにくい所にあると言っていただろう?これならダウジングマシンも使わずに探すことが出来るんだ」

 

 

ぶっちゃけた話、完全にダウジングマシンの上位互換だ。ハルカには申し訳ないが、これを入手してからはダウジングマシンはバックの底に沈んでいる……データ化されているためあくまで比喩ではあるが。

 

マオはムーランド(サーチ)を使えばいいと言っていたが、ライドポケモンは好みではない。ポケモンは戦っているのが1番であり、戦闘以外の分野に特化して育てるのはなんか違うと思うのだ。勿論すべてのポケモンが戦闘だけ行うようになれば社会が崩壊するため他人に強制するつもりはないが……

 

僕だけは使わない、という我儘である――最も、必要に迫られない限りではあるが。

 

 

みとおしメガネを使って周囲の道具を確認する…………15個か。その中で比較的強いポケモンによって見張られている道具を抽出する。

 

それが求める3つの材料だ。4つでないのは開始早々普通に見つけたためである。

だが、これが試練である以上、ただ材料を集めるだけで終わる訳がない。監視をしているポケモンがいるに決まっている。

 

故にポケモンが周囲に付かず離れず存在している場所にある道具が怪しく、しかもその数は丁度3つ。疑問に思ってしまうレベルで簡単ではあるが、それは僕がみとおしメガネ(みとおしチート)を持っているからだろう。曰く、3種の神器。普通に島巡りを行っているだけのトレーナーであればこれを持っている筈もなく、ムーランドに乗りながら必死になって見えない道具を探すだろう。

 

 

「そんな道具聞いたこともないのですが……ユウキさんがいた世界では一般的だったのですか?」

 

「いや、探検家との勝負に勝った際、賞金代わりにかっぱらったものだ。それからはかなり重宝している」

 

「……探検家、ですか。もしかして、かなり貴重なものだったりします?」

 

「数千年は昔に建てられた遺跡の深層域で入手したらしい。とはいえストックはまだあると言っていたがな。奴も泥棒したと言っていたし、別にいいだろう」

 

「酷い暴君の理論を見ました……てかそれ犯罪じゃないですか?数千年前の遺跡ってことは文化遺産ですよね」

 

「何を今更。

奴は探検家ということもあって、グレーゾーンどころかブラックな領域にも踏み込んでいるからな。元から存在自体が(・・・・・)グレーゾーンな奴だ、踏み越えるのにも躊躇いはなかったんだろうさ。

――だから僕も遠慮なくブラックに行くんだが」

 

「存在がグレーゾーンって……酷くないですか!?」

 

 

そういう奴なのである。本人が望んだ(モノ)では無いとはいえ……便利だからとガンガン使っている時点で同罪だ。加えて奴は保護してほしいなんて欠片も思ってはいないため、変に遠慮する方が侮辱に値する。

 

 

そうこうしている内に材料はすべて集まった。とりあえず材料袋にぶち込んでマオの元へと持っていく。そこでは彼女が調理の準備をしており、彼女が持ってきたふといホネ、きちょうなホネ、おいしいみず、ゴツゴツメットを加えてテキパキと調理を進める。

 

その手つきは熟練者のそれだ。新しくはないが、綺麗に洗われた淀みなく、一定の流れに沿った調理はある種の美しささえ感じられる。発想も悪くない。僕も協力しているものの、こと技量に於いては彼女は僕の上を行くだろう。

 

――――レシピが、あまりに酷いことを除きさえすれば。

 

そう、レシピがあまりに酷いのだ。

なんでそこで余計なひと手間を加えるのか……そのせいでこれまでの調和が粉砕玉砕大喝采。結論から言って食べたくない。漂ってくる香り自体は極めて良好だが、それは獲物を引き寄せる食虫植物にも似たものである。元が主ポケモンを呼び寄せるためのものであるため、ある意味当然とも言えるが。

リーリエがゴクリと喉を鳴らす。ああそういえば食事がまだだったなだがその先は地獄だぞ、と忠告しようとして――

 

――――背後に気配を察知。

咄嗟にリーリエの腰を抱いて連続で側転し、回転する勢いによって空中でホルダーからこぼれ落ちる様に調節していたモンスターボールを蹴り飛ばす。着地してからリーリエを見ると顔色が真っ青だったが、気にする程の余裕はない。おいしいみずと共にマオの近辺へと放り投げて相手の様子を伺った。

 

 

相手は――ラランテス。素材の見張りを行っていたポケモン、カリキリの進化系だ。金色のオーラを纏っていることから主ポケモンなのだろうと推察する。

纏う雰囲気、そして不安定な体勢で放たれたモンスターボールが直撃した衝撃でかなり大きなダメージを受けているあたり、レベルは決して高くはない。

 

