話を変えるところが見つからなくて、プロローグを超える過去最長です。
――――もうファンタジー全開のポケモンバトルは懲り懲りだよ………
相手の先頭はドーブルで、こちらはメタグロスだ。ドーブルは本来スケッチによって多くの技を覚えられる代わりにステータスが低い。だが、ソラの
故に注目するべきは技と特性。すべての技を覚えられるドーブルにとって、特に前者は厄介さ極まりない。
そして――――
「コメットパンチッ!!」
「
流星を宿した一撃が土手っ腹に直撃する。ドーブルはその一撃を堪えきれずに後方へと吹っ飛び――違う。
そしてドーブルが持っていたタネを食べると、途端に姿が掻き消える。ドロンのタネだ。効果は自身の透明化――不可視となって相手を一方的に攻撃することが可能となる。
だが、相手が悪かったな――。
「未来を計算しろメタグロス――もう1度コメットパンチだ」
メタグロスは計算する。移動したことによる地面の僅かな窪みや、風向き・風量、ペンキの香り――etc.etc.
例え不可視になったとしても、そこにいる存在自体がなくなったことにはならないのだから、あらゆる要素を検出して計算することによって、現在地を把握することが出来る。
そして放たれたコメットパンチが不可視となっていたドーブルへと見事に直撃する。流石に急所には当たらないものの、当てられるという事実があれば問題ない。後はHP999を削り切るだけ――で終わる訳がない。
ドーブルの真の恐ろしさはここからだ。
「やれ、ドーブルッ!!」
連結技によって、4つの技が同一ターンに放たれた。
しんぴのまもり――自分を状態異常から守り、
こころのめ――必中状態。決して攻撃を外さない。となれば次に放たれるのは強力な技で、
ほろびのうた――敵味方すべてを巻き込む終焉の
きのこのほうし――そして封殺。迫る終幕を前に黙って寝ていろとばかりに睡眠の状態異常が撒き散らされる。
控えめに言ってエグいが、一撃必殺でないだけまだ救いがある。滅びのカウントが迫る中、僕はメタグロスに命令を下す。
「
例え眠りに落とされようが、鋼鉄の意思(ただの事実)で起き上がれ。敵はそこにいるぞ――。
戦意を無理矢理に向上させてメタグロスを戦線復帰させる。滅びのターンカウントは進んでいるが、今倒れないのならば問題はない。
コメットパンチが不可視となっていたドーブルに直撃する。即座に復帰されるとは予想していなかったのだろう。直前の位置から移動していなかったため、急所に当てることは容易い。HPはレッドゾーンに入り、あと一歩踏み込めば削り切れるだろう。だが――
「限界だな、戻れメタグロス。
出番だ、ネンドール」
先手必勝とばかりにドーブルが
「全部ぶっ潰せ――じしんだ!」
しんぴのまもり、こころのめ――そしてほろびのうたが歌われるタイミングに力尽くで割り込んで地震を放つ。
辺り一帯を巻き込む攻撃だ、接地しているドーブルに回避手段はなく、これまでのダメージも相まって歌を歌いきる前に瀕死へと陥った。
だが、代償としてネンドールは滅びの歌を聞いてしまった。眠りには陥っていないとはいえ、カウントダウンが開始された以上は、何らかの手段を取らない限りは瀕死へと陥るだろう。
「出番だネオラント!」
ソラが次に出したポケモンはネオラントだ。ネンドールとの相性は悪い。ならば尚更これは交換時であるものの、
「ひかりのかべ」
「場を構築するぜ!」
光の壁によって特殊攻撃のダメージを軽減する。向こうにいた頃から変わらないネンドールの役割だ。本来はここからもうひとつの壁ないし大爆発に繋げるのだが、滅びのカウントが進んでいる上、この世界での大爆発の威力は少なくなっているのだから、繋げる必要はあまりない。
そもそも、このターン生きていられるとは限らないのだが。
対するネオラントは
ネオラントの特性はすいすいで、持ち物は恐らくスイスイリボンだ。この2つが合わされば、雨が降っている時に限り
ネオラントは素早さランクが上がり、現在の速度は2倍速――故に、1ターンで2回技を繰り出すことが可能となった。連結技とは別に、だ。
「追撃の
そしてみずのはどうとハイドロポンプが連結して繰り出される。効果は抜群、天候による強化も相まって光の壁で軽減してもダメージは甚大だ。次のターンで倒れると確信し、
「爆ぜろ、ネンドール」
ならば全破壊に躊躇いはない。
この世界で大爆発を好まないのは単に火力不足でアド損が大きいからである。後がない状態なら使うことに躊躇いはない。
与えたダメージは総HPと比べて決して大きなものではないが、あるとないでは隔絶した違いがある。
「出番だ、ボーマンダァっ!!」
ネンドールの退場により、ネオラントの攻撃は不発となった。ボールから解放されたボーマンダは、仲間を討たれるという逆鱗に触れられて赫怒する。
その頭にはこだわりハチマチが巻かれており、ボーマンダがただただ破壊力だけを追求した暴竜であることを証明していた。
「ネオラント、
みずのはどう+ハイドロポンプ。
雨の影響を受けて倍速となったネオラントが近付かれまいと4連射するも、元より効果はいまひとつだ。天候によるブーストがかかろうとも勢いを止めることなど出来はしない。
ボーマンダは攻撃がモロに直撃するのも関係ないとばかりに特攻する。
ソラの
普段はそれを攻撃回数によって誤魔化している様だが、一撃一撃のダメージが少ないのだからと躊躇いなく神風する。
「赫怒の具現化だ――逆鱗しろ!!」
遂にボーマンダはネオラントを射程距離に入れ、
息付く間もない力尽くの連続攻撃に苛まれるネオラントだが、こと速さという点ではネオラントの方が上だ。攻撃と攻撃の間に無理矢理空白を生み出し、対抗して連結技を繰り出す。
赫怒のままに暴力するボーマンダと、速度の利を以て抵抗し続けるネオラント。長きに渡る2者の攻防も漸く終わりを見せ、
――ネオラントは倒れた。
瀕死へと陥ったネオラントを前にして勝利の雄叫びをあげるボーマンダに、だがソラは涼し気な反応を見せ、
「
「
どうあがいても無理ですわー。
ソラが出したのはヌケニンだ。それもただのヌケニンではない、HP:999のヌケニンである。
元より
「焼き尽くせ――フレアドライブ!!」
先手を取ったのはバシャーモだ。炎技で上位の火力を誇るフレアドライブをヌケニンに繰り出す。効果は抜群、雨による減衰もあるとはいえ、不思議な守りを突破して多大なダメージを与えると思われたが――
――――ヌケニンはワープした。
「――――っ、ワープスカーフか!?」
ワープスカーフとは、ソラが冒険の果てに手に入れたアイテムの内、三種の神器の一つとまで称される程に高性能な道具だ。
効果は単純に、フィールドのどこかへランダムに
そしてヌケニンが
「
遠距離から連結技が繰り出される。かげうちとシャドーボール。どちらもゴーストタイプで遠距離攻撃可能な技だ。
「神風上等ォ――!」
全身に炎を纏ったバシャーモが突撃する。しかし第一歩を踏み込んだ時点で既にヌケニンは
瞬間的に見えなくなる
――――雨が降りやんだ。
刹那、後方に空間の揺らぎを感じた。
「――そこだ!フレアドライブ!」
「――ヤベェ!ヌケニン、全力回避ぃ!!」
次の瞬間、バシャーモは爆発的に炎の出力を高め超加速。ヌケニンがフィールドに表れたと同時に組み伏せる。そしてヌケニンを炎で包み、地面を削りながら走り続ける。
逃げる暇など与えない。ヌケニンの攻撃は前兆がみえた瞬間爆発的に加減速することで自爆ないし中断させ、
鬩ぎ合いに勝ったのは――バシャーモだ。
雄叫びをあげることなく、強者の風格を出して腕を組むバシャーモ――とはいえ被害は甚大である。与ダメージの1/3を反動として受ける以上、バシャーモは合計333の反動ダメージを受けた。体力は当然
他のポケモンとは異なり、自分の技の反動ダメージしか受けていない自分がどうして疲労を見せることが許されようかと、ただ意志力によって尽きる寸前の体力を維持している。