 

――なら、何も問題はない。

 

 

 

「メタグロス!」

 

 

モンスターボールは中身(ポケモン)入りだ。出てきたポケモンはメタグロス。襲われた時にパーティ最硬のポケモンを咄嗟に出せるように手を加えたホルダーは、この世界で初めての使用にも満足に答えてくれたようだ。

 

 

敵に増援(メタグロス)が表れたことに反応し、ラランテスはポワルンを呼び出した。出てきたポワルンは自分の役割を理解しているのか、即座ににほんばれを行い、天候を日差しが強い状態へと変更する。

 

そしてラランテスはソーラーブレードを展開。援護も相まって瞬時にチャージを終えて、メタグロスへ極光の剣を解き放つ――!

 

 

「ハッ――関係ないなぁ!

叩き潰せ、メタグロスっ!!」

 

 

――――コメットパンチ。

 

流星の如き一撃が光剣を貫き、粉砕する。空間が捻じ切れる程の暴力的な剛腕に、いかに技の威力が高くとも元々のスペックが不足しているラランテスでは対抗することさえできない。

そしてメタグロスの攻撃は光剣に打ち克つだけには留まらない。次の攻撃を行うまでに生まれた一瞬の空白で懐へと飛び込んだ。

 

ラランテスは咄嗟に後退しながらソーラーブレードを放つも、メタグロスは歯牙にもかけない。ただ超近接距離(ゼロレンジ)へと突っ込んで、加速の勢いを利用した追撃のコメットパンチを繰り出す。

メタグロスの頭脳はスーパーコンピュータをも凌駕しうる超高性能だ。自分と相手の動きを計算し尽くして、最大威力を急所へとぶち当てる。

ラランテスは倒れた――そして、

 

 

「次ぃっ――!」

 

 

主が敗北したことに恐れをなしたポワルンは咄嗟に逃げ出そうとするも、僕はそれを認めない。何よりもそれはメタグロスが計算していた未来のうち最も可能性の高い行動で、だから当然対処方も完了していた。

 

――――バレットパンチ。

反撃も許さぬ超速の一撃がポワルンへと放たれる。炎タイプへ変化している(特性:てんきや)ために効果は今ひとつだが、低レベルのポワルン一匹、片付けるためには過剰に過ぎる。

 

 

これで試練は終了か――。

そう思って振り向くと、戦闘開始直前に放り投げたのがアウトだったのだろう。胃の中のものを全力でリバースしていたリーリエと目が合った。その物言いたげな瞳を見て、あの時はああするのが最善だったとはいえ若干申し訳ない気持ちを覚えた。

 

 

 

***

 

 

 

さて、ここからが僕にとっての本番だ。

僕がここで野生のポケモンを捕まえていると言うと、マオは納得した様子を見せ、笑顔と共にこの場を去っていった。これを食べても良いよとご丁寧にも産業廃棄物(マオスペシャル)を置き去りにして。

 

正直言って自然に還(廃棄処分)したいが、リーリエが食べたそうにこちらを見ているため、仕方なしに食べることにした。

手始めにミロカロスを呼び出してリフレッシュを連打。その後は持っているきのみや各種調味料によって味を整え、最低限人の食べれられるレベルまで持っていく。

リーリエが食べることを望んだのだ、素のままの味で悶絶させても良いかなと思いはしたものの、先程の様なリバースを再度行われても寝覚めが悪い。

 

その過程を経て漸く料理になったモノを器へと注ぎ込み、リーリエに渡す。先程から空腹だったのだろう。出された器を即座に受け取り、一緒に渡されたスプーンを使って食べ始める。

 

 

「…………味はどうだ?」

 

「…………う〜ん、その、悪くはないんですけど、普段のユウキさんの料理に比べると数段劣りますね」

 

「なるほど。つまり、毒はもうない訳だな。ならば安心して食べられる」

 

「言われてみると少し舌がピリッとするような…………ちょっと待ってください、毒あったんですか!?まさか先程のリフレッシュは毒性を消すためのものだったんですか!?あとユウキさんが色々手を加えていたのはまさか…………」

 

「ああ…………無毒判定ではあったが、単純に、毒みたいに不味かった」

 

「………………気が緩んでたのかなぁ。お手数をお掛けしました」

 

 

その言葉に、そういえばどっかのお嬢様だったっけかと思い出す。これはあくまで仕事の付き合いの様なものであるうえ、向こうの世界にいるお嬢様(・・・)の高飛車に比べると大したことがないため忘れかけていたが。