「んじゃ、ここはいっそ
次にソラが出したポケモンはカクレオンだ。特に技のレパートリーも広くないし、特性が強力な訳でもない。
なのにどうしてソラが使っているのか――それは、何の制限もない常時倍速という、自分が敷いた
「――――ぜんりょくむそうけきれつけん!!」
だからこそ、
「
――
「それはバトルに勝った正当な報酬だろうが!」
いやなおとによって防御ランクを下げた上での乱れ引っ掻きと全力無双激烈拳との真っ向勝負。通常は何をどうひっくり返そうが後者が勝つに決まっている――だが、目の前の光景はそんな想定を嘲笑うかのように、カクレオンの優勢で進んでいた。
そんな理不尽を引き起こせる道具に、僕は心当たりがある。
――カクレオンは攻撃を
「――っ、あしらいスカーフか!?」
それは三種の神器の最後の1つ。
ワープスカーフが危険に際して救いを齎す勾玉であり、みとおしメガネが周囲を照らし見透す照魔鏡ならば。
あしらいスカーフはいわば剣――相手の攻撃を受け流す、攻防一体の剣に他ならない。
そうなればバシャーモに勝機はない。
防御ランクが下がった状態でZワザを威力そのままにカウンターされ、追撃の乱れ引っ掻きを食らってしまっては、気合と根性ではどうにもならず、
――バシャーモは倒れた。
だが、いかにあしらいスカーフといえどもZワザは受け流しきれなかったのか、カクレオンにはダメージの後がある。それは不完全性の証明であるが、だからといってZワザの超火力を連打できるはずもない。
故にみかわしスカーフの適応範囲――ソラの
故に、使えるポケモンは――
「地を揺らせ――ボーマンダァっ!!」
敵1匹に限らず、場の全てを巻き込む無差別攻撃が出来るポケモンに他ならない。
フィールドに放たれたボーマンダが叫びに答えて地震を放つ。こだわりハチマチによって強化された一撃は大地を揺るがし、技を逃がす場がないカクレオンに初めてマトモなダメージを与えた。
「それでカクレオンを攻略したつもりか?――甘ぇよ、道具だけに頼る訳がねぇだろ!」
それでもソラは揺るがない。
道具を攻略し、ダメージを与えた――だが、それだけだ。HPは未だグリーンゾーン、戦闘を続行するのに何の問題もない。
カクレオンが連結技を放とうと接近し――
「させるか――地震だ!」
ボーマンダが地震を巻き起こす。拘っているだけあって振動は大きい。カクレオンはバランスを崩して素早い動作ができず、そうなれば2倍の速度を持っていようと形無しだ。攻撃と妨害が両立している事もあり、再度地震を打とうとして、
「
遠距離攻撃の2連結。あしらいスカーフに対応して全体攻撃を連打する敵を倒すための技だろう。とはいえ単純な威力だけ見るとさほど脅威ではない。地震を続行する。
低威力とはいえ各ターン2×2回攻撃を何とか耐えてひたすら地震を打ち続けるだけの
――冗談、そんなの不可能である。
だがこれ以外に打つ手がないのも確かなのだ。メタグロスも地震を覚えているものの、この2連結はどちらも効果抜群だ。下手に出すことは出来ず……
故に命運はあの2匹に託された。
ボーマンダが地震を巻き起こして行動を妨害すれば、カクレオンが連撃でHPを削り、
カクレオンが攻撃すれば、あえて後方に飛ぶことでダメージ軽減と距離を取ったボーマンダが再度地震を放つ。
無限に続くかとも思われた攻防は、やがてピタリと止んだ。ボーマンダとカクレオンの両者の動きが唐突に停止し、フィールドに空白が生まれる。
それが瀕死の現れだと、数拍置いて理解し――
「――――ミロカロスっ!!」
全く同時にモンスターボールを投げる。僕が出したミロカロスに対し、ソラが出したポケモンは――
――唐突な話をするが、ソラが手持ちの中で最も信用する
そんな彼の手持ちの中で、果たして『最強』とは誰か。
相手を完全に封殺して滅びをカウントするドーブル?
HP:999で不思議な守りを有する鉄壁のヌケニン?
常時倍速で大半の技を受け流し、防御を下げて攻撃を連打し続けるカクレオン?
――どれも違う。
ソラの手持ちの最強は、それ以外の5匹と同時に闘ってなお圧勝することが出来る理不尽の具現である。
ただひたすらに強い――故に『最強』、転じて『最凶』。
そのポケモンの名は――
「――――フワライドォォォっ!!」
――フィールドに最凶が降臨する。
ききゅうポケモン、フワライド。
防御と特防こそ低いものの、HPがかなり高いため意外と耐久出来るポケモンだ。とはいえ意外と、というラインを超えておらず、ガチの耐久ポケモンと比べると打たれ脆い。覚える技の種類が豊富であり、様々な型が存在する――のは普通のバトルでの話。
ソラの
「――
フィールド一面逃げ場なく放たれる全体攻撃。怪風+銀風の2連結で敵にダメージを与え、ちいさくなるにより回避ランクを上昇させる。
そしてこれだけじゃ終わらない。
「まだだ、
道具を持っていない時に限り素早さが上がるという特性が、ソラの
故にもう1度繰り出される連結技。
二種類の風がフィールドを蹂躙し、ちいさくなるによって更に回避が上がる。
だがミロカロスはこれを耐えきり――これで終わりならどんなに良かったか。
フワライドのこうげきがちょっとあがった!
フワライドのぼうぎょがちょっとあがった!
フワライドのとくこうがちょっとあがった!
フワライドのとくぼうがちょっとあがった!
フワライドはにばいそくになった!
ぎんいろのかぜによる追加効果が発生し、全能力ランクが1段階上昇する。
そう、全能力ランクだ。当然素早さも例外じゃない。つまり――フワライドは
「
フワライドのこうげきがちょっとあがった!
フワライドのぼうぎょがちょっとあがった!
フワライドのとくこうがちょっとあがった!
フワライドのとくぼうがちょっとあがった!
フワライドはさんばいそくになった!
今度はあやしいかぜによる追加効果が発動し、3倍速――5・6回目の連結技が繰り出される。
「
フワライドのこうげきがちょっとあがった!
フワライドのぼうぎょがちょっとあがった!
フワライドのとくこうがちょっとあがった!
フワライドのとくぼうがちょっとあがった!
フワライドはよんばいそくになった!
攻撃の連鎖は終わらない。4倍速となった上に目視も難しい程にちいさくなったフワライドが、回数を重ねて威力を更に増した暴風を放つ。
「
さあ、お前のターンだぜ?」
フワライドのこうげきがちょっとあがった!
フワライドのぼうぎょがちょっとあがった!
フワライドのとくこうがちょっとあがった!
フワライドのとくぼうがちょっとあがった!
フワライドのはやさはもうあがらない!