リーリエが本当に食事に毒を混ぜられた過去を持つのか、それとも単に毒味している者がいるのかは定かではないが、食事の際は毒に注意していたらしい。

 

若干の懸念要素はあるものの、とりあえず毒性はないとのことだったので、僕も食事を開始する。忌憚のない意見を言わせてもらうのならば美味くもなく不味くもないどこまでも微妙な味なのだが、あの殺人的不味さと比較するとマシになっているのだから良しとしよう。食えないレベルではない。

 

 

食事を終えると、僕はポケナビを開いた。

ポケナビには時間表示機能がついているが、今そこに表示されている時間は時間切れ(タイムリミット)という事実を示していた。なのに僕の元にポケモンが誰一人帰ってこないということは――つまり、そういう事なのだろう。

 

そう結論付けると、僕は手っ取り早く食器の後始末を行い、みとおしメガネを装着する。すると、マップには殆どのポケモンが表示されて(・・・・・)いなかった(・・・・・)

このメガネは周囲の道具とポケモンを知ることが出来るが、例外として人が所有している道具や、モンスターボールに入ったポケモン、そして瀕死になった(・・・・・・)ポケモンは表示されない。

つまり僕の放ったLv.100で6Vのポケモン42匹を僕に気付かせずに静かに全滅させられる程の実力者がこのジャングルにいるという訳で。

 

 

「――――ははッ」

 

 

歪んだ笑みが浮かぶ。この世界に来てから、僕はずっと手加減を加えながら戦ってきた。だが、コイツにそれは間違いなく必要ない。対等な戦い――それはどんな麻薬にも勝る快感だ。満足に戦えなかったことで数ヶ月も貯め続けてきたフラストレーションが遂に解放される瞬間を夢に見ながら、僕はポケモンがいない空白地帯――その中心部へと足を運んだ。

 

 

 

***

 

 

 

「「――――やっぱり、お前か」」

 

 

異口同音。ふたつの口から同じ趣旨の言葉が同時に放たれる。

片や(ユウキ)。そして案の定というべきもう片方は――ソラ(・・)。みとおしメガネをかけている、金髪ロングのチビだった。

 

 

「その反応……やはりお前も向こう(・・・)から来たのか。いつからだ?」

 

「ハッ、知らねぇよ。ああいや、誤魔化すつもりはねぇぞ、本当に知らねぇんだ。何しろオレはここ数年ぐらい記憶がないモンでな、実は違う世界だっつーことも最近知ったくらいだ」

 

 

その言葉は、理解するのに数秒の時間が必要だった。まさか、それはあのソラに限ってありえない。なぜなら彼は――

 

 

「…………記憶がない?

何を言っている、お前ならじくうのさけびを使うことで視れる(・・・)だろう?」

 

 

そう、ソラはじくうのさけびを持つニンゲン。例え記憶を失ったとしても、自分の過去を視ることで取り戻せる稀有な存在だ。その彼が、記憶喪失?それはつまり――――

 

僕のセリフを聞いたソラは心底忌々しいとでも言うかのような表情を浮かべ、言葉を吐く。

 

 

「…………ハッ、それは今やるべきことじゃねぇぞ。トレーナーとトレーナーが出会った、ならやるべき事は2つだ。とっとと逃げるか闘うか――相手がお前なら、オレは闘うことを選びたいね」

 

「僕には逃げるという選択は浮かばないんだがな、よっぽどの雑魚以外。

お前が相手なら上等、むしろ望む所だ。ここ数ヶ月、溜まりに溜まったフラストレーションを存分に晴らさせてくれ」

 

 

そう言うと、僕はボールを手に取った。先頭のポケモンがボール越しに軽く頷いたのを見て、一呼吸。思考のスイッチが完全に切り替わる。

ゾーンと呼ばれる領域へと一瞬で辿り着き――それでは足りない(・・・・)。もっと奥、超深層へと潜り込む。

 

故に見えるは極彩色を超えた原点回帰。白と黒だけが支配するモノクロの世界。熱量を感じる所かそもそも存在しない、無色透明の戦意の昂りに合わせ、光速さえも遅く思える程の処理速度が実現する。

 

リラ相手にさえゾーンで留めていたのに、この超深層にまで入り込んだ理由。それは、こうまでしないと対等には(・・・・)闘えない(・・・・)という事実の露呈だ。何故ならソラはトレーナーのタイプにおける例外――能力タイプのトレーナーなのだから。

 