ソラの
道具などの小細工はいらない。連結した技と特性による圧倒的攻撃回数。例え1回の威力に乏しくとも、それが16回も放たれれば被害は甚大であり、追加効果で全ランクも上昇する。例え周囲のすべてを敵に囲まれたとしても、全体攻撃技であるが故にすべてを焼き尽くせる。加えて
こいつが場に解き放たれたが最後、PPが尽きるまで決して終わらない蹂躙が開始される。
「なら遠慮なく――僕のターンだ!」
だが、それでも――
勝てない道理はどこにもない。
HPは尽きかけ、全身に裂傷を負い、不思議な鱗も多くが引き裂かれ――それでもミロカロスは生きていた。
被害は甚大で、瀕死していないのが嘘のよう。でも死んでいないが故に、絶対的強者への
「
特殊攻撃によって受けたダメージを倍加させて反射する復讐の牙、ミラーコートが放たれた。ちいさくなるによってこちらの命中率は皆無同然だが、ここまでダメージを溜め込んだのだから当然威力も範囲も極大で、フィールドの殆どを巻き込んでいる。
逃げ場のない全体攻撃――躱せるものなら躱してみろ!
攻撃がフワライドに直撃したと同時に、ミロカロスは全ての力を使い切って倒れ伏す。文句なしの努力賞だ、後で念入りに
そして――
「さあ、倒れていった者の無念を晴らしに行くぞ――メタグロォォォォスっ!!」
最後にフィールドへと放たれたポケモンはメタグロスだ。場に出た瞬間にスパコン同等の頭脳をフル活動し、ちいさくなるによって目視も難しい程にちいさくなったフワライドの位置を特定――攻撃へと移る。
「――――コメットパンチィッ!!」
「――――
フワライドが暴風と化した2つの風を連打する。だがメタグロスはその威力を測定し計算することで最も被害の少ないコースを見つけ出し、接近する。
突撃チョッキによる特防の増加も相まって、回数を重ねる毎に全能力ランクが上がって威力を増す2種類の風にも真っ向から立ち向かい、HPが
「――――お前はもう……墜ちろォォッ!!」
コメットパンチが直撃する。
……数十秒後、それまでの疲労が溜まっていたのか次第にメタグロスの動きが鈍くなり始め、比較的大振りの
フワライドはその一撃によって遥か遠くへと吹き飛ぶも、未だ瀕死には至っていない。
メタグロスは疲労により動けない。思ったよりも外れた攻撃の数が多いことを反省し、これは負けかなとフワライドの
…………。
……………………。
………………………………ん?
よくよく注視すると、フワライドは風を出そうとしてはいるものの、結局何も起きていない。何故かと考えるも、結論は極めて単純だった。
…………PP、尽きたんだな。
そりゃあれだけバカスカ撃ってればなくなるのも早いよなと納得し――――ソラの瞳が諦めていないことを察する。
「――――ま、色んな所から苦情を言われるかもしんねぇけどよ」
当然か、フワライドは今まで技を3種類しか使っていない。であればもう1つ技があると考えて当然である。
上げに上げた補正を6匹目にバトンタッチするか――いや、ソラの
ここに来ての積み技――だったらちいさくなる同様連結に組み込んでいる。
加えてフワライドに攻撃防御特攻特防素早さのバフはほぼ必要ない。
回復技――ならば諦めていないことの理由にはならない。一応PPが尽きる程に撃てばわるあがきが可能とはなるが、その間に積まれることを考えると現実的ではない。
ならばやはり攻撃技だろう。怪しいのはかるわざを活かしたアクロバットだ。飛行タイプであることも相まって大ダメージが期待出来る。
だが…………第六感が
「――――
「――――ちょっと待てお前!!」
相手の考えに気付いて静止するも、最早間に合わない。
フワライドは大爆発し――
都合爆発3連発。それはメタグロスのHPを瞬く間に削りきり、
――メタグロスは倒れた。
倒れたメタグロスをボールに回収し、僕はソラへと話しかける。
「なんか最後の展開に納得がいかないが……
爆発オチという終わり方に納得いかないが……と2回目となる言葉を口の中で転がして、素直に自分の負けを認める。それはソラの戦略が僕を上回ったという証拠なのだから。