超能力者や癒す者を初め、人間の中にも通常とは異なる能力(オカルト)を有する者がいる。それは人とポケモンのルーツが一緒であるためであり、ある種の先祖返りとも言えるのだろうが――それは今は置いておく。

多くの場合その能力は人としては強いという程度に収まり、バトルに干渉出来るほどの出力を有していないため、態々区分わけをする必要はないことが殆どだ。

 

 

超能力――

たかが軽いモノを動かすだけの能力で出来ることなど程度が知れている。彼等は多くの場合エスパータイプ使いとなるのだから、結局の所手持ちポケモンの下位互換に過ぎない。手数が増える?手持ちポケモン(上位互換)が苦戦する様な相手に何をしろと。徒労に終わる。

 

じくうのさけび――

結局の所過去未来を読み解くだけの異能で、それが何日訪れるのかを知ることは出来ない。期待するだけ無駄だ。そんな運頼みの博打に期待して動きを鈍らせるよりも、順当に闘って順当に勝つ方が手っ取り早い。

 

読心――

ポケモンの声を聞く。で?だから?

伝えられないし伝わらない。音速を超えた攻撃によって伝える前に潰す。それだけでこれは意味の無いものへと成り下がる。

 

癒す者――

はははふざけんなマジぶっ潰すぞこのメアリー・スーが。

 

 

そう、じくうのさけびもこと戦闘においてはどうでも良い(・・・・・・)。それなのにソラが態々能力タイプと分けられている最大の理由は、彼が有するもうひとつ(・・・・・)の能力に由来する。

 

それが、自分のポケモン限定での法則改変(ポケダン化)。彼の手持ちポケモンは、すべてHPが999で攻撃防御特攻特防素早さが255であり、技の補助効果や特性、挙句能力変化の倍率、2つの特性の両立――何もかもが異なっている。加えて連結技――1ターンに最大4つまで連続して技を繰り出す技能が厄介さに拍車をかける。

 

具体例を出すなら、ガブリアスを出して1ターンで剣舞→逆鱗→地震のコンボが可能という巫山戯た真似が出来る。とはいえ彼が書き換えた法則には合わないため使われることはないが、これがわかりやすい例となる。

 

加えて、ソラは純粋に強い(・・)

冒険家にして、じくうのさけびを持つニンゲン。それは裏の人間を引き寄せる誘蛾灯であり、ソラは幼い頃から彼らと命のやり取りを行ってきた。僕の経験はあくまでポケモン勝負としてのもので、彼が経験して来た殺し合いとは濃度が異なる。

 

()られる前に()る――それが当然となってしまった人間に、ブレーキなど存在しない。壁があれば踏み潰す。敵がいれば叩き潰す。障害はすべて潰す。だからこそ、ソラは今まで生きてきた。

 

 

「更にフラストレーションが湧く結果になんなきゃいいな」

 

「当然だ。闘う前から負けると考えるなど阿呆の所業だろうが。勝つのは僕で負けるのがお前だ」

 

「抜かしとけ。勝つのはオレだ。

お前っつー迷宮(ダンジョン)踏破(クリア)して、オレはまた活動の記録(レコード)を残す」

 

 

ソラは確かに強い、というか理不尽だ。だがそれが、必ずしも敗北という結果に結びつくかと問われると――否である。

闘いの(フィールド)に上がっている。その時点で勝敗は不確定なものであり、勝利に対する相手の引力が大きいのなら、僕はそれ以上に強く在ればいい。

 

 

「いざ尋常に――――」

 

「「勝負しようかぁっ!!!」」

 

 

互いの言葉と共にフィールドに投げ込まれ、閃光を放つモンスターボール。

同時にソラのフィールドに走った一瞬のブレを認識する。それは世界の法則が彼自身の法則によって塗り潰されたという証拠であり――――関係ない。

思考を刹那に切り捨てて相手の先頭ポケモンを確認、直ちに指示を出す。

 

 

ポケモン勝負が始まろうとしていた。

 

 

 




ネタバレ回で散々追求したように、コートのメールに書いていたのはソラでした。外見はポケスペのエメラルド(第6章以降)っぽい感じ。オリキャラである彼なのですが、実は明確なモデルが存在します――バレバレな気もしますけれども。
そこら辺のバラシはバトルが終わってからにします。
…………他所でやってるファンタジー全開のポケモンバトルってかなり長くなりそうな気がするんだよなぁ……。ユウキに稀少扱いさせて試験的に挑戦してみてますが、かなり厄介そう。
次々回か、その次か……何れにせよ、他のルールを再現すると擦り合わせに苦労するんだなぁと確信しました。
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