僕の賞賛を聞いたソラは、だが途端に顔を俯かせた。思わぬ反応に怪訝そうな顔を見せた僕に、彼はホルダーから1つのモンスターボールを取り出した。
「これは…………モンスターボール?」
所々が傷付き、歴史を感じさせる――だが、とても丁寧に手入れされた
当然だ、ソラをよく知る者ほどその可能性に思考が及ばない。まさかそれが――
「…………ジュプトルの、モンスターボールなんだよ」
アイツは、いなくなった。
だからこの勝負は引き分けだな――。
そう言ってソラは、中身のない空虚な笑みを見せた――殴り飛ばす。
背後でリーリエが悲鳴をあげるも、気にする程の余裕はない。
勢いよく地面に吹き飛んだソラの首元を服ごと掴み、近くの大樹へと叩きつけ、言葉を放つ。
「お前――自分が何と言ったのかわかっているのか!!?」
――ありえない。
僕の思考はその一言に集約された。
バトルフロンティアやポケモンリーグなどで多くのトレーナーを見てきた僕だから断言出来る。ソラとジュプトルは最高のパートナーだ。そんな2人が片方を置いてどこかへ行くなど、どう考えてもありえない。
それは僕だけでなく、ソラも当然わかっていることで――――
「わかってる――
記憶喪失だ言っただろ!オレは!オレのことを1番知らねぇんだよ!!」
――何しろオレはここ数年ぐらい記憶がないモンでな――
不意にバトルを行う前にソラが言った言葉が蘇る。
記憶喪失――
なんでそんな状態でバトルを行うのかと舌打ちする。だから動きが鈍かったのか――明らかに不利な盤面でも交代という選択を取らない程に。
だがそれはもう関係ない。思考を忘却し、ジュプトルの行方を知る手段を頭の中で検索をかける。先程まで続けていた超高速思考の名残か、方法は極めてあっさりと思いついた。
「記憶喪失……記憶を司るポケモンはユクシーだが、失った記憶は担当外だ。
なら、過去を知るために時を超える――時間軸の移動、ときわたり……ディアルガとセレビィ!」
僕が挙げた2つのポケモンの名前にソラは心当たりがあったようで、何かを考え込む様子を見せた。
「ディアルガ、に…………セレビィ?
どこかで聞いたことがあるような……。
確か……時の歯車……星の停止……暗黒の未来……時の回廊…………ジュプトルに惚れてた女の子?」
「連想出来る記憶はあるな――最後のはなんかちょっとアレだが。
それはどっかの遺跡の記述か……それともその空白の数年間で
「ソラさん……わたしも、微力ながらお手伝いします!」
そうと決まればあとは早い。主目的が決定したら、後は肉付けだ。
どうやって出会うのか――具体的なプランを練り上げて、
そんなことよりももっと手っ取り早い方法がある事に気付いた。
「――――なあ、
ふぇ、とリーリエが目を点にする。
いきなり知人が電波全開の発言をしたのだ、その硬直は当たり前だが――忘れてはいけない。
なぜ僕達がここで遭遇したのか。
そのきっかけとは何か。
かつてロイヤルドームにて、空間を捻じ曲げる様にして表れた
ただ僕等を合わせるだけが目的な筈がない。故に、何らかの手段で監視していると考えるのが当然で――
「――――うう、せっかく出るタイミングを伺ってたのに……」
――目の前の空間が木っ端微塵に粉砕され、別の次元へと接続される。
それはこの世を裏側から支えるという、正負が反転したやぶれた世界。反物質を司る神が統べる空間である。
そこから表れた、雰囲気こそ違うが心当たりのある少女の姿を見て――
僕は呟いた。
「――――そうか……こっちの世界では
シンオウ地方における伝説――その1柱がアローラに降臨した瞬間だった。
知ってる人は知ってるこの
連結技でなんで積み技使わないの、と思う人が多いかも知れませんが、このシステムの輸入元では大抵の場合で積む必要ないから攻撃しようぜ!という考えが当たり前なので、その辺を反映させて連結させませんでした。私が連結技をあまり使ってないからという理由もあるのですが。
そして次話で遂に明かされるソラの記憶喪失の真実(白目)、コートの主とは誰なのか(バレバレ)!
次回の更新は――今話で疲れたからちょっと遅れるかも。